特許第5972690号(P5972690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大成建設株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5972690-基礎の構築方法及び基礎 図000002
  • 特許5972690-基礎の構築方法及び基礎 図000003
  • 特許5972690-基礎の構築方法及び基礎 図000004
  • 特許5972690-基礎の構築方法及び基礎 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972690
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】基礎の構築方法及び基礎
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/12 20060101AFI20160804BHJP
   E02D 27/28 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   E02D27/12 Z
   E02D27/28
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-153397(P2012-153397)
(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-15752(P2014-15752A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年3月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】中西 誉
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−038379(JP,A)
【文献】 特開2010−106546(JP,A)
【文献】 特開平07−197483(JP,A)
【文献】 特開2010−133114(JP,A)
【文献】 特開2004−132111(JP,A)
【文献】 特開2007−308924(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 3/12、5/34
E02D 27/12、27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に基礎構造物を構築する基礎の構築方法であって、
掘削時の止水性が確保でき、かつ掘削孔壁の自立が可能となる状態に地盤改良を行う工程と、
地盤改良された箇所が所定の強度に達した後に前記基礎構造物の外形となる掘削孔を掘削する工程と、
前記掘削孔に鉄筋を配置する工程と、
前記掘削孔にコンクリートを充填する工程と
前記地盤改良後に、地盤改良された箇所と地盤との境界に凍上抑制壁を設ける工程とを備えたことを特徴とする基礎の構築方法。
【請求項2】
前記凍上抑制壁を設ける工程では、凍結深度まで形成された溝に凍上抑制材又は凍着抑制材を充填することを特徴とする請求項1に記載の基礎の構築方法。
【請求項3】
凍結深度よりも深い位置まで形成された地盤改良部と、
前記地盤改良部に形成された掘削孔に設けられた鉄筋コンクリート製の基礎構造物と、
前記地盤改良部の最深面よりも上方に位置する凍結深度まで形成された溝に充填された凍上抑制材又は凍着抑制材とを備え、
前記掘削孔の底面位置は前記地盤改良部の最深面よりも上方に位置するとともに、前記掘削孔と前記基礎構造物の周面とは掘削孔壁に浸透したセメントの接着力によって密着していることを特徴とする基礎。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤に比較的に浅い基礎を構築する際の基礎の構築方法及び基礎に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソーラーパネルや大型の道路標識などを設置するに際して、それらを支持させるための基礎構造物を地盤に設けることが知られている(特許文献1,2など参照)。
【0003】
ソーラーパネルや道路標識は、コンクリート構造物などに比べて自重が軽量であるため、自重だけを考慮するのであれば直接基礎(基礎構造物)などの浅い基礎や細径杭などによって支持できる場合が多い。
【0004】
例えば、特許文献1では、比較的軽量なソーラーパネルを支持させるために、中空の鋼管を摩擦杭として地盤に押し込んだ基礎が適用されている。また、摩擦杭の周辺地盤に対して地盤改良を行う場合があることが記載されている。
【0005】
一方、特許文献2に開示されているように、自重が比較的軽量であっても面積が大型化されて大きな風圧を受けるようになると、基礎構造物に引抜き力が作用して回転(転倒)するおそれがあることが開示されている。そして、その回転防止対策として、親管体の隣に子管体を埋設して双方を連結させた基礎が開示されている。
【0006】
また、基礎構造物を大型化して自重によって引抜き力に抵抗させる方法として、特許文献3で参照できるような、地盤を開削してその中に型枠を組み、型枠の内側に鉄筋コンクリート製の大型の直接基礎を構築する方法も考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−265735号公報
【特許文献2】特開2008−297856号公報
【特許文献3】特開平4−347213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献3に開示されているように、開削をおこなって原位置地盤との縁を切った状態の直接基礎を構築した場合、直接基礎の周面と地盤との付着を引抜き抵抗として考慮することができなくなるため、引抜き抵抗としては基礎構造物の重量のみとなり、基礎構造物が大きくなる要因となる。
【0009】
一方、支持させる上部構造物がソーラーパネルや道路標識などのように比較的軽量である場合には、大型の直接基礎を設けるのでは不経済となる場合が多い。
【0010】
また、特許文献2のように摩擦杭の数を増やして引抜き抵抗を増加させることもできるが、地盤が軟弱な場合には、鋼管杭の周面積だけでは充分な周面摩擦力を確保できないことがある。
【0011】
そこで、本発明は、軟弱地盤においても周面摩擦力によって充分な引抜き抵抗を確保することが可能な基礎の構築方法及び基礎を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明の基礎の構築方法は、地盤に基礎構造物を構築する基礎の構築方法であって、掘削時の止水性が確保でき、かつ掘削孔壁の自立が可能となる状態に地盤改良を行う工程と、地盤改良された箇所が所定の強度に達した後に前記基礎構造物の外形となる掘削孔を掘削する工程と、前記掘削孔に鉄筋を配置する工程と、前記掘削孔にコンクリートを充填する工程とを備えている。
【0013】
ここで、前記掘削孔の底面位置は、前記地盤改良された箇所の最深面よりも上方に位置させることが好ましい。また、前記掘削孔は、底部を拡幅させることができる。さらに、前記地盤改良される箇所と地盤との境界に、凍上抑制壁を設ける工程があってもよい。
【0014】
また、本発明の基礎は、地盤改良部と、前記地盤改良部に形成された掘削孔に設けられる鉄筋コンクリート製の基礎構造物とを備え、前記掘削孔の底面位置は前記地盤改良部の最深面よりも上方に位置するとともに、前記掘削孔と前記基礎構造物の周面とは掘削孔壁に浸透したセメントの接着力によって密着していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このように構成された本発明の基礎の構築方法は、孔壁保護対策をとらなくても基礎構造物の外形に相当する掘削孔が掘削できる状態になるように地盤改良をおこない、気中状態の掘削孔に、直接、鉄筋コンクリート製の基礎構造物を構築する。
【0016】
このようにして構築された基礎は、基礎構造物の周面が掘削孔壁に密着されて、基礎構造物の周面摩擦力を引抜き抵抗とすることができる。そして、その結果、引抜き抵抗を増加させるためだけに基礎構造物を大型化する必要がなくなり、工費と工期を削減することができる。
【0017】
また、掘削孔が浸水していない状態にできるため、水中コンクリートのように強度の割増しが必要な高価なコンクリート材料を使用する必要がなく、材料費を抑えることができる。
【0018】
さらに、掘削孔の底面位置を地盤改良された箇所の最深面よりも上方にすることで、底面からの地下水の浸入を確実に防ぐことができる。また、掘削孔の底部を上部よりも拡幅させることで、効率的に引抜き抵抗や先端支持力を増加させることができる。
【0019】
また、地盤改良された箇所と地盤との境界に凍上抑制壁を設けておくことで、基礎構造物周辺の凍結を抑えることができ、凍上力によって基礎構造物が持ち上げられるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態の基礎の構成を説明するための斜視図である。
図2】本実施の形態の基礎の構築方法を説明する工程図である。
図3】基礎周辺に作用する力を説明するための模式図である。
図4】実施例の基礎の構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態で説明する基礎1は、地盤Gの比較的浅い位置に構築される。図1は、上部構造物としてのソーラーパネル4を支持させるための基礎1の構成を示した斜視図である。
【0022】
この基礎1は、地盤改良部2と、基礎構造物としての拡底基礎部3とによって主に構成される。この基礎1は、例えば比較的軟弱な地盤Gの表層付近に形成される。
【0023】
地盤改良部2は、表層改良工法や薬液注入工法などによって形成される。例えば、地盤Gの表面に粉状又はスラリー状のセメント系又は石灰系の固化材を散布し、散布された固化材と地盤Gとを撹拌混合する表層・中層混合処理工法によって地盤改良部2を造成する。
【0024】
表層・中層混合処理工法では、スタビライザー5(図2(a)参照)やバックホウなどによって固化材が散布された地盤Gを所定の改良深度まで掘り起こし、撹拌混合を行うことによって固化材を地盤改良部2全体に分散させる。
【0025】
この地盤改良部2に求められる第1の特性は、後述する掘削孔21(図2(b)参照)を削孔した際に、掘削孔21内に地下水が流れ込むことがない程度の止水性が確保できることである。
【0026】
また、地盤改良部2に求められる第2の特性は、掘削孔21を削孔する際に、掘削孔壁が自立して崩壊しない程度の強度が発現されることである。この強度は、掘削孔21の削孔が行われる前までに発現されていればよい。
【0027】
そして、拡底基礎部3は、この地盤改良部2内に設けられた掘削孔21に鉄筋コンクリートによって構築される。すなわち、拡底基礎部3は、鉄筋としての鉄筋籠31と、その周囲に充填されるコンクリート32とによって主に構成される。
【0028】
拡底基礎部3の外形は、図1に示すように、円柱状の軸部3aと、截頭円錐状の拡幅部3bとによって形成される。この拡幅部3bの底面3dは、地盤改良部2の最深面2aよりも上方に位置する。
【0029】
拡底基礎部3の頭部3cは、ソーラーパネル4の下端と接続される。具体的には図1,3に示したように、ソーラーパネル4の脚部41A,41Bの下端が埋め込まれる台座部42が、頭部3cに一体となるように接合される。
【0030】
次に、本実施の形態の基礎1の構築方法について、図2を参照しながら説明する。
【0031】
まず、図2(a)に示すように、地盤Gの表面に粉状又はスラリー状のセメント系固化材を散布し、スタビライザー5によってセメント系固化材と地盤Gとを撹拌混合する。
【0032】
このようにして造成された地盤改良部2は、所定の強度が発現されるまで養生される。通常、所定の強度が発現されるまでの時間を把握しておき、その時間が経過した後に次の掘削工程に移る。
【0033】
掘削工程では、図2(b)に示すような建柱車(図示省略)に取り付けられたオーガ6などを使って、地盤改良部2に掘削孔21を削孔する。この削孔に際して、掘削孔21の周辺は地盤改良されているので、地下水が掘削孔21に浸入してくることはない。
【0034】
また、掘削孔21の孔壁が自立可能となる強度以上に地盤改良されているので、ベントナイト溶液などの泥水の液圧で孔壁の保護を行うなどの孔壁保護対策を施す必要がない。
【0035】
掘削孔21の底部に設けられる拡幅部21aは、例えば図2(b)に示すような伸縮自在の切削刃61,61が取り付けられたオーガ6を使用して、円柱状の孔を徐々に広げていくことによって形成することができる。
【0036】
このようにして掘削された掘削孔21は、図2(c)に示すように無水状態となっている。掘削孔21の底面21bも地盤改良部2の最深面2aよりも上方に位置しているので、底面21bから地下水が湧き出してくることもない。
【0037】
このように気中状態の掘削孔21に、鉄筋籠31を挿入する。この鉄筋籠31は、図2(d)に示すように上端31aが掘削孔21から突出されるように配置する。
【0038】
そして、トレミー管32aなどを使ってコンクリート32を掘削孔21に充填する。ここで、気中状態の掘削孔21に充填するコンクリート32は、設計基準強度に相当する強度の材料を使用することができる。これに対して、掘削孔21に浸水がある場合は、設計基準強度よりも大きな強度の水中コンクリートを使用しなければならない。
【0039】
次に、このようにして構築された基礎1に作用する力について、図3を参照しながら説明する。
【0040】
図3は、ソーラーパネル4の裏(長い脚部41B側)から風荷重Wが作用する場合について示している。このようにソーラーパネル4に図面の右から左方向に力がかかると、図示したような方向の転倒モーメントRが発生する。
【0041】
そして、この転倒モーメントRによって、長い方の脚部41Bが持ち上がる方向の力(上向きの力)と、短い方の脚部41Aが押し下げられる方向の力(下向きの力)が生成される。
【0042】
この上向きの力は、台座部42を介して頭部3cに伝達されて拡底基礎部3の引抜き力Fとなる。なお、拡底基礎部3の頭部3cには、この他にも水平力Hが作用する。
【0043】
このようにして拡底基礎部3に作用する引抜き力Fに対しては、拡底基礎部3の周面と地盤改良部2との境界に発生する周面摩擦力S1,S2と自重とによって対抗させる。
【0044】
このように周面摩擦力S1,S2を充分に発揮させることができるのは、掘削孔21に直接、コンクリート32を流し込み、コンクリート32を孔壁に密着させているためである。すなわち、気中状態の掘削孔21に充填されたコンクリート32のセメント分が孔壁に浸透し、セメントの接着力が発揮されることによって、拡底基礎部3と地盤改良部2とを一体化させることができる。
【0045】
これに対して、型枠を使って基礎構造物を構築し、その周囲を埋め戻した場合は、このような周面摩擦力S1,S2を期待することができないので、基礎構造物の重量を増やすことで引抜き力Fに対抗させなければならなくなる。
【0046】
また、拡底基礎部3は、拡幅部3bが軸部3aよりも横方向に張り出しているので、そこに上載される地盤改良部2の自重など周面摩擦力S2以上の引抜き抵抗を期待することができる。
【0047】
一方、短い方の脚部41Aから台座部42を介して頭部3cに伝達される下向きの力は、拡底基礎部3の押込み力Uとなる。この拡底基礎部3に作用する押込み力Uに対しては、拡底基礎部3の周面と地盤改良部2との境界に発生する周面摩擦力S3,S4と、底面3dの先端支持力Pによって対抗させる。
【0048】
このように押込み力Uに対しては、先端支持力Pによる抵抗が加わるため、通常は引抜き力Fが作用する側に比べて短い拡底基礎部3にすることができる。但し、風荷重Wが作用する方向は通常は一方向ではなく、反対方向の風荷重に対しては引抜き側と押込み側とが逆転するため、本実施の形態では、同じ形状の拡底基礎部3,3としている。
【0049】
次に、本実施の形態の基礎1の構築方法の作用について説明する。
【0050】
このように構成された本実施の形態の基礎1の構築方法は、孔壁保護対策をとらなくても拡底基礎部3の外形に相当する掘削孔21が掘削できる状態になるように地盤改良をおこなう。そして、気中状態の掘削孔21の掘削孔壁を型枠代わりにしてコンクリートを流し込むことで、鉄筋コンクリート製の拡底基礎部3を構築する。
【0051】
このようにして構築された基礎1は、拡底基礎部3の周面が掘削孔壁に密着されて、拡底基礎部3の周面摩擦力S1,S2を引抜き抵抗とすることができる。そして、その結果、引抜き抵抗を増加させるためだけに基礎構造物を大型化する必要がなくなり、工費と工期を削減することができる。
【0052】
例えば、ソーラーパネル4であれば、自重はそれほど大きくないため、自重を支持させるためだけの基礎構造物であれば、それ程、大型にはならない。しかしながらソーラーパネル4は、風圧を受ける面積が広いため、拡底基礎部3に大きな引抜き力F(上向きの力)が作用することになる。
【0053】
この引抜き力Fに対して基礎構造物の重量のみで対抗させようとすると大型化させることになるが、本実施の形態の拡底基礎部3のように、充分に周面摩擦力S1,S2で抵抗できるように構築されていれば、必要最小限の大きさに抑えることができる。
【0054】
また、掘削孔21が浸水していない無水状態にできるため、水中コンクリートのように強度の割増しが必要な高価なコンクリート材料を使用する必要がなく、材料費を抑えることができる。
【0055】
さらに、掘削孔21の底面21b位置を地盤改良部2の最深面2aよりも上方にすることで、底面21bからの地下水の浸入を確実に防ぐことができる。また、掘削孔21の底部を上部よりも拡幅させた拡幅部21aとすることで、若干、掘削量やコンクリート量が増加することになるが、それよりも拡底基礎部3の引抜き抵抗や先端支持力Pが増加する割合の方が大きく、効率的である。
【0056】
また、一度に造成された地盤改良部2の中に複数の拡底基礎部3,・・・を設けるのであれば、基礎構造物ごとに地盤改良を行う場合に比べて、工費及び工期を削減することができる。
【実施例】
【0057】
次に、前記実施の形態とは別の形態の基礎1Aについて、図4を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同一用語や同一符号を付して説明する。
【0058】
実施例の基礎1Aは、地盤Gが凍上するおそれのある地域に構築される。この基礎1Aは、地盤改良部2と、基礎構造物としての柱状基礎部7と、地盤改良部2と地盤Gとの境界に設ける凍上抑制壁8とによって主に構成される。
【0059】
柱状基礎部7は、前記実施の形態で説明した拡底基礎部3のように底部が拡幅されず、円柱状に形成される。この柱状基礎部7は、鉄筋としての鉄筋籠71と、その周囲に充填されるコンクリート72とによって主に構成される。また、鉄筋籠71の上端71aは、前記実施の形態と同様に台座部42に埋設されて一体化される。
【0060】
凍上抑制壁8は、地盤改良部2と地盤Gとの縁を切るために設けられる。例えば、図4に示すように凍結深度G1まで開削された溝に、凍上抑制材又は凍着抑制材を充填することによって構築される。
【0061】
この凍上抑制材には、砕石、ガラスビーズなどの材料が使用できる。また、凍着抑制材には、塩化ナトリウム、二酸化珪素、炭酸カルシウムなどを主成分とする塩化物系材料や酢酸系材料などが使用できる。
【0062】
このように地盤改良部2と地盤Gとの境界に凍上抑制壁8を設けておくことで、柱状基礎部7周辺の凍結を抑えることができ、凍上力によって柱状基礎部7が持ち上げられるのを防ぐことができる。
【0063】
なお、この他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるため説明を省略する。
【0064】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態及び実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0065】
例えば、前記実施の形態又は実施例では、掘削孔21の底面21bが地盤改良部2の最深面2aよりも上方に位置するようにしたが、これに限定されるものではなく、地盤Gの地下水位が地盤改良部2の最深面2aより下方にある場合は、地下水位よりも上方であれば地盤G内にも掘削孔21を侵入させることができる。
【0066】
また、前記実施の形態では、ソーラーパネル4の基礎1として説明したが、これに限定されるものではなく、大型の標識や電柱等、いずれの上部構造物に対しても基礎1,1Aとして適用することができる。
【0067】
さらに、前記実施の形態又は実施例では、拡底基礎部3や柱状基礎部7などの杭状の基礎構造物を構築する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、フーチング基礎や布基礎等を基礎構造物にすることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1 基礎
2 地盤改良部
2a 最深面
21 掘削孔
21a 拡幅部
21b 底面
3 拡底基礎部(基礎構造物)
3b 拡幅部
3d 底面
31 鉄筋籠(鉄筋)
32 コンクリート
1A 基礎
7 柱状基礎部(基礎構造物)
71 鉄筋籠(鉄筋)
72 コンクリート
8 凍上抑制壁
G 地盤
図1
図2
図3
図4