(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一方の継手管部の開口端中心及び前記他方の継手管部の開口端中心を結ぶ直線と、前記開口端の径方向に垂直な直線とが、前記平面視において一直線となるように、前記一対の継手管部が配置されている、請求項3に記載の配管部材。
前記一対の継手管部それぞれの内壁は、前記継手管部の開口端を前記開口端の径方向に垂直な方向へ投影した場合に前記開口端の投影を遮るように設けられた傾斜面を有し、
前記一対の傾斜面は、前記平面視において、前記管本体部の中心軸に対して互いに点対称となるように位置している、請求項1、3および4のいずれか1項に記載の配管部材。
前記平面視において、前記排水導入口の端縁及び前記中心軸を結ぶ直線と、前記張出し面の前記内壁側の基端及び前記中心軸を結ぶ直線とのなす角度が、60度以下である、請求項1から7のいずれか1項に記載の配管部材。
前記平面視において、前記張出し面の前記内壁側の基端及び前記中心軸を結ぶ直線と、前記制流面の前記内壁側の基端及び前記中心軸を結ぶ直線とのなす角度が、10度以上90度以下である、請求項7又は8に記載の配管部材。
前記一方の排水導入口を前記一方の継手管部の開口端の径方向に垂直な方向に投影した場合、前記一方の排水導入口の投影が前記他方の排水導入口に重ならないように、前記一対の排水導入口が配置されている、請求項1から9のいずれか1項に記載の配管部材。
前記一方の排水導入口を前記一方の継手管部の開口端の径方向に垂直な方向に投影した場合、前記一方の排水導入口の投影が前記他方の排水導入口に一部重なるように、前記一対の排水導入口が形成されている、請求項7から9のいずれか1項に記載の配管部材。
前記管本体部の内壁面の前記制流リブの上流側に突設され、かつ前記一方の排水導入口から前記他方の排水導入口に向かう排水流を補助的に規制する補助制流面及び前記管本体部内部へ張出する張出し面の少なくとも一方を有する補助リブを含む場合、
前記平面視において、前記排水導入口の端縁及び前記中心軸を結ぶ直線と、前記補助リブの前記張出し面の前記内壁面側の基端及び前記中心軸を結ぶ直線とのなす角度が、90度以下である、請求項2から13のいずれか1項に記載の配管部材。
前記管本体部の内壁面の前記制流リブの上流側に突設され、かつ前記一方の排水導入口から前記他方の排水導入口に向かう排水流を補助的に規制する補助制流面及び前記管本体部内部へ張出する張出し面の少なくとも一方を有する補助リブを含む場合、
前記補助リブは、前記制流面と前記張出し面とが前記平面視において対向する断面矩形状である、請求項2から14のいずれか1項に記載の配管部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に、同じ階にある、各水まわり器具から排水縦管に向かう各横枝管は、当該階の床レベル、あるいは床下レベルに配設されている。つまり、高さ方向の横枝管の配置の自由度がほとんど無い。このため、各横枝管は、ほぼ同じ高さで排水縦管に接続される。例えば、排水縦管に対して、一対の横枝管の接続方向が互いに180°をなすように接続される場合、例えば大便器から、勢いが強い水洗時の水流に乗って、一方の横枝管内を流れてくる汚物等が排水縦管に到達した後、慣性力によって他方の横枝管内に逆流することがある。
【0008】
各横枝管が、配管部材を介して排水縦管に接続されている場合、排水は、横枝管内を、配管部材へ向かって通流する。横枝管は、配管部材の幅に比べてはるかに長い。そのため、排水は、通流による慣性力により、配管部材内に導入された後も、横枝管の接続方向に直進しようとする。特に、大便器系統の排水(汚水)は勢いが大きく、しかも固形物(汚物)が重いため、配管部材内で大きく落下することなく対向方向へ直進しやすい。
以上のことが、横枝管の詰まりおよび異臭の発生原因となっていた。
【0009】
このような問題を回避するため、特許文献2の配管部材では、エルボを使用している。具体的には、大便器からの排水が配管部材の管本体に流入する方向と、エルボを介して他の水まわり器具からの排水が当該管本体に流入する方向とが互いに直交するように配管部材を構成することにより、上述の問題を回避している。
【0010】
しかしながら、特許文献2の配管部材では、エルボを使用している分だけ、配管部材の正面視における幅方向寸法が長くなる。一方、配管部材が配設されるパイプシャフトは、各階のスペース効率を最大限に高めるためにコンパクトに設計されている。このため、エルボを使用した配管部材がパイプシャフトに収まらないという別の問題があった。
【0011】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、大便器等からの横枝管を接続しても、これに対向する他の横枝管に詰まりなどの問題が生じにくく、かつ、正面視における幅方向寸法を短くし、パイプシャフトに対してコンパクトに収めることのできる配管部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)
一局面に従う配管部材は、上下方向に配設された排水縦管に接続されるものである。本発明の配管部材は、上下方向に延在する管本体部と、管本体部の対向する内壁面それぞれに開口する一対の排水導入口と、一対の排水導入口の一方に連通する一方の継手管部及び他方に連通する他方の継手管部からなる一対の継手管部と、一方の継手管部の開口端に設けられた一方の横枝管接続部及び他方の継手管部の開口端に設けられた他方の横枝管接続部とを含む。さらに、管本体部の中心軸の方向から見た平面視において、一対の排水導入口の開口中心同士を結ぶ直線が、一方の継手管部の開口端における径方向に垂直な直線と他方の継手管部の開口端における径方向に垂直な直線とのいずれにも交差するように、一対の排水導入口及び一対の継手管部が設けられている。
【0013】
すなわち、一局面に従う配管部材は、上下方向に延び、側方の内壁面に開口する一対の排水導入口が対向して形成された管本体部と、一対の排水導入口から突設された一対の継手管部とを備えており、一対の継手管部の開口端には、一対の横枝管が互いに平行に接続される横枝管接続部が形成されており、一対の排水導入口の対向方向は、横枝管の接続方向に対して非平行である。
【0014】
ここで、「排水導入口」は、配管部材に接続された横枝管から配管部材の継手管部に流入した排水を、管本体部内に導入する機能を有するものであり、管本体部において、継手管部との境界に設けられた開口部である。
「横枝管接続部」は、継手管部に横枝管を接続する機能を有するものであり、継手管部の一部をなし且つ継手管部の開口端を含む構造である。
なお、給排水に係る建築業界においては、洗面系統又は風呂系統等の排水を「雑排水」と呼称し、便器系統を「汚水」と呼称する場合がある。本発明において、「排水」は、上記「雑排水」及び「汚水」の両方を含む。それらに加え、排水は「雨水」も含む。
【0015】
本発明の配管部材においては、一対の排水導入口の開口中心同士を結ぶ直線が、継手管部の開口端の径方向に垂直な直線と交差するように、一対の排水導入口及び一対の継手管部が設けられている。これにより、一方の排水導入口から導入された排水の少なくとも一部は、他方の排水導入口から外れることになる。したがって、一方の横枝管から他方の横枝管に流入する排水の量を減少させることができる。
【0016】
また、本発明の配管部材は、正面視における幅寸法を長くし過ぎないことができる。すなわち、本発明の配管部材は、パイプシャフトに対してコンパクトに収められることができる。例えば、上述した、従来のエルボ付き配管部材のように、一方の横枝管を管本体部の中心から大きく離して接続する必要がなくなる。
【0017】
(2)
一対の排水導入口は、平面視において、管本体部の中心軸に対し互いに点対称となるように位置していてよく、且つ、一対の継手管部それぞれの開口端の径方向に垂直な直線の方向は互いに平行であってよい。
このように、従来的に一方の横枝管から他方の横枝管に最も流入しやすい一対の排水導入口の位置関係が許容される。
【0018】
(3)
一方の継手管部の開口端中心及び他方の継手管部の開口端中心を結ぶ直線と、開口端の径方向に垂直な直線とが、平面視において一直線となるように、一対の継手管部が配置されてよい。
これによって、一方及び他方の横枝管接続部に接続されるそれぞれの横枝管の中心軸が平面視において一致するため、一方の横枝管と他方の横枝管とが平面視において一直線となるように配置することができる。
【0019】
(4)
また、一対の継手管部それぞれの内壁は、継手管部の開口端をその径方向に垂直な方向へ投影した場合に開口端の投影を遮るように設けられた傾斜面を有してよい。この場合、一対の傾斜面は、平面視において、管本体部の中心軸に対して互いに点対称となるように位置する。
【0020】
すなわち、一対の継手管部の内側に、管本体部の内面に沿う方向に傾斜する傾斜面をそれぞれ設け、これら一対の傾斜面を、平面視において、管本体部の中心軸を中心として互いに点対称となる位置に配置してもよい。
【0021】
一方の排水導入口は、他方の継手管部の開口端中心を通り且つその径方向に垂直な直線に対し、他方の排水導入口が形成されている側とは反対側にずれた位置に形成されている。他方の継手管部に流れ込んできた排水の内、傾斜面に衝突しないものは、おおよそ、開口端の径方向に垂直な方向に進む傾向にある。また、傾斜面に衝突したものは、一方の排水導入口から離れる方向に進む傾向にある。したがって、継手管部に流れ込んできた排水は、開口端の径方向に垂直な方向から対向する排水導入口の位置とは反対側にずれ、管本体部の内面に沿った周方向の流れ(旋回流)となって管本体部を進む。これにより、一方の横枝管から他方の横枝管への排水の流入を効果的に回避することができる。
なお、本明細書において「衝突」とは、排水の流れが変わる程度の力で、排水が面に突き当ることをいう。
【0022】
(5)
管本体部の内壁面に、一方の排水導入口から他方の排水導入口に向かう排水流を規制するための制流リブを突設してもよい。制流リブは、一方の排水導入口から他方の排水導入口に向かう排水流を規制する制流面、及び管本体部内部へ張出する張出し面の少なくとも一方を有する。
【0023】
制流リブが有する制流面は、一方の排水導入口から導入された排水を衝突させることによって、排水流の方向を変更することができる。このような制流リブを設けることにより、一方の排水導入口から導入された排水が他方の排水導入口から横枝管に流入するおそれをさらに低減することができる。
【0024】
(6)
制流リブの形状は、断面矩形状であってよい。矩形状リブにおいては、制流面と張出し面とが平面視において対向する。矩形状リブの制流面は、平面視において、継手管部の開口端の径方向に対して任意の角度をとり得る。たとえば、制流面は、継手管部の開口端の径方向に垂直な方向に対して0度以上90度以下となるように設けられてよい。
【0025】
矩形状リブは、一方の排水導入口からの排水を制流面に衝突させて、排水流の方向を切り返す。これによって、他方の排水導入口から横枝管への排水の流入を効率よく遮ることができる。
【0026】
(7)
制流リブの形状は、断面山形状であってよい。山形状リブは、制流面と張出し面とが平面視において非平行であるため、両面の交差稜は一定の角度をなす。山形状リブは、平面視において、制流面が、継手管部の開口端の径方向に垂直な方向に対し直角になるように設けられてよい。
【0027】
山形状リブは、一方の排水導入口から導入された排水を、他方の排水導入口から離れた位置(すなわち、他方の排水導入口から、上述の横枝管の接続方向に、山形状リブの張出し量だけ離れた位置)で制流面に衝突させることにより、当該離れた位置で排水流の方向を変更する。これによって、他方の排水導入口から横枝管への流入を効率よく遮ることができる。
【0028】
(8)
制流リブが突設される位置は、平面視において、排水導入口の端縁及び管本体部中心軸を結ぶ直線と、張出し面の管本体内壁側の基端及び管本体部中心軸を結ぶ直線とのなす角度が、60度以下となる位置であってよい。
【0029】
このように、排水導入口の端縁又はその付近の位置に制流リブが設けられることによって、一方の排水導入口から導入された排水が他方の排水導入口から横枝管に流入するおそれをさらに低減することができる。
【0030】
(9)
制流リブの張出しの程度は、平面視において、張出し面の管本体部内壁側の基端及び管本体部中心軸を結ぶ直線と、制流面の管本体部内壁側の基端及び管本体部中心軸を結ぶ直線とのなす角度が、10度以上90度以下となる程度であってよい。
【0031】
このように、特定の張出し量を有する制流リブによって、管本体部軸方向上方からの通流と横枝管からの通流との干渉を防止しつつ、一方の排水導入口から導入された排水が他方の排水導入口から横枝管に流入するおそれをさらに低減することができる。
【0032】
(10)
さらに、制流リブの有無に関係なく、一方の排水導入口を一方の継手管部開口端の径方向に垂直な方向に投影した場合に、一方の排水導入口の投影が他方の排水導入口に重ならないように、一対の排水導入口が配置されてよい。
【0033】
一対の排水導入口をこのように配置することにより、一方の排水導入口から管本体部に導入された排水が他方の排水導入口に入ることを効果的に回避することができる。
【0034】
(11)
制流リブを設ける態様においては、一方の排水導入口を一方の継手管部の開口端の径方向に垂直な方向に投影した場合に、一方の排水導入口の投影が他方の排水導入口に一部重なるように、一対の排水導入口を形成してもよい。
【0035】
このような排水導入口の位置関係は、従来的には、上記(10)の態様における排水導入口の位置関係に比べて一方の排水導入口に導入された排水が他方の排水導入口に入る可能性が高まることに影響するが、制流リブを設けることで、その影響を緩和することができる。
さらに、排水導入口をこのような位置関係にすることによって、パイプシャフトに対して配管部品をよりコンパクトに収めることができる。
【0036】
(12)
一対の排水導入口の位置関係を上記(11)のようにしたことに伴い、制流リブの制流面と張出し面との交差稜の角度が鋭角であってよい。
これによって、一方の排水導入口から導入された排水が他方の排水導入口から横枝管に流入するおそれをさらに低減することができる。
【0037】
(13)
さらに、平面視において、交差稜が少なくとも継手管部の開口中心及び中心軸を結ぶ直線まで延出してよい。
これによって、一方の排水導入口から管本体部に流入した排水が、他方の排水導入口から横枝管に侵入することを効果的に回避することができる。
【0038】
(14)
さらに、管本体部の内壁面において、制流リブの上流側に、補助リブがさらに突設されていてよい。補助リブは、一方の排水導入口から他方の排水導入口に向かう排水流を補助的に規制する補助制流面と、管本体部内部へ張出する張出し面との少なくとも一方を有する。
これによって、一方の排水導入口から他方の排水導入口に向かう排水流を、上流側で補助リブによって予め補助的に規制し、その後さらに制流リブで規制するため、一方の排水導入口から管本体部に流入した排水が、他方の排水導入口から横枝管に進入することをより効果的に回避することができる。
【0039】
(15)
補助リブは、平面視において、排水導入口の端縁及び中心軸を結ぶ直線と、補助リブの張出し面の内壁面側の基端及び中心軸を結ぶ直線とのなす角度が、90度以下となるように形成されてよい。
これによって、制流リブと補助リブとをそれぞれ効率よく機能させることができるため、一方の排水導入口から管本体部に流入した排水が、他方の排水導入口から横枝管に進入することをより効果的に回避することができる。
【0040】
(16)
補助リブは、制流面と張出し面とが平面視において対向する断面矩形状であってよい。
これによって、管本体部軸方向上方からの通流との干渉を抑えつつ、制流補助機能を確保することができる。従って、管本体部軸方向上方からの通流との干渉を抑えつつ、一方の排水導入口から管本体部に流入した排水が、他方の排水導入口から横枝管に進入することをより効果的に回避することができる。
【0041】
(17)
他の局面に従う配管システムは、上記一の局面に従う配管部材を含む。
本発明の配管システムにより、横枝管からの排水をまとめて上下方向に配設された排水縦管へ通流させる際に、一方の横枝管から導入された排水が、対向する他方の横枝管へ流入することを防止し、または流入する排水量を大幅に減少させることができる。
【発明の効果】
【0042】
この発明によれば、大便器等からの横枝管を接続しても、これに対向する他の横枝管に詰まりなどの問題が生じにくく、かつ、正面視における幅方向寸法を短くし、パイプシャフトに対してコンパクトに収めることのできる配管部材を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
[第1実施形態]
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本実施形態に係る配管部材10を使用する態様について説明を行う。
図1は、マンション等の複数の階を有する建築物における配管システムXの一例を示す概念図である。
【0045】
(配管システムX)
図1に示すように、配管システムXは、配管部材10、横枝管180、水まわり器具A、及び排水縦管200を含む。
図1の配管システムXは、床スラブ上配管方式の一例であり、マンションの3階分を図示している。例えば、各部屋に、配管部材10、横枝管180、及び水まわり器具Aが配設されている。
【0046】
図1に示すように、配管部材10の側部には横枝管180が接続されており、配管部材10の上端及び下端には、排水縦管200がそれぞれ接続される。
従って、水まわり器具Aからの排水は、横枝管180を介して配管部材10に流される。
【0047】
すなわち、
図1の配管システムXにおいて、配管部材10は、複数の階を有する建築物において、各階に設置された複数の水まわり器具Aからの排水を集合させる役割を有し、排水縦管200は、配管部材10により集合させた排水をまとめて下方向へ通流させる役割を有する。
【0048】
(配管部材10)
次に、配管部材10の詳細について説明を行う。
図2から
図4は、本実施形態に係る配管部材10の一例を示す模式図である。
【0049】
図2は、第1の実施形態に係る配管部材の一例を示す模式的正面図である。
図3は、第1の本実施形態に係る配管部材の一例を示す模式的一部切り欠き側断面図である。
図4は、
図3の実施形態に係る配管部材のA−A線横断面の一例を含む模式図である。なお、
図4においては、配管部材に横枝管が接続された態様を模式的に示している。
【0050】
(管本体部120)
図2及び
図3に示すように、配管部材10は、建築物において排水縦管200(
図1参照)に取り付けた状態で上下方向に延在する管状の管本体部120を有する。
【0051】
図2に示すように、管本体部120は、上部側に大径の胴体部121を有し、下部側に縮径するテーパ部122を有する。テーパ部122の内壁124(
図3参照)には、旋回羽根220を有する。
【0052】
また、
図2及び
図3に示すように、配管部材10は、管本体部120の上端に排水縦管200が接続されるべき上部接続部130を有し、管本体部120の下端に排水縦管200が接続されるべき下部接続部150を有する。
【0053】
また、
図3に示すように、配管部材10の管本体部120における胴体部121の両側壁には、それぞれ、水まわり器具用の横枝管180(
図1参照)が接続されるべき横枝管接続部240を有する継手管部140が連設される。
【0054】
なお、水まわり器具A用の横枝管180(
図1参照)は、互いに略同高さにおいて配管部材10に接続される。すなわち、横枝管180の管底が床スラブに対して略同じ高さで接続される。具体的に、横枝管180の勾配を確保するため、配管部材10近傍ではなるべく、床スラブを這うように横枝管180が配管される。したがって、横枝管180の軸芯高さは口径が小さい方が床スラブに近く(低く)設けることができ、省スペース化が実現できるので好ましい。
【0055】
管本体部120の胴体部121には、
図4に示すように、排水導入口160及び継手管部140が形成されている。継手管部140には、横枝管接続部240が形成されている。
図4に示す配管部材の横断面は、中心軸Pに対して点対称の形状である。従って、
図4においては、点対称形であることにより同じ形状及び機能を有する一対の構造について、片方の構造の符号の記載を省略しているものがある(以下、
図5〜15においても同様)。
また、以下における説明の都合上、中心軸Pの方向に横断面を見ることを平面視と記載する。さらに、配管部材10に排水を流入させる横枝管180が接続される側を上流側、配管部材10内で排水集合の中心となる中心軸Pの側を下流側と記載する。
【0056】
(排水導入口160及び継手管部140)
管本体部120の胴体部121の対向する内壁面には、一対の排水導入口160が開口して設けられている。排水導入口160は、一方の端縁161と他方の端縁162とを有する。一対の排水導入口160は、管本体部120の中心軸Pに対し互いに点対称となるように配設されている。
【0057】
一対の排水導入口160の一方及び他方それぞれには、継手管部140が連通している。ここで、各排水導入口160の中心同士を結んだ直線をL1(
図4参照)で表す。以下、この直線L1の方向を、排水導入口160の対向方向L1と記載する。また、継手管部140の開口端241(後述)における径方向に垂直な直線であって、当該開口端241の中心を通る直線をL2で表す。本実施形態において、直線L2は、横枝管接続部240の中心軸及び横枝管180の中心軸と一致する。以下、この直線L2の方向を、横枝管180の接続方向L2と記載する。
【0058】
管本体部120の中心軸Pの方向から見た平面視において、これら一対の排水導入口160の対向方向L1が、各水まわり器具A(
図1参照)から継手管部140に接続される横枝管180の接続方向L2と交差するように、一対の排水導入口160及び一対の継手管部140が設けられている。すなわち、排水導入口160の対向方向L1と横枝管180の接続方向L2とが、平面視で互いに非平行となるように設定されている。従って、排水導入口160の対向方向L1は、横枝管180の接続方向L2に対して傾いた状態となっている。
【0059】
さらに、本実施形態では、一方の排水導入口160を横枝管180の接続方向L2の上流側から下流側へ投影した場合、当該一方の排水導入口160の投影が他方の排水導入口160に重ならないように、一対の排水導入口160が形成されている。
【0060】
継手管部140は、一対の排水導入口160からそれぞれ外側に膨出するように湾曲形成された、中心軸Pに対して点対称の変形管状を有している。継手管部140の内壁は、排水導入口160の端縁162を基端とする、外側に膨出するように湾曲した内壁141と、排水導入口160の端縁161を基端とする傾斜面260(後述)とを有する。これら内壁141と傾斜面260とを含む内壁に囲まれた継手管部140の内部には、横枝管180からの排水Wが通流する流路300が形成されている。これによって、継手管部140の内部には、湾曲した流路300が形成されている。流路300は、配管部材10の試験のために用いるテストボール等の通りやすさの観点からは、幅が広いほど好ましい。
【0061】
(横枝管接続部240)
一対の継手管部140のそれぞれには、排水導入口160とは反対側の端部に、横枝管接続部240が形成される。横枝管接続部240は、
図2から
図4に示すように、水まわり器具A(
図1参照)からの横枝管180が水平方向に接続可能となるように形成される。具体的には、横枝管接続部240は、断面の相違する複数の環状体から主になっており、開口端241及び当接部242,243を有する。当接部242,243は、横枝管180の端部を当接させるように(後述)形成されている。より具体的には、当接部242は継手管部140の内壁141側において、流路300側に向けて突設され、当接部243は傾斜面260側に設けられる。
【0062】
本実施形態においては、一方の継手管部140の開口端241中心と、他方の継手管部140の開口端241中心とを結ぶ直線は、横枝管180の接続方向を示す直線L2と一致して一直線となる。このことにより、それぞれの横枝管接続部240に接続される一対の横枝管180の接続方向L2が平面視において一直線となるような位置および向きに配設される。なお、本実施形態においては、一対の横枝管180の接続方向が平面視において一直線となっているが、厳密に一直線であることに限定されず、若干のずれ(例えば一方の開口端241の径方向に垂直な直線と、他方の開口端241の径方向に垂直な直線とが、0度超60度以下の角度をなすこと、又は、当該両直線が平行且つ離間していること)も許容する。本発明の配管部材10を用いた配管システムX(
図1参照)の設計及び施工上の観点から、一対の横枝管180それぞれにおける接続方向のずれが少ないほど好ましい。
【0063】
(傾斜面260)
傾斜面260は、継手管部140の開口端241を直線L2の上流側から下流側の方向へ投影した場合に、当該開口端241の投影を遮るように(
図2参照)形成されている。すなわち、傾斜面260は、横枝管180から配管部材10内に流入する排水の方向を変化させるように設けられる。具体的には、
図4に示すように、傾斜面260は、上流側が横枝管接続部240に連設され、継手管部140の内壁141の膨出方向と並行に傾斜することにより、下流側端縁が直線L2(横枝管接続部240の中心軸)に達するように延在している。当該下流側端縁には、排水導入口160の一方の端縁161が配設される。さらに、端縁161から、中心軸Pにおいて中心角180度未満となる位置に排水導入口160の他方の端縁162が配設される。端縁162は、排水導入口160が内壁141の膨出方向に沿って形成されるように位置する。これによって、横枝管180から継手管部140に流入した排水は、
図4中破線矢印Wで示されるように、傾斜面260に衝突して傾斜方向へ流れの向きが変えられ、さらに継手管部140の内壁141に沿って湾曲した流れを生じつつ、排水導入口160から管本体部120内部へ導入される。
また、
図4に示すように、一対の傾斜面260は、平面視において、管本体部120の中心軸Pに対し互いに点対称となる位置に配設されている。
【0064】
なお、管本体部120と継手管部140とは、別々に形成してもよいし、一体に形成してもよい。また、管本体部120および継手管部140の材質は特に限定されるものではなく、例えば、鋳鉄その他の金属、及び硬質塩化ビニルその他の樹脂等が挙げられる。樹脂は、モルタルで被覆されたものであってもよい。
【0065】
(配管部材と排水縦管との接続)
配管部材10の管本体部120の上部接続部130では、排水縦管200(
図1参照)の端部が上部支持部131にパッキン等を介する等して当接して支持される。また、排水縦管200の外周と上部接続部130の内周との間にゴムパッキン等を介在させることにより、排水縦管200と上部接続部130とが水密に嵌合されることにより接続される。
【0066】
同様に、下部接続部150では、排水縦管200(
図1参照)の端部が下部支持部151にパッキン等を介する等して当接して支持される。また、排水縦管200の外周と下部接続部150の内周との間にゴムパッキン等を介在させてフランジ同士をネジ締結することにより排水縦管200と下部接続部150とが水密に嵌合されることにより接続される。
【0067】
(配管部材と横枝管との接続)
配管部材10の管本体部120の横枝管接続部240では、
図4に示すように、横枝管180の端部が当接部242,243に当接する。また、横枝管180の外周と横枝管接続部240の内周との間にゴムパッキン等(図示せず)を介在させてフランジ同士をネジ締結することにより横枝管180と横枝管接続部240とが水密に嵌合されることにより接続される。
【0068】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態に係る配管部材10aの模式的横断面図である。
図5は、
図4に対応するものであるが、横枝管180及び横枝管接続部240における当接部242,243の記載は省略している。第2実施形態においては、第1実施形態と異なる点について説明し、同一点については説明を省略する。
【0069】
(配管部材10a)
図5は、第1実施形態の他の例である配管部材10aの模式的横断面図である。
図5に示すように、配管部材10aは、制流リブ280aがさらに設けられたものである。
【0070】
(制流リブ280a)
制流リブ280aは、管本体部120の内壁面において、排水導入口160の端縁161に突設される。また、制流リブ280aは、中心軸Pを中心として上部支持部131(
図3参照)の内径よりも外側の領域内に配設される。その結果、当該排水流と、排水縦管200(
図1参照)からの排水流との干渉を回避することができる。
【0071】
制流リブ280aは、一方の排水導入口160から他方の排水導入口160に向かう排水流を規制する形状で設けられる。
図5に示すように、制流リブ280aは、制流面281a及び張出し面282aを有し、それら制流面281a及び張出し面282aが平面視において対向する断面矩形状である。
制流面281aは、一方の排水導入口160から他方の排水導入口160に向かう排水流を規制するように形成される。より具体的には、制流面281aは、直線L2の近傍において、直線L2に平行となるように設けられる。これにより、制流面281aは、一方の排水導入口160からの排水を衝突させ、中心軸Pの方向へ排水流を切り返すことによって、対向する他方の排水導入口160及びそれに連設された継手管部140を介して横枝管180(
図4参照)へ排水が飛び込むことを防止することができる。
【0072】
一方張出し面282aは、排水導入口160の端縁161を基端として管本体部120の内部に張出すように設けられている。これにより、排水の飛び込みを防止すべき排水導入口160に最も近い位置に制流リブ280aが配置される。従って、上述の制流面281aによる排水の飛び込み防止効果を効率的に得ることができる。
【0073】
[第3実施形態]
図6は、第3実施形態に係る配管部材10bの模式的横断面図である。
図6は、
図4に対応するものであるが、横枝管180及び横枝管接続部240における当接部242,243の記載は省略している。第3実施形態においては、第2実施形態と異なる点について説明し、同一点については説明を省略する。
【0074】
継手管部140bの開口端241bにおける径方向に垂直な直線であって、当該開口端241bの中心を通る直線をL3で表す。直線L3は、横枝管接続部240bの中心軸及び横枝管180の中心軸と一致するものでもある。それぞれの直線L3は、互いに平行である。以下、この直線L3の方向を、横枝管の接続方向L3と記載する。
【0075】
図6に示すように、第3実施形態に係る配管部材10bは、横枝管の接続方向L3が、平面視において一直線とならないように、継手管部140bおよびその横枝管接続部240bの位置が設定されているものである。さらに、制流リブ280bが、排水導入口160の端縁161から張出す位置ではなく、当該端縁161bと点対称にある端縁161bを含む排水導入口160bからの排水流の上流側へ、内壁面に沿って移動させた位置に設けられる。
【0076】
制流リブ280bは、平面視において、排水導入口160bの端縁161b及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線と、張出し面282bの管本体内壁側の基端283b及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線とが、角度θ1をなすように配設されている。
図6の例においては、制流リブ280bは、角度θ1が60度以下となるように設けられている。制流リブ280bは、角度θ1が小さいほど、排水の飛び込みを防止すべき排水導入口160bの端縁161bに近い場所に位置する。従って、一方の排水導入口160bからの排水が、対向する他方の排水導入口160b及びそれに連設された継手管部140bを介して横枝管180(
図4参照)へ飛び込むことを防止する観点からは、角度θ1が小さいほど好ましい。
【0077】
[他の例]
以下、
図7〜
図14を参照し、第2実施形態に係る配管部材10aの他の例について説明する。
図7〜
図14は、第2実施形態に係る配管部材10aの他の例を示す模式的横断面図である。
図7〜
図14は、いずれも
図4に対応するものであるが、横枝管180及び横枝管接続部240における当接部242,243の記載は省略している。他の例においては、第2実施形態と異なる点について説明し、同一点については説明を省略する。
【0078】
(配管部材10c)
図7は、第2実施形態の他の例である配管部材10cの模式的横断面図である。
図7に示すように、配管部材10cは、制流リブ280cが、排水導入口160の端縁161から張出す位置ではなく、当該端縁161cと点対称にある端縁161cを含む排水導入口160cからの排水流の上流側へ、内壁面に沿って移動させた位置に設けられる。さらに、配管部材10cは、排水導入口160の一方の端縁161から、中心軸Pにおいて中心角180度未満となる位置に他方の端縁162が設けられるのではなく、排水導入口160cの一方の端縁161cから、中心軸Pにおいて中心角約90度となる位置に他方の端縁162cが設けられる。
【0079】
制流リブ280cは、平面視において、排水導入口160cの端縁161c及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線と、張出し面282cの管本体内壁側の基端283c及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線とが、角度θ1をなすように配設されている。
図7の例においては、制流リブ280cは、角度θ1が60度以下となるように設けられている。従って、一方の排水導入口160cからの排水が、対向する他方の排水導入口160c及びそれに連設された継手管部140cを介して横枝管180(
図4参照)へ飛び込むことを防止する効果は、上述の配管部材10bと同等である。
【0080】
(配管部材10d)
図8は、第2実施形態の他の例である配管部材10dの模式的横断面図である。
図8に示すように、配管部材10dは、制流リブ280dが、排水導入口160の端縁161から張出す位置ではなく、当該端縁161dと点対称にある端縁161dを含む排水導入口160dからの排水流のより上流側へ、内壁面に沿って移動させた位置に設けられる。
図8の例においては、制流リブ280dは、排水導入口160dの端縁161d及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線と、張出し面282dの管本体内壁側の基端283d及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線とがなす角度θ1が、60度を超えるように設けられている。
【0081】
(配管部材10e)
図9は、第2実施形態の他の例である配管部材10eの模式的横断面図である。
図9に示すように、配管部材10eは、制流リブ280eが、断面山形状に形成されたものである。
【0082】
制流リブ280eは、排水導入口160eの端縁161eに設けられる。制流面281e及び張出し面282eが平面視において非平行であることにより、両面の交差稜285eが角度θ3をなしている。
図9の例においては、制流リブ280eは、角度θ3が直角である。制流リブ280eの制流面281eは、直線L2に対して直角となるように設けられている。張出し面282eは、排水導入口160eの端縁161eを基端283eとして管本体部120内部へ張出すように設けられている。制流リブ280eがこのような断面山形状であることは、金型を用いて配管部材を成形する場合における成形容易性の点で好ましい。
【0083】
直線L2に対して直角となるように設けられた制流面281eは、一方の排水導入口160eから導入された排水を衝突させる。これにより、排水流の方向を変更する。一方、張出し面282eは、制流リブ280eを内部へ張出させる。これにより、排水流の方向を変更する制流面281eを、排水の飛び込みを防止すべき他方の排水導入口160eから遠ざける。従って、一方の排水導入口160eから導入された排水が対向する他方の排水導入口160e及びそれに連設された継手管部140eを介して横枝管180(
図4参照)へ飛び込むことを防止することができる。
【0084】
さらに、制流リブ280eは、平面視において、張出し面282eの基端283e(端縁161eと同じ)及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線と、制流面281eの基端284e及び中心軸Pを結ぶ直線とが、角度θ2をなすように配設されている。制流リブ280eは、角度θ2が、10度以上90度以下となるように設けられている。本実施形態では、角度θ2が大きいほど、制流リブ280eの張出し量が大きくなる。それに伴い、制流面281eが、排水の飛び込みを防止すべき排水導入口160eから遠ざかり、中心軸Pに近づく。つまり、角度θ2が大きいほど、一方の排水導入口160eからより遠く且つ中心軸Pにより近い場所で排水流の方向が変更される。従って、一方の排水導入口160eから対向する他方の排水導入口160eへの排水の飛び込み防止の観点からは、角度θ2が大きいほど好ましい。さらに、一方の排水導入口160eから対向する他方の排水導入口160eに向かう排水流と、排水縦管200(
図1参照)からの排水流との干渉を回避する観点も併せて考慮すると、角度θ2は、10度以上45度以下であることがより好ましい。
【0085】
(配管部材10f)
図10は、第2実施形態の他の例である配管部材10fの模式的横断面図である。
図10に示すように、配管部材10fは、制流リブ280fの張出し面282fが排水導入口160fの端縁161fから管本体部120の内壁面の周方向に離れた位置に設けられたものである。
【0086】
制流リブ280fは、平面視において、排水導入口160fの端縁161f及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線と、張出し面282fの管本体内壁側の基端283f及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線とが、角度θ1をなすように配設されている。
図10の例においては、制流リブ280fは、角度θ1が60度以下となるように設けられている。また、張出し面282fの基端283f及び中心軸Pを結ぶ直線と、制流面281fの基端284f及び中心軸Pを結ぶ直線とが、角度θ2をなすように設けられている。
図10の例においては、制流リブ280fは、角度θ2が10度以上90度以下となるように設けられている。
【0087】
(配管部材10g)
図11は、第2実施形態の他の例である配管部材10gの模式的横断面図である。
図11に示すように、配管部材10gは、直線L2(横枝管接続部240の中心軸)上に排水導入口160の端縁161が配設されるのではなく、端縁161gと点対称にある端縁161gを含む排水導入口160gからの排水流の上流側へ内壁面に沿って移動させた位置に、端縁161gが配設される。従って、一方の排水導入口160gを直線L2の当該上流側から下流側の方向に投影した場合に、当該一方の排水導入口160gの投影(以下、直線L2方向の投影と記載する。)が他方の排水導入口160gに一部重なる。この結果、配管部材10gは、配管部材10よりも、継手管部140gの膨出量が少なくなるように形成できる。
【0088】
一方、一方の排水導入口160gから導入された排水が対向する他方の排水導入口160gへ飛び込むことを防止する観点からは、一方の排水導入口160gの直線L2方向の投影と他方の排水導入口160gとの重なりがない方が好ましい。
【0089】
ここで、本実施形態においては、制流リブ280gは、排水導入口160gの端縁161gに設けられている。また、制流リブ280gは、張出し面282gの基端283g及び中心軸Pを結ぶ直線と、制流面281gの基端284g及び中心軸Pを結ぶ直線とがなす角度θ2が、10度以上90度以下となるように設けられている。さらに、制流面281g及び張出し面282gは、それらの交差稜285gがなす角度θ3が鋭角となるように形成されている。本実施形態では、角度θ3が鋭角であることにより、交差稜285gが直線L2(横枝管接続部240の中心軸)まで達している。これによって、角度θ3が鋭角より小さい場合に比べて、角度θ2の割に制流面281gの面積が大きくなるように形成される。従って、排水導入口160gから管本体部120内に導入された排水の方向を効果的に変更することができる。
【0090】
さらに、張出し面282gと傾斜面260とは面一に形成されている。つまり、管本体部120内部において、傾斜面260が張出し面282gによって延長される。これによって、張出し面282gも、傾斜面260の機能(横枝管180(
図4参照)から配管部材10g内に流入する排水の方向を変更する機能)を担う。従って、横枝管180(
図4参照)から配管部材10g内に流入する排水の方向を効果的に変更することができる。
【0091】
以上より、配管部材10gは、一方の排水導入口160gの直線L2方向の投影と他方の排水導入口160gとが一部重なるにも拘らず、制流リブ280gによって、一方の排水導入口160gから対向する他方の排水導入口160gへの排水の飛び込みを効果的に防止することができる。
さらに、継手管部140gの膨出量が少ないため、一方の継手管部140gの最外表面から他方の継手管部140gの最外表面までの距離、すなわち正面視における幅寸法(
図2参照)が小さい。従って、パイプシャフト内における配管部材10gの省スペース化が実現される。
【0092】
(配管部材10h)
図12は、第2実施形態の他の例である配管部材10hの模式的横断面図である。
図12が示すように、配管部材10hは、制流リブ280hの、制流面281h及び張出し面282hの交差稜285hがなす角度θ3が直角となるように形成されたものである。
【0093】
(配管部材10i)
図13は、第2実施形態の他の例である配管部材10iの模式的横断面図である。
図13が示すように、配管部材10iは、制流リブ280iの制流面281i及び張出し面282iがなす交差稜285iの部分に、凸部286iがさらに突設されたものである。
【0094】
凸部286iは、断面矩形状である。制流面281iは、直線L2に対して直角をなすように設けられており、凸部286iは、制流面281iから、管本体部120の中心軸Pの方向へ直角に突出するように形成されている。これによって、一方の排水導入口160iから導入され制流面281iへの衝突によって流れが変更された排水が、さらに凸部286iに衝突することによって、中心軸Pの方向へ切り返される。従って、対向する他方の排水導入口160iに排水が飛び込むことをより効果的に防止することができる。
【0095】
(配管部材10j)
図14は、第2実施形態の他の例である配管部材10jの模式的横断面図である。
図14が示すように、配管部材10jは、制流リブ280jの制流面281jが湾曲し、さらに、制流リブ280jの先端に鉤状部287jが形成されたものである。
【0096】
制流リブ280jは、制流面281jが中心軸Pと反対側の方向に凹となるように湾曲している。鉤状部287jは、先端が管本体部120の中心軸Pの方向へ向いており、且つ、凹状の制流面281jと面一となるように形成されている。これによって、一方の排水導入口160jから導入され制流面281jへ衝突した排水は、制流面281jの凹形状によって中心軸Pにより近い方向へ流れが変更される。さらに、排水は鉤状部287jに衝突することによって、中心軸Pの方向へ切り返される。従って、対向する他方の排水導入口160jに排水が飛び込むことをより効果的に防止することができる。
【0097】
(配管部材10k)
図15は、第2実施形態の他の例である配管部材10kの模式的横断面図である、
図15が示すように、配管部材10kは、制流リブ280kと補助リブ290とがさらに形成されたものである。
【0098】
(制流リブ280k)
制流リブ280kは、平面視において、排水導入口160kの端縁161k及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線と、張出し面282kの管本体内壁側の基端283k及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線とが、角度θ1をなすように配設されている。
図15の例においては、制流リブ280kは、角度θ1が60度以下となるように設けられている。また、張出し面282kの基端283k及び中心軸Pを結ぶ直線と、制流面281kの基端284k及び中心軸Pを結ぶ直線とが、角度θ2をなすように設けられている。
図15の例においては、制流リブ280kは、角度θ2が10度以上90度以下となるように設けられている。
【0099】
(補助リブ290)
補助リブ290は、管本体部120の内壁面において、制流リブ280kの上流に突設される。また、補助リブ290は、一方の排水導入口160kから他方の排水導入口160kに向かう排水流を補助的に規制するような形状で設けられる。
図15に示すように、補助リブ290は、補助制流面291及び張出し面292を有し、それら補助制流面291及び張出し面292が平面視において対向する断面矩形状である。
【0100】
補助制流面291は、一方の排水導入口160kから他方の排水導入口160kに向かう排水流を補助的に規制するように形成される。
より具体的には、補助制流面291は、直線L2に直角になるように設けられる。これにより、補助制流面291は、一方の排水導入口160kからの排水の少なくとも一部を衝突させ、中心軸Pの方向へ切り返し、又は制流リブ280kの制流面281kへ衝突する排水流を弱め、対向する他方の排水導入口160k及びそれに連設された継手管部140kを介して横枝管180(
図4参照)へ排水が飛び込むことを防止することができる。
【0101】
補助リブ290は、平面視において、排水導入口160kの端縁161k及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線と、張出し面292の管本体内壁側の基端293及び管本体部120の中心軸Pを結ぶ直線とが、角度θ1’をなすように配設されている。補助リブ290は制流リブ280kの上流側に配設されるため、補助リブに関する角度θ1’は、制流リブに関する角度θ1よりも大きい。
図15の例においては、補助リブ290は、角度θ1’が90度以下となるように配設される。
なお、
図15の例において、補助リブ290の補助制流面291は、平面視で直線L2に直角になるように設けられているが、この状態からさらに、排水導入口160kの一方側または他方側に45度以下の角度をなして傾くように設けられてもよい。
【0102】
なお、配管部材10では、テーパ部122の内壁124に、旋回羽根220を有している。しかしながら、本発明の配管部材は、旋回羽根220を有していなくてもよい。
また、配管部材10,10a,〜,10kでは、2本の横枝管180が接続されるようになっている。しかしながら、本発明の配管部材においては、横枝管180の接続本数はこれに限られず、継手管部140,140bの数を3本、4本、その他任意の数と増加させて、3本、4本、その他任意の数の横枝管180を接続させてもよい。
さらに、配管部材10bでは、傾斜面260bおよび制流リブ280bの両方が設けられている。しかしながら、本発明の配管部材は、傾斜面260bおよび制流リブ280bのいずれか一方のみが設けられていてもよい。
【0103】
[実施例]
以下、本発明に係る配管部材及び比較例となる配管部材を用いて実験を実施した。
図16(a)〜
図16(c)は、実験で用いた配管システムを示す模式図である。
【0104】
(実施例1)
実施例1においては、実施の形態において説明した配管部材10(縦管の呼び径100、横枝管の呼び径100)を用い、
図16(a)〜
図16(c)それぞれの配管システムa〜cに供した。
【0105】
図16(a)の配管システムaにおいて、配管部材10の横枝管接続部240Lに横枝管180Lを接続し、横枝管接続部240Rに水回り器具(大便器)A用の横枝管180Rを接続した。横枝管180Rは、L字状に屈曲した形状のもの(L字管)を用いて、その先端を大便器Aの下端に接続した。横枝管180Rの水平方向長さl
Rは1000ミリメートルとした。横枝管180Rの高さ方向の高さHは、160ミリメートルとした。横枝管接続部240Lに接続された横枝管180Lの水平方向長さl
Lは、600ミリメートルとした。
【0106】
図16(b)の配管システムbにおいて、配管部材10の横枝管接続部240Lに横枝管180Lを接続し、横枝管接続部240Rに大便器A用の横枝管180Rを接続した。横枝管180Rは、直線形状のものを用い、その先端を大便器Aの側部に接続した。横枝管180Rの水平方向長さl
Rは600ミリメートルとした。横枝管接続部240Lに接続された横枝管180Lの水平方向長さl
Lは、600ミリメートルとした。
【0107】
図16(c)の配管システムcにおいて、配管部材10の横枝管接続部240Lに横枝管180Lを接続し、横枝管接続部240Rに大便器A用の横枝管180Rを接続した。横枝管180Rは、2本のL字管が一体に連設された形状のものを用い、その先端を大便器Aの下端に接続した。横枝管180Rの水平方向長さl
Rは1000ミリメートルとした。横枝管180Rの高さ方向の高さH1は160ミリメートル、高さH2は400ミリメートルとした。
【0108】
図16(a)〜
図16(c)それぞれの配管システムa〜cにおいて、大便器Aから排水し、横枝管180Lから外部に流出した水の重量(飛び出し量)を測定した。測定はそれぞれの配管システムにおいて3回行い、平均値を算出した。なお、いずれの配管システムにおいても、大便器Aからの排水の最大流量(Qmax)は、2.6リットル毎秒とした。
なお、配管部材10に流入する排水流の強さは、
図16(a)の配管システムa及び
図16(b)の配管システムbにおいては同等である。一方、
図16(c)の配管システムcにおいては、配管部材10への排水の導入直前に、高さH2の高さだけ排水が落下するため、配管部材10に流入する排水流の強さは
図16(a)の配管システムa及び
図16(b)の配管システムbに比べて強い。
【0109】
(実施例2)
実施例2においては、配管部材10の代わりに実施の形態において説明した配管部材10f(縦管の呼び径100、横枝管の呼び径100)を用いた。その他の条件については実施例1と同様である。
【0110】
(実施例3)
実施例3においては、配管部材10の代わりに実施の形態において説明した配管部材10a(縦管の呼び径100、横枝管の呼び径75)を用いた。その他の条件については実施例1と同様である。
【0111】
(比較例1)
比較例においては、
図17に模式的横断面図としてされる配管部材900を用いた。
図17が示すように、配管部材900は、一対の排水導入口960それぞれの開口中心、中心軸P及び一対の開口端941それぞれの中心が、一直線L4上に位置するように配設されている。つまり、一対の排水導入口960の対向方向が、横枝管180R及び横枝管180Lそれぞれの接続方向(
図16参照)と平面視において平行に設定されている。
その他の条件については、実施例1と同様である。
【0112】
実施例1〜3及び比較例1の結果を表1に示す。
【表1】
【0113】
表1に示すように、実施例1〜3全てにおいて、大便器Aから横枝管180R内を進んだ排水の横枝管180L外への飛び出しを効果的に防止できたことが分かった。特に、制流リブを有する配管部材を用いた実施例2及び実施例3においては、当該飛び出しの防止効果が高いことが分かった。つまり、実施例1〜3、特に実施例2及び3において、大便器Aからの排水が横枝管180R内から横枝管180L内へ飛び込むことを防止する効果が高いことが分かった。
【0114】
一方、比較例1においては、大便器Aから横枝管180R内を進んだ排水の横枝管180L外への飛び出しを防止できないことが分かった。つまり、比較例1において、大便器Aからの排水が横枝管180R内から横枝管180L内へ飛び込みやすいことが分かった。
【0115】
[実施形態により奏される効果]
本発明に係る配管部材10,10a,〜,10kによって、以下の効果が奏される。
【0116】
本発明の配管部材10,10a,〜,10kにおいては、一対の排水導入口160,160b,160g,〜,160kの対向方向L1が、継手管部140,140bにおける横枝管180の接続方向L2と交差するように、一対の排水導入口160,160b,〜,160k及び一対の継手管部140,140b,〜140kが設けられている。これにより、一方の排水導入口160,160b,〜,160kから導入された排水W(
図4〜6参照)の少なくとも一部は、他方の排水導入口160,160b,〜,160kから外れることになる。したがって、一方の横枝管180から他方の横枝管180に飛び込む排水Wの量を減少させることができる。例えば、大便器から横枝管180を接続しても、これに対向する他方の横枝管180内に大便器からの排水Wが飛び込みにくくなるので、他方の横枝管180で詰まりなどの問題が生じにくくなる。
【0117】
また、上記効果を得るためには、一対の排水導入口160,160b,〜,160kの対向方向L1を横枝管180の接続方向L2と非平行に設定するだけでよいので、従来のエルボ付き配管部材のように、一方の横枝管180を管本体部120の中心から大きく離して接続させる必要がなくなる。したがって、正面視における配管部材10,10a,〜,10kの幅を広くすることなく、パイプシャフトに対する配管部材10,10a,〜,10kの省スペース化が実現できる。
【0118】
さらに配管部材10,10a,10c,〜,10kでは、一方及び他方の横枝管接続部240に接続されるそれぞれの横枝管180の中心軸L2が平面視において一致するため、一方の横枝管180と他方の横枝管180とが平面視において一直線となるように配置することができる。これによって、配管部材10,10a,10c,〜,10kの正面視における幅をより狭くすることができる。このため、パイプシャフトに対する配管部材10,10a,10c,〜,10kのさらなる省スペース化が実現できる。
【0119】
配管部材10,10a,〜,10kにおいては、一方の排水導入口160,160b,〜,160kは、直線L2に対し、他方の排水導入口160,160b,〜,160kが形成されている側とは反対側にずれた位置に形成されている。
【0120】
さらに、傾斜面260,260bが設けられていることによって、一方の継手管部140から一方の排水導入口160,160b,〜,160kに流れ込んだ排水Wの流れは、他方の排水導入口160,160b,〜,160kから離れるように、管本体部120の内面に沿った周方向の流れ(
図4から
図6中、破線矢印で示す排水Wの流れ参照)に変えられる。
【0121】
より具体的には、他方の継手管部140,140b,〜140kに流れ込んできた排水の内、傾斜面260,260bに衝突したものは、傾斜面260,260bの傾斜方向(すなわち、一方の排水導入口160,160b,〜,160kから内壁141,141b側への方向)へ、流れの向きが変えられる。さらに、傾斜面260,260bに衝突しないものも、流れの向きが前述の傾斜面260,260bへの衝突によって変えられた排水に押されて、当該傾斜方向へ流れの向きが変えられる。このため、排水W全体が他方の排水導入口160,160b,〜,160kから内壁141,141b側へ離れるように、管本体部120の内面に沿った周方向の流れに変えられる。従って、一方の排水導入口160,160b,〜,160jからの排水Wが他方の排水導入口160,160b,〜,160kに飛び込みにくくなる。
【0122】
さらに、傾斜面260,260bに衝突した排水Wが旋回流となることは、旋回羽根220による旋回作用を補助することにも資する。
【0123】
また、配管部材10a,〜,10kにおいては、制流リブ280a,〜,280kが設けられている。
ここで、制流リブ280a,〜,280kが設けられていない場合は、対向する横枝管180付近に回り込んだ排水が跳ね上がるとともに、跳ね上がった排水が後方から継続して流れてくる排水によって当該横枝管180内へ押し込まれる。これによって、横枝管180内への排水の飛び込みが発生する。
【0124】
一方、配管部材10a,〜,10kにおいては、制流リブ280a,〜,280kの制流面281a,〜,281kが、一方の排水導入口160,160b,〜,160kから導入された排水を衝突させることによって、排水流の方向を変更することができる。これにより、排水が跳ね上がる位置が横枝管180から遠くなる。このため、後方から排水が継続して流れてきても、跳ね上がった排水が横枝管180内に届きにくくなる。
【0125】
これによって、一方の排水導入口160,160b,〜,160kから導入された排水が他方の排水導入口160,160b,〜,160kから横枝管180へ飛び込むおそれをさらに低減することができる。
【0126】
また、配管部材10a,〜,10dにおいては、制流リブ280a,〜,280dが断面矩形状であるため、一方の排水導入口160,160b,〜,160dからの排水を制流面281a,〜,281dに衝突させて、排水流の方向を切り返す。これによって、他方の排水導入口160,160b,〜,160dから横枝管180への排水の飛び込みを効率よく遮ることができる。
【0127】
また、配管部材10e,〜,10kにおいては、制流リブ280e,〜,280kが断面山形状(又はその変形形状)であるため、一方の排水導入口160e,〜,160kから導入された排水を、他方の排水導入口160e,〜,160kから離れた位置(すなわち、他方の排水導入口160e,〜,160kから、上述の横枝管180の接続方向L2に、制流リブ280e,〜,280kの張出し量だけ離れた位置)で制流面281e,〜,281kに衝突させることにより、当該離れた位置で排水流の方向を変更する。これによって、他方の排水導入口160e,〜,160kから横枝管180への排水の飛び込みを効率よく遮ることができる。
【0128】
配管部材10a,10b,10c,10e,〜,10kにおいては、角度θ1が60度以下(配管部材10a,10e,10g,〜,10jについては、当該θ1は0度)であるため、一方の排水導入口160,160b,160c,160e,〜,160kから導入された排水が他方の排水導入口160,160b,160c,160e,〜,160kから横枝管180に飛び込むおそれをさらに低減することができる。
【0129】
配管部材10e,〜,10kにおいては、角度θ2が10度以上90度以下であるため、管本体部120の中心軸P方向上方からの通流と横枝管180からの通流との干渉を防止しつつ、一方の排水導入口160から導入された排水が他方の排水導入口160e,〜,160kから横枝管180に飛び込むおそれをさらに低減することができる。
【0130】
なお、制流リブの有無に関係なく、配管部材10,10a,〜,10fにおいては、一方の排水導入口160,160b,〜,160fを直線L2の方向に投影した場合に、一方の排水導入口160,160b,〜,160fの投影が他方の排水導入口160,160b,〜,160fに重ならないように、一対の排水導入口160,160b,〜,160fが配置されている。このため、一方の排水導入口160,160b,〜,160fから管本体部120に導入された排水が他方の排水導入口160,160b,〜,160fに飛び込むことを効果的に回避することができる。
【0131】
一方、配管部材10g,〜,10kにおいては、制流リブ280g,〜,280kを有するため、一方の排水導入口160g,〜,160kを直線L2の方向に投影した場合に、一方の排水導入口160g,〜,160kの投影が他方の排水導入口160g,〜,160kに一部重なっていることを許容する。これによって、パイプシャフトに対して配管部材10g,〜,10kの省スペース化が実現できる。
【0132】
特に、配管部材10gにおいては、制流リブ280gにおける交差稜285gの角度θ3が鋭角であり、且つ、交差稜285gが直線L2まで延出しているため、一方の排水導入口160gから導入された排水が他方の排水導入口160gから横枝管180に飛び込むおそれを回避することができる。配管部材10i,10jについても同様である。さらに、配管部材10i,10jの場合は、それぞれ凸部286i及び鉤状部287jが形成されていることにより、一方の排水導入口160gから導入された排水が他方の排水導入口160gから横枝管180に飛び込むおそれをさらに効果的に回避することができる。
【0133】
さらに配管部材10kにおいては、制流リブ280kの上流にさらに補助リブ290が突設されているため、一方の排水導入口160kから他方の排水導入口160kに向かう排水流を、上流側で補助リブ290によって予め補助的に規制し、その後さらに制流リブ280kで規制するため、一方の排水導入口160kから管本体部120に流入した排水が、他方の排水導入口160kから横枝管180に進入することをより効果的に回避することができる。
また、補助リブ290は、平面視において、排水導入口160kの端縁161k及び中心軸Pを結ぶ直線と、補助リブ290の張出し面292の内壁面側の基端293及び中心軸Pを結ぶ直線とのなす角度が、90度以下となるように形成されているため、制流リブ280kと補助リブ290とそれぞれを効率よく機能させることができ、一方の排水導入口160kから管本体部120に流入した排水が、他方の排水導入口160kから横枝管180に進入することをより効果的に回避することができる。
さらに、補助リブ290は、制流面291と張出し面292とが平面視において対向する断面矩形状であるため、管本体部軸方向上方からの通流との干渉を抑えつつ、一方の排水導入口160kから管本体部120に流入した排水が、他方の排水導入口160kから横枝管180に進入することをより効果的に回避することができる。
【0134】
本発明の配管部材10を用いた配管システムXにおいては、水まわり器具A等から横枝管180を介して通流する排水を集合させ、上下方向に配設された排水縦管200へ通流させる。その際、一方の横枝管180から導入された排水が、対向する他方の横枝管180へ飛び込むことを防止し、または排水の飛び込み量を大幅に減少させることができる。また、配管部材10の内壁124面に突設された旋回羽根220が、下向きに通流する集合排水を旋回させることにより、排水縦管200の中央部に通気用の空間が形成される。これにより、排水縦管200内の圧力変動を抑制し、排水性能の低下を防止することができる。
【0135】
[第1,第2,第3実施形態及び他の例における各部と請求項の各構成要素との対応関係]
本発明において配管部材10,10a,〜,10kが「配管部材」に相当し、管本体部120が「管本体部」に相当し、継手管部140,140b,〜140kが「継手管部」に相当し、排水導入口160,160b,〜,160kが「排水導入口」に相当し、端縁161,161b,〜,161k,162,162b,〜,162kが「排水導入口の端縁」に相当し、横枝管180が「横枝管」に相当し、排水縦管200が「排水縦管」に相当し、横枝管接続部240が「横枝管接続部」に相当し、開口端241,241bが「継手管部の開口端」に相当し、傾斜面260,260bが「傾斜面」に相当し、制流リブ280a,〜,280kが「制流リブ」に相当し、制流面281a,〜,281kが「制流面」に相当し、張出し面282a,〜,282kが「張出し面」に相当し、基端283c,〜,283kが「張出し面の前記内壁側の基端」に相当し、基端284e,〜,284kが「制流面の内壁側の基端」に相当し、交差稜285e,〜,285h,285kが「交差稜」に相当し、補助リブ290が「補助リブ」に相当し、補助制流面291が「補助制流面」に相当し、張出し面292が「張出し面」に相当し、基端293が「張出し面の前記内壁面側の基端」に相当し、直線L1が「一対の排水導入口の開口中心同士を結ぶ直線」に相当し、直線L2が「継手管部の開口端の径方向に垂直な直線」に相当し、中心軸Pが「管本体部の中心軸」に相当し、配管システムXが「配管システム」に相当する。
【0136】
本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。