特許第5972371号(P5972371)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヘゲンシャイト−エムエフデー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディト ゲゼルシャフトの特許一覧

<>
  • 特許5972371-転造ローラ 図000002
  • 特許5972371-転造ローラ 図000003
  • 特許5972371-転造ローラ 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972371
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】転造ローラ
(51)【国際特許分類】
   B21H 1/00 20060101AFI20160804BHJP
   B21H 8/00 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B21H1/00 Z
   B21H8/00 Z
【請求項の数】5
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2014-521951(P2014-521951)
(86)(22)【出願日】2012年7月20日
(65)【公表番号】特表2014-521515(P2014-521515A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】DE2012000750
(87)【国際公開番号】WO2013013659
(87)【国際公開日】20130131
【審査請求日】2015年4月30日
(31)【優先権主張番号】202011103888.6
(32)【優先日】2011年7月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505006839
【氏名又は名称】ヘゲンシャイト−エムエフデー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディト ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェンス・ハンス−トニ
(72)【発明者】
【氏名】ツィマーマン・ハンス
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/108489(WO,A1)
【文献】 米国特許第05099558(US,A)
【文献】 米国特許第02977669(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21H 1/00
B21H 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転造工具(19)のための転造ローラ(1,1’)であって、クランクシャフトにおけるベアリングジャーナル(13)を両側に対して画成する、半径部又は凹部(14,15)の転造のためのトロイダル状の基体(2,2’)と、該基体(2,2’)の一方側)において突出する、少なくとも略円すい状のつの中心体()とを備える前記転造ローラにおいて、
記中心体(5)の上側の終端面(7)上で円筒体(8,8’)が突出していること、及び前記円筒体(8,8’)の高さ(11)及び直径(12)の大きさが、当該転造ローラ(1,1’)の誤った取付位置において前記転造工具が前記クランクシャフトのクランクアーム(16,17)と衝突するよう設定されていることを特徴とする転造ローラ。
【請求項2】
前記基体(2,2’)の他方側に更に1つの中心体(6)を設け、前記両中心体(5,6)が異なる高さ(9,10)を有していることを特徴とする請求項1記載の転造ローラ。
【請求項3】
前記円筒体(8)が、より高い高さ(9)を有する前記中心体(5)の前記上側の終端面(7)上において突出していることを特徴とする請求項2記載の転造ローラ。
【請求項4】
前記円筒体(8,8’)が、対応する前記中心体(5)の前記上側の終端面(7)と同じ直径(12)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の転造ローラ。
【請求項5】
前記円筒体(8,8’)が、対応する前記中心体(5)と少なくとも同じ高さ(11)を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の転造ローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転造工具のための転造ローラであって、クランクシャフトにおけるベアリングジャーナルを両側に対して画成する、半径部又は凹部の転造のためのトロイダル状の基体と、該基体の両側部において突出する、少なくとも略円すい状の2つの中心体とを備える前記転造ローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、転造ローラは、低い円すいの形状を有している。この円すいの底面は、しばしば異なる径でその縁部において大きく丸められている。これにより、略トロイダル状の物体が形成される。このような種類の転造ローラは、例えば特許文献1、図2に開示されている。また、特許文献2、図10図12には、上述の種類の複数の転造ローラが示されている。これら挙げられた転造ローラは、交換可能に転造工具で使用されるとともに、ローラリテーナにおいて遊びをもって回転可能に案内されている。このような種類のローラリテーナは、例えば特許文献3に開示されている。上述の転造ローラの転造工具における使用に際しては、転造ローラがさかさまの位置においてローラリテーナ間で引っ張られてしまうことが起こり得る。この結果、ローラリテーナ、転造ローラの早期の摩耗が生じるとともに、欠陥をもって加工されたクランクシャフトが生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第10230526号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/023488号
【特許文献3】独国特許発明第10042425号明細書
【特許文献4】米国特許第6393885号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このことから、転造ローラが常にあらかじめ設定した、すなわち正しい取付位置において転造工具へ取り付けられるよう転造ローラを構成するという本発明の課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、本発明に基づき、両中心体のうち1つの上側の終端面上で円筒体が突出していることによって達成される。
【0006】
特許文献4にも転造ローラが開示されており、この転造ローラは、上述の種類の転造ローラ(図3図5a及び図5b参照)のほかに、これとは異なる形態を備えている。このような転造ローラは、クランクシャフトにおけるベアリングジャーナルを両側に対して画成する、半径部又は凹部の転造のためのトロイダル状の基体と、該基体の両側部において突出する、少なくとも略円すい状の2つの中心体とを備えている。ただし、この公知の転造ローラは、規定どおりでない取付を防止するようには設定されていない。したがって、この形状によって、むしろ転造ローラのメイン加工を行うトロイダル状の基体のために、加工された支持面がガイドローラに形成されることとなる。これにより、転造力はもはや基体を介して直接転造ローラに作用せず、基体の両側部に対して突出した少なくとも略円すい状の中心体を介して作用することになってしまう(図6参照)。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】転造ローラの拡大された側面図である。
図2図1の転造ローラの拡大された正面図である。
図3図1の転造ローラの様々な取付位置の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明を実施例について詳細に説明する。
【0009】
転造ローラ1は半径部又は凹部14,15の転造のためのトロイダル状の基体2を備えており、これら半径部又は凹部は、クランクシャフト(不図示)におけるベアリングジャーナル13を両側に対して画成するものである。基体2の両側部3,4においては、円すい状の中心体5,6が突出している。1つの中心体5の上側の終端面7においては、円筒体8が突出している。例えば、両中心体5,6は、異なる高さ9,10を有している。しかし、この高さの差は必ずしも必要なものではなく、両高さ9,10は完全に同一であり得る。円筒体8を支持しない1つの中心体6の高さは、ゼロであってもよい。
【0010】
円筒体8は自体の側で高さ11を有しており、この高さは、少なくとも中心体5の高さ9と同様の高さとなっている。しかし、円筒体8の高さ11は、円筒体8を支持する中心体5の高さ9よりも大きいのが好ましい。円筒体8の直径12は、中心体5の上側の終端面7に対応する。忘れてはならないことは、基体2、中心体5,6及び円筒体8を有する転造ローラ1全体が一部材として形成されていることである。転造ローラ1は、高強度の材料から成っている。
【0011】
図3には、転造ローラ1の異なる複数の取付位置が示されている。差し当たり、クランクシャフトの適当なベアリングジャーナル13が示されている。ベアリングジャーナル13は、凹部14,15の両側に対して画成されており、ここにクランクアーム16,17が隣接している。
【0012】
図3の図示の左半分には、転造ローラ1が正しい取付位置において示されている。図3の図示の右半分には、転造ローラ1’が誤った取付位置において示されている。転造ローラ1の正しい取付位置においては、円筒体8が、隣接する2つのローラリテーナ18の間に十分なスペースを有している。図3の図示における右半分に対応する取付位置においては、誤って取り付けられた転造ローラ1’がその円筒体8’においてクランクアーム16へ入り込んでいることがわかる。したがって、クランクアーム16とクランクアーム17の間への転造工具19の取付は、最初から不可能である。完全を期すため、公知のように、両転造ローラ1,1’がその基体2あるいは2’において転造工具19の内部においてガイドローラ20上で支持されていることに言及しておく。
【符号の説明】
【0013】
1,1’ 転造ローラ
2 基体
3 側部
4 側部
5 中心体
6 中心体
7 終端面
8,8’ 円筒体
9 高さ
10 高さ
11 高さ
12 直径
13 ベアリングジャーナル
14 凹部
15 凹部
16 クランクアーム
17 クランクアーム
18 ロールリテーナ
19 転造工具
20 ガイドローラ
図1
図2
図3