特許第5972497号(P5972497)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5972497受電器の温度制御を伴う無線誘導電力伝送
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972497
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】受電器の温度制御を伴う無線誘導電力伝送
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/10 20160101AFI20160804BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20160804BHJP
   H04B 5/02 20060101ALI20160804BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20160804BHJP
【FI】
   H02J50/10
   H02J50/80
   H04B5/02
   H02M7/48 E
【請求項の数】18
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-505861(P2016-505861)
(86)(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公表番号】特表2016-516392(P2016-516392A)
(43)【公表日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】EP2014064879
(87)【国際公開番号】WO2015007624
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2015年9月30日
(31)【優先権主張番号】13176841.8
(32)【優先日】2013年7月17日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】ファン ワヘニンヘン アンドリース
(72)【発明者】
【氏名】スターリンフ アントニウス アドリアーン マリア
(72)【発明者】
【氏名】カブラウ ヨハネス ヘラルドス フレデリクス
(72)【発明者】
【氏名】エッテス ウィルヘルムス ヘラルドス マリア
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/086064(WO,A1)
【文献】 特開2004−227804(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/010375(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0223590(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/10
H02J 50/80
H02M 7/48
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電器と受電器を含む無線電力伝送システムであって、前記送電器は前記受電器に給電するために無線誘導電力伝送信号を生成するように構成され、前記無線電力伝送システムは、
被給電デバイスの第一の部分の第一の温度を受信するための受信器であって、前記被給電デバイスは前記電力伝送信号からの電力によって加熱されるように構成される加熱部を有し、前記第一の部分は前記送電器と接触するための前記被給電デバイスの接触面である、受信器と、
前記受電器を受けるための前記送電器の面の最大許容接触温度を示す第一の基準温度、前記第一の温度を比較するための比較器と、
前記第一の温度が前記第一の基準温度を超えることに応じて、前記電力伝送信号の電力を制限すること及びユーザ警告を生成することの少なくとも一つを実行するためのコントローラとを有し、
前記受電器は、
前記被給電デバイスの加熱部の第二の温度を決定するための第一の温度センサと、
電力伝送中に前記送電器へ前記電力伝送信号の電力レベル変化を要求するための電力制御ループフィードバックメッセージを送信するための送信器と、
前記第二の温度に応じて前記電力制御ループフィードバックメッセージのための電力変更要求を生成するための電力コントローラとを有する、
無線電力伝送システム。
【請求項2】
前記受電器が前記第一の温度を測定するように構成される第二の温度センサを有する、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項3】
前記第一の温度が前記接触面の所定最大温度である、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記第一の温度が前記第一の基準温度を超えることに応じて前記電力伝送信号の電力を制限するように構成される、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記第一の温度が前記第一の基準温度を超えることに応じて前記ユーザ警告を生成するように構成される、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項6】
前記第一の部分が前記加熱部と異なる前記被給電デバイスの部分である、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項7】
前記受信器、前記比較器及び前記コントローラが前記送電器に含まれる、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項8】
前記受信器が前記受電器から前記第一の温度を受信するように構成される、請求項7に記載の無線電力伝送システム。
【請求項9】
前記コントローラが、前記受信器が前記受電器から前記第一の温度を受信しないことに応じて前記電力伝送信号の電力を制限するか若しくはユーザ警告を生成するように構成される、請求項8に記載の無線電力伝送システム。
【請求項10】
前記送電器が、前記第一の基準温度を超える前記第一の温度の検出の表示を前記受電器へ送信するように構成される、請求項7に記載の無線電力伝送システム。
【請求項11】
第二の送電器と、
前記第二の送電器によって給電される第二の受電器によって給電される第二の被給電デバイスの一部の第二の温度を受信するための第二の受信器と、
前記第二の送電器と関連する第二の基準温度前記第二の温度を比較するための第二の比較器と、
前記第二の温度が前記第二の基準温度を超えることに応じて、前記第二の送電器の電力伝送信号の電力を制限すること及びユーザ警告を生成することの少なくとも一つを実行するための第二のコントローラとをさらに有し、
前記第二の基準温度は前記第一の基準温度と異なる、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【請求項12】
受電器に給電するために無線誘導電力伝送信号を生成するように構成される送電器を含む無線電力伝送システムのための当該受電器であって、
被給電デバイスの第一の部分の第一の温度を受信するための受信器であって、前記被給電デバイスは前記電力伝送信号からの電力によって加熱されるように構成される加熱部を有し、前記第一の部分は前記送電器と接触するための前記被給電デバイスの接触面である、受信器と、
前記受電器を受けるための前記送電器の面の最大許容接触温度を示す第一の基準温度、前記第一の温度を比較するための比較器と、
前記第一の温度が前記第一の基準温度を超えることに応じて、前記電力伝送信号の電力を制限すること及びユーザ警告を生成することの少なくとも一つを実行するためのコントローラと、
前記被給電デバイスの加熱部の第二の温度を決定するための第一の温度センサと、
電力伝送中に前記送電器へ前記電力伝送信号の電力レベル変化を要求するための電力制御ループフィードバックメッセージを送信するための送信器と、
前記第二の温度に応じて前記電力制御ループフィードバックメッセージのための電力変更要求を生成するための電力コントローラと
を有する、受電器。
【請求項13】
前記コントローラが、前記第一の温度が前記第一の基準温度を超えることに応じて前記電力制御ループフィードバックメッセージのための電力低下要求を生成するように構成される、請求項12に記載の受電器。
【請求項14】
前記送電器から前記第一の基準温度を受信するための基準温度受信器をさらに有する、請求項12に記載の受電器。
【請求項15】
前記比較器が、前記送電器から受信される前記第一の基準温度がない場合に、前記第一の基準温度を所定値に設定するように構成される、請求項14に記載の受電器。
【請求項16】
前記加熱部が前記電力伝送信号からの誘導によって加熱されるように構成される誘導加熱素子である、請求項12に記載の受電器。
【請求項17】
送電器と受電器を含む無線電力伝送システムのための動作方法であって、前記送電器は前記受電器に給電するために無線誘導電力伝送信号を生成するように構成され、当該方法は、
被給電デバイスの第一の部分の第一の温度を受信するステップであって、前記被給電デバイスは前記電力伝送信号からの電力によって加熱される加熱部を有する、ステップと、
前記受電器を受けるための前記送電器の面の最大許容接触温度を示す第一の基準温度測定温度を比較するステップと、
前記第一の温度が前記第一の基準温度を超えることに応じて、前記電力伝送信号の電力を制限するステップ及びユーザ警告を生成するステップの少なくとも一つと、
前記受電器の温度センサが、前記被給電デバイスの加熱部の第二の温度を決定するステップと、
前記受電器が電力伝送中に前記送電器へ前記電力伝送信号の電力レベル変化を要求するための電力制御ループフィードバックメッセージを送信するステップと、
前記受電器が前記第二の温度に応じて前記電力制御ループフィードバックメッセージのための電力変更要求を生成するステップと
を有する、動作方法。
【請求項18】
前記加熱部が前記電力伝送信号からの誘導によって加熱されるように構成される誘導加熱素子である、請求項1に記載の無線電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は誘導電力伝送に関し、特に、限定されないが、Qi無線電力伝送規格対応の誘導電力伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くのシステムはデバイスに電力を供給するために配線及び/又は電気接点を要する。これらの配線と接点を省くことは改善されたユーザ経験を提供する。従来、これはデバイス内にあるバッテリを用いて達成されていたが、このアプローチは余分な重量、かさ、頻繁にバッテリを交換若しくは充電する必要性を含む多数の欠点を持つ。近年、無線誘導電力伝送を用いるアプローチへの関心が高まっている。
【0003】
この高まる関心の一部は、この10年で爆発的に広がっている多数の様々なポータブル及びモバイルデバイスに起因する。例えば、携帯電話、タブレット、メディアプレーヤなどの使用は当たり前になっている。こうしたデバイスは一般的に内蔵バッテリによって給電され、典型的な使用シナリオはバッテリの充電若しくは外部電源からのデバイスの直接配線給電を要することが多い。
【0004】
前述の通り、ほとんどの今日のデバイスは外部電源から給電されるために配線及び/又は明示的な電気接点を要する。しかしながら、これは非実用的な傾向があり、ユーザがコネクタを物理的に挿入するか若しくはそうでなければ物理的電気接点を確立することを要する。これはまた、ワイヤの長さを導入することによりユーザにとって不都合な傾向もある。典型的には、電力要求も著しく異なり、現在ほとんどのデバイスはその専用電源を備え、典型的なユーザは各電源が特定デバイス専用である多数の異なる電源を持つことになる。内蔵バッテリは外部電源への配線接続の必要性を防止し得るが、このアプローチはバッテリが充電(若しくは費用のかかる交換)を必要とすることになるので部分的な解決法を提供するに過ぎない。バッテリの使用はデバイスの重量を、潜在的にコストとサイズを大幅に増す可能性もある。
【0005】
著しく改善されたユーザ経験を提供するために、電力が電力伝送デバイス内の送電コイルから個々のデバイス内の受電コイルへ誘導伝送される無線電源を使用することが提案されている。
【0006】
磁気誘導を介した送電は、一次送電コイルと二次受電コイルの間に密結合を持つ変圧器において主に適用される、周知の概念である。一次送電コイルと二次受電コイルを二つのデバイス間に分離することによって、疎結合変圧器の原理に基づいてデバイス間の無線電力伝送が可能になる。
【0007】
こうした構成はいかなる配線若しくは物理的電気接点も要することなくデバイスへの無線電力伝送を可能にする。実際、これはデバイスが充電されるか若しくは外部から給電されるために送電コイルに隣接して、若しくはその上に置かれることを容易く可能にし得る。例えば、送電デバイスは水平面を備えることができ、その上にデバイスが給電されるために容易く置かれることができる。
【0008】
さらに、こうした無線電力伝送装置は送電デバイスが様々な受電デバイスと使用されることができるように都合よく設計され得る。特に、Qi規格として知られる無線電力伝送規格が規定されており、現在さらに開発が進んでいる。この規格はQi規格に適合する送電デバイスが同様にQi規格に適合する受電デバイスと使用されることを、これらが同じ製造業者のものであるか若しくは相互に専用品である必要なしに可能にする。Qi規格はさらに(例えば特定電力ドレインに依存して)動作を特定受電デバイスに適応させるための何らかの機能を含む。
【0009】
Qi規格はワイヤレスパワーコンソーシアムによって策定され、詳細は例えばそのウェブサイト:http://www.wirelesspowerconsortium.com/index.htmlで見られ、ここで特に既定の規格文書が見られる。
【0010】
無線電力伝送システムは増加する種類と数のアプリケーションで応用される。例えば、1kWを超えるまでの電力の可能性を持つ高電力アプリケーションを含むようにQi電力伝送規格を拡張する取り組みが進行中である。このような高電力性能は無線電力伝送システムがますます多くのアプリケーションにとって実用的になることにつながる。しかしながら、これはより多くの課題も導入し、特に望ましくない状況が生じるリスクを増大する。従って、望ましくない若しくは危険な可能性すらあるシナリオが生じるリスクを軽減する制御面を無線電力伝送システムに導入することが望まれる。
【0011】
例えば、ケトル、パン、ブレンダーなどと言った高電力デバイスを含む、様々なキッチン家電及びデバイスに給電するためにキッチン環境において無線電力伝送が使用され得ることが想定される。
【0012】
しかしながら、このような実施形態では、望ましくない危険なシナリオが生じないことを確実にすることを追加で考慮しなければならない。これはユーザの潜在的行動も考慮しなければならない。例えば、キッチンアプリケーションでは、加熱パン若しくはケトル用のもの、ブレンダー、ミキサーなどといった他のデバイス用のものを含む、広範な電力供給ポイントがあり得る。使用される特定のレイアウト及び材料は、美的及びデザイン嗜好を含む多数の問題によって決まる可能性があり、従って異なる部分は異なる材料などを使用し得る。
【0013】
しかしながら、ユーザは一般的にこのような態様を考慮せず、典型的にはどこにデバイスを置くことができるかに着目しない。例えば、ユーザは一部のデバイスがその電力伝送特性若しくはアプリケーションのためにワークトップの特定エリア若しくは部分に制限されるべきであることを考慮しないかもしれない。
【0014】
従って、改良された電力伝送システムが有利であり、特に改良されたユーザ経験、信頼性の増大、柔軟性の増大、実施容易化、安全性の向上及び/又は改良された性能を可能にするシステムが有利であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、本発明は好適には上述の欠点の一つ以上を単独で若しくは任意の組み合わせで軽減、緩和若しくは除去しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様によれば、送電器と受電器を含む無線電力伝送システムが提供され、送電器は受電器に給電するために無線誘導電力伝送信号を生成するように構成され、無線電力伝送システムは:被給電デバイスの第一の部分の第一の温度を受信するための受信器であって、被給電デバイスは電力伝送信号からの電力によって加熱されることができる加熱部を有し、第一の部分は送電器に接触するための被給電デバイスの接触面である、受信器と;第一の温度を第一の基準温度比較するための比較器であって、第一の基準温度は受電器を受けるための送電器の面の最大許容接触温度を示す、比較器と;第一の温度が第一の基準温度を超えることに応じて、電力伝送信号の電力を制限すること及びユーザ警告を生成することの少なくとも一つのためのコントローラとを有し、受電器は、被給電デバイスの加熱部の第二の温度を決定するための第一の温度センサと、電力伝送中に送電器へ電力伝送信号の電力レベル変化を要求するための電力制御ループフィードバックメッセージを送信するための送信器と、第二の温度に応じて電力制御ループフィードバックメッセージのための電力変更要求を生成するための電力コントローラとを有する。
【0017】
本発明は多くの実施形態において改良された無線電力伝送システムを可能にし得る。多くの実施形態において、改良されたユーザ経験が実現され得る。アプローチは多くの実施形態及びシナリオにおいてより安全な動作及び安全装置を提供し、望ましくないシナリオに対して予防若しくは軽減し得る。本発明は、様々な異なるデバイスが一つ以上の送電器によって給電され得る、及び/又は、給電体が異なる物理的特性及び材料特性を持つ異なる部分を有し得るシナリオにとって特に有益であり得る。
【0018】
多くの実施形態において、改良された動作は、一つの温度制御機能が加熱部の動作温度を制御し、従って特に加熱動作を制御し、一方別の温度制御機能は送電器と受電器/被給電デバイスの間の熱的適合性を確保することで実現され得る。アプローチは低複雑性を維持しながら正確な加熱と安全な動作の両方を可能にし得る。
【0019】
本発明は多くの実施形態において、送電器を有するオブジェクト/デバイス/器具の表面への損傷のリスクを予防若しくは軽減し得る。これは電力伝送システムの動作を通常制限することなく実現され得る。従って、システムは動的に特定シナリオを観察しそれに適応し得る。
【0020】
第一の基準温度は電力伝送のため/電力伝送中の受電器を受けるための面の最大許容接触温度を示し得る。受電器は電力伝送中に当該面に置かれ、第一の温度は(送電器の)当該面と接触する受電器の接触面の温度を示し得る。当該面は電力伝送信号を生成するように構成される送電コイルと接触する、若しくは近接する(典型的には1,2,3若しくは5cm以内)ことを有する面であり得る。最大許容接触温度は電力伝送中に(送電器の)面と接触する被給電デバイスの面にとって許容可能な最大温度であり得る。受電器を受けるための面は特に無線電力機能を有するキッチンオブジェクト若しくは構成要素(及び特に送電器)の動作面であり得る。
【0021】
基準温度は特に、送電器によって給電されるときに受電器/被給電デバイスを受けるための面など、送電器と関連する面の最大許容接触温度である。当該面は特に電力伝送のために受電器を有する被給電デバイスを受けるための面である。基準温度は被給電デバイスを受けるための面を形成する部分の材料の特性であり得る。基準温度は送電器によって生成され得る。一部の実施形態において、基準温度は送電器から受電器へ送信され得る。多くの実施形態において、第一の温度は被給電デバイスの外側部分の温度であり得る。当該部分は特に被給電デバイスの底部など、送電体の面との接触のために構成される被給電デバイスの部分であり得る。
【0022】
コントローラは電力伝送動作を終了させることによって電力を制限するように構成され、特に第一の温度が基準温度を超えるという検出に応じて電力伝送フェーズ/モードから出るように構成され得る。
【0023】
一部の実施形態において、コントローラは電力伝送信号の電力に上限を適用することによって電力を制限し得る。
【0024】
多くの実施形態において、コントローラは第一の温度が基準温度を超えることに応じて電力の制限とユーザ警告の生成の両方を行うように構成され得る。
【0025】
第一の温度は外部若しくは内部ソースから受信され得る。
【0026】
第一の温度は測定温度であり得る。本発明のオプションの特徴によれば、受電器は第一の温度を測定するように構成される第二の温度センサを有する。
【0027】
第一の温度は温度の測定を反映し、例えば直接測定温度であるか若しくは測定温度から導出される温度であり得る。第一の温度は現在の状況を反映し、装置は多くの実施形態において動的変化を検出しそれに反応するように構成され得る。例えば、これは第一の温度が特定基準温度を超えるという結果になる望ましくないユーザ動作を検出し得る。
【0028】
本発明のオプションの特徴によれば、第一の温度は接触面の所定最大温度である。
【0029】
これは多くの実施形態において改良されたユーザ経験及び/又は複雑性の低下を可能にし得る。所定最大温度は特定被給電デバイスにリンクされる温度であり得る。基準温度は特に被給電デバイスの一部分の外面の、特に送電体の受容面に接触するための面の所定最大温度であり得る。
【0030】
本発明のオプションの特徴によれば、コントローラは第一の温度が第一の基準温度を超えることに応じて電力伝送信号の電力を制限するように構成される。
【0031】
これは多くの実施形態において改良された動作を提供し、特にユーザ動作が送電体の部品に潜在的損傷をもたらし得る潜在的状況にシステムが対応することを可能にし得る。
【0032】
本発明のオプションの特徴によれば、コントローラは第一の温度が第一の基準温度を超えることに応じてユーザ警告を生成するように構成される。
【0033】
これは多くの実施形態において改良された動作を提供し、特にユーザ動作が送電体の部品に潜在的損傷をもたらし得る潜在的状況をユーザが予防若しくは対応するのをシステムが支援若しくは制御することを可能にし得る。
【0034】
本発明のオプションの特徴によれば、第一の部分は加熱部とは異なる被給電デバイスの部分である。
【0035】
本発明のオプションの特徴によれば、受信器、比較器、及びコントローラは送電器に含まれる。
【0036】
これは多くの実施形態において有利な動作を提供し、特に送電器が望ましくない状況及び潜在的損傷を防ぐことを可能にし得る。
【0037】
本発明のオプションの特徴によれば、受信器は受電器から第一の温度を受信するように構成される。
【0038】
これは多くの実施形態とシナリオにおいて改良された性能を提供し得る。特に、多くのシナリオにおいてより正確な動作が実現され得る。一部の実施形態において、複雑性の低下と柔軟性が実現され得る。
【0039】
第一の温度は例えば電力伝送フェーズ中に受信され得る。
【0040】
本発明のオプションの特徴によれば、コントローラは受信器が受電器から第一の温度を受信しないことに応じて電力伝送信号の電力を制限するか若しくはユーザ警告を生成するように構成される。
【0041】
コントローラは第一の温度メッセージが電力伝送中の時間間隔内に受電器から受信されているかどうかを決定し、第一の温度メッセージが時間間隔内に受信されていない場合はユーザ警告の生成及び電力伝送の制限の少なくとも一つを実行し、第一の基準温度を超えない第一の温度の値を有する第一の温度メッセージが受信されている場合はユーザ警告を生成せず電力伝送を制限しないように構成され得る。
【0042】
これは多くの実施形態においてより信頼できる及び/又は安全な動作を提供し得る。
【0043】
多くの実施形態において、コントローラは(例えば所与の時間間隔内に)受電器から第一の温度を受信しないことに応じて電力の制限とユーザ警告の生成の両方を実行するように構成され得る。
【0044】
本発明のオプションの特徴によれば、送電器は第一の基準温度を超える第一の温度の検出の表示を受電器へ送信するように構成される。
【0045】
これは多くの実施形態において改良された機能及び/又は改良されたユーザ経験を可能にし得る。例えば、これは送電器によってではなく被給電デバイス(加熱パンなど)においてユーザ警告が生成されることを可能にし得る。これは例えば典型的にユーザのより近くで生成される、より目立つユーザ警告を生成し得る。
【0046】
本発明のオプションの特徴によれば、無線電力伝送システムは第二の送電器を有し、装置はさらに、第二の被給電デバイスの一部の第二の温度を受信するための第二の受信器であって、第二の被給電デバイスは第二の送電器によって給電される第二の受電器によって給電される、第二の受信器と;第二の送電器と関連する第二の基準温度第二の温度を比較するための第二の比較器と;第二の温度が第二の基準温度を超えることに応じて、第二の送電器の電力伝送信号の電力を制限すること及びユーザ警告を生成することの少なくとも一つのための第二のコントローラとを有する。
【0047】
これは例えば被給電デバイスと接触し得る装置の個々の部品/面の特定の特性に予防措置が適応され得る柔軟な構成を可能にし得る。例えば、キッチン家電は広範な被給電デバイスに給電するように構成され、アプローチは家電の異なる部品の特定の特徴への個別適応を可能にし得る。
【0048】
一部の実施形態において、装置は受電器の位置表示に応じて複数の基準温度から基準温度を選択するための選択器を有し、各基準温度は位置のセットと関連する。
【0049】
位置の各セットは送電器を有するエンティティの表面エリアに対応し得るか、又は例えばエンティティの異なる部分若しくは構成要素であり得る。
【0050】
一部の実施形態において、エンティティは複数の送電コイル若しくは送電器を有し、位置の各セットは送電コイル若しくは送電器のサブセットと関連し得る。位置表示はどの送電コイル若しくは送電器が被給電デバイスに給電しているか、又は(しばしば均等に)どの送電コイル若しくは送電器が受電器と通信するかの表示であり得る。
【0051】
本発明の一態様によれば、受電器に給電するための無線誘導電力伝送信号を生成するように構成される送電器をさらに含む無線電力伝送システムのための受電器が提供され、受電器は:被給電デバイスの第一の部分の第一の温度を受信するための受信器であって、被給電デバイスは電力伝送信号からの電力によって加熱されることができる加熱部を有し、第一の部分は送電器に接触するための被給電デバイスの接触面である、受信器と;第一の温度を第一の基準温度比較するための比較器であって、第一の基準温度は受電器を受けるための送電器の面の最大許容接触温度を示す、比較器と;第一の温度が第一の基準温度を超えることに応じて、電力伝送信号の電力を制限すること及びユーザ警告を生成することの少なくとも一つのためのコントローラと;被給電デバイスの加熱部の第二の温度を決定するための第一の温度センサと;電力伝送中に送電器へ電力伝送信号の電力レベル変化を要求するための電力制御ループフィードバックメッセージを送信するための送信器と;第二の温度に応じて電力制御ループフィードバックメッセージのための電力変更要求を生成するための電力コントローラとを有する。
【0052】
本発明のオプションの特徴によれば、コントローラは第一の温度が第一の基準温度を超えることに応じて電力制御ループフィードバックメッセージのための電力低減要求を生成するように構成される。
【0053】
これは多くの実施形態において改良された動作を提供し、特に被給電デバイスによるより正確な加熱を提供し得る。アプローチは低複雑性を維持しながら正確な加熱と安全な動作の両方を可能にし得る。
【0054】
一部の実施形態において、装置は第一の温度が基準温度を超えるという検出に応じて送電器に電力伝送制限要求を送信するための送信器を有し得る。
【0055】
本発明のオプションの特徴によれば、受電器は送電器から第一の基準温度を受信するための基準温度受信器をさらに有する。
【0056】
これは改良された動作及び/又は実施を提供し得る。
【0057】
本発明のオプションの特徴によれば、比較器は送電器から受信される第一の基準温度がない場合第一の基準温度を所定値に設定するように構成される。
【0058】
これは多くの実施形態において改良された動作を提供し得る。これは例えば受電器が送電器によって制御されない場合であっても安全なシナリオにおいて動作することを確実にすることを可能にし得る。
【0059】
本発明のオプションの特徴によれば、加熱部は電力伝送信号からの誘導によって加熱されるように構成される誘導加熱素子を有する。
【0060】
加熱素子は特に加熱板であり得る。
【0061】
本発明の一態様によれば、送電器と受電器を含む無線電力伝送システムのための動作方法が提供され、送電器は受電器に給電するための無線誘導電力伝送信号を生成するように構成され、方法は:被給電デバイスの第一の部分の第一の温度を受信するステップであって、被給電デバイスは電力伝送信号からの電力によって加熱されることができる加熱部を有する、ステップと;測定温度を第一の基準温度比較するステップであって、第一の基準温度は受電器を受けるための送電器の面の最大許容接触温度を示す、ステップと;第一の温度が第一の基準温度を超えることに応じて、電力伝送信号の電力を制限するステップ及びユーザ警告を生成するステップの少なくとも一つと;受電器の温度センサが被給電デバイスの加熱部の第二の温度を決定するステップと;受電器が電力伝送中に送電器へ電力伝送信号の電力レベル変化を要求するための電力制御ループフィードバックメッセージを送信するステップと;受電器が第二の温度に応じて電力制御ループフィードバックメッセージのための電力変更要求を生成するステップとを有する。
【0062】
本発明のこれらの及び他の態様、特徴及び利点は以降に記載の(複数の)実施形態から明らかとなり、それらを参照して説明される。
【0063】
本発明の実施形態は、ほんの一例として、図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】本発明の一部の実施形態にかかる電力伝送システムの一実施例を図示する。
図2】本発明の一部の実施形態にかかる電力伝送システムの一実施例を図示する。
図3】本発明の一部の実施形態にかかる送電器のためのハーフブリッジインバータの素子の一実施例を図示する。
図4】本発明の一部の実施形態にかかる送電器のためのフルブリッジインバータの素子の一実施例を図示する。
図5】キッチン家電を給電するためのユニットの一実施例を図示する。
図6】本発明の一部の実施形態にかかる送電器の一実施例を図示する。
図7】本発明の一部の実施形態にかかる受電器の一実施例を図示する。
図8】本発明の一部の実施形態にかかる電力伝送シナリオの一実施例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は本発明の一部の実施形態にかかる電力伝送システムの一実施例を図示する。電力伝送システムは送電コイル/インダクタ103を含む(若しくはそれに結合される)送電器101を有する。システムはさらに受電コイル/インダクタ107を含む(若しくはそれに結合される)受電器105を有する。
【0066】
システムは送電器101から受電器105へ無線誘導電力伝送を提供する。特に、送電器101は送電コイル103による磁束として伝播される電力信号を生成する。電力信号は典型的には約20kHzから200kHzの周波数を持ち得る。送電コイル103と受電コイル107は疎結合であり、従って受電コイルは送電器101から電力伝送信号(の少なくとも一部)をピックアップする。従って、送電コイル103から受電コイル107への無線誘導結合を介して送電器101から受電器105へ電力が伝送される。電力信号という語は主に送電コイル103と受電コイル107の間の誘導信号(磁束信号)をあらわすために使用されるが、当然のことながら均等によりこれは送電コイル103に供給される電気信号、若しくは実に受電コイル107の電気信号への参照としても考慮され使用され得る。
【0067】
以下、送電器101と受電器105の動作がQi規格に従って一実施形態を特に参照して記載される(本明細書に記載の(若しくは結果として生じる)修正及び改良を除く)。特に、送電器101と受電器105は実質的にQi規格バージョン1.0若しくは1.1に適合し得る(本明細書に記載の(若しくは結果として生じる)修正及び改良を除く)。
【0068】
無線電力伝送システムにおいて送電器101と受電器105の間で電力伝送を準備及び制御するために、受電器105は送電器101へ情報を通信する。このような通信はQi規格バージョン1.0及び1.1に規格化されている。
【0069】
物理レベルにおいて、受電器105から送電器101への通信チャネルは電力信号をキャリアとして使用することによって実現される。受電器105は受電コイル107の負荷を変調する。これは送電器側における電力信号の対応する変動をもたらす。負荷変調は送電コイル103電流の振幅及び/又は位相の変化によって、又は代替的に若しくは付加的に送電コイル103の電圧の変化によって検出され得る。この原理に基づいて、受電器105は送電器101が復調するデータを変調し得る。このデータはバイト及びパケットでフォーマットされる。より詳しくは、Qi無線電力仕様ともよばれる、http://www.wirelesspowerconsotrium.com/downloads/wirelss-power-specification-part-1.htmlから利用可能な"System description, Wireless Power Transfer, Volume I:Low Power, Part 1:Interface Definition Version 1.0 July 2010, published by the Wireless Power Consortium"、特にチャプタ6:通信インターフェースを参照のこと。
【0070】
電力伝送を制御するために、システムは異なるフェーズ、特に選択フェーズ、ピンフェーズ、識別及び構成フェーズ、電力伝送フェーズを介して進行し得る。より詳しくはQi無線電力仕様パート1チャプタ5を参照のこと。
【0071】
最初に、送電器101は単に受電器の潜在的存在をモニタリングする選択フェーズにある。送電器101はこの目的で例えばQi無線電力仕様に記載のような様々な方法を使用し得る。こうした潜在的存在が検出される場合、送電器101は電力信号が一時的に生成されるピンフェーズに入る。受電器105はその電子機器を起動するために受信信号を適用し得る。電力信号を受信後、受電器105は初期パケットを送電器101へ通信する。特に、送電器と受電器の間の結合度を示す信号強度パケットが送信される。より詳しくはQi無線電力仕様パート1チャプタ6.3.1を参照のこと。従って、ピンフェーズにおいて受電器105が送電器101のインターフェースに存在するかどうかが決定される。
【0072】
信号強度メッセージの受信により、送電器101は識別及び構成フェーズに移る。このフェーズにおいて、受電器105はその出力負荷を切断したままにし、負荷変調を用いて送電器101へ通信する。送電器はこの目的で一定振幅、周波数及び位相の電力信号を供給する(負荷変調によって生じる変化を除く)。メッセージは受電器105の要求を受けて自身を構成するために送電器101によって使用される。
【0073】
識別及び構成フェーズの後、システムは実際の電力伝送が行われる電力伝送フェーズに移る。特に、その電力要件を通信した後、受電器105は出力負荷を接続してそれに受信電力を供給する。受電器105は出力負荷をモニタリングして所定動作点の実際の値と所望の値との制御エラーを測定する。これは電力伝送信号の変更若しくは変更不要の要望とともにこれらのエラーを送電器101に示すために、例えば250m秒毎の最低レートで送電器101へかかる制御エラーを通信する。
【0074】
従って、電力伝送フェーズ中、受電器は供給電力を制御する。これは受電器が外部負荷に直接給電するのではなく事実上それ自体負荷である受電コイル107で給電する実施形態にとって特に重要であり得る。例えば、電力伝送信号によって加熱される加熱デバイスである被給電デバイスの場合、受電コイル107は電力伝送信号からの誘導によって加熱されるように構成される誘導加熱素子として実現され得る。例えば、受電器は中で電力伝送信号が誘導による渦電流を生成する加熱板を含み得る。従って加熱素子は電力伝送信号の存在下で加熱し、加熱素子は他のアイテムを加熱するために使用され得る。例えば、被給電デバイスは電力伝送信号によって生成される渦電流によって加熱される加熱素子を有するケトル若しくはパンであり得る。従って加熱素子は受電コイル107と負荷の両方を形成するとみなされ得る。
【0075】
従って被給電デバイスは、例えば加熱板の形の加熱素子など、加熱部を有する被給電加熱デバイスである。この実施例において、電力伝送信号は加熱部をこの中に渦電流を誘導することによって直接加熱し得る。他の実施形態において、電力伝送信号から加熱部への電力の供給は中間機能を含み得る。例えば、一部の実施形態において被給電デバイスは中に電流が誘導されるインダクタの形の個別受電コイル107を含み得る。この誘導電力は加熱部へ供給される電気信号に変換され得る。従って、加熱部は無線受電器に従来の負荷として電気的に接続され得る。
【0076】
システムにおいて、電力制御動作は受電器105の温度センサに基づく。特に、受電器は加熱部の温度(以下加熱部温度と称する)を決定する加熱部温度センサを有する。受電器105は加熱部温度に基づいて所望の電力変化を決定するように構成される。特に、加熱部温度が第一の閾値に満たない場合、受電器105は電力伝送信号の電力の増加を要求し、加熱部温度が第二の閾値(第一の閾値より高いか若しくは等しい)を超える場合、受電器105は電力伝送信号の電力の減少を要求し得る。そして受電器105は対応する電力制御ループフィードバックメッセージを生成し、これらを送電器101へ送り返し得る。それに応じて、送電器101は電力伝送信号の電力を増加若しくは減少させる。
【0077】
従って、図1のシステムにおいて、電力制御動作は温度に基づき、加熱部の動作温度を制御するために直接使用され、従って被給電加熱デバイスの加熱動作を制御し得る。
【0078】
Qi電力伝送システムによって提供されるような無線電力伝送はますます普及しており、異なるアプリケーション及び異なる背景において、より一層様々なセットアップ、設備、環境などで使用され得る。現在のQiシステムは効率的な電力伝送のためのサポートを提供し、意図される拡張と開発はより広範なアプリケーションにおいて改善された機能とユーザ経験を提供することを目的とする。しかしながら、無線電力伝送の取り込み増大を可能にするために、機能、柔軟性及び利便性をさらに改良したいという全体的な要望がある。特に、より高電力への増加及びより多くの種類のアプリケーションは、システムが、意図しない望ましくない結果若しくはシナリオを自由に生じさせることなく、安全に動作することを確実にする必要性と要望の増加をもたらす。
【0079】
図2は改良された機能及び/又は動作を提供し得る無線電力伝送システムを図示する。図2のシステムは特に図1のシステムにおいて採用される改良された制御機能を例示し得る。
【0080】
従って、図1及び2のシステムは被給電加熱デバイスの加熱部の温度を制御するために温度に基づく電力制御ループを利用する。電力制御ループは加熱部の動作温度を制御するために、従って被給電加熱デバイスの加熱性能を制御するために然るべく使用される。
【0081】
この温度に基づく電力制御ループに加えて、システムは送電器と関連する基準温度に対して被給電デバイスの一部(外部接触面など)の温度を評価するように構成される。従って、システムは特に、一方は受電器側に関連し他方は電力伝送の送電器側に関連する二つの温度間の関係を考慮する。基準温度は、典型的にはどの受電器が存在するか(又は受電器が存在するかどうか)にかかわらず同じである、送電器と関連する特徴によって決まる。逆に、第一の温度は典型的には受電器と使用される送電器の特徴に依存せず、受電器(被給電デバイス)によって給電されるデバイスの特徴に関連する。典型的には、第一の温度は動的に測定される温度であり得るが、基準温度は所定値であることが多い。
【0082】
基準温度は特に送電器を有する器具の接触面の最大許容温度である。基準温度は電力伝送中に被給電デバイスを受けるための面の最大許容温度であり得る。当該面は例えば電力伝送動作のために、すなわち電力伝送が望まれるときに被給電デバイスが置かれる送電器の平面であり得る。
【0083】
第一の温度は特に、被給電デバイスが接触面上に置かれるときに接触面と接触することになる受電器の部分の現在の温度を示す。実際、第一の温度は送電器と接触するための被給電デバイスの接触面について規定される。従って、基準温度と第一の温度は、電力伝送中に互いに接触することになる送電器と被給電デバイスそれぞれの接触面の温度(例えば最大許容温度と測定温度)を示し得る。
【0084】
システムは第一の温度が基準温度を超えるかどうかを検出するように構成される。特に、被給電デバイスの接触面の現在の温度が、電力伝送中に被給電デバイスが位置付けられ得る接触面の最大許容表面温度よりも高い場合、これはシステムによって検出される。
【0085】
図2は、送電コイル103に結合され、電力伝送信号を生成してこれを送電コイル103に供給するドライバ201を図示する。従って、電力伝送中、ドライバ201は送電コイル103(及び受電コイル107)を介して受電器105に電力伝送信号を供給する。
【0086】
従ってドライバ201は送電コイル103に供給される電流と電圧を生成する。ドライバ201は典型的にはDC電圧から交流信号を生成するインバータの形の駆動回路である。図3はハーフブリッジインバータを示す。スイッチS1とS2は決して同時に閉じられないように制御される。交互にS1が閉じられる間にS2が開かれ、S2が閉じられる間にS1が開かれる。スイッチは所望の周波数で開閉され、それによって出力において交流信号を生成する。典型的には、インバータの出力は共振コンデンサを介して送電コイルに接続される。図4はフルブリッジインバータを示す。スイッチS1とS2は決して同時に閉じられないように制御される。同様に、スイッチS3とS4は決して同時に閉じられないように制御される。交互に、スイッチS1とS4が閉じられる間にS2とS3が開かれ、そしてS2とS3が閉じられる間にS1とS4が開かれ、それによって出力においてブロック波信号を生成する。スイッチは所望の周波数で開閉される。
【0087】
ドライバ201は電力伝送機能を機能させるための制御機能も有し、特にQi規格に従って送電器101を操作するように構成されるコントローラを有し得る。例えば、コントローラはQi規格の識別及び構成フェーズ並びに電力伝送フェーズを実行するように構成され得る。
【0088】
受電コイル107は受電器コントローラ203に結合され、これは電力伝送機能を機能させるための様々な機能を有し、特定の実施例ではQi規格に従って受電器105を操作するように構成される。例えば、受電器コントローラ203はQi規格の識別及び構成フェーズ並びに電力伝送フェーズを実行するように構成され得る。
【0089】
受電器コントローラ203は電力信号を受信し、電力伝送フェーズ中に電力を抽出するように構成される。受電器コントローラ203は電力伝送フェーズ中に送電器101から給電される負荷である電力負荷205に結合される。電力負荷205は特に電力伝送信号から抽出される電力によって加熱される加熱素子などの加熱部であり得る。
【0090】
多くの実施形態において、被給電デバイスは電力伝送信号が加熱素子に渦電流を誘導することによって直接加熱される加熱素子を有し得る。従って、負荷205と受電コイル107は単一素子に組み込まれ、負荷は中間体として受電器コントローラ203を伴わずに直接給電され得る。しかしながらこのような実施形態において、受電器コントローラ203は送電器と通信すること、電力制御ループの一部として電力を制御することなどを含む、所要の制御及びインターフェース技術を提供し得る。
【0091】
電力コントローラ203はさらに加熱部温度の測定に基づいて電力制御動作を制御し得る。特に、これは電力制御ループフィードバックメッセージにおいて送電器101へ送信される電力要求を生成し得る。例えば、加熱部温度が閾値に満たない場合、電力伝送信号の電力の増加が要求され、閾値を超える場合は電力の減少が要求される。従って、受電器コントローラ203は加熱部/素子の動作温度を制御することができる。
【0092】
図2のシステムは、動作の追加制御、特に多くの実施形態において望ましくない損傷を与える可能性があるシナリオが生じることを防止し得る機能を提供することによって、改良された機能を提供する。特に、システムは送電器機能がその一部であるデバイス、器具若しくは他のエンティティなどの送電器の特徴を反映する基準温度に対する被給電デバイスの一部の温度に基づいて動作が適応されることを可能にする。特に、エンティティは送電器101の機能を有するエンティティ、デバイス、若しくはオブジェクトであり得る。送電側と受電側それぞれの温度の比較に基づく個別温度制御機能と組み合わされる、加熱部の動作温度を制御する電力制御ループの使用は、効率的な動作とさらなる安全性を提供する。これは異なるタイプの受電器と送電器が、熱的適合性が最悪の場合の組み合わせのために設計されることを要することなく柔軟に相互作用することを可能にする際のさらなる柔軟性を提供し得る。
【0093】
図2のシステムは温度(以下第一の温度と称する)を受信する温度受信器207を有する。第一の温度はいかなる適切な内部若しくは外部ソースから受信されてもよい。
【0094】
第一の温度は送電器と接触するために構成される被給電デバイスの接触面の温度を示す。被給電デバイスの接触面は送電を可能にするために送電器の面の上に置かれる底面であることが多い。従って、典型的には電力伝送信号は、第一の基準温度が規定される送電器101の接触面と、第一の温度が規定される受電器105の接触面とを介して、送電器101から受電器105へ供給される。二つの接触面は従って(典型的な使用において)電力伝送中に接触する。
【0095】
第一の温度は多くの実施形態において測定温度を示すが、一部の実施形態では一部分の推定若しくは最大動作温度を示し得る。一部分は典型的には外側部分であり、第一の温度は特に被給電デバイスの面の現在の温度を示し得る。当該面は典型的には通常の電力伝送動作中に送電器の接触面と接触することになる接触面である。
【0096】
温度受信器207は比較器209に結合され、これはさらに比較器209に基準温度を供給する基準ソース211に結合される。基準温度は送電器101と関連し、特に被給電デバイスを受けるための面の最大許容接触温度を示す。当該面は特に、電力伝送のために被給電デバイスがその上に置かれ得る、送電器101を有するオブジェクトの面など、被給電デバイスがそれを通じて給電される面であり得る。
【0097】
比較器209は送電器101と関連する基準温度測定温度を比較するように構成される。比較器209は比較の結果を供給される第一のコントローラ213に結合される。
【0098】
第一のコントローラ213は第一の温度が基準温度を超えるという検出に反応するように構成される。特に、第一の温度が基準温度を超えることを比較器209が示す場合、第一のコントローラ213は電力伝送信号の電力を制限するように進行し得る。制限は特に、電力伝送を終了すること、電力伝送フェーズ/モードから出ること、若しくは例えば電力伝送信号の電力を所定量減らすこと、若しくは所定閾値を超えないように制限することによる。
【0099】
一部の実施形態において(特に第一のコントローラ213が送電器101に組み入れられるとき)、第一のコントローラ213は送電器101の動作を修正することによって、特にドライバ201の動作を修正することによって電力を制限し得る。他の実施形態において(特に第一のコントローラ213が受電器105に組み入れられるとき)、第一のコントローラ213は電力コントローラ203の動作を修正し得る。例えば、電力ループ制御動作は、第一の温度が基準温度(典型的にはマージンを伴う)を超えなくなるまで受電器105が連続的に電力低下要求を送信するように修正され得る。従って、この場合第一のコントローラ213は加熱部温度が電力増加を要求するための下限閾値を下回るときであっても電力低下要求を送信するように進行し得る。
【0100】
代替的に若しくは付加的に、第一のコントローラ213はユーザ警告を生成し得る。第一のコントローラ213は特に、ユーザ警告を提供するように第一のコントローラ213によって制御され得るユーザインターフェース215に結合される。ユーザ警告は例えば視覚表示(例えば点滅光)若しくは音響表示(例えば警告音)であり得る。一部の実施形態では、ユーザ警告の原因をあらわすテキスト若しくはグラフィックユーザ表示など、より複雑なユーザ警告が生成され得る。
【0101】
従って、図2のシステムは被給電デバイスの一部分の温度が送電器101に適した温度を超えることを検出し得る。例えば、システムは被給電デバイスの接触面の温度を反映する第一の温度が、送電器の特定の接触面の最大許容接触温度を反映する基準温度を超えることを検出し得る。従って、これは被給電デバイスが送電器の特定面の上に位置付けられる場合に、この面への損傷が起こり得ることを検出し得る。システムはユーザ警告を生成すること(場合により被給電デバイスがその面の上に位置付けられる前に)、及び/又は電力を下げること若しくは切ること(典型的には被給電デバイスがその面の上に位置付けられるときに)によってこのようなリスクに対処し得る。
【0102】
従ってアプローチは、システムが望ましくない可能性のあるシナリオを検出し、これらを回避するための処置をとるか、若しくはその影響を軽減することを可能にする追加制御オプションを提供する。
【0103】
図1及び2のシステムにおいて、無線被給電デバイスは送電器によって生成される電力伝送信号によって給電される加熱部を有する。受電器は加熱部の温度を決定する温度センサと、決定された温度に基づいて電力制御ループフィードバックメッセージを生成する電力コントローラを含む。受電器は送電器へフィードバックメッセージを送信するための送信器を有する。
【0104】
従って、送電器101が受電器103に適切な量の電力を提供するように生成された電力伝送信号を制御することを可能にする電力制御ループが実現され得る。電力は被給電デバイスの加熱部の温度に基づいて制御され、従って電力制御ループは特に加熱部の所望の温度を生成するように電力伝送信号の電力を制御し得る。
【0105】
この温度制御電力制御ループに加えて、システムは被給電デバイスの一部分の別の温度も考慮するように構成される。この温度(第一の温度)は特に受電器を受けるための送電器の面の最大許容接触温度をあらわす基準温度と比較される。従って、特に被給電デバイスの加熱部/素子の所望の温度を維持するために使用され得る、温度に基づく電力制御ループに加えて、システムは受電器105を受けるように構成される送電器101の接触面の最大許容温度と被給電デバイスの一部分の別の温度を比較するための機能を含む。この第二の温度(加熱部温度)は送電器101と接触する被給電デバイスの接触面に関連する。被給電デバイスのこの部分の温度が最大接触温度を超える場合、システムは電力伝送信号の電力を制限するか若しくはユーザ警告を生成する。
【0106】
この第二の温度制御は単に加熱素子の動作温度が所望の値を持つように制御しようとする従来の温度制御に相当するものではない。実際、標準的な温度制御は典型的には、被給電デバイスが所望の温度を反映する局所温度基準測定温度を比較することに応じて、送電電力を増加若しくは減少させることに基づく。しかしながら、単に好適な動作温度を設定するのではなく、第二の温度制御は送電器と被給電デバイスの間の相互動作に関係する。実際、第二の温度制御は被給電デバイスの温度特性を送電器の温度特性比較することに向けられる。従って、これは単に加熱素子の所望の温度を提供することに向けられるのではなく、異なるデバイスをあらわす値の間の相対比較である。これは送電器と被給電デバイスが相互に互換性がある方法で動作するかどうかを検出するためにこれを使用することができる。
【0107】
例えば送電器は、電力伝送信号がそれを通じて送信されるワークトップ面上に給電されるデバイス(例えばキッチン家電)が直接位置付けられ得る、例えばキッチン環境において提供され得る。この送電器は様々な異なる器具と使用され、多くの異なる被給電デバイスが動作面上に位置付けられ得る。異なるデバイスは典型的には異なる要件を持ち、異なる温度特性も持つ。
【0108】
被給電加熱デバイスが動作面上に位置付けられると、送電器は電力伝送信号を供給し、これは加熱部/素子に所望の加熱をもたらす。電力伝送信号の電力は電力制御ループを介して制御されることができ、この電力制御ループは規格化され得る。従って、被給電加熱デバイスは加熱素子の所望の動作温度を提供するために電力伝送信号の電力を制御し得る。電力制御ループは電力伝送信号の電力が増加若しくは減少されることを要求することによってこの温度を維持し得る。
【0109】
電力制御ループは規格化され得るので、このアプローチは規格に対応する全ての被給電加熱デバイスと全ての送電器と使用されることができる。実際、非加熱被給電デバイスと同じ電力制御メッセージが使用されることができる。しかしながら、このアプローチと規格化は規格の全ての送電器と被給電デバイス間の動作互換性を保証するが、これは全ての問題に対処するわけではない。
【0110】
本発明者らは、このような被給電加熱デバイスの一つの問題は、被給電加熱デバイスが送電器を損傷し得る温度を生成する可能性があることであると気付いた。加熱デバイスが面を損傷することを防止するために、面は任意の加熱デバイスによって経験され得るいかなる温度にも耐えることができる、耐熱性の材料によって作られる。このようなアプローチは面と加熱素子の材料両方に制限を課す。
【0111】
しかしながら、図1及び2のアプローチにおいて、第二の温度制御は送電器101の接触面と被給電加熱デバイスの対応する温度との間の熱的適合性を動的に測定するために使用され得る。これは同時に損傷を防止しながら送電器と被給電加熱デバイス両方の製造業者にとって増大した設計の自由を提供し得る。特に、これは製造業者が全ての最悪の場合のシナリオに対処することができるように全製品を設計する必要性を除去し得る。
【0112】
アプローチは例えば、送電器が受電器への接触面に様々な材料を使用することを可能にしながら、様々な送電器が規格に従って開発されることを可能にし得る。異なる材料は異なる耐熱性(特に損傷なしに熱に耐えることができるという意味で)を持ち得る。同時に、様々な被給電加熱デバイスが規格に従って開発され、異なる加熱デバイスは異なる熱特性を持ち、特に異なる加熱デバイスは異なるシナリオにおいて異なる温度特性を示す。全デバイスが規格に対応するにもかかわらず、全ての被給電加熱デバイスが全ての送電器と熱的に適合することは要求されない。むしろ、被給電加熱デバイスと送電器の一部の組み合わせが、被給電加熱デバイスが送電器の接触面に損傷を与え得る状況をもたらす可能性があることが許され得る。
【0113】
一実施例として、キッチンアプリケーション用の様々な送電器は、例えば木若しくは御影石のキッチンワークトップなど、木の接触面で実現されるものと御影石の接触面を持つ別のものとを含み得る。様々な被給電加熱デバイスは、例えば加熱素子が断熱材(動作面上に置かれる部分の低温をもたらす)の内部に含まれるケトルを含み得る。しかしながら、電力伝送を改良するために、別のケトルは実際にワークトップと直接接触する露出した加熱素子を持ち得る。前者のケトルは両方のワークトップで使用され得るが、後者のケトルは御影石の接触面/ワークトップとしか使用されることができない。ユーザは互換性のある製品間に動作を手動で制限し得るが、避けられない間違い(例えば高齢者によって使用されるとき)がワークトップに潜在的な損傷をもたらす可能性がある。
【0114】
図1及び2のシステムのアプローチでは、受電器と送電器の間のいかなるこのような非互換性も自動的に検出されることができ、それに応じて電力伝送信号の電力が制限され得るか、又はユーザ警告(例えば警告信号)が生成されることができる。
【0115】
アプローチは送電器の熱特性を受電器の熱特性比較することに基づき、この比較はシステムが望ましくない可能性のある状況を検出することを可能にする。異なるデバイスの特性をあらわす値の比較がこのように利用される。
【0116】
特に、システムは受電器独自の(及び本質的に送電器にはわからない)温度を送電器独自の(及び本質的に受電器にはわからない)特性(受電器を受けるための送電器の面の最大許容接触温度)比較する。比較は二つの異なるデバイスの温度特性の比較であり、二つのデバイスの特性を反映する。
【0117】
アプローチは送電器と受電器の間の熱的非適合性の自動検出を可能にし得る。このような適合性チェックを含むことにより、システムは従って例えば、熱的非適合性の受電器と被給電デバイスの可能性を許可することによって増大した設計の柔軟性を提供する、共通標準規格が開発されることを可能にする。
【0118】
従って二つの温度制御は異なる機能をサポートし、全体の改良された動作を提供することができる。特に、温度制御電力制御ループは加熱部が所望の動作温度を持つように制御し、従って所望の温度性能を提供するように動作点の柔軟な制御を提供し得る。温度制御電力制御ループは特に加熱中の動作要件に対処することができ、所望の加熱が加熱部によって提供されることを保証し得る。この動作制御に加えて、第二の温度制御はデバイスが熱的に適合することを保証し得る。従って、第一の温度制御は送電器と被給電デバイスの特定ペアの加熱性能を制御することに向けられ得るが、第二の温度は、熱的に適合しない一部の組み合わせを含む、受電器と送電器の多くの可能な組み合わせがあることから生じる不確実性に対処し得る。このような組み合わせは、受電器にとって正常動作範囲内の設定が送電器の接触面に損傷を与えるシナリオを含み得る。システムは追加の安全保護を提供し、それによって実質的にさらなる設計の柔軟性を可能にし得る。以下、キッチン家電/ユニット/オブジェクト/素子が、その各々が受電器を有する複数の異なる被給電デバイスに無線給電するように構成される、特定の実施形態に焦点を合わせて、アプローチが例示される。従って被給電デバイスは特にケトル、パン、ポット、ブレンダーなどといったキッチン家電であり得る。
【0119】
特定の例示的なアプリケーションが説明され、キッチンユニットは食品加工のための二つのゾーンを有し得る。すなわち:
1.調理ゾーン。このゾーンは例えばその上でパン、ポット、ケトルなどが加熱され得る誘導調理コンロを有し得る。このゾーンは複数の送電コイルを提供し、その各々が、特にケトル、パンなどといった加熱可能なキッチン家電であり得る被給電デバイスに給電することができる。被給電デバイスは特に加熱素子を有し、その中で渦電流の誘導によって加熱が実現される。加熱可能な被給電デバイスは非常に熱くなる可能性があり、実際に被給電デバイスの外側部分と接触面は非常に熱くなり得る。従って、このゾーンは高温に耐えることができるように、例えば典型的には少なくとも200℃までの温度に耐えることができるように生成される。従って、加熱可能なデバイスは調理ゾーンのどこかに位置付けられながら高温に加熱され得る。ユーザは適切なユーザインターフェースを介して加熱を制御し、適切な受電器と送電器における制御機能が(例えばフィードバック電力ループを用いて)適切な電力伝送と加熱を保証し得る。
2.準備ゾーン。このゾーンも、無線電力伝送によって様々な被給電デバイスに給電し得る複数の送電コイルを有し得る。被給電デバイスは特にブレンダー、ミキサーなどといったキッチン家電であり得る。しかしながら、調理ゾーンと対照的に、準備ゾーンは加熱アプリケーション用に設計されない。従って、準備ゾーンは耐熱性を持つように設計されず、典型的には準備ゾーンに位置付けられるアイテムの最大許容接触温度は加熱可能なキッチン家電の接触面の温度よりも著しく低い。
【0120】
両ゾーンにおいて、このように動作面上に位置付けられ得る被給電デバイスへの無線電力伝送のための送電コイルを有する動作面が設けられ得る。しかしながら、調理ゾーンは加熱可能なデバイスを対象とし、従って高温に耐えるように設計されるのに対し、準備ゾーンは加熱用でない、従って動作面を加熱すると予想されない電力デバイスを対象とする。従って、準備ゾーン動作面は高温に耐えるように設計されない可能性があり、代わりに(例えば美観設計の理由で)高温に弱い材料で作られる可能性がある。
【0121】
準備ゾーンと調理ゾーンの動作面はこのように、例えば比較的高い耐熱性を持つセラミック若しくはガラス、又は例えば比較的高い温度脆弱性を持つ合板など、異なる材料から構成され得る。実際に、一部のシナリオにおいて、調理ゾーンは高温に弱い材料から作られ得る。このようなユニットは、事実上接触面を加熱素子から分離する加熱可能なデバイスが使用されることを可能にしながら、そのような温度分離をもたらさないデバイスが使用されることを許さない。
【0122】
例示的なキッチンシナリオの一実施例が図5に提供される。この実施例において、調理ゾーン501は二つの送電器Tx2,Tx1を有し、準備ゾーン503は二つの送電器Tx4,Tx3を有する。この実施例において、ケトル505は調理ゾーン501の送電器の一つTx1によって給電される。従って、ケトル505の温度は高い可能性がある。ポット507も調理ゾーンの動作面上にあるが、現在給電されておらず従って高温ではない可能性がある。このシナリオにおいて、ユーザがポット507をそこではこれが給電されない(従って加熱されない)準備ゾーン503の部分に動かすことは許容され得る。しかしながら、ケトル505が準備ゾーン503へ動かされた場合、温度は準備ゾーン503の材料が耐えることができる温度を超える可能性があり、これは損傷をもたらし得る。
【0123】
従って、異なる目的を持つ複数の送電器を提供するアプローチは多数の利点を提供し得るが、これは潜在的な望ましくないシナリオの影響も受けやすい可能性がある。例えば、加熱可能なデバイスが調理ゾーンの送電器ではなく準備ゾーンの送電器の上に位置付けられる場合、デバイスは低耐熱性動作面に損傷を与える温度に加熱される可能性がある。
【0124】
調理ゾーンと食品準備ゾーンを持つ図5の実施例はもちろん追加ゾーンを含むように拡張され得る。例えばユーザが食品/飲料を摂取するテーブルにおいて、又は無線被給電デバイスが置かれ得る任意の他の場所において、ゾーンを持つことが有利であり得る。
【0125】
図2のシステムは異なる材料が異なる送電器/送電コイルと使用されることを可能にしながらもこのような状況が生じるリスクを予防若しくは削減し得る。
【0126】
例えば、受電器は被給電デバイスのベースの最大温度及び/又は実際の温度を送電器へ通信し得る。そして送電器は動作面が耐えることができる温度(すなわちこの実施例における基準温度)と被給電デバイスのベースの最大温度及び/又は実際の温度(すなわちこの実施例における第一の温度)との比較に基づいて、送電を許可するかどうか及びどのレベルまで許可するかどうかを決定し得る。従って、これは特に電力伝送を防止し得るか、又は許容可能な温度を超える温度を生じないことがわかっているレベルに電力伝送信号の電力レベルを制限し得る。受電器がいかなる温度データも提供しない場合、送電器は電力伝送を防止し得る。
【0127】
送電器は一部の実施例においてオプションとしてユーザにシステムの状態を知らせ得る。例えば、これは以下を示すユーザ表示を提供し得る:
‐これが器具に給電するかどうか;
‐電力レベルが削減されるかどうか;
‐器具が動作面にとって熱過ぎるかどうか(警告が生成され得る);
及び/又は
‐器具のベースの実際の温度。
【0128】
一部の実施形態において、システムは電力伝送を修正するのではなく、特定の被給電デバイスが特定の送電器と使用されるべきでないことをユーザに特に示すことができるユーザ警告を単に生成し得る。例えば、送電器は準備ゾーン内の一つであり、受電器が加熱可能なデバイス用である場合、ユーザがそれを準備ゾーンの送電器から給電しようとする場合にユーザ警告が生成され得る。ユーザは代わりに被給電デバイスを調理ゾーン内の送電器へ動かし得る。従って、準備ゾーンの動作面への損傷が回避され得る。
【0129】
図2を参照して記載された追加制御機能は異なる実施形態において異なるユニット若しくは素子において実現され得る。特に、個々の機能ブロック/特徴の各々は(典型的には独立して)送電器101、受電器105において実現され得るか、又はこれらの間に分散され得る。
【0130】
一実施例として、一部の実施形態において、機能は送電器101において実現され得る。このような実施形態の送電器101の一実施例が図6に図示される。この実施例は図2のシステムに直接対応するが異なる追加制御機能は送電器101の一部として図示されている。
【0131】
この実施例において、送電器は内部若しくは外部ソースから第一の温度を受信し得る温度受信器207を有する。送電器はさらに比較器209と基準ソース211を有する。比較に基づいて、第一のコントローラ213はドライバ201を介して送電器を制御するか、及び/又はユーザインターフェース215を介してユーザ警告を生成するように進行する。
【0132】
制御機能が送電器において設けられるシステムの一実施例として、温度受信器207は、動作面上に置かれる被給電デバイスの温度を測定することができるようにキッチン動作面の面の上若しくはすぐ近くに置かれる第一の温度センサから第一の温度を受信し得る。例えば、温度センサは準備ゾーンの送電器のうちの一つの送電コイルの位置における面の上若しくはすぐ近くに位置付けられ得る。被給電デバイスが送電器上に位置付けられると、温度センサは被給電デバイスの底と接触し、それによってこの接触面の温度を測定することを可能にし得る。
【0133】
送電器101の比較器209は特に準備ゾーンの動作面の材料の最大許容接触温度をあらわし得る基準温度これを比較し得る。測定温度が基準温度を超える場合、送電器101の電力コントローラ303は電力伝送を制限するか若しくは場合により終了するように進行する。代替的に若しくは付加的に、電力コントローラ303はユーザ警告を生成するようにユーザインターフェース215を制御し得る。例えば、送電器101を含むキッチンユニットは視覚若しくは音響警告を生成し得る。
【0134】
このように、送電器101は従って被給電デバイスが準備ゾーンの動作面を損傷する可能性を防止若しくは削減することができる機能を有し得る。
【0135】
多くの実施形態において、基準温度は従って送電器101を有するオブジェクトの面の最大許容接触温度をあらわし得る。当該面は特に無線電力伝送用の受電器を受けることを目的とする上面であり得る。第一の温度は動作面が耐えることができる最大温度をあらわし得る。
【0136】
このパラメータは例えば製造中に決定されることができ、従って動作面の事前設定される温度限界であり得る。別の実施例として、これは例えばディップスイッチを設定することによって若しくはインストールインターフェースを介してインストール中に保存され得る。一部の実施形態において、基準温度は動作面が作られる材料のタイプを検出することによって決定される温度限界であり得る。
【0137】
ほとんどの実施形態において、温度受信器207は受電器105から第一の温度を受信するように構成される。
【0138】
送電器101への基準温度の通信は一部の実施形態において例えばQi通信システムから知られるような電力伝送信号の負荷変調を介してなされ得る。しかしながら、この通信は電力伝送信号が存在することを要し、従って例えばアクティブな電力伝送が進行中であるシナリオなど、特定の動作モードに通信を制限する。さらに、負荷変調は負荷変動によって生じるノイズの影響を受けやすい可能性がある。
【0139】
従って、一部の実施形態において、第一の温度は代替的に若しくは付加的に二次通信システム若しくはチャネル(しばしば帯域外周波信号方式と称される)を用いて通信され得る。例えば、多くの実施形態において、送電器101と受電器105はそれらが短距離通信リンクでデータ交換することを可能にする近距離無線通信(NFC)機能を有し得る。
【0140】
NFCは、通信が典型的には(平面)コイルである送信アンテナによって生成される近接場を用いる通信技術である。受信アンテナ(これも典型的には(平面)コイルである)は送信器の近接場内に位置付けられる。通信は典型的には10cm以内及び多くの場合わずか数cmの範囲の(超)短距離通信である。具体的なNFCシステムはNFC Forumによって規格化されており、具体的な情報は例えばISO/IEC_18092,"Information technology‐Telecommunications and information exchange between systems‐Near Field Communication‐Interface and Protocol(NFCIP‐1)"Second edition,15 March 2013を含む開発された標準規格において見られ得る。
【0141】
例えば20cm以内の通信距離を持つ短距離通信システムの使用は、第一の温度が受電器105から送電器101へ通信され得る場合、受電器105が本質的に送電器101の送電コイルのすぐ近くに、典型的にはその上に位置付けられるという利点を提供する。従って、短距離通信を用いることによって、制御機能は実質的に同一場所に位置するデバイスに基づいて動作を自動的に制御する。例えば、準備ゾーンにある送電器について、第一の温度が受電器から受信され得る場合、この受電器は準備ゾーンに位置付けられなければならないことが想定され得る。
【0142】
一部の実施形態において、第一の温度は被給電デバイスの面の所定最大温度である。受電器105はこの所定最大温度を送電器101へ送信するように構成され、これは保存された基準温度これを比較するように進行し得る。
【0143】
従って第一の温度は一部の実施形態において測定温度ではなく所定最大温度であり得る。所定最大温度は被給電デバイスの(不良でない)動作中に面が達することができる最大温度を反映する温度であり得る。最大温度は受電器の動作及び制御アルゴリズムに依存し得るか、又は例えば受電器の物理特性並びに送電器によって供給され得る最大電力(例えば無線伝送システムの標準規格若しくは仕様によって制限される)に依存し得る。所定最大温度は例えば被給電デバイスの製造若しくは設計フェーズ中に決定され、受電器に保存され得る。
【0144】
そして比較器209は受信した所定最大温度を、被給電デバイスを受けるための面の最大許容温度を反映する基準温度比較し得る。短距離通信リンクを介して(又はアクティブな電力伝送に対する負荷変調によって)受信される所定最大温度がその面の基準温度を超える場合、特定の被給電デバイスはその面を損傷する可能性を持つ。従って、ユーザに被給電デバイスを動かすよう促すユーザ警告が生成され得るか、及び/又は受電器への電力伝送が抑制され得る。例えば電力伝送は防止され得るか、又は面を損傷し得る温度をもたらさないと保証される所与の電力限界未満でのみ許可され得る。
【0145】
ほとんどの実施形態において、第一の温度は測定温度であり、すなわちこれは温度センサによって直接供給される値であるか、又はこれはこのような測定から導出されている値であり得る。このような温度は制御機能の動的適応を可能にし、特に改良された柔軟性と有用性を提供し得る。例えば、被給電デバイスは現在の温度が許容可能なレベルを超えないという条件でいかなる修正も伴わずに動作し得る。例えば、ポットは準備ゾーンに位置付けられる場合であっても低温設定において使用され得るが、表面の温度が動作面への損傷をもたらし得るレベルに増加する場合は電力が制限される。
【0146】
一部の実施形態において、第一の温度は従って被給電デバイスの関連部分と接触する温度センサによって直接測定され得る。多くの実施形態において、第一の温度は受電器が電力伝送のために送電器の上に位置付けられるときに送電器の面と接触する面の温度を反映し得る。第一の温度は従ってこのような面と接触する温度センサによって提供され得る。
【0147】
一部の実施形態において、第一の温度は被給電デバイスの特定部分若しくは面と直接接触しない温度センサによって提供される温度から計算若しくは推定され得る、すなわち間接測定がなされ得る。
【0148】
例えば、測定は被給電デバイスの別の部分についてなされ、例えば接触面など、関連部分の対応する温度を評価するために熱的モデルが使用され得る。熱的モデルは他の動作パラメータ、複数の温度測定などを考慮する複雑モデルであり得る。他の実施形態において、モデルは例えば所与の測定温度値について関連部分の推定/間接測定温度を提供する単純なルックアップテーブルであり得る。
【0149】
例えば、第一の温度は、加熱素子の実際の温度を測定し、そして加熱素子と器具のベースとの間の分離層の熱抵抗を用いて加熱素子のベース上の予想温度を決定することによって、例えば測定され得る。
【0150】
送電器へ送信される第一の温度が被給電デバイスの関連部分の現在の温度の推定/測定として直接使用され得るように、温度の決定は典型的には受電器において実行される。これは送電器が全ての被給電デバイスについて標準的アプローチを使用することを可能にし、個々の被給電デバイスの特定の特徴を考慮する必要がない。
【0151】
多くの実施形態において、送電器はさらに、(例えば所定時間間隔内に)受電器から第一の温度を受信しないことに応じて電力伝送信号の電力を制限するか、及び/又はユーザ警告を生成するように構成される。
【0152】
従って、送電器101が給電されるべき(若しくは給電されている)受電器105の存在を検出する場合、これは第一の温度を示すデータメッセージが受信されるかどうかをモニタリングするように進行する。何も受信されない場合、送電器はいかなる進行中の電力伝送も終了するように、又は新たな電力伝送が開始することを防止するように進行し得る。代替的に、これは電力伝送を許可し得るが、外部デバイスを許容できない温度に加熱しないと保証され得るレベルにこれを制限し得る。これは拡張機能をサポートしない(又は欠陥のある)デバイスでも、許容できない温度に達しないことを確実にし得る。
【0153】
典型的には、このようなシナリオにおいて、被給電デバイスが給電されない理由をユーザに示すためにユーザ警告も生成され得る。実際、一部の実施形態において、電力伝送は通常通り進行し得るが、潜在的リスクをユーザに警告するユーザ警告が生成される。このような実施形態において、ユーザは従って(もしあれば)とるべき適切な行動について決定し得る。
【0154】
当然のことながらアプローチは複数の送電器に使用されてもよい。実際、特定の実施例(例えば図5の)において、装置は複数の送電器を備える。図2若しくは6の機能はこれらの送電器の各々に提供され得る。さらに、比較のために使用される基準温度は異なる送電器によって異なり得る。特に、準備ゾーンに位置する送電器の基準温度は調理ゾーンに位置する送電器の基準温度よりも実質的に低くなり得る。
【0155】
一部の実施形態において、図2のシステムは受電器についての位置表示に応じて複数の基準温度から基準温度を選択するための選択器を含み、各基準温度は位置のセットと関連する。異なるセットについての基準温度は典型的には異なる(及び典型的には実質的に異なる)。
【0156】
例えば、温度受信器207は複数の異なる受電器から第一の温度を受信するように構成され、典型的には各受電器は異なる送電器若しくは送電コイルによって給電される。比較器209は各受信温度を基準温度比較し得るが、受電器が位置付けられる場所に依存して特定の基準温度が使用される。特に、基準温度はどの送電器が第一の温度を(短距離通信リンクを介して)受信するかに依存し得る。受信した第一の温度が選択された基準温度を超えると比較器209が検出する場合、これはこの第一のコントローラ213に指示し、それに従って第一のコントローラ213は第一の温度を受信した短距離通信ユニットと関連する送電器によって生成される電力伝送信号の電力レベルを制限するように進行する。
【0157】
(当然のことながら温度受信器207はこの場合分散され、異なる送電器の全ての短距離通信ユニットを含むとみなされ得るか、又は温度受信器207は異なる短距離通信ユニットから第一の温度を受信する中央ユニットであるとみなされ得る。)
【0158】
使用する基準温度を選択するために使用される位置表示は、典型的にはどの送電器/送電コイルに受電器が結合しているかの表示であり、これは典型的には短距離通信ユニットのどれが第一の温度を受信しているかによって示され得る。従って、多くの実施形態において、基準温度はどの短距離通信ユニットが第一の温度を受信するかに依存して選択される。
【0159】
システムは従って異なるゾーンにおける送電器/送電コイルに異なる機能を提供し得る。準備ゾーンに対する基準温度は例えば調理ゾーンに対する基準温度よりもかなり低くなるように選択され得る。
【0160】
一部の実施形態において、基準温度を超える第一の温度の検出は、送電器側によって、例えばキッチンユニットによって生成されるユーザ警告をもたらす。しかしながら、一部の実施形態において、ユニットは基準温度を超える第一の温度の検出の表示を受電器に送信するように構成される送信器を有し得る。そして受電器が(代替的に若しくは付加的に)ユーザ警告を生成し得る。例えば、被給電デバイスは、被給電デバイスの接触面の現在の温度によって損傷され得る面の下に位置する送電器上に位置付けられる場合に点灯する警告灯を有し得る。被給電デバイスによる表示は多くの実施形態において送電側(のみ)において提供される場合よりも迅速であり得る。
【0161】
当然のことながらいかなる適切な通信手段も送電器から受電器へデータを通信するために使用されることができる。例えば、データは電力伝送信号について変調され得るか、又は多くの実施形態においてNFC短距離通信は双方向通信であり得る。
【0162】
一部の実施形態において、比較器209は受電器105に含まれ得る。
【0163】
このような実施形態において、基準ソース211は送電器101から基準温度を受信するように構成される受信器を有し得る。例えば、送電器101は受電器105の存在を検出するときに受電器105へ基準温度を送信するように構成され得る。通信は特にNFC短距離通信リンクを介してなされ得る。基準ソース211は従って被給電デバイスが送電器101に結合するように位置付けられるときにNFC通信リンクを介して基準温度を受信し得る。
【0164】
基準温度は温度受信器207から第一の温度も受信する比較器209に与えられる。温度受信器207はこの場合内部ソースから、例えば被給電デバイスの関連部分と接触する温度センサなどから(若しくはそこから第一の温度が推定/計算され得る測定を提供する温度センサから)、第一の温度を受信し得る。
【0165】
第一の温度が基準温度を超えることを比較器209が検出する場合、受電器105は一部の実施形態においてこの検出の表示を送電器101に送信し得る。それに応じて、送電器101は電力伝送信号の電力を制限するか、及び/又はユーザ警告を生成するように進行し得る。
【0166】
従って、このようなシナリオにおいて、第一のコントローラ213は受電器105に組み入れられ、適切なメッセージを送電器101に送信することによって電力を制限する/ユーザ警告を生成するとみなされ得る。同様に、第一のコントローラ213は送電器101に組み入れられ、受電器105に含まれる比較器209からメッセージを受信し、第一のコントローラ213が電力伝送信号の電力を制御することになるとみなされ得る。
【0167】
従って、改良された制御機能のほとんどが受電器105に含まれる実施形態例において、送電器101は動作面の許容最大温度を受電器105に通信し得る。そして受電器105は、動作面の許容温度と、器具のベースの最大温度及び/又は実際の温度とに基づいて、
‐受電が許可されるかどうか、及び
‐どの電力レベルまでか
を決定し得る。
【0168】
そしてこれは電力伝送動作をそれに従って制御するように進行し得る。
【0169】
被給電デバイスはオプションとしてシステムの状態をユーザに知らせ、特に、
‐給電されているかどうか、
‐電力レベルが削減されるかどうか、
被給電デバイスが動作面にとって熱過ぎるかどうか(警告)、及び/又は
‐器具のベースの実際の温度
を示し得る。
【0170】
受電器においてこの機能を持つアプローチの利点は、受電器が送電器の決定を待たなくてよいことである。これは多くの場合、動作面への潜在的損傷のリスクのユーザへのより迅速な表示を可能にし得る。
【0171】
例えば、受電器は第一の温度を常にモニタリングし、これが第一の基準温度を決して超えないように電力伝送を制御し得る。
【0172】
別の実施例として、受電器は、いかなる面にとっても及び/又は人に触れられるために安全であるとみなされる、典型的には所定の、追加の基準温度を使用し得る。コントローラ(213)は、(電力伝送のために関連付けられる)送電器から第一の基準温度を受信した場合のみこの所定基準温度が超えられることを可能にし得る。しかしながら、受電器がいかなる送電器とも関連しない(若しくは基準温度を提供していない送電器と関連する)場合、これは所定基準温度を使用する。例えば受電器を有するデバイスが調理ゾーン内の送電器によって給電されており、ユーザがそれをどこかに置くためにデバイスを持ち上げる場合、受電器は第一の温度が所定基準温度を超えることをユーザに警告し得る。これはユーザがデバイスの過度に熱い部分に触れることを防止し得るか、及び/又は受容面が高温に耐えることができないエリアにユーザが被給電デバイスを置くことを防止し得る。
【0173】
従って、一部の実施形態において、受電器は基準温度が関連する送電器から(すなわち給電している送電器から)受信されていない場合に所定基準温度として基準温度を決定するように構成され得る。所定基準温度は受電器に保存され、いかなる送電器とも関連しない場合がある。むしろ、所定基準温度は送電器によって提供される特定の基準温度がない場合に使用されるデフォルトの若しくは公称基準温度であり得る。受電器に給電している(若しくは短距離通信システムを用いて単に通信している)送電器から特定の基準温度が受信される場合、この基準温度は受電器がこの送電器に結合される限りは所定基準温度を上書きし得る。
【0174】
図7図2の制御機能が受電器に組み入れられる受電器の一実施例を図示する。
【0175】
一部の実施形態において、第一のコントローラ213は受電器105に組み入れられ、電力伝送信号の電力を削減するよう送電器101に要求することによって電力伝送信号の電力を制限し得る。例えば、第一の温度が基準温度を超えるとの検出に応じて、第一のコントローラ213は第一の温度が妥当なレベルまで下がるまで送電器101に電力低下要求が送信されることを開始し得る。第一のコントローラ213は特に電力低下を要求する報告されたエラー制御メッセージを生じるように電力制御ループ動作を修正し得る。これは例えばシステムが標準的な非拡張送電器と使用されることを可能にし得る。
【0176】
従って受電器105は、電力制御ループフィードバックメッセージが受電器105から送電器101へ送信される電力制御ループをサポートする。電力制御ループフィードバックメッセージは電力伝送信号の電力が増加される、減少される若しくは同じままであることを要求し得る。そして送電器101はそれに従って電力伝送信号の電力を調節し得る。
【0177】
特に、図7に図示の通り、受電器105は電力制御ループフィードバックメッセージを送電器101に送信するように構成される電力制御送信器701を有し得る。電力制御ループフィードバックメッセージは特に負荷変調によって送信され、特にQi規格に対応して少なくとも250m秒毎に送信され得る。電力制御ループフィードバックメッセージは電力伝送信号の電力増加若しくは電力低下を要求し得る。送電器101が電力制御ループフィードバックメッセージを受信すると、これは要求に従って進行し得る、すなわち電力レベルを所定量増加若しくは減少し得る。
【0178】
受電器105はさらに電力制御送信器701に結合される電力コントローラ703を有する。電力コントローラ703は電力制御ループフィードバックメッセージのための電力変更要求を生成するように構成される、すなわちこれは電力増加若しくは電力低下(若しくは変化なし)要求が電力制御ループフィードバックメッセージに含まれるべきかどうかを決定し得る。
【0179】
図7の受電器105において、電力制御ループは温度に基づき、電力変更要求は温度に基づいて、特に加熱部温度に基づいて決定される。従って、受電器105は加熱部温度を測定する加熱部温度センサ705を有する。加熱部温度センサ705は例えば加熱部温度と直接接触し得るか、又は例えば他の素子を介して測定され得る。後者の場合、測定温度から加熱部温度を推定するために熱的モデルが例えば使用され得るか、又は任意の推定差が例えば加熱部温度の処理に含まれ、例えば特にそれに従って修正される動作基準温度に含まれ得る。
【0180】
加熱部温度センサ705は電力コントローラ703に結合される。加熱中、電力コントローラ703は測定された加熱部温度を加熱部の所望の動作温度比較し得る。測定された加熱部温度が所望の動作温度を超える場合、電力が減少されることを要求する電力要求が生成され、そうでなければ電力が増加されることを要求する電力要求が生成される。結果として、電力伝送信号の電力は加熱部温度が所望の動作温度を持つこととなるレベルの方へバイアスされる。
【0181】
図7の受電器105、従って図1及び2のシステムは、従って加熱部温度の所望の動作温度をもたらすように電力伝送信号の電力を制御することができる温度制御電力制御ループをサポートし得る。
【0182】
一部の実施形態において、この電力制御ループは付加的に第一の温度に、すなわち被給電デバイスの接触面の温度に依存し得る。特に電力低下要求は第一の温度が基準温度を超える場合に送信され得る。従って、電力制御ループフィードバックメッセージの電力変更要求も第一の温度に依存し得る。
【0183】
電力制御ループフィードバックメッセージは通常動作中は所望の動作条件に依存し得る。特に、第一の温度が基準温度を下回るとき、電力制御ループは加熱部温度の所望の動作温度に依存し得る。しかしながら、第一の温度が基準温度を超える場合は、現在の及び所望の動作温度間の差にかかわらず電力低下要求が送信されるように動作が修正され得る。従って、基準温度への第一の温度の比較は電力制御ループの通常動作に優先し得る安全予防措置となり得る。
【0184】
従って受電器は二つ以上の温度センサを有し得る。第一のセンサは第一の温度を決定するために使用され得る。例えば、温度センサは被給電デバイスの接触面と接触して位置付けられ得る。
【0185】
受電器はさらに被給電デバイスの加熱部の、例えばケトル若しくはポットの加熱素子などの温度である第二の温度を決定するために使用される第二の温度センサを有する。
【0186】
従って、システムは被給電デバイスの加熱素子の温度並びに被給電デバイスの接触面の温度を(直接若しくは間接的に)測定し得る。
【0187】
電力制御ループはこのような実施形態において第二の温度に基づき得る、すなわち電力制御ループは加熱素子の所望の温度を提供するように制御され得る。しかしながら、単に加熱素子の所望の温度を提供するように電力伝送を操作するのではなく、システムはさらに被給電デバイスの接触面の温度が所与の基準温度(典型的には送電器を有するデバイス若しくはユニットの面の最大許容温度に対応する)を超えるかどうかを検出する安全動作を含む。
【0188】
過熱が検出される場合、システムは上記アプローチのいずれかに従って電力伝送を終了し、電力を削減し、及び/又はユーザ警告を生成し得る。
【0189】
一部の実施形態において、電力制御ループコントローラは特に第一及び第二の温度の両方に依存して電力要求を生成し得る。特に、電力要求は第一の温度が基準温度を下回る限り第二の温度に依存して生成され得る。しかしながら、第一の温度が基準温度を超える場合、第二の温度にかかわらず電力低下要求が生成され得る。
【0190】
上記アプローチに従った電力伝送システムの動作の特定の実施例が図8を特に参照して提供される。
【0191】
実施例において、ケトルの形の被給電デバイス801が送電器によって加熱され得る。
【0192】
被給電デバイス801は鉄プレート803の形の加熱素子と、加熱素子の温度を測定する一つの温度センサ805と、被給電デバイス801の接触面(ベース)の温度を測定する一つの温度センサ807とを有する。鉄プレート803は交流磁場にさらされる場合に加熱する。
【0193】
被給電デバイス801はさらに二次通信コイル809、短距離通信ユニット811、及びユーザインターフェース813を有する。
【0194】
実施例において、プレートからベースを断熱するために鉄プレート803と被給電デバイス801のベース/接触面の間に距離(例えば1cm)がある。第一の温度センサ801はプレート803の温度をあらわす値を提供するように鉄プレート803に取り付けられる。第二の温度センサ807は鉄プレート803に無線給電し得るキッチンユニットの動作面815と接触する被給電デバイス801のベースの温度をあらわす値を提供するように被給電デバイス801のベースに取り付けられる。
【0195】
ユニットは少なくとも一つの送電器101を有し、特に被給電デバイス801に給電するための送電コイル817及び受電器と通信するための一次通信コイル819を有する。送電器101はさらに受電器の通信ユニット811と通信するためのNFC通信ユニット821を有する。
【0196】
例示的なシステムは特に以下の通り動作し得る:
1)送電器101は一次通信コイル819を通じてピン信号を送信することによって被給電デバイス801を検出し得る。被給電デバイス801の通信ユニット811は二次通信コイル809を通じてピン信号を受信する。通信ユニット811は被給電デバイス801の存在を示すために送電器通信ユニット821へ通信コイル809,819を通じて例えば識別メッセージで応答する。
オプションとして送電器は例えば音を発することによって器具を検出したことをユーザに示し得る。オプションとして被給電デバイス801は例えばユーザインターフェース813におけるLEDを点灯させることによって送電器によってピンされていることをユーザに示し得る。
一次通信ユニット821は動作面の最大許容温度を受電器に送信し得る(すなわち基準温度)。
2)ユーザは例えば所望の温度を設定すること及びユーザインターフェース813上のボタンを押すことによって被給電デバイス801を起動する。そして受電器は電力伝送を要求し、送電器101に初期電力需要を通信する。送電器101は電力ドライバを起動して一次電力コイル817を通じて磁場を供給する。被給電デバイス801の鉄プレート803は磁場にさらされ加熱し始める。
3)受電器は第一の温度センサ801によって測定される実際の温度と所望の温度との差に基づいて鉄プレート803の温度を調節する。温度の制御は送電器101へ所要電力需要の更新を規則的に送信することによって実現される。送電器101は実際の電力需要に従って電力ドライバを制御することによって磁場を修正する。付加的に、受電器は第二の温度センサ807によって示されるベースの温度が基準温度に達するときにその電力需要を制限する。付加的に受電器は例えば鉄プレート803の実際の温度を表示すること、動作面の許容温度限界によって生じる制限機能を示すことなどによって、ユーザインターフェース813を介して動作をユーザに知らせ得る。
例えば高温に耐えられる動作面からこの高温に耐えられない動作面へと器具が動かされるために(又は単純に動作面によってサポートされることができないレベルまでの被給電デバイスの加熱に起因して)、被給電デバイス801のベースの温度が動作面815の許容限界を超える場合、受電器はこれを検出し、ベースの実際の温度が動作面の温度限界を超えることをユーザに警告する。これは例えばユーザが動作面から器具を移動させなければならないことを示す光を点滅させることによって警告を示し得る。
4)受電器は被給電デバイス801のベースの温度を送電器101に通信する。器具のベースの温度が最大許容温度(例えばセ氏50度)に達する場合、送電器101は電力伝送信号の電力を削減し、特に電力伝送を中止し得る。
典型的には、送電器101は被給電デバイス801のベースの温度が動作面815の許容限界に達したときに、例えば警告音を発することによってもユーザに警告し得る。例えば被給電デバイス801が高温に耐えられる動作面からその高温に耐えられない動作面へと動かされるために、被給電デバイス801のベースの温度が動作面815の許容限界を超える場合、送電器101は、例えば警告音を発しそれによってユーザが動作面から器具を移動させるべきことを示すことによって、ベースの実際の温度が動作面の温度限界を超えることをユーザに警告し得る。一部のシナリオにおいて、送電器101は過度の温度の検出を受電器に知らせることができ、そして受電器はユーザインターフェース813を介してユーザに警告することができる。
【0197】
当然のことながら一部の実施形態において、例えば独立制御機能が送電器101と受電器105の両方に組み入れられることによって、冗長性が導入され得る。例えば、図6の送電器は図7の受電器と使用されることができる。
【0198】
このアプローチの利点は、比較器インスタンスの一つ(109)若しくはコントローラインスタンスの一つ(213)が故障する場合、他のインスタンスが依然として動作可能であり、望ましくないシナリオのリスクを防止若しくは削減し得ることである。このアプローチの別の利点は、送電器が反応する前に望ましくない状況を防止する高速反応若しくは厳密な制御を受電器が提供し得ることである。例えば、受電器は第一の温度が基準温度を超えないことを防止するために主導権を持ち得る。受電器がこれに失敗する場合、送電器がバックアップ安全手段として制御を引き受け、例えば電力伝送を終了させることができる。
【0199】
当然のことながら明確にするための上記記載は異なる機能回路、ユニット及びプロセッサに関して本発明の実施形態を記載している。しかし当然のことながら異なる機能回路、ユニット若しくはプロセッサ間での機能のいかなる適切な分散も、本発明を損なうことなく使用され得る。例えば、別々のプロセッサ若しくはコントローラによって実行されるように例示される機能が、同じプロセッサ若しくはコントローラによって実行されてもよい。従って、特定の機能ユニット若しくは回路への言及は厳密な論理的若しくは物理的構造若しくは機構を示すのではなく記載の機能を提供するための適切な手段への言及とみなされるに過ぎない。
【0200】
本発明はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア若しくはこれらの任意の組み合わせを含む任意の適切な形式で実現され得る。本発明は随意に一つ以上のデータプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサ上で実行するコンピュータソフトウェアとして少なくとも部分的に実現され得る。本発明の実施形態の構成要素及び部品は任意の適切な方法で物理的に、機能的に及び論理的に実現され得る。実際、機能は単一ユニットにおいて、複数のユニットにおいて、若しくは他の機能ユニットの一部として実現され得る。従って、本発明は単一ユニットにおいて実現され得るか、又は異なるユニット、回路及びプロセッサ間に物理的に及び機能的に分散されてもよい。
【0201】
本発明は一部の実施形態に関して記載されているが、本明細書に記載の特定の形式に限定されないことが意図される。むしろ、本発明の範囲は添付の請求項にのみ限定される。付加的に、ある特徴は特定実施形態に関して記載されるように見えるかもしれないが、当業者は記載の実施形態の様々な特徴が本発明に従って組み合され得ることを認識するだろう。請求項において、有するという語は他の要素若しくはステップの存在を除外しない。
【0202】
さらに、個別に列挙されるが、複数の手段、要素、回路若しくは方法ステップは例えば単一の回路、ユニット若しくはプロセッサによって実現され得る。付加的に、個々の特徴が異なる請求項に含まれ得るが、これらは場合により好都合に組み合わされてもよく、異なる請求項への包含は特徴の組み合わせが実現可能及び/又は好都合でないことを示唆しない。請求項の一つのカテゴリへの特徴の包含もこのカテゴリへの限定を示唆せず、むしろ特徴が必要に応じて他の請求項カテゴリに等しく適用可能であることを示す。さらに、請求項における特徴の順序は特徴が実施されなければならないいかなる特定の順序も示唆せず、特に方法の請求項における個々のステップの順序はステップがこの順序で実行されなければならないことを示唆しない。むしろ、ステップはいかなる適切な順序で実行されてもよい。加えて、単数形の参照は複数を除外しない。従って"a"、"an"、"first"、"second"などの参照は複数を除外しない。請求項における参照符号は単に明確にする実施例として与えられるに過ぎず、決して請求項の範囲を限定するものと解釈されてはならない。
図1
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図8