【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明により提供される、エレベータの適正作動性を試験する方法においては、特性値の確認のために、かごと昇降路内の固定測点間の距離の変化を光学距離測定装置により測定することが提案される。このため、驚くほど単純な仕方で、エレベータの適正作動性を試験する方法を迅速で効率的に行うことができる。提案される方法によれば、特に、複雑で時間のかかるケーブルや駆動プーリへの測定装置の取付けや、昇降路の外側のセンサへのケーブルの布設を省くことができる。加えて、昇降路の実施態様は標準により確立されているため、提案される方法は特に普遍的なものである。その結果、エレベータの実施態様が異なる場合でも、昇降路は殆ど異ならない。これにより、エレベータの適正作動性の試験は更に単純化される。
【0011】
本発明によれば、光ビームを自動的に反射体に整列させることが提案される。提案される自動整列は、距離値がかごの移動の全行路に沿って支障なく、またはわずかな支障で測定可能なことを保証する。また、光ビーム、特にレーザビームを放射する光学距離センサがかごの移動方向に対して正確に直角に配置されない場合でも、距離値の測定を行うことができる。
【0012】
放射される光ビームの自動追尾を保証するために、閉ループ制御が提供される。それによって、放射される光ビームが反射体で反射されるか否かが検出される。かかる検出は、受信器により行われる場合がある。
【0013】
放射される光ビームが反射体で反射されないことが検出されるや否や、放射される光ビームは所定アルゴリズムに従って移動させられる。そのアルゴリズムによれば、放射される光ビームは、第1の直線に沿って移動され、その後、第1の直線に直角な第2の直線に沿って移動される場合がある。放射される光ビームは、円の経路に沿って移動させられる場合もある。移動の程度は、光学距離センサからの反射体の距離に依存して、都合よく算出される。距離の算出には、放射される光ビームが反射体でもはや反射されないことが検出される前に測定された最後の距離値が使用される。放射される光ビームの移動の程度を最後の距離値に依存して算出することにより、放射された光ビームの移動の軌跡が、光学距離センサからのかごの距離にかかわらず、それぞれ常に同一の程度または寸法を有するようにすることができる。これにより、放射される光ビームの迅速な追尾および反射体との整列が保証される。
【0014】
有利な実施態様によれば、固定測点は昇降路窪み空間内にあり、その場合、かごのかご下面までの距離が測定される。昇降路窪み空間へは、試験技師が容易に接近できる。その中に、距離の変化を測定できる距離測定装置を、大した努力なしに配置できる。
【0015】
距離の変化は、光学距離測定装置により測定される。距離測定装置は、望ましくはクロック発生器を含み、それは、例えば固定測点に対するかごの距離の時間分解測定を可能にする。クロック発生器は、例えばコンピュータの1構成要素であり、これには距離測定装置が接続されて、これが測定した測定値を伝達し、コンピュータがこれを分析するようにできる。
【0016】
距離測定装置を使用し、1秒につき少なくとも500、好ましくは700〜2500個の距離値を測定し、記録するのが好適であると判明している。下流の分析電子機器を使用して、1秒につき800〜1200個の距離値が好適に測定され、分析される。提案される測定値の記録頻度を使用すれば、適正作動性の試験のために規定される試験手順で、かごの動特性を記録することができる。達成される結果は、代表的な試験手順を使用して達成できる結果よりも大幅により正確である。この方法は、同時に、より容易でコスト効率よく行われる場合がある。また、望ましくは1秒につき900〜1100個の距離値を、力測定装置が提供する測定値の関数として記録することもできる。この場合にも、上述の測定頻度が使用できる。
【0017】
距離測定装置は、望ましくは固定測点を構成する。これにより、方法は単純化される。例えば、鏡として実施される固定測点に対する複雑な整列作業や、多分必要とされるコンピュータへのケーブル布設作業が省かれる。
【0018】
実際、距離測定装置は、昇降路窪み空間内に設置されるのが特に有利であると判明しているが、その窪み空間とは、昇降路の床と、四方の壁と、床上に支持された緩衝物の上面に載っている仮想面と、により境界が定められるものである。昇降路窪み空間へは、比較的容易に接近できる。距離測定装置は、緩衝物の上面に載っている仮想面の下方に安全に収容することができる。かごまたはカウンタウエイトが緩衝物上に載せられた場合でも、距離測定装置への損傷の心配はない。特に単純な実施態様によれば、距離測定装置は、昇降路窪み空間の床上に支持される。
【0019】
本発明の他の特に有利な実施態様によれば、距離測定装置として光学距離センサが使用され、その光学距離センサは、光軸に沿って送信光ビームを放射する少なくとも1つのセンサと、送信光ビームを変調する少なくとも1つの発振器と、受信光ビームを受信し、かご下面から反射された受信光ビームの実行時を決定する手段を有する受信器と、を備える。提案される光学距離センサを使用して、送信光ビームと受信光ビーム間の位相差から、特に、かごの距離の経時的変化を決定することができる。送信光ビームおよび受信光ビームは、この実施態様においてはパルス化されない。距離測定は、周波数測定により行われる。かかる周波数測定は、わずかな回路費用で実施できる。それ故に、かご下面と固定測点間の距離の経時的変化を、特に正確に、そして高解像度で測定することができる。
【0020】
本発明の他の実施態様によれば、実行時を決定する手段は、電気信号経路を介して受信器に接続される位相差検出器を備える。電気信号経路には、それを使用して送信光ビームと受信光ビーム間の位相差を既定の値に設定しまたは調節可能とされた電子信号遅延ユニットを接続することができる。位相シフトを決定するために、望ましくは送信光ビームと受信光ビーム間の同期整流器を少なくとも1つ備える。送信器は、一定周波数を有する上流の発振器により変調可能とされ、従ってクロック発振器の出力は同期整流器に導かれ、クロック発信器の周波数は同期整流器の出力信号のフィードバックにより調節可能とされる。発振器およびクロック発振器の両信号間の位相差は、位相検出器内で決定可能とされ、距離の測度として、分析ユニット内で分析可能とされる。同期整流器の積分出力信号が送信器の上流の発振器にフィードバックされ、発振器内で設定される変調周波数が距離の測度として分析ユニット内で分析されるという点で、送信光ビームの変調周波数も、送信光ビームと受信光ビーム間の位相シフトを決定するために調節可能とされている。上述の特徴を有する距離測定装置は、特に固定測点に対するかごの距離を測定するのに十分に適している。このようにして達成可能とされる測定周波数は、ミリセカンド範囲内で距離の時間的変化の測定を可能にする。減速度や加速度は、例えば非常停止等の場合に安全装置のトリガーで発生するが、これにより記録される場合がある。提案される距離測定装置は、従って、エレベータの適正作動性の試験中の、全ての速度-依存や加速度-依存の特性値を確認するのに、普遍的に適している。
【0021】
光学距離センサは昇降路窪み空間の床上に都合よく支持され、また反射体はかご下面に取り付けられる。昇降路の床上での光学距離センサの支持は、特に簡単に実施される場合がある。煩わしい据付作業は不要である。
【0022】
他の実施態様によれば、受信器の出力端で入手できる受信信号を分析する分析ユニットが備えられる。受信器は、その法線ベクトルが光軸に対して既定の傾斜角だけ傾斜した受光面を有することができる。それ故、光が受信器から光軸領域内へと反射されて測定結果を破壊する結果にもなり得ることを、防止することができる。傾斜角は、望ましくは10〜30°の範囲内にある。
【0023】
測定値を分析するために、低域通過フィルタ、好ましくはSG−FIRローパスフィルタを使用し、それにより測定値をフィルタするのが特に有利であると判明している。光学距離センサと提案されるフィルタの組合せは、特に信頼性の高い結果をもたらす。
【0024】
特性値を確認するために、距離は特に時間の関数として測定することができ、またそこからかごの加速度を確認することができる。加速度は、時間にわたり測定された距離値の2次導関数により、容易かつ正確に確認することができる。このように確認される加速度に基づいて、エレベータの適正作動性を表す複数の特性値を確認することができる。
【0025】
特性値は、安全装置や牽引容量の作動性を表す値である場合がある。また、特性値は、エレベータの過牽引容量や最小牽引容量を表す値である場合がある。
【0026】
本発明の他の実施態様によれば、送信光ビームを反射する反射体は、かご下面に取り付けられる
。
【0027】
放射される光ビームの整列は、例えば1以上のアクチュエータにより傾斜可能とされた1以上の鏡により行うことができる。更に、光学距離センサを調整することにより、放射される光ビームの追尾を反射体で行うことができる。この目的のために、例えば光学距離センサをその上に支持するステントの長さが、例えばサーボモータにより調整される場合がある
。
【0028】
他の有利な実施態様によれば、反射体との放射された光ビームの正しい整列は、距離に依存して電子的に保存される。これにより、昇降路内でかごが次の移動をするあいだ、自動的に光ビームが整列しているようにできる。
【0029】
方法の他の有利な実施態様によれば、試験されるエレベータにおいて、かごは、安全装置を備え、かつ駆動プーリに架け渡されて案内される少なくとも1つのケーブルを介してカウンタウエイトに連結されており、安全装置の作動性を表す特性値を確認するために次の各ステップが行われる:
かごを下方へ移動させること;
安全装置をトリガーすること;
固定測点に対するかごの距離を時間に関して測定すること;および、
測定値から、安全装置のトリガーにより生じるかごの減速度Vfを確認すること。
【0030】
固定測点に対するかごの距離の変化が時間にわたり直接測定されるという点で、安全装置のトリガー時のかごの減速度を特に正確に確認することができる。方法は、驚くほど容易に行われる場合がある。特に、測定装置をケーブルまたは駆動プーリ等に取付ける必要はない。
【0031】
有利な実施態様によれば、下方への移動は、無負荷のかごを使用して行われる。これにより、本発明にかかる方法は単純化される。安全装置は、望ましくはかごの行路の下半分、好ましくは下3分の1、特に好ましくは下4分の1の区間内でトリガーされる。このように増加する駆動プーリとかご間のケーブル長のため、安全装置には、行路の下部区間内で、特に強く応力が加えられる。安全装置の作動性にとって特に有益な値は、行路の下部区間で得られる。
【0032】
本発明の他の有利な実施態様によれば、下方への移動は、公称速度で行われる。これにより、提案される方法は更に単純化される。
【0033】
公称荷重が積載されたかごの減速度Vfは、次の公式によって確認することができる:
【数1】
【0034】
ここで、
NL = かご内に指定された公称負荷
g = 重力の加速度
s¨ = 時間に関して測定された距離の2次導関数、および、
mFK = かごの質量
方法の他の実施態様によれば、試験されるエレベータにおいて、かごは駆動プーリに架け渡されて案内される少なくとも1つのケーブルを介してカウンタウエイトに連結されており、駆動プーリを制動するブレーキ装置が備えられ、駆動プーリの牽引容量Tを表す特性値を確認するために次の各ステップが行われる:
かごを移動させること;
ブレーキ装置をトリガーすること;
固定測点に対するかごの距離を時間にわたり測定すること;および、
測定値から駆動プーリの牽引容量Tを確認すること。
【0035】
本発明によってかご下面の距離が測定されるという点で、提案される方法は驚くほど簡単で確実に行われる場合がある。特に、ケーブルや駆動プーリ等への測定値の検出器の時間のかかる設置を省くことができる。それにも関わらず、ブレーキ装置のトリガー時の駆動プーリの牽引容量を、固定測点に対するかごの距離の変化の測定から、より高い精度で確認することができる。
【0036】
本発明において定義される、用語「ブレーキ装置」は、駆動プーリに直接作用する駆動プーリ・ブレーキ、あるいは駆動プーリに間接的に作用するトランスミッションまたはモーター・ブレーキ、であると普通に理解されるべきである。用語「昇降路」も、本発明において定義されるように、普通に理解されるべきである。昇降路は、完全なレーリングと部分的なレーリングのいずれであれ有するものを含むと理解されるべきである。本発明において定義される、「距離」は、かごの移動方向に本質的に測定される距離である。「エレベータ」は、垂直方向に移動可能なかごを有するエレベータ、およびかごが水平に対して少なくとも15°斜めに移動可能な傾斜エレベータ、の両方として理解される。
【0037】
ドイツ工業標準規格 DIN EN81−1において定義される非常停止の場合の牽引容量は、特に提案される方法を使用して確認することができる。この目的のために、時間にわたるかごの距離は、かごの移動中とブレーキ装置がトリガーされるときに直接測定される。ブレーキ装置がトリガーされた後の移動の減速度は、測定された距離から、時間による2次導関数により確認される場合がある。従来技術とは対照的に、ここでの算出に積分定数を使用する必要はない。積分定数の使用は、算出に不正確さを導入することになる。
【0038】
移動は、無負荷のかごを使用して都合よく行われる。これにより、提案される方法の効率は更に増す。もちろん、かごに、例えば公称負荷を載せることも可能である。
【0039】
本発明の他の有利な実施態様によれば、かごの移動は公称速度で行われる。これにより、提案される方法は更に単純化される。
【0040】
かごは、牽引容量Tを確認するために、望ましくは上方へ移動させられる。しかしながら、本発明にかかる方法を使用して、かごの下方への移動の牽引容量を高精度で決定することも可能である。
【0041】
牽引容量Tは、望ましくは次の公式によって確認される:
【数2】
【0042】
ここで、
s¨ = a(t)= 時刻 t に確認された減速度
A = 昇降路窪み空間からかごの床までの測定された距離
FH = 測定されたコンベヤ高さ
AH = 駆動装置の床位置の入力後の駆動装置の算出高さ
mFK = かごの質量
mGG = カウンタウエイトの質量
V = 懸架比、1:1または2:1
n = ケーブルの数
sg = ケーブル比重(Kg/m)
g = 重力の加速度
mA = (FH - A)*sg*n
mB = (FH - AH)*sg*n
mC = (FH - AH)*sg*n
mD = A*sg*n
エレベータの適正作動性を試験するには、非常停止の場合における牽引容量を試験する説明した方法に加えて、他の特性値も確認する必要がある。この目的のために、試験手順を構成する本発明にかかる方法は、他の試験手順と組合せることができる。この目的のために、第1の力測定装置をカウンタウエイトに対応する少なくとも1つの第1緩衝物上で支持し、そして第2の力測定装置をかごに対応する少なくとも1つの第2緩衝物上で支持することが好適であると判明している。それ故、力測定装置もまた、昇降路窪み空間内に導入され、従って距離測定装置の近くに置かれる。これにより、距離測定装置や力測定装置の測定値を、これらに接続され、かつ好ましくは昇降路窪み空間内に置かれたコンピュータによって都合よく記録し分析することが可能となる。力測定装置、距離測定装置およびコンピュータを含む測定装置の昇降路窪み空間内へのセットアップは、迅速で容易に行われる場合がある。かかる測定装置を使用し、エレベータの適正作動性の試験に必要な全ての特性値を確認することができる。
【0043】
エレベータの過牽引容量は、さらなる他の試験手順において測定することができる。試験されるエレベータにおいて、かごは駆動プーリに架け渡されて案内される少なくとも1つのケーブルを介してカウンタウエイトに連結されており、エレベータの過牽引容量を表す特性値を確認するために次の各ステップを行うことができる:
カウンタウエイトを第1の力測定装置上に載せること;
ケーブル滑りが発生するまでかごを上昇させる方向に駆動プーリを運転すること;
第1の力測定装置に作用する力を時間にわたり測定すること;および、
測定値から過牽引容量を確認すること。
【0044】
上記の測定装置を使用して、提案される第2の試験手順を容易で迅速に行うことができる。過牽引容量T’は、次の公式により確認することができる:
【数3】
【0045】
ここで、
mGG = カウンタウエイトの質量
Fm’ = ケーブル滑り時に測定された力
mFK = かごの質量
A = 昇降路窪み空間からかごの床までの測定された距離
FH = 測定されたコンベヤ高さ
AH = 駆動装置の床位置の入力後の駆動装置の算出高さ
V = 懸架比、1:1または2:1
n = ケーブルの数
sg = ケーブル比重(Kg/m)
g = 重力の加速度
mA = (FH - A)*sg*n
mB = (FH - AH)*sg*n
mC = (FH - AH)*sg*n
mD = A*sg*n
更に、本発明にかかる方法は、他の試験手順と組合せることができる。試験されるエレベータにおいて、かごは駆動プーリに架け渡されて案内される少なくとも1つのケーブルを介してカウンタウエイトに連結されており、エレベータの最小牽引容量を表す特性値を確認するために次の各ステップを行うことができる:
かごを第2の力測定装置上に載せること;
ケーブル滑りが発生するまでカウンタウエイトを上昇させる方向に駆動プーリを運転すること;
第2の力測定装置に作用する力を時間にわたり測定すること;および、
測定値から最小牽引容量を確認すること。
【0046】
上記の測定装置を使用して、提案される他の試験手順も容易で迅速に行うことができる。最小牽引容量T”は、次の公式により確認することができる:
【数4】
【0047】
ここで、
mGG = カウンタウエイトの質量
Fm" = ケーブル滑り時に測定された力
mFK = かごの質量
A = 昇降路窪み空間からかごの床までの測定された距離
FH = 測定されたコンベヤ高さ
AH = 駆動装置の床位置の入力後の駆動装置の算出高さ
V = 懸架比、1:1または2:1
n = ケーブルの数
sg = ケーブル比重(Kg/m)
g = 重力の加速度
mA = (FH - A)*sg*n
mB = (FH - AH)*sg*n
mC = (FH - AH)*sg*n
mD = A*sg*n.
かごの重量は、次の公式により確認することができる:
【数5】
【0048】
ここで、
g = 重力の加速度
F
m1 = 時刻 t
1 に測定された力
s¨ = 時刻 t
1 における減速度
mFK = かごの質量
また、かごの重量は、次の公式により確認することもできる:
【数6】
【0049】
ここで、
mFK = かごの質量
F
m1 = 時刻 t
1 に力測定装置上で測定された第1力
F
m2 = 力測定装置上で測定された第2力
g = 重力の加速度
a
1 = 時刻 t
1 における減速度
更に、本発明によって提供される距離測定装置を使用し、カウンタウエイト側およびかご側のそれぞれの比例ケーブル重量を算出し、特性値を決定するときにそれらを考慮に入れることは、特に簡単で都合よく行えることである。
【0050】
また、本発明にかかる方法は、他の試験手順と組合せることができる。試験されるエレベータにおいて、かごは駆動プーリに架け渡されて案内される少なくとも1つのケーブルを介してカウンタウエイトに連結されており、緩衝物の特性曲線を測定するために、次のステップを行うことができる:
かごまたはカウンタウエイトを、それぞれの緩衝物上に受けられた力測定装置上で支持すること;
支持されるカウンタウエイトまたはかごに向かう方向に、ケーブル滑りが発生するまで駆動プーリを運転すること;
緩衝物上で支持されるカウンタウエイトまたはかごと固定測点間の距離を介して力測定装置に作用する力を測定すること;および、
測定値から緩衝物の特性曲線を確認すること。
【0051】
上記の測定装置を使用して、提案される他の試験手順も迅速で容易に行うことができる。他の試験手順は、無負荷のかごを使用して、都合よく行うこともできる。これにより、提案される方法を更に単純化し、増進することができる。
【0052】
本発明の他の態様によれば、エレベータの適正作動性を試験する装置が提供され、その装置は、かごが昇降路内で移動可能とされ、昇降路内の固定測点に対するかごの距離の変化を測定するために、光学距離測定装置が昇降路内に配置されることを特徴とする。
【0053】
提案される装置は、容易で迅速に作り出される場合がある。そのためには、例えば、距離測定装置を昇降路窪み空間の床上に置き、それをかご下面に対して一直線に整列させる必要があるだけである。ケーブルや駆動プーリ等に対するセンサの、時間のかかる、煩わしく複雑な取付けは、本発明にかかる装置では不要である。
【0054】
距離測定装置の有利な実施態様に関する本発明にかかる方法の前述の説明、特に光学距離センサの使用、および光学距離センサの実施態様、が参照される。そこで開示された距離測定装置の実施態様の特徴は、また本発明にかかる装置の実施態様の特徴をも構成する。
【0055】
本発明にかかる装置は、光学距離センサと記録された測定値を記録し分析するコンピュータとが、ケース内にキットのように収容または組合された測定装置を使用して、特に簡単に作り出すことができる。また、反射体と少なくとも1つの力測定装置とを、そのケース内に収容することができる。本発明にかかる装置を作り出すには、試験技師は、単に、ケースを昇降路窪み空間の床上に置き、磁気フィルム付きで提供可能な反射体をかご下面に取付け、そして例えば、かご下面に取り付けられた反射体に対して、ケース内に収容された光学距離センサを、そこから放射されるレーザビームによって整列させなければならないだけである。距離測定装置は、この目的のために、調整ユニットを備えることができる。それは、距離測定装置の下面に取り付けられた3つの支持体とすることができ、それらの長さは、例えば調整ねじのように、可変である。
【0056】
更に、緩衝物上に1以上の力測定装置を支持し、ケーブル接続を介してそれらを測定装置に接続することができる。続いて、試験技師は、かごの既定の移動シーケンスを開始することができる。測定装置を使用し、エレベータの適正作動性の試験に必要な全ての特性値を、記録される測定値から自動的または半自動的に確認することができる。