(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。即ち、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(各実施例を組み合わせる等)して実施することができる。また、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付して表している。図面は模式的なものであり、必ずしも実際の寸法や比率等とは一致しない。図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることがある。
【0018】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態では、携帯電話の一例として衛星携帯電話について説明する。
【0019】
<通信システム>
図1は、本発明の第1実施形態に係る携帯電話の一例としての衛星携帯電話の通信システムを説明する概略ブロック図である。
【0020】
衛星携帯電話10の通信システム1は、衛星携帯電話10と、通信衛星12と、衛星基地局/交換設備14と、通信網16と、発信先18と、を含んで構成される。
【0021】
衛星携帯電話10は、通信衛星12を経由して通信を行う携帯電話である。衛星携帯電話10同士の通信は、地上のネットワークを経由せず、通信衛星12を経由して行なわれ、衛星携帯電話10と他の電話(固定電話・携帯電話)との通信は、衛星携帯電話10を経由し、通信網16と接続して行なわれる。この衛星携帯電話10は、当地の通信網がまひした状態や、通信インフラがない国でも連絡が取れるので、災害時や海外出張時に有効である。
【0022】
通信衛星12は、衛星電話を始めとする衛星通信に利用される衛星である。通信衛星には静止衛星と周回衛星の2つのタイプがあるが、本第1実施形態ではそのどちらであってもよい。静止衛星は、赤道上空を地球の自転速度と同じ速度で回り続けている人工衛星のことであり、地上から衛星を見ると、まるでそれが静止しているかのように見えるため静止衛星と呼ばれる。地上と衛星の間の無線通信を行う距離が長いため、端末のアンテナも大きめである。一方、周回衛星は、衛星そのものは静止しているが、地球の自転によってあたかも1 日1 周期で周回しているように見える。周回衛星を用いた衛星通信では、伝播損失が抑えられ遅延もなく電話機自体も小型化できる。更に、それぞれの衛星が通話をリレーすることで、地上のネットワークに依存することなく世界中どこでも使える。
【0023】
衛星基地局/交換設備14は、通信衛星12からの電波を受信するための地上局である。地上局とは、通信衛星との間で信号の送受信を行うための、地上にある通信機器の集まりである。なお、衛星通信において双方向同時通信を行う場合、双方の通話周波数が同じだと混信するため、送信と受信の周波数を別々に設定し、衛星を介して双方向通信を行う。
【0024】
通信網16は、移動通信網を始めとする電話通信網や、インターネットを始めとするデータ通信網である。なお、通信網16は有線、無線を問わない。
【0025】
発信先18は、衛星携帯電話10からの発信を受け取る相手(の電話端末)である。本第1実施形態では、この発信先18には、衛星携帯電話10に予め登録された通報先としての緊急通報先20が含まれている。緊急通報先20としては、例えば警察や消防等が挙げられる。
【0026】
以上のような衛星携帯電話10の通信システム1では、衛星携帯電話10において電話が掛けられると、衛星携帯電話10が通信衛星12を介して電話の発信先18に発信(発呼)するようになっている。衛星携帯電話10と通信衛星12との通信は直接行なわれており、通信衛星12と発信先18との通信は通信網16に接続された衛星基地局/交換設備14が中継する。
【0027】
<携帯電話のハードウェア構成>
次に、衛星携帯電話10のハードウェア構成について説明する。
図2は、衛星携帯電話10の外部構成の一例を示す衛星携帯電話10の正面図である。
【0028】
衛星携帯電話10は、アンテナ30、受話部32、表示部34、操作部36、送話部38を備えている。
【0029】
アンテナ30は、電波を送信したり受信したりする装置である。なお、アンテナ30は複数でもよい。例えば、衛星用アンテナの他、後述するGPS(Global Posit ioning System)のためのGPSアンテナの2本でもよい。また、アンテナ30は衛星用アンテナとGPSアンテナ兼であってもよい。受話部32は、音声信号を音声として出力するための装置である。受話部32の例としてスピーカがある。表示部34は、文字や画像を表示するための装置である。表示部34の例としてLCD(Liquid Crystal Display) がある。操作部36は、信号の入力を行うための操作キーを有する装置である。送話部38は、音声を音声信号として入力するための装置である。送話部38の例としてマイクがある。
【0030】
図3は、衛星携帯電話10の内部構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0031】
衛星携帯電話10は、さらに、制御部40と、電源部42と、記憶部44と、通信部46と、を備えている。
【0032】
制御部40は、衛星携帯電話10内の各部を制御する。また、信号やデータを処理する。制御部40の例としてMPU(マイクロプロセッサ) がある。電源部42は、電力を供給するためのものである。電源部42の例としてバッテリーがある。記憶部44は、データを保存するためのものである。記憶部44の例としてRAM(Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)等のメモリがある。通信部46は、制御部40の制御に応じて、アンテナ30を介して衛星通信を行なう。通信部46は、本第1実施形態では、例えばトランシーバと、GPS受信機との組み合わせである。
【0033】
<携帯電話の機能構成>
次に、衛星携帯電話10の機能構成について説明する。
図4は、衛星携帯電話10の機能構成の一例を示すブロック図である。すなわち、同図は、制御部40が記憶部44に格納されているプログラムを実行することにより、他のハードウェアやソフトウェアと協働して、衛星携帯電話10において実現される各種の機能部の構成を示すものである。
【0034】
衛星携帯電話10は、受付部50と、検出部52と、データベースDBと、決定部54と、付与部56と、発信部58と、を有している。
【0035】
受付部50は、発呼(の指示)を受け付ける。言い換えれば、通話の開始指示を受け付ける。この受付部50は、第1実施形態では、ユーザによる操作部36の電話開始ボタンの押圧により、発呼を受け付ける。
【0036】
検出部52は、現在の衛星携帯電話10の位置情報を検出する。検出部52は、本第1実施形態では、GPS受信機を含んで構成されるが、このGPS受信機の代わりにICタグ等他の位置情報を検出する装置を含んでいてもよい。なお、位置情報とは、本第1実施形態では、衛星携帯電話10が位置する経度及び緯度であるが、これに限られない。
【0037】
データベースDBは、記憶部44に形成されているデータベースである。このデータベースDBには、経度緯度テーブルT1と、地域コードテーブルT2とが格納されている。
【0038】
経度緯度テーブルT1には、例えば
図5に示すように、日本国内全ての都道府県60(例えば北海道は、より詳細な市町村を含む)と、経度61A及び緯度61Bと、が対応付けて記憶されている。なお、
図5には図示していないものの、経度緯度テーブルT1には、日本全土の経度緯度が記憶されている。
【0039】
地域コードテーブルT2には、例えば
図6に示すように、都道府県60(例えば北海道は、より詳細な地域を含む)と、緊急通報先20の管轄地域の地域コード62と、が対応付けて記憶されている。
【0040】
図6に戻って、決定部54は、受付部50が発呼を受け付けた際に、発呼の発信先が登録された緊急通報先20である場合、経度緯度テーブルT1を参照して、検出部52で検出された位置情報に基づき、衛星携帯電話10(ユーザ)が位置する都道府県60を割り出す。そして、決定部54は、地域コードテーブルT2を参照して、割り出した都道府県60から、これに対応する地域コード62を決定する。
【0041】
付与部56は、緊急通報先20の識別コードとしての電話番号、すなわち受付部50が発呼を受け付けた際に入力された電話番号の後に、決定部54が決定した地域コード62を付与する。
【0042】
発信部58は、受付部50が発呼を受け付けた際、発呼(電話)の発信先が緊急通報先20である場合、緊急通報先20の電話番号に検出部52で検出された位置情報に基づいた地域コード62が付与された番号で、通信衛星12を介して発信する。言い換えれば、発信部58は、付与部56が地域コード62を付与した番号で、
図1に示すような通信システム1で発信する。
【0043】
<緊急通報>
次に、衛星携帯電話10による発呼(電話)の際に衛星携帯電話10内で行われる内部処理について説明する。
図7は、衛星携帯電話10による発呼の際に衛星携帯電話10内で行われる内部処理のフローチャートを示す図である。なお、以下、括弧中の識別符号は、
図7中のステップ識別符号と対応している。
【0044】
(ステップSP10)受付部50は、ユーザが電話したい発信先18の電話番号の入力があった後の電話開始ボタンの押圧等があった場合に、発呼を受け付ける。そして、受付部50は、次のステップSP12の処理に移行する。
【0045】
(ステップSP12)受付部50は、入力された電話番号に基づいて、発信先18が予め記憶部44に登録された緊急通報先20であるか否かを判定する。受付部50は、肯定判定した場合は次のステップSP14の処理に移行し、否定判定した場合はステップSP20の処理に移行する。
【0046】
(ステップSP14)受付部50は、検出部52に処理を渡す。処理を渡された検出部52は、当地の位置情報を検出する。そして、検出部52は、次のステップSP16の処理に移行する。
【0047】
(ステップSP16)検出部52は、検出した位置情報と共に決定部54に処理を渡す。処理を渡された決定部54は、経度緯度テーブルT1を参照して、検出部52から渡された位置情報に基づき、衛星携帯電話10が位置する都道府県60を割り出す。そして、決定部54は、地域コードテーブルT2を参照して、割り出した都道府県60から、これに対応する地域コード62を決定する。そして、決定部54は、次のステップSP18の処理に移行する。
【0048】
(ステップSP18)決定部54は、決定した地域コード62と共に付与部56に処理を渡す。処理を渡された付与部56は、受付部50が発呼を受け付けた際に入力された緊急通報先20の電話番号の後に、決定部54から渡された地域コード62を付与する。そして、付与部56は、次のステップSP20の処理に移行する。
【0049】
(ステップSP20)付与部56又は受付部50は、発信部58に処理を渡す。この際、付与部56が処理を渡す場合、緊急通報先20の電話番号の後に地域コード62を付与した番号も渡す。また、受付部50が処理を渡す場合、受付部50が発呼を受け付けた際に入力された緊急通報先20以外の番号を渡す。処理を渡された発信部58は、付与部56又は受付部50から渡された番号(コード)で、
図1に示すような通信システム1で発信する。そして、発信部58は、発信及び通話が終わった後、全体の処理を終える。
【0050】
<効果>
次に、本第1実施形態に係る衛星携帯電話10の効果について説明する。
【0051】
本第1実施形態に係る衛星携帯電話10は、発信部58を有するので、ユーザが緊急通報先20の電話番号を入力して電話をかけた際、例えばユーザが県境に居るときでも、検出部52で検出された位置情報に基づいて地域コード62が付与されてできる番号で発信することになる。この結果、どの位置に居るのか判断に困ることなく、適切でない(管轄外の)緊急通報先20に発信することが抑制される。言い換えれば、本第1実施形態では、通信衛星12を行なう衛星携帯電話10において、発呼の発信先18が地域コード62を付与すべき特定の通報先である場合に、より適切な通報先へ発信することができる。なお、本第1実施形態では、地域コード62は付与部56により自動的に付与したが、表示部34に表示された位置情報に基づいてユーザにより付与してもよい。
【0052】
また、本第1実施形態に係る衛星携帯電話10によれば、検出部52は、受付部50が発呼を受け付けた時に、位置情報の検出を行うので、直近の位置情報に基づいて地域コード62が付与されるので、さらにより適切な発信先18へ発信することができる。
【0053】
また、本第1実施形態に係る衛星携帯電話10によれば、緊急通報先20の電話番号に、位置情報に対応する地域コード62を付与する付与部56を有するので、ユーザは地域コード62を入力する必要がないため、どの県に居てどの地域コード62を入力すべきか判断に困ることがなく、適切でない(管轄外の)緊急通報先20に発信することが一層抑制される。
【0054】
また、本第1実施形態に係る衛星携帯電話10によれば、受付部50は、緊急通報先20の電話番号の入力がある時に、発呼を受け付けるので、ユーザが緊急通報先20の統一した電話番号のみを入力しても、全国あるうち適切な緊急通報先20へ発信することになるため、地域コード62の存在を気にしなくてもよい。
【0055】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態では、携帯電話の一例として衛星携帯電話について説明する。本第2実施形態に係る衛星携帯電話は、緊急通報先20の電話番号をユーザが入力しない点で第1実施形態に係る衛星携帯電話10と異なる。
【0056】
本第2実施形態に係る衛星携帯電話のハードウェア構成は、第1実施形態に係る衛星携帯電話10のものと同一である。
【0057】
図8は、本第2実施形態に係る衛星携帯電話の表示部34に表示される選択画面である。
【0058】
本第2実施形態に係る衛星携帯電話では、例えば表示部34に緊急通報先20として警察を示す警察通報アイコン64と消防を示す消防通報アイコン66とが表示される。これらのアイコン64,66は、それぞれが操作部36にて選択可能となっている。
【0059】
図9は、警察通報アイコン64が選択された際に本第2実施形態の衛星携帯電話内で行われる内部処理のフローチャートを示す図である。なお、以下、括弧中の識別符号は、
図9中のステップ識別符号と対応している。
【0060】
(ステップSP30)受付部50は、警察通報アイコン64が選択されたと判定して、発呼を受け付け、検出部52に処理を渡す。処理を渡された検出部52は、当地の位置情報を検出する。そして、検出部52は、次のステップSP32の処理に移行する。
【0061】
(ステップSP32)検出部52は、検出した位置情報と共に決定部54に処理を渡す。処理を渡された決定部54は、経度緯度テーブルT1を参照して、検出部52から渡された位置情報に基づき、衛星携帯電話10が位置する都道府県60を割り出す。そして、決定部54は、地域コードテーブルT2を参照して、割り出した都道府県60から、これに対応する地域コード62を決定する。そして、決定部54は、次のステップSP34の処理に移行する。
【0062】
(ステップSP34)決定部54は、決定した地域コード62と共に付与部56に処理を渡す。処理を渡された付与部56は、記憶部44が予め記憶している複数の電話番号(少なくとも警察と消防の電話番号)の中で選択された警察通報アイコン64に対応する電話番号の後に、決定部54から渡された地域コード62を付与する。そして、付与部56は、次のステップSP36の処理に移行する。
【0063】
(ステップSP36)付与部56は、緊急通報先20の電話番号の後に地域コード62を付与した番号と共に発信部58に処理を渡す。処理を渡された発信部58は、付与部56から渡された番号で、
図1に示すような通信システム1で発信する。そして、発信部58は、発信及び通話が終わった後、全体の処理を終える。
【0064】
図10は、消防通報アイコン66が選択された際に本第2実施形態の衛星携帯電話内で行われる内部処理のフローチャートを示す図である。なお、以下、括弧中の識別符号は、
図10中のステップ識別符号と対応している。
【0065】
(ステップSP40)受付部50は、消防通報アイコン66が選択されたと判定して、発呼を受け付け、検出部52に処理を渡す。処理を渡された検出部52は、当地の位置情報を検出する。そして、検出部52は、次のステップSP42の処理に移行する。
【0066】
(ステップSP42)検出部52は、検出した位置情報と共に決定部54に処理を渡す。処理を渡された決定部54は、経度緯度テーブルT1を参照して、検出部52から渡された位置情報に基づき、衛星携帯電話10が位置する所が、東京消防庁が管轄している否か判定する。決定部54は、肯定判定(決定)した場合にはステップSP46の処理に移行し、否定判定した場合にはステップSP44の処理に移行する。
【0067】
(ステップSP44)決定部54は、発信部58に処理を渡す。処理を渡された発信部58は、サービスエリア外であることを自動音声案内する番号に発信して、受話部32にて当該自動音声案内を流す。
【0068】
(ステップSP46)決定部54は、付与部56に処理を渡す。処理を渡された付与部56は、記憶部44が予め記憶している複数の電話番号(少なくとも警察と消防の電話番号)の中で選択された消防通報アイコン66に対応する電話番号の後に、東京都の地域コード62を付与する。そして、付与部56は、次のステップSP48の処理に移行する。
【0069】
(ステップSP48)付与部56は、緊急通報先20の電話番号の後に地域コード62を付与した番号と共に、発信部58に処理を渡す。処理を渡された発信部58は、付与部56から渡された番号で、
図1に示すような通信システム1で発信する。そして、発信部58は、発信及び通話が終わった後、全体の処理を終える。
【0070】
以上、本第2実施形態に係る衛星携帯電話によれば、ユーザは地域コード62だけでなく緊急通報先20の電話番号も入力する必要がないため、緊急通報先20の電話番号を入力し間違えることがなく、適切でない発信先18に発信することが一層抑制される。
【0071】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態では、携帯電話の一例として衛星携帯電話について説明する。本第3実施形態に係る衛星携帯電話は、警察通報アイコン64が選択された際に衛星携帯電話内で行われる内部処理のフローチャートの中で付与部56の処理が無い点が第2実施形態に係る衛星携帯電話と異なる。
【0072】
本第3実施形態に係る衛星携帯電話のハードウェア構成は、第2実施形態に係る衛星携帯電話のものと同一である。
【0073】
図11は、警察通報アイコン64が選択された際に本第3実施形態の衛星携帯電話内で行われる内部処理のフローチャートを示す図である。なお、以下、括弧中の識別符号は、
図11中のステップ識別符号と対応している。
【0074】
(ステップSP50)受付部50は、警察通報アイコン64が選択されたと判定して、発呼を受け付け、検出部52に処理を渡す。処理を渡された検出部52は、当地の位置情報を検出する。そして、検出部52は、次のステップSP32の処理に移行する。
【0075】
(ステップSP52)検出部52は、検出した位置情報と共に決定部54に処理を渡す。処理を渡された決定部54は、経度緯度テーブルT1を参照して、検出部52から渡された位置情報に基づき、衛星携帯電話10が位置する都道府県60を割り出す。そして、決定部54は、次のステップSP54の処理に移行する。
【0076】
(ステップSP54)決定部54は、都道府県60と警察の電話番号の後に地域コード62が予め付与された番号とが予め対応付けられたテーブル(不図示)を参照して、割り出した都道府県60から、これに対応する番号を決定する。そして、決定部54は、次のステップSP56の処理に移行する。
【0077】
(ステップSP56)決定部54は、決定した番号と共に発信部58に処理を渡す。処理を渡された発信部58は、付与部56から渡された番号で、
図1に示すような通信システム1で発信する。そして、発信部58は、発信及び通話が終わった後、全体の処理を終える。
【0078】
以上、本第3実施形態に係る衛星携帯電話によれば、付与部56の処理が無い分、衛星携帯電話の内部処理を簡略化できる。
【0079】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態では、携帯電話の一例としてセルラ通信と衛星通信の2つの通信方式に対応するデュアルモード携帯電話について説明する。
【0080】
衛星通信に係るデュアルモード携帯電話のハードウェア構成は、第1実施形態の衛星携帯電話10のものと同一のものを含んでいる。
【0081】
本第4実施形態に係るデュアルモード携帯電話は、セルラ通信を行なうことができる公知のスマートフォン(高機能携帯電話)に、ケース型の衛星携帯電話キットを装着することで、デュアルモードになっている。このデュアルモード携帯電話では、セルラ通信用の地上用アンテナと、衛星通信用の衛星用アンテナの2本を有しているが、1本で兼用してもよい。なお、上記「セルラ通信」とは、エリアをある一定の区画(セル)に分割し、各セルに基地局を配置する無線通信方式のことであるが、本第4実施形態では、より広い概念で、衛星通信以外で携帯電話が行うことができる通信方式全てを言うものとする。
【0082】
図12は、本第4実施形態に係るデュアルモード携帯電話100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0083】
デュアルモード携帯電話100は、既に説明した検出部52と、決定部54と、付与部56と、データベースDBの他に、アンテナ切替部102と、受付部104と、第1発信部106と、第2発信部108と、を有している。
【0084】
アンテナ切替部102は、デュアルモード携帯電話100がセルラ通信の通信エリアの圏外に移動した場合、地上用アンテナを衛星用アンテナに切り替える。また、デュアルモード携帯電話100がセルラ通信の通信エリアの圏内に移動した場合、衛星用アンテナを地上用アンテナに切り替える。また、アンテナ切替部102は、上記切り替えの際に、どちらに切り替えたかを受付部104に通知する。
【0085】
受付部104は、アンテナ切替部102から地上用アンテナに切り替えた旨の通知を受け取っている間は、ユーザによる操作部36の電話開始ボタンの押圧等により発呼を受け付けると、第1発信部106に処理を渡す。一方で、受付部104は、アンテナ切替部102から衛星用アンテナに切り替えた旨の通知を受け取っている間は、ユーザによる操作部36の電話開始ボタンの押圧等により発呼を受け付けると、電話の発信先が緊急通報先20である場合は検出部52に処理を渡し、電話の発信先が緊急通報先20以外の場合は第2発信部108に処理を渡す。
【0086】
第1発信部106は、基地局を介してセルラ通信を行い発信する。
【0087】
第2発信部108は、通信衛星12を介して衛星通信を行い発信する。第2発信部108は、付与部56が処理を渡された場合、検出部で52検出された位置情報に基づいた緊急通報先20の管轄地域の地域コードが緊急通報先20の電話番号に付与された番号で、通信衛星12を介して発信する。
【0088】
以上、本第4実施形態に係るデュアルモード携帯電話100によれば、第1発信部106によるセルラ通信が圏外である場合に、ユーザが緊急通報先20の統一した電話番号のみを入力しても、全国あるうち適切な緊急通報先20へ発信することになるため、地域コード62の存在を気にしなくてもよい。
【0089】
(変形例)
以上、本願の開示する技術の複数の実施形態について説明したが、本願の開示する技術は、上記に限定されるものではない。
【0090】
例えば、
図7に示すステップSP16では、決定部54は、位置情報に基づき、衛星携帯電話10が位置する都道府県60を割り出した後、この都道府県60から、これに対応する地域コード62を決定する場合を説明した。しかしながら、決定部54は、経度及び緯度と地域コード62とが対応付けて記憶されたテーブル(不図示)を参照して、位置情報に基づき、地域コード62を直接決定してもよい。
【0091】
また、
図7に示すステップSP20では、発信部58は、表示部34に対して地域コード62に対応する管轄地域を表示させ、操作部36での操作入力による確認を受け付けた場合にのみ、発信を行うようにしてもよい。発信部58は、操作入力による確認を受け付けなかった場合は、ユーザに地域コード62を入力させるか、或いは地域コード62のリストから選択させて、選択された地域コード62を含んだ緊急通報先20の電話番号に発信する。
【0092】
また、上記実施形態では日本国内での緊急通報を一例として挙げたが、他の国での緊急通報であっても本発明を適用可能である。