(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラの撮像方向を切り換えたいという要求は、監視カメラに限らず、例えば、テレビ電話等の分野でも存在するが、かかる分野では、カメラの撮像方向の切り換えに高い分解能が要求されることから、従来は、手動による切り換えが主流である。すなわち、特許文献1、2に記載の技術のようにベルト機構を採用した場合、モータからの減速比を大きくして分解能を高めようとすると、カメラモジュールが大型化してしまい、テレビ電話等に搭載するのに不適である。特に、据え置き型のテレビにカメラを搭載して、通話者の画像を通話相手に送信するように構成する場合、テレビ画面を囲む枠部分等にカメラを配置する必要があるため、ベルト機構を採用した大型のカメラモジュールを用いることが困難である。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、小型、かつ、カメラの向きを広い範囲にわたって切り換えることのできるカメラモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るカメラモジュールは、カメラと、該カメラを
支持する可動体と、前記可動体を支持する固定体と、前記固定体に搭載
された第1モータ
と、前記固定体に搭載され、前記第1モータの回転を前記可動体に減速して伝達して当該可動体を前記カメラに対して
当該カメラの光軸での撮像方向と反対側位置で当該撮像方向と交差する方向に延在する第1軸線周りに回転させる第1歯車機構と、前記可動体に搭載され
た第2モータ
と、
前記可動体に搭載され、前記第2モータの回転を前記カメラに減速して伝達して当該カメラを前記撮像方向および前記第1軸線と交差する方向に延在する第2軸線周りに回転させる第2歯車機構と、
前記可動体を前記第1軸線方向に押圧して前記固定体に押し付けることにより、前記可動体の前記第1軸線周りの回転を抑制する第1付勢部材と、を有していることを特徴とする。
【0007】
本発明では、第1モータを駆動すると、第1モータの回転が第1歯車機構を介して可動体に減速して伝達され、カメラおよび可動体が第1軸線周りに回転する。また、第2モータを駆動すると、第2モータの回転が第2歯車機構を介してカメラに減速して伝達され、可動体上でカメラが第2軸線周りに回転する。このため、カメラの向きを2方向で切り換えることができる。ここで、第1モータの回転の伝達、および第2モータの回転の伝達に歯車機構(第1歯車機構および第2歯車機構)が用いられているため、減速比を大きくして分解能を高めた場合でも、ベルト機構を用いた場合に比して小型化を図ることができる。
【0008】
また、本発明は、前記可動体を前記第1軸線方向に押圧して前記固定体に押し付ける第1付勢部材を有して
いる。このため、歯車間のバックラッシュによって可動体が第1軸線周りに不用意に変位しないので、撮像方向がぶれない。それ故、カメラを任意の方向に安定して向かせることができる。また、第1モータの回転は、第1歯車機構によって減速して伝達されるので、第1付勢部材によって可動体を固定体に向けて押し付けた構成を採用した場合でも、第1モータの回転によって可動体を回転させることができる。
【0009】
本発明において、前記カメラを前記第2軸線方向に押圧して前記可動体に押し付ける
ことにより、前記カメラの前記第2軸線周りの回転を抑制する第2付勢部材を有していることが好ましい。かかる構成によれば、歯車間のバックラッシュによってカメラが第2軸線周りに不用意に変位しないので、撮像方向がぶれない。それ故、カメラを任意の方向に安定して向かせることができる。また、第2モータの回転は、第2歯車機構によって減速して伝達されるので、第2付勢部材によってカメラを可動体に向けて押し付けた構成を採用した場合でも、第2モータの回転によってカメラを回転させることができる。
【0010】
本発明において、前記第2歯車機構は、前記第2モータにより駆動される駆動側歯車と、該駆動側歯車より大の径寸法をもって前記駆動側歯車に噛合して当該駆動側歯車の回転を前記カメラ側に伝達する扇形歯車と、を含んでいることが好ましい。扇形歯車であれば、占有するスペースが狭く済むので、カメラモジュールの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、第1モータを駆動すると、第1モータの回転が第1歯車機構を介して可動体に減速して伝達され、カメラおよび可動体が第1軸線周りに回転する。また、第2モータを駆動すると、第2モータの回転が第2歯車機構を介して可動体に減速して伝達され、カメラが第2軸線周りに回転する。このため、カメラの向きを切り換えることができる。ここで、第1モータの回転の伝達、および第2モータの回転の伝達に歯車機構(第1歯車機構および第2歯車機構)が用いられているため、減速比を大きくして分解能を高めた場合でも、ベルト機構を用いた場合に比して小型化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面を参照して、本発明を適用したカメラモジールの一例を説明する。なお、以下の説明において、カメラモジュールの前後方向をX軸方向とし、X軸方向に直交する横方向をY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に直交する上下方向をZ軸方向として説明する。また、X軸方向のうち、被写体が位置する側を一方側+Xとし、被写体が位置する側とは反対側を他方側−Xとし、Y軸方向のうち、カメラに向かって左側を一方側+Yとし、右側を他方側−Yとし、Z軸方向のうち、上方側を一方側+Zとし、下方側を他方側−Zとして説明する。
【0014】
(テレビの全体構成)
図1は、本発明を適用したカメラモジュールを搭載したテレビの説明図である。
図1に示すテレビ100において、テレビ画面1100の周りは矩形の枠体1020で囲まれており、枠体1020の上辺部分1021には、本発明を適用したカメラモジュール1が搭載されている。カメラモジュール1は、テレビ電話用のカメラ10と、カメラ10が搭載された固定体80とを備えており、カメラ10は、固定体80を介して枠体1020に支持されている。
このように構成したテレビ100は、テレビ電話機能を有しており、カメラモジュール1によって撮影した通話者の画像を通話相手に送信する。また、テレビ画面1100には通話相手が映し出される。
【0015】
(カメラモジュール1の全体構成)
図2は、本発明を適用したカメラモジュール1の全体構成を示す説明図であり、
図2(a)、(b)は、カメラモジュール1の斜視図、およびカメラモジュール1の下ケースから内部の機構部品等を取り出した様子を示す分解斜視図である。なお、
図2(b)では、上ケースの図示を省略してある。
【0016】
図3は、本発明を適用したカメラモジュール1の機構部品等の説明図であり、
図3(a)、(b)、(c)は、本発明を適用したカメラモジュール1の機構部品等の平面図、機構部品等の底面図、および
図3(a)に示す矢印Fから機構部品等をみたときの説明図である。なお、
図3(c)では、可動体の図示を省略してある。
【0017】
図4は、本発明を適用したカメラモジュール1の動作を示す説明図であり、
図4(a)、(b)、(c)、(d)は、正面を0°としたとき、カメラ10が−30°の方向を向く待機状態の正面図、カメラ10が−20°の方向を向く状態の正面図、カメラ10が0°の方向を向く状態の正面図、およびカメラ10が+20°の方向を向く状態の正面図である。
図4(e)、(f)、(g)、(h)は、カメラ10が−30°の方向を向く待機状態の平面図、カメラ10が−20°の方向を向く状態の平面図、カメラ10が0°の方向を向く状態の平面図、およびカメラ10が+20°の方向を向く状態の平面図である。なお、
図2(b)および
図4(e)、(f)、(g)、(h)では上ケースやカバーの図示を省略してある。
【0018】
図2において、カメラモジュール1では、通話者の左右位置や顔の高さ位置によってカメラ10による撮像方向を左右方向および上下方向で調節する必要がある。このため、本形態のカメラモジュール1では、カメラ10をZ軸方向に延在する第1軸線Lz周りに回転させて撮像方向を左右方向で調節するとともに、カメラ10をY軸方向に延在する第2軸線Ly周りに回転させて撮像方向を上下方向で調節するようになっている。
【0019】
かかる動作を実現するために、本形態のカメラモジュール1では、
図2、
図3および
図4に示すように、カメラ10が搭載された可動体90と、カメラ10に対して撮像方向の反対側位置で撮像方向と交差するZ軸方向に延在する第1軸線Lz周りに可動体90を回転可能に支持する固定体80とが設けられている。また、固定体80には、第1モータ30と、第1モータ30の回転を可動体90に減速して伝達して可動体90を第1軸線Lz周りに回転させる第1歯車機構20とが搭載されている。また、カメラ10は、可動体90によって第1軸線Lzおよび撮像方向と交差するY軸方向に延在する第2軸線Ly周りに回転可能に支持されているとともに、可動体90には、第2モータ60
と、第2モータ60の回転をカメラ10に減速して伝達してカメラ10を第2軸線Ly周りに回転させる第2歯車機構70
とが搭載されている。
【0020】
(固定体80の構成)
図2に示すように、固定体80は、Z軸方向の一方側+Z(上側)に向けて開放状態にある矩形箱形状の下ケース81と、下ケース81の上部開口を塞ぐ四角形の上ケース82とを備えており、かかる固定体80によってカメラモジュール1の外形形状が規定されている。下ケース81は、Z軸方向の他方側−Zに位置する底板部810と、底板部810の外縁からZ軸方向の一方側+Zに向けて起立した4つの側板部811、812、813、814(壁面)とを備えている。下ケース81において、正面(X軸方向の一方側+X)に位置する側板部811には矩形の開口部815が形成されており、かかる開口部815を介してカメラ10による撮像が行われる。側板部811において、開口部815をY軸方向で挟む両側では、側板部811の端部816、817が下ケース81の内側に向けて斜めに折れ曲がっており、開口部815は、端部816、817の間からカメラ10を露出させる。底板部810には、第1軸線Lzを中心にして2段に凹んだ円形の凹部818が形成されており、かかる凹部818の底部の中心には軸穴819が形成されている。
【0021】
(可動体90の構成)
図2において、可動体90は、第1軸線Lzと同軸状の有底の円筒体901と、円筒体901の上面を覆う円板状のカバー905とを備えている。カバー905には、カメラ10と重なる位置に切り欠き906が形成されており、カメラ10のZ軸方向の一方側+Zの端部は切り欠き906の内側に位置している。但し、カメラ10は、カバー905からZ軸方向の一方側+Zへは突出していない。カバー905の上面(Z軸方向の一方側+Zの面)の中央(第1軸線Lzが通る位置)には、Z軸方向の一方側+Zに突出する軸部907が形成されており、かかる軸部907は、上ケース82に形成された軸穴(図示せず)に回転可能に支持されている。ここで、軸部907にはコイルバネからなる第1付勢部材908が装着されており、第1付勢部材908は、上ケース85とカバー905との間で圧縮した状態にある。このため、第1付勢部材908は、第1軸線Lz上において可動体90をZ軸方向の他方側−Zに付勢している。
【0022】
図2および
図3において、円筒体901は、円形の底板部91と、底板部91の外周縁からZ軸方向の一方側+Zに向けて折れ曲がった周壁92とを有しており、周壁92は、第1軸線Lzを中心に円弧状に湾曲している。かかる円筒体901の内側には、Z軸方向に直交する方向に撮像方向を向けてカメラ10が搭載されている。周壁92は、周方向で部分的に途切れており、かかる途切れ部分の一部からなる開口部98に対してカメラ10の撮像方向が向いている。
【0023】
円筒体901の内側には、両端が周壁92に繋がった支持板部95や、支持板部95に対向する位置で底板部91から起立した柱状部96が形成されている。また、周壁92の内周面のうち、第1軸線Lzを挟んで支持板部95と対向する部分は肉厚になっており、かかる肉厚部分によって、支持板部95と平行に対向する段付きの支持面97が形成されている。かかる支持板部95や支持面97は、詳しくは後述するように、カメラ10の支持や、第2モータ60および第2歯車機構70の固定等に利用されている。
【0024】
円筒体901の底板部91において、Z軸方向の他方側−Zに位置する下面には、第1軸線Lzを中心とする段付きの円形凸部93が形成されており、かかる円形凸部93の小径部931の中央からはZ軸方向の他方側−Zに向けて円形の軸部94が突出している。かかる軸部94は、下ケース81の底板部810の軸穴819に回転可能に嵌ることにより、可動体90は固定体80(下ケース81)に対して第1軸線Lz周りに回転可能に支持されている。この状態で、可動体90は、第1付勢部材908によってZ軸方向の他方側−Zに付勢され、円形凸部93あるいは軸部94のZ軸方向の他方側−Zの面は、下ケース81の底板部810に形成された凹部818の底部に弾性をもって当接している。
【0025】
かかる可動体90において、周壁92の外周面のうち、Z軸方向の他方側−Zに位置する部分には、周方向の所定の角度範囲にわたって、後述する第1歯車機構20を構成する従動側歯車22が形成されている。
【0026】
(第1歯車機構20の構成)
図2および
図3に示すように、固定体80において、下ケース81の側板部814の内面にはコの字形状の平面形状を有するモータ固定板39が固定されている。かかるモータ固定板39において対向する一対の板状部391、392のうち、板状部392の外面側に第1モータ30の本体が固定されており、第1モータ30においてX軸方向の他方側−Xに向けて突出した回転軸31は、板状部392を貫通して先端部が板状部391に回転可能に支持されている。かかる第1モータ30への給電は、下ケース81の側板部814の外側に保持された配線基板34を介して行われる。本形態において、第1モータ30にはステッピングモータが用いられている。
【0027】
板状部391、392の間では、回転軸31にウォームギア32が固定されており、ウォームギア32は、Z軸方向に延在する軸線周りに回転可能なウォームホイール33と噛合している。
【0028】
ウォームホイール33は、支軸38を中心に回転可能な複合歯車35においてZ軸方向の一方側+Zに向けて延在するように形成されており、複合歯車35には、Z軸方向の一方側+Zから他方側−Zに向けて、ウォームホイール33、
小径歯車21、および小径歯車21より大径の大径歯車51がこの順に一体に形成されている。また、複合歯車35において、ウォームホイール33、大径歯車51および小径歯車21は同軸状に形成されている。このため、第1モータ30が回転すると、複合歯車35(ウォームホイール33、大径歯車51および小径歯車21)は、Z軸方向に延在する軸線周りに回転する。大径歯車51は、カメラモジュール1に対して、カメラ10の前方を覆った状態および開放した状態に切り替える遮蔽部材を設ける場合、遮蔽部材に対して第1モータ30の回転を伝達する場合に利用される。
【0029】
小径歯車21は、可動体90の従動側歯車22と噛合して第1歯車機構20の駆動側歯車として用いられている。小径歯車21は、従動側歯車22より小径であるため、第1歯車機構20は減速機構として構成されている。
【0030】
従って、本形態では、
図4(a)、(e)に示すように、正面(X軸方向の一方側+X)を0°としたとき、カメラ10が−30°の方向を向く待機位置にある状態で、第1モータ30が回転すると、第1モータ30の回転が可動体90に減速して伝達される結果、可動体90は第1軸線Lz周りに回転する。そして、
図4(b)、(f)に示すように、カメラ10の撮像方向Lが−20°の方向を向いた時点では、カメラ10が下ケース81の開口部815に向き、カメラ10の視界には側板部811が入らない。次に、第1モータ30がさらに回転すると、
図4(c)、(g)に示すように、カメラ10の撮像方向Lが0°の方向を向き、その後、
図4(d)、(h)に示すように、カメラ10の撮像方向Lが+20°の方向を向く。その間も、カメラ10の視界には側板部811が入らない。
【0031】
その後、第1モータ30を逆回転させると、カメラ10は、上記と逆方向に回転する。そして、カメラ10が−30°の方向を向く待機位置に戻る。
【0032】
このように、本形態のカメラモジュール1では、カメラ10の撮像方向を第1軸線Lz回りに切り換えることができる。従って、
図1に示すテレビ100をテレビ電話として利用する場合、テレビ本体に設けられているスイッチやリモコンスイッチを操作して第1モータ30を作動させれば、通話者の位置に合わせて、カメラ10の撮像方向を左右に切り換えることができるので、カメラ10の撮像方向を適正に調整することができる。なお、可動体90の第1軸線Lz回りの回転は、可動体90の底板部91と、下ケース81の底板部810との間に配置された光学式あるいは磁気式のセンサ99(
図3(b)参照)によって検出される。
【0033】
(第2歯車機構70等の構成)
図5は、本発明を適用したカメラモジュール1の第2歯車機構70等の説明図であり、
図5(a)、(b)、(c)は、可動体90を斜め上方からみた斜視図、斜め上方からみた分解斜視図、およびさらに細かく分解した様子を斜め下方からみた分解斜視図である。
【0034】
図2、
図3および
図5に示すように、カメラ10は、撮像光学系110等を備えたカメラ本体11と、カメラ本体11を内側に保持するカメラケース12とを備えており、可動体90の周壁92に形成された軸穴920と支持板部95に形成された軸穴950とによって、可動体90に第2軸線Ly周りに回転可能に支持されている。より具体的には、カメラケース12は、カメラ本体11を内側に保持する筒状胴部121と、筒状胴部121の両端部に形成された略円形の端板122、123とを有している。また、カメラケース12において、第2軸線Ly上には端板122、123から両側に向けて軸部124、125が突出しており、軸部124、125は軸穴950、920に回転可能に支持されている。
【0035】
可動体90において、支持板部95と周壁92の間には、固定板69、柱状部96、および周壁92の途切れ部分等を利用して第2モータ60が固定されており、第2モータ60では、Z軸方向に直交する方向に出力軸61が延在している。かかる出力軸61とカメラ10とは、以下に説明する第2歯車機構70によって機構的に接続されており、第2モータ60および第2歯車機構70は、カメラ10をZ軸方向に直交する第2軸線Ly周りに回転させる。なお、
図2に示すように、第2モータ60への給電は、周壁92の途切れ部分から内側に差し込まれたフレキシブル配線基板101によって行われ、カメラ10と外部との電気的な接続は、周壁92の途切れ部分から内側に差し込まれたフレキシブル配線基板102によって行われる。本形態において、第2モータ60にはステッピングモータが用いられている。
【0036】
第2歯車機構70は、出力軸61に固着されたモータピニオン71と、柱状部96と周壁92とによって回転可能に支持された複合歯車75とを有しており、複合歯車75は、モータピニオン71に噛合する大径歯車73と、大径歯車73より小さな径をもって大径歯車73と一体に形成された小径歯車74(駆動側歯車)とを備えている。また、カメラケース12の軸部125には、小径歯車74より径寸法が大の扇形歯車78が固着されており、扇形歯車78は、複合歯車75の小径歯車74と噛合している。このため、第2モータ60が回転すると、第2モータ60の回転は、第2歯車機構70によってカメラ10に減速して伝達される結果、カメラ10は、第2軸線Ly周りに回転する。従って、
図4に示すいずれのタイミングの際でも、第2モータ60を作動させれば、撮像方向の上下位置を調整することができる。また、カメラ10を下向きにすれば、カメラ本体11が隠れ、見えなくなる。このため、カメラ10を使用していない間、カメラ本体11の存在が気にならないとともに、カメラ本体11に埃等が付着することを防止することができる。
【0037】
ここで、カメラケース12の軸部124には扇形の可動板16が固着されている一方、可動体90の側には、周壁92と支持板部95との間に保持された基板17にセンサ18が実装されている。このため、カメラ10が第2軸線Ly周りに回転した際のカメラ10の向きを光学式あるいは磁気式のセンサ18によって検出することができる。
【0038】
また、カメラケース12の軸部124には、円筒体901の周壁92と可動板16との間にコイルバネからなる第2付勢部材129が装着されており、第2付勢部材129は、可動体90を第2軸線Lyに沿って付勢している。このため、カメラケース12において、軸部125の先端面は、周壁92の支持面97に弾性をもって当接している。なお、カメラケース12の軸部
125の根元に形成されている多段の円形凸部127が部分的に周壁92に当接している構造を採用してもよい。
【0039】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態のカメラモジュール1では、第1モータ30を駆動すると、第1モータ30の回転が第1歯車機構20を介して可動体90に減速して伝達され、カメラ10および
可動体90が第1軸線Lz周りに回転する。また、第2モータ60を駆動すると、第2モータ60の回転が第2歯車機構70を介してカメラ10に減速して伝達され、可動体90上でカメラ10が第2軸線周りに回転する。このため、カメラ10の向きを2方向で切り換えることができる。ここで、第1モータ30の回転の伝達、および第2モータ60の回転の伝達に歯車機構(第1歯車機構20および第2歯車機構70)が用いられているため、減速比を大きくして分解能を高めた場合でも、ベルト機構を用いた場合に比して小型化を図ることができる。
【0040】
また、本形態のカメラモジュール1では、可動体90を第1軸線Lz方向に押圧して固定体80(下ケース81)に押し付ける第1付勢部材908を有している。このため、第1モータ30の回転の伝達に第1歯車機構20を用いた場合でも、歯車間のバックラッシュによって可動体90が第1軸線Lz周りに不用意に変位しないので、撮像方向がぶれない。それ故、カメラ10を任意の方向に安定して向かせることができる。また、第1モータ30の回転は、第1歯車機構20によって減速して伝達されるので、第1付勢部材908によって可動体90を固定体80に向けて押し付けた構成を採用した場合でも、第1モータ30の回転によって可動体90を回転させることができる。
【0041】
また、本形態のカメラモジュール1では、カメラ10を第2軸線Ly方向に押圧して可動体90に押し付ける第2付勢部材129を有している。このため、第2モータ60の回転の伝達に第2歯車機構70を用いた場合でも、歯車間のバックラッシュによってカメラ10が第2軸線Ly周りに不用意に変位しないので、撮像方向がぶれない。それ故、カメラ10を任意の方向に安定して向かせることができる。また、第2モータ60の回転は、第2歯車機構70によって減速して伝達されるので、第2付勢部材129によってカメラ10を可動体90に向けて押し付けた構成を採用した場合でも、第2モータ60の回転によってカメラ10を回転させることができる。
【0042】
また、第2歯車機構70において、第2モータ60により駆動される複合歯車75の小径歯車74(駆動側歯車)には、小径歯車74より大の径寸法をもつ扇形歯車78が噛合している。このため、第2歯車機構70の減速比を大にした場合でも、扇形歯車78であれば、Z軸方向で占めるスペースが狭くてよいので、カメラモジュール1の薄型化を図ることができる。
【0043】
(他の実施の形態)
上記実施形態に係るカメラモジュール1においては、第1付勢部材908および第2付勢部材129としてコイルバネを用いたが、板バネ等の付勢部材を用いてもよい。また、固定体80と可動体90との間に可動体90の第1軸線Lz周りの回転角度範囲を規定するストッパ(第1ストッパ)を構成してもよく、かかる構成によれば、第1ストッパが作動した位置を第1軸線Lz周りの初期位置(待機位置)として設定することができる。従って、可動体90を固定体80上に組み込む際に可動体90の角度位置を調整しなくても、カメラ10の初期位置を規定することができるとともに、第1モータ30に供給する駆動電流の送りパルスの数によって可動体90(カメラ10)の第1軸線Lz周りの向きを制御することができる。また、カメラモジュール1を駆動した際、カウンタおよびメモリ等を用いて、第1ストッパが作動した位置を記憶しておけば、再度、可動体90を前回の角度位置まで復帰させるのが容易である。
【0044】
また、カメラ10と可動体90との間にカメラ10の第2軸線Ly周りの回転角度範囲を規定するストッパ(第2ストッパ)、例えば、カメラ10が下向きになる位置で作動するストッパを構成してもよく、かかる構成によれば、第2ストッパが作動した位置を第2軸線Ly周りの初期位置(待機位置)として設定することができる。従って、カメラ10を可動体90上に組み込む際にカメラ10の角度位置を調整しなくても、カメラ10の初期位置を規定することができるとともに、第2モータ60に供給する駆動電流の送りパルスの数によってカメラ10の第2軸線Ly周りの向きを制御することができる。また、カメラモジュール1を駆動した際、カウンタおよびメモリ等を用いて、第2ストッパが作動した位置を記憶しておけば、再度、カメラ10を前回の角度位置まで復帰させるのが容易である。
【0045】
上記実施の形態では、カメラモジュール1をテレビ100の枠体1020の上辺部分1021に設けたが、枠体1020の側辺部や下辺部等にカメラモジュール1を設けてもよく、また、テレビ100の枠体1020から張り出すようにカメラモジュール1を設けてもよい。さらに、カメラモジュール1をテレビ100と別体に構成してカメラモジュール1に付属させる形態等を採用してもよい等、カメラモジュール1を設置する形態については、上記実施の形態に限定されない。
【0046】
また、上記実施の形態では、テレビ電話用のカメラモジュール1を例示したが、被写体の人物の動きを分析してテレビあるいはテレビに接続されている機器に対する指示を入力するカメラモジュールに本発明を適用してもよい。また、テレビ電話以外にも、監視カメラ用のカメラモジュール、パーソナルコンピュータのモニターに搭載されるカメラモジュール、携帯端末に搭載されるカメラモジュール等に本発明を適用してもよい。