特許第5972585号(P5972585)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972585
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】スラッジ貯蔵タンク
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/00 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
   B65D90/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-18409(P2012-18409)
(22)【出願日】2012年1月31日
(65)【公開番号】特開2013-154933(P2013-154933A)
(43)【公開日】2013年8月15日
【審査請求日】2015年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】串岡 清則
(72)【発明者】
【氏名】間所 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】村田 和豊
(72)【発明者】
【氏名】野口 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】志方 正範
(72)【発明者】
【氏名】高田 智成
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特公昭58−025518(JP,B2)
【文献】 特開昭59−015088(JP,A)
【文献】 特開平07−008982(JP,A)
【文献】 特開昭61−111187(JP,A)
【文献】 特開昭57−153881(JP,A)
【文献】 特開2004−100221(JP,A)
【文献】 特開2012−193506(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 90/00
F17C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空円筒形状をなして長手方向が水平方向に沿って配置されてスラッジを含む液体を貯留可能なタンク本体と、
前記タンク本体の上部からスラッジを含む液体を供給可能な供給部と、
前記タンク本体の上部からスラッジを含む液体を吸引排出可能な排出部と、
前記タンク本体内で底部方向に向かってガスを噴出可能なガス噴出装置と、
前記ガス噴出装置から噴出されたガスの流れを規制することでスラッジを含む液体の上昇流を生成するガイド部材と、
を備え、
前記ガイド部材は、前記タンク本体の底部から所定隙間をもって略水平方向に沿って配置され、前記ガイド部材と前記タンク本体の底部との間に前記ガス噴出装置によるガス噴出口が配置され、前記ガス噴出口が前記ガイド部材に対して前記タンク本体の周方向の一方側にずれて配置され、前記ガイド部材における前記タンク本体の周方向の端部側に流通部が設けられる、
ことを特徴とするスラッジ貯蔵タンク。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記タンク本体の底部に沿った湾曲形状をなすことを特徴とする請求項1に記載のスラッジ貯蔵タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚泥など微細なスラッジを含んだ液体を貯蔵するためのスラッジ貯蔵タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スラッジを含んだ液体を貯蔵するものとしてスラッジ貯蔵タンクがある。このスラッジ貯蔵タンクは、発生した粉体などを水などと共に内部に一時的に貯留し、必要に応じて排出して処理するものである。このようなスラッジ貯蔵タンクでは、長期間貯留すると、水に対してスラッジが沈降して固着してしまうことから、タンクの内部を攪拌して流動性を確保する必要がある。そのため、従来のスラッジ貯蔵タンクは、内部に空気を送給してバブリングすることで、タンクの内部を攪拌して流動性を確保していた。
【0003】
このようなスラッジ貯蔵タンクとしては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載された放射性物質で汚染されたスラッジを移送する方法および装置は、貯蔵タンク内部で堆積したスラッジ層の上に存在する上澄み水に対して空気を吹き込んで局部的に撹拌することにより流動性のスラッジ液を形成し、このスラッジ液をスラッジ移送ポンプにより貯蔵タンクから吸い出して移送タンクに移送し、移送タンクにおいて生じた上澄み水を貯蔵タンクに返還して噴出させ、スラッジ堆積層に向かって勢いよく吹き当てることにより破砕するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−096116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のスラッジ貯蔵タンクでは、空気や水を内部に供給することで、スラッジを攪拌させている。しかし、スラッジを含む液体は、粘性が高いものであることから、十分な流動性を確保することが困難である。そして、スラッジがタンクの底部に固着してしまうと、スラッジの材質によってはタンクを腐食させてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、内部のスラッジの流動性を確保してこのスラッジの沈降による固着を抑制可能とするスラッジ貯蔵タンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明のスラッジ貯蔵タンクは、中空円筒形状をなして長手方向が水平方向に沿って配置されてスラッジを含む液体を貯留可能なタンク本体と、前記タンク本体の上部からスラッジを含む液体を供給可能な供給部と、前記タンク本体の上部からスラッジを含む液体を吸引排出可能な排出部と、前記タンク本体内で底部方向に向かってガスを噴出可能なガス噴出装置と、前記ガス噴出装置から噴出されたガスの流れを規制することでスラッジを含む液体の上昇流を生成するガイド部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
従って、ガス噴出装置によりタンク本体内で底部方向に向かってガスが噴出されると、このガスは、ガイド部材によりその流れが規制されることで、スラッジを含む液体の上昇流が生成されることとなり、タンク本体の内部でスラッジを流動させることが可能となり、内部のスラッジの流動性を確保してこのスラッジの沈降による固着を抑制することができる。
【0009】
本発明のスラッジ貯蔵タンクでは、前記ガイド部材は、前記ガス噴出装置によるガス噴出口の上方に配置されることを特徴としている。
【0010】
従って、ガス噴出装置によりタンク本体内で底部方向に向かってガスが噴出されると、このガスは、その上方にあるガイド部材によりその流れが規制され、タンク本体の内面に沿って流れることで、スラッジを含む液体の上昇旋回流が生成されることとなり、タンク本体の内部でスラッジを流動させることが可能となる。
【0011】
本発明のスラッジ貯蔵タンクでは、前記ガイド部材は、前記タンク本体の底部から所定隙間をもって略水平方向に沿って配置され、前記ガイド部材と前記タンク本体の底部との間に前記ガス噴出口が配置され、前記ガイド部材における前記タンク本体の周方向の端部側に流通部が設けられることを特徴としている。
【0012】
従って、ガス噴出装置によりタンク本体内で底部方向に向かってガスが噴出されると、このガスは、その上方にあるガイド部材によりその流れが規制され、一方の流通部から上昇することから、他方の流通部から液体が吸入されてスラッジを含む液体の旋回流が生成されることとなり、タンク本体の内部でスラッジを流動させることが可能となる。
【0013】
本発明のスラッジ貯蔵タンクでは、前記ガイド部材は、前記タンク本体の底部に沿った湾曲形状をなすことを特徴としている。
【0014】
従って、ガイド部材がタンク本体の底部に沿った湾曲形状をなすことで、スラッジを含む液体の旋回流を容易に生成することができる。
【0015】
本発明のスラッジ貯蔵タンクでは、前記ガイド部材は、前記タンク本体の長手方向に沿うと共に前記タンク本体の底部から鉛直方向の上方に沿って延出され、前記ガイド部材の両側に前記ガス噴出装置におけるガス噴出口が配置されることを特徴としている。
【0016】
従って、ガス噴出装置によりタンク本体内で底部方向に向かってガスが噴出されると、このガスは、鉛直方向に沿ったガイド部材によりその流れが規制され、このガイド部材に沿って流れることで、スラッジを含む液体の上昇流が生成されることとなり、タンク本体の内部でスラッジを流動させることが可能となる。
【0017】
本発明のスラッジ貯蔵タンクでは、前記ガイド部材は、前記タンク本体の底部に略水平方向に沿って固定され、前記ガイド部材の上方に前記ガス噴出装置におけるガス噴出口が配置されることを特徴としている。
【0018】
従って、ガス噴出装置によりタンク本体内で底部方向に向かってガスが噴出されると、このガスは、その下方にあるガイド部材によりその流れが規制され、タンク本体の内面に沿って流れることで、スラッジを含む液体の上昇旋回流が生成されることとなり、タンク本体の内部でスラッジを流動させることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のスラッジ貯蔵タンクによれば、中空円筒形状をなして長手方向が水平方向に沿って配置されてスラッジを含む液体を貯留可能なタンク本体に、底部方向に向かってガスを噴出可能なガス噴出装置を設けると共に、噴出されたガスの流れを規制することでスラッジを含む液体の上昇流を生成するガイド部材とを設けるので、タンク本体の内部でスラッジを流動させることが可能となり、内部のスラッジの流動性を確保してこのスラッジの沈降による固着を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施例1に係るスラッジ貯蔵タンクの断面(図2のI−I断面)図である。
図2図2は、実施例1のスラッジ貯蔵タンクの内部を表す概略図である。
図3図3は、実施例1の変形例を表すスラッジ貯蔵タンクの断面図である。
図4図4は、実施例1の変形例を表すスラッジ貯蔵タンクの断面図である。
図5図5は、本発明の実施例2に係るスラッジ貯蔵タンクの断面図である。
図6図6は、本発明の実施例3に係るスラッジ貯蔵タンクの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照して、本発明のスラッジ貯蔵タンクの好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例により本発明が限定されるものではなく、また、実施例が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係るスラッジ貯蔵タンクの断面(図2のI−I断面)図、図2は、実施例1のスラッジ貯蔵タンクの内部を表す概略図、図3及び図4は、実施例1の変形例を表すスラッジ貯蔵タンクの断面図である。
【0023】
実施例1において、図1及び図2に示すように、スラッジ貯蔵タンク10は、タンク本体11と、供給部12と、排出部13と、ガス噴出装置14と、ガイド部材15とを有している。
【0024】
タンク本体11は、中空円筒形状をなして長手方向が水平方向に沿って、つまり、横倒しされて配置されている。このタンク本体11は、長手方向における一方の上部にスラッジを含む液体Sを供給可能な供給部12が設けられており、内部にこのスラッジを含む液体Sを貯留可能となっている。また、タンク本体11は、長手方向における他方の上部にスラッジを含む液体Sを吸引排出可能な排出部13が設けられている。この排出部13は、筒形状をなし、下部がタンク本体11の底部まで延出され、上部がタンク本体11の外部まで延出され、図示しない吸引装置が連結されている。
【0025】
また、ガス噴出装置14は、タンク本体11の底部方向に向かってガス(空気)を噴出可能である。即ち、ガス供給配管21は、タンク本体11における長手方向の一端部からこのタンク本体11の内部に侵入し、タンク本体11における長手方向の他端部まで延出されることで、タンク本体11の底部から所定距離だけ離間した位置で、この底部に沿って配置されている。このガス供給配管21は、基端部に図示しない空気供給装置が連結され、タンク本体11の内部に位置する領域の下面に多数の噴出口22が形成されている。この場合、ガス供給配管21は、タンク本体11の長手方向に沿って配置されるものの、タンク本体11における水平方向の一方側(図1にて右側)へ所定量ずれて配置されている。
【0026】
従って、ガス噴出装置14は、空気供給装置によりガス供給配管21内へ空気を供給すると、多数の噴出口22から下方へ、つまり、タンク本体11の底部に向かって空気を噴出することができる。
【0027】
ガイド部材15は、ガス噴出装置14におけるガス供給配管21の各噴出口22から噴出された空気の流れを規制することで、スラッジを含む液体Sの上昇流を生成するものである。このガイド部材15は、タンク本体11の底部に沿って湾曲した板形状をなし、ガス噴出装置14におけるガス供給配管21の各噴出口22の上方に配置されている。
【0028】
この場合、ガイド部材15は、長手方向の各端部がタンク本体11における長手方向の端部に連結されている。また、ガイド部材15は、タンク本体11の底部から所定隙間をもって略水平方向(具体的にはタンク本体11の底部に平行な方向)に沿って配置され、このガイド部材15とタンク本体11の底部との間にガス供給配管21(噴出口22)が配置されている。そして、ガイド部材15におけるタンク本体11の周方向の各端部側に流通部23,24が設けられている。
【0029】
従って、ガス噴出装置14を作動し、ガス供給配管21の各噴出口22からタンク本体11の底部に向かって空気を噴出すると、この空気はバブル状となり、ガイド部材15の下面によりその流れが規制されることで、タンク本体11の内面に沿って流れ、ガス供給配管21の配置位置がずれた側の流通部23を通ってタンク本体11の内部を上昇する。そのため、この空気の上昇流によりスラッジを含む液体Sの上昇流が生成される。
【0030】
すると、ガイド部材15とタンク本体11の底部との間の空間部が負圧になることから、タンク本体11の内部のスラッジを含む液体Sは、流通部24から底部側に吸入されることで、タンク本体11の内面に沿った流れが形成される。そのため、ガイド部材15とタンク本体11の底部との間の空間で、流通部24から流通部23側へのスラッジを含む液体Sの流れが形成されることとなり、タンク本体11の内部で、スラッジを含む液体Sの旋回流(循環流)が生成されることとなり、タンク本体11の内部でスラッジが流動する。
【0031】
その結果、タンク本体11の内部でスラッジを流動させることが可能となり、スラッジがタンク本体11の底部に沈降しにくくなり、このスラッジの沈降による固着が抑制される。
【0032】
このように実施例1のスラッジ貯蔵タンクにあっては、中空円筒形状をなして長手方向が水平方向に沿って配置されてスラッジを含む液体Sを貯留可能なタンク本体11と、タンク本体11の上部からスラッジを含む液体Sを供給可能な供給部12と、タンク本体11の上部からスラッジを含む液体Sを吸引排出可能な排出部13と、タンク本体11内で底部方向に向かってガスを噴出可能なガス噴出装置14と、ガス噴出装置14から噴出された空気の流れを規制することでスラッジを含む液体Sの上昇流を生成するガイド部材15とを設けている。
【0033】
従って、ガス噴出装置14によりタンク本体11内で底部方向に向かって空気が噴出されると、この空気は、ガイド部材15によりその流れが規制されることで、スラッジを含む液体Sの上昇流が生成されることとなり、タンク本体11の内部でスラッジを流動させることが可能となり、内部のスラッジの流動性を確保してこのスラッジの沈降による固着を抑制することができる。
【0034】
また、実施例1のスラッジ貯蔵タンクでは、ガイド部材15をガス噴出装置14による噴出口22の上方に配置している。従って、噴出口22からタンク本体11内で底部方向に向かって空気が噴出されると、この空気は、その上方にあるガイド部材15によりその流れが規制され、タンク本体11の内面に沿って流れることで、スラッジを含む液体の上昇旋回流が生成されることとなり、タンク本体11の内部でスラッジを流動させることが可能となる。
【0035】
また、実施例1のスラッジ貯蔵タンクでは、ガイド部材15をタンク本体11の底部から所定隙間をもって略水平方向に沿って配置し、ガイド部材15とタンク本体11の底部との間に噴出口22を配置し、ガイド部材15におけるタンク本体11の周方向の端部側に流通部23,24を設けている。従って、噴出口22から噴出された空気は、その上方にあるガイド部材15によりその流れが規制され、一方の流通部23から上昇することから、他方の流通部24からスラッジを含む液体Sが吸入されて旋回流が生成されることとなり、タンク本体11の内部でスラッジを流動させることが可能となる。
【0036】
また、実施例1のスラッジ貯蔵タンクでは、ガイド部材15をタンク本体11の底部に沿った湾曲形状としている。従って、スラッジを含む液体Sの旋回流を容易に生成することができる。
【0037】
なお、この実施例1にて、ガイド部材15をタンク本体11の底部に沿って湾曲した板形状としたが、この形状に限定されるものではない。
【0038】
例えば、図3に示すように、ガイド部材16は、ガス噴出装置14におけるガス供給配管21の各噴出口22から噴出された空気の流れを規制することで、スラッジを含む液体Sの上昇流を生成するものである。このガイド部材16は、ガス噴出装置14におけるガス供給配管21の各噴出口22の上方に配置されている。このガイド部材16は、タンク本体11の底部に沿って下方に湾曲した下部湾曲面16aと、略水平方向に沿った上部水平面16bとから構成されている。
【0039】
また、図4に示すように、ガイド部材17は、ガス噴出装置14におけるガス供給配管21の各噴出口22から噴出された空気の流れを規制することで、スラッジを含む液体Sの上昇流を生成するものである。このガイド部材17は、ガス噴出装置14におけるガス供給配管21の各噴出口22の上方に配置されている。このガイド部材17は、タンク本体11の底部に沿った下方に湾曲した下部湾曲面17aと、上方に突出するように湾曲した上部湾曲面17bとから構成されている。
【0040】
ガイド部材16,17をそれぞれの形状とすることで、ガイド部材15と同様に、ガス供給配管21の各噴出口22から噴射された空気により、タンク本体11の内部でスラッジを含む液体Sの旋回流が生成されることとなり、スラッジがタンク本体11の底部に沈降しにくくなり、このスラッジの沈降による固着が抑制される。
【0041】
また、ガイド部材16が上部水平面16bを有していたり、ガイド部材17が上部湾曲面17bを有していたりすることにより、ガイド部材16,17の上部へのスラッジの堆積が抑制される。
【実施例2】
【0042】
図5は、本発明の実施例2に係るスラッジ貯蔵タンクの断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0043】
実施例2において、図5に示すように、スラッジ貯蔵タンク30は、タンク本体11と、供給部12(図2参照)と、排出部13(図2参照)と、ガス噴出装置31と、ガイド部材32とを有している。
【0044】
ガス噴出装置31は、タンク本体11の底部方向に向かってガス(空気)を噴出可能である。即ち、2つのガス供給配管41,42は、タンク本体11における長手方向の一端部からこのタンク本体11の内部に侵入し、タンク本体11における長手方向の他端部まで延出されることで、タンク本体11の底部から所定距離だけ離間した位置で、この底部に沿って配置されている。この各ガス供給配管41,42は、基端部に図示しない空気供給装置が連結され、タンク本体11の内部に位置する領域の下面に多数の噴出口43,44が形成されている。この場合、各ガス供給配管41,42は、タンク本体11の長手方向に沿って略平行をなして配置されている。
【0045】
ガイド部材32は、ガス噴出装置31におけるガス供給配管41,42の各噴出口43,44から噴出された空気の流れを規制することで、スラッジを含む液体Sの上昇流を生成するものである。このガイド部材32は、鉛直方向に沿った平板形状をなし、タンク本体11の長手方向に沿うと共に、タンク本体11の底部から鉛直方向の上方に沿って延出している。そして、このガイド部材32は、ガス噴出装置31における2つのガス供給配管41,42の間に配置されることとなる。即ち、このガイド部材32は、その両側にガス供給配管41,42の各噴出口43が配置されることとなる。
【0046】
従って、ガス噴出装置31を作動し、各ガス供給配管41,42の各噴出口43,44からタンク本体11の底部に向かって空気を噴出すると、この空気はバブル状となり、ガイド部材32の各側面によりその流れが規制されることで、このガイド部材32の各側面に沿って流れ、タンク本体11の内部を上昇する。そのため、この空気の上昇流によりスラッジを含む液体Sの上昇流が生成される。
【0047】
すると、タンク本体11の底部の空間部が負圧になることから、タンク本体11の内部のスラッジを含む液体Sは、タンク本体11の内面に沿って底部側に吸入されることで、タンク本体11の内面に沿った流れが形成される。そのため、ガイド部材32により2つの仕切られたタンク本体11における2つの空間で、互いに逆方向となるスラッジを含む液体Sの旋回流(循環流)が生成されることとなり、タンク本体11の内部でスラッジが流動する。
【0048】
その結果、タンク本体11の内部でスラッジを流動させることが可能となり、スラッジがタンク本体11の底部に沈降しにくくなり、このスラッジの沈降による固着が抑制される。
【0049】
このように実施例2のスラッジ貯蔵タンクにあっては、タンク本体11内で底部方向に向かってガスを噴出可能なガス噴出装置31と、ガス噴出装置31から噴出された空気の流れを規制することでスラッジを含む液体Sの上昇流を生成するガイド部材32とを設けている。
【0050】
従って、ガス噴出装置31によりタンク本体11内で底部方向に向かって空気が噴出されると、この空気は、ガイド部材32によりその流れが規制されることで、スラッジを含む液体Sの上昇流が生成されることとなり、タンク本体11の内部でスラッジを流動させることが可能となり、内部のスラッジの流動性を確保してこのスラッジの沈降による固着を抑制することができる。
【0051】
また、実施例2のスラッジ貯蔵タンクでは、ガイド部材32をタンク本体11の長手方向に沿うと共にタンク本体11の底部から鉛直方向の上方に沿って延出し、このガイド部材32の両側にガス噴出装置31における噴出口43,44を配置している。従って、ガス噴出装置31によりタンク本体11内で底部方向に向かって空気が噴出されると、この空気は、鉛直方向に沿ったガイド部材32によりその流れが規制され、このガイド部材32に沿って上方に流れることで、スラッジを含む液体Sの上昇流が生成されることとなり、タンク本体11の内部でスラッジを流動させることが可能となる。
【実施例3】
【0052】
図6は、本発明の実施例3に係るスラッジ貯蔵タンクの断面図である。なお、上述した実施例と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0053】
実施例3において、図6に示すように、スラッジ貯蔵タンク50は、タンク本体11と、供給部12(図2参照)と、排出部13(図2参照)と、ガス噴出装置51と、ガイド部材52とを有している。
【0054】
ガス噴出装置51は、タンク本体11の底部方向に向かってガス(空気)を噴出可能である。即ち、ガス供給配管61は、タンク本体11における長手方向の一端部からこのタンク本体11の内部に侵入し、タンク本体11における長手方向の他端部まで延出されることで、タンク本体11の底部から所定距離だけ離間した位置で、この底部に沿って配置されている。この各ガス供給配管61は、基端部に図示しない空気供給装置が連結され、タンク本体11の内部に位置する領域の下面に多数の噴出口62が形成されている。この場合、ガス供給配管61は、タンク本体11の長手方向に沿って配置されるものの、タンク本体11における水平方向の一方側(図6にて右側)へ所定量ずれて配置されている。
【0055】
ガイド部材52は、ガス噴出装置51におけるガス供給配管61の各噴出口62から噴出された空気の流れを規制することで、スラッジを含む液体Sの上昇流を生成するものである。このガイド部材52は、水平方向に沿った平板形状をなし、タンク本体11の底部に略水平方向に沿って配置され、このタンク本体11の底部に固定されている。即ち、ガイド部材52は、その上方にガス噴出装置51における各噴出口62が配置されている。
【0056】
従って、ガス噴出装置51を作動し、ガス供給配管61の各噴出口62からタンク本体11の底部に向かって空気を噴出すると、この空気はバブル状となり、ガイド部材52の上面によりその流れが規制されることで、ガス供給配管61の配置位置がずれた側のタンク本体11の内面に沿ってこのタンク本体11の内部を上昇する。そのため、この空気の上昇流によりスラッジを含む液体Sの上昇流が生成される。
【0057】
すると、ガイド部材52とタンク本体11の底部との間の空間部が負圧になることから、タンク本体11の内部のスラッジを含む液体Sは、反対側のタンク本体11の内面から底部側に吸入されることで、タンク本体11の内面に沿った流れが形成される。そのため、タンク本体11の内部で、スラッジを含む液体Sの旋回流(循環流)が生成されることとなり、タンク本体11の内部でスラッジが流動する。
【0058】
その結果、タンク本体11の内部でスラッジを流動させることが可能となり、スラッジがタンク本体11の底部に沈降しにくくなり、このスラッジの沈降による固着が抑制される。
【0059】
このように実施例3のスラッジ貯蔵タンクにあっては、タンク本体11内で底部方向に向かってガスを噴出可能なガス噴出装置51と、ガス噴出装置31から噴出された空気の流れを規制することでスラッジを含む液体Sの上昇流を生成するガイド部材52とを設けている。
【0060】
従って、ガス噴出装置51によりタンク本体11内で底部方向に向かって空気が噴出されると、この空気は、ガイド部材52によりその流れが規制されることで、スラッジを含む液体Sの上昇流が生成されることとなり、タンク本体11の内部でスラッジを流動させることが可能となり、内部のスラッジの流動性を確保してこのスラッジの沈降による固着を抑制することができる。
【0061】
また、実施例3のスラッジ貯蔵タンクでは、ガイド部材52をタンク本体11の底部に略水平方向に沿って固定し、ガイド部材52の上方にガス噴出装置51における噴出口62を配置している。従って、ガス噴出装置51によりタンク本体11内で底部方向に向かって空気が噴出されると、この空気は、水平方向に沿ったガイド部材52によりその流れが規制されて上方に流れることで、スラッジを含む液体Sの上昇流が生成されることとなり、タンク本体11の内部でスラッジを流動させることが可能となる。
【0062】
また、実施例3のスラッジ貯蔵タンクでは、ガイド部材52をタンク本体11の底部に固定したことで、タンク本体11の底部にスラッジが堆積することはなく、タンク本体11の損傷を防止することができる。
【0063】
なお、上述した各実施例では、ガス噴出装置14,31,51におけるガス供給配管21,41,42,61を1つまたは2つ配置したが、その数に限定されるものではない。また、ガイド部材15,16,17,32,52を1つ配置したが、その数に限定されるものではなく、複数設けてもよいものである。
【符号の説明】
【0064】
10,30,50 スラッジ貯蔵タンク
11 タンク本体
12 供給部
13 排出部
14,31,51 ガス噴出装置
15,16,17,32,52 ガイド部材
21,41,42,61 ガス供給配管
22,43,44,62 噴出口
23,24 流通部
図1
図2
図3
図4
図5
図6