(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の錠剤供給装置の一実施形態である錠剤供給装置10を用いた除包システムについて図面を参照して説明する。
図1および
図2に示すように、ここに示す除包システムは、錠剤供給装置10と、錠剤供給装置10から供給された錠剤を包装する包装装置5とを備えている。
錠剤供給装置10は、錠剤シート51(
図25参照)から錠剤50を取り出して供給する装置であって、複数の錠剤取出しユニット1と、錠剤取出しユニット1で取り出された錠剤を供給する供給ユニット2と、錠剤50が取り出された錠剤シート51を排出する排出ユニット3(
図33参照)と、これらを収納する支持架体4とを備えている。
以下の説明において、
図1におけるX1方向を前方、X2方向を後方と呼ぶ場合がある。
図1におけるY1、Y2方向は、水平面内でX1、X2方向に直行する方向であり、それぞれ左方および右方と呼ぶ場合がある。また、左右方向を幅方向ということがある。なお、図示例の錠剤供給装置10は複数の錠剤取出しユニット1を備えているが、錠剤取出しユニット1の数は1でもよい。
【0009】
支持架体4は、基台71と、その上に設けられた底壁72と、その両側端に立設された側壁73、73と、側壁73、73の上端に設けられた天壁74とを備えており、これらに囲まれた内部空間に、複数の錠剤取出しユニット1を収納している。錠剤取出しユニット1は、幅方向(左右方向)に6つが並べられ、この6つの錠剤取出しユニット1からなる組が上下に3段に配置されている。すなわち、錠剤取出しユニット1は、左右6列、上下3段に配列されている。
【0010】
図3〜
図6、
図13、
図23に示すように、錠剤取出しユニット1は、錠剤シート収容部11と、錠剤シート51を搬送する搬送機構12と、錠剤シート選別機構13と、錠剤シート51の搬送路14と、側壁部15と、錠剤シート51の反り変形を修正する修正機構16と、錠剤位置検出機構17と、錠剤シート51が載置される載置台18と、錠剤シート51から錠剤50を取り出す押出し機構19と、載置台18の支持体21、22の位置を調整する位置調整機構23と、取り出された錠剤50を導く導出シュート24と、支持体25とを備えている。
【0011】
図5に示すように、支持体25は、天板31と、その側縁から垂下する側板32、32と、天板31の前縁から垂下する前板33とを備えている。
図3〜
図6に示すように、錠剤シート収容部11は、天板31上に、仕切板34と、一対の可動側板35、35とを有し、これらに囲まれた空間に、1または複数の錠剤シート51を収容できる。錠剤シート収容部11には、長さ方向を前後方向に向けた錠剤シート51が収容される。仕切板34は、天板31に対して垂直かつ幅方向に沿って設けられている。可動側板35、35は、仕切板34の前側に、天板31に対して垂直かつ前後方向に沿って設けられている。可動側板35、35は、互いに平行に、向かい合って形成されている。
【0012】
可動側板35、35は、位置調整機構23の延出部60、60(
図15参照)に取り付けられた駆動体61、61と一体に形成されている。
延出部60、60は、調整ダイヤル57を操作することによりネジシャフト58を回動させることによって、互いに接近または離間する方向に移動するように設計されているため、調整ダイヤル57の操作により可動側板35、35を互いに接近または離間する方向に移動させ、その幅方向の位置を錠剤シート51の幅寸法に合わせて設定できる。
図6は、比較的幅が狭い錠剤シート51を使用した場合の例であり、
図10は比較的幅が広い錠剤シート51を使用した場合の例である。
【0013】
図25に示すように、図示例の錠剤シート51は、錠剤シート51は、錠剤50を収容する錠剤収容部52を有するシート本体54の下面に、アルミニウム等からなる金属箔などを用いた封止シート55を設けることによって錠剤50を錠剤収容部52に密封したものである。錠剤シート51は、シート部53上に凸状の錠剤収容部52が幅方向に間隔をおいて2列に並んだ形態である。各列をなす複数の錠剤収容部52は錠剤シート51の長さ方向に沿って並んでいる。なお、錠剤シート51としては、シート部53上に錠剤収容部52が2列に並んだ形態のものに限らず、錠剤収容部52が錠剤シート51の長さ方向に1列に並んだ形態や、錠剤収容部52が幅方向に間隔をおいて3列以上の複数列に並んだ形態も可能である。
【0014】
図3に示すように、搬送機構12は、錠剤シート収容部11内の錠剤シート51を後方に向け搬送するものであって、前後方向に互いに間隔をおいて設けられた第1〜第3下部ローラ38、39、40と、前後方向に互いに間隔をおいて設けられた第1〜第3上部ローラ41、42、43とを備えている。第1〜第3下部ローラ38、39、40は、図示せぬ駆動源により回転駆動可能であり、シート部53の下面に当接して錠剤シート51に後方への力を加えることができる。第1〜第3上部ローラ41、42、43は、図示せぬ駆動源により回転駆動可能であり、シート部53の上面に当接して錠剤シート51に後方への力を加えることができる。上部ローラ41、42、43の幅方向の位置は、2列の錠剤収容部52の間に相当する位置であるため、上部ローラ41、42、43が錠剤収容部52に当接することはない。
【0015】
下部ローラ39と上部ローラ41はシート部53を上下から挟み込んで錠剤シート51を後方に搬送できる。下部ローラ40と上部ローラ43はシート部53を上下から挟み込んで錠剤シート51を後方に搬送できる。第2上部ローラ42は、第1上部ローラ41に比べ低い位置に設けられている。
【0016】
図11、
図12、
図16に示すように、錠剤シート選別機構13は、予め定められた数(例えば1)の適正姿勢の錠剤シート51のみを選別するものであって、仕切板34の下端から延出する移動阻止部44を有する。移動阻止部44は、仕切板34の幅方向の中央下端から下方に延出する基部44aと、基部44aの先端から延出端に向かって後方に傾斜する先端延出部44bとを有する形状とすることができる。
【0017】
図12に示す例では、錠剤シート51は、シート部53の上に錠剤収容部52がある姿勢(正姿勢)をとっている。移動阻止部44の長さは、最も下にある錠剤シート51Aのシート部53には届かず、これより高い位置にある錠剤シート51Bのシート部53より低い位置に延出端が達する長さである。このため、錠剤シート51Bは移動が阻止され、錠剤シート51Aのみが通過できる。移動阻止部44の幅方向の位置は、2列の錠剤収容部52の間に相当する位置であるため、移動阻止部44が錠剤収容部52に当接することはない。
【0018】
移動阻止部44は、錠剤シート51Aが逆姿勢(シート部53の下に錠剤収容部52がある姿勢)のときはシート部53に当接し、錠剤シート51Aの移動を阻止する長さとされている。このため、最も下にある錠剤シート51であっても、姿勢が適正でなければ移動が阻止される。このように、移動阻止部44は、1つの正姿勢の錠剤シート51のみを通過させ、それ以外の錠剤シート51の移動を阻止する。移動阻止部44は、所定数の適正姿勢の錠剤シート51のみを通過させるものであればその形状は図示例に限定されない。移動阻止部44は、例えば傾斜部分がなく、全長にわたって下方に延出する形状であってもよい。
【0019】
図13〜
図20に示すように、側壁部15、15は、錠剤シート51が搬送される搬送路14の両側に立設され、錠剤シート51の幅方向の位置を規定する。側壁部15、15は、位置調整機構23の延出部60、60(
図15参照)に取り付けられた駆動体61、61と一体に形成されている。延出部60、60は、互いに接近または離間する方向に移動可能であるため、調整ダイヤル57の操作により側壁部15、15を互いに接近または離間する方向に移動させ、その幅方向の位置を錠剤シート51の幅寸法に合わせて設定できる。
【0020】
図15および
図17に示すように、錠剤位置検出機構17は、錠剤シート51の錠剤収容部52の位置を光により検出するものであって、発光素子を有する発光部17aと、発光部17aからの光を受ける受光部17bと、受光部17bが光を受けて発する信号に基づいて錠剤収容部52の位置を検出する検出部(図示略)とを有する。発光部17aに用いられる発光素子としては、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)等があり、受光部17bに用いられる受光素子としてはフォトダイオード(PD)等がある。発光部17aは一方の側壁部15に設けられ、受光部17bは他方の側壁部15に設けられる。発光部17aと受光部17bは互いに対向する位置に設けられている。
【0021】
図17〜
図20に示すように、錠剤シート51の錠剤収容部52が錠剤位置検出機構17に至り、発光部17aからの光を遮ると、光が受光部17bに届かなくなるため、受光部17bは受光信号を発しない。一方、錠剤収容部52がない部分では、発光部17aからの光が遮られないため、光が受光部17bに届き、受光部17bは受光信号を発する。
このため、受光部17bからの受光信号に基づいて錠剤収容部52の位置を検出できる。
【0022】
図21に示すように、錠剤シート51のシート部53に幅方向の反り変形が生じていない場合には、発光部17aから受光部17bに向かう光L1はシート部53に遮られることはない。これに対し、
図22に示すように、錠剤シート51のシート部53に幅方向の反り変形が生じている場合には、発光部17aから受光部17bに向かう光L1がシート部53の側縁部に遮られて検出精度が低下するおそれがある。
【0023】
図19および
図20に示すように、修正機構16は、錠剤位置検出機構17に至る錠剤シート51の幅方向の反り変形を修正するものであって、側壁部15に形成されたガイド凸部45と、受け部48とを有する。ガイド凸部45は、側壁部15、15の内面から内方に突出して形成された突条であり、後方(
図19および
図20の左方)に向け徐々に下降する傾斜部46と、傾斜部46の後端から後方に向けて一定高さで延在する水平部47とを有する。
図19(b)に示すように、受け部48は、ガイド凸部45の下面に対向する位置に形成されている。受け部48は、傾斜部46の押圧傾斜面46aに対向する受け傾斜面48aと、水平部47の下面に対向する受け水平面48bとを有する。受け水平面48bは受け傾斜面48aの後端と同じ高さに形成されている。
【0024】
傾斜部46は一定幅の断面矩形の突条であり、その突出高さは、押圧傾斜面46a(厚さ方向押圧部)が錠剤シート51のシート部53の側縁部に上面側からに当接できるように設定される。傾斜部46の押圧傾斜面46aは、後方に向け下降するように一定角度で傾斜して形成されており、押圧傾斜面46aの後端46b(
図19(b)参照)の高さ位置は、下部ローラ39と上部ローラ41(
図3参照)により挟み込まれたシート部53の高さ位置H1とほぼ同じ、または高さ位置H1より低い位置にある。
【0025】
図20に示すように、幅方向の反り変形が生じている錠剤シート51が下部ローラ39と上部ローラ41により(
図3参照)水平な状態で搬送されると、シート部53の側縁部53aは傾斜部46の押圧傾斜面46aに当接し、下方(シート部53の厚さ方向)に押圧される。押圧傾斜面46aによる押圧によって、シート部53には搬送方向(
図20の左右方向)にわたって下方への曲げ変形が生じる。さらに、下方に曲げられたシート部53は、上部ローラ42に上から押圧されるとともに、受け部48の受け水平面48bに当接するため、水平状態に戻る方向の曲げが加えられる。このように、シート部53には、押圧傾斜面46aおよび受け水平面48bによって搬送方向(錠剤シート51の長さ方向)にわたる曲げ変形が生じる。
【0026】
錠剤シート51は、シート部53の剛性により、シート部53には互いに異なる2方向の曲げは生じにくいため、搬送方向(錠剤シート51の長さ方向)の曲げによって幅方向の曲げは小さくなる。図示例では、錠剤位置検出機構17より前方位置で、押圧傾斜面46a等により上記搬送方向の曲げが加えられるため、錠剤位置検出機構17に達した時点ではシート部53の幅方向の反り変形は解消されている。従って、シート部53の反り変形を原因として光L1が遮られることによる検出精度の低下を防ぐことができる。
【0027】
図6〜
図9に示すように、載置台18は、互いに接近および離間する方向に移動可能な一対の主支持体21と、互いに接近および離間する方向に移動可能な一対の端部支持体22と、一対の基体26と、これら基体26に両端部を支持されたシャフト27と、付勢部材28と、主支持体21に設けられた受け部29とを備えている。以下、端部支持体22、22が互いに接近および離間する方向を主接離方向A1という。
【0028】
主支持体21は並列配置された長板状の部材であって、向かい合う内側縁21aは、主接離方向A1に沿う主縁部21bと、その両端側にそれぞれ形成された傾斜縁部21c、21cとを有する。傾斜縁部21cは、主接離方向A1に対して、主支持体21の両端方向に向けて内方(支持体21、21が互いに接近する方向)に傾斜している。傾斜縁部21cは一定角度で傾斜していることが好ましい。
【0029】
端部支持体22の一方および他方の外側縁22aは、互いに離れる方向に向けて主接離方向A1に対して内方に傾斜する傾斜縁部22b(傾斜部)を有する。傾斜縁部22bは一定角度で傾斜していることが好ましい。傾斜縁部22bの傾斜角度は傾斜縁部21cの傾斜角度と同じ角度とすることができる。傾斜縁部22bの少なくとも一部は、主支持体21、21間にあって傾斜縁部21cに当接可能である。主支持体21、21と端部支持体22、22に囲まれた開口部は、錠剤シート51からの錠剤50が落とし込まれる排出口30である。
【0030】
図8および
図9に示すように、端部支持体22、22は、錠剤シート51のシート部53の側縁部を支持し、主支持体21、21は、幅方向に並ぶ一対の錠剤収容部52、52の前方部分と後方部分でシート部53を支持する。符号20は排出口30の幅方向の中央部分で主支持体21、21間に架け渡された補助支持部である。補助支持部20は一対の錠剤収容部52、52の間の位置でシート部53を支持する。
【0031】
図5に示すように、位置調整機構23は、前板33の前面側に設けられた調整ダイヤル57と、側板32、32間に軸回りに回動自在に架け渡されたネジシャフト58と、調整ダイヤル57の駆動力をネジシャフト58に伝える駆動力伝達機構59と、ネジシャフト58が嵌合するネジ穴60aを有する一対の延出部60、60と、延出部60、60にそれぞれ取り付けられた一対の駆動体61、61とを備えている。
図3に示すように、駆動力伝達機構59は、調整ダイヤル57の回転駆動力をネジシャフト58の軸回り方向の力に変換してネジシャフト58に伝達できる。駆動力伝達機構59としては公知の機構を採用でき、例えば調整ダイヤル57の回動に応じて回動する伝達シャフト62と、伝達シャフト62の回動に応じてネジシャフト58を回動させる変換機構63とを有する構成を採用できる。
【0032】
図5および
図7、
図15に示すように、ネジシャフト58の外周面にはネジ部58a、58bが形成されている。一方の延出部60のネジ穴60aに挿通する一端側部分のネジ部58aと、他方の延出部60のネジ穴60aに挿通する他端側部分のネジ部58bとはネジの形成方向(螺旋方向)が異なる。このため、調整ダイヤル57を一方向に回転させ、ネジシャフト58を一方向に回転させると、延出部60、60はそれぞれネジシャフト58の一端および他端方向に移動し、逆に、調整ダイヤル57を他方向に回転させ、ネジシャフト58を他方向に回転させると、延出部60、60はネジシャフト58の中央方向に移動する。
【0033】
図5および
図6に示すように、駆動体61、61は長板状に形成され、天板31上で前後方向に延在し、並列して配置されている。駆動体61、61は延出部60、60の上端部に固定されており、延出部60、60に連動して互いに接近および離間する方向に移動可能である。
図7に示すように、駆動体61、61の後端部は、それぞれ端部支持体22、22に取り付けられている。
図6および
図8に示すように、端部支持体22、22が互いに近い位置にあると、主支持体21に当接する部分の端部支持体22(傾斜縁部22b)の幅は狭いため、主支持体21、21は互いに接近した位置にある。
【0034】
図9および
図10に示すように、駆動体61、61を互いに離間する方向に移動させ、端部支持体22、22を互いに離間させると、主支持体21に当接する部分の端部支持体22(傾斜縁部22b)の幅が広くなるため、傾斜縁部22bに押されて主支持体21、21は互いに離間する方向に移動する。
図6および
図8に示すように、駆動体61、61を互いに接近する方向に移動させ、端部支持体22、22を互いに接近させると、主支持体21に当接する部分の端部支持体22(傾斜縁部22b)の幅が狭くなる。基体26に反力を得た付勢部材28(コイルスプリングなど)が受け部29を内方に押圧することにより、主支持体21、21は互いに接近する方向に移動する。
このように、駆動体61、61によって、主支持体21および端部支持体22の間隔を調整でき、排出口30の大きさを錠剤シート51に合わせて任意に設定できる。排出口30が大きすぎるとシート部53が撓んで錠剤50が取り出しにくくなるおそれがあり、排出口30が小さすぎると錠剤50が支持体21、22に当たって取り出し操作に支障が生じるおそれがあるが、排出口30の大きさを調整することにより、錠剤50のスムーズな取り出しが可能となる。
【0035】
図23〜
図28に示すように、押出し機構19は、錠剤押圧部81と、錠剤押圧部81を錠剤収容部52に接近する方向に移動させる駆動機構82とを有する。
錠剤押圧部81は、錠剤収容部52の中央部分を押圧する内側押圧体83と、錠剤収容部52の中央部分より外側の部分を押圧する外側押圧体84とを備えている。外側押圧体84は、前壁部86と、前壁部86から後方に間隔をおいて前壁部86と平行に設けられた後壁部87と、前壁部86と後壁部87の内縁に設けられた内壁部88とを有する。すなわち、外側押圧体84は、向かい合う一対の対面壁部である前後壁部86、87と、これらの一方の縁部間に設けられた内壁部88(一方側壁部)を有する。外側押圧体84の下縁部84aは、内壁部88の下縁部の前後端からそれぞれ前壁部86および後壁部87の下縁部が幅方向に延出する形状であるため、外側押圧体84が下降すると、前後壁部86、87および内壁部88の下縁部が錠剤収容部52を押圧する。
内側押圧体83は、下端に向け幅が狭くなる延出端部83aを有する板状体であり、前壁部86、後壁部87および内壁部88に囲まれた空間内に挿通し、この空間内で上下に移動できる。
【0036】
駆動機構82は、外側押圧体84を昇降させる第1昇降機構91と、内側押圧体83を昇降させる第2昇降機構92とを有する。
第1昇降機構91は、外側押圧体84が取り付けられた第1昇降体93と、図示せぬ駆動機構によって回転駆動して第1昇降体93を昇降させるカム94と、第1昇降体93を上昇方向に付勢する付勢部材97とを備えている。
【0037】
第1昇降体93は、前後方向にわたって延在する柱状体であり、前端部93aに外側押圧体84が取り付けられている。カム94は、外側押圧体84の昇降動作を考慮して設計された形状の板状体であり、図示せぬ駆動機構によって回転駆動する軸部95に固定されている。カム94は、第1昇降体93の上面側に設けられ、軸部95の回転に伴って回転駆動し、第1昇降体93を押圧することによって高さ位置を調整し、これによって外側押圧体84の高さ位置を調整することができる。第1昇降機構91は、カム94の回転動作のタイミング、カム94の形状、軸部95に対するカム94の固定位置などの設定によって、外側押圧体84の昇降動作のタイミングや変位量を任意に設定できる。
【0038】
第2昇降機構92は、内側押圧体83が取り付けられた第2昇降体98と、図示せぬ駆動機構によって回転駆動して第2昇降体98を昇降させるカム99と、第1昇降体93を上昇方向に付勢する付勢部材100とを備えている。
【0039】
第2昇降体98は、前後方向にわたって延在する柱状体であり、前端部98aに内側押圧体83が取り付けられている。カム99は、第2昇降体98の上面側に設けられ、軸部95の回転に伴って回転駆動し、第2昇降体98を押圧して高さ位置を調整し、これによって内側押圧体83の高さ位置を調整することができる。第2昇降機構92は、カム99の回転動作のタイミング、カム99の形状、軸部95に対するカム99の固定位置などの設定によって、内側押圧体83の昇降動作のタイミングや変位量を任意に設定できる。このため、カム94とカム99は、それぞれ第1昇降体93と第2昇降体98に対して互いに独立に動作可能であり、内側押圧体83と外側押圧体84は、互いに独立に昇降動作させることができる。
【0040】
駆動機構82におけるカム94、99の回転動作のタイミング等は、錠剤位置検出機構17の検出部(図示略)からの信号に基づいて定めることができる。具体的には、検出された錠剤収容部52の位置に合わせて内側押圧体83と外側押圧体84を動作させることができる。
【0041】
図23、
図31および
図32に示すように、導出シュート24は、排出口30に落とし込まれた錠剤50を導くものであって、排出口30を含む大きさの上部開口を有し、天板31の下面側に設けられている。導出シュート24の先端は支持体25の側板32に形成された凹部32aを通して側板32の外面側に達しているため、導出シュート24出口24a(下部開口)は支持体25の側面に位置している。
【0042】
図1、
図2、
図31および
図32に示すように、供給ユニット2は、2以上の錠剤取出しユニット1からの錠剤50を導く共通導出路101と、共通導出路101からの錠剤50を集める共通シュート102と、共通シュート102からの錠剤50を供給する供給部103とを備えている。
【0043】
図31および
図32に示すように、共通導出路101は、上下多段に配列された複数の錠剤取出しユニット1からの錠剤50を集めて共通シュート102に供給するものであって、上下に多段に設けられた複数の錠剤取出しユニット1の導出シュート24の出口24aが接続されている。
図31に示す例では、錠剤取出しユニット1のうち隣り合う左右2列、上下3段の錠剤取出しユニット1(1A)の導出シュート24の出口24aが1つの共通導出路101(101A)に接続されている。導出シュート24の出口24aは錠剤取出しユニット1の支持体25の側面にあるため、上段、中段、下段の錠剤取出しユニット1の導出シュート24の出口24aが共通導出路101に接続されている高さ位置は互いに異なる。なお、共通導出路101には、2または4以上の錠剤取出しユニット1の導出シュート24が互いに高さを違えて接続されていてもよい。
【0044】
共通導出路101は、錠剤50が通過可能な筒状に形成された主導出路105と、主導出路105より内部空間の断面積が大きい筒状の拡大部106とを備えている。主導出路105は、高さ方向に隣り合う錠剤取出しユニット1、1の導出シュート24、24の出口24a、24aの中間の高さ位置に形成されている。
図31に示す例では、主導出路105は、上段の錠剤取出しユニット1の出口24aと中段の錠剤取出しユニット1の出口24aとの間に相当する高さ位置、および中段の錠剤取出しユニット1の出口24aと下段の錠剤取出しユニット1の出口24aとの間に相当する高さ位置にそれぞれ形成されている。
【0045】
拡大部106は、例えば主導出路105より幅広に形成されており、高さ方向に隣り合う錠剤取出しユニット1、1の導出シュート24、24の出口24a、24aのうち低い方の出口24aを含む高さ位置に形成されている。
図31に示す例では、拡大部106は、中段と下段の錠剤取出しユニット1の出口24aを含む高さ位置に形成されている。このため、上段の錠剤取出しユニット1からの錠剤50が共通導出路101内を落下する際に、中段と下段の錠剤取出しユニット1の出口24aから導出シュート24に入るのを防ぐことができる。また、中段の錠剤取出しユニット1からの錠剤50が下段の錠剤取出しユニット1導出シュート24に入るのを防ぐことができる。錠剤50が導出シュート24に入るのを防止できるのは、出口24aがある位置の共通導出路101(拡大部106)が広く形成されているため、落下の過程で錠剤50が主導出路105の内面で跳ね返っても導出シュート24に入りにくくなるからである。なお、拡大部106は、上段の錠剤取出しユニット1の出口24aを含む高さ位置に形成してもよい。
【0046】
図33〜
図35に示すように、排出ユニット3は、錠剤50を取り出した空の錠剤シート51を滑落させるガイド溝部110を有する排出シュート111を備えている。ガイド溝部110の内面110aは、少なくとも一部が断面円弧状とされている。内面110aは、底面の幅方向中央部分が平坦で両側部が断面円弧状であってもよいし、全面が断面円弧状であってもよい。
【0047】
図36に示すように、包装装置5(
図1、
図2参照)は、錠剤供給装置10から供給される錠剤50を受け入れるホッパー121と、包装シート122を供給するシート供給部123と、包装シート122を搬送するシート搬送部124と、錠剤50が封入された包装シート122をシールするとともに分断用ミシン目125を形成して錠剤分包体126とするスタンプ部127とを備えている。シート搬送部124は、包装シート122を支持する支持軸133、包装シート122を搬送する駆動ローラ134等を備えている。スタンプ部127は、押圧体128と受け部129とを備えている。押圧体128は、L字型の第1押圧部130aと第2押圧部130bとからなる押圧部130を備えている。押圧部130は包装シート122の開口部側の外縁と、隣り合う分包領域131、131の境界部分を加熱溶着できる。スタンプ部127の第1押圧部130aと第2押圧部130bとの間にはカッター132が設けられている。
【0048】
以下、錠剤供給装置10の使用方法(錠剤除包方法)について説明する。
図3〜
図6に示すように、1または複数の錠剤シート51を錠剤シート収容部11に収容する。必要に応じて調整ダイヤル57の操作により駆動体61、61の位置を調整し、可動側板35、35の幅方向の位置を錠剤シート51の幅寸法に合わせる。図示せぬ駆動源により下部ローラ38、39、上部ローラ41を回転駆動させ、錠剤シート51を後方に搬送する。仕切板34には移動阻止部44が形成されているため、1つの正姿勢の錠剤シート51のみが錠剤シート収容部11から搬出される。
上述のように、駆動体61、61の位置を錠剤シート51の幅寸法に応じて調整したことによって、側壁部15、15の幅方向位置は錠剤シート51の幅寸法に応じた位置となっているため、錠剤シート51は側壁部15、15によって幅方向位置を規定されつつ搬送される。
【0049】
図19および
図20に示すように、錠剤シート51は、錠剤位置検出機構17によって錠剤収容部52の位置が検出される。シート部53の反り変形が生じている場合には、シート部53が傾斜部46の押圧傾斜面46aに押圧されて下方への曲げ変形が生じることによって反り変形が解消されるため、錠剤位置検出機構17の発光部17aからの光が遮られることによる検出精度の低下を防ぐことができる。
【0050】
図8および
図9に示すように、上述の駆動体61、61の位置調整によって、載置台18の端部支持体22、22の幅方向位置を錠剤シート51の幅寸法に応じた位置とすることによって、排出口30は、錠剤シート51に適した大きさとなる。主支持体21、21と端部支持体22と補助支持部20は、各錠剤収容部52の前後および左右の位置のシート部53を支え、各錠剤収容部52は排出口30上に配置される。
【0051】
図23〜
図28に示すように、錠剤シート51が載置台18上に達し、錠剤50を取り出すべき錠剤収容部52が排出口30に相当する位置に至ると、
図29(a)に示すように、軸部95の回転駆動により第1昇降機構91のカム94が回動し、第1昇降体93を下降させることによって外側押圧体84が下降し、下縁部84aが、錠剤収容部52の中央部分より外側の部分を下方に押圧する。
【0052】
図29(b)に示すように、外側押圧体84は、錠剤収容部52の中央部分より外側の部分を押圧するため、中央部分を押圧する場合に比べ、錠剤50には直接的な力は加えられない。このため、錠剤50は完全に取り出されることはないが、錠剤50の一部が封止シート55を破って錠剤収容部52から出た状態となる。この状態では、封止シート55の破れはわずかであるため、錠剤50は封止シート55に支えられ、一部は錠剤収容部52内に留まっている。また、封止シート55が大きく破れて破片が生じることはない。
【0053】
次いで、
図30(a)に示すように、軸部95の回転駆動により第2昇降機構92のカム99が回動し(
図23参照)、第2昇降体98を下降させることによって内側押圧体83が下降し、延出端部83aが、錠剤収容部52の中央部分を下方に押圧する。
図30(b)に示すように、内側押圧体83は錠剤収容部52の中央部分を押圧するため、錠剤50には直接的な力が加えられ、錠剤50は完全に取り出される。これによって封止シート55の破れは拡大するが、この破れは、外側押圧体84によって生じた初期段階の少数箇所の破れが、内側押圧体83により広げられたものであるから、破断箇所が少なく、封止シート55の破片分離は起こりにくい。これに対し、錠剤収容部52に一度に大きな力が加えられて封止シート55が破れる場合には、封止シート55の多数箇所に同時に破れが生じやすいため、破片分離が起こりやすい。
【0054】
また、外側押圧体84による第1段階の押圧によって錠剤50が部分的に錠剤収容部52から取り出され、次いで、内側押圧体83による第2段階の押圧によって錠剤50が完全に錠剤収容部52から取り出されるため、各段階で錠剤50に加えられる押圧力は小さくなる。このため、錠剤収容部52に一度に大きな力が加えられる場合に比べ、錠剤50の破損が起こりにくい。
【0055】
図31および
図32に示すように、錠剤シート51から取り出された錠剤50は排出口30に落とし込まれ、導出シュート24に入り、出口24aから共通導出路101に導入され、共通導出路101内を落下する。共通導出路101は、中段と下段の錠剤取出しユニット1の出口24aを含む高さ位置に、内部空間の断面積が大きい拡大部106を有するため、上段の錠剤取出しユニット1からの錠剤50が共通導出路101内を落下する際に、中段と下段の錠剤取出しユニット1の出口24aから導出シュート24に入るのを防ぐことができる。また、中段の錠剤取出しユニット1からの錠剤50が下段の錠剤取出しユニット1の導出シュート24に入るのを防ぐことができる。このため、錠剤50の供給が滞るのを防ぎ、除包作業の効率を高く維持できる。
図1および
図2に示すように、共通導出路101を経た錠剤50は共通シュート102を通って、供給部103から供給される。
【0056】
図36に示すように、供給部103から出た錠剤50は、包装装置5のホッパー121に入り、包装シート122の分包領域131に導入される。包装シート122はスタンプ部127の押圧体128と受け部129との間に導入され、押圧部130による加熱溶着よりシール部135が形成されることによって、錠剤50は分包領域131内に密封される。隣り合う分包領域131、131の境界部分には、カッター132によって分断用ミシン目125が形成される。
【0057】
図33〜
図35に示すように、錠剤取出しユニット1で錠剤50が取り出された空の錠剤シート51は、下部ローラ40と上部ローラ43によって後方に送られ(
図3参照)、錠剤取出しユニット1の背面側に落下し、排出ユニット3の排出シュート111に導入され、ガイド溝部110内を滑落し、排出される。
図35に示すように、内面110aは、少なくとも一部が断面円弧状とされているため、ガイド溝部110内を空の錠剤シート51が滑落する際には、ガイド溝部内面が矩形の場合に比べ、錠剤シート51と内面110aとの接触面積が小さくなる。このため、錠剤シート51と内面110aとの間の摩擦が小さくなり、錠剤シート51は内面110aに引っかからずスムーズに滑落する。
【0058】
錠剤供給装置10によれば、錠剤シート収容部11と、錠剤シート51を搬送する搬送機構12と、錠剤シート51が載置される載置台18と、載置台18上の錠剤シート51の錠剤収容部52を押圧して錠剤50を取り出す押出し機構19とを有し、載置台18は、取り出された錠剤50を供給ユニット2に落とし込む排出口30を有するので、錠剤シート51から効率よく錠剤50を取り出して供給できる。従って、作業効率を高めることができる。また、錠剤50が密封された錠剤シート51を使用するため、錠剤50の変質の問題が起こりにくい。錠剤シート51は販売単位に含まれる錠剤50が少数であるため、薬局や病院等における在庫の削減を図ることもできる。さらに、排出口30の大きさを調整可能な載置台18を用いることによって、複数種類の錠剤シート51に対応できる。
従って、錠剤シート51ごとに錠剤供給装置10の構成部品を交換する必要がなく、コスト面で有利となる。