【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成26年度、経済産業省、「オートプルバック式極細高画質血管内視鏡システムの開発・海外展開」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る内視鏡用レンズユニット及び内視鏡の実施形態(以下、「本実施形態」という)について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、医療用の内視鏡に適用した構成例を示す。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る内視鏡を用いた内視鏡システムの全体構成図である。
図2は、本実施形態に係る内視鏡の先端部の構成を示す斜視図である。
図3は、第1の実施形態に係る内視鏡の先端部の断面図である。
図4は、本実施形態に係る内視鏡の先端部においてモールド部を除いた部分の構成を示す斜視図である。
【0014】
図1では、内視鏡11及びビデオプロセッサ19を含む内視鏡システム13の全体構成を斜視図にて示している。
図2では、
図1に示した内視鏡11の先端部15の構成を斜視図にて示している。
図3では、
図2に示した先端部15の構成を断面図にて示している。
図4では、
図2に示した先端部15においてモールド部17を除いた構成を斜視図にて示している。
【0015】
なお、本明細書において説明に用いる方向については、各図中の方向の記載に従うものとする。ここで、「上」、「下」は、水平面に置かれたビデオプロセッサ19の上と下にそれぞれ対応し、「前(先)」、「後」は、内視鏡本体(以降「内視鏡11」と呼称する)の挿入部21の先端側とプラグ部23の基端側にそれぞれ対応する。
【0016】
図1に示すように、内視鏡システム13は、医療用の軟性鏡である内視鏡11と、観察対象(ここでは、人体)の内部を撮影して得られた静止画及び動画に対して周知の画像処理等を行うビデオプロセッサ19と、を有して構成される。内視鏡11は、略前後方向に延在し、観察対象の内部に挿入される挿入部21と、挿入部21の後部が接続されるプラグ部23とを備える。
【0017】
挿入部21は、プラグ部23に後端を接続された可撓性の軟性部29と、軟性部29の先端に連なる先端部15とを有している。軟性部29は各種の内視鏡検査、内視鏡手術等の方式に対応する適切な長さを有する。
【0018】
ビデオプロセッサ19は、前面パネル25に開口するソケット部27を有し、機器内部に画像処理部及び電源部を備えている。ソケット部27には、内視鏡11のプラグ部23の後端部が挿入されて係合し、これにより、内視鏡11はビデオプロセッサ19との間で電力及び各種信号(映像信号、制御信号など)の送受が可能である。
【0019】
上述した電力及び各種信号は、軟性部29の内部を挿通された伝送ケーブル31(
図2、
図3参照)を介してプラグ部23から軟性部29、先端部15に導かれる。内視鏡11の先端部15に設けられた撮像素子33が出力した画像信号は、伝送ケーブル31を介してプラグ部23からビデオプロセッサ19に伝送される。ビデオプロセッサ19は、画像処理部において受信した画像信号に対して色補正、階調補正等の画像処理を施して、画像処理済みの画像信号を表示装置(図示略)に出力する。表示装置は、例えば液晶表示パネル等の表示デバイスを有するモニタ装置であり、内視鏡11によって撮像された被写体の画像を表示する。
【0020】
図2、
図3に示すように、本実施形態に係る内視鏡11は、先端部15に撮像ユニットを搭載しており、撮像レンズを構成するレンズユニット35と、撮像素子33とを有する。レンズユニット35は、鏡筒39の内部に複数のレンズ(例えば後述する第1レンズL1〜第3レンズL3)を収容して構成される。レンズユニット35の鏡筒39の撮像素子33側(後側)の端部、撮像素子33の外周部、及び伝送ケーブル31の撮像素子33側(前側)の端部は、封止用の樹脂部材であるモールド部17によって被覆される。すなわち、内視鏡11の挿入部21の先端部15は、撮像素子33の全体と、レンズユニット35の鏡筒39の撮像素子33側の少なくとも一部分とがモールド部17によって覆われている。
【0021】
図3に示すように、撮像素子33は、撮像面41がカバーガラス43によって覆われる。レンズユニット35の撮像側の端部は、接着層を形成する接着用樹脂材料による接着部材37によって撮像素子33のカバーガラス43に接着され固定される。接着部材37は、例えば透明のUV・熱硬化性樹脂によって構成され、レンズユニット35と撮像素子33のカバーガラス43とを離間部47を有して固定する。この際、レンズユニット35と撮像素子33とを、撮像面41の中心にレンズの光軸LCを一致させて位置合わせした後、レンズユニット35の光軸方向のフォーカス位置調整(ピント合わせ)を行い、接着部材37により接着固定する。これにより、レンズユニット35と撮像素子33とが接着部材37によって直接接着され連結固定される構成となっている。接着部材37は、例えば、最終的な硬度を得るためには熱処理を必要とするが、紫外線照射によってもある程度の硬度まで硬化が進行するタイプの接着剤である。
【0022】
また、モールド部17は、例えば黒色などの遮光性を有する樹脂材料により構成される。このように、レンズユニット35と撮像素子33との接続固定部位は、被写体像の光線を透過する透明材料などの透光性を有する接着部材37の外周部に、黒色などの遮光性を有するモールド部17を設けて被覆する二重構造としている。透光性の接着部材37と遮光性のモールド部17との二重構造とすることによって、内視鏡先端部の耐久性及び強度を向上できる。
【0023】
撮像素子33のカバーガラス43と反対側(後側)の面には、回路基板49が実装され、静電気対策用のコンデンサ45が取り付けられている。伝送ケーブル31は、回路基板49の後部において電気的に接続され、回路基板49の接続部位は封止用のモールド部17にて被覆される。なお、以降の説明において「接着剤」の用語は、固体物の面と面とを接着するために用いる物質という厳密な意味ではなく、2つの物の結合に用いることができる物質、或いは硬化した接着剤が気体及び液体に対する高いバリア性を備えている場合は、封止材としての機能を有する物質という広い意味で用いられる。
【0024】
このとき、モールド部17は、撮像素子33の前面を越えて、レンズユニット35の後端をも覆うように設けることにより、レンズユニット35と撮像素子33との連結部(離間部47)が確実に閉塞される。モールド部17は、少なくとも撮像素子33、回路基板49、伝送ケーブル31の先端、隙間を覆い尽くせる程度の高い粘度を備えており、レンズユニット35から伝送ケーブル31の先端部に渡って、内部に水分の侵入を阻止する封止を主目的として設けられるものである。また、モールド部17は、撮像素子33とレンズユニット35とに渡って連続して成形されることで、撮像素子33とレンズユニット35との固定強度の増大に寄与する。また、モールド部17は、撮像素子33周辺の気密性、水密性、遮光性も高める。さらに、モールド部17は、ライトガイド用の光ファイバが埋入された際の遮光性も高める。
【0025】
鏡筒39は、剛性の高い円筒材料、例えば金属製の筒状部材によって構成される。鏡筒39に硬質材料を用いることで、先端部15は硬性部を構成する。鏡筒39を構成する金属材料として、例えばニッケルが用いられる。ニッケルは、剛性率が比較的高くかつ耐食性も高く、先端部15を構成する材料として適している。ニッケルに代えて例えば銅ニッケル合金を用いてもよい。銅ニッケル合金も高い耐食性を有しており、先端部15を構成する材料として適している。また、鏡筒39を構成する金属材料としては、好ましくは、電鋳(電気めっき)によって製造が可能な材料を選択する。ここで、電鋳を利用する理由は、電鋳によって製造される部材の寸法精度は1μm未満(いわゆるサブミクロン精度)と極めて高く、さらに多数の部材を製造した際のばらつきも小さいからである。後に説明するように、鏡筒39は極めて小さな部材であり、内外径寸法の誤差は内視鏡11の光学性能(画質)に影響を与える。鏡筒39を例えばニッケル電鋳管により構成することで、小径にもかかわらず高い寸法精度を確保して高画質な画像を撮像することが可能な内視鏡11が得られる。
【0026】
鏡筒39には、光学材料(ガラス、樹脂等)により形成された複数(図示例では、3枚)のレンズ(第1レンズL1〜第3レンズL3)と、第1レンズL1及び第2レンズL2に挟まれた絞り51とが互いに光軸LCの方向に密接した状態で組み込まれている。第1レンズL1、第3レンズL3は、全周にわたって鏡筒39の内周面に接着剤により固定されている。鏡筒39の前端は第1レンズL1によって、後端は第3レンズL3によって密閉(封止)されており、鏡筒39の内部に空気又は水分等が侵入しないよう構成されている。従って、空気等は鏡筒39の一端から他端へと抜けることができない。以降の説明では、第1レンズL1〜第3レンズL3を合わせて光学レンズ群LNZと呼称する。なお、複数のレンズによる光学レンズ群LNZは、3枚のレンズ構成に限らず、2枚又は4枚以上など、レンズ枚数は任意である。
【0027】
図3、
図4に示すように、撮像素子33は、例えば前後方向から見て正方形形状をなす小型のCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮像デバイスにより構成される。この場合、撮像素子33の中央部には、前面視において正方形形状をなす撮像面41が設けられる。外部から撮像ユニットへ入射した光は、鏡筒内の光学レンズ群LNZによって撮像素子33の撮像面41に結像する。撮像素子33の後部(背面側)に実装された回路基板49は、後方から見て撮像素子33よりもやや小さい外形を有している。撮像素子33は、例えば背面にLGA(Land Grid Array)を備えており、回路基板49に形成された電極パターンと電気的に接続される。
【0028】
ここで、鏡筒39の外周をなす円は、撮像素子33が構成する正方形に略内接し、かつ撮像面41が構成する正方形に外接する関係としている。そして、撮像面41の中央(撮像面41の対角線の交点)、レンズユニット35の中央(レンズユニット35の内周がなす円の中心)、鏡筒39の中央(鏡筒39の外周がなす円の中心)の位置は一致しており、ここを光軸LCが貫通する。より正確には、撮像面41の中央を貫通する法線が光軸LCであって、この光軸LCがレンズユニット35の中央を貫通するように、レンズユニット35が撮像素子33に対して位置合わせされている。
図3は、撮像素子33の対角線方向に沿って切断した断面を示している。
【0029】
ここで、本実施形態に係る内視鏡の寸法の一例を示す。なお、以下に示す数値は一つの具体例を示すものであり、用途、使用環境等に応じて種々の例が考えられる。一例として、レンズユニット35は、レンズ外径が1.0mm程度であり、鏡筒39及び撮像素子33を含む撮像ユニットの長手方向寸法が2.5mm程度、外径が1.1mm程度である。撮像素子33の一辺の長さは1.0mm程度である。また、撮像ユニットを搭載した先端部15の長さが3.5mm程度、最大外径が1.5mm程度である。
【0030】
次に、本実施形態におけるモールド部17の構成例について詳細に説明する。
【0031】
第1の実施形態では、モールド部17は、添加物を含有する樹脂材料により構成される。樹脂材料に添加物を含有させることにより、所定値以上の十分な遮光特性を有するモールド部17が形成される。モールド樹脂材料としては、種々の周知の接着剤の機能を持つ樹脂材料を用いることができるが、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂を用いるとよい。添加物としては、カーボンブラック(炭素微粒子)、或いは、セラミック、金属酸化物、金属等の微細粒子のうちの少なくともいずれか一つを用いる。本実施形態では、添加物を含有させることによって、光の透過率が10%以下、より好ましくは6%以下のモールド部17を形成する。
【0032】
図3に示すように、モールド部17は、撮像素子33の対角線方向の最も薄い部分において、厚みTの厚さを有している。厚みTは、T≧30μmとする。厚みTが大きくなるほど遮光性能が向上するが、小型化を図るためには、できるだけ厚みTを小さくすることが望まれる。
【0033】
図5は、モールド部17の厚みと透過率との関係の一例を示す特性図である。
図5は添加物としてカーボンブラックをモールド樹脂材料(エポキシ系樹脂)に添加した場合の透過率の測定例を示している。
図5において、黒丸及び破線はカーボンブラックを5重量%(wt%)添加した場合を示し、黒菱形及び一点鎖線はカーボンブラックを1重量%(wt%)添加した場合を示している。
【0034】
カーボンブラックを5重量%添加した場合は、モールド部の厚みの大小にほとんど依存せずに、厚みが30μm以下であっても光の透過率0.5%程度(遮光率99.5%)と高い遮光性能が得られる。カーボンブラックを1重量%添加した場合は、モールド部の厚みが小さくなるにしたがって透過率が上昇する。1重量%添加の場合、モールド部の厚みが30μm以上あれば、透過率8.0%以下に抑えることができる。よって、モールド部17は、厚みTを30μm以上に設定することにより、透過率10%以下の条件を十分に満たすことができる。例えば、モールド部の厚みを50μm以上とすると、1重量%添加で透過率4.5%以下、5重量%添加で透過率0.5%以下となり、より確実に光を遮断できる。
【0035】
モールド部17における透過率は、10%以下であれば、撮像ユニットにおいて迷光の影響が少ない良好な撮像画像を得ることができる。モールド部17の透過率が6%以下であると、撮像素子33の感度が高くても迷光の影響を十分抑制できる。透過率が10%より大きくなると、迷光の影響が生じて撮像画像として不具合がある。
【0036】
図6は、迷光が生じた場合の撮像画像の例を示す図であり、
図6(A)は迷光がある場合、
図6(B)は迷光がない場合の画像例をそれぞれ示している。
図6(A)のように迷光が生じた場合、撮像画像中に迷光による白飛びが例えば環状に発生し、明瞭な画像が得られない。撮像ユニットにおいては、
図6(B)のように迷光が生じない状態にする必要がある。
【0037】
モールド部17に添加物を添加する場合、
図5の例のように、添加物の添加量(含有量)を増やすほど遮光性能が向上するが、逆にモールド部の接着強度が低下する性質がある。よって、添加物の接着強度特性に応じて適量をモールド樹脂材料に添加する必要がある。
【0038】
図7は、モールド部17における添加物の添加量と引張り強度との関係の一例を示す特性図である。
図7は添加物としてカーボンブラックをモールド樹脂材料(エポキシ系樹脂)に添加した場合の引張り強度の測定例を示している。ここで、引張り強度はモールド部17の接着強度に対応する。
図7に示すように、添加量が1重量%の場合は、引張り強度は2.5%程度しか低下しない。また、添加量が5重量%の場合は、引張り強度は12%程度低下する。引張り強度が20%程度低下すると、モールド部材としての接着強度が十分得られない場合があるため、カーボンブラックを添加する場合、添加量を5重量%以下とするのが好ましい。
【0039】
また、カーボンブラックのような導電性材料を添加物として用いる場合、添加量を増やすほど電気抵抗が低下し、導電性が付加される。
図8は、モールド部17における添加物の添加量と抵抗値、遮光率の関係を示す図である。
図8は添加物としてカーボンブラックをモールド樹脂材料(エポキシ系樹脂)に添加した場合の抵抗値と遮光率の測定例を示している。カーボンブラックの添加量として、無添加(0重量%添加)、1重量%添加、5重量%添加の3つの場合を測定した。遮光率はモールド部17の厚みを50μmとした場合の例である。無添加の場合、抵抗値は1.8〜5.0×10
13である。1重量%添加の場合、抵抗値は2.5〜3.0×10
13、遮光率は95%以上であり、5重量%添加の場合、抵抗値は3.5〜5.0×10
10、遮光率は99%以上である。5重量%添加の場合は、1重量%添加の場合と比べて電気抵抗の値が1000倍以上低下する。このため、添加物の導電特性と、封止対象である内部の構成要素(電子回路等)において要求される絶縁特性に応じて、適量をモールド樹脂材料に添加する必要がある。
【0040】
モールド部17における電気抵抗が小さい場合は、撮像素子33に接続される回路基板49及び伝送ケーブル31において漏れ電流等が生じ、撮像ユニットの信号処理部周辺の電気特性が悪化する場合がある。一方、モールド部17において適度な導電性を持たせることにより、撮像ユニットにおいて静電気が発生した場合に、静電気放電の衝撃を低減し、撮像素子33への過大電流を抑制でき、撮像素子33の静電破壊を抑止できる。すなわち、撮像ユニットのサージ対策が可能となる。
【0041】
上述したように、本実施形態によれば、モールド部17の樹脂材料に添加物を含有させることにより、モールド部17において光の透過率を10%以下に小さくし、かつ、モールド部17の厚みを小さくできる。これにより、撮像ユニットにおいて十分な遮光特性を持たせつつ小型化を図ることができる。
【0042】
図9は、第2の実施形態に係る内視鏡の先端部の断面図である。第2の実施形態では、モールド部17は、第1のモールド部17Aと第2のモールド部17Bの二層のモールド樹脂材料によって構成される。第1のモールド部17Aは、撮像素子33の後側(カバーガラス43と反対側)、回路基板49、及び伝送ケーブル31の端部の近傍周辺を覆う封止用の樹脂部材である。第2のモールド部17Bは、第1のモールド部17Aの外側、レンズユニット35の端部、撮像素子33の外周部、及び伝送ケーブル31の端部を覆う封止用の樹脂部材である。
【0043】
第1のモールド部17Aは、第2のモールド部17Bに比べて導電性が低い樹脂材料を用いる。例えば、第1のモールド部17Aは、第2のモールド部17Bに比べて添加物の添加量(含有量)を少なくしたものとする。これにより、撮像素子33の信号処理部周辺の導電性が、他の部分の導電性よりも低いモールド部が形成される。なお、第1のモールド部17Aは添加物を添加しない(添加量を0とした)ものを用いてもよい。第2のモールド部17Bは、前述した第1の実施形態のモールド部17と同じものを用いて、光の透過率を10%以下としたモールド部材を構成する。
【0044】
第2の実施形態では、第2のモールド部17Bにおいて添加物の添加量を増加させ、遮光特性を高めることができ、かつ、第1のモールド部17Aにおいて電気抵抗を増大させ、撮像ユニットの電気特性の悪化を抑制できる。第2のモールド部17Bにおける透過率を減少させることによって、撮像ユニットにおいて十分な遮光性能を確保しつつモールド部の厚みをより薄くでき、装置の小型化を図れる。
【0045】
なお、上述した実施形態では、レンズユニット35の鏡筒39と撮像素子33のカバーガラス43とを接着部材37によって接着固定した構成を示したが、接着部材37を設けずにレンズユニット35と撮像素子33とを連結固定する構成であってもよい。この場合、治具等を用いて、レンズユニット35と撮像素子33との光軸を一致させて位置合わせし、光軸方向のフォーカス位置調整を行って適切な位置に位置決めした後、鏡筒39の後端部及び撮像素子33をモールド部17によって覆う構成などを採用する。これにより、モールド部17によってレンズユニット35及び撮像素子33の位置を保持し、レンズユニット35及び撮像素子33を連結固定できる。
【0046】
なお、上述した実施形態では、撮像ユニットを備える内視鏡の構成例を示したが、例えば、小型モバイルカメラ、小型ウェアラブルカメラなど、他の撮像装置において本実施形態の構成を適用することも可能である。
【0047】
本発明に係る実施形態の種々の態様として、以下のものが含まれる。
【0048】
本発明の一態様の内視鏡は、鏡筒にレンズを収容するレンズユニットと、撮像面がカバーガラスによって覆われ、前記レンズユニットと連結固定される撮像素子と、前記撮像素子の全体と、前記レンズユニットの鏡筒の少なくとも一部分とを覆うモールド部と、を有し、前記モールド部は、添加物を含有した樹脂材料により構成され、光の透過率が10%以下である。この構成によれば、十分な遮光特性を持たせつつ小型化を図ることができる。
【0049】
また、本発明の一態様の内視鏡は、上記の内視鏡であって、前記モールド部の添加物は、カーボンブラック、或いは、セラミック、金属酸化物、金属の微細粒子のうちの少なくともいずれか一つを含むものでもよい。この構成によれば、十分な遮光特性が得られる。
【0050】
また、本発明の一態様の内視鏡は、上記の内視鏡であって、前記モールド部は、厚みが30μm以上であるものでもよい。この構成によれば、十分な遮光特性が得られる。
【0051】
また、本発明の一態様の内視鏡は、上記の内視鏡であって、前記モールド部は、前記撮像素子の信号処理部周辺の導電性が、他の部分の導電性よりも低いものでもよい。この構成によれば、撮像素子の信号処理部周辺の電気抵抗を増大させ、撮像ユニットの電気特性の悪化を抑制できる。
【0052】
また、本発明の一態様の内視鏡は、上記の内視鏡であって、前記撮像素子のカバーガラスと前記レンズユニットとが接着部材により接着固定され、前記レンズユニットの鏡筒の少なくとも一部分、前記接着部材、前記撮像素子が前記モールド部により覆われるものでもよい。この構成によれば、撮像素子とレンズユニットとを接着部材により接着固定し、装置を小型化できる。
【0053】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【解決手段】内視鏡は、鏡筒39にレンズを収容するレンズユニット35と、撮像面41がカバーガラス43によって覆われレンズユニット35と連結固定される撮像素子33と、撮像素子33の全体と、レンズユニット35の鏡筒39の少なくとも一部分とを覆うモールド部17と、を備える。モールド部17は、添加物を含有した樹脂材料により構成され、光の透過率が10%以下である。モールド部17は、カーボンブラック等を含み、厚みが30μm以上であるものが好ましい。