特許第5972610号(P5972610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5972610-抵抗発生装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972610
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】抵抗発生装置
(51)【国際特許分類】
   G05F 1/10 20060101AFI20160804BHJP
   G01R 27/02 20060101ALI20160804BHJP
   G01R 35/00 20060101ALI20160804BHJP
   G01K 15/00 20060101ALN20160804BHJP
【FI】
   G05F1/10 B
   G01R27/02 R
   G01R35/00 J
   !G01K15/00
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-48929(P2012-48929)
(22)【出願日】2012年3月6日
(65)【公開番号】特開2013-186523(P2013-186523A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2015年3月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083404
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100166752
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 典子
(72)【発明者】
【氏名】多羅沢 公一
【審査官】 尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−160659(JP,A)
【文献】 特開昭63−089912(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05F 1/10
G01R 27/02
G01R 35/00
G01K 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被校正機器である抵抗計に対して所定の模擬抵抗値Rを設定し、上記抵抗計が有する電流源から供給される測定用電流IMと上記模擬抵抗値Rとの積である電圧Vout(=IM×R)を出力して上記抵抗計に与える抵抗発生装置において、
上記抵抗計が接続され、上記抵抗計から上記測定用電流IMが入力されるとともに、上記抵抗計に対して上記電圧Voutを出力する一対の出力端子と、上記模擬抵抗値Rが設定され、その模擬抵抗値Rをデジタル値として出力する抵抗値設定部と、上記抵抗値設定部から出力される上記模擬抵抗値Rと上記抵抗計から入力される上記測定用電流IMのA/D変換値とを乗算して上記一対の出力端子に上記電圧Voutを出力するマイクロコンピュータからなる演算部とを備え、
上記測定用電流IMが矩形波であり、上記演算部の入力側と上記一方の出力端子との間に、上記測定用電流IMを電圧に変換する電流−電圧変換器、ピーク値検出回路およびA/D変換器を直列に含む入力側回路が接続され、上記演算部の出力側と上記他方の出力端子との間には、D/A変換器と出力スイッチを直列に含む出力側回路が接続されているとともに、上記矩形波の立ち上がり,立ち下がりの各エッジもしくはハイレベル,ローレベルの各レベルを検出して上記出力スイッチのオン,オフを制御するスイッチ制御部をさらに備え、上記出力端子間に上記測定用電流IMと同期した矩形波の上記電圧Voutが現れるようにしたことを特徴とする抵抗発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抵抗発生装置に関し、さらに詳しく言えば、測温抵抗体型温度計等の抵抗計の校正や動作確認に使用される抵抗発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、抵抗計を校正するにあたって、固体の標準抵抗器に代えて、電子的手段を用いて仮想の抵抗を等価的に発生させる抵抗発生装置が用いられるようになっている。特許文献1には、その等価抵抗のみならず、電圧,電流等の電気量をそれぞれ任意の値で発生させる電気量発生装置が提案されており、その構成を図2に示す。
【0003】
この電気量発生装置は、基本的な構成として、設定値Dに対応したパルス幅と入力電圧とを乗算する乗算形D/A変換器30と、D/A変換器30より発生する電圧,電流または等価抵抗に対応した電圧を取り出す出力端子51,52と、電圧または電流発生時にD/A変換器30に接続される基準電圧源10と、等価抵抗の発生時に出力端子51,52より流入される抵抗計からの測定用電流Imを電圧に変換してD/A変換器30に加える電流−電圧変換器70とを備えている。なお、40は出力回路、60は出力切換回路である。
【0004】
抵抗発生時(抵抗計の校正時)には、設定値Dとして所定の模擬抵抗値RがD/A変換器30に入力され、スイッチ20が電流−電圧変換器70側の接点22に切り換えられるとともに、出力端子間51,52に図示しない抵抗計が接続され、その抵抗計が有する定電流源ISより供給される測定用電流Imが電流−電圧変換器70にて電圧に変換されてD/A変換器30に入力される。
【0005】
これにより、D/A変換器30よりR×Imなる電圧Voutが出力回路40を介して出力端子51,52に出力されることから、固体の標準抵抗器を用いることなく、模擬抵抗値(仮想抵抗値)Rにて、抵抗計の校正や動作確認等を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−160659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載された電気量発生装置では、D/A変換器30に乗算形のものを使用しているが、現在市販されている乗算形D/A変換器は、きわめて種類が少なく選択肢がほとんどないため、設計上の制約となっている。また、時分割乗算形D/A変換器は、応答速度が比較的低速である。
【0008】
一方、測温抵抗体を使用する温度計(測温抵抗体型温度計)では、測温抵抗体に電流を流すことによる自己発熱の影響を低減するため、多くの場合、測定電流を矩形波状にしているが、このような温度計の校正には、出力応答の遅い発生器は好ましくない。
【0009】
したがって、本発明の課題は、模擬抵抗値と測定用電流との乗算を行う演算部に、選択肢が広く入手が容易な電子部品を採用して設計の自由度を高めるとともに出力応答が速い、特に測温抵抗体型温度計の校正に好適な抵抗発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、被校正機器である抵抗計に対して所定の模擬抵抗値Rを設定し、上記抵抗計が有する電流源から供給される測定用電流IMと上記模擬抵抗値Rとの積である電圧Vout(=IM×R)を出力して上記抵抗計に与える抵抗発生装置において、
上記抵抗計が接続され、上記抵抗計から上記測定用電流IMが入力されるとともに、上記抵抗計に対して上記電圧Voutを出力する一対の出力端子と、上記模擬抵抗値Rが設定され、その模擬抵抗値Rをデジタル値として出力する抵抗値設定部と、上記抵抗値設定部から出力される上記模擬抵抗値Rと上記抵抗計から入力される上記測定用電流IMのA/D変換値とを乗算して上記一対の出力端子に上記電圧Voutを出力するマイクロコンピュータからなる演算部とを備え、
上記測定用電流IMが矩形波であり、上記演算部の入力側と上記一方の出力端子との間に、上記測定用電流IMを電圧に変換する電流−電圧変換器、ピーク値検出回路およびA/D変換器を直列に含む入力側回路が接続され、上記演算部の出力側と上記他方の出力端子との間には、D/A変換器と出力スイッチを直列に含む出力側回路が接続されているとともに、上記矩形波の立ち上がり,立ち下がりの各エッジもしくはハイレベル,ローレベルの各レベルを検出して上記出力スイッチのオン,オフを制御するスイッチ制御部をさらに備え、上記出力端子間に上記測定用電流IMと同期した矩形波の上記電圧Voutが現れるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、模擬抵抗値と測定用電流との乗算を乗算形D/A変換器ではなく、選択肢が広く入手が容易なマイクロコンピュータにて行うようにしたことにより、演算部を含む設計の自由度が高められる。
【0014】
また、抵抗計から供給される測定用電流が矩形波の場合、高速応答性が求められるが、その高速応答性に関わる部分をピーク値検出回路と、矩形波の立ち上がりでオン,立ち下がりでオフする出力スイッチで受け持つようにしたことにより、A/D変換器およびD/A変換器を比較的低速で安価な変換器で済ませることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による抵抗発生装置の実施形態を示す模式図。
図2】従来技術に係る抵抗発生機能を含む電気量発生装置を示す回路図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図1により、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0017】
図1に示すように、この抵抗発生装置10は、基本的な構成として、ユーザー(作業者)によって模擬抵抗値Rが設定される抵抗値設定部11と、演算部12と、一対の出力端子T1,T2とを備え、出力端子T1,T2間に、被校正機器としての図示しない抵抗計が接続される。
【0018】
抵抗値設定部11は、ユーザーにより設定された模擬抵抗値Rをデジタル値として演算部12に与える。模擬抵抗値Rは、抵抗発生装置10の発生許容範囲内から任意に選択される。
【0019】
出力端子T1,T2間に接続される抵抗計は、内部に測定用電流を発生する定電流源を含み、校正時、抵抗発生装置10に対して出力端子T1,T2から定電流の測定用電流IMを供給する。この実施形態において、上記抵抗計は、センサとして測温抵抗体を使用する温度計(測温抵抗体型温度計)で、測定用電流IMは矩形波状の電流である。
【0020】
演算部12は、抵抗値設定部11が接続される第1入力ポート12aのほかに、第2入力ポート12bを備え、この実施形態において、第2入力ポート12bと出力端子T2との間には、電流−電圧変換器13,ピーク値検出回路14およびA/D変換器15を直列に含む入力側回路が接続されている。
【0021】
電流−電圧変換器13は、抵抗計からの測定用電流IMを電圧に変換する。したがって、電流−電圧変換器13からは、測定用電流IMに対応する電圧が出力されるが、説明の便宜上、その出力を測定用電圧ではなく測定用電流IMと言うことがある。
【0022】
ピーク値検出回路14は、測定電流IMのピーク値を検出する。A/D変換器15は、ピーク値検出回路14にて検出されたピーク値をデジタル値に変換して、演算部12の第2入力ポート12b与える。
【0023】
演算部12は、第1入力ポート12aから入力される模擬抵抗値Rと、第2入力ポート12bから入力される測定電流IMとを乗算(R×IM)し、出力ポート12cから電圧Vout(=IM×R)を出力するが、本発明では、演算部12にマイクロコンピュータを用いている。
【0024】
本明細書においても、マイクロコンピュータは、CPU(中央演算処理ユニット)、ROM(リードオンリーメモリ)およびRAM(ランダムアクセスメモリ)等をワンチップ化した所謂ワンチップマイコンと呼ばれるIC(集積回路)と定義される。
【0025】
この実施形態において、演算部12の出力ポート12cと出力端子T1との間には、D/A変換器16,出力アンプ17および出力スイッチ18を直列に含む出力側回路が接続されている。
【0026】
D/A変換器16は、演算部(マイクロコンピュータ)12からデジタル値として出力される電圧Vout(=IM×R)をアナログ値に変換する。出力アンプ17は、D/A変換器16の出力のレベルを所定に増幅する。
【0027】
出力スイッチ18は、電圧Voutを抵抗計より供給される矩形波の測定用電流IMと同期した矩形波として出力するためのスイッチである。
【0028】
そのため、この実施形態においては、電流−電圧変換器13の出力側に、測定用電流IMの立ち上がりと立ち下がりとを検出するコンパレータ19が接続されており、コンパレータ19によって出力スイッチ18のオンオフを制御するようにしている。
【0029】
すなわち、出力スイッチ18は、測定用電流IMの立ち上がり時点でオン、立ち下がり時点でオフとなり、これにより、出力スイッチ18から電圧Voutが抵抗計より供給される矩形波の測定用電流IMと同期した矩形波として出力される。
【0030】
なお、別の例として、出力スイッチ18は、例えば測定用電流IMの立ち上がり時点でオフ,立ち下がり時点でオンとなるように制御されてもよい。また、測定用電流IMのハイレベルでオン,ローレベルでオフもしくはハイレベルでオフ,ローレベルでオンとなるように制御されてもよい。
【0031】
次に、この実施形態に係る抵抗発生装置10の一連の動作について説明する。
【0032】
まず、ユーザーにより抵抗値設定部11に所定の模擬抵抗値Rが設定される。また、出力端子T1,T2に、被校正機器としての図示しない抵抗計(測温抵抗体型温度計)を接続し、その抵抗計から矩形波の測定用電流IMを抵抗発生装置10に供給する。
【0033】
測定用電流IMは、電流−電圧変換器13にて電圧に変換され、ピーク値検出回路14に入力される。ピーク値検出回路14は、矩形波信号のピーク値を捕らえて保持する。A/D変換器15は、ピーク値検出回路14から出力されるピーク値をデジタル値に変換し、マイクロコンピュータからなる演算部12に与える。
【0034】
演算部12は、抵抗値設定部11に設定された模擬抵抗値Rと、A/D変換器15からの測定用電流IMとから、電圧Vout(=R×IM)を算出し、出力ポート12cから出力する。
【0035】
電圧Voutは、D/A変換器16でアナログ値に変換され、出力アンプ17にて所定に増幅されたのち、出力スイッチ18に入力される。
【0036】
出力スイッチ18は、コンパレータ19により、測定用電流IMの立ち上がり時点でオン、立ち下がり時点でオフとなるため、電圧Voutは、出力スイッチ18から測定用電流IMと同期した矩形波として出力される。
【0037】
このようにして、出力端子T1,T2間に、測定用電流IMと同期した矩形波の電圧Voutが現れることにより、抵抗計側では、この電圧Voutに基づいて校正や動作確認等が行われる。
【0038】
上記実施形態の説明から分かるように、本発明によれば、模擬抵抗値Rと測定用電流IMとの乗算を乗算形D/A変換器ではなく、選択肢が広く入手が容易なマイクロコンピュータにて行うようにしたことにより、演算部12を含む設計の自由度が高められる。
【0039】
また、抵抗計から供給される測定用電流IMが矩形波の場合、高速応答性が求められるが、その高速応答性に関わる部分をピーク値検出回路14と、矩形波の立ち上がりでオン,立ち下がりでオフする出力スイッチ18で受け持つようにしたことにより、A/D変換器15およびD/A変換器16を比較的低速で安価な変換器で済ませることができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、抵抗計側から供給される測定用電流IMを矩形波としているが、測定用電流IMは、リニアな定電流であってもよく、この場合には、ピーク値検出回路14や出力スイッチ18,コンパレータ19は省略されてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 抵抗発生装置
11 抵抗値設定部
12 演算部(マイクロコンピュータ)
13 電流−電圧変換器
14 ピーク値検出回路
15 A/D変換器
16 D/A変換器
17 出力アンプ
18 出力スイッチ
19 コンパレータ
T1,T2 出力端子
図1
図2