特許第5972389号(P5972389)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フオルクスヴアーゲン アクチエンゲゼルシヤフトの特許一覧

<>
  • 特許5972389-高電圧装置を監視するための方法と装置 図000002
  • 特許5972389-高電圧装置を監視するための方法と装置 図000003
  • 特許5972389-高電圧装置を監視するための方法と装置 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972389
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】高電圧装置を監視するための方法と装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/02 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   G01R31/02
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-541558(P2014-541558)
(86)(22)【出願日】2012年11月6日
(65)【公表番号】特表2015-502533(P2015-502533A)
(43)【公表日】2015年1月22日
(86)【国際出願番号】EP2012004621
(87)【国際公開番号】WO2013072028
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2014年5月19日
(31)【優先権主張番号】102011118954.1
(32)【優先日】2011年11月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】596107062
【氏名又は名称】フオルクスヴアーゲン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Volkswagen AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ハンス−ペーター アーノルト
(72)【発明者】
【氏名】ウーヴェ ラハムント
【審査官】 小川 浩史
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0058568(US,A1)
【文献】 特表2011−514282(JP,A)
【文献】 特開2004−53554(JP,A)
【文献】 特開昭59−203967(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0013382(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/069752(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/047952(WO,A1)
【文献】 特開平7−264773(JP,A)
【文献】 特開2001−91559(JP,A)
【文献】 特開2009−288034(JP,A)
【文献】 特開平7−27811(JP,A)
【文献】 特開2004−112902(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0150410(US,A1)
【文献】 米国特許第7084361(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0187904(US,A1)
【文献】 国際公開第2012/007329(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧装置(19,20,21;40,41,42)を監視するための方法において、
電流ループ(30;43,49)に電流を供給するステップ、但し、前記電流ループ(30;43,49)は、前記高電圧装置(19,20,21;40,41,42)の監視すべき複数の構成要素(22,23,25,26,28,29;44,45,46,48,51,52,53,54)を通るように延在しており、前記監視すべき複数の構成要素(22,23,25,26,28,29;44,45,46,48,51,52,53,54)の内の少なくとも一つの状態の変化によって前記電流ループ(30;43,49)が遮断され、
前記電流ループの少なくとも三つの点において複数の電圧を検出するステップ、
前記複数の電圧に依存して、前記電流ループ(30;43,49)の遮断を検出するステップ、
遮断が検出されると、前記高電圧装置(19,20,21;40,41,42)の高電圧供給部(12)を遮断し、且つ、前記高電圧装置(19,20,21;40,41,42)を放電させるステップ、
前記複数の電圧に依存して、前記遮断の位置を特定するステップ、
を備え、
前記電流ループ(30;43,49)の少なくとも三つの点において複数の電圧を検出するステップは、低電圧源(10)および定電流源(14)に接続された前記電流ループ(30;43,49)の始点(17)において第1の電圧を検出するステップと、前記電流ループ(30;43,49)の終点(18)において第2の電圧を検出するステップと、前記電流ループ(30;43,49)の別の点における第3の電圧を検出するステップと、を含み、
前記電流ループ(30;43,49)の遮断を検出するステップを、前記第1の電圧及び前記第2の電圧のみに基づき実施する、
方法。
【請求項2】
前記第1の電圧と前記第2の電圧との差が所定の閾値を上回ると、前記電流ループ(30;43,49)の遮断を検出する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高電圧装置のコンポーネント(19,20,21;40,41,42)内に配置されている処理ユニット(24,27;47,50)によって、前記複数の電圧の少なくとも一部を検出する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記処理ユニットは、各コンポーネント(19,20,21;40,41,42)内の他のタスクに対しても使用されるマイクロ制御部(24,27;47,50)である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の電圧の一部は少なくとも一つの別の電圧を含む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は少なくとも一つの別の電流ループに別の電流を供給するステップを備えており、但し、前記少なくとも一つの別の電流ループは、前記高電圧装置(19,20,21;40,41,42)の、監視すべき複数の別の構成要素を通るように延在しており、前記監視すべき複数の別の構成要素の内の少なくとも一つの状態の変化によって前記少なくとも一つの別の電流ループが遮断され、
監視装置は、前記少なくとも一つの別の電流ループの少なくとも三つの別の点において別の複数の電圧を検出し、前記別の複数の電圧に依存して、前記少なくとも一つの別の電流ループの遮断を検出し、前記少なくとも一つの別の電流ループの遮断の検出時に、前記高電圧装置(19,20,21;40,41,42)の高電圧供給部(12)を遮断し、前記別の複数の電圧に依存して、前記少なくとも一つの別の電流ループの遮断の位置を特定するように構成されている、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の電圧に依存して、前記電流ループ(30;43,49)の複数の遮断の位置を反復的に特定する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
高電圧装置(19,20,21;40,41,42)を監視するための装置において、
前記高電圧装置(19,20,21;40,41,42)の監視すべき複数の構成要素(22,23,25,26,28,29;44,45,46,48,51,52,53,54)を通るように延在しており、且つ、前記監視すべき複数の構成要素(22,23,25,26,28,29;44,45,46,48,51,52,53,54)の内の少なくとも一つの状態の変化によって遮断される電流ループ(30;43,49)と、
前記電流ループ(30;43,49)に接続されている電流源(10,14;47;50)と、
低電圧源(10)および定電流源(14)に接続された前記電流ループ(30;43,49)の始点(17)において第1の電圧を検出するステップと、前記電流ループ(30;43,49)の終点(18)において第2の電圧を検出するステップと、前記電流ループ(30;43,49)の別の点における第3の電圧を検出するステップと、により、前記電流ループ(30;43,49)の少なくとも三つの点において複数の電圧を検出し、前記第1の電圧及び前記第2の電圧のみに基づき前記電流ループ(30;43,49)の遮断を検出し、遮断が検出されると、前記高電圧装置(19,20,21;40,41,42)の高電圧供給部(12)を遮断するためにスイッチ(11)を開き、前記高電圧装置(19,20,21;40,41,42)を放電させ、前記複数の電圧に依存して、前記遮断の位置を特定するように構成されている監視装置(13,24,27;47,50)と、
を備えていることを特徴とする、装置。
【請求項9】
前記監視装置は、前記高電圧装置のコンポーネント(19,20,21;40,41,42)内に配置されている少なくとも一つの処理ユニット(24,27;47,50)を含む、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記監視装置は、前記高電圧装置(19,20,21;40,41,42)外に配置されている監視ユニット(13)を含む、
請求項8又は9に記載の装置。
【請求項11】
前記監視装置(13,24,27;47,50)はバス(16)と接続されている、
請求項8乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記監視すべき複数の構成要素は、低電圧プラグ(22,25;48,53)、高電圧プラグ(23,28,29;46,51)及び/又はカバー(26;45,52,54)を含む、
請求項8乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている、
請求項8乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に車両における高電圧装置を監視するための方法と装置に関する。高電圧装置とは特に、25Vよりも高い電圧、例えば60Vを上回る電圧、例えば400Vの範囲の電圧が生じる可能性がある装置であると解される。特に、直流電圧に関しては60Vから500Vの電圧、また交流電圧に関しては25Vから1,000Vの電圧を含む電圧クラスBの電圧が高電圧に該当する。
【背景技術】
【0002】
その種の電圧は特にハイブリッド車両及び電気自動車において、例えば電気モータへの給電のために使用される。
【0003】
その種の高電圧装置の取り付けに不備があるか、又は取り付けが完全でない場合には、人間が高電圧に晒され、それにより負傷するか、それどころか死に至る可能性がある危険が存在する。その種の高電圧装置の製作時においても、高電圧装置の相応の部分に電圧が掛からないようにしながら、製作が行われることを保証することが所望される。これに関しては、例えばDE 10 2008 021 542 A1又はDE 10049196 A1から、高電圧装置を通るように低圧電流ループを設けることが公知である。その種の低圧電流ループは特に、高電圧が生じる可能性がある差込可能及び/又は取外し可能な複数のコンポーネントを通って案内されている。その種の電流ループはパイロットライン又はバリアラインとも称される。例えばその種のコンポーネントの脱着又は取外しの際に、電流ループが遮断され、これによって高電圧の供給が停止され、また高電圧装置の放電が開始される。
【0004】
例えば、DE 0 2009 054 469 A1には、高電圧線路とその種の電流ループの線路とが組み合わされている特別なケーブルシステムが開示されている。
【0005】
電流ループの遮断が検出されるだけでは、高電圧の供給の確実な停止を保証することができても、遮断の位置を特定することは不可能である。従って、そのような遮断後では、高電圧装置における欠陥の発見が困難になる可能性がある。これに関して、DE 10 2009 050 223 A1においては、車両の高電圧網を監視及び遮断するために、電気的に駆動制御可能なスイッチを使用することが提案されており、そこでは、監視ユニットが電気的に駆動制御可能なスイッチの機能を監視することができ、従って、少なくとも多くのケースにおいて位置特定を行うことができる。電気的に駆動制御可能なスイッチを駆動制御するために、特に、欠陥感応型の別のスイッチを使用することができる。しかしながら、その種の構成を実現することは比較的コストが掛かる。
【0006】
従って本発明の課題は、高電圧装置の監視に使用される電流ループのそのような遮断の位置を簡単に特定できる方法と装置を提供することである。
【0007】
この課題は、請求項1に記載の方法並びに請求項9に記載の装置によって解決される。従属請求項には別の実施例が開示されている。
【0008】
本発明によれば、高電圧装置の監視すべき複数の構成要素を通るように延在しており、且つ、それらの監視すべき複数の構成要素の内の少なくとも一つの状態の変化によって遮断されるように構成されている電流ループに電流を供給することが提案される。更に、電流ループの少なくとも三つの点において複数の電圧が検出される。検出された複数の電圧に依存して、電流ループの遮断が検出され、遮断が存在する場合には例えば高電圧装置の電圧供給が遮断される。更に、本発明によれば、少なくとも三つの電圧に依存して、電流ループの遮断の位置が特定される。その遮断に続いて、高電圧装置を放電させることができる。
【0009】
即ち、例えば電流ループの始点及び終点において電圧が二つだけ監視されるのでなく、少なくとも三つの電圧が監視されることによって遮断の位置を特定することができる。遮断の位置の特定の精度は例えば少なくとも三つである電圧の数に依存する。一般的に、電流ループの種々の点において検出される電圧の数が多くなるほど、遮断の位置の特定のより高い精度が実現される。
【0010】
一つの実施例においては、少なくとも三つの点における電圧には、電流ループの始点における第1の電圧と、電流ループの終点における第2の電圧と、始点と終点との間の少なくとも一つの別の点における少なくとも一つの別の電圧とが含まれる。そのような場合には、第1の電圧及び第2の電圧だけに依存して遮断を検出することができるが、遮断の位置を特定するためには少なくとも一つの別の電圧も使用される。
【0011】
監視すべき構成要素を、高電圧装置の一つ又は複数のコンポーネント内に配置することができ、その場合、少なくとも一つの別の電圧の検出を各コンポーネント内の監視ユニットによって行うことができる。特に、監視ユニットはいずれにせよ各コンポーネント内に設けられているマイクロ制御部又は他の処理ユニットであって良い。その種の処理ユニットを、別のコンポーネント、特に固有の処理ユニットを有していない別のコンポーネントにおいて少なくとも一つの別の電圧の内の一つ又は複数の電圧を検出するためにも使用することができる。
【0012】
勿論、本方法を二つ以上の電流ループにも適用することができる。
【0013】
第1の電圧及び第2の電圧の監視を、高電圧装置外に設けられている監視ユニットによって行うことができるが、高電圧装置のコンポーネント内の上述の処理ユニットを介しても行うことができる。
【0014】
別の態様によれば、以下の構成要素を備えている、高電圧装置を監視するための装置が提供される:
高電圧装置の監視すべき複数の構成要素を通るように延在しており、且つ、それらの監視すべき複数の構成要素の内の少なくとも一つの状態の変化によって遮断されるように構成されている電流ループ、
電流ループに接続されている電流源、並びに、
電流ループの少なくとも三つの点において複数の電圧を検出し、複数の電圧に依存して電流ループの遮断を検出し、遮断が検出されると、高電圧装置の高電圧供給部を遮断し、及び/又は、高電圧装置を放電させ、また、複数の電圧に依存して、検出された遮断の位置を特定するように構成されている監視装置。
【0015】
監視装置は特に、高電圧装置のコンポーネント内の電流ループの一点において電圧を検出するための処理ユニット、例えばマイクロ制御部を含むことができる。付加的又は択一的に、監視装置は高電圧装置外の監視ユニットも含むことができる。
【0016】
本装置を特に、上述の一つ又は複数の方法を実施するために構成することができる。
【0017】
以下では、添付の図面を参照しながら、複数の実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施例による高電圧装置を監視するための装置を示す。
図2】本発明の第2の実施例による高電圧装置を監視するための装置を示す。
図3】一つの実施例による方法を説明するためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の複数の実施例を詳細に説明する。別段の記載がない限りは、種々の実施例の特徴を相互に組み合わせることができる。その一方で、複数の特徴を備えている実施例の説明は、それら全ての特徴が本発明の実施に必要であると解釈されるべきではない。特に、別の実施例は、それよりも少ない数の特徴及び/又は代替的な特徴を備えることができる。
【0020】
図1の実施例においては、高電圧装置が一例としてコンポーネントA19、コンポーネントB20並びにコンポーネントC21を含んでいる。それらのコンポーネントは例えば電気自動車又はハイブリッド車両の電気モータ、空調装置又は高電圧バッテリを含むことができる。またそれらのコンポーネントには少なくとも部分的に高電圧を印加することができ、そのような高電圧は人間にとって危険である可能性があり、特に冒頭で述べたような電圧クラスBの電圧である。
【0021】
コンポーネントA19は例えば低電圧プラグ22及び高電圧プラグ23を有しており、コンポーネントB20は低電圧プラグ25及びカバー26を有しており、またコンポーネントC21は高電圧プラグ28及び高電圧プラグ29を有している。プラグ22,23,25,28,29の内の一つが取り外されるか、又はカバー26が開かれると、人間が高電圧部に接触する危険が存在するので、従ってこの場合には高電圧が可能な限り遮断されるべきである。図1には、高電圧が高電圧源12によってシンボリックに示されている。
【0022】
高電圧装置の上述の監視すべき構成要素22,23,25,26,28,29を監視するために、電流ループ30が図示のようにそれらのコンポーネントを通るように案内されている。この電流ループ30は始点A17及び終点E18を有しており、また、一般的に自動車に設けられている低電圧源10、例えば12Vバッテリ又は24Vバッテリ及び定電流源14を介して定電流が供給される。終点E18と低電圧源10との間には抵抗15が配置されている。図1から見て取れるように、プラグ22,23,25,28,29の内の一つが少なくとも部分的に取り外されるか、又はカバー26が開かれると、電流ループ30が即座に遮断される。
【0023】
図示されている、監視すべき構成要素の数は当然のことながら単なる例示であると解されるべきであり、別の実施例においては、図示されている数よりも多い構成要素、又はそれよりも少ない構成要素、若しくは別の構成要素を設けることもできる。コンポーネント19,20及び21の数が三つというのも単に例示であると解するべきである。
【0024】
監視ユニット13は電流ループの始点A17において第1の電圧を監視し、且つ、電流ループ30の終点E18において第2の電圧を監視する。閉じられている電流ループ30の電気抵抗は低いので、その電流ループ30が閉じられている限り、第1の電圧は第2の電圧に少なくとも近似的に等しい。これに対して電流ループ30が遮断されると、第1の電圧と第2の電圧との電圧差が比較的大きくなる。
【0025】
従って、監視ユニット13は、第1の電圧と第2の電圧との差が所定の閾値を上回ると、電流ループ30の遮断を検出するように構成されている。この場合、監視ユニット13はスイッチ11を駆動制御し、従って高電圧供給部12を遮断する。付加的又は択一的に、高速な放電を保証するために、例えば高電圧装置に残存する電荷を導出するための適切な接続部、例えばアース接続部も設けることができる。
【0026】
電流ループ30の遮断の位置のより正確な特定を実現するために、始点A17及び終点E18とは異なる、電流ループ30の別の点における電圧が監視され、図1の実施例においては、アラビア数字1〜4で表されている四つの別の点において電圧が監視される。点1及び2はコンポーネントA19内にあり、また点3及び4はコンポーネントB20内にある。しかしながら基本的に、本発明は、四つの付加的な点に特定されているものではなく、単一の点から始めて任意のあらゆる数の付加的な点を複数の電圧を監視するために使用することができる。それらの点は、特に、始点17及び終点18を含む二つの点間に遮断する可能性のある個所が存在するように選定されている。一般的に、n個の付加的な点(始点A17及び終点E18以外の点)でもって、電流ループにおけるn+1個までの欠陥区間を区別することができるので、より多くの数の付加的な点によって、遮断の位置の特定がより正確になるが、しかしながら場合によっては回路コストも高くなる。
【0027】
図1の実施例において、点1及び2の監視は、コンポーネントA19内に配置されているマイクロ制御部(マイクロコントローラ)24によって行われる。特に、いずれにせよ高電圧装置内に設けられているマイクロ制御部を使用することができ、そのようなマイクロ制御部を他の目的のためにも使用することができる。しかしながら、電流ループ30の電圧監視のために特別に設計されたマイクロ制御部又は他の処理ユニットも提供することができる。図1の実施例において、監視ユニット13並びにマイクロ制御部24及び27は一つの監視装置を形成している。
【0028】
例えばCANバス16を介してマイクロ制御部24及び27を監視ユニット13と接続することができる。更にCANバス16を介して、検出された複数の電圧の外部での読み出し及び/又は遮断の位置の特定を以下において説明するように実現することができる。別の種類の接続部、例えば無線接続部も考えられる。
【0029】
点1,2,3,4における複数の電圧のためのマイクロ制御部24,27の入力端を、プルアップ入力端又はプルダウン入力端として設計することができる。
【0030】
例えば、低電圧プラグ25が接続されていない場合には、始点A17並びに点1及び2について、点3,4並びに終点E18とは異なる電圧、例えば論理的にハイレベルの電圧が生じ、特に、マイクロ制御部24,27の入力端がプルダウン抵抗を有している場合、即ちプルダウン入力端として設計されている場合にそのような電圧が生じる。これは点2及び点3の間に少なくとも一つの遮断の位置が存在していることを意味し、このことは差し当たりプラグ25が取り外されていること(又は線路が遮断されていること)を示唆する。カバー25が開かれている場合には、例えば点3と点4との間において電位の急激な変化が生じる。従って、遮断の位置を正確に特定することができる。
【0031】
図示されている実施例においては、二つのレベル(例えば論理的にハイレベル及び論理的にローレベルの二つのレベル)しか存在せず、それら二つのレベルの比較しか行われないので、マイクロ制御部24,27を特別に設計する必要はなく、従来のマイクロ制御部入力端を備えている従来のマイクロ制御部を使用することができる。
【0032】
図示されている実施例においては、監視ユニット13を例えば、複数の点において測定値を収集して評価し、その結果をCANバス16を介して出力する、コーディネーションユニットとして使用することができる。
【0033】
遮断の位置が複数存在する場合には、電流ループ30の複数の区間が浮いた状態にあると考えられる。即ち、それらの区間は低電圧源10のいずれの端子にも接続されていないと考えられる。この場合、反復的な欠陥発見及び欠陥除去が実現され、最初の遮断の位置の識別及び特定が行われた後に、その遮断が修復され、続いて更なる検査が行われ、即ち測定点における電圧レベルの再度の評価が行われ、遮断の位置の特定及び修理が再び実施される。それらのステップは電流ループ全体において遮断の位置がなくなるまで繰り返される。
【0034】
本発明は、図1に示されているように電流ループ30を一つだけ有している高電圧装置の監視装置にしか使用できないのではなく、複数の電流ループを有している高電圧装置の監視装置にも使用することができる。その種の例は図2に示されている。図2の実施例においては、高電圧装置が一例としてやはり三つのコンポーネント、即ちコンポーネントA40、コンポーネントB41並びにコンポーネントC42を含んでいる。監視すべき構成要素として、コンポーネントA40は高電圧プラグ44、カバー45及び高電圧プラグ46を含んでいる。コンポーネントB41は、監視すべきコンポーネントとして、低電圧プラグ48、カバー52並びに高電圧プラグ51を含んでいる。コンポーネントC42は、監視すべきコンポーネントとして、低電圧プラグ53並びにカバー54を含んでいる。第1の電流ループ43は始点Aから出発して、コンポーネントA40の監視すべき構成要素を通って終点Eまで設けられている。ここで、コンポーネントA40はマイクロ制御部47を含んでおり、このマイクロ制御部47は、図2の実施例において第1の電流ループに給電し、電流ループ43の始点A、終点E並びに点1及び2における複数の電圧を監視する。このためにマイクロ制御部47を低電圧源と接続することができる。
【0035】
コンポーネントB41及びコンポーネントC42の監視すべき構成要素は、コンポーネントB41のマイクロ制御部50によって給電される、始点A及び終点Eを備えている第2の電流ループ49を介して監視される。コンポーネントC42は固有のマイクロ制御部を備えておらず、従ってマイクロ制御部50による共通の監視が行われる。マイクロ制御部50は第2の電流ループ49の始点A及び終点E並びに点3及び4において複数の電圧を評価する。遮断の検出は、第1の電流ループ43についてはマイクロ制御部47によって行われ、第2の電流ループ49についてはマイクロ制御部50によって行われ、これは監視ユニット13に関して図1を参照しながら説明したように行われる。
【0036】
マイクロ制御部47及びマイクロ制御部50はCANバス55と接続されている。マイクロ制御部50が第2の電流ループ49の遮断を確認すると、マイクロ制御部50はCANバス55を介してそれをマイクロ制御部47に遮断を通知する。マイクロ制御部47がその種の通知をマイクロ制御部50から受信するか、又は、マイクロ制御部47が第1の電流ループ43の遮断を検出すると、マイクロ制御部47はスイッチ11を開き、それによって高電圧供給部12が遮断される。更にマイクロ制御部47及び50は、付加的な測定点1,2,3,4の使用によって、発生した遮断の位置をより正確に特定することができ、その遮断の位置を同様にCANバス55を介して通知することができる。この遮断の位置の特定は図1を参照しながら説明したように行われる。
【0037】
図1を参照しながら説明したように、遮断の位置が複数存在する場合には、遮断の位置の特定も反復的に行うことができる。
【0038】
三つ以上の電流ループも使用できることを言及しておく。また図2の実施例においても、図1を参照しながら説明したように、図示されているようにマイクロ制御部47及び50を介するのではなく、低電圧バッテリ及び/又は定電流源と直接的に接続することも可能である。更に、複数の電圧の評価、特に各電流ループの始点及び終点における複数の電圧の評価を、図1の監視ユニット13のように外部の監視ユニットによって行うこともできる。それとは異なり、図1の実施例においても、電流ループへの給電及び/又は電流ループ30の始点及び終点における電圧の評価を、マイクロ制御部、例えばマイクロ制御部24又はマイクロ制御部27を介して実現することができる。
【0039】
図3には、本発明による方法の実施例が示されており、この方法は例えば図1及び図2の装置によって実施することができるが、しかしながらそれに依存せずに使用することもできる。
【0040】
ステップ60においては、高電圧装置の監視すべきエレメントを通る電流ループに電流が供給される。
【0041】
ステップ61においては、電流ループの少なくとも三つの異なる点において複数の電圧、即ち少なくとも三つの電圧が検出される。この検出を、高電圧コンポーネント内にいずれにせよ設けられているマイクロ制御部によって完全に、又は部分的に行うことができる。
【0042】
ステップ62においては、検出された複数の電圧に基づき、電流ループの遮断が検出される。その種の遮断が検出されると、ステップ63において高電圧網が遮断され、続いて放電が行われる。最後にステップ64においては、検出された複数の電圧に基づき電流ループの遮断の位置が特定される。ここで、遮断の位置が複数存在する場合には、遮断の位置の特定を上記において述べたように反復的に行うこともできる。
【0043】
上記において述べた実施例は単に一例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解されるべきではない。本発明を特に、自動車、とりわけハイブリッド車両両又は電気自動車における高電圧装置に適用することができる。しかしながら本発明の使用はこの用途に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0044】
1−4 点、 10 低電圧バッテリ、 11 スイッチ、 12 高電圧供給部、 13 監視ユニット、 14 定電流源、 15 抵抗、 16 CANバス、 17 始点、 18 終点、 19,20,21,40,41,42 コンポーネント、 22,25,48,53 低電圧プラグ、 23,28,29,44,46,51 高電圧プラグ、 24,27,47,50 マイクロ制御部、 26,45,52,54 カバー、 30,43,49 電流ループ、 60−64 方法ステップ
図1
図2
図3