(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972270
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】センサアセンブリ
(51)【国際特許分類】
G01B 7/14 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
G01B7/14
【請求項の数】38
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-533266(P2013-533266)
(86)(22)【出願日】2011年7月25日
(65)【公表番号】特表2014-500479(P2014-500479A)
(43)【公表日】2014年1月9日
(86)【国際出願番号】GB2011001103
(87)【国際公開番号】WO2012049443
(87)【国際公開日】20120419
【審査請求日】2014年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】511294198
【氏名又は名称】フューチャー テクノロジー(センサーズ)リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Future Technology(Sensors)Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(72)【発明者】
【氏名】エリオット,ハワード
【審査官】
神谷 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−506958(JP,A)
【文献】
特表2000−504836(JP,A)
【文献】
特開平05−215582(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/061471(WO,A2)
【文献】
特表平04−504304(JP,A)
【文献】
特開平08−162839(JP,A)
【文献】
特開平10−079616(JP,A)
【文献】
特開平11−235961(JP,A)
【文献】
特開2001−224478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00− 7/34
G01D 5/00− 5/252
G01D 5/39− 5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心層と、
前記中心層を略囲み、センサ本体の前端部に沿って延出して窓層を構成する外側の絶縁層と、
前記中心層と前記窓層の間を含む、前記中心層と前記外側の絶縁層の間に構成される導電性の電極層を有し、
前記窓層は、無孔性のセラミックにより構成されて、前記センサ本体を構成する層の間のあらゆる境界面から気体を遮断して密封状態とする一方、前記中心層と前記外側の絶縁層は、同じ非導電性のセラミック材料から予め別々のバルク状の構成要素として形成されたものであり、前記中心層と前記外側の絶縁層が互いに接合されて一体的な多層のセンサ本体を構成するようになっている
ことを特徴とするセンサ本体。
【請求項2】
前記外側の絶縁層は、主要部と、前記センサ本体の前記窓層を構成する窓部を有する一体品とされている請求項1に記載のセンサ本体。
【請求項3】
前記外側の絶縁層は、主要部と、前記主要部と接合されて前記センサ本体の前記窓層を構成する別体の円盤状部を有する二分割品とされている請求項1に記載のセンサ本体。
【請求項4】
前記セラミック材料が無孔性とされている請求項1に記載のセンサ本体。
【請求項5】
前記窓層が電磁放射に対して略透過性を有しているとされている請求項1に記載のセンサ本体。
【請求項6】
前記電極層が、前記中心層を構成するセラミック製の構成要素および/または前記外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素に対して、前記セラミック製の構成要素の両方が互いに接合されて前記センサ本体を構成する前に、コーティングとして適用されている請求項1に記載のセンサ本体。
【請求項7】
前記電極層が1つ以上の層もしくはコーティングを含んで構成されている請求項1に記載のセンサ本体。
【請求項8】
前記電極層が、導電性のセラミック材料やセラミック混合材料や金属や金属合金やそれらを任意に配合したものから構成されている請求項1に記載のセンサ本体。
【請求項9】
前記電極層がチタンあるいはチタン合金から構成されている請求項8に記載のセンサ本体。
【請求項10】
前記電極層が窒化チタンから構成されている請求項8に記載のセンサ本体。
【請求項11】
前記電極層が、ろう付け用合金層のみ、あるいは導電性のセラミック材料やセラミック混合材料や金属や金属合金と結合したろう付け用合金層を含んで構成されている請求項8に記載のセンサ本体。
【請求項12】
導電性のシールド層が、前記中心層と前記外側の絶縁層の間に配設されている請求項1に記載のセンサ本体。
【請求項13】
前記シールド層が、内側の絶縁層によって前記電極層と離隔されている一方、前記中心層や前記外側の絶縁層や前記内側の絶縁層が、同じ非導電性のセラミック材料から予め別々の構成要素として構成されたものであり、前記中心層と前記外側の絶縁層が互いに接合されてセンサ本体を構成している請求項12に記載のセンサ本体。
【請求項14】
前記シールド層が、前記内側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素および/または前記外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素に対して、前記セラミック製の構成要素の両方が互いに接合されて前記センサ本体を構成する前に、コーティングとして適用されている請求項13に記載のセンサ本体。
【請求項15】
前記シールド層が1つ以上の層もしくはコーティングを含んで構成されている請求項12に記載のセンサ本体。
【請求項16】
前記シールド層が、導電性のセラミック材料やセラミック混合材料や金属や金属合金やそれらを任意に配合したものから構成されている請求項12に記載のセンサ本体。
【請求項17】
前記シールド層がチタンあるいはチタン合金から構成されている請求項16に記載のセンサ本体。
【請求項18】
前記シールド層が窒化チタンから構成されている請求項16に記載のセンサ本体。
【請求項19】
前記シールド層が、ろう付け用合金層のみ、あるいは導電性のセラミック材料やセラミック混合材料や金属や金属合金と結合したろう付け用合金層を含んで構成されている請求項16に記載のセンサ本体。
【請求項20】
さらに放射状のフランジを含んで構成されている請求項1に記載のセンサ本体。
【請求項21】
中心層と、
前記中心層を略囲む外側の絶縁層と、
前記中心層と前記外側の絶縁層の間に構成された導電性の電極層を有し、
前記中心層と前記外側の絶縁層が同じ非導電性のセラミック材料から予め別々のバルク状の構成要素として形成されたものであり、前記中心層と前記外側の絶縁層が互いに接合されており、
前記電極層が、少なくとも一部分はチタンやチタン合金や窒化チタンから構成されている一方、
前記外側の絶縁層が、センサ本体の前端部に沿って延出して窓層を構成する一方、前記窓層は、無孔性のセラミックにより構成されて、前記センサ本体を構成する層の間のあらゆる境界面から気体を遮断して密封状態とする
ことを特徴とする同軸のセンサ本体。
【請求項22】
前記電極層が、前記中心層と前記窓層間に延び出して構成されている請求項21に記載の同軸のセンサ本体。
【請求項23】
前記中心層と前記外側の絶縁層が、予め別々の構成要素として形成されたものであり、前記中心層と前記外側の絶縁層が互いに接合されて一体的な多層のセンサ本体を構成するようになっている請求項21に記載の同軸のセンサ本体。
【請求項24】
中心層と、
前記中心層を略囲む外側の絶縁層と、
前記中心層と前記外側の絶縁層の間に構成された導電性の電極層と、
前記中心層と前記外側の絶縁層の間に構成され、内側の絶縁層によって前記電極層と離隔された導電性のシールド層を有し、
前記中心層と前記外側の絶縁層と前記内側の絶縁層が同じ非導電性のセラミック材料から予め別々のバルク状の構成要素として形成されたものであり、前記中心層と前記外側の絶縁層と前記内側の絶縁層が互いに接合されており、
前記電極層と前記シールド層の一方もしくは両方が、少なくとも一部分はチタンやチタン合金や窒化チタンから構成されている一方、
前記外側の絶縁層が、センサ本体の前端部に沿って延出して窓層を構成する一方、前記窓層は、無孔性のセラミックにより構成されて、前記センサ本体を構成する層の間のあらゆる境界面から気体を遮断して密封状態とする
ことを特徴とする三重同軸のセンサ本体。
【請求項25】
前記電極層が、前記中心層と前記窓層間に延び出して構成されている請求項24に記載の三重同軸のセンサ本体。
【請求項26】
前記中心層と前記外側の絶縁層と前記内側の絶縁層が、予め別々のバルク状の構成要素として形成されたものであり、前記中心層と前記外側の絶縁層と前記内側の絶縁層が互いに接合されて一体的な多層のセンサ本体を構成するようになっている請求項24に記載の三重同軸のセンサ本体。
【請求項27】
(a)中心層と、
前記中心層を略囲み、センサ本体の前端部に沿って延出して窓層を構成する外側の絶縁層と、
前記中心層と前記窓層の間を含む、前記中心層と前記外側の絶縁層の間に構成される導電性の電極層と、
放射状のフランジを有し、
前記窓層は、無孔性のセラミックにより構成されて、前記センサ本体を構成する層の間のあらゆる境界面から気体を遮断して密封状態とする一方、前記中心層と外側の絶縁層は、同じ非導電性のセラミック材料から予め別々のバルク状の構成要素として形成されたものであり、前記中心層と前記外側の絶縁層が互いに接合されて一体的な多層のセンサ本体を構成するようになっているセンサ本体と、
(b)前記センサ本体の前記放射状のフランジが受け入れられる環状の溝を有するハウジングを有し、
前記環状の溝は、一対の対向する肩部によって構成されている一方、前記一対の対向する肩部は各々、環状の面と略円柱状の面を含んで構成されており、
前記肩部の前記環状の面は、前記フランジの環状の面に滑り接触して、前記フランジに圧縮荷重を印加するようになっている
ことを特徴とするセンサアセンブリ。
【請求項28】
前記ハウジングは2つのハウジング部から成り、第1のハウジング部内には一方の前記対向する肩部が形成されている一方、第2のハウジング部内には他方の前記対向する肩部が形成されている請求項27に記載のセンサアセンブリ。
【請求項29】
前記第1のハウジング部が、前記第2のハウジング部に対して固定されている請求項28に記載のセンサアセンブリ。
【請求項30】
前記センサ本体が前記ハウジングに対して固定されていない請求項28に記載のセンサアセンブリ。
【請求項31】
前記ハウジングと前記フランジの前記環状の面間の圧縮荷重下での滑り接触により、前記ハウジングと前記センサ本体間が密封されるようになっている請求項28に記載のセンサアセンブリ。
【請求項32】
バルク状の中心の構成要素を提供する工程と、
前記中心の構成要素と同じ非導電性のバルク状のセラミック材料から構成され、穴を有する外側の絶縁性の構成要素を前記中心の構成要素とは別体の構成要素として提供する工程と、
前記中心の構成要素および/または前記外側の絶縁性の構成要素の前記穴に対するコーティングとして導電性の電極層を適用する工程と、
前記穴内に前記中心の構成要素を配設する工程と、
前記中心の構成要素と前記外側の絶縁性の構成要素を互いに接合して、一体的な多層のセンサ本体を構成する工程を備え、
前記センサ本体が、中心層と、前記中心層を略囲み、前記センサ本体の前端部に沿って延出して、前記センサ本体を構成する層間のあらゆる境界面から気体を遮断するように密封する窓層を無孔性のセラミックで構成する、外側の絶縁層と、前記中心層と前記窓層の間を含む、前記中心層と前記外側の絶縁層の間に設けられた前記導電性の電極層と、を含んで構成されている
ことを特徴とする同軸のセンサ本体の製造方法。
【請求項33】
前記外側の絶縁性の構成要素が、主要部と、前記センサ本体の前記窓層を構成する窓部とを有する一体品とされている一方、前記窓部が、前記中心の構成要素が配設された行き止まりの穴の閉端によって構成されている請求項32に記載の同軸のセンサ本体の製造方法。
【請求項34】
前記外側の絶縁性の構成要素は、主要部と、前記主要部と接合されて、前記中心の構成要素が配設され且つ前記センサ本体の前記窓層を構成する開口する穴の端部を塞ぐ別体の円盤状部とを有する二分割品とされている請求項32に記載の同軸のセンサ本体の製造方法。
【請求項35】
バルク状の中心の構成要素を提供する工程と、
前記中心の構成要素と同じ非導電性のセラミック材料から構成され、穴を有する内側の絶縁性のバルク状の構成要素を前記中心の構成要素とは別の構成要素として提供する工程と、
前記内側の絶縁性のバルク状の構成要素と同じ非導電性のセラミック材料から構成され、穴を有する外側の絶縁性のバルク状の構成要素を前記中心の構成要素および前記内側の絶縁性のバルク状の構成要素とは別の構成要素として提供する工程と、
前記中心の構成要素および/または前記内側の絶縁性の構成要素の前記穴に対するコーティングとして導電性の電極層を適用する工程と、
前記穴内に前記中心の構成要素を配設する工程と、
前記内側の絶縁性の構成要素および/または前記外側の絶縁性の構成要素の前記穴に対するコーティングとして導電性のシールド層を適用する工程と、
前記穴内に前記中心の構成要素と前記内側の絶縁性の構成要素を配設する工程と、
前記中心の構成要素と前記内側の絶縁性の構成要素と前記外側の絶縁性の構成要素を互いに接合して、一体的な多層のセンサ本体を構成する工程を備え、
前記センサ本体が、中心層と、前記中心層を略囲み、前記センサ本体の前端部に沿って延出して、前記センサ本体を構成する層間のあらゆる境界面から気体を遮断するように密封する窓層を無孔性のセラミックで構成する、外側の絶縁層と、前記中心層と前記窓層の間を含む、前記中心層と前記外側の絶縁層の間に設けられた導電性の電極層と、
前記中心層と前記外側の絶縁層の間に配設され且つ内側の絶縁層によって前記電極層から離隔されている前記導電性のシールド層と、を含んで構成されている
ことを特徴とする三重同軸のセンサ本体の製造方法。
【請求項36】
前記外側の絶縁性の構成要素は、主要部と、前記センサ本体の前記窓層を構成する窓部とを有する一体品とされている一方、前記窓部が、前記中心の構成要素と前記内側の絶縁性の構成要素が配設された行き止まりの穴の閉端によって構成されている請求項35に記載の三重同軸のセンサ本体の製造方法。
【請求項37】
前記外側の絶縁性の構成要素は、主要部と、前記主要部と接合されて、前記中心の構成要素と前記内側の絶縁性の構成要素が配設され且つ前記センサ本体の前記窓層を構成する開口する穴の端部を塞ぐ別体の円盤状部とを有する二分割品とされている請求項35に記載の三重同軸のセンサ本体の製造方法。
【請求項38】
前記中心の構成要素と前記内側の絶縁性の構成要素は、前記外側の絶縁性の構成要素中に形成される前記穴内に配設される前に、互いに接合されるようになっている請求項35に記載の三重同軸のセンサ本体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンサアセンブリに係り、特に、セラミック製のセンサ本体を組み込んだ、高温の動作環境で使用可能なセンサアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
公知のセンサアセンブリは一般的に、セラミック製の構成要素と金属製の構成要素の複合体から構成されており、これらの構成要素は従来のろう付け工程を用いて互いにろう付けされている。このような公知のセンサアセンブリには、金属製のハウジングが含まれていてもよい。また、この金属製のハウジングの内径には、金属でコーティングされたアルミナ製ブッシュがろう付けされている。さらに、ブッシュの内径には、センサ本体がろう付けされている。
【0003】
センサ本体には、例えば、金属や,導電性セラミックや,表面に金属等の導電材料が堆積されることにより導電性とされた非導電性セラミックや,もしくは導電性のセラミック・金属混合物、の層が一層以上設けられている。このような導電層は、電極や検知部品やシールド層を形成するのに用いられる。一方非導電層は、導電層の間に配設され、絶縁性のスペーサを構成する。センサ本体を構成する層は予め形成されており、隣接する層と接合したり、あるいは任意の適当な堆積工程を用いて隣接する層上に堆積される。もしセンサ本体を構成する外側の層が略セラミック材料により構成されているならば、その外面は、センサ本体が中間ブッシュを必要とすることなく従来のろう付け工程を用いてハウジングに直接ろう付けできるように、金属でコーティングされている。
【0004】
センサアセンブリの金属製のハウジング部品は、ブッシュとセンサ本体もしくはどちらか一方と熱膨張係数が略等しいように特別に作られた低膨張合金から構成されていてもよい。この場合は、もしセンサアセンブリが動作中高温にさらされていても、個々の構成要素間の熱ストレスが最小になるように、ハウジングやブッシュやセンサ本体全てが同じ割合で膨張する。
【0005】
低膨張合金使用時の問題は、500℃付近で酸化され易いことである。このことは、センサアセンブリの動作温度の上限を決めることになる。より高温での使用が可能で、熱膨張係数がブッシュとセンサ本体もしくはどちらか一方と略等しいような金属を見つけるのは困難である。そこで従来は、「アクティブブレーズ(能動的ろう付け)」と呼ばれるプロセスを用いて行われてきた。このプロセスでは、金属のコーティングを必要とすることなくある種のセラミック材料を金属にろう付けすることを可能とすると共に、2つの異なる材料が異なる熱膨張係数を持つことをある程度可能にする。しかしながら、実際には、アクティブブレーズによる合金の動作温度の上限は、およそ800℃が限界であり、未だ不十分である。また使用をある程度可能にするために必要とされるコーティングは500℃以下で酸化され易くなる上に、酸化の影響を最小限に抑えるためにはろう付けの境界面を密封することが必要となる。
【0006】
さらなる問題は、熱膨張の結果、センサアセンブリの構成要素間に大きなズレが生じることである。この大きなズレは、コーティングの厚さを増やすことによってのみ調整が可能であるが、これによりセンサアセンブリの設計の自由度を狭めることになってしまう。
【0007】
多くの産業用測定分野では、静止している物体や動いている物体の距離を高い動作温度で測れるセンサアセンブリが必要とされている。例えば、ガスタービンエンジンの羽根の先端とそれを取り囲むケースとの間の隙間の測定である。この場合のセンサアセンブリの動作温度は1500℃に達する。この他、溶けた金属や溶けたガラスのレベルの測定にも、同程度の動作温度が必要とされる。
【0008】
米国特許第5760593号公報や米国特許第4804905号公報に、静止している物体や動いている物体と静電結合する電極、を有するセンサアセンブリが記載されている。なお電極は、任意で金属コーティングあるいは金属層の形態とされ得る。また、電極は、標準的な三重同軸伝送ケーブルの中心導体と接続されている一方、金属製のシールドと金属製の外側のハウジングによって囲まれている。このシールドと外側のハウジングは、三重同軸伝送ケーブルの中間導体と外部導体に、それぞれ直接接続されている。絶縁層は、電極とシールドの間、およびシールドと外部ハウジングの間、に設けられている。絶縁層は、例えば、機械加工されたセラミック製のスペーサや堆積されたセラミック層の形態であってもよい。
【0009】
このような従来のセンサでは、1つの問題として、通常金属材料とセラミック材料が交互に組み合わされて用いられていることがある。センサアセンブリの動作温度が高くなるに従って、金属製の構成要素がセラミック製の構成要素よりも膨張する傾向にある。このことはしばしばセラミック製のスペーサや層に割れ目を生じることとなり、それらの電気的特性を劣化させ、さらにはセラミック製の構成要素の分離や剥離が生じるおそれがある。このことは、センサアセンブリに電気的な不具合を生じさせるだけでなく、セラミック製の構成要素の分離や剥離は、金属製の構成要素が振動したり、センサアセンブリ全体に機械的な故障を生じる原因となる。同様の問題は、導電性のセラミックが使われている場合にも発生する、というのは、それぞれの熱膨張係数の少しの違いがセンサアセンブリの予測される寿命に対して重要であるからである。熱膨張差はまた測定精度の低下の原因ともなる。
【0010】
ガスタービンエンジン製造業は、今や量産に適したセンサとして少なくとも2万時間以上の動作寿命を要求している。従来のセンサは短時間であれば高い動作温度でも使用可能であるが、金属とセラミック(もしくはセラミックとセラミック)の熱膨張特性の違いに起因するセンサアセンブリ固有の弱点のため、要求される寿命は達成できそうもない。
【0011】
さらに、従来のセンサアセンブリでは、センサの特性を低下させる湿気が浸透し易い。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、中心層と、中心層を略囲みセンサ本体の前端部に延出して窓層を形成する外側の絶縁層と、中心層と窓層の間を含む中心層と外側の絶縁層の間に設けられた導電性の電極層とを有し、窓層は
無孔性のセラミックにより構成されて、センサ本体を構成する層の間の境界面から気体を遮断し密封状態とする一方、中心層と外側の絶縁層は同じ非導電性セラミック材料を用いてそれぞれ予め別々の
バルク状の構成要素として形成されたものであり、中心層と外側の絶縁層が互いに接合されて一体的な多層のセンサ本体を構成するようになっている、センサ本体を提供する。
【0013】
非導電性材料として、好ましくは、例えば窒化ケイ素(SiN)のような、無孔性のセラミック材料が使われることが望ましい。
【0014】
センサ本体の前端部は、通常、例えば高温に晒されるセンサ本体のパーツとされている。
【0015】
それ故、電極層は、センサ本体の前面から離隔して配設されており、絶縁層によって略囲まれている(即ち、完成したセンサ本体内に略埋め込まれている)。電極層は、センサ本体の後面に露出して、直接的あるいは間接的に中間の導電ブリッジによって、同軸あるいは三重同軸の伝送ケーブルの内側の導体に、接続可能とされていてもよい。
【0016】
窓層による密封は、気体(例えば空気)が全ての内部の境界面に対して遮断されていることを意味している。このことはまた、センサ本体に使われる材料の範囲や設計の自由度が広がることを意味している。さらに、センサ本体を構成する層が酸化されないようにされていることから、センサアセンブリが高温(例えば、およそ1500℃に達するような)に晒されることを可能とするのである。
【0017】
窓層は、好ましくは電磁放射に対して略透過性を有していることが望ましい。
【0018】
電極層は、測定信号を外部の信号処理装置に送る、同軸あるいは三重同軸の伝送ケーブルの内側の中心導体に接続される。もしセンサ本体がセンサアセンブリ(以下参照)の一部として金属製の外側ハウジング内に嵌め込まれているのであれば、外側ハウジングは、同軸あるいは三重同軸の伝送ケーブルの外部導体に接続される。
【0019】
外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素(もしくは本体)は、主要部と、センサ本体の窓層を構成する窓部と、を有する一体品とされていてもよい。また窓部は、構成要素内の行き止まりの穴の閉端であってもよい。あるいは、セラミック製の構成要素は、主要部と、主要部に接合され且つセンサ本体の窓層を構成する別体の円盤状部と、の2つの部分からなる二分割品とされていてもよい。円盤状部は、その外縁部表面を主要部の内面に接合することにより穴の一端を塞ぐように主要部の穴中に配設されていてもよいし、主要部の環状の前面に接合するようにされていてもよい。円盤状部は、主要部と同じ、非導電性で、好ましくは無孔性のセラミックにより構成されていることが望ましい。そして主要部と接合後に機械加工される。
【0020】
三重同軸のセンサ本体の場合、導電性のシールド(又はガード)層は、中心層と外側の絶縁層の間に配設されている。シールド層は、中心層や外側の絶縁層と同じ非導電性のセラミック材料で構成されている内側の絶縁層によって、電極層から離隔されている。シールド層は、三重同軸の伝送ケーブルの中間導体と接続されている。シールド層と中間導体間(および金属製の外側ハウジングと外側導体間)の接続は、センサ本体の後端部に接続され且つセンサ本体から低温領域に向かって延びる中間の導電性ブリッジによって、直接的あるいは間接的に行われている。
【0021】
バルク組成の層(例えば、中心層や絶縁層)は同じ非導電性のセラミック材料から構成されていることから、熱膨張率の違いに起因する問題は実際上は除去される。
【0022】
電極層は、1つ以上の層あるいはコーティングにより構成されている。電極層の材料としては、導電性のセラミック材料,セラミック混合材料,金属,金属合金,それらを配合したもの、など任意に選択可能であり、また、ろう付け用合金層のみ、あるいは1つ以上の前述材料と結合したろう付け用合金層を含んでいてもよい。電極層は、任意で適当な堆積工程を用いて、中心層を構成するセラミック製の構成要素、および/又は外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素、に対してコーティングとして適用されてもよい。
【0023】
シールド層は、1つ以上の層あるいはコーティングにより構成されている。シールド層の材料としては、導電性のセラミック材料,セラミック混合材料,金属,金属合金,それらを配合したもの、など任意に選択可能であり、また、ろう付け用合金層のみ、あるいは1つ以上の前述材料と結合したろう付け用合金層を含んでいてもよい。シールド層は、任意で適当な堆積工程を用いて、内側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素、および/又は外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素、に対してコーティングとして適用されてもよい。コーティングは、電極層と同軸且つ内側の絶縁層によって電極層から離隔されている、略円柱状のシールド層を構成する。
【0024】
同軸のセンサ本体(シールド層がない)の場合、中心層を構成するセラミック製の構成要素は、電極層で前もってコーティングされていると共に、外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素の穴の中に配設されている。あるいは、外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素の穴が、中心層を構成するセラミック製の構成要素がその中に配設される前に、電極層で前もってコーティングされていてもよい。その穴は、一般的に、窓層を構成するセラミック製の本体の前端部の行き止まりに設けられた閉じられた穴である。より詳細には、閉じられた穴の閉端は、外側の絶縁性の構成要素の窓部により構成されている。外側の絶縁性の構成要素の窓部は、構成要素の主要部と接合された前述の如き別々に予め形成されたセラミック製の円盤として提供されていてもよい。そして、中心層と外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素は、電極層として使われている材料の種類を考慮して、例えば、焼結や拡散接合やろう付け等の適当なプロセスを用いて互いに接合される。
【0025】
三重同軸のセンサ本体の場合、中心層を構成するセラミック製の構成要素は、予め電極層でコーティングされ、内側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素中の穴の中に配設される。あるいは、内側の絶縁層を構成するセラミック
製の構成要素の中の穴は、中心層を構成するセラミック製の構成要素がその中に配設される前に、予め電極層でコーティングされる。そして、中心層および内側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素は、電極層として使われている材料の種類を考慮して、例えば、焼結や拡散接合やろう付け等の適当なプロセスを用いて互いに接合される。内側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素は、シールド層で予めコーティングされ、外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素中の穴の中に配設される。あるいは、外側の絶縁層を構成するセラミック
製の構成要素の中の穴は、中心層及び内側の絶縁層を構成する接合されたセラミック製の構成要素がその中に配設される前に、シールド層で予めコーティングされる。その穴は、一般的に、窓層を構成するセラミック製の本体の前端部の行き止まりに設けられた閉じられた穴である。より詳細には、閉じられた穴の閉端は、外側の絶縁性の構成要素の窓部によって構成されている一方、外側の絶縁性の構成要素の窓部は、構成要素の主要部と接合された前述の如き別々に予め形成されたセラミック製の円盤として設けられていてもよい。そして、内側および外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素は、電極層やシールド層として使われている材料の種類を考慮して、例えば、焼結や拡散接合やろう付け等の適当なプロセスを用いて互いに接合される。代わりのプロセスでは、中心層や内側の絶縁層や外側の絶縁層を構成するセラミック製の構成要素は、電極層やシールド層で適切な方法で予めコーティングされ、焼結や拡散接合やろう付け等の適当なプロセスを用いて単一工程で互いに接合される。
【0026】
外側の絶縁層が2つの別々の構成要素、例えば主要部と円盤状の部分、から構成されている場合は、中心層(同軸のセンサ本体)を構成するセラミック製の構成要素、あるいは中心層及び内側の絶縁層(三重同軸のセンサ本体)を構成する接合されたもしくは接合されていないセラミック製の構成要素が、外側の絶縁性の構成要素の中の穴に挿入される前に、それらが全体構成を形作るように互いに接合されていてもよい。あるいは、主要部と円盤状の部分は、主たる接合プロセスにおいて、全体構成を形作るように互いに接合されていてもよい。
【0027】
同軸や三重同軸のセンサ本体を形成するのに使われる種々のセラミック製の構成要素(あるいは本体)は、例えば非焼結や部分焼結や完全焼結のセラミック材料から形成されていてもよい。
【0028】
また本発明は、同軸のセンサ本体を提供する。同軸のセンサ本体は、中心層と、中心層を略囲む外側の絶縁層と、中心層と外側の絶縁層の間に設けられた導電性の電極層を有し、中心層と外側の絶縁層が同じ非導電性のセラミック材料から構成されている一方、電極層の少なくとも一部分が、チタンやチタン合金や窒化チタンから構成されていることを特徴とする。
【0029】
さらに本発明は、三重同軸のセンサ本体を提供する。三重同軸のセンサ本体は、中心層と、中心層を略囲む外側の絶縁層と、中心層と外側の絶縁層の間に設けられた導電性の電極層と、中心層と外側の絶縁層の間に設けられた導電性のシールド(もしくはガード)層を有し、シールド層は内側の絶縁層によって電極層から離隔されており、中心層と外側の絶縁層と内側の絶縁層が同じ非導電性のセラミック材料から構成されている一方、電極層とシールド層の一方もしくは両方の少なくとも一部分が、チタンやチタン合金や窒化チタンから構成されていることを特徴とする。
【0030】
同軸のセンサ本体と三重同軸のセンサ本体のいずれにおいても、外側の絶縁層が、センサ本体の前端部に沿って延出し、センサ本体を構成する層間のあらゆる境界面から気体を遮断して密封状態とする窓層を構成している。電極層は、中心層と窓層の間に延び出して構成されていてもよい。中心層と外側の絶縁層(と内側の絶縁層)は別々の構成要素として形成され、互いに接合されて、一体的な多層のセンサ本体を構成する。センサ本体の残りの特徴について、以下に概要を示す。
【0031】
電極層および/またはシールド層の一部にチタンやチタン合金や窒化チタンを使用することは、思いがけないことにセンサ本体完成品の品質を著しく改善することになった。
【0032】
センサ本体、より詳細には外側の絶縁層が、センサアセンブリを構成する外側ハウジング内に嵌め込み可能な放射状のフランジを含んで構成されている。ハウジングは、センサ本体の放射状のフランジが嵌合される環状の溝を有しており、環状の溝は、それぞれ環状の面と略円柱状の面を有する一対の対向する肩部によって構成されている。肩部の環状の面は、好ましくはフランジの環状の面と滑り接触して、圧縮荷重が加わるようになっていることが望ましい。
【0033】
センサ本体は、ハウジングに対して(例えばろう付けのように)物理的に固定されるのではなく、肩部の環状の面によってフランジに付加される圧縮荷重によりハウジング内に堅く固定されているのである。このセンサアセンブリの特有な構造は、熱膨張差による深刻な問題がないこと、またそれ故センサアセンブリは本質的に高温動作に適していることを意味している。以下に詳細を示すように、センサアセンブリを従来のろう付けプロセスを用いて作る際に、費用効果がある。
【0034】
ハウジングは、欧州特許第2330408号公報(フューチャー テクノロジー(センサーズ)社)に記載のように、好ましくは高融点金属から構成され且つ2つの部分からなることが望ましい。より詳細には、対向する肩部の一方は、好ましくは第1のハウジング部に形成されていることが望ましく、対向する肩部の他方は、好ましくは第2のハウジング部に形成されていることが望ましい。第1および第2のハウジング部は、センサ本体の放射状のフランジが受け入れられる環状の溝を構成する肩部を重ね合わせることにより、2つの部分からなるハウジングを構成するように互いに固定されるようになっている。それ故、フランジは通常、適用された圧縮荷重により2つのハウジング部の間に収容されるようになっている。
【0035】
第1のハウジング部は、好ましくは第2のハウジング部にろう付け材によりろう付けされていることが望ましい。あらゆる適当なろう付け材が使用可能である。
【0036】
ハウジングとフランジの環状の表面間の滑り接触は、圧縮荷重下において、好ましくはハウジングとセンサ本体間を密封していることが望ましい。密封状態は、センサアセンブリが高温に晒されている時も維持されている。
【0037】
センサアセンブリの製造方法は、放射状のフランジを有するセンサ本体を準備する工程と、センサ本体の放射状のフランジが受け入れられる環状の溝を有する2つの部分からなるハウジング内にセンサ本体を配設する工程と、ここで環状の溝は各々環状の面と略円柱状の面を有する一対の対向する肩部によって構成されており、一対の肩部のうち一方の肩部は第1のハウジング部に形成され、もう一方の肩部は第2のハウジング部に形成されている、そして肩部の環状の面をフランジの環状の面に接触させる工程と、(i)第1および第2のハウジング部が熱膨張している期間センサアセンブリを特定のろう付け温度まで上げる(ii)第1および第2のハウジング部に融けたろう付け材を供給する(iii)2つの部分からなるハウジングを完成するように第1および第2のハウジング部を互いにろう付け材で固めるためにセンサアセンブリの温度を下げ且つその間第1および第2のハウジング部がフランジに圧縮荷重を与える熱収縮状態におかれることにより、2つの部分からなるハウジングを完成するように第1および第2のハウジング部を互いにろう付けする工程と、を含んで構成されている。
【0038】
好ましくは、第1および第2のハウジング部は、それぞれろう付け面が接触乃至は近接されて、センサ本体を略囲むように互いに組み付けられることが望ましい。ろう付け工程の間、センサアセンブリが特定のろう付け温度まで上がる際に、第1および第2のハウジング部は、対向する肩部の環状の面とフランジの環状の面が直接接触した状態に維持されるように荷重が加わっていることが望ましい。より詳細には、肩部の環状の面は、好ましくは第1および第2のハウジング部が軸方向に互いに押し合う荷重を加えることによって、フランジの環状の面と接触した状態に保持されていることが望ましい。特定のろう付け温度では、ろう付け材は融けた状態にあり、第1および第2のハウジング部とフランジ間の接触は荷重下で維持されることが望ましい。ろう付け材は、第1および第2のハウジング部のろう付け面間に供給される。ろう付け材は通常、センサアセンブリの温度が特定のろう付け温度に到達した際に溶融状態に移行するように、センサアセンブリが常温(すなわち‘冷たい’工程)の時に投入されるが、ろう付け材はセンサアセンブリの温度がろう付け温度(すなわち‘熱い’工程)に到達した際に投入してもよい。センサアセンブリの温度がその後低下すると、ろう付け材は、第1および第2のハウジング部が互いに結合して、通常略セラミック材料からなるセンサ本体を囲む2つの部分からなるハウジングを完成するようにしっかりと固まる。そして第1および第2のハウジング部が熱収縮して、フランジに軸方向のかなりの圧縮荷重が加わるようにセンサ本体のフランジが効果的に収縮される。言い換えれば、ハウジングは温度の低下に伴いセンサ本体よりも収縮するのである。そして圧縮荷重が加わることによって、ハウジングとセンサ本体の間が密封される。密封が重要というのは、動作特性を低下させる湿気をセンサアセンブリ内に侵入するのを防ぐからである。
【0039】
第1および第2のハウジング部の収縮により生じる圧縮荷重と、ろう付け工程中印加されてセンサアセンブリの動作寿命中維持される外部からの荷重とは異なる、ということは容易に分かる。セラミック材料は圧縮荷重をうまく処理することが知られており、ろう付け期間中にセンサ本体にダメージを与えるリスクが非常に小さいという評価結果が示されている。実際には、センサアセンブリが高温動作の時に加えられる圧縮荷重は、ハウジングとセンサ本体間の軸方向の熱膨張差のため、常温時に比べて僅かに小さいだけである。しかしながら、圧縮荷重は、常に密封状態を維持するのに十分なレベルにある。
【0040】
センサアセンブリが高温で使用されている時、ハウジングは、径方向にセンサ本体から離隔する方向に熱膨張している。言い換えれば、ハウジングは昇温時にセンサ本体よりも膨張するのである。膨張により、ハウジングの環状の面がフランジの環状の面に対して径方向に滑り、その滑り接触は、センサ本体(あるいはその接触面)および/またはハウジングに対する材料の適切な選択により促される。センサ本体に対する軸方向のハウジングの移動は非常に小さいが、以下で詳細を述べるように、まだ測定誤差を生み出すに十分な大きさである。
【0041】
センサ本体の窓層は、センサアセンブリによって測定された信号が、温度に関する自動補正を可能としている。このことは、センサアセンブリが高温に晒されるような場合、とりわけ重要である。
【0042】
金属製の電極と、オプションで金属製のシールドと、セラミック製の絶縁物で離隔された金属製の外側のハウジングと、を有する従来のセンサアセンブリでは、容量値は、電極の前面と、通過するあるいは静止したターゲットと、の間で測定される。通常室温且つ空気中で行われるセンサの調整中、測定された容量値は、信号処理装置によって電圧に変換され、電極とターゲット間の測定された間隙の関数として測定され保存される。通常、測定された容量値が大きくなればなるほど、測定された間隙の値は小さくなる。動作中、空気の誘電率は温度が変化しても大した影響はない。このため室温で調整が行われても、電極とターゲット間の間隙を正確に決定でき、それ故もしセンサアセンブリが例えばガスタービンエンジンに取り付けられていたとしても、ガスタービンエンジンの羽根の先端とそれを取り囲むケースとの間の隙間も正確に測定できるのである。
【0043】
従来のセンサアセンブリでは、金属製の電極や、適用可能な金属製のシールドや、金属製の外側のハウジング、の前面は、エンジンケースあるいは固定冶具と略同じ率で膨張する。それ故この膨張は得られた間隙の測定値精度に重大な影響を及ぼさない。しかしながら、本発明のセンサ本体の場合は、バルク組成の層は、セラミック材料で構成されており、オプションとして上述の2つの部分からなる金属製の外側のハウジング内に保持されている。セラミック材料は、およそ3×10
-6/℃からおよそ4×10
-6/℃の熱膨張係数を有している一方、金属製の外側のハウジングは、室温でおよそ10×10
-6/℃そして1000℃でおよそ16×10
-6/℃の熱膨張係数を有している。このことから、温度が上がるにつれて外側のハウジングがセンサ本体よりも膨張し、その結果、センサ本体の前面が外側のハウジングの前端から、またエンジンケースあるいは固定冶具から次第に離れることとなる。それ故、熱膨張差は温度に関して容量の測定値のシフトの原因となり、このことは通常、測定精度の大幅な低下を引き起こす。より詳細には、どのような間隙の値に対しても、外側のハウジングやエンジンケースに対するセンサ本体の熱膨張差は、容量の測定値が温度が上がると減少し逆に温度が下がると増加する原因となる。
【0044】
センサ本体の窓層は、電極層の前面と静止したあるいは通過する対象間に配設され、室温でおよそ7.8の誘電率、1200℃でおよそ8.8の誘電率を有し、定められた温度範囲に亘っておよそ12%の増加がみられる。上述のように、空気による間隙の誘電率は温度変化により深刻な影響を及ぼされない。しかしながら、容量の測定値は、空気による間隙と窓層との容量の組み合わせになり、それ故センサアセンブリの動作温度に依存することになる。より詳細には、どのような間隙の値に対しても、窓層の誘電率が温度と共に増加するため、容量の測定値は温度が上がると増加し逆に温度が下がると減少する。それ故、本発明のセンサアセンブリでは、動作温度の上昇が、容量の測定値に正反対の影響を与える2つの異なるプロセスを引き起こすと容易に理解することができる。第1のプロセスでは、どのような間隙の値に対しても、容量の測定値は、金属製の外側のハウジングとエンジンケースあるいは固定冶具との間の相対的な熱膨張によって減少する。一方、第2のプロセスでは、どのような間隙の値に対しても、容量の測定値は、セラミック製の窓層の誘電率の増加に伴い増加する。相対的な熱膨張は、センサ本体の前面と金属製の外側のハウジング中の滑り密封位置からの距離の関数(すなわち距離が大きくなるほど、相対的な熱膨張も大きくなり、距離が小さくなるほど、相対的な熱膨張も小さくなる)であることから、この距離の関数に対して窓層の膜厚を調整することにより、相対的な熱膨張誤差および誘電体誤差の両方に対して略補正することができ、いくつかのケースでは完全に補正でき、結果として広い温度範囲に亘って測定精度を改善することができるのである。実際には、およそ0.5mmから1.5mmの間の幅を持つ窓層は、大多数の大きさのセンサ本体に対して十分に測定精度を改善することができる。
【0045】
センサアセンブリの最大動作温度は、実際上、ろう付け材やハウジング材等の機械的特性を考慮して、外側のハウジングのろう付け温度によって制限されている。1200℃を超える代表的なろう付け温度に対して、センサアセンブリでは、ろう付け面が1000℃近い温度で適切に動作すると考えられる。ろう付け面を除くセンサアセンブリの他の部分の温度は、かなり高いと容易に分かる。例えば、ガスタービンエンジンの羽根の先端とそれを取り囲むケースとの間の隙間の測定に使われる容量センサの場合、センサアセンブリの前面はおよそ1500℃の温度に、またろう付け面が位置するセンサアセンブリの後端部はそれより低い温度に、晒されている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明に従う第1のセンサ本体を示す断面図。
【
図2】本発明に従う第2のセンサ本体を示す断面図。
【
図3】
図1に示す第1のセンサ本体がどのように形成されるかを説明するための断面図。
【
図4】
図2に示す第2のセンサ本体がどのように形成されるかを説明するための断面図。
【
図5】本発明に従う第3のセンサ本体を示す断面図。
【
図6】本発明に従う第4のセンサ本体を示す断面図。
【
図7】
図5に示す第3のセンサ本体がどのように形成されるかを説明するための断面図。
【
図8】
図6に示す第4のセンサ本体がどのように形成されるかを説明するための断面図。
【
図9】
図1に示す第1のセンサ本体が2つの部分からなる外側のハウジングに取り付けられたセンサアセンブリを示す分解断面図。
【
図10】センサアセンブリが常温下にある状態を示す断面図。
【
図11】
図10に示すセンサアセンブリが高温下にある状態を示す断面図。
【
図12】センサアセンブリが高温で使われる際にどのようにして測定精度を維持しているかを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1に、本発明に従う同軸のセンサ本体1を示す。センサ本体は、窒化ケイ素(SiN)のような、同じ非導電性のセラミック材料からなる、中心層2と外側の絶縁層4を含んで構成されている。チタン(Ti)あるいはモリブデン(Mo)やチタン合金のような金属、もしくは窒化チタン(TiN)あるいは2珪化モリブデン(MoSi2)のような導電性のセラミック、からなる電極層6が、コーティングとして使われ、そして中心層2の円柱状の外面2aおよび前方及び後方の平面
2b,2cを覆うように構成されている。
【0048】
外側の絶縁層4は、高温に晒されるセンサ本体の前端部8に沿って延出して構成されている。例えば、もしセンサ本体が、ガスタービンエンジンの羽根の先端とそれを取り囲むケースとの間の隙間の測定に用いられる容量センサの一部を構成しているならば、センサ本体の前端部8は羽根の先端の方を向いており、1500℃以上の温度に晒されることもある。センサ本体の前端部8に沿って、外側の絶縁層4が窓層10を構成している一方、窓層10は電磁放射に対して略透過性を有している。電極層6は、窓層10と、中心層2の前方の平面2bとの間に延び出して構成されている一方、センサ本体の前端部8に略埋め込まれて露出しないようにされている。電極層6は、センサ本体の後端部12に露出されて、図示しない同軸(あるいは三重同軸)の伝送ケーブルの内側の導体に接続可能とされている。
【0049】
図2に、本発明に従う三重同軸のセンサ本体1’を示す。三重同軸のセンサ本体1’は、
図1に示す同軸のセンサと類似しており、同様のパーツには同じ符号を振ることにする。唯一の大きな違いは、三重同軸のセンサ本体1’が、チタンやモリブデンのような金属や、チタン合金や、窒化チタンあるいは2珪化モリブデンのような導電性のセラミックから形成されて、図示しない三重同軸の伝送ケーブルの中間の導体に接続されている、円柱状のシールド(あるいはガード)層14を有しているところである。シールド層14は、内側の絶縁層16によって電極層6と離隔して形成されており、外側の絶縁層4によって囲まれている。シールド層14は、コーティングとして使われ、内側の絶縁層16の円柱状の外面16aを覆うように構成されている。
【0050】
何れの場合も、外側の絶縁層4の一体化された一部である窓層10は、気体が全ての内側の境界面から遮断されるように、センサ本体の前方を密封している。
【0051】
各センサ本体1,1’には、外側の絶縁層4の円柱状の外面20から径方向外方に突出してフランジ18が設けられている。フランジ18は、第1の環状の面18aと第2の環状の面18bと円柱状の面18cを含んで構成されている。
【0052】
図3に示されているように、同軸のセンサ本体1の中心層2と外側の絶縁層4は、別々の構成要素として形成されている。電極層6は、円柱状の外面2aと、中心層2を構成する予め形成されたセラミック体の前方及び後方の平面2b,2c、上にコーティングとして堆積される。予めコーティングされた中心体は、コーティングされた中心体の前面2bが窓層10を構成する穴の閉端と当接するように、外側の絶縁層4を構成する予め形成されたセラミック体内の行き止まりの穴22に挿入される。そして、予めコーティングされた中心体と外側の絶縁体は、例えば、焼結や拡散接合やろう付け等の適当なプロセスを用いて互いに接合される。図示しないが、電極層はまた、上述の形態に代えてあるいは加えて、中心層2を構成するセラミック体がそれに挿入される前に、行き止まりの穴22の円柱状の内面上にコーティングとして堆積されてもよい。
【0053】
図4に示されている三重同軸のセンサ本体1’の場合は、中心層2と内側の絶縁層16と外側の絶縁層4が、別々の構成要素として形成されている。電極層6は、中心層2を構成する予め形成されたセラミック体の、円柱状の外面2aと前方及び後方の平面2b,2c、上にコーティングとして堆積される。予めコーティングされた中心体は、内側の絶縁層16を構成する予め形成されたセラミック体内の開口する穴24に挿入される。そして、予めコーティングされた中心体と内側の絶縁体は、例えば、焼結や拡散接合やろう付け等の適当なプロセスを用いて互いに接合される。図示しないが、電極層はまた、上述の形態に代えてあるいは加えて、中心層2を構成するセラミック体がそれに挿入される前に、開口する穴24の円柱状の内面上にコーティングとして堆積されてもよい。シールド層14は、内側の絶縁体の円柱状の外面16a上にコーティングとして堆積される。予めコーティングされた内側の絶縁体と、接合された中心体は、中心体のコーティングされた前面2bが窓層10を構成する穴の閉端に当接するように、外側の絶縁層4を構成する、予め形成されたセラミック体の行き止まりの穴22に挿入される。そして、予めコーティングされた内側の絶縁体と外側の絶縁体は、例えば、焼結や拡散接合やろう付け等の適当なプロセスを用いて互いに接合される。図示しないが、シールド層はまた、上述の形態に代えてあるいは加えて、行き止まりの穴22の円柱状の内面上にコーティングとして堆積されてもよい。代わりとなるプロセスでは、種々のセラミック体は適切にコーティングされ、そして、例えば、焼結や拡散接合やろう付け等の適当なプロセスを用いて1工程で互いに接合される。
【0054】
図5には、本発明に従う異なる同軸のセンサ本体1’’が示されている。同軸のセンサ本体1’’は、
図1に示す同軸のセンサと類似しており、同様のパーツには同じ符号を振ることにする。唯一の大きな違いは、外側の絶縁層4を構成するセラミック体が、開口する穴22aを有する主要部4aと、主要部4aに接合されて窓層10を構成するセラミック製の円盤状部26、の2つの部分から構成されているところである。本発明に従うさらに異なる同軸のセンサ本体1’’’が
図6に示されており、これもまたセラミック製の円盤状部28を有している。他の三重同軸のセンサ(図示しない)もまたセラミック製の円盤状部を有していてもよい。
【0055】
図7と
図8は、どのようにしてセラミック製の円盤状部26,28が開口する穴22aを塞ぐように使われるのかを示したものである。
図7において、円盤状部26は、その外周縁部が穴の内面に当接するように、開口する穴22aの前端部内に配設されている。
図8において、円盤状部28は、その平坦な後面をセラミック体の主要部4aの環状の面に当接させて、穴22aの前端部を塞ぐように配設されている。各円盤状部26,28は、中心層2を構成する予めコーティングされたセラミック体が受け入れられる一体的なセラミック体を完成するために、例えば、焼結や拡散接合やろう付け等の適当なプロセスを用いて、主要部4aに接合される。代わるプロセスとしては、中心層2を構成する予めコーティングされたセラミック体と、外側の絶縁性のセラミック体の主要部4aおよび円盤状部26,28が、例えば、焼結や拡散接合やろう付け等の適当なプロセスを用いて、1回の工程で互いに接合される。他の三重同軸のセンサ(図示しない)も同様に形成され得る。
【0056】
各完成したセンサ本体は、一体的な多層構造を有している。
【0057】
図9と
図10に示すように、金属製の外側のハウジング30は、第1のハウジング部32と第2のハウジング部34から構成されている。ハウジング30は、図示しない同軸あるいは三重同軸の伝送ケーブルの外側の導体に接続されることにより接地可能とされている。
【0058】
第1のハウジング部32は、中央の円柱状の穴36と、中央の穴より大径を有し且つ環状の面40と円柱状の面42によって構成された環状の肩部38と、を含んで構成されている。
【0059】
第2のハウジング部34は、中央の円柱状の穴44と、中央の穴より大径を有し且つ環状の面48と円柱状の面50によって構成された環状の肩部46と、を含んで構成されている。外側の穴52は、円柱状の面50より大径を有し、第2のハウジング部の軸方向に延出するフランジ54によって構成されている。
【0060】
各ハウジング部における中央の穴36,44は、センサアセンブリが常温の際に、外面20に対する精密公差を以てセンサ本体1(あるいは上述のような他のあらゆるセンサ本体)を受け入れるような大きさに構成されている。しかしながら、センサ本体のフランジの外面とハウジングの内面との間の径方向の合わせは、一般的に重要とは考えられていない。
【0061】
第1のハウジング部32は、円柱状のろう付け面56を有している。第1のハウジング部32が、図
9に示されているような第2のハウジング部34に組み付けられる際には、ろう付け面56は、対応するフランジ54の円柱状のろう付け面58に面している。より詳細には、互いに組み付けられる際には、第1のハウジング部32のろう付け面56は、精密公差を以て第2のハウジング部34のフランジ54内の径方向に配設される。環状の肩部38,46もまた、センサアセンブリが常温の際に、センサ本体のフランジ18が精密公差を以て受け入れられるような環状の溝あるいは凹所を構成するように配列されている。図示しないが、第1および第2のハウジング部32,34の上面は、それらが互いに組み付けられた際にそれぞれのろう付け面がろう付け材が堆積される狭い環状の溝を構成するように、それぞれのろう付け面の隣接する部分を面取りしてもよい。
【0062】
センサアセンブリは、以下のようにして組み立てられる。
【0063】
第2のハウジング部34は、適当な枠や支柱に支えられている。センサ本体1は、第2のハウジング部34の中央の円柱状の穴44に挿入され、そして第1のハウジング部32は、センサ本体の上部が中央の円柱状の穴36の内部に配設され、それぞれのろう付け面56,58が、軸方向に整列されるように、第2のハウジング部34に対して位置決めされる。
【0064】
そして第1および第2のハウジング部32,34は、ろう付けプロセスにより互いに固定される。ろう付け材(任意でペースト状でもよい)は、第1および第2のハウジング部32,34のそれぞれのろう付け面56,58間の境界面に位置するセンサアセンブリの上面に塗布される。ろう付け材は、上述の(図示しない)狭い環状の溝に塗布してもよい。センサアセンブリは、ろう付け材固有のろう付け温度まで上げられる。ろう付けプロセス中、軸方向の荷重が、第1のハウジング部32に対して、対向する肩部の環状の面40,48とフランジ18の環状の面18a,18bの間の直接的な接触が維持されるように加えられる。
【0065】
センサアセンブリの温度がろう付け温度まで上げられるにつれて、第1および第2のハウジング部32,34は、径方向および軸方向にセンサ本体から離隔する方向に膨張する。対向する肩部の環状の面40,48とフランジ18の環状の面18a,18bの間の直接的な接触は、軸方向の荷重によって維持される。軸方向の間隙60は、第1および第2のハウジング部32,34間の直接的な接触、がないことを保証している。間隙60がなければ、フランジ18に印加される軸方向の荷重の量を制限してしまうことになる。言い換えれば、フランジ18の環状の面18a,18bに作用する軸方向の圧縮力は、ろう付け中に印加される軸方向の荷重と続いて起こる圧縮荷重によってのみ決定されるのである。
【0066】
センサアセンブリの温度が一旦ろう付け温度に到達すると、ろう付け材は溶融状態となり、毛細管現象によって第1および第2のハウジング部32,34のろう付け面56,58間の境界面に引き込まれる。
【0067】
センサアセンブリの温度がその後下がると、ろう付け材は、センサ本体を囲む2つの部分からなるハウジング30を完成するため、第1および第2のハウジング部32,34を互いに固定するように固まる。より詳細には、第1および第2のハウジング部32,34は、対向するろう付け面56,58間の接合箇所あるいは境界面でろう付け材によってしっかりと互いに固定される。第1および第2のハウジング部32,34は、他のどの境界面においても互いに固定されず、またセンサ本体と他のどのようなやり方でも固定されない。ハウジング30とセンサ本体の間の固定の欠如は、他の状況下でセラミック製および/または金属製の構成要素の分解や不具合を引き起こす熱膨張差の結果としてのどのような圧力にも、センサアセンブリが晒されないことを意味している。
【0068】
第1および第2のハウジング部32,34は、熱収縮を受け、そして効果的にセンサ本体のフランジを縮めて、軸方向に向かってフランジにかなり大きな圧縮荷重が掛かるようにする。ろう付けプロセス中の圧縮荷重の印加は、ハウジング30とセンサ本体の間に密封状態を作り出す。より詳細には、密封状態は、対向する肩部の環状の面40,48と、フランジ18の環状の面18a,18b、の間に形成される。1つ以上の環状の面が、可能な限り広い領域で精密な物理的接触ができるように、機械加工やコーティング等の方法により滑らかな表面仕上げを施されていてもよい。
【0069】
センサアセンブリが高温で使われる際、第1および第2のハウジング部32,34は熱膨張を受け、
図11に示されているように、センサ本体から径方向および軸方向に離隔するように膨張する。径方向の膨張は、ハウジングの環状の面40,48が、フランジ18の環状の面18a,18bに対して径方向に滑る原因となる。しかしながら、センサ本体のフランジ18は、高温で圧縮荷重状態に維持され、そしてセンサアセンブリの動作寿命中常に密封状態が維持されるようになっている。外側のハウジング30は温度の上昇に伴い軸方向に向かってセンサ本体よりも大きく膨張するので、センサ本体の前面は、外側のハウジングの前方から、またエンジンケースあるいは固定冶具からも次第に離れる。センサ本体の後面も同様に次第に離れる。どのような間隙の値に対しても、センサ本体1の外側のハウジング30に対する熱膨張差は、容量測定値が温度が上がると減少し逆に温度が下がると増加する原因となる。
【0070】
軸方向のフランジ18の厚さは、好ましくはフランジと第1および第2のハウジング部32,34の間の熱膨張差を最小にするような最小値とすることが望ましい。仮に熱膨張差が大きすぎる場合、密封状態が損なわれる場合があることは容易に分かる。しかしながら、フランジ18は、ろう付けプロセス中印加される外部荷重とその結果として作用する圧縮荷重に対抗できるに十分な厚さも必要である。フランジ18はまた、好ましくは、それぞれの環状の面間の十分な接触をキープして密封を維持するような状態で、第1および第2のハウジング部32,34の径方向のセンサ本体から離隔する方向の膨張を許容する程度に、センサ本体の外側の面を越えて突出されていることが望ましい。
【0071】
図12には、どのようにしてセンサ本体の窓層10に昇温時の自己補正機構が与えられているのかが示されている。グラフ中、窓層は0.5mm厚さで、標準寸法(すなわちセンサ本体の前面と前方の滑り接触面との間の距離)は8.5mm、である。各グラフで、容量測定値(Y軸)の誤差は、センサ本体の前面がエンジンケースと同一平面とされた状態で、エンジンケースと羽根の先端の間の測定された間隙(X軸)のパーセンテージとして表されている。各グラフは、異なる温度の結果を含んでいる、すなわち、(i)センサ本体の前面(あるいは先端)が800℃で、センサ本体の平均温度が600℃の場合、(ii)センサ本体の前面が1000℃で、センサ本体の平均温度が800℃の場合、(iii)センサ本体の前面が1200℃で、センサ本体の平均温度が1000℃の場合、である。グラフ(1)は、熱膨張差による誤差を示している。グラフ(2)は、セラミック製の窓層の誘電率変化による誤差を示している。グラフ(3)は、上述の2つの異なる原因による全部の誤差を示している。
【0072】
0.5mm未満の間隙に対しては、誤差がかなり増えることが容易に分かる。しかしながら、実際上は、センサ本体の前面(あるいは先端)は、通常、羽根の先端とケースの擦れによるダメージを避けるために、エンジンケースから0.5mm程度離れている、それ故、測定誤差は、非常に狭い範囲に集まる。この特有なセンサ形状に対して、容量の測定値の誤差は、1.0mmから5.0mmの範囲の間隙に対して、−5%辺りと略一定であり、それ故、実際には、+5%のオフセットが、同じレンジでの測定誤差を補正するのに全ての測定に対して適用し得る。