特許第5972214号(P5972214)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972214
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】ステップ清掃装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 31/00 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   B66B31/00 F
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-87814(P2013-87814)
(22)【出願日】2013年4月18日
(65)【公開番号】特開2014-55068(P2014-55068A)
(43)【公開日】2014年3月27日
【審査請求日】2015年7月6日
(31)【優先権主張番号】特願2012-179518(P2012-179518)
(32)【優先日】2012年8月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 哲也
(72)【発明者】
【氏名】八巻 正光
【審査官】 井上 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−256022(JP,A)
【文献】 特開2011−152988(JP,A)
【文献】 特開2006−273550(JP,A)
【文献】 特開平5−51194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアに備えられるステップの溝を清掃することが可能な清掃体を有するステップ清掃装置において、
前記ステップの前記溝に適合するように並設支持され、それぞれ板状の不織布から成る複数の前記清掃体を含む清掃体カートリッジと、前記清掃体カートリッジを保持するホルダと、前記ホルダを保持する架台と、前記ホルダに前記溝方向への押圧力を付与する押圧手段と、前記ホルダを前記架台に保持させる1つまたは複数のヒンジ機構とを備え
前記清掃体カートリッジは、複数の前記清掃体を並設支持する一対、または複数対のシャフトと、前記清掃体のそれぞれに、それぞれの前記清掃体の中心を基準として対称に一対、または複数対形成され、前記シャフトのそれぞれが挿入される穴部とを含むことを特徴とするステップ清掃装置。
【請求項2】
請求項1に記載のステップ清掃装置において、
前記ホルダに前記清掃体カートリッジを保持する凹形状から成る軸保持部が設けられ、前記軸保持部には前記清掃体カートリッジの前記シャフトが保持されることを特徴とするステップ清掃装置。
【請求項3】
請求項に記載のステップ清掃装置において、
前記清掃体カートリッジの中心軸の端部部材を、線対称を基調とした形状に形成し、
前記ホルダに、前記清掃体カートリッジの前記中心軸の前記端部部材が収容され、前記線対称を基調とした形状の一部の形状に相応する凹形状から成る軸保持部を形成したことを特徴とするステップ清掃装置。
【請求項4】
請求項1に記載のステップ清掃装置において、
前記清掃体を、風車状の鋭角な突起を備えた形状に設定したことを特徴とするステップ清掃装置。
【請求項5】
乗客コンベアに備えられるステップの溝を清掃することが可能な清掃体を有するステップ清掃装置において、
前記ステップの前記溝に適合するように並設支持され、それぞれ板状の不織布から成る複数の前記清掃体を含む清掃体カートリッジと、前記清掃体カートリッジを保持するホルダと、前記ホルダを保持する架台と、前記ホルダに前記溝方向への押圧力を付与する押圧手段と、前記ホルダを前記架台に保持させる1つまたは複数のヒンジ機構とを備え、
前記清掃体カートリッジまたは前記ホルダにラチェット機構を備えたことを特徴とするステップ清掃装置。
【請求項6】
請求項5に記載のステップ清掃装置において、
前記清掃体カートリッジの中心軸の端部部材を、線対称を基調とした形状に形成し、
前記ホルダに、前記清掃体カートリッジの前記中心軸の前記端部部材が収容され、前記線対称を基調とした形状の一部の形状に相応する凹形状から成る軸保持部を形成したことを特徴とするステップ清掃装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータまたは動く歩道等の乗客コンベアに備えられるステップの溝を清掃することが可能な清掃体を有するステップ清掃装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばエスカレータのステップには、靴等が挟まれないように、各々のステップ同士や乗場に設置されたクシ状部品に噛み合うように溝が設けられている。この溝の底や溝の側面に堆積、付着した汚れを清掃するために、従来から各種の清掃装置が提案されている。特許文献1には、乗降口の櫛板ねじ止め部に清掃体を構成するブラシを固定し、ステップを連続運転させて、ブラシによってステップの溝を清掃するようにしたステップ清掃装置が開示されている。特許文献2には、清掃体を構成する無端状の紐状清掃具をステップの溝内に挿入し、ステップを連続運転させて、紐状清掃具によりステップの溝を清掃するようにしたステップ清掃装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−152988号公報
【特許文献2】特開2007−55790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたステップ清掃装置では、ブラシの毛先がステップの溝に正確に入り込まなかったり、また、入り込んでも溝の隅々にまで毛先が接触せず、溝の底面の良好な清掃を実現できないという問題がある。また、ブラシの毛先が接触し難いステップの溝の側面は、清掃を行うことが難しい。さらに、溝に染み付いた機械油等の液状の汚れの清掃も困難である。
【0005】
特許文献2に開示されたステップ清掃装置では、無端状の紐状清掃具を設けたことで、清掃体が溝に入り込まない問題や、ステップの溝の側面の清掃、機械油等の液状の汚れの清掃の問題については改善が期待される。しかし、清掃体が特殊なものとなるので制作費が高価となる別の問題がある。また、清掃装置の構成が複雑であるため、清掃装置が大型・大重量となり、運搬や設置の際の負担が大きくなるとともに、清掃体を更新する際に、清掃体をセットする準備作業が煩雑になる問題がある。また、ステップを駆動するステップチェーンから垂れ落ちる機械油やその機械油による塵埃の粘着などによって特に汚れやすいステップの上面部両側方については、スカードガードと呼ばれる側板や、内デッキに設けられた挟まれ抑制のための突出部やブラシに、清掃装置が干渉してしまい、清掃が難しくなる問題がある。
【0006】
本発明は、前述した従来技術における実情からなされたもので、その目的は、ステップの溝の側面の汚れや溝に染み付いた機械油等の液状の汚れに対して十分な清掃能力を有し、小型・軽量とすることが可能でステップの上面部両側方に対しても清掃が可能であり、かつ、清掃体自体も安価とすることができ、更新が容易なステップ清掃装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係るステップ清掃装置は、乗客コンベアに備えられるステップの溝を清掃することが可能な清掃体を有するステップ清掃装置において、
前記ステップの前記溝に適合するように並設支持され、それぞれ板状の不織布から成る複数の前記清掃体を含む清掃体カートリッジと、前記清掃体カートリッジを保持するホルダと、前記ホルダを保持する架台と、前記ホルダに前記溝方向への押圧力を付与する押圧手段と、前記ホルダを前記架台に保持させる1つまたは複数のヒンジ機構とを備え、前記清掃体カートリッジは、複数の前記清掃体を並設支持する一対、または複数対のシャフトと、前記清掃体のそれぞれに、それぞれの前記清掃体の中心を基準として対称に一対、または複数対形成され、前記シャフトのそれぞれが挿入される穴部とを含むことを特徴としている。
また、本発明に係るステップ清掃装置は、乗客コンベアに備えられるステップの溝を清掃することが可能な清掃体を有するステップ清掃装置において、前記ステップの前記溝に適合するように並設支持され、それぞれ板状の不織布から成る複数の前記清掃体を含む清掃体カートリッジと、前記清掃体カートリッジを保持するホルダと、前記ホルダを保持する架台と、前記ホルダに前記溝方向への押圧力を付与する押圧手段と、前記ホルダを前記架台に保持させる1つまたは複数のヒンジ機構とを備え、前記清掃体カートリッジまたは前記ホルダにラチェット機構を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来困難であったステップの溝の側面の汚れや溝に染み付いた機械油等の液状の汚れを十分に清掃することができ、また、従来に比べて小型・軽量とすることが可能であり、従来困難であったステップの上面部両側方も清掃することができ、かつ、清掃体自体も安価とすることができ、従来に比べて更新が容易なステップ清掃装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係るステップ清掃装置の第1実施形態を示す側面図である。
図2図1のA断面図である。
図3】第1実施形態の平面図である。
図4図1のB断面図である。
図5】第1実施形態に備えられる清掃体を示す図で、a図は図1に示される清掃体を示す側面図、b図及びc図は清掃体の変形例を示す側面図である。
図6】第1実施形態をエスカレータに設置したときの側面図である。
図7】第1実施形態をエスカレータに設置したときの正面図である。
図8】本発明の第2実施形態を示す正面図である。
図9】本発明の第3実施形態を示す側面図である。
図10】第3実施形態に備えられる清掃体カートリッジの中心軸の端部形状の種々の変形例を示す図である。
図11】第3実施形態に備えられる清掃体カートリッジ及び清掃体の交換・更新作業を説明する図である。
図12】本発明の第4実施形態を示す側面図である。
図13】本発明の第4実施形態を示す正面図である。
図14】本発明の第5実施形態に備えられる清掃体の側面図である。
図15】第5実施形態に備えられる清掃体を用いて清掃した場合の汚れの挙動を示す図である。
図16】第5実施形態に備えられる清掃体の寸法について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係るステップ清掃装置の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0011】
図1は本発明に係るステップ清掃装置の第1実施形態を示す側面図、図2図1のA断面図、図3は第1実施形態の平面図、図4図1のB断面図、図5は第1実施形態に備えられる清掃体を示す図で、a図は図1に示される清掃体を示す側面図、b図及びc図は清掃体の変形例を示す側面図である。
【0012】
第1実施形態に係るステップ清掃装置1は、図1,2,4及び図5のa図に示すように、ここでは図示省略したステップの溝に適合するように並設支持され、それぞれ板状、例えば円板状の不織布から成る複数の清掃体2を含む清掃体カートリッジ3と、清掃体カートリッジ3を保持するホルダ4と、ホルダ4を保持する架台5と、ホルダ4にステップの溝方向への押圧力を付与する押圧手段6と、ホルダ4を架台5に保持させる1つまたは複数のヒンジ機構7とを備えている。
【0013】
架台5の下端部には、図1,3に示すように、架台5を固定するために形成された長穴8と、この長穴8に挿入され架台5を固定するボルト9を配置してある。ボルト9にはワッシャ10を装着してある。
【0014】
前述した押圧手段6は、種々の構成を取り得るが、例えば押圧力の調整、及び解放を容易に行え、かつ、部材価格の低減を考慮して、板ばね11と、この板ばね11を締め付ける蝶ボルト12とを含む構成にしてある。
【0015】
前述した清掃体カートリッジ3は、図1,2,4,図5のa図に示すように、例えば清掃体2の両端に設けた端部部材19と、この端部部材19の清掃体2の中心位置に配置された中心軸23と、清掃体2のそれぞれを並設支持する一対のシャフト21と、清掃体2のそれぞれに、それぞれの清掃体2の中心、すなわち中心軸23の配置された位置を基準として対称に例えば一対形成され、シャフト21のそれぞれが挿入される穴部22とを含む構成にしてある。清掃体2には、ステップとの摺動により回転方向の力が働く。前述した一対のシャフト21は、清掃体2に与えられる回転力による清掃体2の回転を規制している。このように構成した清掃体カートリッジ3の中心軸23がホルダ4に取り付けられる。
【0016】
図6,7は第1実施形態をエスカレータに設置したときの図で、図6は側面図、図7は正面図である。
【0017】
第1実施形態に係るステップ清掃装置1は、例えばエスカレータにおいて活用される。ステップ清掃装置1の設置に際して、図6に示すように、架台5の下端部の長穴8をエスカレータのコームプレート13に設けられているねじ穴に適合させた状態にして、長穴8にワッシャ10を装着させたボルト9を挿入し、コームプレート13のねじ穴に螺合させて、固定することが行われる。この際に、図7に示すように、清掃体カートリッジ3に支持されている清掃体2のそれぞれがエスカレータのステップ14の溝15に確実に挿入される位置で固定が行われる。
【0018】
コームプレート13は、エスカレータのステップ14への乗降口に配置され、通常時は一般に樹脂または金属製のクシ状部品がボルトによって取り付けられている。第1実施形態に係るステップ清掃装置1を設置する際には、例えば前述のクシ状部品を取り外し、取り外したことによって露出する前述のねじ穴を利用して第1実施形態に係るステップ清掃装置1の固定が行われる。
【0019】
このようにしてステップ清掃装置1をエスカレータのコームプレート13に固定した後、蝶ボルト12によって板ばね11を締め付けて、ホルダ4をステップ14の溝15の方向へ押圧することが行われる。なお、この際の押圧力を清掃体2のそれぞれに対して2N〜5Nとすると、良好な清掃効果が得られること、また、清掃体2の汚れの保持効率が良いことを本発明者らは清掃試験によって確認している。
【0020】
前述のようにしてステップ清掃装置1を設置した状態で、図6に示すように、ステップ14が乗降口から離れる方向にエスカレータを運転すると、清掃体2のそれぞれによってステップ14の溝15の底面や側面、及びステップ14の上面部両側方を自動的に清掃することができる。
【0021】
清掃体2の上下を逆にするようにして行われる清掃面の更新や、清掃体カートリッジ3の交換に際しては、板ばね11及び蝶ボルト12を取り外し、ヒンジ機構7を支点としてホルダ4を上方に引き上げることにより、容易に行うことができる。
【0022】
なお、図7に示すように、エスカレータの側板16から、この側板16に最も接近するステップ14の溝15の端部までの距離dよりも、側板16に対向するホルダ4の最外面から、側板16に最も近い位置に配置される清掃体2の側板16側端面までの距離Dの方が小さくなるように、すなわち、D<dの関係となるように、ホルダ4及び清掃体カートリッジ3を構成するようにすれば、ステップ14の側板16に最も近接する溝15の清掃も行うことができる。すなわち、ステップ清掃装置1を取り付ける位置を架台5の下端部の長穴8、及び長穴8に挿入されるボルト9を介して調整することにより、ステップ14の溝15の上面部両側方の清掃が可能となる。
【0023】
このように構成した第1実施形態によれば、ステップ14の溝15の側面の汚れや溝15に染み付いた機械油等の液状の汚れを十分に清掃することができる。また、構成が比較的簡単であり、小型・軽量とすることが可能である。また、前述のようにステップ14の両側方も清掃することができる。また、清掃体2自体も、円板状に形成した不織布から成る程度の簡単な構成であるので、製作が容易で安価とすることができる。また、前述したように清掃体2の清掃面の更新、及び清掃体カートリッジ3の交換を容易に行うことができる。このようなことから、信頼性に優れた実用性に富むステップ清掃装置1を実現できる。
【0024】
なお、第1実施形態では、図5のa図に示すように、清掃体2に一対の穴部22を形成してあるが、図5のb,c図に示すように、清掃体2の中心、すなわち中心軸23を基準として所定角度間隔に、一対のシャフト21の挿入が可能な複数対の穴部22を形成するように構成してもよい。このように清掃体2に複数対の穴部22を形成してものでは、清掃体2の配置角度を変更することにより、穴部22の対の数だけ段階的に清掃体2の清掃面を更新でき、清掃体2の全周を無駄なく使用して清掃することができる。
【0025】
図8は本発明の第2実施形態を示す正面図である。
【0026】
第2実施形態に係るステップ清掃装置1は、例えばホルダ4にラチェット機構17を設けたものである。その他の構成は、第1実施形態におけるステップ清掃装置1と同等である。
【0027】
この第2実施形態では、ラチェット機構17を作動させることにより、円板状の清掃体2を多段階に回転させることが可能となる。したがって、ステップ14の溝15の内部の汚れを絡め取ることによって目詰まりし、これにより清掃能力が低下した清掃体2を、ラチェット機構17を作動させてステップ14の進行方向とは逆の方向に若干回転させるだけで、新たな清掃面をステップ14の溝15内に導くことができる。すなわち、清掃体2の清掃面の更新をラチェット機構17を介して容易に行うことができるとともに、円板状の清掃体2の全周を無駄なく活用させて清掃を行うことができる。その他の作用効果は、第1実施形態と同等である。
【0028】
なお、前述したラチェット機構17を作動、すなわち回転させる際には、六角レンチ等の回転ハンドル18を用いると、板ばね11及び蝶ボルト12による押圧力を僅かに解放するだけで清掃体2の清掃面の更新が可能になり、清掃面の更新に要する時間を数秒程度の短時間とすることができる。
【0029】
前述した第2実施形態は、ラチェット機構17をホルダ4に設けた構成にしてあるが、ラチェット機構17を清掃体カートリッジ3に設けるようにしてもよい。
【0030】
図9は本発明の第3実施形態を示す側面図、図10は第3実施形態に備えられる清掃体カートリッジの中心軸の端部形状の種々の変形例を示す図、図11は第3実施形態に備えられる清掃体カートリッジ及び清掃体の交換・更新作業を説明する図である。
【0031】
第3実施形態は、清掃体カートリッジ3のホルダ4に保持される中心軸23を、正多角形等の線対称を基調とした形状に形成し、ホルダ4に、清掃体カートリッジ3の中心軸23が収容され、前述の線対称を基調とした形状の一部の形状、例えば半分の形状に相応する凹形状から成る軸保持部20を形成した構成にしてある。その他の構成は、第1実施形態と同等である。
【0032】
前述の線対称を基調とした形状として、例えば図10に示すように、正三角形、正四角形、正五角形、正六角形、正七角形、正八角形、正十角形、正十二角形、十字形、角丸十字形、星形、正六角形亜流板等の形状を取り得る。
【0033】
このように構成した第3実施形態によれば、中心軸23の形状の対称の数だけ段階的に、かつ容易に清掃体2の清掃面の更新が可能となり、清掃体2の全周を無駄なく活用してステップ14の溝15の清掃を行うことができる。清掃体2の清掃面を更新する際には、また清掃体カートリッジ3を交換する際には、図11に示すように、押圧手段6を取り外し、ヒンジ機構7を支点としてホルダ4を持ち上げた状態で行うと容易に行うことができる。その他の作用効果は、第1実施形態と同等である。
【0034】
図12は本発明の第4実施形態を示す側面図、図13は本発明の第4実施形態を示す正面図である。第4実施形態は、図5(b)に示す四角形状に4つの穴部22が設けられた清掃体2を使用している。この清掃体2の4つの穴部22にシャフト21を通すため、結果的にシャフト21も四角形状に配置される。そしてシャフト21の端部に端部部材19が配置される状態となる。
【0035】
また本実施形態ではホルダ4に設けられた軸保持部20は、4つのシャフト21の外周を結んだ形状と同じかそれよりわずかに大きい凹形状とされており、端部部材19は軸保持部20の凹形状よりも大きく形成されてる。そして、図13に示すようにシャフト21の長さは両端に位置するホルダ4の間隔よりもわずかに長く形成されており、これによりシャフト21が軸保持部20で保持され、図13に示す左右方向への抜け止めを端部部材19がホルダ4と干渉することで実現している。
【0036】
このように構成した第4実施形態によれば、ホルダ4に係止される中心軸23を別途設ける必要が無く、シャフト21で中心軸23と同じ機能を実現でき、構造の簡易化、製造コストの低減を図ることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、四角形状に4つの穴部22が設けられた清掃体2を用いた例を挙げて説明したが、その他の多角形状に穴部22を設けた清掃体2を設け、そこにシャフト21を通し、シャフト21の外周を結んだ形状と同じかそれよりわずかに大きい凹形状の軸保持部20をホルダ4に形成すれば、シャフト21の外周を結んだ形状の対称の数だけ段階的に、かつ容易に清掃体2の清掃面の更新が可能となり、清掃体2の全周を無駄なく活用してステップ14の溝15の清掃を行うことができる。清掃体2の清掃面を更新する際には、また清掃体カートリッジ3を交換する際には、押圧手段6を取り外し、ヒンジ機構7を支点としてホルダ4を持ち上げた状態で行うと容易に行うことができる。その他の作用効果は、第1実施形態と同等である。
【0038】
図14は本発明の第5実施形態に備えられる清掃体の側面図、図15は第5実施形態に備えられる清掃体を用いて清掃した場合の汚れの挙動を示す図、図16は第5実施形態に備えられる清掃体の寸法について説明する図である。
【0039】
本発明の第5実施形態は、図14に示す板状、例えば風車状の鋭角な突起24を備えた板形状の清掃体2を備えている。このように構成した第5実施形態によれば、図15に示すように、ステップ14の溝の底面に清掃体2の鋭角部を形成する突起24を接触させることで、ステップ14の溝の底面に溜まった汚れ25を掻き取る効果、及び保持する効果が得られ、より効率的に汚れ25の除去が可能となる。
【0040】
また、ステップ14の溝内に入る清掃体2の体積が円板状の清掃体2を備える場合よりも減少するため、清掃体2がステップ14の溝の底面を押し擦る力を強くすることが可能となり、結果として、清掃効率を向上させることができる。
【0041】
ここで、風車状の鋭角部を形成する突起24を備えた清掃体2の寸法は、図16のa図に示すように、ステップ14の溝の深さAが一般に10〜11mmであることから、清掃装置本体の小型・軽量化、及び清掃体2全体に占める実際に清掃に使われる面積の最大化のために、直径Bを86〜102mmとし、清掃部位となる鋭角部を形成する突起24は、90度ごとに4箇所設けるとよい。
【0042】
また、鋭角部を形成する突起24の高さCは、図16のb図に示すように、11mmより小さいとステップ14の溝に入り込む清掃体2の体積が増加してしまい、ステップ14の溝の底面を押し擦る力が減少してしまう。また、掻き取って蓄積された汚れ26を収容する容積が少なくなるため、比較的早くに汚れの量が収容限界に至り、清掃能力が低下してしまうことになる。一方、図16のc図に示すように、突起24の高さCが高過ぎると、清掃体2の体積が減少することにより、清掃体2の剛性が損なわれ、清掃時に清掃体2が歪んでしまうという問題が生じる。よって、突起24の高さCは、図16のa図に示すように、ステップ溝の深さAが一般に10〜11mmであることに対し、若干高くなる11〜15mm程度とすることが好ましい。
【0043】
なお、前述した各実施形態において、ステップ14の溝15の清掃に際して、予め清掃体2やステップ14の上面に清掃精度を向上させる洗剤類を塗布し、この状態で清掃体14の溝15を清掃するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 ステップ清掃装置
2 清掃体
3 清掃体カートリッジ
4 ホルダ
5 架台
6 押圧手段
7 ヒンジ機構
8 長穴
9 ボルト
10 ワッシャ
11 板ばね
12 蝶ボルト
13 コームプレート
14 ステップ
15 溝
16 側板
17 ラチェット機構
18 回転ハンドル
19 端部部材
20 軸保持部
21 シャフト
22 穴部
23 中心軸
24 突起
25 汚れ
26 蓄積された汚れ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16