【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、タンデム冷間圧延機における厚さ
のフィードフォワード制御方法を提供することであり、間接的に測定された供給された材料の変形抵抗力により、厚さのフィードフォワード制御を行う。当該方法は、冷間圧延工程の際の厚さ制御の正確さに対する、供給された熱間圧延製品の性能の変動による影響を防ぎ、スチールコイルの全体の長さ方向におけるストリップの最終製品の厚さの精度を保証し、ストリップの最終製品の厚さの変動を低減し、安定した圧延を確実にするのに有益な重要性がある。
【0008】
本発明の目的は、タンデム冷間圧延機における厚さ
のフィードフォワード制御方法が、以下の工程を含むように達成される。
【0009】
・工程1
ストリップの性能の仮想の(virtual)間接的な測定器として1つ以上のフレームを選択する工程であって、フレームS
1はストリップの性能の仮想の間接的な測定器でなければならず、S
1の入口に厚さ計を備えている工程。
【0010】
・工程2
供給された材料の変形抵抗の変動の値を計算する工程、すなわち、
ストリップの性能の間接的な測定器として選択されたフレームにロードセルを備える工程と、
フレームS
iの変形抵抗の変動によって生じる圧延力の偏差ΔP
iを、ロードセルを用いて測定する工程と、
次にフレームS
iに供給された材料の変形抵抗の変動の値Δk
iを、以下の式(1)に従って計算する工程。
Δk
i=ΔP
i/Q
i (1)
ここで、Q
iは、フレームS
iの圧延力に対する変形抵抗の影響係数であり、実験によって得られる実験係数である。
【0011】
・工程3
各フレームに対するフィードフォワード調整量を計算する工程、すなわち、各フレームS
iに対するフィードフォワード調整量Δy
iを、以下の選択に従って計算する工程である。
1)フレームS
iが、ストリップの性能の仮想の間接的な測定器として選択される場合、すなわち、フレームS
iにロードセルが備わっている場合に、フレームS
iに対するフィードフォワード調整量Δy
iを、以下の式(2)に従って計算すること。
Δy
i=(Δh
i×F
i)/C
pi (2)
ここで、Δh
iは、フレームS
iの
入口における、厚さ計により測定されたストリップの厚さの偏差である。フレームS
iの
入口に厚さ計が備えられない場合、フレームS
iに対するフィードフォワード調整量は計算されない。C
piはフレームS
iの長手方向の剛性である。F
iは、フレームS
iの圧延力に対する、フレームS
iの
入口におけるストリップの厚さの影響係数であり、実験によって得られる実験係数である。
2)フレームS
iが、ストリップの性能の仮想の間接的な測定器として選択されない場合、すなわち、フレームS
iにロードセルが備わっていない場合、このフレームの変形抵抗の変動の値は、前の(previous)最も近いフレームの変形抵抗の変動の値であり、すなわち、Δk
i=Δk
i−1であり、フレームS
iに対するフィードフォワード調整量Δy
iを、以下の式(3)に従って計算すること。
Δy
i=(Δk
i×Q
i+Δh
i×F
i)/C
pi (3)
ここで、Δh
iは、厚さ計により測定された、フレームS
iの入口におけるストリップの厚さの偏差である。フレームS
iの入口に厚さ計が備えられない場合、Δh
i=0である。C
piは、フレームS
iの長手方向の剛性である。F
iは、フレームS
iの圧延力に対する、フレームS
iの入口におけるストリップの厚さの影響係数であり、実験によって得られる実験係数である。
【0012】
工程3のサブ工程2)において、フレームS
iがストリップの性能の仮想の間接的な測定器として選択されない場合、すなわち、フレームS
iがロードセルを備えないが、その
入口に厚さ計(1)を備える場合、フレームのフィードフォワード調整量を計算する際、厚さのフィードフォワードパラメータ補償(compensation)に対する、変形抵抗の影響係数a
iが付加されてもよく、各フレームS
iに対するフィードフォワード調整量Δy
iを、以下の式(4)および式(5)に従って計算する。
Δy
i=(b
i×Δk
i×Q
i+Δh
i×F
i)/C
pi (4)
ここで、b
iは、フレームS
iの性能のフィードフォワード加重係数である。
b
i=a
i×(C
pi/Q
i) (5)
ここで、a
iは、厚さのフィードフォワードパラメータ補償に対する、フレームS
iの変形抵抗の影響係数であり、実験によって得られる実験係数である。
【0013】
ストリップの性能の仮想の間接的な測定器としてフレームS
1およびS
4を選択し、フレームS
1およびS
4のそれぞれにロードセルを備え、フレームS
1、S
4およびS
5のそれぞれの
入口に厚さ計を備え、
フレームS
1の供給された材料の変形抵抗の変動を式(1)、すなわち、Δk
1=ΔP
1/Q
1、Δk
4=ΔP
4/Q
4に従って計算し、
最終的には、フレームS
1、S
2、S
3、S
4およびS
5のフィードフォワード調整量のそれぞれを以下のように計算する。
1)フレームS
1が、ストリップの性能の仮想の間接的な測定器として選択される場合、フレームS
1のフィードフォワード調整量Δy
1を式(2)、すなわち、Δy
1=(Δh
1×F
1)/C
p1、に従って計算する。
2)フレームS
2がストリップの性能の仮想の間接的な測定器として選択されない場合、すなわち、Δk
2=Δk
1である場合、フレームS
2のフィードフォワード調整量Δy
2を式(3)、すなわち、Δy
2=(Δk
2×Q
2+Δh
2×F
2)/C
p2、に従って計算する。ここで、Δh
2は、厚さ計によって測定された、フレームS
2の入口におけるストリップの厚さの偏差である。
3)フレームS
3がストリップの性能の仮想の間接的な測定器として選択されない場合、すなわち、Δk
3=Δk
2である場合、フレームS
3のフィードフォワード調整量Δy
3を式(3)、すなわち、Δy
3=(Δk
3×Q
3+Δh
3×F
3)/C
p3、に従って計算する。ここで、フレームS
3はその入口に厚さ計を備えていないので、Δh
3=0であり、従ってΔy
3=(Δk
3×Q
3)/C
p3である。
4)フレームS
4が、ストリップの性能の仮想の間接的な測定器として選択される場合、フレームS
4はその入口に厚さ計を備えないので、フレームS
4のフィードフォワード調整量は計算されない。
5)フレームS
5が、ストリップの性能の仮想の間接的な測定器として選択されない場合、すなわち、Δk
5=Δk
4である場合、フレームS
5のフィードフォワード調整量Δy
5を式(3)、すなわち、Δy
5=(Δk
5×Q
5+Δh
5×F
5)/C
p5、に従って計算する。ここで、Δh
5は、厚さ計によって測定された、フレームS
5の入口におけるストリップの厚さの偏差である。
【0014】
本発明では、タンデム冷間圧延機における厚さ
のフィードフォワード制御方法が、間接的に測定された供給された材料の変形抵抗力を介して、フィードフォワード厚さ制御を行い、選択されたフレームを介して供給されたストリップの各部分の変形抵抗力の測定を行い、下流方向にあるフレームにおいてストリップが圧延される際、供給された材料の厚さおよび変形抵抗を総合的に考慮して、ストリップの厚さを制御する。当該方法は、冷間圧延工程の際の厚さの精度に対する、供給された熱間圧延製品の性能の変動による影響を防ぎ、かつ厚さ制御の精度を改善する。これは、スチールコイル全体の長手方向のストリップの最終製品の厚さの精度を確実にし、ストリップの最終製品の厚さの変動を低減させ、安定した圧延を確実にするのに有益な重要性がある。