(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ハンガー本体の両側部に、両側アームの各基端側が枢着されて、その両側アームが略水平に開いた状態と、垂下して閉じた状態との間で揺動可能に構成される一方、前記ハンガー本体に前記両側アームを開いた状態にロックするロック機構が設けられた折り畳み式ハンガーであって、
前記ロック機構は、一対のレバーの各中間部が互い枢着され、かつ前記一対のレバーの各上端部同士および各下端部同士が接離するように開閉するクロスレバー部材と、前記クロスレバー部材を開く方向に付勢するための付勢手段とを備え、
前記ロック機構における前記一対のレバーの各下端部が前記両側アームの各基端部に対応して配置され、
前記両側アームが開いた状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記クロスレバー部材が開いて、前記一対のレバーの各下端部の下側に、前記両側アームの各基端部の上側が係止することによって、前記両側アームがロックされる一方、
そのロック状態において、前記一対のレバーの各上端部を押し込んで前記クロスレバー部材を閉じることにより、前記一対のレバーの各下端部が前記両側アームの各基端部から退避してロックが解除されるようになっていることを特徴とする折り畳み式ハンガー。
前記クロスレバー部材における前記一対のレバーの上端部間にバネ部材が架橋され、そのバネ部材が前記付勢手段として構成されている請求項1に記載の折り畳み式ハンガー。
【背景技術】
【0002】
衣類等を吊り下げて乾燥させたり、収納保管したりする際には衣類用のハンガーが使用されるが従来、このようなハンガーとして様々な構造のものが開発されている。例えば、ハンガー本体の両側に開閉自在にアームが設けられた折り畳み式ハンガーが周知である(特許文献1,2等)。
【0003】
このような折り畳み式ハンガーは、ハンガー本体の下部両側に、左右のアームの基端側が枢着されており、その両側アームが開いて略水平に配置された状態と、両側アームが閉じて互いに垂直に配置された状態との間でアームが揺動(開閉)できるようになっている。さらにハンガー本体の内部には、ロック機構が設けられ、アームを閉じた状態から上方に持ち上げて開いた際にはアームがロック機構によって自動的にロックされて略水平状態に保持されるようになっている。またロック機構には、ロック解除操作部が設けられており、その操作部を操作することによって、ロック機構のアームに対するロックが解除されて、アームが自重により下方に揺動して閉じられて、折り畳めるようになっている。
【0004】
このような折り畳み式ハンガーは、両側アームを開いてロックした状態でTシャツ等の衣類を吊り下げて乾燥や保管等を行うが、その吊り下げたTシャツを簡単に取り込むことができる。すなわち、Tシャツからハンガーを抜き取る場合、ロック機構のロックを解除してアームを閉じれば、ハンガーをTシャツのネックホールから簡単に抜き取ることができ、高い利便性を備えている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで一般的に、折り畳み式ハンガーにおいては、アームを開いてロックした状態で、所定の保持力を備える必要がある。例えばハンガーに厚手の重たい衣類を吊り下げた場合、あるいは吊り下げた衣類に手等が引っ掛かってアームを下向きに引っ張ってしまった場合等、ハンガーのアームに比較的大きい下向きの荷重が加わった場合に、アームがそのロックが解除されて閉じてしまうと、再度、アームを開いて衣類をハンガーに掛け直すという面倒な作業が必要となってしまう。特にこのような面倒な作業が頻繁に発生すると、使用者は不満を覚え、商品価値を低下させる要因となってしまう。従って、開いたアームが簡単に閉じてしまわないように、アームを開いてロックした状態での保持力を十分に確保する必要がある。
【0007】
一方、折り畳み式ハンガーにおいて、衣類から取り外す場合、アームのロックを解除するが、そのロック解除操作自体が面倒であると、スムーズにハンガーを衣類から取り外すことができず、利便性が損なわれてしまう。従って、ロック解除操作が、例えば押しボタン操作等、簡単なワンタッチ操作で行えるような折り畳み式ハンガーであることが望ましい。
【0008】
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、アームを開いてロックした状態での保持力を十分に備える一方、ロック解除操作を簡単に行えてアームをスムーズに閉じることができる折り畳み式ハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
【0010】
[1]ハンガー本体の両側部に、両側アームの各基端側が枢着されて、その両側アームが略水平に開いた状態と、垂下して閉じた状態との間で揺動可能に構成される一方、前記ハンガー本体に前記両側アームを開いた状態にロックするロック機構が設けられた折り畳み式ハンガーであって、
前記ロック機構は、一対のレバーの各中間部が互い枢着され、かつ前記一対のレバーの各上端部同士および各下端部同士が接離するように開閉するクロスレバー部材と、前記クロスレバー部材を開く方向に付勢するための付勢手段とを備え、
前記ロック機構における前記一対のレバーの各下端部が前記両側アームの各基端部に対応して配置され、
前記両側アームが開いた状態では、前記付勢手段の付勢力によって前記クロスレバー部材が開いて、前記一対のレバーの各下端部の下側に、前記両側アームの各基端部の上側が係止することによって、前記両側アームがロックされる一方、
そのロック状態において、前記一対のレバーの各上端部を押し込んで前記クロスレバー部材を閉じることにより、前記一対のレバーの各下端部が前記両側アームの各基端部から退避してロックが解除されるようになっていることを特徴とする折り畳み式ハンガー。
【0011】
[2]前記クロスレバー部材における前記一対のレバーの上端部間にバネ部材が架橋され、そのバネ部材が前記付勢手段として構成されている前項1に記載の折り畳み式ハンガー。
【0012】
[3]前記一対のレバーおよび前記バネ部材が一体に形成されている前項2に記載の折り畳み式ハンガー。
【0013】
[4]前記バネ部材の中間部に前記ロック機構を前記ハンガー本体に固定するための固定部が設けられている前項2または3に記載の折り畳み式ハンガー。
【0014】
[5]前記一対のレバーにおける各下端部の外側にカム面が設けられ、
前記両側アームを開き操作した際に、その両側アームの基端部が前記カム面に沿いつつ前記一対のレバーの下端部を前記付勢手段の付勢力に抗して押し込むようになっている前項1〜4のいずれか1項に記載の折り畳み式ハンガー。
【発明の効果】
【0015】
発明[1]の折り畳み式ハンガーによれば、アームを開いてロックした状態では、レバーの下端部がアームの基端部を上方から抑え込むとともに、レバーの枢着部がアームの基端部よりも上方にかつ内側に配置されているため、アームを閉じる方向に強い力が作用したとしても、アームの基端部はレバーの下端部を押し上げようとしてレバーを開く方向、つまりレバーをロックする方向に回転させようとする。従ってロック状態が確実に維持され、アームが不用意に閉じてしまうような不具合を確実に防止することができる。さらにレバーの上端部を押し込むだけで、クロスレバー部材を閉じることができ、簡単にロックを解除することができ、スムーズにアームを閉じることができる。
【0016】
また本発明においては、ロック機構の主構成部品として、一対のレバーの中間部同士を枢着したクロスレバー部材を採用しているため、ロック時やロック解除時の動作が安定して行われ、動作信頼性に優れた高品質のハンガー製品を提供することができる。
【0017】
発明[2]の折り畳み式ハンガーによれば、上記の効果を、より確実に得ることができる。
【0018】
発明[3]の折り畳み式ハンガーによれば、ロック機構を一物品によって構成することができるため、ロック機構の強度を向上できて、十分な耐久性を得ることができる。
【0019】
発明[4]の折り畳み式ハンガーによれば、ロック機構をハンガー本体に、不具合なく確実に取り付けることができる。
【0020】
発明[5]の折り畳み式ハンガーによれば、アームを開いた際にその開き状態に自動的にかつスムーズにロックすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜
図5はこの発明の実施形態である折り畳み式ハンガーを示す正面断面図である。これらの図に示すように、この実施形態の折り畳み式ハンガーは、ハンガー本体1と、ハンガー本体1の上端部に取り付けられたフック2と、ハンガー本体1の両側下端部に設けられた左右両側のアーム(一対のアーム)3,3と、ハンガー本体1に設けられたロック機構4とを基本的な構成要素として備えている。
【0023】
ハンガー本体1は、頂点が円弧状の略山型の形状を有しており、内部が中空の中空構造に形成されている。ハンガー本体1の上部両側壁には、操作ボタン用開口11が形成されている。さらにハンガー本体1の両側部下端から下端部にかけての部分は、下側開口12を介して開放されている。
【0024】
フック2は、物干し等に引っ掛けることができる円弧状のフック本体21と、フック本体21の下端部に形成された取付軸部22とを備えた合成樹脂の一体成形品によって構成されている。そして取付軸部22がハンガー本体1の上端壁に上下方向の軸心回りに回転自在に取り付けられている。
【0025】
本実施形態において、各アーム3は、ハンガー本体1側に配置される部分が基端側(内側)として構成されるとともに、その反対側に配置される部分が先端側(外側)として構成されている。
【0026】
アーム3の基端側には、アーム開き状態において(
図1および
図3参照)、少し下向きに屈曲された取付部31が形成されている。このアーム3の取付部31における外側(先端側)の位置が軸部35を介してハンガー本体1に枢着されるとともに、アーム3における取付部31よりも外側(先端側)の部分がハンガー本体1の下側開口12を介して外部に引き出された状態に配置される。そして、各アーム3は、その軸部35を支点に回転自在に構成されて、
図1に示すように略水平に開いた状態(開き状態)と、
図2に示すように垂直に垂れ下がって閉じた状態(閉じ状態)との間で揺動できるようになっている。
【0027】
またアーム3の取付部31における端縁の下側には円弧状の湾曲部32が形成されており、この湾曲部32によって、後述するようにアーム3を開いた際に、ロック機構4のレバー51をスムーズに押し込めるようになっている。
【0028】
またアーム3はアーム長さ方向にスライド自在な補助アーム36を有しており、必要に応じて、その補助アーム36をスライドさせて外側に進出させることによって、アーム長さを長くできるようになっている。
【0029】
なお、本実施形態において、アーム3の取付部31は基端部として構成されている。
【0030】
図6に示すように、ロック機構4は、クロスレバー部材5と、付勢手段としてのバネ部材6とを備えた合成樹脂の一体成形品によって構成されている。
【0031】
クロスレバー部材5は、一対(2本)のレバー51,51を備えている。各レバー51は、中間部において少し折曲された「く」の字状の形状を有しており、互いの中間部が後述の枢着用軸部63を介して枢着されている。これにより、一対のレバー51の各上端部同士および各下端部同士が近接する方向(閉じる方向)および離間する方向(開く方向)に回転することよって、クロスレバー部材5が開閉できるようになっている。なお本実施形態においては、レバー51の上端部が一端部を構成するとともに、下端部が他端部を構成している。
【0032】
各レバー51の下端部の外側には、内側に凹陥形成された凹段部52が形成されており、この凹段部52の上端壁(天井壁)が係止部53として構成されている。さらに各レバー51の下部外側における凹段部52の上方には、下方に向かうに従って次第に外側に向かうように傾斜するカム面54が形成されている。
【0033】
また各レバー51の上端部には、略垂直に延びる操作ボタン55がそれぞれ一体に形成されている。そして両操作ボタン55を両側から挟むようにして内側に押し込むと、クロスレバー部材5が閉じるようになっている。
【0034】
両操作ボタン55間に架け渡されるように設けられるバネ部材6は、逆U字状の2つ(一対)のバネ片61,61を備えている。各バネ片61の外側片は、対応する操作ボタン55の上端部内側に一体的に連結固定されている。さらに一対のバネ片61の内側片間には、固定部62が一体に形成されている。この固定部62には枢着用軸部63が一体に形成されており、この軸部63がクロスレバー部材5における一対のレバー51の交差部に回転自在に貫通配置されて、既述したとおり、一対のレバー51が枢着用軸部63を介して互いに枢着されている。
【0035】
各バネ片61は、クロスレバー部材5を閉じる方向に弾性変形させた際には蓄勢し、その弾性復元力(付勢力)によってクロスレバー部材5を開く方向に付勢するようになっている。つまり、操作ボタン55を両側から押し込んだ状態では、クロスレバー部材5が閉じられるものの、操作ボタン55への押込力を解除してフリーな状態とすると、バネ片62の弾性復元力によってクロスレバー部材5が開いてその開き状態に復帰するようになっている。
【0036】
ここで既述したとおり、ロック機構4は合成樹脂の一体成形品によって構成されており、成形直後の組立前は
図7に示すように一対のレバー51が分離された状態である。そしてこの状態から一方のレバー51を他方のレバー51上に交差させつつ前後に重ね合わせるとともに、その両レバー51の交差部に固定部62の枢着用軸部63を回転自在に貫通して配置することによって、
図6に示すようにロック機構4が組み立てられるようになっている。
【0037】
図3〜
図5に示すように、この組立状態のロック機構4が、ハンガー本体1の内部に取り付けられる。すなわち、ロック機構4が、両側の操作ボタン55をハンガー本体1における両側の操作ボタン用開口11にそれぞれ臨まさせるようにしてハンガー本体1の内部に配置され、その状態でロック機構4の固定部62がハンガー本体1の内側面に固定される。なお
図2および
図4に示すように、アーム3が閉じた状態では、アーム3の取付部31は、レバー51の下端部における外側に配置されている。
【0038】
以上の構成の折り畳み式ハンガーにおいては、
図2および
図4に示すようにアーム3を閉じた状態からアーム3を上方に揺動させるように持ち上げていくと、アーム3の基端縁下部における湾曲部32がレバー51のカム面54に当たり、アーム3の湾曲部32がカム面54を内側に押し込みつつカム面54に沿って下方に移動していく。こうしてレバー51がその下端部がアーム3に押されて内方(閉じる方向)に回転する一方、バネ片61がその付勢力に抗して圧縮(蓄勢)されていく。そしてアーム3の基端縁がレバー51のカム面54を抜け出して凹段部52に到達した時点で、レバー51はアーム3による押込から開放されて、両レバー51がバネ片61の弾性復元力によって開く方向に回転して、レバー51の係止部53にアーム3の基端部上側が係止する。この係止によって
図1および
図3に示すように、アーム3の基端部が上方へ移動するのが阻止され、つまりアーム3が閉じる方向に揺動するのが阻止されて、アーム3が略水平に開いた状態に保持(ロック)される。
【0039】
このロック状態で各アーム3をTシャツ等の衣類のネックホールから挿入して、両アーム3にTシャツを吊り下げる。その吊り下げ状態で、ハンガーのフック2を物干し竿等に引っ掛けることにより、Tシャツの乾燥等を行うことができる。
【0040】
ここで本実施形態の折り畳み式ハンガーにおいては、アーム3を開いてロックした状態での保持力を十分に確保でき、アーム3を閉じる方向に強い力が作用したとしても、アーム3の開き状態でのロックが意に反して不用意に解除されるようなことはない。すなわち
図3に示すように、本実施形態の折り畳み式ハンガーにおいて、ロック状態では、ロック機構4におけるレバー51の下端部(係止部53)がアーム3の基端部を上方から抑え込むとともに、レバー51の支点(枢着用軸部62)がアーム3の基端部よりも上方にかつ内側に配置されているため、アーム3の先端側(外側)に下向きの大きい荷重が加わって、アーム3が閉じる方向に揺動しようとした際には、アーム3の基端部がレバー51の下端部を押し上げようとしてレバー51を開く方向、つまりレバー51をロックする方向に回転させようとする。このようにロック状態でアーム3が強い力で閉じられようとした場合、レバー51がロック方向に回転しようとするため、ロック状態が確実に維持され、ロックが不用意に解除されるような不具合を確実に防止することができる。従って衣類を吊り下げた状態で不用意にロックが解除されてアーム3が閉じてしまうような不具合が発生するのを防止でき、再度、アーム3を開いて衣類をハンガーに掛け直すというような面倒な作業を行う必要もない。
【0041】
一方
図5に示すように、ハンガーをTシャツから取り出す場合には、ロック機構4の両側の操作ボタン55を例えば親指と人差し指とで両側から挟み込むように内側に押し込めば良い。これにより、クロスレバー部材5がバネ部材6の付勢力に抗して閉じられて、レバー51の係止部53がアーム3の基端部上側から内方に退避する。こうしてアーム3の水平状態でのロックが解除されて、アーム3は自重により下方(閉じる方向)に揺動して閉じられる。
【0042】
なお
図4に示すようにアーム3が閉じた状態で、ロック機構4における操作ボタン55への押込を解除して、クロスレバー部材5を開いたとしても、アーム3の基端部はレバー51の下端部の側方に配置されているため、互いに干渉し合うことがなく、アーム3は垂下した状態(閉じ状態)のままに維持される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の折り畳み式ハンガーによれば、アーム3を開いてロックした状態での保持力を十分に確保できるため、アーム3を閉じる方向に強い力が作用したとしても、アーム3が不用意に閉じてしまうような不具合を確実に防止することができる。
【0044】
さらにアーム3を開いてロックした状態において、ロック機構4の操作ボタン55を内側に押し込むだけの簡単な操作でロックを解除できて、アーム3をスムーズに閉じることができる。
【0045】
また本実施形態の折り畳み式ハンガーによれば、ロック機構4を一体成形品、つまり一つの物品によって構成しているため、ロック機構4自体の強度を十分に確保でき、破損等による動作不良の発生を確実に防止でき、高い信頼性および十分な耐久性を得ることができる。その上さらに、折り畳み式ハンガーの構成部品数も少なくでき、コストを削減することができる。
【0046】
また本実施形態においては、ロック機構4の一部を構成するクロスレバー部材5は、一対のレバー51の中間部同士を枢着した回転レバー方式であるため常時、安定した状態で開閉動作が行われる。このため、ロック機構4におけるロック時やロック解除時の動作が正確にかつスムーズに行われ、動作信頼性が高い高品質のハンガー製品を提供することができる。
【0047】
さらに本実施形態では、クロスレバー部材5におけるレバー51の軸部63(固定部62)をハンガー本体1に固定しているため、レバー51を、より安定した状態で回転させることができ、一層動作信頼性を向上させることができる。
【0048】
その上さらにレバー51の回転支点(軸部63)から下端部(作用点)までの距離を短くできるため、レバー自体の撓み等も少なくなり、レバー51の回転動作を確実にアーム3に伝達できるとともに、逆にアーム3の回転動作も確実にレバー51に伝達でき、より一層動作信頼性を向上させることができる。
【0049】
また本実施形態において、ロック機構4の固定部62は、レバー51の回転動作やバネ片61の伸縮動作にかかわらず変位しないため、その固定部62をハンガー本体1に固定することによって、ロック機構4を、その動作等に悪影響を及ぼすことなく確実に固定することができる。
【0050】
図8はこの発明の変形例である折り畳み式ハンガーの本体周辺部の正面断面図、
図9はその変形例の折り畳み式ハンガーに採用されたロック機構4を説明するための正面図である。
【0051】
両図に示すようにこの変形例の折り畳み式ハンガーにおいては、ロック機構4が2つの部品によって構成されており、この点が、上記実施形態の折り畳み式ハンガーに対し相違している。
【0052】
すなわち
図9に示すようにこの変形例の折り畳み式ハンガーにおけるロック機構4は、合成樹脂の一体成形品によってそれぞれ構成される第1ロック部材41および
第2ロック部材42の2つの部材が組み付けられて形成されている。第1および第2ロック部材41,42は、レバー51および操作ボタン55をそれぞれ備えている。さらに第1および第2ロック部材41,42は、略下向きに開放された略半円弧状のバネ片61を備え、各バネ片61の外側片が操作ボタン55の上端部にそれぞれ連結固定されるとともに、各バネ片61の内側片にそれぞれ固定部片621,621が一体に形成されている。
【0053】
図8および
図9に示すように、このロック機構4においては、一方の固定部片621を他方の固定部片621に前後方向に重ね合わせて固定することによって、固定部62が形成されると同時に、第1および第2ロック部材41,42が互いに連結される。こうして連結した状態でさらに、一方のレバー51を他方のレバー51上に交差させるように前後に重ね合わせるとともに、その両レバー51の交差部に、固定部62に形成された枢着用軸部63を回転自在に貫通して配置することによって、この変形例のロック機構4が組み立てられるようになっている。
【0054】
この組立状態のロック機構4が上記実施形態と同様にハンガー本体1に組み付けられる。
【0055】
この変形例の折り畳み式ハンガーにおいて、他の構成は上記実施形態の折り畳み式ハンガーと実質的に同様であるため、同一または相当部分に同一符号を付して重複説明は省略する。
【0056】
この変形例の折り畳み式ハンガーにおいても、上記実施形態と同様に同様の作用効果を奏するものである。例えばレバー51の支点がアーム3の基端部よりも上方にかつ内側に配置しているため、アーム3を開いてロックした状態において、アーム3を閉じる方向に強い力が作用したとしても、レバー51はロックする方向に回転しようとする。このため、アーム3を水平にロックした状態での保持力を十分に確保でき、ロックが不用意に解除されるような不具合が発生するのを防止することができる。さらにアーム3を開いてロックした状態から閉じる場合には、ロック機構4の操作ボタン55を内側に押し込むだけで簡単に閉じることができる。
【0057】
なお上記実施形態においては、フック2として、開環型のものを使用しているが、本発明においてフックのタイプは限定されるものではない。例えば本発明においては、物干し竿等を挟み込んで保持するようにしたピンチ型のフックや、開環部に開閉自在に外れ防止用のストッパーが設けられたフック等も用いることができる。
【0058】
さらに本発明においては、ハンガー本体1に直接フック等を形成しなくとも良い。例えば
図10に示すように、本発明は、ハンガー本体1の上端部がU字状に形成されて、その両側片25の上端部外側に取付軸部26が形成された多数配列型の折り畳み式ハンガーにも採用することができる。この多数配列型の折り畳み式ハンガーは、下向きに開放された溝型の支持部材によって支持されるものである。例えば多数の折り畳み式ハンガーが前後方向に等間隔おきに多数配列された状態で、各ハンガーの両側片25の上端部が溝型支持部材の溝内にそれぞれ収容されるとともに、各ハンガーの取付軸部26が、溝型支持部材の両側壁にそれぞれ回転自在に支持される。そして溝型支持部材に設けられたフックが物干し竿等に引っ掛けられることにより、溝型支持部材を介して多数の折り畳みハンガーが吊持されるようになっている。
【0059】
また上記実施形態等においては、ロック機構4における両レバー51の上端部間にバネ部材6を架橋しているが、それだけに限られず、本発明においては、両レバー51が閉じられた際に両レバー51を開く方向に付勢できるものであれば、付勢手段の設置位置は限定されるものではない。例えば両レバーの下端部間にバネ部材等の付勢手段を設けるようにしても良い。
【0060】
さらに上記実施形態等においては、付勢手段としての逆U字状の線加工バネを用いるようにしているが、本発明においては、付勢手段の構成も限定されるものではない。例えば、コイルバネ、ねじりコイルバネ、薄板バネ等の付勢手段を用いるようにしても良い。