特許第5972413号(P5972413)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5972413
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】挟持式張力測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/10 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   G01L5/10 G
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-27693(P2015-27693)
(22)【出願日】2015年2月16日
【審査請求日】2016年6月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005061
【氏名又は名称】バンドー化学株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000178011
【氏名又は名称】山九株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 博文
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼▲崎▼ 裕太
(72)【発明者】
【氏名】江口 正修
(72)【発明者】
【氏名】四ヶ所 春樹
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第2376925(GB,A)
【文献】 実開昭61−052244(JP,U)
【文献】 特表2000−504842(JP,A)
【文献】 特開昭63−075632(JP,A)
【文献】 米国特許第6134974(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 5/04−5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固縛時のベルトを挟み込んで該ベルトの張力を測定する挟持式張力測定装置であって、
一対の回転可能な支持ローラを有するベース部と、
上記ベース部にヒンジ部を介して折り畳み開閉自在に連結される蓋部と、
上記蓋部の裏側に内蔵されたロードセルと、
上記蓋部の裏側に設けられ、一対の上記支持ローラの間の対向する位置に配置される押圧部を有し、上記ロードセルを押圧可能な押圧プレートとを備え、
一対の上記支持ローラと押圧部との間に上記ベルトを挟持した状態で保持可能に構成されている
ことを特徴とする挟持式張力測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の挟持式張力測定装置において、
上記蓋部には、上記ロードセルを囲む位置に複数のボス部が立設され、
上記押圧プレートには、上記複数のボス部を通す貫通孔又は切欠が形成され、
上記複数のボス部には、上記押圧プレートを上記ロードセルの方へ押圧する弾性部材が設けられている
ことを特徴とする挟持式張力測定装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の挟持式張力測定装置において、
上記押圧プレートと上記ロードセルとの間又は上記蓋部と上記ロードセルとの間にシムを挟み込むことで、厚さの異なる複数の種類のベルトの測定が可能である
ことを特徴とする挟持式張力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固縛時のベルトの張力を測定する挟持式張力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ドラム、パイプ、シャフトなどの丸型の搬送物は、搬送時にある程度の張力で固縛して搬送しないと、安全に輸送できない。そこで、搬送前に固縛装置などで荷物を固定するベルトをしっかりと床面等に固定する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1の荷掛ロープの張力測定装置のように、荷掛ロープの一部に張力測定装置を組み込み、張力を図りながら固縛装置で荷物を荷台等に固縛することが知られている。また、ベルトをハンドルで徐々に締め込む固縛装置自体に張力表示するものも知られている。
【0004】
しかしながら、これらの方法では、張力測定装置や張力表示機能付固縛装置を荷物ごとに組み込まなければならず、船舶など多数の荷物を積み込む場合には利用できない。
【0005】
一方、特許文献2及び3のように、3本の回転可能なローラにベルトを挟み込み、その張力を測定するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−162123号公報
【特許文献2】特開昭62−9245号公報(特に第3図)
【特許文献3】特開平9ー5181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2及び3のような挟持式張力測定装置では、摩擦抵抗によって張力の測定結果に誤差が生じないようにするために、通常3本のローラは全て回転可能となっている。このため、特にベルトが斜めに掛けられている場所では、張力測定装置を手に持ったまま測定しなければならず、例えば1人の作業員が固縛装置やバックルで締め込む際にベルトの張力を見ながら締め込み作業を行うことができないという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、締め込み作業を行いながらも固縛時のベルトの張力測定ができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、この発明では、一対の回転可能な支持ローラと押圧部との間にベルトを挟持した状態で保持可能にした。
【0010】
具体的には、第1の発明では、固縛時のベルトを挟み込んで該ベルトの張力を測定する挟持式張力測定装置であって、
一対の回転可能な支持ローラを有するベース部と、
上記ベース部にヒンジ部を介して折り畳み開閉自在に連結される蓋部と、
上記蓋部の裏側に内蔵されたロードセルと、
上記蓋部の裏側に設けられ、一対の上記支持ローラの間の対向する位置に配置される押圧部を有し、上記ロードセルを押圧可能な押圧プレートとを備え、
一対の上記支持ローラと押圧部との間に上記ベルトを挟持した状態で保持可能に構成されている。
【0011】
上記の構成によると、蓋部とベース部とが折り畳み開閉自在なので、固縛時のベルトに組み込むことなく、それぞれのベルトの張力を測定することができる。また、従来のような3本のローラによる構成ではなく、一対の支持ローラと押圧部との間にベルトを挟持した状態で保持可能に構成したので、ベルトが床面に対して斜めに固縛されるような場所においても、張力を測定しながら固縛作業をすることもできる。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、
上記蓋部には、上記ロードセルを囲む位置に複数のボス部が立設され、
上記押圧プレートには、上記複数のボス部を通す貫通孔又は切欠が形成され、
上記複数のボス部には、上記押圧プレートを上記ロードセルの方へ押圧する弾性部材が設けられている。
【0013】
上記の構成によると、弾性部材を用いて押圧プレートで常にロードセルを所定の力で押さえ付けることで、押圧プレートががたつかず、正確な張力測定が行える。なお、弾性部材による押圧力は、0点調整で調整すればよい。
【0014】
第3の発明では、第1又は第2の発明において、
上記押圧プレートと上記ロードセルとの間又は上記蓋部と上記ロードセルとの間にシムを挟み込むことで、厚さの異なる複数の種類のベルトの測定が可能である。
【0015】
上記の構成によると、厚さの異なる固縛用のベルトの張力を測定する際にシム調整をすることで、1台の挟持式張力測定装置で厚さの異なる複数種類のベルトの張力測定が可能になる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、一対の支持ローラと押圧部との間にベルトを挟持した状態で保持しながら押圧部に押されたベルトの張力を測定できるようにしたことにより、締め込み作業を行いながらも固縛時のベルトの張力測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】挟持式張力測定装置の概略構造を示す横断面図である。
図2】開いた状態の挟持式張力測定装置を示す斜視図である。
図3】挟持式張力測定装置の概略構造を示す縦断面図である。
図4】蓋部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1及び図2は、本発明の実施形態の挟持式張力測定装置1を示し、この挟持式張力測定装置1は、固縛時のベルトBを挟み込んで、そのベルトBの張力を測定するものである。具体的には、この挟持式張力測定装置1は、一対の回転可能な支持ローラ2を有するベース部3を備えている。ベース部3は、例えば、樹脂成形品や金属成形品よりなる。支持ローラ2は、例えば、機械的強度の高い樹脂材料であるフェノール樹脂で形成されており、少なくとも計測するベルトBの幅よりも長い全長を有し、ベース部3に回転自在に支持されている。支持ローラ2の外径の大きさは、特に限定されない。
【0020】
このベース部3には、ヒンジ軸4a(金属又は樹脂成形品よりなる)を有するヒンジ部4を介して蓋部5が折り畳み開閉自在に連結されている。
【0021】
図3にも示すように、蓋部5は、例えば、金属成形品又は樹脂成形品よりなる。蓋部5の裏側の、例えば矩形状のプレート収容凹部5aの底面には、ロードセル6が内蔵されている。ロードセル6は、例えば、直径20mmかつ厚さ10mm程度の円柱薄型の小型圧縮型で、5KN程度まで計測可能なものよりなり、円柱の中心に検出用突起6aが設けられている。
【0022】
また、蓋部5のプレート収容凹部5aには、上記ロードセル6を覆うように、板状の押圧プレート7が設けられている。この押圧プレート7は、例えば、フェノール樹脂のような機械的強度の高い樹脂材料で形成されており、矩形板状のプレート本体7aと、このプレート本体7aの一方の面から突出する半円柱状の押圧部7bとを有する。この押圧部7bは、一対の支持ローラ2の間の対向する位置に、一対の支持ローラ2に略平行に設けられる。押圧部7bは、支持ローラ2と同等の全長を有し、その半径は、支持ローラ2と同じでもよいし、大きくても小さくてもよい。但し、この押圧部7bは、支持ローラ2のように回転自在ではない。そして、プレート本体7aにおける押圧部7bの反対側の平面でロードセル6の検出用突起6aを押圧するように構成されている。
【0023】
さらに、蓋部5のプレート収容凹部5aには、ロードセル6を囲む位置に例えば4本のボス部5bが立設されている。一方、押圧プレート7には、これらのボス部5bを通す4つの貫通孔7cが形成されている。貫通孔7cは、切欠で構成されていてもよい。
【0024】
そして、各ボス部5bには、押圧プレート7をプレート収容凹部5a(ロードセル6)の方へ押圧する弾性部材としての圧縮コイルバネ8が設けられている。圧縮コイルバネ8は、例えばワッシャ付ボルト9で抜け止めされると共に、押圧力調整可能となっている。このように、押圧プレート7で常にロードセル6を所定の力で押さえ付けることで、押圧プレート7ががたつかないようになっている。ボス部5bの高さは低めに設定されており、ワッシャ付ボルト9の締め付けにより、圧縮コイルバネ8の付勢力を調整可能となっている。なお、圧縮コイルバネ8による押圧力は、0点調整で調整すればよい。
【0025】
また、詳しくは図示しないが、押圧プレート7とロードセル6との間に厚さ調整用のシムを挟み込み、蓋部5を閉じたときの押圧部7bと一対の支持ローラ2との位置関係を調整することで、複数種類の厚さのベルトBの測定が可能となっている。シムは、プレート本体7aと同様にボス部5bに対応する貫通孔又は切欠を有する。
【0026】
そして、図2に示すように、蓋部5のヒンジ部4と反対側のボルト挿通孔5cには、ロック部材としての例えば2本のツマミ付ネジ10が設けられている。これに対応してベース部3には、ネジ孔11が設けられている。このネジ孔11の位置は特に限定されないが、例えば一対の支持ローラ2の近くとなっている。ツマミ付ネジ10は、外周にギザギザの凹凸が施された円柱状のものでもよい。また、ロック部材は、挟み込み式のクリップ形状としてもよい。
【0027】
次いで、本実施形態に係る挟持式張力測定装置1の使用手順について簡単に説明する。
【0028】
まず、搬送物をトラック、船、コンテナなどの搬送手段にベルトBを用いて仮固定する。ベルトBの締め付けは、バックルを用いてベルトBを引っ張ったり、専用のハンドル式の固縛装置を用いて行ったりする。ベルトBは、搬送物を固定するために通常は、搬送手段の床面に対して斜めに掛かっている。
【0029】
そのとき、又は仮固定の作業中にベルトBの張力測定を行う。
【0030】
すなわち、図1に示すように、ベルトBをその表裏から挟み込むように、例えば、一対の支持ローラ2をベルトBの裏面に当接させた状態で、蓋部5を閉じ、ツマミ付ネジ10を締め込む。このとき、厚さの異なる固縛用のベルトBの張力を測定する際にシム調整をすることで、1台の挟持式張力測定装置1で複数種類のベルトBの張力測定が可能である。
【0031】
この状態で手を離しても、押圧部7bはローラ構造ではないので、挟持式張力測定装置1が滑ってしまうことはない。
【0032】
次いで、挟持式張力測定装置1で、張力を測定しながら固縛装置のハンドルを操作して所望の張力になるまで締め付ける。
【0033】
締め付けが完了したら、ツマミ付ネジ10を緩め、挟持式張力測定装置1を取り外して、別のベルトBの張力測定を行う。
【0034】
このように、本実施形態では、一対の支持ローラ2と押圧部7bとの間にベルトBを挟持した状態で保持しながら、ベルトBの張力測定が可能となっている。
【0035】
また、蓋部5とベース部3とが折り畳み開閉自在なので、固縛時のベルトBに組み込むことなく、張力を測定することができる。
【0036】
また、従来のような3本のローラによる構成ではなく、一対の支持ローラ2と押圧部7bとの間にベルトBを挟持した状態で保持可能に構成したので、ベルトBが斜めに固縛されるような場所でも張力を測定しながらでも固縛作業をすることができる。
【0037】
したがって、本実施形態に係る挟持式張力測定装置1によると、一対の支持ローラ2と押圧部7bとの間にベルトBを挟持した状態で保持しながら押圧部7bに押されたベルトBの張力を測定できるようにしたことにより、締め込み作業を行いながらも固縛時のベルトBの張力測定を行うことができる。
【0038】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0039】
例えば、上記実施形態では、押圧プレート7とロードセル6との間に厚さ調整用のシムを挟み込むようにしているが、蓋部5とロードセル6との間に調整用のシムを挟み込むようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
以上説明したように、本発明は、固縛時のベルトの張力を測定する挟持式張力測定装置について有用である。
【符号の説明】
【0041】
1 挟持式張力測定装置
2 支持ローラ
3 ベース部
4 ヒンジ部
4a ヒンジ軸
5 蓋部
5a プレート収容凹部
5b ボス部
5c ボルト挿通孔
6 ロードセル
6a 検出用突起
7 押圧プレート
7a プレート本体
7b 押圧部
7c 貫通孔
8 圧縮コイルバネ(弾性部材)
9 ワッシャ付ボルト
10 ツマミ付ネジ
11 ネジ孔
B ベルト
【要約】
【課題】挟持式張力測定装置において、締め込み作業を行いながらも固縛時のベルトの張力測定ができるようにする。
【解決手段】固縛時のベルトBを挟み込んで、このベルトBの張力を測定する挟持式張力測定装置1に、一対の回転可能な支持ローラ2を有するベース部3と、ベース部3にヒンジ部を介して折り畳み開閉自在に連結される蓋部5とを設ける。この蓋部5の裏側にロードセル6を内蔵すると共に、一対の支持ローラ2の間の対向する位置に配置される押圧部7bを有する押圧プレート7を設ける。そして、一対の支持ローラ2と押圧部7bとの間にベルトBを挟持した状態で保持可能に構成する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4