(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1電気エネルギー蓄積器(3)と前記第2電気エネルギー蓄積器(6)とを、前記第1切替装置(10)及び前記第2切替装置(15)を介して、電気的に互いに直列に接続可能である、請求項1から3のいずれか1項記載の車載電源。
前記第1電気エネルギー蓄積器(3)、前記第2電気エネルギー蓄積器(6)、前記第3電気エネルギー蓄積器(14)、前記DC/DCコンバータ(9)、前記第1切替装置(10)、及び前記第2切替装置(15)は、制御ユニット(18)の構成要素である、請求項1から4のいずれか1項記載の車載電源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用車載電源及び車載電源を備えた車両に関する。
【0002】
DE 10 2009 008 255から、自動車又は商用車両の車載エネルギー源の安定化方法が知られている。この方法の実行中、第1車載電源分岐に第1電圧が加わる。この場合、この車載電源分岐には、第1電気エネルギー蓄積器と、この第1電気エネルギー蓄積器を給電するための発電機と、少なくとも1つの第1負荷とが接続されている。第2車載電源分岐には、第1電圧よりも高い第2電圧が加わる。この場合、第2車載電源分岐には、第2電気エネルギー蓄積器と、第2電気エネルギー蓄積器を給電するための充電ユニットと、少なくとも1つの第2負荷とが接続されている。充電ユニットは、第1車載電源分岐にも接続されている。さらに第1電気エネルギー蓄積器及び第2電気エネルギー蓄積器は、第2電圧を発生させるために互いに直列に結線されている。充電ユニットの出力電圧と出力電流を制御するために、少なくとも第1電圧及び第2電圧が個々の測定素子によって検出され、それによって第2電気エネルギー蓄積器のための充電電流が決定され生成される。ついで、検出された第1電圧及び/又は第2電圧は、以下のように非線形素子によって調整される。即ち充電ユニットが第2の蓄積器を、第1電圧が上昇しすぎたときには、第1車載電源分岐からのエネルギー取り出しを増加させながら充電し、第1電圧が急に落ち込んだときには、第1車載電源分岐からのエネルギー取り出しを低減させながら充電する。
【0003】
本発明の課題は、車両用車載電源及び車載電源を備えた車両において、電圧安定化をさらに改善できるようにすることである。
【0004】
この課題は、独立請求項に記載された特徴によって解決される。従属請求項には有利な実施形態が示されている。
【0005】
本発明の1つの観点によれば車両用車載電源には、第1電気エネルギー蓄積器及び第1電気負荷を含み第1動作電圧U
1を有する第1車載電源分岐が設けられている。また、この車載電源には、第2電気エネルギー蓄積器を含み第2動作電圧U
2を有する第2車載電源分岐が設けられている。さらにこの車載電源には、第3電気負荷を含み第3動作電圧U
3を有する第3車載電源分岐が設けられている。しかもこの車載電源には、少なくとも第1車載電源分岐と第2車載電源分岐との間で、エネルギーを双方向に伝送するように構成されたDC/DCコンバータも設けられている。さらにこの車載電源には、第1切替装置も設けられている。この場合、第1電気エネルギー蓄積器と第2電気エネルギー蓄積器とは、第1動作電圧U
1と第2動作電圧U
2とが合わさって第3動作電圧U
3を供給することができるよう、第1切替装置を介して電気的に互いに直列に接続可能である。
【0006】
1つの実施形態によれば、DC/DCコンバータは、第1車載電源分岐と第2車載電源分岐と第3車載電源分岐との間で、双方向にエネルギーを伝送するように構成されている。なお、以下では、第1車載電源分岐と第2車載電源分岐と第3車載電源分岐との間における双方向のエネルギー伝達とは、電気エネルギーがここで挙げた3つの車載電源分岐のうち少なくとも1つの車載電源分岐から、残りの2つの車載電源分岐のうち少なくとも一方へ、電気エネルギーが伝送されることを意味する。そしてこのことは、上述の車載電源分岐すべてについて当てはまり、即ち上述の車載電源分岐間のエネルギー交換を、いずれの方向であっても行うことができる。この場合、DC/DCコンバータによる双方向のエネルギー伝達を間接的に行うこともでき、即ちDC/DCコンバータによって、さらに別の車載電源分岐と電気的に接続された車載電源分岐へ、エネルギー伝達を行うことができ、これによってその別の車載電源分岐へもエネルギーを伝達することができる。
【0007】
上述の実施形態による車載電源によって、車両の様々な動作状態において電圧安定化をいっそう改善することができる。この場合、電圧の安定化を、特に双方向DC/DCコンバータを設けることによって実現することができ、これについてはあとで詳しく説明する。さらにここで有利であるのは、第1動作電圧U
1と第2動作電圧U
2に加えて、第3動作電圧U
3を供給するために必要とされる電気エネルギー蓄積器の個数を低減できることである。このことは、第1動作電圧U
1と第2動作電圧U
2とを合成することで第3動作電圧U
3を供給することによって実現される。この場合、第1動作電圧U
1を供給する第1電気エネルギー蓄積器と、第2動作電圧U
2を供給する第2電気エネルギー蓄積器とが、第1切替装置を介して電気的に互いに直列に接続されると、それら第1及び第2の電気エネルギー蓄積器が合わさって、第3動作電圧U
3が供給される。このようにすれば、第3動作電圧U
3を供給するために、第3車載電源分岐内に固有の電気エネルギー蓄積器を設ける必要がなくなる。
【0008】
1つの実施形態によれば、第1動作電圧U
1及び第2動作電圧U
2について、U
2>U
1の関係が成り立つ。例えばU
1は12Vであり、U
2は36Vである。このようにすれば、第1電気エネルギー蓄積器と第2電気エネルギー蓄積器とを直列接続したときに、48Vの第3動作電圧U
3を供給することができる。
【0009】
さらにこの場合、第3車載電源分岐に、電気機械特にスタータジェネレータを設けることもできる。さらにこの電気機械を、例えば車両の電気駆動機械として構成することができ、つまりそれ相応の動作のときに、車両用駆動装置を成すモータとすることができる。
【0010】
別の実施形態によれば、この車載電源にはさらに、第4電気負荷を含み第4動作電圧U
4を有する第4車載電源分岐が設けられている。さらにこの場合、第4車載電源分岐に第3電気エネルギー蓄積器を設けることもできる。第4動作電圧U
4は、有利には第1動作電圧U
1と一致しており、つまり有利にはU
1=U
4が成り立つ。例えば第1動作電圧U
1及び第4動作電圧U
4を、それぞれ12Vとすることができる。
【0011】
1つの実施形態によれば、この車載電源には第2切替装置が設けられており、この第2切替装置を介して、第1車載電源分岐と第4車載電源分岐とを電気的に結合可能である。ここでは、そして以下の説明においても、「電気的に結合可能」とは、電気的に結合された個々のコンポーネントを相互に電気的に接続可能である、ということである。これによって上述の実施形態によれば、第1車載電源分岐と第4車載電源分岐との間で、エネルギー交換を行うことができる。さらに有利にはこのことによって、車載電源動作時の電圧の安定化をいっそう改善することができる。
【0012】
別の実施形態によれば、第1電気エネルギー蓄積器と第2電気エネルギー蓄積器とを、第1切替装置及び第2切替装置を介して、電気的に互いに直列に接続可能である。
【0013】
さらに第1車載電源分岐に、車両内燃機関のスタータ及び/又はスタータジェネレータを設けることもできる。このスタータを例えば、ピニオンスタータ又はベルトスタータとして構成することができる。また、第4車載電源分岐に発電機を設けることもできる。
【0014】
1つの実施形態によれば、第1電気エネルギー蓄積器、第2電気エネルギー蓄積器、及び有利には第3電気エネルギー蓄積器、DC/DCコンバータ、並びに第1切替装置及び第2切替装置は、コントロールユニットとも称する制御ユニットの構成要素である。これによって、ここで挙げたコンポーネントを、制御ユニットの形態をとる単一のモジュールとして供給することができる。その際、この制御ユニットは、有利には4つの端子を有する。
【0015】
さらに有利であるのは、第1切替装置の動作制御のために構成された第1動作制御ユニットと、第2切替装置の動作制御のために構成された第2動作制御ユニットと、DC/DCコンバータの動作制御のために構成された第3動作制御ユニットを、車載電源に設けることである。この車載電源の1つの実施形態によれば、第1動作制御ユニットと第2動作制御ユニットと第3制御ユニットは、制御ユニットの構成要素である。
【0016】
第1切替装置及び/又は第2切替装置を、リレー及び半導体スイッチ例えばMOSFETスイッチから成るグループの中から選択するのが有利である。このようにすれば、車載電源の個々のコンポーネントの電気的な結合もしくは分離を、対応する切替装置を介して簡単かつ信頼性を伴って行うことができる。
【0017】
さらに別の実施形態によれば、DC/DCコンバータは同期変換器として構成されている。このようにすれば、第1車載電源分岐と第2車載電源分岐と第3車載電源分岐並びに場合によっては第4車載電源分岐との間のエネルギー伝達を、簡単に実現することができる。
【0018】
第1電気エネルギー蓄積器、第2電気エネルギー蓄積器、及び/又は第3電気エネルギー蓄積器は例えば、少なくとも1つの蓄電池、例えば少なくとも1つのリチウムイオン電池、又は少なくとも1つの鉛酸蓄電池、及び少なくとも1つのコンデンサ特に少なくとも1つの電気二重層コンデンサから成るグループから選択される。
【0019】
さらに第1電気負荷、第2電気負荷、及び/又は第4電気負荷を、ダイナミックな大電流負荷として構成することができる。
【0020】
車載電源のさらに別の実施形態によれば、第1電気エネルギー蓄積器及び第2電気エネルギー蓄積器を、1つの共通のデバイスユニットとして構成することができる。この場合、第1電気エネルギー蓄積器は、第2電気エネルギー蓄積器内の2つの電圧タップを介して接続可能である。この実施形態では、共通のデバイスユニットは4つの端子を有している。
【0021】
さらに別の実施形態によれば、第3電気エネルギー蓄積器及び第2電気エネルギー蓄積器は、1つの共通のデバイスユニットとして構成されている。この場合、第3電気エネルギー蓄積器は、第2電気エネルギー蓄積器内の2つの電圧タップを介して接続可能である。この実施形態では、共通のデバイスユニットは4つの端子を備えている。
【0022】
さらに第1電気エネルギー蓄積器及び第3電気エネルギー蓄積器14を、1つのデバイスユニットとして構成することができる。この実施形態によれば、第3電気エネルギー蓄積器は、第1電気エネルギー蓄積器内の1つの電圧タップを介して接続可能である。この実施形態の場合、共通のデバイスユニットは3つの端子を有している。
【0023】
さらに発電機及び第1電気機械を、1つの共通のデバイスユニットとして構成することができる。この場合、発電機は、電気器の1つの電圧タップを介して接続可能である。
【0024】
さらに本発明は、既述の実施形態のいずれか1つによる車載電源を含む車両にも関する。この車両は、有利にはハイブリッド型電気車両として構成されている。特にこの車両を、マイクロハイブリッド型電気車両又はマイルドハイブリッド型電気車両として構成することができる。ここでマイクロハイブリッド型電気車両とは典型的には、車両を駆動させるためにモータがそのまま使用されるのではない車両のことであるのに対し、マイルドハイブリッド型電気車両の場合、典型的にはモータが車両の駆動装置としてそのまま動作する。その際、マイクロハイブリッド型電気車両のモータは、典型的には約2.7〜4kW/tのパワーウェイトレシオのパワーを有している。また、マイルドハイブリッド型電気車両は、典型的には約6〜14kW/tのモータパワーを有している。
【0025】
この車両は例えば自動車であり、特に自家用車又はトラックであり、さらにスタート/ストップシステムを有することができ、このシステムは、車両内燃機関を自動的に及び/又は手動で遮断もしくは始動するように構成されている。
【0026】
本発明による車両は、本発明による車載電源と関連して既に挙げた利点を有しており、それらの利点については繰り返しを避けるため、ここでもう一度説明はしない。なお、スタート/ストップシステムを備えた車両の場合には特に、電圧の安定化が極めて重要である。その理由は、内燃機関の始動は高い電力消費を意味し、そのことによって車載電源において電圧の急激な落ち込みが発生する可能性があるからである。
【0027】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態による車載電源のブロック回路図
【
図2】本発明の第2実施形態による車載電源のブロック回路図
【
図3】本発明の第3実施形態による車載電源のブロック回路図
【0029】
図1には、本発明の第1実施形態による車両の車載電源1のブロック回路図が示されており、ここでは車両は詳しくは描かれていない。車載電源1を例えば車両特に自家用車又はトラックの構成要素とすることができる。
【0030】
車載電源1には、第1動作電圧U
1を有する第1車載電源分岐2が設けられており、図示の実施形態では、第1車載電圧U
1は12Vである。第1車載電源分岐2は、一例として12V蓄電池例えば12Vリチウムイオン蓄電池の形態をとる第1電気エネルギー蓄積器3を有している。さらに第1車載電源分岐2は、動的負荷を成す第1電気負荷4を有している。第1電気負荷4は例えば、この図には詳しくは描かれていない車両内燃機関のスタータとして構成することができる。
【0031】
さらに車載電源1には、第2動作電圧U
2を有する第2車載電源分岐5も設けられている。図示の実施形態では、第2動作電圧U
2は36Vである。第2車載電源分岐5には第2電気エネルギー蓄積器6が設けられており、これは例えば36Vリチウムイオン蓄電池又は36V電気二重層コンデンサとして構成されている。
【0032】
車載電源1にはさらに、第3動作電圧U
3を有する第3車載電源分岐7も設けられている。図示の実施形態の場合、第3車載電源分岐7は第3電気負荷8並びに車両の電気機械11を有している。電気機械11は複数の動作状態を有しており、それらの動作状態に応じて電気機械11は車両のスタータジェネレータ又はモータを成す。したがって電気機械11は動作状態に応じて、可変のトルクを供給することができるし、もしくは電気エネルギーを発生させることができ、あるいは車両の駆動装置の機能を果たすことができる。この場合、電気機械11の動作状態は、詳しくは示されていない制御ユニットによって設定される。
【0033】
さらに車載電源1はDC/DCコンバータ9を有している。DC/DCコンバータ9は、双方向の直流電圧変換器として構成されており、この変換器は、例えば第1電圧から第2電圧への変換及びその逆の変換を行うことができる。このため図示の実施形態の場合、DC/DCコンバータ9は、エネルギーを双方向に伝達するための同期変換器として構成されている。
【0034】
さらに車載電源1は第1切替装置10を有している。図示の実施形態の場合、第1切替装置10は半導体スイッチとして、ノーマリ−オフ形のnチャネルMOSFETスイッチの形態で構成されている。
【0035】
第1電気エネルギー蓄積器3と第2電気エネルギー蓄積器6とは、第1動作電圧U
1と第2動作電圧U
2とが合わさって第3動作電圧U
3を供給することができるよう、第1切替装置10を介して電気的に互いに直列に接続可能である。このようにして図示の実施形態によれば、第1電気エネルギー蓄積器3と第2電気エネルギー蓄積器6の直列接続によって、第3車載電源分岐7に48Vの第3動作電圧U
3を供給することができる。
【0036】
図示の実施形態によれば第1切替装置10は、ソース側では第1車載電源分岐2のプラス経路と、ドレイン側では第2車載電源分岐5のマイナス経路と接続されている。このようにして第1電気エネルギー蓄積器3のプラス極を成す第1端子23を、第1切替装置10を介して、第2電気エネルギー蓄積器6のマイナス極を成す端子28と電気的に接続することができる。
【0037】
この場合、第1切替装置10が閉じられた状態にあるこの切替装置10の第1切替位置において、第1電気エネルギー蓄積器3の第1端子23は、第2電気エネルギー蓄積器6の第2端子28と接続されてる。第1切替装置10が開かれた状態にあるこの切替装置10の第2切替位置において、第1電気エネルギー蓄積器3の第1端子23は、第2電気エネルギー蓄積器6の第2端子28から電気的に分離される。
【0038】
第1電気エネルギー蓄積器3のマイナス極を成す第2端子24は、基準電位と電気的に接続されている。さらに第2電気エネルギー蓄積器6のプラス極を成す第1端子27は、第3車載電源分岐7と接続されている。
【0039】
さらに第1切替装置10は、ソース側で、第1電気負荷4の第1端子21と、並びにDC/DCコンバータ9の一次側に設けられた第1端子25と接続されている。第1切替装置10は、ドレイン側で、DC/DCコンバータ9の二次側に設けられた第2端子26と接続されている。さらにこの第2端子26は、第2電気エネルギー蓄積器6の第2端子28と接続されている。また、第1端子25は、第1電気エネルギー蓄積器3の第1端子23並びに第1電気負荷4の第1端子21とも接続されている。
【0040】
さらにDC/DCコンバータ9の一次側には第3端子42も設けられており、この端子は基準電位と電気的に接続されている。また、DC/DCコンバータ9の二次側には第4端子43も設けられており、この端子は、第2電気エネルギー蓄積器6の第1端子27及び第3電気負荷8の第1端子29並びに電気機械11の第1端子31と接続されている。第2電気エネルギー蓄積器6の第1端子27も、第3電気負荷8の第1端子29及び電気機械11の第1端子31と接続されている。
【0041】
第1電気負荷4の第2端子22及び第3電気負荷8の第2端子30並びに電気機械11の第2端子32は、基準電位と電気的に接続されている。
【0042】
さらに車載電源1は、第1切替装置10の動作を制御するように構成された第1動作制御ユニット19を有している。第1動作制御ユニット19によって第1切替装置10が開閉され、つまり図示の実施形態によれば、そのために適切な電圧がnチャネルMOSFETのゲートに加えられて、導電チャネルが形成されるか、又はチャネルが阻止される。また、車載電源1は、DC/DCコンバータ9の動作を制御するように構成された第3動作制御ユニット20も有している。第3動作制御ユニット20によって特に、DC/DCコンバータ9を介した車載電源分岐2,5,7間のエネルギー伝達方向を決定することができる。それとともにDC/DCコンバータ9の制御モードを決定することができ、つまりDC/DCコンバータ9を電圧制御で動作させるのか、又は電流制御で、或いは電力制御で動作させるのか、を決定することができる。
【0043】
この場合、第1動作制御ユニット19及び第3動作制御ユニット20は、詳しくは示されていないさらに別の車両コンポーネントと接続されており、特に車両における別の制御ユニットと接続されている。その目的は、車両の個々の動作状態に応じて、第1切替装置10もしくはDC/DCコンバータ9を制御するための制御信号を発生させるためである。
【0044】
また、図示の実施形態によれば、DC/DCコンバータ9、第1切替装置10、第1動作制御ユニット19、並びに第3動作制御ユニット20は、コントロールユニット(CU)とも称される制御ユニット18の構成要素である。
【0045】
図示の実施形態の場合、第1電気エネルギー蓄積器3の第1端子23は、4極のうち極Iを成している。4極のうち極IIは、第1切替装置10のドレイン側で形成されている。第2電気エネルギー蓄積器6の第2端子28は、4極のうち極IIIを成しており、第2電気エネルギー蓄積器6の第1端子27は4極のうち極IVを成している。
【0046】
図2には、本発明の第2実施形態による車両の車載電源1のブロック回路図が示されており、ここでは車両は詳しくは描かれていない。
図1と同じ機能を果たすコンポーネントには同じ参照符号が付されており、それらについては以下では繰り返して説明しない。
【0047】
図示の実施形態によれば車載電源1には、第1車載電源分岐2及び第2車載電源分岐5並びに第3車載電源分岐7に加えて、第4動作電圧U
4を有する第4車載電源分岐12が設けられている。図示の実施形態の場合、第4動作電圧U
4は12Vであり、つまり第1車載電源分岐2と第4車載電源分岐12とは、図示の実施形態では等しい公称電圧を有している。
【0048】
第4車載電源分岐12は、第4電気負荷13及び第3電気エネルギー蓄積器14を有している。さらに第4車載電源分岐12内には、発電機17も配置されている。
【0049】
車載電源1はさらに第2切替装置15を有しており、図示の実施形態の場合、第2切替装置15は半導体スイッチとして、ノーマリ−オフ形のnチャネルMOSFETスイッチの形態で構成されている。
【0050】
第1車載電源分岐2と第4車載電源分岐12は、第2切替装置15を介して電気的に接続可能である。このため第2切替装置15は、ソース側では第1車載電源分岐2と、ドレイン側では第4車載電源分岐12と接続されている。特に第2切替装置15はドレイン側で、第3電気エネルギー蓄積器14の第1端子35及び第4電気負荷13の第1端子37並びに発電機17の第1端子39と接続されている。第3電気エネルギー蓄積器14の第2端子36及び第4電気負荷13の第2端子38並びに発電機の第2端子40は、基準電位と電気的に接続されている。
【0051】
車載電源1はさらに、第2切替装置15の動作を制御するように構成された第2動作制御ユニット41を有している。第2動作制御ユニット41によって、第2切替装置15が開閉される。この場合、第1車載電源分岐2は、第2切替装置15が閉じられた状態にあるこの切替装置の15の第1切替位置において、第4車載電源分岐12と電気的に接続される。第2切替装置15が開かれた状態にあるこの切替装置15の第2切替位置において、第1車載電源分岐2は第4車載電源分岐12と電気的に分離される。
【0052】
さらに第2切替装置15はドレイン側で、第1切替装置10のソース側と接続されている。これによって図示の実施形態によれば、第1電気エネルギー蓄積器3と第2電気エネルギー蓄積器6とを、第1切替装置10及び第2切替装置15を介して、電気的に互いに直列に接続可能である。
【0053】
図示の実施形態によれば車載電源1はさらに、詳しくは示されていない車両内燃機関のスタータ16を有しており、ここではスタータ16は第1車載電源分岐2内に配置されている。スタータ16は第1端子33を有しており、この端子33は特に、第2切替装置15のソース側と電気的に接続されている。さらにスタータ16は第2端子34を有しており、この端子34は基準電位と電気的に接続されている。
【0054】
図示の実施形態の場合、DC/DCコンバータ9、第1切替装置10、第2切替装置15、第1動作制御ユニット19、第2動作制御ユニット41、並びに第3動作制御ユニットは、制御ユニット18の構成要素である。別の実施形態によれば、ここで挙げたコンポーネントは、車載電源1全体にわたり分散されて配置される。
【0055】
図2に示されている実施形態によれば、第3電気エネルギー蓄積器14と第2電気エネルギー蓄積器6とは、第1切替装置10を介して切替可能に接続されている。さらに第1電気エネルギー蓄積器3と第3電気エネルギー蓄積器14とは、第2切替装置15を介して切替可能に接続されている。この場合、第2電気エネルギー蓄積器6と第3電気エネルギー蓄積器14の幾何学的配置に、利点を見出すことができる。図示のトポロジーによれば、第2電気エネルギー蓄積器6と第3電気エネルギー蓄積器14との間の経路中には、第1切替装置10だけしか配置されていない。
【0056】
第2電気エネルギー蓄積器6の充電量に対する第3電気エネルギー蓄積器14の充電量の適切な比率は、典型的には1/3であり、第3電気エネルギー蓄積器14の充電と、第2電気エネルギー蓄積器6の充電とが合わさって、100パーセントになる。この場合、第2電気エネルギー蓄積器6と第3電気エネルギー蓄積器14を、4端子を備えた1つの共通のユニットとして構成することができる。
【0057】
第1電気エネルギー蓄積器3と第3電気エネルギー蓄積器14の幾何学的配置にも、利点を見出すことができる。この場合、第1電気エネルギー蓄積器3と第3電気エネルギー蓄積器14との間の経路中には、第2切替装置15だけしか配置されていない。第3電気エネルギー蓄積器14の充電と第1電気エネルギー蓄積器3の充電との適切な比率は、典型的には1/3或いはそれ以下であり、第3電気エネルギー蓄積器14における充電は、第1電気エネルギー蓄積器3の充電が合わさって、100パーセントになる。第1電気エネルギー蓄積器3と第3電気エネルギー蓄積器14を、3端子を備えた1つの共通のユニットとして構成することができる。
【0058】
図示の実施形態の場合、第1電気エネルギー蓄積器3の第1端子23は、4極のうちの1つの極Iを成している。4極のうち極IIは、第2切替装置15のドレイン側で形成されている。第2電気エネルギー蓄積器6の第2端子28は、4極のうち極IIIを成しており、第2電気エネルギー蓄積器6の第1端子27は4極のうち極IVを成している。
【0059】
図3には、本発明の第3実施形態による車両の車載電源1のブロック回路図が示されており、ここでは車両は詳しくは描かれていない。
図1及び
図2と同じ機能を果たすコンポーネントには同じ参照符号が付されており、それらについては以下では繰り返して説明しない。
【0060】
図3に示されている第3実施形態が
図2に示した第2実施形態と異なる点は、第2切替装置15がソース側で、第1切替装置10のソース側と接続されていることである。これによって図示の実施形態によれば、第1電気エネルギー蓄積器3と第2電気エネルギー蓄積器6とが、第1切替装置10のみを介して、電気的に互いに直列に接続可能となる。
【0061】
さらに第1車載電源分岐2、第2車載電源分岐5、第3車載電源分岐7、及び/又は第4車載電源分岐12には、
図1〜
図3に示した電気負荷に加えて、さらに別の電気負荷を設けることも可能であり、つまり第1車載電源分岐2、第2車載電源分岐5、第3車載電源分岐7、及び第4車載電源分岐12に、それぞれ少なくとも1つの電気負荷を設けることができ、ただし図示の実施形態によれば、第2車載電源分岐5には電気負荷は設けられていない。
【0062】
図1〜
図3に示した車載電源トポロジーは、MCP(Multi Combined Powernet)と称されることもあり、これは第1車載電源分岐2及び第2車載電源分岐5として構成された少なくとも2つの部分回路網A及びBの組み合わせである。図示の実施形態の場合、回路網Aの公称電圧は12Vであり、回路網Bの公称電圧は36Vである。この場合、回路網Aを付加的な回路網Bと直列に接続可能にすることによって、各部分回路網の拡張が達成される。切替動作は、コントロールユニット即ち制御ユニット18によってコントロールされる。回路網Aと回路網Bとが直列接続された結果、図示の実施形態では48Vの公称電圧レベルをもつ第3車載電源分岐7として、新たな回路網Cが形成される。図示のMCPトポロジーは例えば、想定可能な電気駆動型車両特に電気走行駆動型車両例えばマイクロハイブリッド型電気車両又はマイルドハイブリッド型電気車両において用いられる。この場合、典型的には、それぞれ少なくとも1つの電圧変換器、負荷、駆動部及び発電機並びに2つの電気エネルギー蓄積器が用いられる。
【0063】
図3に示されているトポロジーの場合、エネルギーシステムEsys1とも称する第1車載電源分岐2は、例えば12Vリチウムバッテリとして実装される電気エネルギー蓄積器と、少なくとも1つの動的負荷例えばスタータとから成る。エネルギーシステムEsys2とも称する第2車載電源分岐5は、例えば36Vリチウムバッテリとして実装される電気エネルギー蓄積器から成る。エネルギーシステムEsys3とも称する第4車載電源分岐12は、図示の実施形態の場合、オプションとして設けられ、例えば12Vリチウムバッテリとして実装される第3電気エネルギー蓄積器14と、オプションとして設けられる発電機17と、少なくとも1つの動的負荷とから成る。スタータジェネレータもしくは車両の電気駆動機械として構成可能な電気機械11は、エネルギーシステムEsys4とも称される独立した第3車載電源分岐7の構成要素である。Esys4には、少なくとも1つの動的負荷も含まれている。
【0064】
電気機械11及び発電機17を、1つのユニットとして実現することができる。この実施形態によれば発電機17は、電気機械11内の相応の電圧タップである。Esys3内又は択一的にEsys1内で発電機17を使用することによって、システムの冗長性及び可用性が高められる。
【0065】
さらに第1電気エネルギー蓄積器3及び第2電気エネルギー蓄積器6を、1つのデバイスユニット内で実現することができる。この場合、第1電気エネルギー蓄積器3は、共通のデバイスユニット内の2つの電圧タップを介して接続可能である。第1電気エネルギー蓄積器3と第2電気エネルギー蓄積器6を、4端子を備えた1つの共通のユニットとして構成することができる。
【0066】
さらに第1電気エネルギー蓄積器3及び第3電気エネルギー蓄積器14を、1つのデバイスユニット内で実現することができる。この場合、第3電気エネルギー蓄積器14は、共通のデバイスユニット内の電圧タップである。この実施形態の場合、第1電気エネルギー蓄積器3と第3電気エネルギー蓄積器14は、3端子を備えた1つの共通のユニットとして実装される。
【0067】
さらに第2電気エネルギー蓄積器6及び第3電気エネルギー蓄積器14を、1つのデバイスユニット内で実現することができる。この場合、第3電気エネルギー蓄積器14は、この共通のデバイスユニット内の2つの電圧タップを介して接続可能である。この実施形態の場合、第2電気エネルギー蓄積器6と第3電気エネルギー蓄積器14は、4端子を備えた1つの共通のユニットとして実装される。
【0068】
第1電気エネルギー蓄積器3の充電のための蓄積器容量が、第2電気エネルギー蓄積器6並びに第3電気エネルギー蓄積器14の充電のための蓄積器容量よりも著しく大きいと有利である。このように構成することによって、エネルギーシステムEsys1が優勢となり、このトポロジー内において安定的に優先される。第1電気エネルギー蓄積器3をこのように構成することによって、システムの冗長性及び可用性並びに電圧安定性が高められる。
【0069】
さらに有利であるのは、第1電気エネルギー蓄積器3の内部オーム抵抗をできるかぎり小さく設計することであり、例えば約5mΩまたはそれ以下とすることである。このようにすることで、車両のエンジンが例えばピニオンスタータの形態のスタータ16を介して始動されたとき、Esys1内における電圧の落ち込みが最小限に抑えられる。スタータ16を使用することによって、システムの冗長性及び可用性が高められる。第1電気エネルギー蓄積器3の内部抵抗が著しく小さいことによって、場合によっては第3電気エネルギー蓄積器14並びに第2切替装置15を省略することができる。
【0070】
スタータジェネレータを用いた信頼性の高い発電機動作のために、スタータジェネレータは、Esys1もしくはEsys3及びEsys2から成る複数の電気エネルギー蓄積器と結合される。なぜならば、さもなければEsys4において電源の崩壊が発生する可能性があるからである。そのようなケースでは、動的負荷つまり第3電気負荷8は、スタータジェネレータが供給可能なエネルギーよりも多くのエネルギーを必要とすることになる。第2電気エネルギー蓄積器6を第1電気エネルギー蓄積器3と電気的に直列に接続するために、第1切替装置10が閉じられる。
【0071】
MOSトランジスタとして実装されている第1切替装置10において、図示の実施形態にも同様に存在するボディダイオードは、第3電気負荷8の方向へダイオードを通して電流を流すことができ、これによって回路網Cを支援する。この場合、第1切替装置10を、場合によっては開放していても良い。
【0072】
第2電気エネルギー蓄積器6の代わりに、又は第2電気エネルギー蓄積器6の一部分として、回路網Aから回路網Bへの電気的な接続を、DC/DC変換器即ちDC/DCコンバータ9によって行うことができる。この目的でDC/DCコンバータは、Esys1からEsys2へエネルギーを伝達する。したがって回路網Cは、回路網A及び回路網Bからエネルギーを取り出すことができる。
【0073】
第1切替装置10の切替状態とは無関係に、DC/DCコンバータ9を介してEsys2からEsys1へエネルギーを伝達することができる。これは例えば、エンジン始動時、第1電気負荷4の形態の大電流負荷ないしはEsys1に配置されたスタータ16によって、Esys1及びEsys3において電圧の急激な落ち込みが引き起こされる場合である。
【0074】
DC/DCコンバータ9によるこのエネルギー供給は、第2切替装置15の形態の付加的なスイッチによってシステムEsys3がEsys1から切り離されている場合は、少なくとも良い。オプションとして用いられる第3電気エネルギー蓄積器14は、第1電気エネルギー蓄積器3の充電状態に関係なく、敏感な負荷のために、つまり図示の実施形態では第4電気負荷13のために、エネルギーを供給可能である。Esys1内でクリティカルな電圧の急激な落ち込みが発生した場合には、第2切替装置15を開くことができる。この場合、第4電気負荷に対し、第3電気エネルギー蓄積器14を介して、実質的に一定のエネルギー供給が維持される。さらに拡張して、オプションとして用いられる発電機17がEsys3に組み込まれる。この発電機は、第2切替装置15が閉じられているときに、第3電気エネルギー蓄積器14を充電することができる。
【0075】
特に
図3に示されているトポロジーは、冗長的なエネルギーの流れを作り上げることが可能であり、次にこれについて説明する。
【0076】
回路網Aもしくは第1電気エネルギー蓄積器3を、回路網Cのスタータジェネレータによって充電することができ、このとき、第1切替装置10は閉じられており、第2切替装置15は開いておくか、又は閉じておくことができる。
【0077】
これに加え、回路網Aもしくは第1電気エネルギー蓄積器3を、DC/DCコンバータ9によって充電することができ、このとき、第1切替装置10は開かれているか又は閉じられており、第2切替装置15は開かれているか又は閉じられている。
【0078】
さらに回路網Aもしくは第1電気エネルギー蓄積器3を、発電機17によって充電することができ、このとき、第1切替装置10は開かれているか又は閉じられており、第2切替装置15は閉じられている。
【0079】
回路網Bもしくは第2電気エネルギー蓄積器6を、スタータジェネレータによって充電することができ、このとき、第1切替装置10は閉じられており、第2切替装置15は開かれているか又は閉じられている。
【0080】
さらに回路網Bもしくは第2電気エネルギー蓄積器6を、DC/DCコンバータ9を介して充電することができ、このとき、第1切替装置10は開かれているか又は閉じられており、第2切替装置15は開かれているか又は閉じられている。
【0081】
また、回路網Cもしくは第3電気負荷8を、スタータジェネレータによって給電することができ、このとき、第1切替装置10は開かれているか又は閉じられており、第2切替装置15は開かれているか又は閉じられている。
【0082】
さらに回路網Cもしくは第3電気負荷8を、DC/DCコンバータ9を介して給電することができ、このとき、第1切替装置10は閉じられているか又は開かれており、第2切替装置15は開かれているか又は閉じられている。
【0083】
回路網A*もしくはA#とも称される第4車載電源分岐12もしくは第3電気エネルギー蓄積器14を、発電機17によって充電することができ、このとき、第1切替装置10は開かれているか又は閉じられており、第2切替装置15は開かれているか又は閉じられている。
【0084】
さらに回路網A*もしくは第3電気エネルギー蓄積器14を、第1電気エネルギー蓄積器3によって充電することができ、このとき、第1切替装置10は開かれているか又は閉じられており、第2切替装置15は閉じられている。
【0085】
理想的な第2切替装置15が閉じた状態にあるとき、回路網A及びA*は電圧に関して実質的に等しい。
【0086】
上記のエネルギーの流れの記述によれば、回路網Aの三重の冗長性が可能となり、回路網Aのシステム優先順位が機能可用性及び機能信頼性の観点から明確に示されている。
【0087】
制御ユニット18は、システム内のエネルギーの流れを制御又は調整する。システム及び車両状態を求めることによって、回路網A,A*,B,Cにおける所期の公称電圧状態が調整され管理される。
【0088】
これによれば、Esys1とEsys2の直列接続によって重要な利点が得られる。このようにすることで、例えばリチウムイオン電池を、
図1に示されているように、最小限のシステムコンフィギュレーションであっても、節約することができ、その結果、コスト上の利点が得られるようになる。
【0089】
さらに有利であるのは、この装置構成の冗長的な振る舞いである。Esys2及び/又はDC/DCコンバータ9が故障しても、システムはバックアップモードで動作する。優先されたシステムEsys1及び場合によってはEsys3は、制約を受けずに維持され続け、このことは機能信頼性の観点で有利である。
【0090】
さらに、2つの冗長的な発電機と2つの冗長的なスタータを組み込むオプションも、可用性の観点から有利である。
【0091】
第3電気エネルギー蓄積器14を使用すれば、回路網A*における電圧安定化の利点が得られ、回路網A*において敏感な負荷を駆動することができ、その結果、やはり可用性の利点が得られるようになる。
【0092】
第1電気エネルギー蓄積器3を使用すれば、回路網Aにおける回生の利点が得られ、このことによってフレキシブルなエネルギーの流れを支援することができ、これも可用性の利点と結び付くものである。
【0093】
第3電気エネルギー蓄積器14を使用すれば、回路網A*における回生の利点が得られ、このことによってやはりフレキシブルなエネルギーの流れを支援することができ、これも可用性の利点と結び付くものである。
【0094】
第2電気エネルギー蓄積器6を使用すれば、回路網Cにおける回生の利点が得られ、これによってもフレキシブルなエネルギーの流れを支援することができ、これは可用性の利点と結び付くものである。
【0095】
図示の車載電源トポロジーにおけるEsys1とEsys2との直列接続のさらに別の利点は、回路網Cから回路網AもしくはA*への短絡の際に得られる。その際に有利であるのは、殊にエンジン回転数がゼロのとき、12V回路網即ち回路網Aもしくは回路網A*における過充電が回避されることである。この場合、短絡はEsys2内でしか起こらない。結果として発生する大きい電流の流れを、この回路網経路内のヒューズ及び/又はリレーによって、例えばこのリレーを開放することによって、制限することができる。
【0096】
また、エンジン回転数がゼロではないときでも、このような短絡に際して、Esys1もしくはEsys3のクリティカルではない過充電を達成することができる。この目的で、第1電気エネルギー蓄積器3の内部抵抗が、電気機械11の内部抵抗よりも著しく小さくなるように設計する。このようにすることで、回路網AもしくはA*における電圧が最初はごく僅かに高められ、この電圧は、電気機械11内部の短絡検出メカニズムを介して、クリティカルでない値に持続的に保持することができ、つまり電気機械11は、車載電源1にもっと大きなシステム損傷が生じるのを回避する目的で、Esys1もしくはEsys3へのエネルギーの流れをストップする。さらにDC/DCコンバータ9を、短絡エネルギーを少なくとも部分的にEsys2もしくはEsys3に送り戻すように、動作させることができる。第3電気エネルギー蓄積器の過充電保護も実現することができ、その場合には第1切替装置10が開かれ、DC/DCコンバータ9が非アクティブ状態にされ、発電機の充電電流が制限されるように第3電気エネルギー蓄積器の過充電保護を行う。
【0097】
さらに、MCPトポロジーを用いて電位分離を行うトポロジーも実現可能である。これに加え、アース経路中にもスイッチを配置することができ、つまり
図1〜
図3に示した相応の車載電源コンポーネントを、アース経路中ないしはマイナス経路中に配置することもできる。また、過充電及び短絡に対するさらなるシステム保護のために、第1電気エネルギー蓄積器3、第2電気エネルギー蓄積器6、及び/又は第3電気エネルギー蓄積器14の経路中に、ヒューズ及び/又は別のスイッチを組み込むこともできる。
【0098】
このようにすることで、例えば48Vの電圧レベルを得るためのリチウムイオン電池の個数の削減、例えば48Vの電圧レベルを得るための空間容積の削減、例えば48Vの電圧レベルを得るための重量の削減などによって、コスト上の利点が得られるようになる。
【0099】
Esys1とEsys3の並列接続に対する別の選択肢として、Esys1とEsys3の直列接続も可能である。しかも有利なことに、48V回路網に依存することなく、並びにエンジン始動或いは個々の車両状態に左右されることなく、敏感な負荷を動作させるために12V回路網内で安定した電圧レベルを得ることができる。また、12V回路網及び48V回路網におけるスタータの冗長構成及び/又は発電機の冗長構成によって、可用性並びに機能信頼性が高められる。さらに、スタータ、発電機、個々の電気エネルギー蓄積器、並びに個々の電気負荷によるシステムの最適な整合によって、コスト上の利点が得られる。さらにシステムに関連するインピーダンスに着目すると、エンジン回転数がゼロのときでも、エンジン回転数がゼロでないときでも、48V回路網と12V回路網との間のどのような短絡もコントロールすることができる。
【0100】
図4には、本発明による車載電源の基本回路図が示されている。これまでに示した図面と同じ機能を果たすコンポーネントは同じ参照符号で表されており、それらについては以下では繰り返して説明しない。
【0101】
図4に描かれているように、第1エネルギーシステムEsys1を成す第1車載電源分岐2と、第2エネルギーシステムEsys2を成す第2車載電源分岐5と、第4エネルギーシステムEsys4を成す第3車載電源分岐7と、第3エネルギーシステムEsys3を成す第4車載電源分岐12との間におけるエネルギー交換を、制御ユニット18によって行うことができる。制御ユニット18は、これら4つのエネルギーシステムEsys1,Esys2,Esys3,Esys4を互いに接続し、それによって4つのシステム間でエネルギー交換ができるようにしている。この場合、第1車載電源分岐2と、第2車載電源分岐5と、第3車載電源分岐7と、第4車載電源分岐12と、制御ユニット18との間のエネルギー伝達は、
図4では結合ラインA′,B′,C′,D′によって概略的に表されている。