特許第5972495号(P5972495)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5972495カテーテルのためのブロー成形パッケージ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972495
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】カテーテルのためのブロー成形パッケージ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/00 20060101AFI20160804BHJP
   A61M 39/08 20060101ALI20160804BHJP
   A61B 50/30 20160101ALI20160804BHJP
【FI】
   A61M25/00
   A61M39/08
   A61B50/30
【請求項の数】12
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-500265(P2016-500265)
(86)(22)【出願日】2014年2月14日
(65)【公表番号】特表2016-510640(P2016-510640A)
(43)【公表日】2016年4月11日
(86)【国際出願番号】US2014016542
(87)【国際公開番号】WO2014149276
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年9月15日
(31)【優先権主張番号】61/788,268
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511126109
【氏名又は名称】メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】バーネル ジェフリー
【審査官】 小岩 智明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0178684(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0061698(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0006226(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0006554(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0278546(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0261290(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0256501(US,A1)
【文献】 特開2001−353226(JP,A)
【文献】 特開2013−247974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00,25/09,39/08
A61B 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長いシャフトを有する医療器具を保持するためのパッケージであって、
前記医療器具の細長いシャフトを受け入れるように構成された螺旋内腔を規定するブロー成形ワンピース本体であって、ウェビングと、該ウェビングに対して第1の方向に隆起した上側螺旋リブと、該ウェビングに対して反対の第2の方向に隆起した下側螺旋リブとを有するブロー成形ワンピース本体を備え、
前記上側及び下側螺旋リブは、前記螺旋内腔が内部に構成される螺旋ケーシングを協働して形成し、前記ウェビングが前記螺旋ケーシングの隣接する湾曲部分の間を延びる、
ことを特徴とするパッケージ。
【請求項2】
前記螺旋ケーシングは、第1の端部及び第2の端部を有し、
前記ワンピース本体は、装填チューブを前記螺旋ケーシングの前記第2の端部に有し、前記装填チューブは、前記医療器具の遠位端部分を受け入れるように構成された内腔を構成し、
前記装填チューブの前記内腔は、前記ワンピース本体の前記螺旋内腔と流体連通している、
請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記装填チューブは、取り外し可能であり、前記装填チューブの第1の端部が前記螺旋ケーシングの前記第2の端部の上に配置される第1の構成と、前記装填チューブの第2の端部が前記螺旋ケーシングの前記第2の端部内に挿入される第2の構成との間で選択的に交替するように構成されている、
請求項2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記装填チューブの内腔は、前記螺旋ケーシングの螺旋内腔と異なる断面形状を有している、
請求項2に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記装填チューブの前記内腔の断面形状が、その長さに沿って変化している、
請求項2に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記ワンピース本体は、前記螺旋ケーシングの第1の端部に形成されたルアー保持器を更に含み、前記ルアー保持器は、前記医療器具の近位ルアー継手を受け入れるように構成された開口部を構成している、
請求項2に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記螺旋ケーシングは、第1の螺旋ケーシングであり、前記ワンピース本体は、第2の医療器具の細長いシャフトを受け入れるように構成された第2の螺旋内腔を規定する第2の螺旋ケーシングを更に含む、
請求項1に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記第2の螺旋ケーシングは、前記第1の螺旋ケーシング内に入れ子状に配置される、 請求項7に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記ワンピース本体の螺旋内腔は、その長さの少なくとも一部分に沿って非円形断面を有している、
請求項1に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記螺旋ケーシングの隣接する湾曲部分が、共通平面上を延びる、
請求項1に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記ワンピース本体は、前記細長医療器具との併用のためのカニューレを受け入れるように構成された開口部を規定するカニューレホルダと、情報カードを取り付けるために前記ウェビングを通して形成された少なくとも1つのスロットと、前記医療器具をクリップ留めするために該ウェビング上に形成されたファスナと、酸素捕捉剤をクリップ留めするための区画の少なくとも1つを更に備えている、
請求項1に記載のパッケージ。
【請求項12】
細長いシャフトと近位ルアー継手とを有する医療器具を保持するためのパッケージであって、
ワンピース本体を備え、前記ワンピース本体は、
前記ワンピース本体に形成された螺旋ケーシングであって、前記医療器具の細長いシャフトを受け入れるように構成された螺旋内腔を規定し、ウェビングが、前記螺旋ケーシングの隣接する湾曲部分の間に配置される螺旋ケーシングと、
前記螺旋ケーシングの第1の端部に形成されたルアー保持器であって、前記医療器具の近位ルアー継手を受け入れるように構成された開口部を規定するルアー保持器と、
前記螺旋ケーシングの第2の端部に形成された装填チューブであって、前記医療器具の遠位端部分を受け入れるように構成された内腔を構成し、前記装填チューブの内腔が、前記螺旋内腔と流体連通している装填チューブと、を備え、
前記装填チューブは、取り外し可能であり、かつ前記装填チューブの第1の端部が前記螺旋ケーシングの第2の端部の上に配置される第1の構成と、前記装填チューブの第2の端部が前記螺旋ケーシングの第2の端部内に挿入される第2の構成との間で選択的に交替するように構成される、
ことを特徴とするパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に患者の血管系のような身体内腔内への配備を意図したカテーテルに関し、より詳細にはカテーテルのためのパッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルを、様々な目的及び医療処置のために患者の血管系内に挿入し患者内の様々な場所に配備することがある。例えば、1つのタイプのカテーテルは、一般に狭窄として知られる血管の狭化の治療のための経皮カテーテル介入(PCI)で使用される。この事例では、カテーテルは、収縮状態即ち非拡大状態で狭窄部内に配置されて次いで狭化した血管内腔を拡張するように膨張即ち拡大することができる遠位に装着されたバルーンを有する。このタイプのバルーン拡張療法は、一般的に経皮的血管拡張術(PTA)と呼ばれる。治療が、特に、心臓の脈管に関する場合に、この治療は、経皮的冠動脈形成術(PTCA)として知られている。他のPCI処置では、動脈の狭小化又は再狭窄を防止するために、ステントが血管壁との接触状態に拡大される。
【0003】
例えば、図1及び図2は、患者の血管系内へのPTCA治療カテーテル16の配備を示している。患者への進入点から離れた小径の血管を治療するために、この距離にわたってガイドカテーテル10を使用することができる。ガイドカテーテル10は、一般的に患者の鼠径部の近くの太い動脈12内に挿入され、次いで、心臓Hに向けて罹患した冠動脈の進入開口部又は進入口まで進められる。ガイドカテーテル10は、治療カテーテル16及びガイドワイヤ18のようなカテーテル及びガイドワイヤを患者の外側から治療中の脈管まで通すことができる導管を提供する。一般的に、治療カテーテル16は、可撓性細長管状シャフトとルアー継手14とを含む。ある一定の介入処理に対して、治療カテーテル16は、その遠位部分に沿って配置された拡張バルーン及び/又はステントを含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで図3図4を参照すると、図3に示すように、カテーテルは、従来技術の教示に従ってパッケージ化フープ11内にパッケージ化されて格納される。パッケージ化フープ11は、治療カテーテル16を挿入する近位開口部17を有するコイル状チューブ13から構成される。チューブをコイル状構成に維持するために、チューブ13にはいくつかのクリップ15が結合される。パッケージ化フープ11の全径は、一般的に真っ直ぐな医療器具の有効格納寿命中にそのような医療器具に永続的な湾曲形状を与えることなく可能な限り小さいように選択される。過度に小さい直径のフープ11は、過剰な摩擦力を必要とする場合もあり、それによって時に医療器具の装填又は装脱中に製品損傷が引き起こされる。治療カテーテル16の近位端に配置されたルアー継手14は、治療カテーテル16が医療現場での使用のために取り出されるまで、それをパッケージ化フープ11内に固定するために、図4に示すように、チューブ13の近く開口部17内に嵌まる区域19を有する。コイル状構成でチューブ13を保持するためにクリップ15を利用することに関連付けられた1つの潜在的な問題は、クリップ15が、不適切にチューブを締め付けて又は捩れさせて治療カテーテル16の装填及び装脱を制限してしまうことなく大きな力でチューブ13を握持することができないので、パッケージが平坦のままに留まることができないことである。更に、配送中にチューブ13がクリップ15から分離する可能性がある。これに加えて、コイル状チューブ13は、典型的には、非円形プロファイルを有する押出成形チューブはプロファイルの主軸の周りに曲がる素因になるので、円形断面を有する押出成形金型から形成される。非円形断面チューブをその短軸の周りに曲がるように強制し、それによって低い高さのようなある一定の利点を有するフープ11を生成することができるが、クリップ15は、この不自然な構成でコイル状チューブ13を拘束することができない。ある一定のカテーテルデバイス構成は、押出成形チューブがチューブ13をコイル状構成で保持するのに追加のクリップ15を必要とする可能性がある大きい直径及びそれに関する高い剛性を有することを必要とする場合があり、依然として平面から抜け出して平坦に留まらない強い傾向を有する。
【0005】
コイル状チューブ13及びクリップ15に加えて、一般的に、カテーテルパッケージは、最初に治療カテーテル16を装填するのに必要な使い捨て装填チューブ(図示せず)と配送中にカテーテル16の遠位端を保護する仕上げチューブ(図示せず)とを含む追加の部品又は構成要素を含む、又は必要とする。カテーテルのためのパッケージ内には、カニューレ、カニューレホルダ、カテーテルがチューブ13から取り出された後にそれをループ状にクリップ留めするのに使用される「ルーパー」又はファスナ、乾燥剤及び酸素捕捉剤、及び/又はパッケージ及び/又はカテーテル16に関連付けられる場合がある使用説明書を含むが、これらに限定されない様々な他の付属品又は構成要素(図示せず)が含まれる場合がある。別々の構成要素の全ては、手術室の担当者が取り扱い、かつ使用することが容易な凝集されたパッケージに互いに組み立てなければならない。
【0006】
従って、現在利用可能なカテーテルパッケージの上記及び他の欠点を解消する改善されたパッケージへのニーズが本技術分野に依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書の実施形態は、細長いシャフトを含む医療器具を保持するためのパッケージに関する。パッケージは、医療器具の細長いシャフトを受け入れるように構成された螺旋内腔を規定するブロー成形ワンピース本体を含む。ワンピース本体は、ウェビングと、ウェビングに対して第1の方向に隆起した上側螺旋リブと、ウェビングに対して反対の第2の方向に隆起した第2の螺旋リブとを有する。上側螺旋リブと下側螺旋リブは、協働して内部に螺旋内腔が定められる螺旋ケーシングを形成し、ウェビングは、螺旋ケーシングの隣接する湾曲部分の間に配置される。
【0008】
本明細書の別の実施形態は、細長いシャフトと近位ルアー継手とを含む医療器具を保持するためのパッケージに関する。パッケージは、医療器具の細長いシャフトを受け入れるように構成された螺旋内腔を規定する螺旋ケーシングがその上に形成されたワンピース本体を含む。ウェビングは、螺旋ケーシングの隣接する湾曲部分の間に配置される。螺旋ケーシングの第1の端部には、医療器具の近位ルアー継手を受け入れるように構成された開口部を定めるルアー保持器が配置される。螺旋ケーシングの第2の端部には、医療器具の遠位端部分を受け入れるように構成された内腔を定める装填チューブが配置される。装填チューブの内腔は、螺旋内腔と流体連通している。
【0009】
本明細書の別の実施形態は、細長いシャフトと近位ルアーとを有する医療器具のためのパッケージをブロー成形する方法に関する。材料のパリソンがモールド内に位置決めされ、材料のパリソンは、ブロー成形されてワンピース本体を形成する。ワンピース本体は、医療器具の細長いシャフトを受け入れるように構成された螺旋内腔を定める。ワンピース本体は、ウェビングと、ウェビングに対して第1の方向に隆起した上側螺旋リブと、ウェビングに対して反対の第2の方向に隆起した第2の螺旋リブとを有する。上側螺旋リブと下側螺旋リブは、協働して内部に螺旋内腔が定められる螺旋ケーシングを形成し、ウェビングは、螺旋ケーシングの隣接する湾曲部分の間に配置される。
【0010】
本発明の上記及び他の特徴及び利点は、添付図面に示す本明細書の実施形態の以下に続く説明から明らかであろう。本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する添付図面は、本発明の原理を説明し、かつ当業者が本発明を作って使用することを可能にするのに更に役立つものである。図面は正確な縮尺のものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】患者の血管系内での治療カテーテルの配備の概略図である。
図2図1の下側部分の拡大図である。
図3】カテーテルがフープ内に部分的に挿入された状態の従来のカテーテルパッケージ化フープの斜視図である。
図4】カテーテルがフープ内に完全に挿入された状態の図3の従来のカテーテルパッケージ化フープの一部分の拡大図である。
図5】パッケージのワンピース本体がブロー成形によって形成された本発明の実施形態によるパッケージの斜視図である。
図5A図5の線A−Aに沿った断面図である。
図6図5のパッケージの上面図である。
図7図5のパッケージの側面図である。
図8】情報カードがワンピース本体に取り付けられ、カテーテルがワンピース本体内に位置決めされた場所を示す図5のパッケージの上面図である。
図9図5のパッケージを製造する方法を示す図である。
図10図5のパッケージを製造する方法を示す図である。
図11図5のパッケージの取り外し可能リバーシブル装填チューブを使用する方法を示す図である。
図12図5のパッケージの取り外し可能リバーシブル装填チューブを使用する方法を示す図である。
図13図5のパッケージの取り外し可能リバーシブル装填チューブを使用する方法を示す図である。
図14図5のパッケージの取り外し可能リバーシブル装填チューブを使用する方法を示す図である。
図15図5のパッケージの取り外し可能リバーシブル装填チューブを使用する方法を示す図である。
図16図5のパッケージの取り外し可能リバーシブル装填チューブを使用する方法を示す図である。
図17】パッケージのワンピース本体がブロー成形によって形成され、ワンピース本体の取り外し可能リバーシブル装填チューブの内腔の断面形状がその長さに沿って変化する本発明の別の実施形態によるパッケージの斜視図である。
図18】ワンピース本体の螺旋ケーシングの螺旋内腔が円形断面を有する図5のパッケージの一部分の斜視図である。
図19】医療器具の細長いシャフトが中を貫通して位置決めされていることを示す図18の螺旋ケーシングの一部分の斜視図である。
図19A図19の線A−Aに沿った断面図である。
図20】パッケージのワンピース本体がブロー成形によって形成され、ワンピース本体の螺旋ケーシングの螺旋内腔が非円形断面を有する本発明の別の実施形態によるパッケージの一部分の斜視図である。
図21】医療器具の細長いシャフトが中を貫通して位置決めされていることを示す図20の螺旋ケーシングの一部分の斜視図である。
図21A図21の線A−Aに沿った断面図である。
図22】パッケージのワンピース本体がブロー成形によって形成され、パッケージが2つの医療器具を受け入れるように構成されるように各々が螺旋内腔を定める2つの螺旋ケーシングを含む本発明の別の実施形態によるパッケージの斜視図である。
図22A図22の線A−Aに沿った断面図である。
図23】パッケージのワンピース本体がブロー成形によって形成されて一体区画を含む本発明の別の実施形態によるパッケージの斜視図である。
図24】酸素捕捉剤が一体区画内に位置決めされていることを示す図23のパッケージの斜視図である。
図25】パッケージの螺旋ケーシングが非対称螺旋リブを含む本発明の別の実施形態によるパッケージの一部分の斜視図である。
図26】パッケージが全体的に卵形又は「レーストラック」構成を有する本発明の別の実施形態によるパッケージの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで、本発明の特定の実施形態を類似の参照番号が同一か又は機能的に類似の要素を示す図を参照して説明する。以下に続く説明では「遠位」及び「近位」という用語は、治療を行っている医療関係者と基準に使用される。「遠位」又は「遠位に」は、治療者から離れた位置又は離れる方向である。「近位」及び「近位に」は、治療者に近い位置又は向う方向である。
【0013】
本明細書の実施形態は、カテーテルのためのパッケージ、又はより一般的には細長いシャフトを有する医療器具のためのパッケージに関する。パッケージは、その複数の構成要素を別個に製造して後に組み立てる必要性を排除するワンピース又は単一本体を含む。より具体的には、従来技術のカテーテルパッケージは、別個に製造されて後に互いに組み立てられたコイル状チューブ、保持クリップ、カニューレホルダ、装填チューブ、仕上げチューブ、及びルーパーのような様々な構成要素又は部品を含んでいる。本明細書の実施形態は、これらの構成要素の全てを一体的に含み、及び/又はこれらの構成要素のうちの1つ又はそれよりも多くの必要性を排除し、それによってカテーテルをパッケージ化するのに使用される別個の構成要素又は部品の個数を低減するためにブロー成形によって形成されたワンピース本体を有する。本明細書における実施形態は、主として細長管状シャフトと近位ルアー継手とを有するカテーテルを受け入れることに関して説明するが、そのようなパッケージは、ガイドワイヤ、シース、内視鏡、又はマイクロカテーテル等であるがこれらに限定されない細長いシャフトを有するあらゆるタイプの医療器具を受け入れるために使用するか、又はこれらの医療器具を受け入れるように修正することができる。ターゲット医療器具の細長いシャフトは、それを貫通する内腔を規定することができ、又は様々な断面サイズ又は形状を有する中実のものとすることができ、ターゲット医療器具は、近位ルアー継手を含んでも含まなくてもよい。更に、本明細書における実施形態がカテーテルを受け入れるのに使用される場合に、カテーテルは、あらゆるタイプのカテーテルとすることができ、その遠位端部分に治療要素、例えば、収縮状態のバルーン又は圧縮状態のステントを含んでも含まなくてもよい。例えば、本明細書の実施形態は、遠位端部分に治療要素を有する介入カテーテルに加えて、診断カテーテル又はガイドカテーテルを受け入れるために利用することができる。
【0014】
より具体的には、図5図8を参照すると、パッケージ即ちディスペンサー500は、本明細書でより詳細に説明するように、ブロー成形によって形成された単一即ちユニタリー構成要素であるワンピース本体520を含む。図5図7は、カテーテルが内部に固定されていないパッケージ500の斜視図、上面図、及び側面図をそれぞれ例示しており、それに対して図8は、治療カテーテル816及びカニューレ850が内部に完全に固定され、情報カードが固定されたパッケージ500の上面図を示している。ブロー成形ワンピース本体520は、医療器具を運送及び格納中の望ましくない移動及び潜在的な損傷から保護するために、医療器具又はカテーテルの細長いシャフトを受け入れるように構成された螺旋の通路すなわち内腔を規定している。より具体的には、図5Aの断面図に最も明瞭に示すように、ワンピース本体520は、ウェビング544と、第1即ち上側の螺旋リブ即ち側壁521と、第2即ち下側の螺旋リブ即ち側壁523とを含む。上側及び下側螺旋リブ521、523は、ウェビング544に関して反対方向に隆起する即ち延び、内部に螺旋内腔526が規定される螺旋ケーシング522を協働して形成する。ワンピース本体520は、全体的に環状即ちリング形の成形形態即ちプロファイルを有し、ウェビング544は実質的に平坦即ち平面であり、螺旋リブ521、523が、ワンピース本体520の隆起した上側及び下側の面を形成する。すなわち、ワンピース本体520の一般的な数学的形態は、平面又はアルキメデスの螺旋曲線の外側巻回を含む。螺旋ケーシング522及びウェビング544に加えて、ワンピース本体520は、ルアー保持器532と、装填チューブ536と、カニューレホルダ546と、ルーパー又はファスナ552と、ワンピース本体520に情報カードを取り付けるための複数のスロット554とを更に含む。本明細書では別個に説明するが、螺旋ケーシング522と、ルアー保持器532と、装填チューブ536と、カニューレホルダ546と、ファスナ552とは、ウェビング544を用いて一体的に形成され、それによってワンピース本体520を構成する。一般的に、ウェビング544は、ワンピース本体の他の構造、すなわち、螺旋ケーシング522、ルアー保持器532、装填チューブ536、カニューレホルダ546、及びファスナ552の間を延び、及び/又はこれらの構造を相互接続するワンピース本体520の材料を指す。パッケージ500のワンピース本体520は、ブロー成形することができるあらゆる適切な材料、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ナイロン/ポリエチレン混合物、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はこれらのいずれかの組合せから製作することができる。
【0015】
螺旋ケーシング522は、上述のように、ウェビング544から反対方向に隆起する即ち延びる上側及び下側螺旋リブ521、523によって形成される。この実施形態において、上側及び下側螺旋リブ521、523の各々は、螺旋内腔526が円形断面を有するように半円形断面を有するが、対向する上側及び下側螺旋リブは、螺旋内腔を本明細書で詳細に説明するような非円形断面形状を有するように構成することができるような他の構成を有することができる。更に、上側螺旋リブ521と下側螺旋リブ523が同じ構成を有することは必要ではない。螺旋ケーシング522を対称な上側螺旋リブ521と下側螺旋リブ523を有するように示すが、本明細書に説明するようにブロー成形によって形成される螺旋ケーシングは、本明細書の他の実施形態による非対称の上側螺旋リブと下側螺旋リブを有することができる。例えば、図25は、非対称な上側螺旋リブ2521と下側螺旋リブ2523を有する螺旋ケーシング2522を有するパッケージ2500の一部分の概略図を示している。上側螺旋リブ2521は、半円形断面を有し、それに対して下側螺旋リブ2523は、実質的に平坦即ち平面である。従って、リブ2521、2523によって協働して規定される螺旋内腔2526は、半円形断面を有する。他の非対称リブ構成も可能である。
【0016】
螺旋ケーシング522は、第1の端部528と第2の端部530を有する。螺旋ケーシング522は、パッケージ500の仮想中心点Cpの周りに渦を巻くように形成された複数の巻回即ち湾曲部分524を含む。螺旋ケーシング522は、湾曲部分524がパッケージ500の中心点Cpの周りに円を形成して全体的に環状又はリング形の成形形態又はプロファイルを有するが、本明細書に説明するようにブロー成形によって形成されるパッケージは、本明細書の他の実施形態による異なる形態又はプロファイルを有することができる。例えば、図26には、「レーストラック」又は卵形の成形形態又はプロファイルを有するパッケージ2600が示されている。いわゆる「レーストラック」形状では、ケーシング2622は、真っ直ぐで平行であり、端部において複数の湾曲部分2624によって接続された反対側部分を有するように修正されてパッケージ500、1700、2000、及び2200のケーシングと類似の1つ又はそれよりも多くの連続内腔を形成するほぼ螺旋形状のフープを有する。この構成の利点は、例えば、医療器具のうちの選択部分、例えば、遠位部分又は近位部分をケーシング2622のうちで完全に真っ直ぐな領域内に格納することができ、これらのデバイス部分が湾曲した反りを帯びる可能性が回避される。
【0017】
図5及び図5Aに最も明瞭に示すように、螺旋ケーシング522の上側及び下側螺旋リブ521、523によって形成される半径方向に隣接する湾曲部分524は、ウェビング544がこれらの湾曲部分524の間の延びる状態で若干分離して形成される。言い換えれば、ウェビング544は、隣接する湾曲部分524の間で架橋構造を形成する。この実施形態において、ウェビング544は、実質的に平坦即ち平面であり、図7の側面図に最も明瞭に示すように、螺旋ケーシング522の複数の湾曲部分524は、単一又は共通の平面上で延び、隣接する湾曲部分524の半径は、最内側湾曲部分524Aから最外側湾曲部分524Bまで増大する。しかし、ウェビングは、図25の実施形態に示すようにこれに代えて湾曲したもの又は非平面であり、この図では、ウェビング2544は、螺旋ケーシング2522の半径方向に隣接する湾曲部分2524の間で延びて湾曲したもの、又は非平面である。更に、パッケージ500内に収容される長さが異なる細長い医療器具は、螺旋ケーシング522の全径及び/又は巻回数を変更し、それによって内腔526の長さを調節することで受け入ることができる。更に、本明細書の別の実施形態(図示せず)では、螺旋ケーシングの複数の湾曲部分は、単一平面よりも多いものの上で延びることができる。用途に基づいて、螺旋ケーシングの各部分は、1つよりも多い平面内に曲げるか又は撚ることが望ましい場合がある。
【0018】
ルアー保持器532は、螺旋ケーシング522の第1の端部528に存在するようにパッケージ500上に配置即ち位置決めされる。ルアー保持器532は、螺旋内腔526と流体連通している開口部又は内腔534を定める。ルアー保持器532は、医療器具即ちカテーテルの近位ルアー継手を受け入れるように構成される。例えば、図8には、ルアー保持器532の開口部534内に固定されたカテーテル816の近位ルアー継手814が示されている。カテーテル816のルアー継手814がパッケージ500のルアー保持器532内に固定されると、カテーテル816は、運送及び格納中の望ましくない移動及び潜在的損傷から保護される。カテーテル816は、ルアー継手814を含むが、当業者には、近位ルアー継手を含まない細長いシャフトを有するカテーテル又は他の医療器具を受け入れるようにパッケージ500を修正することができることが解る。
【0019】
装填チューブ536は、螺旋ケーシング522の第2の端部530に配置即ち位置決めされる。装填チューブ536は、図5に仮想線で指示され、螺旋内腔526と流体連通している内腔538を規定する管状即ちスリーブ状の構造を有する。装填チューブ536は、医療器具又はカテーテルの遠位端部分、例えば、収縮状態のバルーン又は圧縮状態のステントを受け入れるように構成される。本明細書の実施形態における図11図16に関して本明細書でより詳細に説明するように、本明細書の実施形態による装填チューブ536は、別個の最終仕上げチューブの必要性を排除するために取り外し可能かつリバーシブルであるように一体的に形成される。リバーシブル装填チューブ536は、運送及び格納中の望ましくない移動及び潜在的な損傷からカテーテルの遠位端部分を保護するように機能する。本明細書では、装填チューブ536を使用するパッケージ500を説明するが、当業者には、装填チューブ536を必要とする遠位端部分を含まない細長いシャフトを有するカテーテル又は他の医療器具を受け入れるようにパッケージ500を修正することができることが解る。
【0020】
図6に示すように、ワンピース本体520は、カテーテルとの併用に向けて、図8に示すカニューレ850のようなカニューレを受け入れるように構成された開口部548を規定するカニューレホルダ546と、カテーテルをパッケージ500から取り出した後にコイル状構成でカテーテルをクリップ留めして、カテーテルが使用中に縺れるのを防ぐために使用されるファスナ552とを含む。更に、図8に示す情報カード856のような情報カードをパッケージ500に取り付けるために、ウェビング544の材料を貫通する1又は2以上の切れ目又はスロット554を形成することができる。より具体的には、情報カード856は、スロット554を貫通して延びて情報カードをワンピース本体520に結合する1又は2以上の一体タブ(図示せず)を含むことができる。情報カードは、パッケージ500及び/又はその中に固定される医療器具の識別情報、運送、格納、又は使用に関するいずれかの情報を含むことができる。図5図7に図示の実施形態において、パッケージ500は、情報カードを取り付けるための5つのスロット554を含むが、当業者には、あらゆる個数のスロットを有するパッケージ500を形成することができることが解る。代替実施形態(図示せず)では、タブとスロットの配置を反転させることができ、それによってウェビング544上に1又は2以上の突出部(例えば、きのこ形状、隆起ボタン等)を形成することができ、情報カード856は、突出部内に係合及び係止するようにサイズ決定しかつそのように成形された1は又は2以上の開口部を有することができる。
【0021】
パッケージ500をブロー成形によって形成することにより、そのワンピース本体520は、螺旋ケーシング522と、ルアー保持器532と、装填チューブ536と、カニューレホルダ546と、ファスナ552とを一体的に含み、部品全数及び全コストの低減が可能になる。また、パッケージ500は、螺旋ケーシング522の隣接する湾曲部分524が共通の単一平面上で延び、これらの隣接する湾曲部分を相互接続するためにこれらの間にウェビング544が一体的に形成されるので、パッケージ500の容易な搬送及び格納に向けて平坦に横たわる剛性のワンピース構成要素として有利に形成される。更に、隣接する湾曲部分524が、ウェビング544の少なくとも一部分を通して互いに接続されたものとして一体的に形成されると、コイル状チューブの巻線を互いに保持するのに、図1に示すもののような保持クリップが必要とされない。
【0022】
ここで、パッケージ500を製造又はブロー成形する方法を図9図10に関してより詳細に以下に説明する。ブロー成形は、中空の熱可塑性部品を形成する製造工程である。ブロー成形工程に導入される前に、ポリマー成形可能材料から、パリソン又はプリフォーム(図示せず)が形成される。プリフォームは、圧縮空気が通過することができる穴又は狭路を一端内に有する管状形状を有することができる。望ましい構成又は形状の内部キャビティを有する分割モールドが、パリソンの周りで閉じられる。次いで、パリソンに加圧空気が供給され、それによってポリマー材料は外向きに膨張するか又は押し進み、モールドの内部キャビティの形状と共形になるか又は適合する。加圧空気は、100psiと150psiの範囲の圧力を有することができ、一実施形態では約125psiである。次いで、ブロー成形される構成要素は、冷まされて形状が固められ、その後に、モールドが開かれ、そこからブロー成形構成要素が取り出される。
【0023】
図9は、上述のブロー成形工程によって形成されたワンピースブロー成形物品960を示している。ブロー成形物品960は、複数の湾曲部分924を有する螺旋ケーシング922と、ルアー保持器932と、装填チューブ936と、ウェビング944とを含む点でワンピース本体520と同様である。しかし、パッケージ500のワンピース本体520とは異なり、ブロー成形物品960は、形成されたカニューレホルダをまだ含まず、その代わりにルアー保持器932の内腔と流体連通している通気路又はチャネル964を含む。更に、パッケージ500のワンピース本体520とは異なり、ウェビング944は、湾曲部分924内に一杯か又は接続された中心領域962を形成し、形成されたルーパー又は複数のスロットをまだ含まない。ブロー成形物品960は、ウェビング944の中心領域962が螺旋ケーシング922によって囲まれた状態で全体的に円形の成形形態又は成形形状を有する。更に、パッケージ500のワンピース本体520とは異なり、ブロー成形物品960の装填チューブ936は、この製造段階では螺旋ケーシング922に接合又は一体的に接続される。
【0024】
図9及び図10を参照すると、1つ又は2以上の2次的ダイ切断段階が、ブロー成形物品960をパッケージ500のワンピース本体520に変容させる。より具体的には、ダイ切断段階は、ブロー成形物品960の一部分を除去してチャネル964をルアー保持器932の内腔から分離し、それによってパッケージ500のカニューレホルダ546及びルアー保持器532を形成又は生成する。更に、ダイ切断段階は、ファスナ又は「ルーパー」552及びブロー成形物品960のウェビング944の中心領域962に情報カードを取り付けるためのスロット554を形成又は生成するために、この中心領域962の各部分、並びにウェビング944の他の部分を選択的に除去する。更に、ダイ切断段階は、一体的に形成された装填チューブ936を螺旋ケーシング922から分離し、それによってパッケージ500の取り外し可能リバーシブル装填チューブ536を生成する。ブロー成形物品960の他のトリミング除去されるスクラップ部分とは異なり、装填チューブ536は、以下により詳細に説明するように、機能的有利性を有する。本明細書に説明するダイ切断段階は、単一ダイ切断段階において同時に実施することができ、又は2以上の段階を有する切断作業において逐次実施することができる。更に、当業者には以下で理解されるであろうが、ブロー成形物品960の材料を除去するのに、押抜き、ピンチオフ、トリミング、ウォータージェット切断、レーザ切断、及び成形物品を除去又は成形するための当業技術で公知の他の方法を含むが、これらに限定されず、ダイ切断に対する代替方法を使用することもできる。
【0025】
ここで図11図16を参照して、取り外し可能リバーシブル装填チューブ536に関してより詳細に以下に説明する。本明細書の実施形態において、図9及び図10に関して上述したように、リバーシブル装填チューブ536は、螺旋ケーシング522から切り離された後、大きい第1の端部540と小さい第2の端部542を有する。図13を参照されたい。装填チューブ536の大きい第1の端部540は、図11に示す第1の構成において、螺旋ケーシング522の第2の端部530の上に摺動又は締まり嵌めを有するような寸法形状の内径を有する。小さい第2の端部542は、図16に示す第2の構成において、螺旋ケーシング522の第2の端部530内への摺動又は締まり嵌めを有するような寸法形状の外径を有する。従って、リバーシブル装填チューブ536は、第1の構成と第2の構成の間で選択的に交替するように構成される。
【0026】
第1の構成では、カテーテルは、その遠位端部分が装填チューブ536内に位置決めされるまで螺旋ケーシング522の湾曲部分524を通して装填することができる。装填チューブ536の大きい第1の端部540は、螺旋ケーシング522の上に配置されるので、カテーテルのバルーンは、装填チューブ536の第1の端部540の縁部の上を横切る必要はなく、横切った場合にはバルーンが損傷を受ける可能性がある。装填チューブ536は、カテーテルがパッケージ500内に装填された後に、カテーテルの遠位端部分を保護する役割ももたらす。第1の構成では、カテーテルがパッケージ内に装填された後に、カテーテルの遠位端上でいずれかの2次的作業を実施することを可能にするために、任意的にリバーシブル装填チューブ536を除去することができる。そのような2次的作業は、カテーテルの遠位端の上に配置されたステントの圧着段階、カテーテルのバルーン上に薬品コーティングを付加する段階、又はカテーテルの遠位部分に対するいずれかの形成後作業を含むことができるが、これらに限定されない。
【0027】
装填チューブ536が除去された後に、カテーテルの遠位端部分の上にステントを位置決めし、当業者によって理解されるように、送出構成に収縮、又は他に押圧することができる。次いで、装填チューブ536は、図16に示すように、装填チューブ536の小さい第2の端部542が、螺旋ケーシング522の第2の端部530内に挿入される反転構成即ち第2の構成で、収縮されたステントの上に再度位置決めされる。装填チューブ536は、その第2の構成において、更に別の処理、運送、及び格納中に収縮されたステント及びカテーテルの遠位端部分を保護するように機能する。更に、装填チューブ536は、その第2の構成において、カテーテルがパッケージ500から取り出される時に、圧着されたステント及びカテーテルの遠位端部分の滑らかな引き戻しを可能にする。装填チューブ536の小さい第2の端部542は、螺旋ケーシング522内に位置決めされるので、カテーテルが取り出される時に、バルーン及び収縮されたステントは、螺旋ケーシング522の第2の端部530の縁部の上を横切るか又は引きずることはない。
【0028】
装填チューブ536がその第2の構成にあるとき、装填チューブ536の大きい第1の端部540はもはや必要とされず、除去して廃棄することができる。図13図14に示すように、装填チューブ536は、大きい第1の端部540を容易に除去できるように、装填チューブ536の残りの部分から大きい第1の端部540を引剥がすことを可能にするノッチ又は穿孔のような脆弱区域1370を含むことができる。図15は、大きい第1の端部540が引剥がされ、又は除去された後、大きい第1の端部540が取付けられていない装填チューブ536を示している。大きい第1の端部540を除去及び廃棄することによってパッケージ500の厚みが最小にされる。
【0029】
本明細書の別の実施形態において、ワンピース本体520の1つ又はそれよりも多くの構造は、ブロー成形ではなくオーバーモールドによって形成することができる。例えば、本明細書の別の実施形態において、最初にブロー成形工程によって形成されたブロー成形物品960は、螺旋ケーシングと、装填チューブと、ウェビングとを一体的に含むことができる。ルアー保持器及び/又はカニューレホルダは、ブロー成形物品960の螺旋ケーシングの最外側端部で後にオーバーモールドすることができる。得られるオーバーモールドされたルアー保持器及び/又はカニューレホルダを有するパッケージは、パッケージの全ての構造が一体化され、それによって単一又はユニタリー本体又はパッケージ構成要素を形成する点でパッケージ500と類似であると考えられる。しかし、オーバーモールドされたルアー保持器及び/又はカニューレホルダを有するパッケージを形成するための工程は、追加の成形段階を必要とする。本明細書の実施形態において、オーバーモールドされたルアー保持器及び/又はカニューレホルダは、ブロー成形物品とは異なる材料を用いて形成することができる。別の実施形態において、オーバーモールドされたルアー保持器及び/又はカニューレホルダは、ブロー成形物品と同じ材料を用いて形成することができるが、ルアー保持器及び/又はカニューレホルダの特定の形状又は構成に起因してオーバーモールドが利用される場合がある。
【0030】
これに代えて、ブロー成形物品960は、材料特性の有利な組合せを与えるために、共押出成形されたパリソンから共成形することができる。例えば、一方の材料を硬質で強靱なものとすることができ、それに対して他方の材料は高い可撓性を有する。共押出成形されたパリソン又はプリフォームは、同軸層、逐次共押出成形、又はストライプ押出成形、例えば、並列配置で組み合わされた2つ又はそれよりも多くの異なる熱可塑性材料を含むことができる。これらの材料特性は、同じフープ内の異なるパッケージ化要件に役立つことができる。別の例では、1つの材料が、感光性を有する製品の区域に対する遮光壁として機能し、同時に透明材料が、ルアー継手上のバーコードを走査することを可能にする。
【0031】
単一又はユニタリー構成要素として形成されることに加えて、ブロー成形によってパッケージ500を構成することでもたらされるいくつかの他の利点がある。押出成形によって形成されるコイル状チューブを有する従来技術のカテーテルパッケージに関しては、パッケージ構成要素の特徴及び複雑さが、これらの構成要素の製造、組み立て、コスト、市場投入までの時間、及び剛性に大きく影響を及ぼす。例えば、押出成形によって形成されたコイル状チューブを有するパッケージは、一定半径の円形断面しかもたらさない。しかし、複合単体ブロー成形ディスペンサーは、有意なコスト、オーバーヘッド、リードタイム、及び構造的影響なしに構成して生成することができる。そのような設計の変形は、ブロー成形工程に対して利用されるモールドの形状を変更することによって容易に達成することができる。例えば、ブロー成形カテーテルパッケージは、複数のカテーテル又は他の細長医療器具を受け入れるために複数の螺旋内腔又は通路を組み込むことができ、非円形内腔及び/又は長さに沿って変化するサイズ又は断面形状を有する内腔を有するように形成することができる。
【0032】
図17は、本明細書の別の実施形態によるパッケージ1700の斜視図である。パッケージ1700は、ブロー成形によって形成されたワンピース本体1720を含む。ワンピース本体1720は、長さに沿って変化する断面形状を有する装填チューブ1736を含むことを除いて、上述のワンピース本体520と同様である。より具体的には、装填チューブ1736は、第1の端部1740において円形断面を有し、第2の端部1742において円形断面を有する。しかし、装填チューブ1736の中間部分1741は、カテーテルの遠位端部分をより確実に受け入れるために円形断面ではなく卵形又は長円形を有する。より具体的には、装填チューブの中間部分に沿ってその断面を広くすることによって、カテーテルの装填及び取り出し中のカテーテル上での引きずり摩擦が低減し、更に、必要とされる挿入力が低下し、それによって装填中のカテーテルの潜在的な捩れが防止される。更に、装填チューブの中間部分に沿った広い断面は、装填チューブ自体が格納状態で若干湾曲する場合であっても、カテーテルの遠位端が棚格納に向けて真っ直ぐになることを可能にすることができる。これに代えて、カテーテルの遠位端は、拘束された真っ直ぐな形状で格納されるのではなく、中間部分1741内で事前形成された螺旋形状に少なくとも部分的に弛緩することができる。このように装填チューブ1736によって定められる内腔又は通路1738の形状又はプロファイルは、その長さに沿って変化する。第1の端部1740と中間部分1741の間の遷移区域、及び中間部分1741と第2の端部1742の間の遷移区域は、平滑かつ先細りに形成することができる。取りわけ、それ自体の長さに沿って変化するのに加えて、装填チューブ1736の中間部分1741の長円形断面は、この実施形態では円形断面を有する螺旋ケーシング1722の湾曲部分1724によって形成される螺旋内腔1726の断面形状とは異なる断面形状である。
【0033】
装填チューブの内腔プロファイルを変化させることに加えて、非円形断面を有する螺旋ケーシングを有するパッケージは、本明細書の実施形態に従ってブロー成形することができる。図18図19、及び図19Aは、パッケージ500の一部分を示している。上述のように、螺旋ケーシング522の湾曲部分524は、螺旋内腔526を形成する。螺旋内腔526は、図5Aに関して上述し、更に図18の斜視図に示すように円形断面を有する。カテーテル1816が、図19に示すように内腔526の円形断面内に位置決めされる時には、カテーテル1816の通過は、内腔526の円形断面の全容積のうちの約45%しか必要としない。それとは逆に、内腔526の円形断面の全容積のうちの約55%は、カテーテル1816がその中を貫通することを可能にするのに必要とされない。図19及び図19Aは、内腔526の中心にある要求されるか又は必要な領域1770と、2つの不要な側部領域1772とを示している。内腔526の円形断面の各側にある不要領域1772は、カテーテル1816又はパッケージ500の性能に影響を及ぼすことなく排除することができる。上記を踏まえて、図20図21、及び図21Aは、本明細書の別の実施形態によるパッケージ2000の一部分を示している。パッケージ2000は、ブロー成形によって形成されたワンピース本体2020を含む。ワンピース本体2020は、図20の斜視図に最も明瞭に示すように、非円形断面を有する螺旋内腔2026を定める複数の湾曲部分2024を有する螺旋ケーシング2022を含むことを除いて、上述のワンピース本体520と同様である。カテーテル2116が、図21及び図21Aに示すように内腔2026の卵形又は長円形断面内に位置決めされる時には、カテーテル2116の通過は、必要領域2170に示すように、長円形内腔2026の全容積の実質的に全てを必要とする。
【0034】
螺旋ケーシング2022の長円形断面は、材料の節約、コストの節約、サイズ及び重量の低減、及び高いパッケージ剛性を含むが、これらに限定されないいくつかの利点を有する。より具体的には、カテーテルの遠位端部分に結合されたステント又はバルーンが螺旋ケーシングを通過するときに、これらが曲がらず、すなわち、ケーシングの湾曲部又は曲げ部を通過するときに実質的に真っ直ぐな状態に留まる。この場合に、ケーシングの断面は、実質的に真っ直ぐなステント又はバルーンの通過を可能にする曲げ半径又は巻回半径を有するべきである。円形断面を有する螺旋ケーシングの場合に、ステント又はバルーンの長さに基づいて、十分な曲げ半径又は巻回半径を有するケーシングを与えるために、ケーシングの断面直径を増大させることを必要とする場合がある。しかし、断面直径を増大させることにより、螺旋ケーシングの高い材料コスト、並びに大きいサイズ及び重い重量がもたらされる。しかし、円形断面を有するパッケージ又はケーシングと比較すると、螺旋ケーシング2022の長円形断面は、軸線方向に同じ寸法を有しながら半径方向に幅広にすることができる。螺旋ケーシング2022の長円形断面の幅広の半径寸法は、大きい円形断面を有するケーシングの高い材料コスト、大きいサイズ、及び重い重量を必要とすることなく、螺旋ケーシングの湾曲部分に大きいか又は増大した曲げ半径又は巻回半径を与える。パッケージのサイズ及び重量を低減することにより、搬送コストの節約が更にもたらされ、薄いパッケージは、同じ顧客棚スペース内に追加の在庫品を格納することを可能にする。
【0035】
別の実施形態において、ブロー成形パッケージが、2つのカテーテル又は他の細長医療器具の各々をそれ独自の専用内腔内に受け入れるように構成されるように、各々が螺旋内腔を定める2つの螺旋ケーシングを有するユニタリー又は単体パッケージをブロー成形することができる。例えば、図22及び図22Aは、本明細書の別の実施形態によるパッケージ2200を示している。パッケージ2200は、ブロー成形によって形成されたワンピース本体2220が、各々がそれぞれの螺旋内腔2226A、2226Bを定める複数の湾曲部分2224A、2224Bを有する2つの螺旋ケーシング2222A、2222Bを含むことを除いて、上述のワンピース本体520と同様である。螺旋ケーシング2222Bの湾曲部分2224Bは、螺旋ケーシング2222Aの湾曲部分2224A内に入れ子にされるか又はこれらの湾曲部分2224Aの間に挟まれる。この実施形態において、図22Aの断面図に最も明瞭に示すように、各螺旋内腔2226A、2226Bの断面は卵形である。ワンピース本体2220は、2つのルアー保持器2232A、2232Bを更に含む。従って、パッケージ2200は、2つのカテーテル又は他の細長医療器具の各々をその独自の専用内腔内に固定するように構成される。これに代えて、パッケージ2200の二重螺旋内腔は、螺旋内腔の一方が空の状態でパッケージ2200を出荷し、後の手順中に支持ツールを格納して取り出すためにこの内腔を利用するという他の用途に利用することができる。
【0036】
パッケージ2200はまた、本明細書に説明するあらゆる実施形態内に組み込むことができる別の特徴を含む。パッケージ2200の螺旋ケーシング2222Aは、不連続部分2266を含む。不連続部分2266は、ユーザが、螺旋ケーシング内に格納されたデバイスにアクセスし、デバイスを装填及び/又は取り出すのを助けることを可能にする。例えば、近位ルアーを持たないガイドワイヤ(図示せず)又は他の細長いデバイスを螺旋ケーシング2222A内に格納することができる。ガイドワイヤは、ユーザが把持するための近位ルアーを持たないので、ガイドワイヤを螺旋ケーシング2222Aから取り出すのはユーザにとって困難である場合がある。不連続部分2266は、ユーザがガイドワイヤの中間長さの場所を把持し、それを螺旋ケーシング2222Aの外に進めることを可能にする。
【0037】
ブロー成形によって形成されるカテーテルパッケージは、ブロー成形工程に対して利用されるモールドの形状を変更することにより、様々な他の一体化アクセサリ要素を含むように修正することができる。例えば、本明細書の別の実施形態において、カテーテルパッケージは、酸素捕捉剤及び/又は水分捕捉剤を保持するためのブロー成形一体区画を含む。図23は、酸素捕捉剤が内部に固定されていない状態で形成されたパッケージ2300の斜視図を示しており、それに対して図24は、酸素捕捉剤2455がパッケージの区画2358内に完全に固定された状態のパッケージ2300の斜視図を示している。パッケージ2300は、ブロー成形によって形成されたワンピース本体2320を含み、これは、酸素捕捉剤及び/又は水分捕捉剤2455を保持するための一体区画2358を含むことを除いて、上述のワンピース本体520と類似である。図23及び図24に示すように、区画2358の第1の部分又は半分2357は、区画2358の第2の部分又は半分2359の上に折り畳まれ、酸素捕捉剤2455がこの区画の2つの部分又は半分2357、2359の間に定められる内側容積内に固定されるように構成される。区画2358の2つの部分又は半分2357、2359は、図9図10及びパッケージ500に関して上述したように、ブロー成形及びダイ切断によってパッケージ2300の他の構造と同時に形成される。酸素捕捉剤2455との併用に関して示しているが、区画2358は、パッケージ2300及び/又はその中に受け取られるカテーテルと併用される他の付属品を保持又は受け入れるために使用することができる。例えば、区画2358は、パッケージ2300及び/又はその中に受け取られるカテーテルとの併用のための液体材料又は乾燥した粒状材料を保持するように構成することができる。区画2358は、その中にいずれかの構成要素又は付属品が装填された後に、手動で閉じることができ、又は機械的又は熱的に密封することができる。更に、1つの区画のみを有するパッケージ2300を示しているが、パッケージ2300及び/又はその中に受け取られるカテーテルとの併用のための複数の付属品を保持するための複数の区画を有するパッケージを形成することができる。
【0038】
本発明による様々な実施形態を上述したが、これらの実施形態は、限定ではなく、単に例示及び実施例として提供したものであることを理解しなければならない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な形態変更及び詳細変更を加えることができることは当業者に明らかであろう。従って、本発明の広さ及び範囲は、上述の例示的実施形態のいずれによっても限定すべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物に則してのみ定めなければならない。本明細書で解説した各実施形態の各特徴及び本明細書で引用した各参考文献の各特徴は、いずれかの他の実施形態の特徴との組合せで使用することができることも理解されるであろう。本明細書で解説した全ての特許及び文献は、その全体が引用によって本明細書に組み込まれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図19A
図20
図21
図21A
図22
図22A
図23
図24
図25
図26