特許第5972720号(P5972720)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5972720車両用マッドガードの製造方法と、これに用いる塗装マスキング治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972720
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】車両用マッドガードの製造方法と、これに用いる塗装マスキング治具
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/18 20060101AFI20160804BHJP
   B05D 1/32 20060101ALI20160804BHJP
   B05B 15/04 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
   B62D25/18 A
   B05D1/32 E
   B05B15/04 102
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-195117(P2012-195117)
(22)【出願日】2012年9月5日
(65)【公開番号】特開2014-51124(P2014-51124A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年6月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】512231369
【氏名又は名称】アド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤崎 憂治
【審査官】 田合 弘幸
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−007583(JP,U)
【文献】 特開平01−270973(JP,A)
【文献】 特開昭63−151587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/18
B05B 15/04
B05D 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ボディのホイールアーチ部の後下端部を覆うようにして装着される熱可塑性エラストマー材料を用いて射出成形されるマッドガード本体と、このマッドガード本体の意匠外面に形成された塗装膜とを備え、
前記マッドガード本体は、前記ホイールアーチ部の後下端部の前側に装着されて前記ホイールアーチ部の後下端部の車幅方向に沿って延びる下部と、この下部の車外側部から上方に沿って延びる立上り部とを有して側面形状が鉤形をなしかつ前記ホイールアーチ部の後下端部の前側を覆う基部と、
前記基部の外周縁から前記車両ボディの外側面に向けて連結部を介して形成されると共に、下部及び立上り部を有して側面形状が鉤形をなし、かつ前記ホイールアーチ部の後下端部に対応する前記車両ボディの外側面を覆う装飾部と、
前記基部の外周縁と前記連結部との境界部で前方に向けて突出された突条部と、
を有し、
前記塗装膜は、前記突条部と、この突条部の外周側部分の前記連結部及び前記装飾部との外表面に形成され、
前記突条部の内周側部分の基部の外表面は、塗膜層が施されていない非塗装面とされている車両用マッドガードの製造方法であって、
熱可塑性エラストマー材料を用いて射出成形されたマッドガード本体を準備し、
その後、前記マッドガード本体の装飾部と連結部と突条部とのそれぞれの外表面を露出させた状態で、前記マッドガード本体の基部の外表面及び内表面を覆うようにして前記マッドガード本体に塗装マスキング治具を装着するマスキング工程と、
前記装飾部と前記連結部と前記突条部とをそれぞれ塗装して前記装飾部と前記連結部と前記突条部とのそれぞれの外表面に塗装膜を形成する塗装工程と、
を備え、
前記塗装マスキング治具は、前記マッドガード本体の基部の外表面側に装着されるベース部材と、前記基部の内表面側に装着されるキャップ部材とを備え、
前記ベース部材は、前記マッドガード本体の基部の外表面側に装着されたときに前記基部の外表面を覆うベース本体と、
前記ベース本体の外周縁から延出され、かつ前記基部の外周縁に対応する外周縁形状に形成された外側フランジと、
前記ベース本体の内表面から突出され、かつ前記基部の内周縁の端面と対向する内側壁部と、
前記ベース部材を前記マッドガード本体の基部に位置決めして着脱可能に装着する位置決め固定部と、
を有し、
前記キャップ部材は、前記基部の内表面側に装着されたときに前記基部の内表面の少なくとも一部を覆うキャップ本体と、
前記キャップ本体の内周縁に沿って形成され、前記基部の内表面側に装着されたときに前記基部の内周縁と前記ベース部材の内側壁部との間を覆うカバー部と、
前記キャップ部材を前記マッドガード本体の基部又は前記ベース部材のベース本体に位置決めして着脱可能に装着する位置決め固定部と、
を有し、
前記マッドガード本体の基部の外表面側に前記ベース部材が装着され、内表面側に前記キャップ部材が装着されたとき、
前記ベース部材が、そのベース本体及び外側フランジによって前記基部の外表面のうち前記突条部よりも内周側の部分を覆いかつ前記突条部を露出させた状態で前記基部に装着され、
前記キャップ部材が、そのキャップ本体によって前記基部の内表面の少なくとも一部を覆い、前記カバー部によって前記基部の内周縁と前記ベース部材の内側壁部との間を覆った状態で前記マッドガード本体の基部又は前記ベース部材のベース本体に装着される、ことを特徴とする車両用マッドガードの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用マッドガードの製造方法に用いる塗装マスキング治具であって、
マッドガード本体の基部の外表面側に装着されるベース部材と、前記基部の内表面側に装着されるキャップ部材とを備え、
前記ベース部材は、前記マッドガード本体の基部の外表面側に装着されたときに前記基部の外表面を覆うベース本体と、
前記ベース本体の外周縁から延出され、かつ前記マッドガード本体の基部の外表面側に装着されたときに前記基部の外周縁に対応する外周縁形状に形成された外側フランジと、
前記ベース本体の内表面から突出され、かつ前記マッドガード本体の基部の外表面側に装着されたときに前記基部の内周縁の端面と対向する内側壁部と、
前記ベース部材を前記マッドガード本体の基部に位置決めして着脱可能に装着する位置決め固定部と、
を有し、
前記キャップ部材は、前記基部の内表面側に装着されたときに前記基部の内表面の少なくとも一部を覆うキャップ本体と、
前記キャップ本体の内周縁に沿って形成され、前記基部の内表面側に装着されたときに前記基部の内周縁と前記ベース部材の内側壁部との間を覆うカバー部と、
前記キャップ部材を前記マッドガード本体の基部又は前記ベース部材のベース本体に位置決めして着脱可能に装着する位置決め固定部と、
を有し、
前記マッドガード本体の基部の外表面側にベース部材が装着され、内表面側にキャップ部材が装着されたとき、
前記ベース部材が、そのベース本体及び外側フランジによって前記基部の外表面のうち突条部よりも内周側の部分を覆いかつ前記突条部を露出させた状態で前記基部に装着され、
前記キャップ部材が、そのキャップ本体によって前記基部の内表面の少なくとも一部を覆い、前記カバー部によって前記基部の内周縁と前記ベース部材の内側壁部との間を覆った状態で前記マッドガード本体の基部又は前記ベース部材のベース本体に装着される、ことを特徴とする車両用マッドガードの製造方法に用いる塗装マスキング治具。
【請求項3】
請求項2に記載の塗装マスキング治具であって、
マッドガード本体の基部の外表面側にベース部材が装着されたときには、前記ベース部材の外側フランジは、その外端部がマッドガード本体の基部の外周縁に近接又は当接し、前記外側フランジの外端部から内端部に向けて前記マッドガード本体の基部に対し徐々に隙間が増大される傾斜状に形成されている、ことを特徴とする塗装マスキング治具。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の塗装マスキング治具であって、
ベース部材の外側フランジの外端部は鋭角をなしている、ことを特徴とする塗装マスキング治具。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載の塗装マスキング治具であって、
ベース部材の位置決め固定部は、前記ベース部材のベース本体の内表面から軸状をなして突出され、かつマッドガード本体の基部に形成された単数又は複数の取付孔に嵌挿されて固定される突出部によって構成されている、ことを特徴とする塗装マスキング治具。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の塗装マスキング治具であって、
ベース部材及びキャップ部材は、塗装加熱炉内で加熱されるマッドガード本体の加熱温度に耐え得る耐熱性材料によってそれぞれ形成されている、ことを特徴とする塗装マスキング治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用マッドガードの製造方法と、これに用いる塗装マスキング治具に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用マッドガードにおいて、車両ボディのホイールアーチ部の後下端部を覆うようにして装着される熱可塑性エラストマー材料を用いて射出成形されるマッドガード本体と、このマッドガード本体の意匠外面に形成された塗装膜とを備えたものがある。
マッドガード本体の意匠外面に対し、スプレー塗装によって塗装膜を形成する場合、予め、マッドガード本体の塗装しない部分と意匠外面との境界線(見切り線)に沿ってマスキングテープを貼り付けてマッドガード本体をマスキングすることがある。
しかしながら、マッドガード本体の塗装しない部分と意匠外面との境界線は曲線が多く、マスキングテープの貼付作業が煩雑で多くの手間や時間を必要としていた。
また、塗装マスキング治具を用いてマッドガード本体の塗装しない部分をマスキングすることも知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−151587号公報
【特許文献2】特開平4−338265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、図12に示すように、塗装マスキング治具160を用いてマッドガード本体102の塗装しない部分をマスキングすると、塗装マスキング治具160の先端部とマッドガード本体102の意匠面との境界部に塗装マスキング治具160の先端部の厚さに相当する段差が生じる。この段差が大きい場合、塗装マスキング治具160の先端部に塗料溜まりが生じ、これによってマッドガード本体102の塗装しない部分と意匠外面との境界部に塗料溜まりよるバリが発生し、見栄えが悪くなる。
また、塗装マスキング治具160が位置ずれしたり、マッドガード本体102との間に不測の隙間が生じることも想定され、この場合には、塗装マスキング治具160とマッドガード本体102との間の隙間に塗料が浸入し、境界線(見切り線)が不測に蛇行したりして見栄えが悪くなる。
【0005】
この発明の目的は、前記問題点に鑑み、塗装した部分と塗装しない部分との境界線の見栄えが良い車両用マッドガードの製造方法と、その製造方法に用いる塗装マスキング治具とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項に係る車両用マッドガードの製造方法は、車両ボディのホイールアーチ部の後下端部を覆うようにして装着される熱可塑性エラストマー材料を用いて射出成形されるマッドガード本体と、このマッドガード本体の意匠外面に形成された塗装膜とを備え、
前記マッドガード本体は、前記ホイールアーチ部の後下端部の前側に装着されて前記ホイールアーチ部の後下端部の車幅方向に沿って延びる下部と、この下部の車外側部から上方に沿って延びる立上り部とを有して側面形状が鉤形をなしかつ前記ホイールアーチ部の後下端部の前側を覆う基部と、
前記基部の外周縁から前記車両ボディの外側面に向けて連結部を介して形成されると共に、下部及び立上り部を有して側面形状が鉤形をなし、かつ前記ホイールアーチ部の後下端部に対応する前記車両ボディの外側面を覆う装飾部と、
前記基部の外周縁と前記連結部との境界部で前方に向けて突出された突条部と、
を有し、
前記塗装膜は、前記突条部と、この突条部の外周側部分の前記連結部及び前記装飾部との外表面に形成され、
前記突条部の内周側部分の基部の外表面は、塗膜層が施されていない非塗装面とされている車両用マッドガードを製造する、車両用マッドガードの製造方法であって、
熱可塑性エラストマー材料を用いて射出成形されたマッドガード本体を準備し、
その後、前記マッドガード本体の装飾部と連結部と突条部とのそれぞれの外表面を露出させた状態で、前記マッドガード本体の基部の外表面及び内表面を覆うようにして前記マッドガード本体に塗装マスキング治具を装着するマスキング工程と、
前記装飾部と前記連結部と前記突条部とをそれぞれ塗装して前記装飾部と前記連結部と前記突条部とのそれぞれの外表面に塗装膜を形成する塗装工程と、
を備え、
前記塗装マスキング治具は、前記マッドガード本体の基部の外表面側に装着されるベース部材と、前記基部の内表面側に装着されるキャップ部材とを備え、
前記ベース部材は、前記マッドガード本体の基部の外表面側に装着されたときに前記基部の外表面を覆うベース本体と、
前記ベース本体の外周縁から延出され、かつ前記基部の外周縁に対応する外周縁形状に形成された外側フランジと、
前記ベース本体の内表面から突出され、かつ前記基部の内周縁の端面と対向する内側壁部と、
前記ベース部材を前記マッドガード本体の基部に位置決めして着脱可能に装着する位置決め固定部と、
を有し、
前記キャップ部材は、前記基部の内表面側に装着されたときに前記基部の内表面の少なくとも一部を覆うキャップ本体と、
前記キャップ本体の内周縁に沿って形成され、前記基部の内表面側に装着されたときに前記基部の内周縁と前記ベース部材の内側壁部との間を覆うカバー部と、
前記キャップ部材を前記マッドガード本体の基部又は前記ベース部材のベース本体に位置決めして着脱可能に装着する位置決め固定部と、
を有し、
前記マッドガード本体の基部の外表面側に前記ベース部材が装着され、内表面側に前記キャップ部材が装着されたとき、
前記ベース部材が、そのベース本体及び外側フランジによって前記基部の外表面のうち前記突条部よりも内周側の部分を覆いかつ前記突条部を露出させた状態で前記基部に装着され、
前記キャップ部材が、そのキャップ本体によって前記基部の内表面の少なくとも一部を覆い、前記カバー部によって前記基部の内周縁と前記ベース部材の内側壁部との間を覆った状態で前記マッドガード本体の基部又は前記ベース部材のベース本体に装着される、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明によると、マッドガード本体の基部の外表面側にベース部材を装着し、基部の内表面側にキャップ部材を装着することによってマッドガード本体を容易にマスキングすることができる。
また、マッドガード本体の基部の外表面側にベース部材を装着した状態において、ベース部材のベース本体及び外側フランジによってマッドガード本体の基部の外表面のうち突条部よりも内周側の部分を覆いかつ突条部を露出させることできる。
そして、前記した状態で、マッドガード本体の突条部と、この突条部の外周側部分の連結部及び装飾部との外表面(意匠外面)をスプレー塗装して塗装膜を形成することによって、請求項1に記載の車両用マッドガードを容易に製造することができる。
【0016】
請求項に係る塗装マスキング治具は、請求項に記載の車両用マッドガードの製造方法に用いる塗装マスキング治具であって、
マッドガード本体の基部の外表面側に装着されるベース部材と、前記基部の内表面側に装着されるキャップ部材とを備え、
前記ベース部材は、前記マッドガード本体の基部の外表面側に装着されたときに前記基部の外表面を覆うベース本体と、
前記ベース本体の外周縁から延出され、かつ前記マッドガード本体の基部の外表面側に装着されたときに前記基部の外周縁に対応する外周縁形状に形成された外側フランジと、
前記ベース本体の内表面から突出され、かつ前記マッドガード本体の基部の外表面側に装着されたときに前記基部の内周縁の端面と対向する内側壁部と、
前記ベース部材を前記マッドガード本体の基部に位置決めして着脱可能に装着する位置決め固定部と、
を有し、
前記キャップ部材は、前記基部の内表面側に装着されたときに前記基部の内表面の少なくとも一部を覆うキャップ本体と、
前記キャップ本体の内周縁に沿って形成され、前記基部の内表面側に装着されたときに前記基部の内周縁と前記ベース部材の内側壁部との間を覆うカバー部と、
前記キャップ部材を前記マッドガード本体の基部又は前記ベース部材のベース本体に位置決めして着脱可能に装着する位置決め固定部と、
を有し、
前記マッドガード本体の基部の外表面側にベース部材が装着され、内表面側にキャップ部材が装着されたとき、
前記ベース部材が、そのベース本体及び外側フランジによって前記基部の外表面のうち突条部よりも内周側の部分を覆いかつ前記突条部を露出させた状態で前記基部に装着され、
前記キャップ部材が、そのキャップ本体によって前記基部の内表面の少なくとも一部を覆い、前記カバー部によって前記基部の内周縁と前記ベース部材の内側壁部との間を覆った状態で前記マッドガード本体の基部又は前記ベース部材のベース本体に装着される、
ことを特徴とする。
【0017】
請求項に記載の発明によると、マッドガード本体の基部の外表面側に装着されるベース部材と、内表面側に装着されるキャップ部材とを備えた塗装マスキング治具を用いることによって、請求項に記載の車両用マッドガードの製造方法を容易に実施することができる。
【0018】
請求項に係る塗装マスキング治具は、請求項に記載の塗装マスキング治具であって、
マッドガード本体の基部の外表面側にベース部材が装着されたときには、前記ベース部材の外側フランジは、その外端部がマッドガード本体の基部の外周縁に近接又は当接し、前記外側フランジの外端部から内端部に向けて前記マッドガード本体の基部に対し徐々に隙間が増大される傾斜状に形成されている、ことを特徴とする。
【0019】
請求項に記載の発明によると、請求項に記載の発明の作用効果に加え、外側フランジの外端部から内端部に向けてマッドガード本体の基部に対し徐々に隙間が増大される傾斜状に形成されるため、ベース部材の外側フランジの外端部をマッドガード本体の基部の外周縁に近接又は当接させることができる。このため、ベース部材の外側フランジの外端部とマッドガード本体の基部の外周縁との間に過大な隙間が生じ、この隙間から噴霧状態の塗料が浸入することを抑制することができる。すなわち、ベース部材の外側フランジが平坦に形成されると、ベース部材やマッドガード本体の基部の製作のばらつきによって、マッドガード本体の基部の外周縁に対しベース部材の外側フランジの外端部が不測に浮き上がり、過大な隙間が生じることが想定される。これに対し、外側フランジの外端部から内端部に向けてマッドガード本体の基部に対し徐々に隙間が増大される傾斜状に形成されることで、ベース部材の外側フランジの外端部とマッドガード本体の基部の外周縁との間に過大な隙間が生じることを抑制することができる。
【0020】
請求項に係る塗装マスキング治具は、請求項又はに記載の塗装マスキング治具であって、
ベース部材の外側フランジの外端部は鋭角をなしている、ことを特徴とする。
【0021】
請求項に記載の発明によると、請求項又はに記載の発明の作用効果に加え、ベース部材の外側フランジの外端部が鋭角をなすことで、ベース部材の外側フランジの外端部に塗料が溜まることを抑制することができ、塗料溜まりによるバリの発生を防止することができる。
【0022】
請求項に係る塗装マスキング治具は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の塗装マスキング治具であって、
ベース部材の位置決め固定部は、前記ベース部材のベース本体の内表面から軸状をなして突出され、かつマッドガード本体の基部に形成された単数又は複数の取付孔に嵌挿されて固定される突出部によって構成されている、ことを特徴とする。
【0023】
請求項に記載の発明によると、請求項2〜4のいずれか一項に記載の発明の作用効果に加え、ベース部材の位置決め固定部としての突出部をマッドガード本体の取付孔に嵌挿して固定することによって、マッドガード本体にベース本体を容易に位置決めして固定することができる。
【0024】
請求項に係る塗装マスキング治具は、請求項2〜5のいずれか一項に記載の塗装マスキング治具であって、
ベース部材及びキャップ部材は、塗装加熱炉内で加熱されるマッドガード本体の加熱温度に耐え得る耐熱性材料によってそれぞれ形成されている、ことを特徴とする。
【0025】
請求項に記載の発明によると、請求項2〜5のいずれか一項に記載の発明の作用効果に加え、耐熱性材料によって形成されるベース部材及びキャップ部材は、塗装加熱炉内で加熱されるマッドガード本体の加熱温度に耐え得るため、熱変形して使用不能となることを抑制することができ、繰り返し使用することができる。

【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】この発明の実施例1に係る車両用マッドガードが車両ボディのホイールアーチ部の後下端部を覆うようにして装着された状態を示す側面図である。
図2】同じく車両用マッドガードを一部破断して示す斜視図である。
図3】同じく車両用マッドガードを基部側から示す背面図である。
図4】同じく車両用マッドガードの図3のIV−IV線に沿う平断面図である。
図5】同じくマッドガード本体と塗装マスキング治具のベース部材及びキャップ部材とを分離した状態を示す斜視図である。
図6】同じくマッドガード本体に塗装マスキング治具のベース部材及びキャップ部材を装着した状態を示す斜視図である。
図7】同じく塗装マスキング治具のベース部材を前側から示す正面図である。
図8】同じく塗装マスキング治具のキャップ部材を前側から示す正面図である。
図9】同じく図6のIX−IX線に沿う平断面図である。
図10】同じくスプレー塗装する際のマッドガード本体の突条部の周囲と塗装マスキング治具との関係を拡大して示す断面図である。
図11】この発明の他の実施例に係るマッドガード本体の突条部の周囲と塗装マスキング治具との関係を拡大して示す断面図である。
図12】従来のマッドガード本体と塗装マスキング治具との関係を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明を実施するための形態について実施例にしたがって説明する。
【実施例1】
【0028】
この発明の実施例1に係る車両用マッドガードを図1図4にしたがって説明する。
図1に示すように、車両用マッドガード10は、車両のボディパネル1のフロントのホイールアーチ部2(又はリアのホイールアーチ部3)の後下端部を覆うようにして装着される。なお、リアのホイールアーチ部3の後側部はリヤバンパ4の一部によって形成されている。
また、車両用マッドガード10は、図2図4に示すように、マッドガード本体11と、このマッドガード本体11の意匠外面に形成された塗装膜50とを備えている。
【0029】
マッドガード本体11は、熱可塑性エラストマー材料からなる弾性体によって一体成形されている。
また、JISK7215に基づくデュロメータA硬さ(HDA)が90以上で、かつデュロメータD硬さ(HDD)が40以下のオレフィン系熱可塑性エラストマー材料からマッドガード本体11が形成されることが望ましい。
【0030】
また、図2図4に示すように、マッドガード本体11は、基部12と、連結部20と、装飾部30と、突条部40とを一体に有している。
マッドガード本体11の基部12は、フロントのホイールアーチ部2(又はリアのホイールアーチ部3)の後下端部の前側に装着されてホイールアーチ部2(又はリアのホイールアーチ部3)の後下端部の車幅方向に沿って延びる下部12aと、この下部12aの車外側部から上方に沿って延びる立上り部12bとを有して側面形状が鉤形をなしてホイールアーチ部2(又はリアのホイールアーチ部3)の前側を覆う。
【0031】
また、この実施例1において、図2に示すように、基部12には、フロントのホイールアーチ部2(又はリアのホイールアーチ部3)にビスやクリップ等の取付部材によって取り付けるための単数又は複数の取付孔14、16、18が形成されている。
この実施例1において、基部12の下部12aの一箇所と、立上り部12bの上下部の二箇所、計三箇所に台座部13、15、17が形成されている。そして、下部12aの台座部13には、車幅方向に長い取付孔14が形成されている。さらに、立上り部12bの下側の台座部15には、取付の基準となる円形の取付孔16が形成され、立上り部12bの上側の台座部17には、上下方向に長い取付孔18が形成されている。
【0032】
図に示すように、マッドガード本体11の装飾部30は、基部12の外周縁から車両のボディパネル1の外側面に向けて連結部20を介して形成されると共に、下部30a及び立上り部30bを有して側面形状が鉤形をなし、かつホイールアーチ部2の後下端部に対応する車両のボディパネル1のロッカー部(又はリヤバンパ4)の外側面を覆う。
【0033】
図2図4に示すように、突条部40は、基部12の外周縁と連結部20との境界部で前方に向けて横断面半円弧状をなして突出されている。
【0034】
塗装膜50は、マッドガード本体11の意匠外面をなす突条部40と、この突条部40の外周側部分の連結部20及び装飾部30との外表面に形成されている。
そして、突条部40の内周側部分の基部12の外表面は、塗膜層が施されていない非塗装面とされている。
【0035】
また、この実施例1において、図2図4に示すように、マッドガード本体11の基部12の外周縁と突条部40の内周側根元部との間には凹溝45が形成され、塗装膜50は、凹溝45から、この凹溝45の外周側部分の突条部40と連結部20と装飾部30との外表面に形成されている。
また、図4に示すように、凹溝45の内周側部分の基部12の外表面は、塗装膜が施されていない非塗装面とされている。
また、凹溝45の深さ寸法hは、凹溝45の底面から基部12の内表面までの肉厚寸法tの30%〜80%の値に設定されることが望ましい。なお、この実施例1において、装飾部30の端面を含む端部30cの表面にも塗装膜50が形成されている。
【0036】
この実施例1に係る車両用マッドガードは上述したように構成される。
したがって、車両用マッドガード10は、マッドガード本体11の突条部40の外表面と、この突条部40の外周側部分の連結部20及び装飾部30の外表面(意匠外面)にそれぞれ塗装膜50が形成され、突条部40の内周側部分の基部12の外表面は、塗膜層が施されていない非塗装面とされている。
そして、突条部40が塗装した部分と塗装しない部分との境界に位置するため、塗装した部分と塗装しない部分との境界線(見切り線)がはっきりしているように見えて見栄えが良い。
【0037】
また、この実施例1において、マッドガード本体11の基部12の外周縁と突条部40の内周側根元部との間には凹溝45が形成されている。この凹溝45から、凹溝45の外周側部分の突条部40と連結部20と装飾部30とのそれぞれの外表面に塗装膜50が形成され、凹溝45の内周側部分の基部12の外表面は、塗膜層が施されていない非塗装面とされている。
これによって、凹溝45が塗装した部分と塗装しない部分との境界に位置するため、塗装した部分と塗装しない部分との境界線(見切り線)がはっきりしているように見えて見栄えが良い。
【0038】
また、この実施例1において、マッドガード本体11の凹溝45の底面から基部12の内表面までの肉厚寸法tの30%〜80%の値に凹溝45の深さ寸法hが設定されることで、マッドガード本体11の剛性低下を抑制することができる。
すなわち、凹溝45の深さ寸法hが、凹溝45の底面から基部12の内表面までの肉厚寸法tの30%よりも小さいと、凹溝45としての効果が明らかとならず、80%を越えると、マッドガード本体11の剛性低下が顕著となる。
【0039】
また、この実施例1において、車両のボディパネル1のフロントのホイールアーチ部2(又はリアのホイールアーチ部3)に対し、車両用マッドガード10を、そのマッドガード本体11の基部12に形成された複数の取付孔14、16、18によって容易に取り付けることができる。
【0040】
また、この実施例1において、基部12の下部12aの一箇所に形成された取付孔14は、車幅方向に長い長孔によって形成され、基部12の立上り部12bの上側の取付孔18は上下方向に長い長孔によって形成され、基部12の立上り部12bの下側の取付孔16は取付の基準となる円形孔によって形成されている。
このため、車両のボディパネル1のフロントのホイールアーチ部2(又はリアのホイールアーチ部3)や車両用マッドガード10の製作や加工にばらつきがあったとしても、車幅方向のばらつきを車幅方向に長い取付孔14によって吸収でき、上下方向のばらつきを上下方向に長い取付孔18によって吸収することができる。
また、マッドガード本体11に対し複数の取付孔14、16、18を利用して後述する塗装マスキング治具60を容易に位置決めして装着することもできる。
【0041】
次に、この発明の実施例1に係る車両用マッドガードを製造する方法を図5図10にしたがって説明する。
熱可塑性エラストマー材料からなる弾性体によって、基部12と、連結部20と、装飾部30と、突条部40とを一体に有するマッドガード本体11を製作して準備する。
その後、マスキング工程と、塗装行程と、を行って車両用マッドガード10を製造する。
【0042】
マスキング工程において、マッドガード本体11の装飾部30と連結部20と突条部40とのそれぞれの外表面を露出させた状態で、マッドガード本体11の基部12の外表面及び内表面を覆うようにしてマッドガード本体11に塗装マスキング治具60を装着する。
図5図6に示すように、塗装マスキング治具60は、マッドガード本体11の基部12の外表面側に装着されるベース部材61と、基部12の内表面側に装着されるキャップ部材80とを備えている。
【0043】
図5図7図9に示すように、ベース部材61は、マッドガード本体11の基部12の外表面側に装着されたときに基部12の外表面を覆うベース本体62と、このベース本体62の外周縁に沿って内面側へ突出された外側壁部75と、この外側壁部75の外周縁から延出され、かつ基部12の外周縁に対応する外周縁形状に形成された外側フランジ76と、ベース本体62の内表面から突出され、かつ基部12の内周縁の端面と対向する内側壁部70と、この内側壁部70の内周縁から延出された内側フランジ71と、ベース部材61をマッドガード本体11の基部12に位置決めして着脱可能に固定する単数又は複数の固定部63と、を一体に有している。
【0044】
この実施例1において、固定部63は、マッドガード本体11の基部12の複数の取付孔14、16、18に対応するベース本体62の内表面の各位置にそれぞれ突出された台座部64、66、68の座面から横断面円形の軸状をなして突出された複数の突出部65、67、69によって構成されている。そして、突出部65、67、69は、マッドガード本体11の基部12の複数の取付孔14、16、18にそれぞれ嵌挿されて位置決め固定される。
また、この実施例1において、複数の突出部65、67、69の先端部には、次に詳述するキャップ部材80の位置決め固定部としての貫通孔85、87、89に係脱可能に係合する弾性クリップ65a、67a、69aが一体に形成されている。
【0045】
また、この実施例1において、図10に示すように、マッドガード本体11の基部12の外表面側にベース部材61が装着されたときには、ベース部材61の外側フランジ76は、その外端部がマッドガード本体11の基部12の外周縁に近接又は当接し、外側フランジ76の外端部から内端部に向けてマッドガード本体11の基部12に対し徐々に隙間が増大される傾斜状に形成されている。さらに、外側フランジ76の外端部76aは断面鋭角をなしている。
【0046】
図8図9に示すように、キャップ部材80は、マッドガード本体11の基部12の内表面側に装着されたときに基部12の内表面の少なくとも一部を覆うキャップ本体81と、このキャップ本体81の内周縁に沿って形成され、基部12の内表面側に装着されたときに基部12の内周縁とベース部材61の内側壁部70との間を覆うカバー部90と、カバー部90の内周縁から延出され、かつベース部材61の内側フランジ71に合掌状に重ね合わされる内側フランジ95と、キャップ部材80をマッドガード本体11の基部12又はベース部材61のベース本体62に位置決めして着脱可能に装着する単数又は複数の位置決め固定部83と、を有している。
この実施例1において、マッドガード本体11の基部12の複数の取付孔14、16、18に対応する位置でキャップ本体81の内表面側から外表面に向かって凹まされた凹部84、86、88が形成されている。これら凹部84、86、88の底板部に位置決め固定部83としての貫通孔85、87、89がそれぞれ形成されている。
【0047】
また、この実施例1において、ベース部材61及びキャップ部材80は、マッドガード本体11を形成する材料の線膨張係数と同じか又は近い線膨張係数の材料によって形成されることが望ましい。
また、ベース部材61及びキャップ部材80は、塗装加熱炉内で加熱されるマッドガード本体11の加熱温度に耐え得る耐熱性材料(例えば、PP、ABS、ポリアセタール、ナイロン等の樹脂材料や熱可塑性エラストマー材料等の耐熱性を有する材料)によってそれぞれ形成されることが望ましい。
さらに、ベース部材61及びキャップ部材80は、ビカット軟化点(耐熱温度)が80℃以上であることが望ましい。例えば、ベース部材61及びキャップ部材80がPP(ポリプロピレン)材料で形成された場合には、荷重温度が60℃、ビカット軟化温度が130℃〜150℃となる。
【0048】
次に、塗装行程において、予め、ベース部材61の複数の突出部65、67、69がマッドガード本体11の基部12の複数の取付孔14、16、18にそれぞれ嵌挿され、ベース部材61の複数の突出部65、67、69の弾性クリップ65a、67a、69aがキャップ本体81の位置決め固定部としての貫通孔85、87、89に嵌込まれて弾性的に係合される。これによって、マッドガード本体11に対しベース部材61とキャップ部材80とがそれぞれ容易にかつ正確に位置決めされて固定(装着)される(図6図9参照)。
【0049】
そして、図9に示すように、マッドガード本体11の基部12の外表面側にベース部材61が装着されたとき、ベース部材61が、そのベース本体62及び外側フランジ76によって基部12の外表面のうち突条部40よりも内周側の部分の凹溝45の一部を覆って突条部40を露出させる。
また、マッドガード本体11の基部12の内表面側にキャップ部材80が装着されたとき、キャップ部材80が、そのキャップ本体81によって基部12の内表面の少なくとも一部を覆い、カバー部90によって基部12の内周縁とベース部材61の内側壁部70との間を覆う。
【0050】
前記したように、マッドガード本体11にベース部材61とベース本体62とを有する塗装マスキング治具60が装着された状態で、塗装加熱炉内に移送される。
ここで、図9図10に示すように、塗装スプレー100によって、マッドガード本体11の装飾部30と、連結部20と突条部40とがそれぞれスプレー塗装され、これによって、装飾部30と、連結部20と突条部40とのそれぞれの外表面に塗装膜50が形成される。
【0051】
この実施例1に係る車両用マッドガードの製造方法は上述したように構成される。
したがって、マスキング工程において、マッドガード本体11の基部12の外表面側にベース部材61を装着し、基部12の内表面側にキャップ部材80を装着することによって、ベース部材61のベース本体62及び外側フランジ76によってマッドガード本体11の基部12の外表面のうち突条部40よりも内周側の部分を覆いかつ突条部40を露出させて、マッドガード本体11を容易にマスキングすることができる。
このため、マッドガード本体11と、意匠外面(突条部40と、この突条部40の外周側部分の連結部20及び装飾部30との外表面)に塗装膜50とを有する車両用マッドガード10を容易に製造することができる。
【0052】
また、この実施例1に係る車両用マッドガードの製造方法に用いる塗装マスキング治具において、図9図10に示すように、マッドガード本体11の基部12の外表面側にベース部材61が装着されたときには、ベース部材61の外側フランジ76は、その外端部から内端部に向けてマッドガード本体11の基部12に対し徐々に隙間が増大される傾斜状に形成される。
これによって、ベース部材61の外側フランジ76の外端部をマッドガード本体11の基部12の外周縁に近接又は当接させることができる。
このため、ベース部材61の外側フランジ76とマッドガード本体11の基部12の外周縁との間に過大な隙間が生じて、この隙間から噴霧状態の塗料が浸入することを抑制することができる。
【0053】
すなわち、ベース部材61の外側フランジ76が平坦に形成されると、ベース部材61やマッドガード本体11の基部12の製作のばらつきによって、マッドガード本体11の基部12の外周縁に対しベース部材61の外側フランジ76の外端部が不測に浮き上がり、過大な隙間が生じることが想定される。
これに対し、外側フランジ76が傾斜状に形成されることで、外側フランジ76の外端部とマッドガード本体11の基部12の外周縁との間に過大な隙間が生じることを抑制することができる。
【0054】
また、この実施例1において、図10に示すように、ベース部材61の外側フランジ76の外端部76aが鋭角をなすことで、外側フランジ76の外端部76aに塗料が溜まることを抑制することができ、塗料溜まりによるバリの発生を防止することができる。
【0055】
また、この実施例1において、図6図9に示すように、マッドガード本体11に対するベース部材61の位置決め固定部63としての複数の突出部65、67、69をマッドガード本体11の複数の取付孔14、16、18に嵌挿して固定することで、マッドガード本体11にベース部材61を容易に位置決めして固定することができる。
さらに、マッドガード本体11又はベース部材61に対するキャップ部材80の位置決め固定部83としての貫通孔85、87、89を、ベース部材61の複数の突出部65、67、69の弾性クリップ65a、67a、69aに嵌込むことで、マッドガード本体11にキャップ部材80を容易に位置決めして固定することができる。
【0056】
また、ベース部材61及びキャップ部材80は、マッドガード本体11を形成する材料の線膨張係数と同じか又は近い線膨張係数の材料によって形成されることで、塗装加熱炉内で加熱された場合のベース部材61及びキャップ部材80と、マッドガード本体11との膨張量や、収縮量が近くなり、マッドガード本体11に対するベース部材61及びキャップ部材80の取付状態がばらつきにくい。
また、ベース部材61及びキャップ部材80は、塗装加熱炉内で加熱されるマッドガード本体11の加熱温度に耐え得る耐熱性材料(例えば、PP、ABS、ポリアセタール、ナイロン等の樹脂材料や熱可塑性エラストマー材料等の耐熱性を有する材料)によってそれぞれ形成されることで、ベース部材61及びキャップ部材80が熱変形して使用不能となることを抑制することができ、ベース部材61及びキャップ部材80を繰り返し使用することができる。
【0057】
なお、この発明は前記実施例1に限定するものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施例1においては、マッドガード本体11の基部12の外周縁と突条部40の内周側根元部との間に凹溝45が形成される場合を例示したが、図11に示すようにマッドガード本体11の基部12の外周縁と突条部40の内周側根元部との間に凹溝45がない構造としてもこの発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
10 車両用マッドガード
11 マッドガード本体
12 基部
14、16、18 取付孔
20 連結部
30 装飾部
40 突条部
45 凹溝
50 塗装膜
60 塗装マスキング治具
61 ベース部材
62 ベース本体
63 位置決め固定部
65、67、69 突出部(位置決め固定部)
76 外側フランジ
80 キャップ部材
81 キャップ本体
83 位置決め固定部
85、87、89 貫通孔(位置決め固定部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12