特許第5972185号(P5972185)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5972185反射型マスクの検査装置、露光装置、反射型マスクを検査する方法及び露光方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972185
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】反射型マスクの検査装置、露光装置、反射型マスクを検査する方法及び露光方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/84 20120101AFI20160804BHJP
   G03F 1/24 20120101ALI20160804BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   G03F1/84
   G03F1/24
   G03F7/20 503
   G03F7/20 521
【請求項の数】10
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-14779(P2013-14779)
(22)【出願日】2013年1月29日
(65)【公開番号】特開2014-145938(P2014-145938A)
(43)【公開日】2014年8月14日
【審査請求日】2015年10月1日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代半導体材料・プロセス基盤(MIRAI)プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】308014341
【氏名又は名称】富士通セミコンダクター株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100081330
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 外治
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(72)【発明者】
【氏名】穴澤 俊久
(72)【発明者】
【氏名】須賀 治
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−124453(JP,A)
【文献】 特開平11−219900(JP,A)
【文献】 特開2009−251412(JP,A)
【文献】 特開2008−134214(JP,A)
【文献】 特開2004−061177(JP,A)
【文献】 特開2009−272347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/00−21/01
21/17−21/61
21/84−21/958
G03F1/00−1/86
7/20−7/24
9/00−9/02
H01L21/027
21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように配置され、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板と、
検査領域が反射した光を受光する受光部と、
を備え、
光が、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、前記遮蔽板に対して反射型マスク側から、前記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない、反射型マスクの検査装置。
【請求項2】
前記遮蔽板は、前記検査開口部に隣接して、反射型マスクとは反対側から反射型マスクに向かって進む光を受光する第2の受光部を有する請求項1に記載の反射型マスクの検査装置。
【請求項3】
前記受光部の受光面と、前記第2の受光部の受光面とは平行ではない請求項2に記載の反射型マスクの検査装置。
【請求項4】
前記検査開口部は、前記遮蔽板の法線方向に対して傾いた角度を有して反射型マスクとは反対側から前記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進み検査領域により反射された光が、入射しない位置に配置される請求項1〜3の何れか一項に記載の反射型マスクの検査装置。
【請求項5】
前記検査開口部を通って、反射型マスク側から反射型マスクとは反対側に向かって進む光を遮る補助遮蔽板を有する請求項1〜3の何れか一項に記載の反射型マスクの検査装置。
【請求項6】
検査領域は、前記検査開口部よりも大きい請求項1〜5の何れか一項に記載の反射型マスクの検査装置。
【請求項7】
前記受光部を走査して、検査領域からの反射光を受光させる駆動部を有する請求項6に記載の反射型マスクの検査装置。
【請求項8】
露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように配置され、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板と、
検査領域が反射した光を受光する受光部と、
を備え、
光が、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、前記遮蔽板に対して反射型マスク側から、前記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない、反射型マスクの検査装置を備えた露光装置。
【請求項9】
露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板を配置して、
光が、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、前記遮蔽板に対して反射型マスク側から、前記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない状態で、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部に向かって光を照射し、
検査領域により反射された光を受光部で受光し、受光量に基づいて反射型マスクを検査する方法。
【請求項10】
露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板を配置して、
光が、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、前記遮蔽板に対して反射型マスク側から、前記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない状態で、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部に向かって光を照射し、
検査領域により反射された光を受光部で受光し、受光量に基づいて反射型マスクを検査し、
反射型マスクの検査の結果に基づいて、露光条件を調整する露光方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型マスクの検査装置、露光装置、反射型マスクを検査する方法及び露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造工程において、微細な回路パターンを基板上に転写する方法としてリソグラフィ技術が用いられている。このリソグラフィ技術には主に投影露光装置が用いられる。投影露光装置に装着したマスクからの露光光をウエハ上のレジストに照射することにより回路パターンが転写される。
【0003】
近年、半導体装置の高集積化や、動作速度の高速化が求められており、これらの要求に応えて回路パターンの更なる微細化が進められている。そこで、露光波長の短波長化などにより、投影像の解像度を向上することが検討されている。例えば、従来の紫外線よりも波長の短い極端紫外光(Extremely Ultra Violet Light:EUV光)を用いた露光法が提案されている。そして、EUV光を用いた露光によるパターンの転写技術は、EUVリソグラフィともいわれる。ここで、レンズ収差、画角(視野角)などからの要求もあって、EUVリソグラフィでは、ステッパ方式に代わって、円弧形状の露光領域を、マスク上で走査して露光を行うスキャナ方式が主流となっている。
【0004】
EUV光は大気中では吸収されるので、EUVリソグラフィは減圧下で行なわれる。また、EUV光は、レンズ等の物質による吸収が大きいので、従来の透過/屈折光学系を用いることができないため、EUVリソグラフィでは、光学系は全て反射型(ミラー)光学素子を用いて形成される。
【0005】
同様にEUVリソグラフィでは、マスクも反射型である。EUVリソグラフィで用いられる反射型マスクは、反射ミラー上にEUV光を吸収する材料で回路パターンが描かれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−124453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
EUVリソグラフィでは、露光による反射型マスクへの異物成長又は反射型マスクの表面酸化が生じる場合がある。露光装置内では、炭化水素等の残留ガスが反射型マスクの表面に吸着する。そして、吸着した炭化水素等の分子が、EUV光により光化学分解されるか又はEUV光により発生した光電子又はその2次電子により分解されて、反射型マスクの表面に炭素を含む薄膜が成長する。また、残留ガス中に水分が含まれていると、EUV光により分解されて酸素が生成されて、反射型マスクの表面が酸化される。
【0008】
反射型マスクのミラーの部分に異物が成長するか又は酸化膜が形成すると、EUV光が吸収されて反射率が低下するので露光時間が増加して、露光工程のスループットが低下する。
【0009】
また、反射型マスクにおけるパターンの部分に異物が成長すると、パターンの寸法が変化するので、ウエハ上に露光されるパターンの寸法精度が低下する。
【0010】
従って、このような反射型マスクの劣化を検査して、露光不良の発生を防止することが求められている。
【0011】
例えば、反射型マスクにおけるパターンの寸法変化は、CD−SEM又はCD−AFMを用いて測定することが提案されている。また、異物成長又は酸化膜の検査については、反射型マスク上のパターン領域内に吸収体のないミラー領域を設けて、反射率の測定又はエリプソメトリを用いた膜厚測定を行うことが提案されている。
【0012】
しかし、これらの反射型マスクの検査では、検査のために反射型マスクを露光装置内から取り出すことが求められていた。また、反射型マスクのパターン領域内に吸収体のないミラー領域を設けることは、回路パターンの領域を減少させる問題があった。
【0013】
そこで、本明細書では、反射型マスクのパターン領域を損なうことなく、反射型マスクを露光工程でインライン検査できる反射型マスクの検査装置を提案することを目的とする。
【0014】
また、本明細書では、反射型マスクのパターン領域を損なうことなく、反射型マスクをインライン検査できる露光装置を提案することを目的とする。
【0015】
また、本明細書では、反射型マスクのパターン領域を損なうことなく、反射型マスクを露光工程でインライン検査できる反射型マスクを検査する方法を提案することを目的とする。
【0016】
更に、本明細書では、反射型マスクのパターン領域を損なうことなく、反射型マスクをインライン検査できる露光方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本明細書に開示する反射型マスクの検査装置の一形態によれば、露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように配置され、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板と、検査領域が反射した光を受光する受光部と、を備え、光が、上記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、上記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、上記遮蔽板に対して反射型マスク側から、上記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない。
【0018】
また、本明細書に開示する露光装置の一形態によれば、露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように配置され、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板と、検査領域が反射した光を受光する受光部と、を備え、光が、上記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、上記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、上記遮蔽板に対して反射型マスク側から、上記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない、反射型マスクの検査装置を備える。
【0019】
また、本明細書に開示する反射型マスクを検査する方法の一形態によれば、露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板を配置して、光が、上記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、上記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、上記遮蔽板に対して反射型マスク側から、上記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない状態で、上記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、上記検査開口部に向かって光を照射し、検査領域により反射された光を受光部で受光し、受光量に基づいて反射型マスクを検査する。
【0020】
更に、本明細書に開示する露光方法の一形態によれば、露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板を配置して、光が、上記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、上記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、上記遮蔽板に対して反射型マスク側から、上記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない状態で、上記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、上記検査開口部に向かって光を照射し、検査領域により反射された光を受光部で受光し、受光量に基づいて反射型マスクを検査し、反射型マスクの検査の結果に基づいて、露光条件を調整する。
【発明の効果】
【0021】
上述した本明細書に開示する反射型マスクの検査装置の一形態によれば、反射型マスクのパターン領域を損なうことなく、反射型マスクを露光工程でインライン検査できる。
【0022】
また、上述した本明細書に開示する露光装置の一形態によれば、反射型マスクのパターン領域を損なうことなく、反射型マスクをインライン検査できる。
【0023】
また、上述した本明細書に開示する反射型マスクを検査する方法の一形態によれば、反射型マスクのパターン領域を損なうことなく、反射型マスクを露光工程でインライン検査できる。
【0024】
更に、上述した本明細書に開示する露光方法の一形態によれば、反射型マスクのパターン領域を損なうことなく、反射型マスクをインライン検査できる。
【0025】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。
【0026】
前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本明細書に開示する露光装置の第1実施形態を示す図である。
図2】(A)は反射型マスクの平面図であり、(B)は(A)のX−X線断面図である。
図3】遮蔽板を示す図である。
図4】反射型マスクに対して、遮蔽板を介して露光光が照射されている図である。
図5図4のY−Y線断面図である。
図6】第1実施形態の変形例を示す図である。
図7】本明細書に開示する露光装置の第2実施形態の要部を示す図である。
図8】反射型マスクに対して、遮蔽板を介して露光光が照射されている図である。
図9】第2実施形態の変形例を示す図である。
図10】本明細書に開示する露光装置の第3実施形態の要部を示す図である。
図11】本明細書に開示する露光装置の第4実施形態の要部を示す図である。
図12】検査領域内の露光光により照射される照射領域を示す図である。
図13】本明細書に開示する露光方法の一実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本明細書で開示する露光装置の好ましい第1実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0029】
図1は、本明細書に開示する露光装置の第1実施形態を示す図である。図2(A)は反射型マスクの平面図であり、図2(B)は図2(A)のX−X線断面図である。図3は、遮蔽板を示す図である。図4は、反射型マスクに対して、遮蔽板を介して露光光が照射されている図である。図5は、図4のY−Y線断面図である。
【0030】
本実施形態の露光装置10は、EUV光を用いて反射型マスク30の露光パターンをウエハWに転写する投影露光装置である。
【0031】
露光装置10は、EUV光を発生する光源11を備える。光源11は、例えば、1nm〜100nmの波長のEUV光を生成する。
【0032】
また、露光装置10は、光源11が生成したEUV光を入射し光束が絞られた露光光Lを出射する照明光学部12と、照明光学部12が出射した露光光Lを入射し、反射型マスク30で反射された露光光LをウエハWに投影する投影光学部13とを備える。
【0033】
投影光学部13の内部は、図示しない真空排気部により減圧されており、反射型マスク30が配置される。投影光学部13は、入射した露光光Lを反射して反射型マスク30上に照射するミラーM1と、反射型マスク30が反射した露光光Lを更に反射してウエハW上に投影する複数のミラーM2〜M7とを有する。
【0034】
投影光学部13は、ミラーによる露光ケラレを防止するために円弧形状のスリット(図示せず)を介して露光光Lを反射型マスク30上に照射する。そのため、図4に示すように、反射型マスク30上に照射される露光光の領域、すなわち露光フィールドFは、円弧形状となる。
【0035】
また、投影光学部13内には、反射型マスク30を覆うように配置され、反射型マスク30のパターン領域31に対応する位置に形成されたパターン開口部22を有する遮蔽板21が配置される。遮蔽板21は、ミラーM1と反射型マスク30との間に位置する。遮蔽板21は、露光光Lが反射型マスク30のパターン領域以外の部分に照射されることを防止する。遮蔽板21は、露光光Lを吸収する材料を用いて形成されることが好ましい。
【0036】
また、露光装置10は、ウエハWが載置されるステージ14を備える。更に、露光装置10は、光源11と、照明光学部12と、投影光学部13と、ステージ14とを制御する制御部15を備える。
【0037】
制御部15は、ミラーM1を駆動して、露光フィールドFで反射型マスク30上を走査すると共に、この走査と同期してステージ14を駆動してウエハWを移動させる。また、制御部15は、光源11が生成するEUV光の強度、露光時間等の露光条件を制御する。
【0038】
露光装置10は、ミラーによるケラレを防止するために中心軸はずしの光学系を有しているので、広い露光フィールドFが得られる。露光フィールドFは、円弧形状の中心点に向けて集光するような集光光となっている。このため、露光フィールドF内の光強度は厳密には一様ではない。露光光Lは、反射型マスク30に対し、反射型マスク30の法線方向を基準として6°〜8°程度傾けて入射させており、またウエハWに対してやや傾いた光線で結像する。
【0039】
図2(A)に示すように、反射型マスク30は、ウエハWに投影される露光パターンを有するパターン領域31と、パターン領域31とは異なる位置に配置された検査領域32とを有する。検査領域32は、パターン領域31に隣接して配置される。検査領域32は、後述する検査部20によって反射型マスク30の劣化の状態が検査される領域である。
【0040】
図2(B)に示すように、反射型マスク30は、マスク基板33と、マスク基板上に配置された反射層34と、反射層上に配置された吸収層35とを有する。マスク基板33は、例えば、合成石英あるいは低熱膨張材料(Low Thermal Expansion Material:LTEM)を用いて形成され得る。反射層34は、例えば、Mo/Si等を用いた多層膜により形成され得る。吸収層35は、TaBN等のEUV光を吸収する材料を用いて形成され得る。
【0041】
パターン領域31では、反射層34上に吸収層35を用いて露光パターンが形成される。従って、パターン領域31に照射された露光光Lは、吸収層35の部分では吸収されるが、反射層34が露出している部分では反射される。
【0042】
検査領域32では、反射層34上の吸収層35が除去されている。従って、検査領域32に照射されたEUV光は、露出している反射層34により反射される。
【0043】
反射型マスク30は、パターン領域31及び検査領域32以外の部分は、吸収層35により覆われている。
【0044】
投影光学部13は、上述した反射型マスク30の検査領域32を検査する検査部20を備える。検査部20は、検査領域32の反射層34の反射率を調べて、反射層34上に生じた異物又は酸化膜による検査領域の劣化を検査する。
【0045】
検査部20は、上述した遮蔽板21と、遮蔽板21の反射型マスク30側の面に配置された第1受光部26(図5参照)を有する。
【0046】
図3に示すように、遮蔽板21は、パターン領域31に対応する位置に形成されたパターン開口部22と、検査領域32に対応する位置に形成された検査開口部23とを有する。
【0047】
遮蔽板21は、第1遮蔽板21aと第2遮蔽板21bとが一部が重なって形成される。第1遮蔽板21aと第2遮蔽板21bとの重なる領域を調整することにより、パターン開口部22の寸法を変更できる。第1遮蔽板21a及び第2遮蔽板21bは、駆動部24(図1参照)により駆動される。
【0048】
第1遮蔽板21aは、パターン開口部22に隣接して検査開口部23を有する。本実施形態では、検査開口部23は、検査領域32と同じ形状及び同じ寸法を有している。
【0049】
図4に示すように、検査開口部23は、露光フィールドFがパターン領域22の一方の端部を照射した際に、パターン領域22の一部と共に、この露光フィールドFによって同時に照射される位置に形成されることが好ましい。図4では、パターン領域22の一方の端部と検査開口部23とが、同じ露光フィールドFの帯の中に含まれて照射されている。即ち、反射型マスク30の検査領域32には、反射型マスク30を露光する露光光Lの一部が照射される。
【0050】
このように、検査領域32とパターン領域31とを、同じ露光フィールドFの中に含まれるように近接して配置することにより、両領域に照射される光量が同じとなり、両領域における炭素を含む薄膜又は酸化膜等の形成が同じ程度なる。従って、検査領域32の状態を調べることにより、パターン領域31の劣化の程度を検査することができる。
【0051】
図5に示すように、露光光Lが、反射型マスク30とは反対側から、検査開口部23を通って反射型マスク30に向かって進む。露光光Lは、反射型マスク30の法線方向に対して入射角θを有して、反射型マスク30に入射する。第1遮蔽板21aは、反射型マスク30と平行に配置されているので、露光光Lは、第1遮蔽板21aの法線方向に対しても角度θを有して、遮蔽板21aに入射する。この入射角θとしては、上述したように6°〜8°とすることができる。
【0052】
図5では、検査開口部23を通る露光光Lの部分だけを鎖線で示しているが、露光フィールドFに含まれる光は、検査開口部23以外の第1遮蔽板21aの部分も照射している。第1遮蔽板21aは、EUV光を吸収する材料を用いて形成されているので、入射角θが6°〜8°程度であれば、ほぼ全てのEUV光が遮蔽板21aに吸収される。従って、光が遮蔽板21aにより反射されてウエハWへ向かうことが防止される。
【0053】
検査開口部23の位置は、入射角θを有して検査開口部23を通った露光光Lが、反射型マスク30の検査領域32に照射されるように配置される。上述したように検査開口部23と検査領域32とは、同じ形状及び同じ寸法を有しているので、検査開口部23を通った露光光Lにより反射型マスク30が照射される照射領域Tは、検査領域32の位置と一致している。
【0054】
また、検査開口部23は、検査領域32により反射された露光光Lが、再び検査開口部23に入射しない位置に配置される。即ち、第1遮蔽板21aの法線方向に対して傾いた角度θを有して反射型マスク30とは反対側から検査開口部23を通って反射型マスク30に向かって進み検査領域32により反射された光が、入射しない位置に検査開口部23が配置される。
【0055】
具体的には、第1遮蔽板21aの法線方向に対して入射角θの方向における検査開口部23の幅Wと、第1遮蔽板21aと反射型マスク30との間の距離dとが、下記式の関係を満たしている。これにより、検査領域32により反射された光が、再び検査開口部23に入射することが防止される。
W ≦ 2dtanθ
【0056】
ここで、入射角を6°とし、距離dを5mmとすると、検査開口部23の幅Wが、最大約1mmとなる。検査開口部23の幅も、検査開口部23の幅Wと同様に約1mmとなる。
【0057】
検査開口部23において、第1遮蔽板21aの法線方向に対して入射角θの方向と直交する方向の寸法については、検査開口部23が露光フィールドF内に収まるように設定されることが好ましい。
【0058】
検査領域32により反射された全ての露光光Lは、第1遮蔽板21aの反射型マスク側の面の照射領域S1に照射されて、反射型マスク30とは反対側に向かって進むことが遮られる。
【0059】
このように露光装置10は、露光光Lが、反射型マスク30とは反対側から、検査開口部23を通って反射型マスク30に向かって進むことを許容する。しかし、露光装置10は、露光光Lが、反射型マスク30側から、検査開口部23を通って反射型マスク30とは反対側に向かって進むことを許容しない。
【0060】
従って、検査領域32により反射された露光光LがウエハWに照射されることが防止されるので、ウエハWの露光工程において、検査領域32に露光光Lを照射して反射型マスク30を検査することをインラインで行うことができる。
【0061】
第1遮蔽板21aは、反射型マスク側の面の照射領域S1内に、検査領域32から反射した露光光Lを受光する第1受光部26を有する。
【0062】
第1受光部26は、検査領域32からの反射光を受光し、受光量を電気信号に変換して制御部15に出力する。検査前にあらかじめ反射率が既知のリファレンス試料を用いて第1受光部26を較正し、検査領域32の反射率を検査して、反射率の経時変化を調べることにより、反射型マスク30の劣化の程度を決定することができる。
【0063】
第1受光部26としては、例えばフォトダイオードを用いることができる。フォトダイオードの厚さは、通常ウエハの厚さ以下であり、第1遮蔽板21aと反射型マスク30との間に配置できる。また、面積が1mm平方以下のフォトダイオードが入手可能であり、照射領域S1内に、フォトダイオードを配置することができる。
【0064】
照射領域S1内で、第1受光部26以外に照射される光は、第1遮蔽板21aに吸収される。
【0065】
上述した本実施形態の露光装置10によれば、検査領域32により反射された露光光Lが、反射型マスク30側から、検査開口部23を通って反射型マスク30とは反対側に向かって進むことを許容しないので、反射型マスク30をインライン検査できる。また、本実施形態の露光装置10によれば、遮蔽板21が、反射型マスク側の面の照射領域S1内に、検査領域32から反射した露光光Lを受光する第1受光部26を有するので、反射型マスク30をインライン検査できる。従って、反射型マスク30を露光装置10から取り外すことなく検査して、反射型マスク30の劣化を随時監視できる。そして、反射型マスク30の劣化の程度に応じて、制御部15を用いて露光条件を調整することにより、露光不良の発生を防止することできる。
【0066】
また、露光装置10で用いられる反射型マスク30は、検査領域32がパターン領域31とは異なる位置に配置されるので、反射型マスク30のパターン領域は損なわれない。
【0067】
上述した本実施形態の露光装置10によれば、第1受光部26としてフォトダイオードのようなセンサを用いて、検査領域32からの反射光の受光量を測定するので、簡易な測定手段を用いて、検査部20を構築することができる。
【0068】
次に、上述した第1実施形態の露光装置の変形例を、図を参照して、以下に説明する。
【0069】
図6は、第1実施形態の変形例を示す図である。
【0070】
本変形例の露光装置は、検査領域32により反射された露光光Lが第1受光部26へ入射することを開閉自在に遮る光遮断部27を有する。光遮断部27は、第1遮蔽板21aにおける反射型マスク側の面の照射領域S1に隣接して配置される。光遮断部27の動作は、制御部15によって制御される。
【0071】
光遮断部27は、検査領域32により反射された露光光Lが第1受光部26へ入射することを遮るシャッタ27aを有する。光遮断部27は、シャッタ27aを開くことにより、検査領域32により反射された露光光Lが第1受光部26へ入射することを許容する。また、光遮断部27は、シャッタ27aを閉じることにより、検査領域32により反射された露光光Lが第1受光部26へ入射することを遮る。
【0072】
光遮断部27におけるシャッタ27aの駆動手段としては、モータによる回転駆動又はソレノイド等による直線駆動を利用することができる。シャッタ27aの開閉に伴う移動距離は高々数ミリメートルである。
【0073】
露光光Lが第1受光部26に照射されると、反射型マスク30と同様に、第1受光部26に対しても異物成長又は表面酸化が生じる場合がある。そこで、本変形例では、検査領域32からの反射光を受光して反射型マスク30を検査する時にだけシャッタ27aを開くようにして、第1受光部26の劣化を防止している。
【0074】
次に、上述した配線構造の他の実施形態を、図7図12を参照しながら以下に説明する。他の実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、同一の構成要素には同一の符号を付してある。
【0075】
図7は、本明細書に開示する露光装置の第2実施形態の要部を示す図である。図8は、反射型マスクに対して、遮蔽板を介して露光光が照射されている図である。
【0076】
本実施形態の露光装置10では、第1遮蔽板21aは、反射型マスク30とは反対側の面に、検査開口部23に隣接して、反射型マスク30とは反対側から反射型マスク30に向かって進む露光光Lを受光する第2受光部28を有する。
【0077】
第2受光部28は、ミラーM1からの露光光Lを受光し、受光量を電気信号に変換して制御部15に出力する。
【0078】
制御部15は、第2受光部28の受光量を基準として、第1受光部26の受光量から反射領域32の反射率を調べて、反射型マスク30の劣化の程度を判断する。
【0079】
図8に示すように、第2受光部28は、検査開口部23を照射する円弧形状の露光フィールドFによって同時に照射される位置に配置される。
【0080】
第1実施形態の露光フィールドFの説明で上述したように、露光フィールドF内の光強度は厳密には一様ではない。一方、第2受光部28が受光する露光光Lの光強度は、検査開口部23を通って検査領域32に入射する光強度と出来るだけ一致していることが好ましい。
【0081】
そこで、本実施形態では、第2受光部28は、検査開口部23に隣接して配置される。ここで、第2受光部28が検査開口部23に隣接して配置されるとは、第2受光部28が受光する光の光強度が、検査開口部23を通って検査領域32に入射する光強度に対して、好ましくは±30%以内であることを意味する。第2受光部28は、その受光する光強度が、検査開口部23を通って検査領域32に入射する光強度に対して、特に±20%以内、更には±10%以内になるように配置されることより好ましい。
【0082】
検査領域32の反射層34による露光光Lの反射率は、100%よりも低く、通常60%程度である。従って、第2受光部28が配置される第1遮蔽板21aの照射領域S2の光強度が、検査開口部23を通って検査領域32に入射する光強度と一致していても、第1受光部26が配置される照射領域S1の光強度は、照射領域S2の光強度よりも低くなる。
【0083】
そこで、本実施形態では、第2受光部28の受光面を、第1受光部26の受光面に対して傾けている。このように、第1受光部26の受光面と第2受光部28の受光面とを平行ではなくして、第2受光部28の受光面が受光する光強度と、第1受光部26の受光面が受光する光強度とを一致させている。
【0084】
従って、制御部15は、第2受光部28の受光量を基準として、第1受光部26の受光量を補正することなく比較することができる。光源11の経時的変化により、露光光Lの光強度も経時的に変化する場合がある。しかし、第2受光部28の受光量を基準とすることにより、光源11の経時的変化の影響を補正することができる。
【0085】
また、第1受光部26及び第2受光部28としてフォトダイオードを用いる場合、フォトダイオードの寿命は、受光する光強度に依存する。従って、第1受光部26及び第2受光部28が受光する光強度を同じにすることにより、は、第1受光部26及び第2受光部28の寿命を等しくできる。
【0086】
上述した本実施形態の露光装置10によれば、第2受光部28の受光量を基準として、第1受光部26の受光量を比較することにより、露光光Lの経時的変化の影響を受けることなく、反射型マスク30の劣化を正確に検査することができる。
【0087】
また、上述した本実施形態の露光装置10によれば、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0088】
次に、上述した第2実施形態の露光装置の変形例を、図を参照して、以下に説明する。
【0089】
図9は、第2実施形態の変形例を示す図である。
【0090】
本変形例では、第1受光部26の受光面と第2受光部28の受光面とが平行に配置される。このように、第2受光部28の受光面は、第1受光部26の受光面に対して傾けなくても良い。
【0091】
本変形例では、第1受光部26及び第2受光部28が受光する光強度が同じではないので、あらかじめ、第2受光部28の受光量と第1受光部26の受光量との関係を調べて、
第2受光部28の受光量を基準として用いる係数を取得しておく。
【0092】
そして、反射型マスク30を検査する際には、制御部15は、第2受光部28の受光量が係数で補正された値を基準として、第1受光部26の受光量から反射領域32の反射率を調べて、反射型マスク30の劣化の程度を判断する。
【0093】
図10は、本明細書に開示する露光装置の第3実施形態の要部を示す図である。
【0094】
本実施形態の露光装置10では、検査開口部23は、検査領域32で反射した露光光Lの一部が、再び検査開口部23に入射する位置に配置される。
【0095】
検査領域32と一致する照射領域Tから反射した露光光Lの一部は、第1遮蔽板21aの反射型マスク側の面の照射領域S1に照射されて、反射型マスク30とは反対側に向かって進むことが遮られる。
【0096】
しかし、検査領域32から反射した露光光Lの残りの部分は、反射型マスク側から、検査開口部23を通って反射型マスク30とは反対側に向かって進む。
【0097】
そこで、露光装置10は、検査開口部23を通って、反射型マスク側から反射型マスク30とは反対側に向かって進む光を遮る第1補助遮蔽板29a及び第2補助遮蔽板29bを有する。第1補助遮蔽板29a及び第2補助遮蔽板29bは、反射型マスク30と平行に配置される。
【0098】
検査開口部23を通った光の一部は、第1補助遮蔽板29aの反射型マスク側の面の照射領域S3に照射されて、反射型マスク30とは反対側に向かって進むことが遮られる。また、検査開口部23を通った光の残りの部分は、第2補助遮蔽板29bの反射型マスク側の面の照射領域S4に照射されて、反射型マスク30とは反対側に向かって進むことが遮られる。
【0099】
第1補助遮蔽板29a及び第2補助遮蔽板29bは、入射した光を反射させない観点から、EUV光を吸収する材料を用いて形成されることが好ましい。
【0100】
本明細書では、光が、反射型マスク側から検査開口部23を通って反射型マスク30とは反対側に向かって進むことを許容しないとは、光が検査開口部23を通った後、第1補助遮蔽板29a又は第2補助遮蔽板29bにより遮られて、光が、反射型マスク側から検査開口部23を通って反射型マスク30とは反対側に向かって進むことを許容しないことを含む意味である。
【0101】
第1補助遮蔽板29aは、反射型マスク側の面の照射領域S3内に、検査領域32から反射した光を受光する第1受光部26を有する。このように、第1受光部26は、第1遮蔽板21aではなく、第1補助遮蔽板29aに配置されても良い。
【0102】
上述した本実施形態の露光装置によれば、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0103】
また、第1補助遮蔽板29aに対して、上述した第1実施形態の変形例のように、光遮断部を配置しても良い。
【0104】
また、第1補助遮蔽板29aを反射型マスク30に対して平行に移動する第2の駆動部(図示せず)を配置して、第1受光部26を、露光光Lに照射されない位置に移動するようにしても良い。そして、検査領域32からの反射光を受光して反射型マスク30を検査する時にだけ、第1受光部26に露光光Lが照射されるように第1補助遮蔽板29aを第2の駆動部を用いて移動させる。第1補助遮蔽板29aが移動しても、検査開口部23を通った検査領域32からの反射光は、第2補助遮蔽板29bによって全て遮られる。
【0105】
上述した第3実施形態の露光装置では、第1補助遮蔽板29a及び第2補助遮蔽板29bが配置されていたが、検査開口部23を通って反射型マスク30とは反対側に向かって進む全ての光を第1補助遮蔽板29aのみで遮ることができるならば、第2補助遮蔽板29bを配置しなくても良い。
【0106】
図11は、本明細書に開示する露光装置の第4実施形態の要部を示す図である。
【0107】
本実施形態の露光装置10では、上述した第3実施形態と同様に、検査開口部23は、検査領域32で反射した露光光Lの一部が、再び検査開口部23に入射する位置に配置される。
【0108】
そこで、露光装置10は、第3補助遮蔽板29cを配置して、検査開口部23を通った光が、反射型マスク30とは反対側に向かって進むことを防止する。検査開口部23を通った光は、第3補助遮蔽板29cの反射型マスク側の面の照射領域S4に照射される。
【0109】
第3補助遮蔽板29cは、入射した光を反射しない観点から、EUV光を吸収する材料を用いて形成されることが好ましい。
【0110】
また、本実施形態の露光装置10では、検査領域32の寸法が、検査開口部23よりも大きい。そのため、検査開口部23を通った露光光Lにより反射型マスク30が照射される照射領域Tは、検査領域32の寸法よりも小さい。
【0111】
図12は、検査領域内の露光光により照射される照射領域を示す図である。
【0112】
遮蔽板21は、駆動部24により駆動されて、反射型マスク30を覆うように位置決めされる。しかし、駆動部24の動作に誤差が生じると、検査開口部23と検査領域32との位置関係が毎回同じ位置とはならない場合がある。
【0113】
検査開口部23と検査領域32との位置関係が変わると、検査開口部23を通った露光光Lにより反射型マスク30が照射される反射マスク30上の照射領域Tの位置も変化する。
【0114】
そこで、駆動部24による遮蔽板21の位置決め精度を考慮して、照射領域Tがずれても、照射領域Tが検査領域32内の位置するように、検査開口部23及び検査領域32の寸法が設定される。
【0115】
図12に示す例では、位置がずれた4つの照射領域T1〜T4の全てが、検査領域32内に収まっている。
【0116】
また、駆動部24による遮蔽板21の位置決め精度を考慮して、検査領域32内の照射領域Tがずれても互いに重なる領域を有するように、検査開口部23及び検査領域32の寸法が設定される。
【0117】
図12に示す例では、4つの照射領域T1〜T4の重なる領域Qが斜線で示されている。
【0118】
更に、駆動部24による遮蔽板21の位置決め精度を考慮して、検査領域32内の照射領域Tがずれても、露光光Lによって照射されない領域ができるように、検査開口部23及び検査領域32の寸法が設定される。
【0119】
図12に示す例では、位置がずれた4つの照射領域T1〜T4のいずれにも照射されない領域Rがある。
【0120】
そして、第1受光部26を走査させて、検査領域32からの反射光を受光させることにより、検査領域32内の反射率の分布を測定することができる。反射率の最も低い部分は領域Qと考えられるので、検査領域32内の反射率の分布を測定することにより、反射型マスク30の劣化の状態を正確に検査することができる。
【0121】
第1受光部26による検査領域32内の反射率の走査は、駆動部24を用いて、第1遮蔽板21a(必要であれば、第2遮蔽板21bも一緒に)を駆動することにより実現される。第1受光部26の移動は、1次元の移動でも良いし、2次元の移動でも良い。
【0122】
また、領域Rからの反射光を利用して、基準となる反射率を測定することができる。通常、領域Rには露光光Lが照射されないので、劣化が生じていないと考えられる。そこで、駆動部24を用いて検査開口部23を移動させて露光光Lを領域Rに照射し、領域Rからの反射光を第1受光部26で受光し、その受光量を基準値として、検査領域32の領域R以外の部分からの受光量と比較することができる。
【0123】
上述した第2実施形態では、基準値の測定のために第2受光部を用いていたが、本実施形態では、一つの第1受光部を用いて、受光量の基準値を測定することができる。
【0124】
また、本実施形態の露光装置10によれば、上述した第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0125】
次に、上述した本明細書に開示する露光方法の好ましい一実施形態を以下に説明する。この露光方法は、例えば、上述した各実施形態の露光装置を用いて行うことができる。
【0126】
図13は、本明細書に開示する露光方法の一実施形態のフローチャートである。
【0127】
まず、ステップ10において、制御部15は、反射型マスク30を用いて、所定の露光条件でウエハWを露光する。
【0128】
次に、ステップ12において、制御部15は、露光光Lが、反射型マスク30とは反対側から、検査開口部23を通って反射型マスク30に向かって進み且つ検査領域32により反射された光を受光した第1受光部26の出力信号を入力する。
【0129】
本明細書に開示する露光装置は、上述したように、検査領域32により反射された露光光Lが、反射型マスク30側から、検査開口部23を通って反射型マスク30とは反対側に向かって進むことを許容しないので、反射型マスク30をインライン検査できる。制御部15が入力する第1受光部26の出力信号は、ステップS10の露光において第1受光部26が受光した受光量を電気信号に変換した信号である。
【0130】
次に、ステップ14において、制御部15は、入力した第1受光部26の出力信号を用いて検査領域32を検査する。具体的には、制御部15は、検査領域32の反射率を導出し、導出した反射率に基づいて、反射型マスク30の劣化の程度を決定する。検査領域32の反射率を導出する際に、制御部15は、第1受光部26の出力信号と共に、第2受光部28の出力信号を用いても良い。
【0131】
次に、ステップ16において、制御部15は、反射型マスク30の検査の結果に基づいて、露光条件を調整する。なお、検査領域32の反射率によっては、露光条件の調整が行われない場合もある。
【0132】
そして、次の露光を行うために、ステップS10に戻る。このステップS10における露光では、ステップS16で調整された露光条件が用いられる。
【0133】
本発明では、上述した実施形態の反射型マスクの検査装置、露光装置、反射型マスクを検査する方法及び露光方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、一の実施形態が有する構成要件は、他の実施形態にも適宜適用することができる。
【0134】
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。
【0135】
以上の上述した各実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0136】
(付記1)
露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように配置され、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板と、
検査領域が反射した光を受光する受光部と、
を備え、
光が、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、前記遮蔽板に対して反射型マスク側から、前記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない、反射型マスクの検査装置。
【0137】
(付記2)
前記遮蔽板は、前記検査開口部に隣接して、反射型マスクとは反対側から反射型マスクに向かって進む光を受光する第2の受光部を有する付記1に記載の反射型マスクの検査装置。
【0138】
(付記3)
前記受光部の受光面と、前記第2の受光部の受光面とは平行ではない付記2に記載の反射型マスクの検査装置。
【0139】
(付記4)
検査領域により反射された光が前記受光部へ入射することを開閉自在に遮る光遮断部を有する付記1〜3の何れか一項に記載の反射型マスクの検査装置。
【0140】
(付記5)
前記検査開口部は、前記遮蔽板の法線方向に対して傾いた角度を有して反射型マスクとは反対側から前記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進み検査領域により反射された光が、入射しない位置に配置される付記1〜4の何れか一項に記載の反射型マスクの検査装置。
【0141】
(付記6)
前記検査開口部を通って、反射型マスク側から反射型マスクとは反対側に向かって進む光を遮る補助遮蔽板を有する付記1〜4の何れか一項に記載の反射型マスクの検査装置。
【0142】
(付記7)
前記遮蔽板は、反射型マスク側の面に、検査領域から反射した光を受光する前記受光部を有する付記5に記載の反射型マスクの検査装置。
【0143】
(付記8)
前記補助遮蔽板は、反射型マスク側の面に、検査領域から反射した光を受光する前記受光部を有する付記6に記載の反射型マスクの検査装置。
【0144】
(付記9)
検査領域は、前記検査開口部よりも大きい付記1〜8の何れか一項に記載の反射型マスクの検査装置。
【0145】
(付記10)
前記受光部を走査して、検査領域からの反射光を受光させる駆動部を有する付記9に記載の反射型マスクの検査装置。
【0146】
(付記11)
露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように配置され、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板と、
検査領域が反射した光を受光する受光部と、
を備え、
光が、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、前記遮蔽板に対して反射型マスク側から、前記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない、反射型マスクの検査装置を備えた露光装置。
【0147】
(付記12)
前記検査装置の検査結果に基づいて、露光条件を調整する制御部を備える付記10に記載の露光装置。
【0148】
(付記13)
露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板を配置して、
光が、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、前記遮蔽板に対して反射型マスク側から、前記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない状態で、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部に向かって光を照射し、
検査領域により反射された光を受光部で受光し、受光量に基づいて反射型マスクを検査する方法。
【0149】
(付記14)
露光パターンを有するパターン領域と、パターン領域とは異なる位置に配置された検査領域とを有する反射型マスクを覆うように、パターン領域に対応する位置に形成されたパターン開口部と、検査領域に対応する位置に形成された検査開口部とを有する遮蔽板を配置して、
光が、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部を通って反射型マスクに向かって進むことは許容するが、光が、前記遮蔽板に対して反射型マスク側から、前記検査開口部を通って反射型マスクとは反対側に向かって進むことを許容しない状態で、前記遮蔽板に対して反射型マスクとは反対側から、前記検査開口部に向かって光を照射し、
検査領域により反射された光を受光部で受光し、受光量に基づいて反射型マスクを検査し、
反射型マスクの検査の結果に基づいて、露光条件を調整する露光方法。
【符号の説明】
【0150】
10 露光装置
11 光源
12 照明光学部
13 投影光学部
14 ステージ
15 制御部
20 検査部
21 遮蔽板
21a 第1遮蔽板
21b 第2遮蔽板
22 パターン開口部
23 検査開口部
24 駆動部
26 第1受光部
27 光遮断部
27a シャッタ
28 第2受光部
29a 第1補助遮蔽板
29b 第2補助遮蔽板
29c 第3補助遮蔽板
30 反射型マスク
31 パターン領域
32 検査領域
33 マスク基板
34 反射層
35 吸収層
F 露光フィールド
L 露光光
P 法線
W ウエハ
M1〜M7 ミラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13