(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係る管理オブジェクト生成装置および画像表示システムについて詳細に説明する。なお、以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
本実施形態に係る画像表示システムを利用した医療連携システムの一例について
図1を参照して説明する。
図1に示す医療連携システム100は、病院間で患者を引き継ぐ場合であり、第1病院110と第2病院120との間で画像表示システム150が用いられる例を示す。具体的には、第1病院110で診断された被検体(患者、動物など)と被検体の診断レポートとを、第2病院120が引き継ぐ場合を想定する。
【0010】
画像表示システム150は、管理オブジェクト生成装置151、管理オブジェクト受信装置152、およびデータセンタ153を含む。第1病院110、第2病院120、およびデータセンタ153は、外部ネットワーク130を介して接続され、相互にデータ通信が可能である。画像表示システム150の詳細については、
図2を参照して後述する。
【0011】
第1病院110は、医用画像撮影装置111と画像表示システム150に係る管理オブジェクト生成装置151とを含む。また、第1病院110では、医用画像撮影装置111と管理オブジェクト生成装置151とが院内ネットワーク112を介して接続される。第1病院110は、医用画像撮影装置111で撮影した医用画像を用いて、ユーザが管理オブジェクト生成装置151を利用して診断レポートを生成する。第1病院110は、後述の第2病院120から診断レポートの転送要求がある場合は、画像と共に第2病院120へ送信する。
【0012】
第2病院120は、医用画像撮影装置121と画像表示システム150に係る管理オブジェクト受信装置152とを含む。第1病院110と同様に、医用画像撮影装置121と管理オブジェクト受信装置152とが院内ネットワーク122を介して接続される。医用画像撮影装置121は、第1病院110に係る医用画像撮影装置111と同様である。管理オブジェクト受信装置152は、第1病院110から診断レポートと医用画像とを受信する。
なお、医用画像の通信は、医用画像の標準規格であるDICOM(Digital Imaging and Communication Medicine)に準拠することが望ましいが、適宜、既成の標準規格を適用してもよい。
【0013】
さらに、第1病院110および第2病院120の両方ともに、管理オブジェクト生成装置151および管理オブジェクト受信装置152を含むことで、互いに被検体の引き継ぎを行ってもよい。
【0014】
次に、本実施形態に係る画像表示システム150について
図2のブロック図を参照して説明する。
本実施形態に係る管理オブジェクト生成装置151は、画像格納部201、画像取得部202、画像解析部203、画像表示部204、レポート生成部205、レポート格納部206、診断情報管理オブジェクト生成部207、診断情報管理オブジェクト格納部208、および送信部209を含む。
【0015】
画像格納部201は、
図1に示す医用画像撮影装置(モダリティ)111から被検体を撮影した医用画像を受け取って格納する。医用画像は、例えば、検査識別番号(検査UID:User Identifier)によって管理される。
取得部202は、後述する解析アプリケーション提供部219から所望の解析アプリケーションを取得する。解析アプリケーションは、部位(頭部、胸部、胃部など)および病名(脳梗塞、心筋梗塞、肺結節など)ごとに適した解析を行うための計算アプリケーションである。
【0016】
画像解析部203は、画像格納部201から医用画像を、取得部202から解析アプリケーションをそれぞれ受け取る。画像解析部203は、解析アプリケーションを用いて医用画像の画像解析を行い、解析情報を取得する。解析情報は、解析結果の画像や、画像の解析データ(ノイズ量、骨密度、血管の狭窄率および腫瘍の最大径など)を含む。
【0017】
画像表示部204は、画像格納部201から医用画像を、画像解析部203から解析情報をそれぞれ受け取り、医用画像および解析情報をそれぞれ表示する。
レポート生成部205は、例えば文書作成アプリケーションであり、ユーザが画像表示部204に表示された医用画像および解析情報を参照して、診断レポートを生成する。
レポート格納部206は、レポート生成部205から診断レポートを受け取って格納する。
【0018】
診断情報管理オブジェクト生成部207は、画像格納部201から医用画像を、レポート生成部205から診断レポートを、画像解析部203から解析情報をそれぞれ受け取り、診断情報管理オブジェクトを生成する。診断情報管理オブジェクトは、少なくとも、医用画像の解析処理に用いた解析アプリケーションのメタ情報(アプリケーション情報ともいう)、ユーザが診断レポートを作成する際に参照した医用画像、検査情報(検査インスタンスUID、シリーズインスタンスUID)をそれぞれ関連付けたデータ群である。診断レポートと診断レポートに関する診断情報管理オブジェクトとは、一意の識別子(以下、診断UID)によって対応づけられる。なお、診断レポートについては、レポート格納部206に格納される過去の診断レポートを含めて受け取ってもよい。診断情報管理オブジェクトについては、
図5を参照して説明する。
【0019】
診断情報管理オブジェクト格納部208は、診断情報管理オブジェクト生成部207から診断情報管理オブジェクトを受け取って格納する。
【0020】
送信部209は、レポート格納部206から診断レポートを、画像格納部201から医用画像を、診断情報管理オブジェクト格納部208から診断情報管理オブジェクトをそれぞれ受け取る。送信部209は、管理オブジェクト受信装置152からの要求に応じて、診断レポート、医用画像および診断情報管理オブジェクトを送信する。
【0021】
次に、本実施形態に係る管理オブジェクト受信装置152について説明する。
本実施形態に係る管理オブジェクト受信装置152は、受信部210、診断情報管理オブジェクト格納部211、画像格納部212、レポート格納部213、診断情報管理オブジェクト判定部214、取得部215、画像解析部216、画像表示部217、およびレポート表示部218を含む。
なお、取得部215、画像解析部216、および画像表示部217については、管理オブジェクト生成装置151に係る取得部202、画像解析部203、および画像表示部204と同様の動作を行うため、ここでの説明は省略する。
【0022】
受信部210は、管理オブジェクト生成装置151の送信部209から、診断レポート、医用画像および診断情報管理オブジェクトを受信する。
【0023】
診断情報管理オブジェクト格納部211は、診断情報管理オブジェクト格納部211と同様の動作を行い、管理オブジェクト生成装置151に係る診断情報管理オブジェクト格納部211から診断情報管理オブジェクトを受信して格納する。
【0024】
画像格納部212は、画像格納部201と同様の動作を行い、管理オブジェクト生成装置151に係る画像格納部201から医用画像を受信して格納する。
【0025】
レポート格納部213は、レポート格納部206と同様の動作を行い、管理オブジェクト生成装置151に係るレポート格納部206から診断レポートを受信して格納する。
【0026】
診断情報管理オブジェクト判定部214は、診断情報管理オブジェクト格納部211から診断情報管理オブジェクトを受け取る。その後、診断情報管理オブジェクト判定部214は、診断情報管理オブジェクトを解析し、管理オブジェクト生成装置151側で診断レポートを生成する際に利用した解析アプリケーションが、管理オブジェクト受信装置152側で利用できるかどうかを判定する。診断情報管理オブジェクト判定部214の詳細な動作については、
図4のフローチャートを参照して後述する。
【0027】
レポート表示部218は、レポート格納部213から診断レポートを受け取って表示する。
【0028】
続いて、データセンタ153について説明する。
データセンタ153は、解析アプリケーション提供部219を含む。
解析アプリケーション提供部219は、複数の解析アプリケーションを含み、管理オブジェクト生成装置151および管理オブジェクト受信装置152からの要求に応じて、画像解析部203および画像解析部216のそれぞれに、解析アプリケーションを配信する。
なお、データセンタ153は、画像格納部201から医用画像を受けとり、解析アプリケーションを用いて医用画像を解析して解析情報を生成し、解析情報を取得部202および取得部215へそれぞれ配信するようにしてもよい。
【0029】
次に、本実施形態に係る管理オブジェクト生成装置151の動作について
図3のフローチャートを参照して説明する。
ステップS301では、レポート格納部206が、
図1に示す医用画像撮影装置111で撮影された被検体の医用画像を受け取って格納する。
ステップS302では、画像表示部204が、医用画像を表示する。ここで、医用画像がユーザにより読影される。
ステップS303では、画像表示部204が、画像解析部216から医用画像を解析アプリケーションを用いて解析した解析情報を受け取って表示する。
【0030】
ステップS304では、ユーザが、ステップS302およびステップS303で表示された医用画像と解析情報とを読影または分析する。レポート生成部205は、医用画像と解析情報とを基にした診断レポートの作成を支援する。
ステップS305では、診断情報管理オブジェクト生成部207が、医用画像の解析時に利用した解析アプリケーションのメタ情報、設定情報、検査画像、および診断レポート生成時に利用された同一患者の医用画像を対応づけて診断情報管理オブジェクトとして格納する。
ステップS306では、診断情報管理オブジェクト生成部207が、診断UIDを生成して、診断レポートと診断レポートに対応する診断情報管理オブジェクトとを関連付ける。
【0031】
ステップS307では、レポート格納部206が、ステップS304で生成された診断レポートと診断UIDとを関連付けて格納する。
ステップS308では、診断情報管理オブジェクト格納部211が、診断情報管理オブジェクトと診断UIDとを関連付けて格納する。
ステップS309では、送信部209が、管理オブジェクト受信装置152からある被検体に関する診断レポートの転送要求があった場合に、管理オブジェクト受信装置152へ、同じ診断UIDを有する診断レポートおよび診断情報管理オブジェクトを転送する。以上で、管理オブジェクト生成装置151の動作を終了する。
【0032】
次に、本実施形態に係る管理オブジェクト受信装置152の動作について
図4のフローチャートを参照して説明する。
ステップS401では、ある被検体に関する診断レポートおよび診断情報管理オブジェクトの転送要求を管理オブジェクト生成装置151へ送信する。この転送要求は、送信部(図示せず)が転送を要求する旨の信号を生成して管理オブジェクト生成装置151へ送信する。なお、管理オブジェクト受信装置152を利用するユーザが直接、管理オブジェクト生成装置151を有するユーザへ、診断レポートと診断情報管理オブジェクトとを転送してほしいとの旨を伝え、管理オブジェクト生成装置151を利用するユーザが手動で送るようにしてもよい。
【0033】
ステップS402では、受信部210が、診断レポートと診断情報管理オブジェクトとを受信し、レポート格納部213と診断情報管理オブジェクト格納部211とがそれぞれ、診断レポートと診断情報管理オブジェクトとを格納される。なお、診断レポートと診断情報管理オブジェクトとに加え、画像格納部201に格納される医用画像も一緒に受信し、医用画像を画像格納部212に格納してもよい。
ステップS403では、診断情報管理オブジェクト判定部214が、診断情報管理オブジェクトを参照して、管理オブジェクト生成装置151側で利用した解析アプリケーションが管理オブジェクト受信装置152側で利用可能かを判定する。管理オブジェクト受信装置152側で利用可能である場合、ステップS404へ進み、管理オブジェクト受信装置152側で利用不可である場合、ステップS405へ進む。
ステップS404では、画像解析部216が、管理オブジェクト生成装置151側で利用した解析アプリケーションを、解析アプリケーション提供部219から受け取って起動させ、管理オブジェクト生成装置151側で診断レポートを生成する際に利用した医用画像を解析し、この医用画像の解析情報を取得する。
【0034】
ステップS405では、画像表示部217が、診断レポートと、管理オブジェクト生成装置151側で診断レポートを作成する際に利用した医用画像と、解析情報とを表示する。
ステップS406では、診断情報管理オブジェクト判定部214が、管理オブジェクト生成装置151側で診断レポートを作成する際に利用した解析アプリケーションの代替となるアプリケーション(以下、代替アプリケーション)が、データセンタにおける解析アプリケーション提供部219に存在するかどうかを判定する。代替アプリケーションは、例えば、画像表示またはGUI(Graphical User Interface)が異なるだけで、同じ計算プログラムを使用しているアプリケーションである。代替アプリケーションが存在する場合、ステップS407へ進み、代替アプリケーションが存在しない場合、ステップS409へ進む。
ステップS407では、画像解析部216が、解析アプリケーション提供部219から代替アプリケーションを取得して、医用画像を解析し、代替アプリケーションでの解析情報を得る。
【0035】
ステップS408では、画像表示部217が、診断レポートと、医用画像と、代替アプリケーションでの解析情報とを表示する。
ステップS409では、診断情報管理オブジェクト判定部214が、診断レポートを作成した際の環境を再現することができない旨のメッセージを生成し、画像表示部217がメッセージを表示する。なお、このメッセージを音声で通知するようにしてもよい。以上で、管理オブジェクト受信装置152の動作を終了する。
【0036】
上述した
図3および
図4に示す管理オブジェクト生成装置151および管理オブジェクト受信装置152では、解析アプリケーション提供部219から解析アプリケーションを受け取って画像解析部が解析を行っている。これに限らず、データセンタ153内で医用画像の解析を行い、取得部が解析情報だけを取得するようにしてもよい。データセンタ153のワークステーションなどで解析アプリケーションを用いて複雑な計算をし、解析情報のみを受信するようにすれば、解析アプリケーション用にメモリやマシンを確保する必要がないので、システムの小規模化および省メモリ化をはかることができる。
なお、データセンタ153内で解析する場合は、取得部が解析情報を取得し、画像解析部を介さずに画像表示部へ解析情報を送ればよい。
【0037】
次に、診断情報管理オブジェクトの一例を
図5を参照して説明する。
なお、
図5ではDICOM形式のファイルを想定しているが、これに限らずどのような形式でもよい。
図5に示すように、診断レポート500と診断情報管理オブジェクト550とは、同じ診断UIDが付加されている。
【0038】
診断レポート500は、診断UID501および内容502を含む。
内容502には、
図5の例では、患者名、病名、所見が記載されるが、これに限らず、他の要素を含んでもよい。
【0039】
診断情報管理オブジェクト550は、診断UID501、診断アプリケーションメタ情報551、診断アプリケーション設定情報552、対象検査一覧553を含む。対象検査一覧553は、複数の検査情報554を含む。さらに、検査情報554は、検査インスタンスUID555、シリーズインスタンスUID556、検査画像557を含む。
診断アプリケーションメタ情報551は、本実施形態のように解析アプリケーションがWEB経由で提供される場合、解析アプリケーションのURLを示す。
診断アプリケーション設定情報552は、各解析アプリケーションにおけるパラメータの設定値である。
対象検査一覧553は、実際に行なった検査の種類を示すタグであり、例えばX線検査、CT検査、エコー検査などが挙げられる。
【0040】
検査情報554は、検査ごとのタグであり、どの検査を行ったかを示す情報である。
検査インスタンスUID555は、検査番号を示す識別子である。
シリーズインスタンスUID556は、何回目の検査であるかを示す回数、または日付を示す識別子である。
検査画像557は、検査インスタンスUIDに示される検査番号の医用画像であり、シリーズインスタンスUID556に示される回数または日付において撮影された画像である。
【0041】
上述した本実施形態に係る画像表示システム150では、解析アプリケーション提供部219をデータセンタ153に格納するように外部に存在する場合を示したが、各病院ごとに有するようにしてもよい。
【0042】
各病院ごとに解析アプリケーション提供部を有する場合の画像表示システム150を用いた医療連携システムの一例について
図6に示す。
図6に示す医療連携システム600は、第1病院110に解析アプリケーション提供部219を含み、第2病院120も同様に、解析アプリケーション提供部219を含む。
【0043】
各病院が解析アプリケーション提供部を有することで、同じ解析アプリケーションを利用する確率が高くなり、診断レポートを作成したときと同一の読影環境をより再現しやすくなる。また、外部に解析アプリケーション提供部がある場合には、外部ネットワークの接続環境またはデータセンタのメンテナンスなどにより、必要とする解析アプリケーションの提供を受けられない可能性もある。しかし、
図6のように各病院に解析アプリケーション提供部153を有する場合は、必要なタイミングで解析アプリケーションを利用することができる。
【0044】
以上に示した本実施形態によれば、診断レポートと診断情報管理オブジェクトとを関連づけることで、同じ患者を引き継ぐ場合でも、診断レポートが生成された際の解析アプリケーションおよび解析アプリケーションのパラメータなどを抽出し、同じ読影環境を再現することができる。また、同じ解析アプリケーションを用いることができない場合でも、代替アプリケーションを抽出することができ、似たような読影環境を再現することができる。よって、引き継ぎ元と同じ診断環境の再現を支援することができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。