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1つ以上の入射電磁波(132)を伝導性筐体(110)内へ送信することは、1つ以上の入射電磁波(132)を前記伝導性筐体(110)内に蓄えられる液体の表面へ送信することを含む請求項1の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、筐体内の液量を無線で測定するための技術について説明する。先に簡単に説明したように、航空機の燃料タンクに蓄えられる燃料は、電磁波を使用して無線で測定することができる。このようにすると、配線が燃料タンク内で延びなくてよく、それにより、燃料タンクに入る雷電流の危険が排除され、航空機全体の安全性が高まる。
【0012】
一般的に言えば、本開示は、伝導性筐体内で受けられるべき電磁波に対応する伝達関数を測定することにより液量を計算するための技術を与える。実施形態によれば、1つ以上の入射電磁波が空気/液体境界へ送信される。入射電磁波が空気/液体境界と相互に作用すると、入射電磁波は、空気/液体境界でのインピーダンス不整合に起因して、空気/液体境界を透過するおよび/または空気/液体境界から反射する。この意味で、入射電磁波は、反射成分と透過成分とに分かれる。これらの反射成分および透過成分も電磁波であり、これらの電磁波は、その後、伝導性筐体の壁から反射してもよい。境界が空気/液体、空気/壁、または、液体/壁であろうとなかろうと、入射電磁波および/または成分電磁波が境界と相互に作用する度に、電磁波が対応する位相シフトを受ける。最初に発射された入射電磁波の全てではなく一部が受信器に到達し、その受信器で、入射電磁波に対応する成分波がコヒーレントに加わる。前述したように電磁波の周波数と伝導性筐体の形状と伝導性筐体内に蓄えられる液体とに依存する成分波の対応する位相シフトに起因して、固有の応答が受信器で得られる。
【0013】
受信器アンテナで得られる固有の応答は、成分波のコヒーレント総和から導き出される伝達関数として表わされてもよい。伝達関数は形状に大きく依存する。伝導性筐体における空気/液体境界は、伝達関数に影響を及ぼす連続的に変わる境界として作用する。伝達関数の変化は空気/液体境界の位置の変化を示し、この位置の変化は本質的に液量の変化である。したがって、伝達関数の変化を測定することにより、伝導性筐体内に蓄えられる液量を計算できる。
【0014】
幾つかの実施形態によれば、入射電磁波が多くの別個の周波数で特定の帯域幅にわたって空気/液体境界へ向けて送信されてもよい。入射電磁波は、空気/液体境界との相互作用時に散乱されてもよく、それにより、対応する反射成分波および透過成分波をもたらす。散乱された成分波は、最終的に受信器により受けられてコヒーレントに加えられてもよく、それにより、伝達関数の測定値がもたらされる。言うまでもなく、空気/液体境界の形状に基づいて、成分波の特性が変化し得る。したがって、空気/液体境界の形状が変化するにつれて、成分波の特性が変化し、それにより、成分波がコヒーレントに加えられると、空気/液体境界の特定の形状に固有の伝達関数を得ることができる。このようにして、伝達関数を測定することにより、液量を計算できる。
【0015】
代わりの実施形態では、入射電磁波が空気/液体境界へ向けて送信されてもよく、また、入射電磁波に対応する主要反射電磁波が時間遅延の後に受信されてもよい。この時間遅延は、入射電磁波が空気/液体境界と相互に作用して受信器で受けられる主要反射成分波をもたらすために要する時間に対応する。入射電磁波を送信して対応する反射成分波を受信する送受信器と液体の表面との間の距離は、時間遅延に影響を与える。周波数領域反射率測定法または時間領域反射率測定法を使用して、送受信器により送信される入射電磁波と受信される反射成分波との間の時間遅延に対応する伝達関数が測定される。時間遅延を測定することにより、筐体内に蓄えられる液体の量を計算できる。
【0016】
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を形成し、例示として特定の実施形態または実施例を示す添付図面を参照する。ここで、同様の参照符号が幾つかの図にわたって同様の要素を表わす図面を参照すると、筐体内の液量を無線で測定するための様々な実施形態に係る技術について説明する。
【0017】
図1は、本明細書中に記載される幾つかの実施形態に係る、筐体内の液量を無線で測定する1つの実施を示す図である。特に、
図1は、液体112を蓄えるための伝導性筐体110を含むキャビティ環境100を示している。伝導性筐体110は、電磁波を伝導する材料から形成される。このようにして、伝導性筐体内で伝えられる電磁波は、伝導性筐体の表面から跳ね返される。そのような材料の例としては、金属および炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施によれば、伝導性筐体110は、燃料を蓄えるように構成される航空機燃料タンクである。言うまでもなく、伝導性筐体110の残存容積は空気114によって占められ得る。また、空気/液体境界116は、空気114に晒される液体112の表面に存在し得る。
【0018】
実施形態によれば、キャビティ環境100は、伝導性筐体110内に蓄えられる液体の量を連続的に或いは定期的に決定するように構成されてもよい問い合わせアセンブリ120を含んでもよい。実施形態によれば、問い合わせアセンブリ120は、無線送信器130と、無線受信器140と、問い合わせモジュール122と、伝達関数モジュール124と、液量計算モジュール126と、無線アンテナ128とを含んでもよい。実施形態によれば、問い合わせアセンブリ120は、伝導性筐体110内または伝導性筐体110の外側に位置されてもよい。幾つかの実施形態では、送信器130、無線受信器140、および、無線アンテナ128だけが伝導性筐体110内に位置されてもよく、一方、問い合わせモジュール122、伝達関数モジュール124、および、液量計算モジュール126のうちの1つ以上が
伝導性筐体110の外側に位置されてもよい。このようにすると、計算された液量を決定するために行うことができる処理の全てを、遠隔的に位置されてもよいが無線送信器130および無線受信器140と無線アンテナ128を介して通信するコンピュータによって実行できる。しかしながら、
図1に示されるように、問い合わせアセンブリ120の構成要素の全てが伝導性筐体110内に位置されてもよい。
【0019】
様々な実施において、問い合わせアセンブリ120は、伝導性筐体110内に蓄えられる液体の量を連続的に決定するように構成されてもよく、或いは、代わりに、要求を受けた際に伝導性筐体110内に蓄えられる液体の量を決定するように構成されてもよい。幾つかの実施形態では、問い合わせアセンブリ120が無線アンテナ128を介して要求を受けてもよい。いずれにしても、問い合わせアセンブリ120が伝導性筐体110内に蓄えられる液体の量を決定するようになっている場合、問い合わせモジュール122は、伝導性筐体内で入射電磁波を伝えるために制御信号を送信器130へ送るように構成されてもよい。
【0020】
送信器130は、空気/液体境界116および伝導性筐体110と相互に作用する入射電磁波を送信するように構成されてもよい。幾つかの実施形態によれば、問い合わせモジュール122は、送信器130に、入射電磁波を多くの別個の周波数で特定の帯域幅にわたって空気/液体境界116へ向けて送信させてもよい。或いは、問い合わせモジュール122は、冗長化を目的として、送信器130に、同じ波特性を有する複数の同一の入射電磁波を空気/液体境界116へ向けて送信させてもよい。
【0021】
入射電磁波132は、空気/液体境界と相互に作用すると、反射成分波と、透過成分波と、屈折成分波とに分けられてもよい。
図1に示される1つの実施形態によれば、入射電磁波132は、特に、反射成分波142Aと、透過波142Bと、屈折波142Cと、反射波142Nとに分けられてもよく、これらの波は一般に成分波142と称される。結果として、入射電磁波132と空気/液体境界116との相互作用は、最終的に受信器140へ向かって進行し得る成分波142の複数の組み合わせを生み出すことができる。受信器140は、複数の成分波142を受信してそれらの成分波を受信器140でコヒーレントに加えるように構成されてもよい。言うまでもなく、反射、透過、および、屈折成分電磁波142は、一般に、本明細書中では跳ね返り電磁波142と称されてもよい。
【0022】
実施形態によれば、入射電磁波132は、特定の振幅、周波数、および、位相などの特定の波特性を有してもよい。入射電磁波132に対応する跳ね返り電磁波142は、伝導性筐体110内に蓄えられる液体の量に基づいて変化し得る対応する波特性も有する。これは、液体の量が変化するにつれて液体の液位が変化するからである。液量が変化するにつれて、全ての跳ね返り電磁波142の相対的な位相および振幅が受信器140によって受信されるようになる。したがって、液量が変化するにつれて、受信器140で測定される伝達関数も変化し、それにより、特定の液量に対応する固有の伝達関数が与えられる。
【0023】
図1に示される実施によれば、受信器140は、受信器140へと方向付けられる入射電磁波132に対応する跳ね返り電磁波142を受信するように構成されてもよい。跳ね返り電磁波142は、その後、伝達関数モジュール124へと供給される。伝達関数モジュール124は、複数の跳ね返り電磁波142を受信器140から受信してもよい。また、伝達関数モジュール124は、特定の液量に固有の伝達関数を測定するように更に構成されてもよい。
【0024】
跳ね返り電磁波142が伝導性筐体110の形状に基づいて変化し得ることは言うまでもない。特に、異なる液体深さでは、空気/液体境界116が入射電磁波132を異なって反射させおよび/または屈折させ得る。したがって、跳ね返り電磁波142の特性は、液体の深さの変化に伴って変化する。このように、受信器142により受信される跳ね返り電磁波142は、液体の深さにより影響された特性を有する。
【0025】
前述したように、伝達関数モジュール124は、成分電磁波142A,142Bをコヒーレントに加えることによって伝達関数を測定してもよい。幾つかの実施形態において、伝達関数モジュール124は、跳ね返り電磁波のコヒーレント総和を表わす受信電力プロファイルを作成するように構成されてもよい。受信電力プロファイルは、入射電磁波132が伝導性筐体110内で伝えられる周波数範囲にわたって作成されてもよい。伝達関数モジュール124は、その後、受信電力プロファイルを対応する伝達関数に関連付けてもよく、伝達関数は、この場合、伝達関数モジュール124により測定される。実施形態によれば、伝達関数が周波数領域または時間領域で測定されてもよい。伝達関数モジュール124は、伝達関数を測定すると、測定された伝達関数を液量計算モジュール126へ与え、液量計算モジュール126は、その後、測定された伝達関数に基づいて液量を計算する。
【0026】
実施形態によれば、液量計算モジュール126は、較正プロセスによって予め決定された既知の時間遅延の組などの一組のデータポイントを利用することにより、測定された伝達関数から液量を計算してもよい。較正プロセスでは、特定の波特性を有する入射電磁波132などの入射電磁波が送信され、受信器140で測定される対応する伝達関数が第1の液量に関して記録される。較正プロセスは、大きな一組のデータポイントが所定範囲の液量に関して決定されるまで、異なる液量に関して繰り返される。
【0027】
また、伝達関数に影響を及ぼし得る様々な要因に起因して、複数の入射電磁波132がそれぞれの液量で送信されてもよい。このようにすると、大部分と矛盾するデータポイントを無視できる。キャビティ環境100が幅広い範囲の液量レベルにわたって較正されると、較正データが記憶されて液量計算モジュール126に利用できるようになる。したがって、作動中、伝導性筐体110の実際の液量は、測定された伝達関数と液量レベルの較正された組とを比較することにより計算され得る。受信器140で測定された伝達関数が液位の較正された組への入力に対応する伝達関数に一致する或いは類似していると決定すると、一致した伝達関数に対応する液量が決定される。
【0028】
キャビティ環境100は、伝導性筐体110の外側から電力を無線で受信するように構成されてもよい誘導電力・データアセンブリ160を含んでもよい。実施形態によれば、誘導電力・データアセンブリ160は、電力信号およびデータ信号を問い合わせアセンブリ120へ無線で供給するように構成されてもよい。幾つかの実施において、問い合わせアセンブリの無線アンテナ128は、誘導電力・データアセンブリ160と無線で通信するように構成されてもよい。実施形態によれば、データ信号は、伝導性筐体110の液量を無線で測定するための要求を含んでもよい。誘導電力・データアセンブリに関する更なる詳細は、
図3および
図4に関して本明細書中で与えられる。
【0029】
ここで、
図2を参照すると、筐体内の液量を無線で測定するための他の実施を示す図が示される。特に、
図2は、キャビティ環境100に類似する構成を有するスロット付き導波管環境200を示している。スロット付き導波管環境200は、液体112を含んでもよい伝導性筐体110を含んでもよい。液体によって占められない空間が空気114によって占められてもよい。また、空気/液体境界116が、空気114に晒される液体112の表面に存在してもよい。
【0030】
キャビティ環境100とは異なり、スロット付き導波管環境200はスロット付き導波管250を含んでもよい。導波管は、電磁波を案内するように構成される任意の構造であってもよい。導波管の一例が中空金属管であってもよい。スロット付き導波管は、スロット付き導波管が伝導性筐体110などの筐体内に位置付けられるときに筐体内に蓄えられた液体がスロット付き導波管に入ることができるように位置付けられる1つ以上のスロットを有する導波管である。
図2に示される実施において、スロット付き導波管250は、液体112がスロット付き導波管250に入ってスロット付き導波管250を取り囲む液体の液体深さレベルに等しい液体深さレベルをとることができるように構成される。
【0031】
キャビティ環境100と同様に、スロット付き導波管環境200は、問い合わせアセンブリ120に類似する問い合わせアセンブリ220を含んでもよい。問い合わせアセンブリ220は、問い合わせモジュール122と同様に作動する問い合わせモジュール222を含んでもよい。問い合わせアセンブリ220は、送受信器240に、空気/液体境界116へ向けて入射電磁波242を送信させてもよい。送受信器240は、入射電磁波242に対応する跳ね返り電磁波244を受信してもよい。
【0032】
また、問い合わせアセンブリ220は、受信された電磁波に対応する伝達関数を決定するように構成される伝達関数モジュール224を含んでもよい。液体深さレベルが変化するにつれて、送受信器240と空気/液体境界116との間の距離も変化する。したがって、液量は、入射電磁波242が空気/液体境界から反射して送受信器240により受信されるのに要する移動時間に対応する伝達関数を決定することによって計算されてもよい。実施形態によれば、移動時間は、伝達関数として表わされてもよく、送受信器240と空気/液体境界116との間の特定の距離に対応してもよい。送受信器240と空気/液体境界116との間の距離を決定すると、液量を計算できる。
【0033】
移動時間から液量を決定するために、スロット付き導波管環境200が較正されてもよい。較正プロセスでは、入射電磁波242などの入射電磁波が跳ね返り電磁波244として送受信されるための移動時間が、空タンクに対応する液位から満杯タンクに対応する液位までの範囲の大きな一組の液位に関して決定されてもよい。
【0034】
スロット付き導波管環境200が幅広い範囲の液量にわたって較正されると、測定された伝達関数と液量の較正された組とを比較することによって伝導性筐体110の実際の液量が決定される。受信器140で測定された伝達関数が液量の較正された組に対応する伝達関数に一致する或いは類似していると決定すると、一致した既知の伝達関数に対応する液量が計算される。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、金属製の浮きなどの反射浮き230がスロット付き導波管内に位置されてもよく、その場合、反射浮き230は空気/液体境界116上に浮かぶようになっている。反射浮き230は、入射電磁波242が元の送受信器240へ向けて反射できるようにしつつ元の送受信器240へと反射される電磁波の強度を高める反射面を与えることによってスロット付き導波管環境の感度を高めるように構成されてもよい。
【0036】
また、スロット付き導波管環境200は誘導電力・データアセンブリ160を含んでもよい。前述したように、誘導電力・データアセンブリ160は、電力信号およびデータ信号を問い合わせアセンブリ220へ供給するように構成されてもよい。
【0037】
図3は、本明細書中に記載される幾つかの実施形態に係る、筐体内へ無線で電力を送信するための1つの実施を示す図である。特に、
図3は、電力およびデータを伝導性筐体110の外側から伝導性筐体110内へ無線で送信するように構成される誘導電力・データアセンブリ160を示している。
【0038】
誘導電力・データアセンブリ160は、伝導性筐体110の一部分の外壁302に取り付けられてもよい外側誘導コイル312Aと、伝導性筐体110の前記一部分の内壁304に取り付けられてもよい内側誘導コイル314Aとを含んでもよい。伝導性筐体110の前記一部分は、金属、CFRP、または、電磁波を伝導するように構成される材料などの伝導性バリア310であってもよい。金属伝導性バリアは、電磁場の表面にわたる伝送に悪影響を及ぼし得る渦電流の効果を最小限に抑えるように処理されてもよいことは言うまでもない。外側誘導コイル312Aおよび内側誘導コイル314Aは、配線316を介して外側誘導コイル312Aへ供給されるようになっている電力およびデータが伝導性バリア310を通じて内側誘導コイル314Aにわたって誘導され得るように誘導結合されてもよい。誘導された電力信号およびデータ信号が低周波で誘導されてもよいことは言うまでもない。より低いMHz範囲の周波数などのより低い動作周波数を選択することにより、電力信号およびデータ信号を伝導性バリア310を通じて内側誘導コイル314Aへ伝えることができる。
【0039】
無線ハブ320Aが伝導性筐体110の内側で内側誘導コイル314Aに結合されてもよい。無線ハブ320Aは、誘導電力を調整して蓄えるための整流回路などの電子機器322Aを含んでもよい。また、電子機器322Aは、内側誘導コイル314Aの低周波誘導信号を高周波の無線周波数(RF)マイクロ波へと変換するように構成されてもよいダウン-アップコンバータを含んでもよい。低周波誘導信号を高周波RFキャリア信号へとアップコンバートするための1つの理由は、伝導性筐体110内の問い合わせアセンブリ220などの様々な構成要素へと電力信号およびデータ信号を伝搬させるためであってもよい。
【0040】
ここで、
図4を参照すると、ここには、
図2に示される実施の1つの概念を示す斜視図が描かれている。特に、無線液量測定システム400は、伝導性筐体110と同様の伝導性筐体410を含んでもよい。実施形態によれば、無線液量測定システム400は、本明細書中では一般に誘導電力・データアセンブリ320と称されるそれぞれの誘導電力・データアセンブリ320A,320Nと無線で通信する複数のスロット付き問い合わせアセンブリ220A,220Nを含んでもよい。各誘導電力・データアセンブリ320は一対の誘導結合された誘導コイルを含んでもよい。誘導結合された誘導コイルの対は、伝導性筐体410の外壁に取り付けられてもよい外側誘導コイル312A,312Nなどの外側誘導コイルを含んでもよい。また、誘導結合された誘導コイルの対は、伝導性筐体410の内壁に取り付けられてもよい内側誘導コイル314A,314Nなどの内側誘導コイルを含んでもよく、その場合、外側誘導コイル312A,312Nがそれぞれの内側誘導コイル314A,314Nに誘導結合されるようになっている。このようにすると、伝導性筐体410内で延びる配線を何ら使用することなく、電力信号およびデータ信号を伝導性筐体410内から伝導性筐体410の外側へおよびその逆へ送信できる。
【0041】
また、無線液量測定システム400は、本明細書中では一般に問い合わせアセンブリ220と称される問い合わせアセンブリ220A,220Nを含んでもよい。各問い合わせアセンブリ220は、問い合わせアセンブリ220が通信可能に結合されるそれぞれのスロット付き導波管250内の液量を計算するように構成されてもよい。
図2に関して前述したように、問い合わせアセンブリ220Aは、入射電磁波をスロット付き導波管250内の空気/液体境界116へ送信するとともに入射電磁波に対応する跳ね返り電磁波を受信するように構成されてもよい送受信器240を含んでもよい。問い合わせアセンブリ220は、送受信器240に入射電磁波などの問い合わせ信号をスロット付き導波管250内へ送信させるように構成される問い合わせモジュール222を更に含んでもよい。問い合わせモジュール222は、反射電磁波などの問い合わせ信号を送受信器240に受信させるとともに、入射電磁波が空気/液体境界406から反射して送受信器240により受信されるための移動時間に対応する伝達関数を送受信器240に計算させるように更に構成されてもよい。跳ね返り電磁波が受信器により受信されると、問い合わせアセンブリ220の伝達関数モジュール224は、受信された跳ね返り電磁波に対応する伝達関数を測定してもよい。伝達関数モジュール224が伝達関数を測定すると、液量計算モジュール226は、測定された伝達関数に基づき、移動時間と一組の較正されたデータポイントとを比較することによって液量を計算してもよい。液量が液量計算モジュール226によって計算されると、問い合わせアセンブリ220は、RFデータ信号を、計算された液量データを示す誘導電力・データアセンブリ160などのそれぞれの誘導電力・データアセンブリへ送ってもよい。
【0042】
図3に関して前述したように、誘導電力・データアセンブリ160は、計算された液量データを問い合わせアセンブリ220Aから受信するように構成されてもよい無線ハブ320Aなどの無線ハブを含んでもよい。また、第2の無線ハブ320Nが、問い合わせアセンブリ220Nを含む他の問い合わせアセンブリと通信するように構成されてもよい。代わりの実施形態において、無線ハブ320Aは、複数の問い合わせアセンブリ220と通信するように構成されてもよい。無線ハブ320Aは、計算された液量データを受信すると、誘導データ・電力アセンブリ160のアップダウンコンバータにRFデータ信号を低周波信号へと変換させてもよい。RFデータ信号が低周波信号へ変換されると、無線ハブ320Aは、内側誘導コイル314Aに低周波信号を外側誘導コイル312Aへと送信させてもよく、液量データを含む低周波信号は、外側誘導コイルから、液量測定コントローラ450へと送信されてもよい。
【0043】
問い合わせアセンブリ220Nの機能が問い合わせアセンブリ220Aの機能と同一であってもよいことは言うまでもない。伝導性筐体410内の複数の場所で液量を決定しようと試みることにより、より正確な液量の読み取り値を決定できる。これは、液体が静止し得ない用途において特に有益となり得る。例えば、伝導性筐体410が航空機の燃料タンクであってもよい。飛行中、燃料があちこちに移動して、燃料/空気境界で波を立たせる場合がある。そのような状況では、燃料タンク内の複数の場所で燃料の量を測定すると、燃料の量を不正確に計算する可能性を減らすことができる。
【0044】
また、液量測定コントローラ450は、伝導性筐体410内の問い合わせアセンブリ220と通信するように構成されてもよい。特に、液量測定コントローラ450は、伝導性筐体410の外側から、誘導コイル312A,312N,314A,314Nなどの誘導結合された誘導コイルを介して、伝導性筐体410内の構成要素へと電力を送信するように構成されてもよい。また、液量測定コントローラ450は、液量を計算するための要求を示す制御信号を含んでもよいデータ信号を供給できてもよい。無線液体測定コントローラ450は、個々の電力信号および/または制御信号を特定の問い合わせアセンブリ220へ送ることができてもよい。また、液量測定コントローラ450は、各スロット付き導波管250内の液体の量を示す液量データを含むデータ信号を受信してもよい。言うまでもなく、液量測定コントローラ450は、伝導性筐体110などの伝導性筐体内の液量を測定するために、
図1に関して前述したキャビティ環境100を利用してもよい無線液量測定システム内に実装されてもよい。幾つかの実施形態において、液量測定コントローラ450は、筐体410内に蓄えられる液体の量を表示することに関与し得る液量表示システム460と液量測定データを通信してもよい。航空機の実施では、液量表示システム460は、航空機の燃料タンク内に蓄えられる燃料の量を計算して表示するために利用される燃料量表示システムであってもよい。幾つかの実施形態によれば、燃料量表示システムが航空機電気機器(EE)ベイにあってもよい。
【0045】
図5は、幾つかの実施形態に係る、筐体内の液量を無線で測定するプロセスを示すフロー図である。本明細書中に記載される論理演算が具体的にプログラミングされたコンピュータデバイスによっておよび/または実施に応じてアナログ回路またはデジタル回路によって実行されてもよいことは言うまでもない。また、本明細書中に記載されて図示されるよりも多い或いは少ない演算が実行されてもよいことは言うまでもない。これらの演算は、本明細書中に記載される順序と異なる順序で実行されてもよい。
【0046】
ルーチン500は演算502で始まり、演算502では、液量測定コントローラ410が電力信号およびデータ信号を外側誘導コイル312Aへ送ってもよい。電力信号およびデータ信号は、配線315を介して外側誘導コイル312Aへ送られてもよい。実施形態によれば、電力信号およびデータ信号は、電力信号およびデータ信号を伝導性筐体110を通じて送信できるように低周波信号であってもよい。演算502から、ルーチン500は演算504へと移行し、演算504では、電力信号およびデータ信号が伝導性バリアを通じて内側誘導コイルへ送信される。伝導性バリアは、伝導性筐体110の隔壁であってもよく、また、電磁波を伝導できる任意の材料から形成されてもよい。例えば、伝導性バリア510が金属またはCFRP材料から形成されてもよい。
【0047】
演算504から、ルーチン500は演算506へと移行し、演算506では、無線ハブ320Aが、誘導された電力信号およびデータ信号を高周波RF信号へと変換してもよい。実施形態によれば、誘導された電力信号およびデータ信号はマイクロ波周波数へと変換される。演算506から、ルーチン500は演算508へと移行し、演算508では、無線ハブ320Aが、変換された高周波RF信号を問い合わせアセンブリ220Aへと送信する。演算508から、ルーチン500は演算510へと移行し、演算510では、問い合わせアセンブリ220Aが、変換された高周波RF信号を無線ハブ320Aから受信する。
【0048】
演算510から、ルーチン500は演算512へと移行し、演算512では、変換された高周波RF信号の受信に応じて、問い合わせアセンブリ220が、送受信器240に入射電磁波をスロット付き導波管250内に収容される液体112の空気/液体境界116へ向けて送信させる。実施形態によれば、スロット付き導波管250は、入射電磁波を反射するための感度を高めるように構成される反射浮き230を含んでもよい。演算512から、ルーチン500は演算514へと移行し、演算514では、送受信器240が、入射電磁波に対応する跳ね返り電磁波を受信する。実施形態によれば、跳ね返り電磁波は、送受信器でコヒーレントに加わる複数の成分反射電磁波を含んでもよい。幾つかの実施形態では、送受信器240が単一成分反射電磁波のみを受信するように構成されてもよい。
【0049】
演算514から、ルーチン500は演算516へと移行し、演算516では、伝達関数モジュール224が跳ね返り電磁波の伝達関数を測定する。実施形態によれば、問い合わせアセンブリ220の問い合わせモジュール222が伝達関数を測定するように構成されてもよい。実施形態によれば、伝達関数は、入射電磁波が送受信器240により受信されるための移動時間であってもよい。測定される移動時間は、送受信器240と空気/液体境界116との間の特定の距離に対応してもよい。演算516から、ルーチン500は演算518へと移行し、演算518では、液量計算モジュール226が、測定された伝達関数に基づいて液量を計算する。送受信器240で測定された伝達関数が液量の較正された組に対応する伝達関数に一致する或いは類似していると決定すると、一致された既知の伝達関数に対応する液量が計算される。1つの実施形態において、伝達関数は、入射電磁波の送信と入射電磁波に対応する跳ね返り電磁波の受信との間の時間遅延に対応してもよい。時間遅延に対応する伝達関数が測定されると、該伝達関数と、送信された入射電磁波と同じ特性を有する入射電磁波に対応する一組の既知の時間遅延とを比較することによって液量が計算されてもよい。
【0050】
演算518から、ルーチン500は演算520へと移行し、演算520では、計算された液量がRF高周波信号を介して無線ハブへ送られる。演算520から、ルーチン500は演算522へと移行し、演算522では、無線ハブ320Aが、液量データを問い合わせアセンブリ220から受信すると、液量データを液量測定コントローラ450へ送る。実施形態によれば、液量データは、低周波信号を内側誘導コイルから伝導性バリア410を通じて外側誘導コイルへ送信することにより液量測定コントローラ450へ送られてもよい。演算522から、ルーチン500は演算524で終了する。
【0051】
本発明は、問い合わせアセンブリを備える無線液量測定システムであって、問い合わせアセンブリが、
液体を蓄えるように構成される伝導性筐体内へ1つ以上の入射電磁波を送信するように構成される送信器と、
入射電磁波に対応する跳ね返り電磁波を受信するように構成される受信器と、
跳ね返り電磁波に対応する伝達関数を測定するように構成される伝達関数モジュールと、
測定された伝達関数に基づいて液量を計算するように構成される液量計算モジュールと、
を備える無線液量測定システムに関する。
【0052】
前述したシステムでは、スロット付き導波管が伝導性筐体内に位置されてもよく、その場合、送信器は、1つ以上の入射電磁波をスロット付き導波管内で伝えるように構成されてもよい。
【0053】
また、反射浮きが、スロット付き導波管内の液体の表面上に浮かんで入射電磁波を反射させるように構成されてもよい。
液量計算モジュールは、
入射電磁波のうちの特定の入射電磁波の送信と対応する跳ね返り電磁波の受信との間の時間遅延を決定し、
決定された時間遅延と、特定の入射電磁波と同じ特性を有する入射電磁波に対応する一組の既知の時間遅延とを比較し、
時間遅延が一組の既知の時間遅延のうちの1つと一致するかどうかを決定し、
時間遅延が一組の既知の時間遅延のうちの1つの時間遅延に一致すると決定すると、一致した時間遅延に対応する液量を決定する、
ように更に構成されてもよい。
【0054】
また、本発明のシステムは、電力信号およびデータ信号を問い合わせアセンブリへ送信するように構成される誘導電力・データアセンブリを備えてもよく、問い合わせアセンブリは、計算された液量に対応する液量データを備える第1の無線信号を誘導電力・データアセンブリへ送信するように構成される無線アンテナを更に備える。
誘導電力・データアセンブリは、
電磁波を伝導するように構成される伝導性筐体により分離される内側誘導コイルおよび外側誘導コイルを含む一対の誘導結合された誘導コイルであって、内側誘導コイルが伝導性筐体の内面に取り付けられ、外側誘導コイルが伝導性筐体の外面に取り付けられる、一対の誘導結合された誘導コイルと、
無線ハブと、
を備え、無線ハブが、
内側誘導コイルで受信される低周波誘導信号を高周波RF信号へと変換するように構成されるダウンアップ周波数コンバータと、
問い合わせアセンブリから受信される高周波RF信号を低周波誘導信号へと変換するように構成されるアップダウン周波数コンバータと、
問い合わせアセンブリの第1の無線アンテナと高周波RF信号を介して通信するように構成される第2の無線アンテナと、
を備えてもよい。
【0055】
前述したシステムの伝導性筐体は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を備えてもよい。
【0056】
前述した主題は、単なる例示として与えられており、限定的に解釈されるべきではない。図示して説明した実施形態および用途に従うことなく、また、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の思想および範囲から逸脱することなく、本明細書中に記載される手段に対して様々な改変および変更を行ってもよい。
また、本願は以下に記載する態様を含む。
(態様1)
液量を測定するための方法であって、
1つ以上の入射電磁波を伝導性筐体内へ送信することと、
前記入射電磁波に対応する跳ね返り電磁波を受信することと、
前記跳ね返り電磁波に対応する伝達関数を測定することと、
測定された前記伝達関数に基づいて液量を計算することと、
を含む方法。
(態様2)
1つ以上の入射電磁波を伝導性筐体内へ送信することは、1つ以上の入射電磁波を前記伝導性筐体内に蓄えられる液体の表面へ送信することを含む態様1の方法。
(態様3)
前記入射電磁波は、前記筐体内に蓄えられる液体の表面上に浮かぶ反射浮きへ向けて送信される態様1の方法。
(態様4)
跳ね返り電磁波を受信することは、前記入射電磁波の反射である反射電磁波を受信することを含む態様1の方法。
(態様5)
測定された前記伝達関数に基づいて液量を計算することは、
前記入射電磁波のうちの特定の入射電磁波の送信と対応する前記跳ね返り電磁波の受信との間の時間遅延を決定することと、
前記時間遅延と、前記特定の入射電磁波と同じ特性を有する入射電磁波に対応する一組の既知の時間遅延とを比較することと、
前記時間遅延が前記一組の既知の時間遅延のうちの1つと一致するかどうかを決定することと、
前記時間遅延が前記一組の既知の時間遅延のうちの1つの時間遅延に一致すると決定すると、一致した時間遅延に対応する液量を決定することと
を含む、態様1の方法。
(態様6)
前記入射電磁波が多くの別個の周波数で特定の帯域幅にわたって送信され、
前記跳ね返り電磁波に対応する伝達関数を測定することは、前記跳ね返り電磁波のコヒーレント総和を表わす受信電力プロファイルを作成することを含む、態様1の方法。
(態様7)
計算された液量に対応する液量データを備える第1の無線周波数(RF)信号を、前記伝導性筐体の外側の液量測定コントローラへと前記液量データを中継するように構成される無線ハブへ送信することと、
前記液量データを前記液量測定コントローラへ中継することと、
を更に含む態様1の方法。
(態様8)
前記液量データを前記液量測定コントローラへ中継することは、
前記液量データを含む液量信号を生成することと、
前記液量信号を前記伝導性筐体の内面に取り付けられた内側誘導コイルへ送ることと、
前記液量信号を前記内側誘導コイルに誘導結合される外側誘導コイルへ送信することと、
前記液量信号を前記外側誘導コイルで受信することと、
前記液量信号を前記液量測定コントローラへ送ることと、
を含む態様1の方法。
(態様9)
伝導性筐体内に蓄えられる液体の液量を計算するように構成される問い合わせアセンブリと、
電力信号およびデータ信号を前記問い合わせアセンブリへ無線で供給するように構成される誘導電力・データアセンブリであって、電磁波を伝導できる伝導性筐体により分離される内側誘導コイルおよび外側誘導コイルを含む一対の誘導結合された誘導コイルを備え、前記内側誘導コイルが前記伝導性筐体の内面に取り付けられ、前記外側誘導コイルが前記伝導性筐体の外面に取り付けられる、誘導電力・データアセンブリと、
を備える、液量を測定するためのシステム。
(態様10)
前記問い合わせアセンブリは、
液体を蓄えるように構成される伝導性筐体内へ1つ以上の入射電磁波を送信するように構成される送信器と、
前記入射電磁波に対応する跳ね返り電磁波を受信するように構成される受信器と、
前記跳ね返り電磁波に対応する伝達関数を測定するように構成される伝達関数モジュールと、
測定された前記伝達関数に基づいて液量を計算するように構成される液量計算モジュールと、
を備える態様16のシステム。
(態様11)
前記液量計算モジュールは、
前記入射電磁波のうちの特定の入射電磁波の送信と対応する前記跳ね返り電磁波の受信との間の時間遅延を決定し、
決定された前記時間遅延と、前記特定の入射電磁波と同じ特性を有する入射電磁波に対応する一組の既知の時間遅延とを比較し、
決定された前記時間遅延が前記一組の既知の時間遅延のうちの1つと一致するかどうかを決定し、
決定された前記時間遅延が前記一組の既知の時間遅延のうちの1つの時間遅延に一致すると決定すると、一致した時間遅延に対応する液量を決定する
ように更に構成される態様17のシステム。
(態様12)
前記誘導電力・データアセンブリは、前記問い合わせアセンブリと無線で通信するように構成される無線ハブを更に備え、
前記問い合わせアセンブリが無線ハブと通信するための無線アンテナを更に備え、前記問い合わせアセンブリは、計算された液量に対応するデータを前記無線アンテナを介して前記無線ハブへ送るように構成される、態様16のシステム。
(態様13)
前記伝導性筐体内に位置付けられるスロット付き導波管を更に備え、
前記送信器は、前記入射電磁波を前記スロット付き導波管内の液体へ向けて送信するように構成される、態様16のシステム。