(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記正極が網状の金属層で構成されており、前記正極端子が該網状の金属層に密着して電気的に接続されており、前記電解質含有層が前記負極の両面に密着して設けられており、前記負極が前記正極よりイオン化傾向が高いマグネシウム合金で形成されており、前記正極、前記帯状吸水シート、前記電解質含有層、前記負極、前記電解質含有層、前記帯状吸水シート及び前記正極の積層体を互いに圧着して固定する固定材をさらに備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の尿漏れ検知システム。
前記電解質含有層が電解液に含浸して乾燥させることにより電解質を含有する吸水性を有する織布、編布、織編布、不織布又は紙からなるシート材であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の尿漏れ検知システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような検知方式による従来の尿漏れセンサは、センサに電圧を常に印加しておく必要があり、これは人体に接触する可能性もあることから、たとえ低電圧であるとしても安全性に問題があることのみならず、電源装置を必要とすることから構成が複雑となってしまう。
【0007】
また、従来の尿漏れセンサは、電極間が短絡するか又は電気伝導度が変化するに充分な量の尿漏れが生じないとこれを検知できなかった。
【0008】
さらに、この種の尿漏れセンサを用いた従来の尿漏れ検知システムは、尿漏れセンサが設置されている現場においてのみ、尿漏れが生じたことを認識できるものであり、現場から遠隔の位置に対して尿漏れの通知を行うものではなかった。
【0009】
従って、本発明の目的は、作動に電源装置が不要で構成が簡易な尿漏れセンサを用いており、遠隔位置においても尿漏れを認識することができる尿漏れ検知システムを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、少ない尿漏れであっても検知可能な高感度の尿漏れセンサを用いた尿漏れ検知システムを提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、おむつ内の広い範囲の尿漏れを検知することができ、しかも、装着感が非常に良好な尿漏れセンサを用いた尿漏れ検知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、尿漏れ検知システムは、おむつ内の尿漏れが生じる部分に少なくともその一部が配置される吸水性を有する帯状吸水シート及びこの帯状吸水シートの一方の端部のみに接して配置された水電池を含む尿漏れセンサと、尿漏れセンサの、水電池に対して帯状吸水シートとは反対側の位置に配置され、尿漏れセンサから起電圧が出力された際にこの起電圧で作動し尿漏れ発生を通知する無線信号を送信する送信手段と、送信手段からの無線信号を受信し尿漏れ発生信号を出力する受信手段と、受信手段からの尿漏れ発生信号が出力された際に尿漏れが生じた旨を報知する報知手段とを備えている。水電池は、正極と、正極に電気的に接続された正極端子と、正極よりイオン化傾向が高い金属材料で形成された負極と、負極に電気的に接続された負極端子と、正極及び負極間に配置されており電解質を含有すると共に吸水性を有する電解質含有層とを備えている。帯状吸水シートの一方の端部は、水電池の負極と電解質含有層との間又は正極と電解質含有層との間に配置されてこの電解質含有層に接しており、尿漏れによって生じた尿が帯状吸水シートを通って帯状吸水シートの一方の端部に伝わりこの一方の端部から電解質含有層に浸透することによって、水電池の負極及び正極間に起電圧が生じるように構成されている。
【0013】
なお、本明細書において、「おむつ」とは、尿等を吸収するために装着する尿吸収体を意味しており、例えば、通常のおむつの他に、尿漏れパッド及び尿吸収パンツ等を含んでいる。
【0014】
本発明の尿漏れ検知システムによれば、尿漏れセンサが水電池から主として構成され送信手段はその起電圧で作動するため、電源装置を別途に設ける必要がない。従って、簡易な構成とすることができると共に、無線通信で尿漏れ発生を通知することにより遠隔位置においても尿漏れを認識することができる。また、尿漏れセンサに水電池を用いているため、少ない尿漏れであっても高感度で検知することができる。さらに、電圧を常時印加しておく必要がなく非常に安全である。また、その作動に電源装置が不要であるから構成が非常に簡易となるため、安価に製造することができる。特に本発明では、おむつ内の尿漏れが生じる部分に少なくともその一部が配置される吸水性を有する帯状吸水シートを設け、帯状吸水シートで吸水された尿を、この帯状吸水シートを介してその一方の端部に伝えることによって水電池の電解質含有層に浸透させ、正極及び負極間に起電力が発生させている。このように、おむつ内の尿漏れが生じる部分に水電池を設けるのではなく、その部分に帯状吸水シートを設け、この帯状吸水シートを介して尿を水電池に伝えるように構成しているため、帯状吸水シートを設けるのみでおむつ内の広い範囲の尿漏れを検知することができ、しかも、尿漏れが生じる部分には帯状吸水シートのみを設ければ良いため、装着感が非常に良好となる。また、送信手段を尿漏れセンサよりさらに縁端部に配置可能であるため、この送信手段に尿が印加される可能性がより低くなり繰り返し使用に好都合となる。
【0015】
送信手段は、尿漏れセンサから電気信号を入力するための1対の入力端子と、無線送信回路とを備え、無線送信回路は、樹脂材料により水密に封止され、1対の入力端子は、コネクタを介して正極端子及び負極端子に着脱可能に接続されていることも好ましい。これにより、送信手段は、尿漏れ検知信号を引き出すためのリード線を必要とせず、尿漏れセンサと共におむつ内に配置することができる。さらに、送信手段が水電池の正極端子及び負極端子にコネクタを介して接続されているため、コネクタの脱着により、尿漏れセンサのみの取り替えを容易に行うことができる。
【0016】
送信手段は、尿漏れセンサから電気信号を入力するための1対の入力端子と、無線送信回路とを備え、無線送信回路は、樹脂材料により水密に封止され、1対の入力端子は、導電性接着剤によって正極端子及び負極端子に直接的にかつ着脱可能に接続されていることが好ましい。これにより、送信手段は、尿漏れ検知信号を引き出すためのリード線を必要とせず、尿漏れセンサと共におむつ内に配置することができる。さらに、送信手段が水電池の正極端子及び負極端子に導電性接着剤によって直接的にかつ着脱可能に接続されているため、この接着部分を剥がし新たな水電池の正極端子及び負極端子を導電性接着剤で接着すれば、尿漏れセンサのみの取り替えを行うことができる。
【0017】
送信手段は、尿漏れセンサを特定可能な周波数又は識別コードを有する無線信号を送信するように構成されており、受信手段は、受信した無線信号の周波数又は識別コードによって尿漏れセンサを特定可能に構成されていることも好ましい。これにより、複数のおむつにおける尿漏れをそれぞれ特定して検知及び報知することが可能となる。
【0018】
正極が網状の金属層で構成されており、正極端子が網状の金属層に密着して電気的に接続されており、電解質含有層が負極の両面に密着して設けられており、負極が正極よりイオン化傾向が高いマグネシウム合金で形成されており、正極、帯状吸水シート、電解質含有層、負極、電解質含有層、帯状吸水シート及び正極の積層体を互いに圧着して固定する固定材をさらに備えていることも好ましい。
【0019】
正極が炭素化層及び炭素化層に電気的に接続された正極引出し電極を備えており、正極端子が正極引出し電極に密着して電気的に接続されており、電解質含有層が炭素化層に密着して設けられており、負極が正極よりイオン化傾向が高いマグネシウム合金で形成されており、正極引出し電極、炭素化層、電解質含有層、帯状吸水シート、負極、帯状吸水シート、電解質含有層、炭素化層及び正極引出し電極の積層体を互いに圧着して固定する固定材をさらに備えていることも好ましい。
【0020】
正極が炭素化層及び炭素化層に電気的に接続された正極引出し電極を備えており、正極端子が正極引出し電極に密着して電気的に接続されており、電解質含有層が負極の両面に密着して設けられており、負極が正極よりイオン化傾向が高いマグネシウム合金で形成されており、正極引出し電極、炭素化層、帯状吸水シート、電解質含有層、負極、電解質含有層、帯状吸水シート、炭素化層及び正極引出し電極の積層体を互いに圧着して固定する固定材をさらに備えていることも好ましい。
【0021】
炭素化層が、セルロース系繊維の糸からなる織布、編布、織編布又は不織布による原料繊維体を加熱炭素化してなる織布、編布、織編布又は不織布の炭素化したシート材であることも好ましい。
【0022】
電解質含有層が電解質として塩化ナトリウムを5%以上含有するシート材であることも好ましい。
【0023】
電解質含有層が電解液に含浸して乾燥させることにより電解質を含有する吸水性を有する織布、編布、織編布、不織布又は紙からなるシート材であることも好ましい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、尿漏れセンサが水電池から主として構成され送信手段はその起電圧で作動するため、電源装置を別途に設ける必要がない。従って、簡易な構成とすることができると共に、無線通信で尿漏れ発生を通知することにより遠隔位置においても尿漏れを認識することができる。また、尿漏れセンサに水電池を用いているため、少ない尿漏れであっても高感度で検知することができる。さらに、電圧を常時印加しておく必要がなく非常に安全である。また、その作動に電源装置が不要でるから構成が非常に簡易となるため、安価に製造することができる。
【0025】
特に本発明では、おむつ内の尿漏れが生じる部分に水電池を設けるのではなく、その部分に帯状吸水シートを設け、この帯状吸水シートを介して尿を電池に伝えるように構成しているため、帯状吸水シートを設けるのみでおむつ内の広い範囲の尿漏れを検知することができ、しかも、尿漏れが生じる部分には帯状吸水シートのみを設ければ良いため、装着感が非常に良好となる。また、送信手段を尿漏れセンサよりさらに縁端部に配置可能であるため、この送信手段に尿が印加される可能性がより低くなり繰り返し使用に好都合となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る尿漏れ検知システムの実施形態を、図を参照して説明する。
【0028】
図1は本発明の一実施形態として尿漏れ検知システムの全体の構成を概略的に表しており、
図2は
図1に示した尿漏れ検知システムにおける尿漏れセンサ、送信機及び受信機を概略的に表しており、
図3は
図1に示した尿漏れセンサにおける水電池の積層構造を表しており、
図4及び
図5は
図1に示した尿漏れセンサの具体的な構造を製造工程別に表している。
【0029】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る尿漏れ検知システムは、尿漏れセンサ10と、この尿漏れセンサ10に電気的に接続された送信機20と、送信機20からの無線信号を受信する受信手段30a及び尿漏れが生じた旨を報知する報知手段30bを有する受信機30とを備えている。
図1に示すように、本実施形態においては、尿漏れセンサ10及び送信機20はおむつカバー50と尿取りパッド51との間に挿入されている。
【0030】
尿漏れセンサ10は、水電池10aと、一方の端部がこの水電池10aに接して配置されこの水電池10aから延伸したストリップ形状(細長帯形状)の帯状吸水シート10bとを含んで構成されている。水電池10aは、シート状に形成されかつ吸水性を有する外装材11で被包されており、水電池10aの正極端子12a及び12b並びに負極端子13が外装材11から外部に突出して露出するように構成されている。
【0031】
以下、
図3〜
図5を用いて本実施形態における尿漏れセンサ10の水電池10a及び帯状吸水シート10bの具体的な構造を詳細に説明する。
【0032】
図3に示すように、尿漏れセンサ10は、水電池10aの単一の負極14と、負極14の両面に、折り返して得られた一方の端部が接して配置された帯状吸水シート10bと、帯状吸水シート10bの一方の端部の外表面にそれぞれ接して配置された電解質含有層15及び16と、電解質含有層15及び16の外表面に接して配置され、炭素化層17a及び18a並びに正極引出し電極17a及び17bをそれぞれ有する一対の正極17及び18とが互いに積層された積層構造を有している。
【0033】
負極14は、板状マグネシウム合金から構成されている。負極14を構成する金属板としては、正極17及び18の金属材料よりイオン化傾向が高い金属材料であればマグネシウム合金以外にも、アルミニウム、リチウム等、種々の材料が適用可能である。負極14を構成する金属板は、図では矩形状の平板となっているが、他の形状、例えば円形状の平板であっても良い。また、
図4(a)に示すように、積層構造の中心に位置する負極14の両表面から負極端子13が引き出されている。負極端子13として、銅又は銅にスズめっきを施した導電性金属材料箔から形成された細長いストリップ形状のシートを、例えば導電性接着剤で露出端を確保すると共に負極14の表面に接着して構成されている。負極端子13として、導電性金属材料箔であれば、他の材料ももちろん使用可能である。なお、負極端子13として、銅等の導電材料によるリベットを負極14である金属板に挿通させて固着したものを用いても良い。水電池製造時は、負極端子13の露出端表面には導電性接着剤が塗布され、保護のために剥離シートで覆われている。水電池10aと送信機20とを接続する際に、負極端子13(この例では2つの負極端子13)の露出端表面にある剥離シートを剥離し、送信機20の入力端子22(
図6参照)と直接的にかつ着脱可能に接着することで、電気的に接続される。
【0034】
帯状吸水シート10bは、本実施形態では、吸水性を有する不織布(紙)から形成され、その一方の端部が負極14の両面に密着して積層されている。より具体的には、帯状吸水シート10bは、
図4(b)に示すように、その長さ方向の中央部で折り畳まれたストリップ形状(細長帯形状)のシートであり、折り畳む前の両方の端部が重ね合わされて上述した一方の端部を構成している。この一方の端部が負極14の両面に密着して積層されており、帯状吸水シート10bのこの折り畳まれた側は、負極14の一端(
図4では下端)から長く延出され、おむつ内の尿漏れが生じる部分に配置されている。
【0035】
電解質含有層15及び16は、例えば脱脂吸水紙を電解液(例えば、食塩水又はグルコーゲンが添加された食塩水)に含浸させて乾燥させて構成されており、湿潤状態となると、その電解質(例えば食塩(塩化ナトリウム))が溶出して電解液媒体として機能する。電解質含有層15及び16は、電解質として塩化ナトリウムを5%以上含有していることが望ましい。また、電解質含有層15及び16として、1枚のシートが2層以上の複数層織綿布に食塩(塩化ナトリウム)を含有させたもので構成しても良い。さらに、電解質含有層15及び16として、電解液に含浸して乾燥させることにより電解質を含有する吸水性を有する織布、編布、織編布、不織布又は紙からなるシート材を用いても良い。
【0036】
正極17は炭素化シート材からなる炭素化層17aと、この炭素化層17aに密着して積層された例えば銅等の導電性金属材料による正極引出し電極17bとから構成されており、正極18も炭素化シート材からなる炭素化層18aと、この炭素化層18aに密着して積層された例えば銅等の導電性金属材料による正極引出し電極18bとから構成されている。本実施形態で用いている炭素化シート材は、セルロース系繊維の糸からなる織布、編布、織編布又は不織布を原料繊維体とし、これを加熱炭素化してなる織布、編布、織編布又は不織布であり、新日本テックス株式会社が提供するものである。この炭素化シート材は、剛直な炭素繊維を織ったものではなく、炭素化焼成前の出発原料であるセルロース系繊維の糸自体が柔らかく自由な方向性を持っているため、繊維が面方向のみに揃っておらず、厚さ方向にも充分に配合されているため、面方向のみならず厚さ方向にも非常に良好な電導性、誘電特性、熱伝導性及び圧縮強度を有するものである。炭素化層17aは電解質含有層15に密着するように積層されており、炭素化層18aは電解質含有層16に密着するように積層されている。
【0037】
図4(d)に示すように、正極17の正極引出し電極17bには細長いストリップ形状の銅又は銅にスズめっきを施した導電性金属材料箔で形成された正極端子12aの一端が導電性接着剤によって電気的に接続されており、正極18の正極引出し電極18bには細長いストリップ形状の銅又は銅にスズめっきを施した導電性金属材料箔で形成された正極端子12bの一端が導電性接着剤によって電気的に接続されている。正極端子12a及び12bとして、導電性金属材料箔であれば、他の材料ももちろん使用可能である。水電池製造時は、これら正極端子12a及び12bの露出される自由端側の片面には導電性接着剤が塗布され、保護のために剥離シートで覆われている。水電池10aと送信機20とを接続する際に、正極端子12a及び12bの露出端表面にある剥離シートを剥離し、送信機20の入力端子と直接的にかつ着脱可能に接着することで、電気的に接続される。この例では4つの正極端子12a及び12bが互いに接着すると共に送信機20の入力端子と直接的にかつ着脱可能に接着するように構成されている。
【0038】
図5(a)に示すように、以上述べた負極14と、帯状吸水シート10bと、電解質含有層15及び16と、炭素化層17a及び正極引出し電極17bを有する正極17と、炭素化層18a及び正極引出し電極18bを有する正極18とを互いに積層した積層体は、固定材であるテープ19を横方向(図にて左右方向)に巻いて圧着固定されている。このように、例えばビニールテープであるテープ19を巻回して圧着固定されることにより、負極14、帯状吸水シート10b、電解質含有層15及び16、炭素化層17a及び正極引出し電極17bを有する正極17、並びに炭素化層18a及び正極引出し電極18bを有する正極18が互いに密着して積層固定されることとなる。
【0039】
このように固定された水電池10a及び帯状吸水シート10bは、
図5(b)に示すように、吸水性を有するシート材を折り返して構成された外装材11の内側に挿入し、このシート材の側辺を熱圧着、接着又は縫い糸によって閉じられる。これによって、水電池10a及び帯状吸水シート10bは、正極端子12a及び12b並びに負極端子13を外部に露出させた状態で外装材11によって覆われ内部に収容される、即ち、被包される。外装材11を構成するシート材は、吸水性を有する織布、編布、織編布、不織布又は紙から構成される。
【0040】
送信機20は、
図6に示すように、送信手段を構成する、1対の入力端子21及び22と、昇圧回路23と、マイコン24と、制御回路25と、送信アンテナ26とを備えている。本実施形態において、入力端子21及び22は、水電池10aの正極端子12a及び12b並びに負極端子13に導電性接着剤を介して直接的にかつ着脱可能にそれぞれ接続されている。送信機20は、尿漏れセンサ10から起電圧が出力された際に尿漏れ発生を通知する無線信号を送信するように構成されている。また、昇圧回路23と、マイコン24と、制御回路25と、送信アンテナ26とからなる無線送信回路は、樹脂材料により水密に封止されている。上述したように、1対の入力端子21及び22と、正極端子12a及び12b並びに負極端子13とが導電性接着剤を剥がすことにより取り外しできるように構成されているため、尿漏れセンサ10のみの取り替えが可能である。また、送信機20と尿漏れセンサ10とを共におむつ内に配置することができる。
【0041】
送信機20は、マイコン24及び制御回路25の制御により、この送信機20に接続されている尿漏れセンサ10を特定可能な周波数を有する無線信号を送信するように構成されている。例えば、送信機20は、2.4GHz帯のある特定の周波数の無線信号を発信するように構成されており、他の複数のおむつ内に配置される複数の送信機は、互いに異なる特定の周波数の無線信号を発信するように構成されている。本実施形態では、例えば5種類の互いに異なる特定の周波数の無線信号を発信するものとして説明するが、その種類数はいくつであっても良い。また、互いに異なる特定可能な周波数を有する無線信号を送信する代わりに、互いに異なる特定可能な識別コードを有する無線信号を送信しても良い。
【0042】
受信機30は、
図1、
図2及び
図7に示すように、電源スイッチ31と、電源表示LED32と、特定の尿漏れセンサで尿漏れが生じた旨を報知する報知手段30bとしての報知LED33a〜33e及びブザー35と、これら報知LED33a〜34eの駆動回路34a〜34eと、リセットスイッチ36と、受信アンテナ37と、制御回路38と、マイコン39と、レギュレータ40と、電池41とを備えている。また、受信機30は、尿漏れが生じた旨を報知する報知手段30bとしてナースコールへ信号を出力することができる。受信機30は、送信機20からの無線信号を受信し尿漏れ発生信号を出力し、受信手段30aからの尿漏れ発生信号が出力された際に、尿漏れを検知した旨を報知手段30b(即ち、報知LED33a〜33e及びブザー35等)で報知するように構成されている。
【0043】
受信器30は、マイコン38の制御により、受信した無線信号の周波数によって尿漏れセンサを特定し、その尿漏れセンサを表す報知LED33a〜33eのいずれかを点灯させ、ブザー35を鳴らすように構成されている。本実施形態では、受信した無線信号の周波数から特定の尿漏れセンサを識別し、報知LED33a〜33eのうちのその尿漏れセンサに対応するものを点灯させると共に、ブザー35を鳴らす。これにより、どのおむつにおいて尿漏れが生じたかをそれぞれ特定することが可能となる。また、受信した無線信号の周波数から尿漏れセンサを特定する代わりに、受信した無線信号の識別コードから尿漏れセンサを特定しても良い。
【0044】
なお、本実施形態の尿漏れセンサ10においては、帯状吸水シート10bの一方の端部が負極14の両面に密着して積層されている(即ち、負極14と電解質含有層15及び16との間に配置されている)が、帯状吸水シート10bの一方の端部が正極17と電解質含有層15との間及びに正極18と電解質含有層16との間に配置されていても良い。
【0045】
以上詳細に説明したように、本実施形態の尿漏れ検知システムは、おむつ内の尿漏れが生じる部分に少なくともその一部が配置される吸水性を有する帯状吸水シート10b及びこの帯状吸水シート10bの一方の端部のみに接して配置された水電池10aを含む尿漏れセンサ10と、尿漏れセンサ10の、水電池10aに対して帯状吸水シート10bとは反対側の位置に配置され、尿漏れセンサ10から起電圧が出力された際にこの起電圧で作動し尿漏れ発生を通知する無線信号を送信する送信機20と、送信機20からの無線信号を受信し尿漏れ発生信号を出力する受信手段30a及びこの受信手段30aからの尿漏れ発生信号が出力された際に尿漏れが生じた旨を報知する報知手段30bを有する受信機30とを備えている。水電池10aは、正極17及び18と、これら正極17及び18にそれぞれ電気的に接続された正極端子12a及び12bと、正極17及び18よりイオン化傾向が高い金属材料、例えばマグネシウム合金、で形成された負極14と、負極14に電気的に接続された負極端子13と、正極17及び18並びに負極14間に配置されており電解質を含有すると共に吸水性を有する電解質含有層15及び16とを備えている。帯状吸水シート10bの一方の端部は、水電池10aの負極14と電解質含有層15及び16との間又は正極17及び18と電解質含有層15及び16との間に配置されて電解質含有層15及び16に接しており、尿漏れによって生じた尿が外装材11を介し帯状吸水シート10bを通って帯状吸水シート10bの一方の端部に伝わりこの一方の端部から電解質含有層15及び16に浸透することによって、負極14並びに正極17及び18間に起電圧が生じ、これが負極端子13並びに正極端子12a及び12bによって取り出される。
【0046】
このように、尿漏れセンサ10が水電池10aから主として構成されており、送信機20はその起電圧で作動するため、電源装置を別途に設ける必要がない。従って、簡易な構成とすることができると共に、無線通信で尿漏れ発生を通知することにより遠隔位置においても尿漏れを認識することができる。また、水電池であるため、少ない尿漏れであっても高感度で検知することができる。さらに、電圧を常時印加しておく必要がなく非常に安全である。また、その作動に電源装置が不要であり、このため、構成が非常に簡易となると共に安価に製造することができる。
【0047】
本実施形態によれば、さらに、送信機20は、水電池10aの正極端子12a及び12b並びに負極端子13に導電性接着剤によって直接的に接続されている。このため、送信機20は、尿漏れ検知信号を引き出すためのリード線を必要とせず、尿漏れセンサ10と共におむつ内に配置することができる。さらに、送信機20が水電池10aの正極端子12a及び12b並びに負極端子13に導電性接着剤によって着脱可能に接続されているため、この接着部分を剥がし新たな水電池10aの正極端子12a及び12b並びに負極端子13を導電性接着剤で接着すれば、尿漏れセンサのみの取り替えを行うこともできる。
【0048】
本実施形態によれば、さらにまた、おむつ50内の尿漏れが生じる部分に少なくともその一部が配置される吸水性を有する帯状吸水シート10bを設け、帯状吸水シート10bで吸水された尿を、この帯状吸水シート10bを伝わらせてその一方の端部に伝えることによって水電池10aの電解質含有層15及び16に浸透させ、正極17及び18並びに負極14間に起電力が発生させている。このように、おむつ50内の尿漏れが生じる部分に水電池10aを設けるのではなく、その部分に帯状吸水シート10bを設け、この帯状吸水シート10bを介して尿を水電池10aに伝えるように構成しているため、帯状吸水シート10bを設けるのみでおむつ内の広い範囲の尿漏れを検知することができ、しかも、尿漏れが生じる部分には帯状吸水シート10bのみを設ければ良いため、装着感が非常に良好となる。また、送信機20を尿漏れセンサ10よりさらに縁端部に配置可能であるため、この送信機20に尿が印加される可能性がより低くなり繰り返し使用に好都合となる。
【0049】
上述した実施形態では、正極17及び18の各々を炭素化層17a及び正極引出し電極17b並びに炭素化層18a及び正極引出し電極18bから構成しているが、本実施形態の変更態様においては、正極17及び18の各々を導電性金属層、例えば銅−ニッケル合金による網状の金属層、のみから構成しても良い。
【0050】
図8は本発明の尿漏れ検知システムの他の実施形態における尿漏れセンサ、送信機及び受信機を概略的に示しており、
図9は
図8に示した尿漏れセンサの具体的な構造を製造工程別に示している。
【0051】
図8に示すように、本実施形態に係る尿漏れ検知システムは、尿漏れセンサ80と、この尿漏れセンサ80にコネクタ90を介して電気的に接続された送信機100と、送信機100の無線信号を受信する受信手段30a及び尿漏れが生じた旨を報知する報知手段30bを有する受信機30とを備えている。
図1に示した場合と同様に、尿漏れセンサ80及び送信機100は、おむつカバー50と尿取りパッド51との間に挿入されている。本実施形態の構成は、尿漏れセンサ80及び送信機100がコネクタ90を介して電気的に接続されている点、並びに帯状吸水シート80bの一方の端部が正極87と電解質含有層85との間及びに正極88と電解質含有層86との間に配置されている点を除いて、
図1〜
図7の実施形態の場合と同様であり、従って同じ構成要素については同じ参照番号を使用している。
【0052】
尿漏れセンサ80は、水電池80aと、一方の端部がこの水電池80aに接して配置されこの水電池80aから延伸したストリップ形状(細長帯形状)の帯状吸水シート80bと、コネクタ90のプラグ部90aとを含んで構成されている。水電池80aは、シート状に形成されかつ吸水性を有する外装材81で被包されており、コネクタ90のプラグ部90aが外装材81から外部に突出して露出するように構成されている。
【0053】
プラグ部90aには、プラグ部電極91及び92がパターン印刷により形成されており、水電池80aの正極端子82a及び82bがプラグ部電極91に、負極端子83がプラグ部電極92にそれぞれ電気的に接続されている。
【0054】
送信機100は、
図1〜
図7の実施形態における送信機20と、コネクタ90のソケット部90bとを含んで構成されている。このソケット部90bには、ソケット部電極93及び94が形成されており、これらソケット部電極93及び94は、
図6に示した送信機20の1対の入力端子22及び21とそれぞれ電気的に接続されている。尿漏れセンサ80のプラグ部90aを送信機100のソケット部90bに挿入することにより、水電池80aの正極端子82a及び82b並びに負極端子83と、送信機100の1対の入力端子22及び21とが電気的に接続される。
【0055】
以下、
図9を用いて本実施形態における尿漏れセンサ80の水電池80aの具体的な構造を詳細に説明する。
【0056】
尿漏れセンサ80は、水電池80aの単一の負極84と、負極84の両面に接して折り返し配置された電解質含有層85と、電解質含有層85の外表面に折り返して得られた一方の端部が接して配置された帯状吸水シート80bと、帯状吸水シート10bの一方の端部の外表面にそれぞれ接して配置され、炭素化層87a及び88a並びに正極引出し電極87a及び87bをそれぞれ有する一対の正極87及び88とが互いに積層された積層構造を有している。
【0057】
図9(a)に示すように、負極84から突出している負極端子83は、細長いストリップ形状の銅又は銅にスズめっきを施した導電性金属材料箔で形成されている。負極端子83として、導電性金属材料箔であれば、他の材料ももちろん使用可能である。負極端子83は、リベット等でプラグ部90aのプラグ部電極92に固着され電気的に接続されている。
図9(b)に示すように、負極84の両面に接して電解質含有層85が折り返し配置されている。
図9(c)に示すように、帯状吸水シート80bは、その長さ方向の中央部で折り畳まれたストリップ形状(細長帯形状)のシートであり、折り畳む前の両方の端部が重ね合わされて一方の端部を構成している。この一方の端部が電解質含有層85の両面に密着して積層されており、帯状吸水シート80bのこの折り畳まれた側は、負極84の一端(
図9にて右上端)から長く延出され、おむつ内の尿漏れが生じる部分に配置される。
【0058】
図9(d)に示すように、正極87は帯状吸水シート80bに密着して積層された炭素化シート材からなる炭素化層87aと、この炭素化層87aに密着して積層された例えば銅等の導電性金属材料による正極引出し電極87bとから構成されており、正極88も帯状吸水シート80bに密着して積層された炭素化シート材からなる炭素化層88aと、この炭素化層88aに密着して積層された例えば銅等の導電性金属材料による正極引出し電極88bとから構成されている。正極引出し電極87bから突出して正極端子82aが形成され、正極引出し電極88bから突出して正極端子82bが形成されている。正極端子82a及び82bは、細長いストリップ形状の銅又は銅にスズめっきを施した導電性金属材料箔で形成されている。正極端子82a及び82bとして、導電性金属材料箔であれば、他の材料ももちろん使用可能である。これら正極端子82a及び82bはリベット等でプラグ部90aのプラグ部電極91に固着され電気的に接続されている。
【0059】
図9(e)に示すように、以上述べた負極84と、電解質含有層85と、帯状吸水シート80bと、炭素化層87a及び正極引出し電極87bを有する正極87並びに炭素化層88a及び正極引出し電極88bを有する正極88とを互いに積層した積層体は、固定材であるテープ89を横方向に巻くことにより圧着固定されている。
図8及び
図9(f)に示すように、正極端子82a及び82b並びにプラグ部90aは、このようにして形成された水電池80bから(外装材81から)外部に突出して露出するように構成されている。
【0060】
本実施形態のその他の構成は
図1〜
図7の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0061】
なお、本実施形態の尿漏れセンサ80においては、帯状吸水シート80bの一方の端部が正極87と電解質含有層85との間及びに正極88と電解質含有層15との間に配置されているが、帯状吸水シート80bの一方の端部が負極84の両面に密着して積層されて(即ち、負極84と電解質含有層85との間に配置されて)いても良い。
【0062】
以上詳細に説明したように、本実施形態の尿漏れ検知システムは、おむつ内の尿漏れが生じる部分に少なくともその一部が配置される吸水性を有する帯状吸水シート80b及びこの帯状吸水シート80bの一方の端部のみに接して配置された水電池80aを含む尿漏れセンサ80と、尿漏れセンサ80の、水電池80aに対して帯状吸水シート80bとは反対側の位置に配置され、尿漏れセンサ80から起電圧が出力された際にこの起電圧で作動し尿漏れ発生を通知する無線信号を送信する送信機100と、送信機100からの無線信号を受信し尿漏れ発生信号を出力する受信手段30a及びこの受信手段30aからの尿漏れ発生信号が出力された際に尿漏れが生じた旨を報知する報知手段30bを有する受信機30とを備えている。水電池80aは、正極87及び88と、これら正極87及び88にそれぞれ電気的に接続された正極端子82a及び82bと、正極87及び88よりイオン化傾向が高い金属材料、例えばマグネシウム合金、で形成された負極84と、負極84に電気的に接続された負極端子83と、正極87及び88並びに負極84間に配置されており電解質を含有すると共に吸水性を有する電解質含有層85とを備えている。帯状吸水シート80bの一方の端部は、正極87及び88と電解質含有層85との間又は水電池80aの負極84と電解質含有層85との間に配置されて電解質含有層85に接しており、尿漏れによって生じた尿が外装材81を介し帯状吸水シート80bを通って帯状吸水シート80bの一方の端部に伝わりこの一方の端部から電解質含有層85に浸透することによって、負極84並びに正極87及び88間に起電圧が生じ、これが負極端子83並びに正極端子82a及び82bによって取り出される。
【0063】
このように、尿漏れセンサ80が水電池80aから主として構成されており、送信機100はその起電圧で作動するため、電源装置を別途に設ける必要がない。従って、簡易な構成とすることができると共に、無線通信で尿漏れ発生を通知することにより遠隔位置においても尿漏れを認識することができる。また、水電池であるため、少ない尿漏れであっても高感度で検知することができる。さらに、電圧を常時印加しておく必要がなく非常に安全である。また、その作動に電源装置が不要であり、このため、構成が非常に簡易となると共に安価に製造することができる。
【0064】
本実施形態によれば、さらに、送信機100は、水電池80aの正極端子82a及び82b並びに負極端子13に、コネクタ90のプラグ部90a及びソケット部90bによって直接的に接続されている。このため、送信機100は、尿漏れ検知信号を引き出すためのリード線を必要とせず、尿漏れセンサ80と共におむつ内に配置することができる。さらに、送信機100が水電池80aの正極端子82a及び82b並びに負極端子13に、コネクタ90のプラグ部90a及びソケット部90bによって着脱可能に接続されているため、このコネクタ90のソケット部90bに新たな尿漏れセンサにおける水電池のプラグ部を挿入すれば、尿漏れセンサのみの取り替えを容易に行うことができる。
【0065】
本実施形態によれば、さらにまた、おむつ50内の尿漏れが生じる部分に少なくともその一部が配置される吸水性を有する帯状吸水シート80bを設け、帯状吸水シート80bで吸水された尿を、この帯状吸水シート80bを伝わらせてその一方の端部に伝えることによって水電池80aの電解質含有層85に浸透させ、正極87及び88並びに負極84間に起電力が発生させている。このように、おむつ50内の尿漏れが生じる部分に水電池80aを設けるのではなく、その部分に帯状吸水シート80bを設け、この帯状吸水シート80bを介して尿を水電池80aに伝えるように構成しているため、帯状吸水シート80bを設けるのみでおむつ内の広い範囲の尿漏れを検知することができ、しかも、尿漏れが生じる部分には帯状吸水シート80bのみを設ければ良いため、装着感が非常に良好となる。また、送信機100を尿漏れセンサ80よりさらに縁端部に配置可能であるため、この送信機100に尿が印加される可能性がより低くなり繰り返し使用に好都合となる。
【0066】
上述した実施形態では、正極87及び88の各々を炭素化層87a及び正極引出し電極87b並びに炭素化層88a及び正極引出し電極88bから構成しているが、本実施形態の変更態様においては、正極87及び88の各々を導電性金属層、例えば銅−ニッケル合金による網状の金属層、のみから構成しても良い。
【0067】
図10は本発明の尿漏れ検知システムのさらに他の実施形態における尿漏れセンサ、送信機及び受信機を概略的に示しており、
図11は
図10に示した尿漏れセンサの具体的な構造を製造工程別に示しており、
図12は
図10に示した尿漏れセンサの具体的な構造を製造工程別に示しており、
図13は
図10に示した尿漏れセンサにおける水電池の組み立て前の構成部材を示している。
【0068】
図10に示すように、本実施形態に係る尿漏れ検知システムは、尿漏れセンサ110と、この尿漏れセンサ110にコネクタを介して電気的に接続された送信機130と、送信機130の無線信号を受信する受信手段30a及び尿漏れが生じた旨を報知する報知手段30bを有する受信機30とを備えている。
図1に示した場合と同様に、尿漏れセンサ110及び送信機130は、おむつカバー50と尿取りパッド51との間に挿入されている。本実施形態の構成は、尿漏れセンサ110及び送信機130がコネクタを介して電気的に接続されている点、正極117及び118の構成が異なる点、帯状吸水シート110bの一方の端部が正極117と電解質含有層115との間に及び正極118と電解質含有層116との間に配置されている点、並びに外装材を用いていない点を除いて、
図1〜
図7の実施形態の場合と同様であり、従って同じ構成要素については同じ参照番号を使用している。
【0069】
尿漏れセンサ110は、水電池110aと、一方の端部がこの水電池110aに接して配置されこの水電池110aから延伸したストリップ形状(細長帯形状)の帯状吸水シート110bと、コネクタのソケット部120bとを含んで構成されている。
【0070】
ソケット部120bにはソケット部電極123及び124が形成されている。これらソケット部電極123及び124は、後述するように、細長いストリップ形状の銅又は銅にスズめっきを施した導電性金属材料箔によって形成された、水電池110aの正極端子112及び負極端子113の一部によって構成されている。
【0071】
送信機130は、
図1〜
図7の実施形態における送信機と、この送信機から突出する、コネクタのプラグ部120aとを含んで構成されている。このプラグ部120aには、プラグ部電極121及び122が形成されており、これらプラグ部電極121及び122は、
図6に示した送信機20の1対の入力端子21及び22と電気的に接続されている。送信機130のプラグ部120aを尿漏れセンサ110のソケット部120bに挿入することにより、水電池110aの正極端子112及び負極端子113と、送信機130の1対の入力端子21及び22とが電気的に接続される。
【0072】
以下、
図11、
図12及び
図13を用いて本実施形態における尿漏れセンサ110の水電池110aの具体的な構造を詳細に説明する。
【0073】
図11に示すように、尿漏れセンサ110は、水電池110aの単一の負極114と、負極114の両面に接してそれぞれ配置された電解質含有層115及び116と、電解質含有層115及び116の外表面に折り返して得られた一方の端部が接して配置された帯状吸水シート110bと、帯状吸水シート110bの一方の端部の外表面にそれぞれ接して配置された網状の金属層からなる一対の正極117及び118とが互いに積層された積層構造を有している。負極114の両面には細長いストリップ形状の銅又は銅にスズめっきを施した導電性金属材料箔によって形成された負極端子113の両端部が接して電気的に接続されており、正極117及び118の片面には細長いストリップ形状の銅又は銅にスズめっきを施した導電性金属材料箔によって形成された正極端子112の両端部が接して電気的に接続されている。
【0074】
次に、
図11、
図12及び
図13を参照して、本実施形態の尿漏れセンサ110の水電池110aの具体的な構造を詳細に説明する。
【0075】
負極114は、板状マグネシウム合金から構成されている。単なる一例であるが、負極114の寸法は、約10mm×約40mm程度である。負極114を構成する金属板としては、正極117及び118の金属材料よりイオン化傾向が高い金属材料であればマグネシウム合金以外にも、アルミニウム、リチウム等、種々の材料が適用可能である。負極114を構成する金属板は、図では矩形状の平板となっているが、他の形状、例えば円形状の平板であっても良い。
図11(a)及び
図13(a)に示すように、負極114の両表面には、負極端子113の両端部が導電性接着剤等を用いて接着により電気的に接続されている。負極端子113は、細長いストリップ形状の銅又は銅にスズめっきを施した導電性金属材料箔で形成されている。負極端子113として、導電性金属材料箔であれば、他の材料ももちろん使用可能である。後述するように、この負極端子113の一部は、ソケット部電極124となる。単なる一例であるが、負極端子113の寸法は、約10mm×約36mm程度である。
【0076】
図11(b)及び
図13(b)には電解質含有層115及び116が示されている。これら電解質含有層115及び116は、負極114の両面にそれぞれ密着して積層されている。単なる一例であるが、電解質含有層115及び116の各々の寸法は、約10mm×約40mm程度である。電解質含有層115及び116の各々は、例えば脱脂吸水紙を電解液(例えば、食塩水又はグルコーゲンが添加された食塩水)に含浸させて乾燥させて構成されており、湿潤状態となると、その電解質(例えば食塩(塩化ナトリウム))が溶出して電解液媒体として機能する。これら電解質含有層115及び116は、電解質として塩化ナトリウムを5%以上含有していることが望ましい。また、電解質含有層115及び116として、1枚のシートが2層以上の複数層織綿布に食塩(塩化ナトリウム)を含有させたもので構成しても良い。さらに、電解質含有層115及び116として、電解液に含浸して乾燥させることにより電解質を含有する吸水性を有する織布、編布、織編布、不織布又は紙からなるシート材を用いても良い。
【0077】
図13(c)には、帯状吸水シート110bが示されている。この帯状吸水シート110bは、本実施形態では、吸水性を有する不織布(紙)から形成されている。単なる一例であるが、帯状吸水シート110bの寸法は、約300mm×約40mm程度である。
図11(c)に示すように、この帯状吸水シート110bの長さ方向の途中に、
図13(d)に示す両面テープ119aの一方の接着面を貼り付ける。単なる一例であるが、両面テープ119aの寸法は、約40mm×約5mm程度である。
【0078】
図11(d)に示すように、この帯状吸水シート110bの一方の端部が電解質含有層115及び116の外表面に密着して積層されている。より具体的には、帯状吸水シート110bは、その長さ方向の中央部で折り畳まれたストリップ形状(細長帯形状)のシートであり、折り畳む前の両方の端部が重ね合わされて上述した一方の端部を構成している。この一方の端部が電解質含有層115及び116の外表面にそれぞれ密着して積層されており、帯状吸水シート110bの折り畳まれた側は、電解質含有層115及び116から長く延出され、おむつ内の尿漏れが生じる部分に配置される。
【0079】
図11(e)及び(f)に示すように、帯状吸水シート110bの両面には、正極117及び118がそれぞれ密着して積層されている。正極117及び118の各々は、導電性金属層、例えば銅−ニッケル合金による網状の金属層から構成されている。単なる一例であるが、正極117及び118の各々の寸法は、約10mm×約35mm程度である。
図11(e)及び
図13(e)に示すように、正極117及び118の外表面には、正極端子112の両端部が導電性接着剤等を用いて接着により電気的に接続されている。正極端子112は、細長いストリップ形状の銅又は銅にスズめっきを施した導電性金属材料箔で形成されている。正極端子112として、導電性金属材料箔であれば、他の材料ももちろん使用可能である。後述するように、この正極端子112の一部は、ソケット部電極123となる。単なる一例であるが、正極端子112の寸法は、約5mm×約36mm程度である。
【0080】
図11(f)に示すように、正極端子112及び負極端子113の中央部を上方に引き出した状態で、正極117、帯状吸水シート110bの一方の端部、電解質含有層115、負極114、電解質含有層116、帯状吸水シート110bの一方の端部、及び正極118が互いに積層され積層構造を形成されている。この積層構造上に、
図11(g)に示すように、例えばビニールテープ等のテープ119bを横方向に1回巻回し、さらに
図11(h)に示すように、例えばビニールテープ等のテープ119cを縦方向に1回巻回することにより、積層構造を圧着固定する。
【0081】
この時点で、
図11(i)に示すように、帯状吸水シート110bに貼り付けられている両面テープ119aの他方の面もこの帯状吸水シート110bの折り返し面に貼り付け、折り返されている帯状吸水シート110bがその長さ方向の途中で互いに接した状態となるようにする。ただし、
図11(i)及び(j)並びに
図12(a)〜(f)では、便宜上、帯状吸水シート110bの折り返し面がその長さ方向の途中で互いに接触せず離れた状態として表されている。
【0082】
次いで、
図11(j)に示すように、正極端子112及び負極端子113の下に、正負極間の絶縁をより確実にするために、シリコン材料119を塗布する。
【0083】
次いで、
図12(a)に示すように、上方に引き出されている正極端子112及び負極端子113を折り曲げた後、
図12(b)に示すように、正極端子112及び負極端子113を折り曲げた側の積層構造の片面に、
図13(f)に示すソケット部ガイド板125を固着する。このソケット部ガイド板125は、例えば塩化ビニル等の樹脂板又は厚紙から形成されおり、
図12(b)及び
図13(f)にて上方の端縁に開口し、正極端子112及び負極端子113の引き出した部分の形状にそれぞれ対応した形状を有する2つの凹状切り欠き125a及び125bを備えている。単なる一例であるが、ソケット部ガイド板125の外形寸法は、約10mm×約40mm程度であり、凹状切り欠き125aの寸法は約8mm×約8mm程度であり、凹状切り欠き125bの寸法は約12mm×約8mm程度である。
図12(b)に示すように、正極端子112及び負極端子113の折り曲げた部分が、ソケット部ガイド板125の凹状切り欠き125a及び125bにそれぞれ嵌入される。
【0084】
その後、
図12(c)に示すように、ソケット部ガイド板125上にソケット部カバー板126を固着する。単なる一例であるが、ソケット部カバー板126の寸法は約40mm×約6mm程度である。その上から、
図12(d)に示すように、例えばビニールテープ等のテープ119dを横方向に2回巻回し、さらに
図12(e)に示すように、例えばビニールテープ等のテープ119eを縦方向に2回巻回することにより、
図12(f)に示すように、完成した尿漏れセンサ110が得られる。ソケット部ガイド板125と、その凹状切り欠き125a及び125b内に嵌入された正極端子112及び負極端子113の一部によるソケット部電極123及び124と、ソケット部ガイド板125上に固着されたソケット部カバー板126とにより、尿漏れセンサ110のソケット部120bが構成され、送信機130のプラグ部120aのプラグ部電極121及び122がこのソケット部120bに挿入されることにより、水電池110aの正極端子112及び負極端子113と、送信機130の1対の入力端子21及び22とが電気的に接続される。
【0085】
本実施形態のその他の構成は
図1〜
図7の実施形態の場合と同様であるため、説明を省略する。
【0086】
なお、本実施形態の尿漏れセンサ110においては、帯状吸水シート110bの一方の端部が正極117と電解質含有層115との間及びに正極118と電解質含有層116との間に配置されているが、帯状吸水シート110bの一方の端部が負極114の両面に密着して積層されて(即ち、負極114と電解質含有層115及び116との間に配置されて)いても良い。
【0087】
以上詳細に説明したように、本実施形態の尿漏れ検知システムは、おむつ内の尿漏れが生じる部分に少なくともその一部が配置される吸水性を有する帯状吸水シート110b及びこの帯状吸水シート110bの一方の端部のみに接して配置された水電池110aを含む尿漏れセンサ110と、尿漏れセンサ110の、水電池110aに対して帯状吸水シート110bとは反対側の位置に配置され、尿漏れセンサ110から起電圧が出力された際にこの起電圧で作動し尿漏れ発生を通知する無線信号を送信する送信機130と、送信機130からの無線信号を受信し尿漏れ発生信号を出力する受信手段30a及びこの受信手段30aからの尿漏れ発生信号が出力された際に尿漏れが生じた旨を報知する報知手段30bを有する受信機30とを備えている。水電池110aは、正極117及び118と、これら正極117及び118に両端部が電気的に接続された正極端子112と、正極117及び118よりイオン化傾向が高い金属材料、例えばマグネシウム合金、で形成された負極114と、負極114に電気的に接続された負極端子113と、正極117及び118並びに負極114間にそれぞれ接して配置されており電解質を含有すると共に吸水性を有する電解質含有層115及び116とを備えている。帯状吸水シート110bの一方の端部は、正極117及び118と電解質含有層115及び116との間又は水電池110aの負極114と電解質含有層115及び116との間に接して配置されて電解質含有層115及び116に接しており、尿漏れによって生じた尿が外装材111を介し帯状吸水シート110bを通って帯状吸水シート110bの一方の端部に伝わりこの一方の端部から電解質含有層115及び116に浸透することによって、負極114並びに正極117及び118間に起電圧が生じ、これが負極端子113並びに正極端子112によって取り出される。
【0088】
このように、尿漏れセンサ110が水電池110aから主として構成されており、送信機130はその起電圧で作動するため、電源装置を別途に設ける必要がない。従って、簡易な構成とすることができると共に、無線通信で尿漏れ発生を通知することにより遠隔位置においても尿漏れを認識することができる。また、水電池であるため、少ない尿漏れであっても高感度で検知することができる。さらに、電圧を常時印加しておく必要がなく非常に安全である。また、その作動に電源装置が不要であり、このため、構成が非常に簡易となると共に安価に製造することができる。
【0089】
本実施形態によれば、さらに、送信機130は、水電池110aの正極端子112及び負極端子113に、コネクタのプラグ部120a及びソケット部120bによって直接的に接続されている。このため、送信機130は、尿漏れ検知信号を引き出すためのリード線を必要とせず、尿漏れセンサ110と共におむつ内に配置することができる。さらに、送信機130が水電池110aの正極端子112及び負極端子113に、コネクタのプラグ部120a及びソケット部120bによって着脱可能に接続されているため、このコネクタのプラグ部90aを新たな尿漏れセンサにおける水電池のソケット部90bに挿入すれば、尿漏れセンサのみの取り替えを容易に行うことができる。
【0090】
本実施形態によれば、さらにまた、おむつ50内の尿漏れが生じる部分に少なくともその一部が配置される吸水性を有する帯状吸水シート110bを設け、帯状吸水シート110bで吸水された尿を、この帯状吸水シート110bを伝わらせてその一方の端部に伝えることによって水電池110aの電解質含有層115及び116に浸透させ、正極117及び118並びに負極114間に起電力が発生させている。このように、おむつ50内の尿漏れが生じる部分に水電池110aを設けるのではなく、その部分に帯状吸水シート110bを設け、この帯状吸水シート110bを介して尿を水電池110aに伝えるように構成しているため、帯状吸水シート110bを設けるのみでおむつ内の広い範囲の尿漏れを検知することができ、しかも、尿漏れが生じる部分には帯状吸水シート110bのみを設ければ良いため、装着感が非常に良好となる。また、送信機130を尿漏れセンサ110よりさらに縁端部に配置可能であるため、この送信機130に尿が印加される可能性がより低くなり繰り返し使用に好都合となる。
【0091】
上述した実施形態の尿漏れセンサ10、80及び110においては、帯状吸水シート10b、80b及び110bが、その長さ方向の中央部で折り畳まれたストリップ形状(細長帯形状)のシートであり、折り畳む前の両方の端部が重ね合わされて上述した一方の端部を構成し、この一方の端部が負極又は正極に密着して積層されており、帯状吸水シート10b、80b及び110bの折り畳まれた側は、負極の一端から長く延出され、おむつ内の尿漏れが生じる部分に配置されている構成例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、一枚の帯状吸水シートを折り畳んだ構成の代わりに、2枚の帯状吸水シートを用いてそれぞれの一方の端部を負極又は正極に密着して積層し、他端を負極の一端から長く延出するようにしても良い。
【0092】
また、上述した実施形態の尿漏れセンサ10、80及び110においては、負極の両面に負極端子が接着され、正極の両面又は片面に正極端子が接着されている構成例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、負極の片面のみに負極端子を接着し、正極の片面又は両面のみに正極端子を接着する構成としても良い。
【0093】
さらに、上述した実施形態の尿漏れセンサ10、80及び110においては、受信機30には、尿漏れが生じた旨を報知する報知手段30bとしての報知LED33a〜33e及びブザー35を有する構成例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。報知LED33a〜33eのみ、又はブザー35のみを有するようにしても良い。また、報知LEDの数(チャネル数)はこれに限定されるものではなく、1つ以上いくつであっても良い。
【0094】
さらにまた、上述した実施形態の尿漏れセンサ10、80及び110においては、尿漏れセンサ10、80及び110をおむつカバー50と尿取りパッド51との間に挿入しているが、漏れた尿が検知できる位置であれば、その他の部分に配置しても良い。また、おむつカバーと尿取りパッドとの組合せに限らず、種々のタイプのおむつ又はおむつに対応する機能を有するパンツ内の漏れた尿が検知できる位置に配置しても良い。
【0095】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【解決手段】帯状吸水シート10bの一方の端部のみに接して配置された水電池10aを含む尿漏れセンサ10と、尿漏れセンサから起電圧が出力された際にこの起電圧で作動し尿漏れ発生を通知する無線信号を送信する送信手段20と、送信手段からの無線信号を受信し尿漏れ発生信号を出力する受信手段30aと、受信手段からの尿漏れ発生信号が出力された際に尿漏れが生じた旨を報知する報知手段30bとを備えている。