(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
空気流路と該空気流路に連通するデフロスタ吹出口、フェイス吹出口、及びフット吹出口を有するケースと、前記ケース内の前記空気流路において冷却手段により冷却された冷風が流れる冷風流路と加熱手段により加熱された暖風が流れる暖風流路との下流側に設けられた前記冷風と前記暖風とが合流する混合領域と、前記フェイス吹出口を開閉するフェイス吹出口用ドアと、を備える車両用空気調和装置であって、
前記フェイス吹出口は、前記フェイス吹出口用ドアによって閉塞されない常時開口部を有し、
前記混合領域には、前記暖風の一部を優先的に前記デフロスタ吹出口に向けて案内する暖風案内路を有した送風ガイドが設置され、
前記暖風案内路には、該暖風案内路を形成するガイド壁に設けられて、該暖風案内路を流れる前記暖風の一部を前記常時開口部側に向けて流す暖風吹出口が設けられていることを特徴とする車両用空気調和装置。
前記常時開口部は、前記フェイス吹出口用ドアが一部切り欠かれて形成された切欠窓によって形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用空気調和装置。
前記フェイス吹出口用ドアには、該フェイス吹出口用ドアが閉じた状態で前記混合領域を通ってくる前記冷風の流れ方向に対向して、前記切欠窓の周囲の、前記冷風の流れ方向上流側に、第1の防風部材が設けられていることを特徴とする請求項3記載の車両用空気調和装置。
【背景技術】
【0002】
一般に車両用空気調和装置では、供給される空気を冷却手段であるエバポレータによって冷却して冷風とし、この冷風の加熱割合を調節することによって調和空気を生成している。
より詳細には、車両用空気調和装置は、外形形状を形作るとともに内部に空気流路を形成するケースを備えている。ケースの内部には冷風流路と暖風流路の2つの流路が設けられており、暖風流路に加熱手段であるヒータコアが設置されている。そして、車両用空気調和装置では、このヒータコアが設置された暖風流路への冷風の供給量を調節することにより、前述したように冷風の加熱割合を調節している。
【0003】
ところで、車両用空気調和装置は、複数の吹出口、すなわちデフロスタ吹出口、フェイス吹出口及びフット吹出口を備えている。そして、各吹出口から目的とする箇所に向けて調節された空気(調和空気)を吹き出すことにより、この調和空気によって搭乗者に快適感を与えたり、窓ガラスの曇りを除去するようにしている。
【0004】
例えば、フェイス吹出口は、センターベントダクトを介して搭乗者の顔部側に調和空気を吹き出すとともに、サイドベントダクトを介してサイドウインド側に調和空気を吹き出し、その曇りを除去するように構成されている。ここで、サイドウインド側に吹き出される調和空気は、フェイス吹出口に設けられた常時開口部から吹き出されるようになっており、したがって搭乗者の顔部側に調和空気を吹き出さないときにも、サイドウインド側に調和空気が吹き出されるようになっている。また、フット吹出口は、ダクトを介して搭乗者の足元に暖風(調和空気)を吹き出すように構成されている。
【0005】
ところが、特にフット吹出口によって足元に調和空気を吹き出すヒートモード時には、足元への調和空気とフェイス吹出口からサイドウインド側に吹き出される調和空気との温度差が大きくなり、搭乗者が不快に感じるおそれがある。これは、一般にフェイス吹出口は冷風流路の真正面に位置していることから、フェイス吹出口からサイドウインド側に吹き出される調和空気には冷風流路からの冷風が多く含まれ、逆にフット吹出口には暖風流路からの暖風が多く含まれやすいため、サイドウインドに吹き出される調和空気と足元に吹き出される調和空気との間で温度差が大きくなってしまうからである。
【0006】
このような背景のもとに、特許文献1では、フェイス吹出口の前記常時開口部からサイドウインドに送る調和空気の温度を吹き出しモードに合わせて制御するため、専用の温風バイパス通路を形成している。
また、特許文献2では、片支持板状のエアミックスドアにガイドを設けて制御している。
さらに、特許文献3では、空気調和置を小型にするために、エアミックスドアとしてスライドドアを採用している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用空気調和装置について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の車両用空気調和装置S1(HVAC:Heating Ventilation AirConditioning)の概略構成を示す断面図である。この図に示すように、本実施形態の車両用空気調和装置S1は、ケース1と、エバポレータ2と、エアミックスダンパ装置3と、ヒータコア4と、送風ガイド5と、デフロスタ吹出口用ドア6と、フェイス吹出口用ドア7と、フット吹出口用ドア8と、を備えている。
【0018】
ケース1は、本実施形態の車両用空気調和装置S1の外形を形作るもので、エバポレータ2が設置される冷却流路1aと、前記エバポレータ2より車両の後方側に配置されたヒータコア4が設置される加熱流路1bと、冷風と暖風とが混合されて調和空気とされる混合部(混合領域)1cとを内部に有している。ここで、後述するように冷却流路1aから混合部1cに冷風(冷却空気)が直接流入する流路を冷風流路とし、加熱流路1bから混合部1cに暖風(加熱空気)が流入する流路を暖風流路とする。また、冷却流路1aには、ブロワ等の送風機(図示せず)から送られる空気流を取り込むための取込口(図示せず)が形成されている。
【0019】
ケース1には、外部に露出するとともに混合部1cに連通する複数の吹出口、すなわちデフロスタ吹出口1d、フェイス吹出口1e及びフット吹出口1fが形成されている。デフロスタ吹出口1dは、ダクト(図示せず)を介してウィンドウに対して調和空気を供給するための開口である。フェイス吹出口1eは、センターベントダクト(図示せず)を介して搭乗者の顔側に調和空気を供給するとともに、サイドベントダクト(図示せず)を介してサイドウインド側に調和空気を吹き出すための開口である。フット吹出口1fは、ダクト(図示せず)を介して搭乗者の足元に調和空気を供給するための開口である。
【0020】
また、ケース1の内部には、ヒータコア4が設置される加熱流路1bから混合部1cに暖風を供給する暖風用開口1gと、エバポレータ2が設置される冷却流路1aから混合部1cに冷風を供給する冷風用開口1hと、冷却流路1aから加熱流路1bに冷風を供給する加熱用開口1iとが設けられている。暖風用開口1gは、前記したように加熱流路1bから混合部1cに暖風を流入させる暖風流路を形成している。また、冷風用開口1hは、前記したように冷却流路1aから混合部1cに冷風を直接流入する冷却流路を形成している。
【0021】
エバポレータ2は、車両に搭載される冷凍サイクルの一部であり、冷却流路1aの内部に配置されている。このエバポレータ2は、送風機(図示せず)によって冷却流路1a内に供給された空気を冷却し、冷風を生成する。
【0022】
エアミックスダンパ装置3は、エバポレータ2の下流側に配置されたもので、エバポレータ2にて生成した冷風の加熱流路1bへの供給量を調節するものである。より詳細には、エアミックスダンパ装置3は、冷風用開口1hと加熱用開口1iとの間でスライド可能とされたスライドドアからなるエアミックスダンパ3aを備えており、このエアミックスダンパ3aによって冷風用開口1hと加熱用開口1iとの開口割合を調節することにより、加熱流路1bへの冷風の供給量を調節している。この結果、混合部1cにおける冷風と暖風との混合割合が調節されて、調和空気の温度が調節される。
【0023】
ヒータコア4は、加熱流路1bの内部に配置されたもので、加熱用開口1iを介して供給される冷風を加熱することにより、加熱空気、すなわち暖風を生成するものである。
送風ガイド5は、ケース1内部における暖風と冷風との混合領域である混合部1cに設置され、前記暖風用開口1gによって形成される暖風流路を流れる暖風を案内するものである。
【0024】
図2(a)は、送風ガイド5を冷風用開口1h側と反対の側から見た斜視図である。この図に示すように送風ガイド5は、全体として略直方体状のもので、暖風ガイド筒5aと、暖風ガイド部材5bと、調節プレート5cと、支持プレート5dと、整流板5eと、整流プレート5fと、係止部5gと、を備えて構成されている。
【0025】
暖風ガイド筒5aは、本発明に係る中央部ガイド壁となるもので、送風ガイド5の幅方向中央部、すなわち
図1中の紙面と直交する方向の中央部に形成配置された略四角筒状のものである。この暖風ガイド筒5aは、
図2(a)中に実線矢印で示すように、暖風用開口1gから混合部1cに供給された暖風の一部を混合部1cにおいて冷風と混合させることなく、デフロスタ吹出口1dに向けて優先的に案内する真っ直ぐな筒状部材であり、一方の開口端が暖風用開口1gに接続し、他方の開口端がデフロスタ吹出口1dに向けて配置されている。このような構成のもとに暖風ガイド筒5aは、その内部に本発明に係る暖風案内路9を形成している。なお、この暖風ガイド筒5aは、その暖風案内路9内に冷風が一部取り入れられるように構成されていてもよい。
【0026】
暖風ガイド部材5bは、本発明に係る側部ガイド壁となるもので、送風ガイド5の幅方向両側部、すなわち
図1中の紙面と直交する方向の両側部に形成配置されたものである。この暖風ガイド部材5bは、
図2(a)に示すようにケース1の内面との間に流路を形成する円弧板状の部材であって、暖風用開口1gから混合部1cに供給された暖風の一部を混合部1cにおいて冷風と混合させることなく、デフロスタ吹出口1dに向けて優先的に案内するものであり、一端側が暖風用開口1gに接続し、他端側がデフロスタ吹出口1dに向けて配置されている。このような構成のもとに暖風ガイド部材5bは、ケース1の内面との間の流路を本発明に係る暖風案内路10としている。なお、この暖風ガイド部材5bも、その暖風案内路10内に冷風が一部取り入れられるように構成されていてもよい。
【0027】
調節プレート5cは、冷風用開口1hから混合部1cに供給された冷風の流れ方向を、暖風用開口1g側に傾けるものであり、冷風用開口1hと反対側の領域5c1が暖風用開口1g側に向けて傾斜させられている。
また、調節プレート5cは、送風ガイド5が自らの形状を支える骨格として機能する支持プレート5dとしての機能も有している。つまり、本実施形態の車両用空気調和装置S1においては、調節プレート5cが1つの支持プレート5dと一体的に形成されている。
【0028】
支持プレート5dは、前述したように送風ガイドが自らの形状を支える骨格として機能するもので、調節プレート5cと一体化されたものを含んで、暖風案内筒5aの4隅それぞれに対して接続されている。なお、
図2(a)に示すように支持プレート5dと調節プレート5cとは、直方体状に形成された送風ガイド5の4つの長辺となるように互いに、平行に配置されている。そして、調節プレート5cと一体化された支持プレート5dは、冷風用開口1hの上端側に配置されている。
【0029】
なお、
図1に示すように、冷風用開口1hの上端側及び暖風用開口1gの冷風用開口1hから遠い端側には、各々紙面垂直方向に延在する嵌合溝1jが形成されている。そして、これら嵌合溝1jに調節プレート5cと支持プレート5dとが嵌合されることにより、送風ガイド5の位置決めがなされている。
【0030】
図2(a)に示すように整流板5eは、暖風ガイド筒5aと暖風ガイド部材5bとの間に配置されて、支持プレート5cに保持されたもので、
図2(a)中に破線の矢印で示す冷風用開口1hからの冷風の流れを規制するとともに、
図2(a)中に実線の矢印で示す暖風用開口1gからの暖風の流れを規制し、これら冷風や暖風を整流するものである。このように整流板5eによって整流されることにより、冷風と暖風とはその混合が促進されて混合流(調和空気)となり、
図1に示したデフロスタ吹出口1d、フェイス吹出口1e、フット吹出口1f側に流れるようになる。
【0031】
その際、冷却用開口1hがフェイス吹出口1eに向いており、したがって
図1中に破線矢印で示すように冷風流路がフェイス吹出口1eに向いていることから、前記の調和空気(混合流)もフェイス吹出口1eに向き易くなっている。すなわち、暖風用開口1gからの暖風はその一部が暖風ガイド筒5aや暖風ガイド部材5bに流入して直接デフロスタ吹出口1d側に案内されるため、これら暖風ガイド筒5aと暖風ガイド部材5bとの間に流入する暖風は少なくなり、その分、暖風ガイド筒5aと暖風ガイド部材5bとの間では冷風の量が多くなるからである。
【0032】
図2(a)に示すように整流プレート5fは、冷風用開口1h側に水平配置されており、冷風用開口1hから混合部1cに供給される冷風を整流することによって渦流の発生を抑制し、これによって風切り音の発生を抑制するものである。
係止部5gは、ケース1に係止されることによって送風ガイド5をケース1に対して固定するものである。
【0033】
また、本実施形態では、前記暖風ガイド部材5bに、それぞれの暖風案内路10内を流れる暖風の一部をフェイス吹出口1eの常時開口部に向けて流す暖風吹出口11が形成されている。暖風吹出口11は、長細いスリット状のもので、前記したように暖風の一部をフェイス吹出口1eの常時開口部に向けて流すことにより、該暖風を、前記冷却用開口1hによって形成された冷風流路から送風ガイド5を通って後述するフェイス吹出口1eの常時開口部に向けて流すように形成配置されている。すなわち、暖風吹出口11は、冷風用開口1hと反対の側に形成されており、吹き出した暖風を常時開口部に向けて流れる冷風に合流させ、混合することにより、常時開口部に流入する冷風(調和空気)の温度を高めるように機能する。また、本実施形態では、暖風吹出口11はそれぞれの暖風ガイド部材5bにおいて、暖風案内路10の上流側と下流側のそれぞれに形成されており、スリットの長手方向が、暖風案内路10の流れ方向に一致するように配置されている。
【0034】
図1に戻り、デフロスタ吹出口用ドア6は、デフロスタ吹出口1dの内側に配置されてその開閉を行うダンパであり、ケース1内で回動可能に構成されている。
フェイス吹出口用ドア7は、フェイス吹出口1eの内側に配置されてその開閉を行うダンパであり、ケース1内において回動可能に構成されている。
フット吹出口用ドア8は、フット吹出口1fの内側に配置されてその開閉を行うダンパであり、ケース1内において回動可能に構成されている。
【0035】
ここで、フェイス吹出口用ドア7は、矩形状に形成されたフェイス吹出口1eの全体を開閉可能に覆うように形成されたもので、該フェイス吹出口用ドア7をその内面側から見た斜視図である
図2(b)に示すように、全体が略矩形状に形成されている。そして、本実施形態では、その幅方向の両側、すなわち矩形状のフェイス吹出口1eの長辺方向(幅方向)の両側に対応する位置に、それぞれフェイス吹出口用ドア7の一部が切り欠かれて矩形状の切欠窓12が形成されている。
【0036】
このように、フェイス吹出口用ドア7には二つの切欠窓12が形成されていることにより、フェイス吹出口1eには、該切欠窓12に対応する箇所が常時開口部となっている。すなわち、フェイス吹出口1eは、その開閉がフェイス吹出口用ドア7の開閉によって制御されるが、前記切欠窓12に対応する箇所は、フェイス吹出口用ドア7が開いているときはもちろん、閉じているときにも開口している。したがって、これら切欠窓12に対応する箇所は、フェイス吹出口用ドア7の開閉に関係無く、常に開口している部分、すなわち常時開口部となっている。
【0037】
これら常時開口部は、すなわちフェイス吹出口用ドア7が閉じられた状態での前記切欠窓12、12は、本実施形態では
図2(a)に示した暖風吹出口11にほぼ対向する位置に形成されている。これにより、常時開口部(切欠窓12)には、送風ガイド5の幅方向両側部を流れる調和空気が流入し易くなっている。すなわち、前記冷却用開口1hによって形成された冷風流路から送風ガイド5を通ってフェイス吹出口1e側に流れる冷風と、前記暖風用開口1gによって形成された暖風流路から送風ガイド5を通ってフェイス吹出口1e側に流れる暖風とが混合した調和空気のうち、特に前記暖風吹出口11から吹き出された暖風を同伴する調和空気が、常時開口部(切欠窓12)に流入し易くなっている。
この際、送風ガイド5には暖風ガイド筒5aと暖風ガイド部材5bとの間に整流板5eが形成されているため、幅方向の流れが弱まり、暖風吹出口11から吹き出される暖風は幅方向中央側よりも幅方向両側のほうへ暖風が多く含まれやすくなる。
【0038】
また、本実施形態では、
図2(b)に示すようにフェイス吹出口用ドア7の、切欠窓12の周囲に、該フェイス吹出口用ドア7が閉じた状態で、前記送風ガイド5(混合部1c)を通ってくる冷風(調和空気)の流れ方向に対向して、第1の防風部材13が設けられている。すなわち、
図2(b)中に破線矢印で示すように、前記冷風用開口1hによって形成された冷風流路を流れてくる冷風(調和空気)の流れの向きに対向して、第1の防風部材13が矩形状の切欠窓12の、冷風(調和空気)の流れの上流側となる一辺側に設けられている。
【0039】
さらに、本実施形態では、フェイス吹出口用ドア7が閉じた状態で、切欠窓12の周囲の、フェイス吹出口1eの幅方向中央部側(フェイス吹出口用ドア7の幅方向中央部側)に、すなわち矩形状の切欠窓12の、中央部側の一辺側に、第2の防風部材14が設けられている。したがって、本実施形態では、第1の防風部材13と第2の防風部材14とは、矩形状の切欠窓12の、隣り合う2辺に直角に連続した状態で形成されている。
【0040】
これら第1の防風部材13、第2の防風部材14は、フェイス吹出口用ドア7に一体に形成されたもので、その高さは切欠窓12の寸法や車両用空気調和装置S1の仕様に応じて適宜に決定される。
なお、前記のエアミックスダンパ装置3と、デフロスタ吹出口ドア6、フェイス吹出口ドア7、及びフット吹出口用ドア8は、図示しないモータによってスライド動作し、あるいは開閉動作するようになっている。
【0041】
また、本実施形態では、フェイス吹出口1eに対して、その幅方向中央部、すなわち
図2(b)に示すフェイス吹出口用ドア7の幅方向中央部に対応する位置に、センターベントダクト(図示せず)の一端側が連通して配置されており、幅方向両側部に対応する位置に、それぞれサイドベントダクト(図示せず)の一端側が連通して配置されている。したがって、切欠窓12によってフェイス吹出口1eの幅方向両側部に形成された常時開口部は、それぞれ、サイドベントダクト(図示せず)の一端側に対向して配置されたものとなっている。
【0042】
このような構成を有する本実施形態の車両用空気調和装置S1によれば、エアミックスダンパ装置3によって冷風用開口1hと加熱用開口1iが両方とも開口されているとすると、冷却流路1aに供給された空気がエバポレータ2によって冷却されることで冷風とされ、この冷風の一部が加熱流路1bに供給される。
そして、加熱流路1bにてヒータコア4で加熱されることによって生成した暖風が暖風用開口1gから暖風流路を流れて混合部1cに供給され、加熱流路1bに供給されなかった冷風が冷風用開口1hから冷風流路を流れて混合部1cに供給される。
混合部1cに供給された冷風と暖風とは、送風ガイド5に案内されて混合され、デフロスタ吹出口1d、フェイス吹出口1e及びフット吹出口1fのうち開口されているいずれかから車室内に供給される。
【0043】
ここで、本実施形態の車両用空気調和装置S1においては、送風ガイド5が、暖風の一部を混合部1cにおいて冷風と混合させることなく案内する暖風案内筒5aと、暖風ガイド部材5bとを備えている。したがって、特にデフロスタ吹出口1dに向けて、より温度の高い暖風を吹き出すことができるようになっている。
【0044】
また、暖風ガイド部材5bに、暖風吹出口11を形成しているので、この暖風ガイド部材5bによって形成された暖風案内路10を流れる暖風の一部を、常時開口部に向けて流れる冷風(調和空気)に混ぜることができる。これにより、例えばフェイス吹出口用ドア7が閉じている状態において、前記常時開口部から吹き出される調和空気の温度を、暖風案内路10を流れる暖風の一部を加えた(混ぜた)分、高くすることができる。
【0045】
したがって、例えばフット吹出口1fによって足元に調和空気を吹き出すヒートモード時に、フェイス吹出口1eの前記常時開口部からサイドベントダクト(図示せず)を介してサイドウインド側に吹き出す調和空気の温度を高くすることができる。これにより、サイドウインドへの調和空気と足元への調和空気との温度差を小さくすることができ、搭乗者が不快に感じるおそれを軽減することができる。
【0046】
また、フェイス吹出口用ドア7に切欠窓12を形成することにより、常時開口部を形成しているので、常時開口部を、より適切な位置に容易に形成することができる。
また、切欠窓12の周囲に第1の防風部材13を設けているので、冷風用開口1hによって形成された冷風流路を流れてくる冷風が切欠窓12を通って常時開口部に流入するのを抑制することができる。したがって、暖風吹出口11から吹き出された暖風を含む調和空気を常時開口部に優先的に流入させることができるため、常時開口部から吹き出される調和空気の温度を高くすることができる。
【0047】
また、切欠窓12の周囲に第2の防風部材14を設けているので、これによっても、冷風用開口1hによって形成された冷風流路を流れてくる冷風が切欠窓12を通って常時開口部に流入するのを抑制することができる。したがって、常時開口部から吹き出される調和空気の温度を高くすることができる。
【0048】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る車両用空気調和装置S1の第2実施形態を説明する。
本実施形態が第1実施形態と異なるところは、本実施形態ではフェイス吹出口用ドア7の内面側を示す
図3(b)に示すように、フェイス吹出口用ドア7の幅方向中央部に対応する位置に、サイドベントダクトSDの一端側が連通して配置されており、幅方向両側部に対応する位置に、それぞれセンターベントダクトCDの一端側が連通して配置されている。
【0049】
そして、これに伴い、本実施形態では暖風吹出口11の形成箇所と、切欠窓12による常時開口部の位置とが、第1実施形態とは異なっている。
すなわち、送風ガイド5を冷風用開口1h側と反対の側から見た斜視図である
図3(a)に示すように、本実施形態では、暖風ガイド部材5bには暖風吹出口11が形成されず、代わって、暖風ガイド筒5aに暖風吹出口11が形成されている。
【0050】
暖風吹出口11は、冷風用開口1h側と反対の側の面に形成された長細いスリット状のもので、暖風案内路9内を流れる暖風の一部をフェイス吹出口1eの常時開口部に向けて流し、これによって暖風の一部を、前記冷却用開口1hによって形成された冷風流路から送風ガイド5を通ってフェイス吹出口1eの常時開口部に向けて流れる冷風に向けて、吹き出すように形成配置されている。すなわち、暖風吹出口11は、第1実施形態と同様に、吹き出した暖風を常時開口部に向けて流れる冷風(調和空気)に合流させ、混合することにより、常時開口部に流入する冷風の温度を高めるように機能する。
【0051】
なお、暖風吹出口11の形成位置は、常時開口部に向けて流れる冷風(調和空気)に合流させることができれば、
図3(a)に示す位置に限定されず、例えば一方の暖風ガイド部材5b側に向く面や他方の暖風ガイド部材5b側に向く面、あるいはその両方に形成することもできる。その場合にも、この暖風吹出口11から吹き出した暖風を、暖風ガイド筒5aと整流板5eとの間を流れる冷風(調和空気)に合流させ、混合することができる。
【0052】
また、
図3(b)に示すようにフェイス吹出口用ドア7には、その幅方向の中央部、すなわちフェイス吹出口1eの幅方向中央部に、二つの切欠窓12が隣り合って形成されている。これら切欠窓12は、フェイス吹出口用ドア7の一部が切り欠かれて矩形状のものである。そして、フェイス吹出口1eには、第1実施形態と同様に、該切欠窓12が形成された箇所と対応する位置に、常時開口部が形成される。
【0053】
ここで、該切欠窓12は、フェイス吹出口用ドア7が閉じた状態で、前述したようにサイドベントダクトSDの一端側に対向するように形成配置されている。したがって、この切欠窓12を通り、さらに常時開口部を通って吹き出される調和空気(混合空気)は、サイドベントダクトSDを介してサイドウインドに吹き出されるようになっている。
【0054】
また、本実施形態では、フェイス吹出口用ドア7の、切欠窓12の周囲に、該フェイス吹出口用ドア7が閉じた状態で、前記送風ガイド5(混合部1c)を通ってくる冷風の流れ方向に対向して、第1の防風部材13が設けられている。すなわち、矩形状の切欠窓12の、第1実施形態と同じ一辺側に、第1の防風部材13が設けられている。
【0055】
さらに、本実施形態では、フェイス吹出口用ドア7が閉じた状態で、切欠窓12の周囲の、フェイス吹出口1eの幅方向外側(フェイス吹出口用ドア7の幅方向外側)に、すなわち矩形状の切欠窓12の、隣り合う切欠窓12と反対の側の一辺側に、第2の防風部材14が設けられている。したがって、本実施形態でも、第1の防風部材13と第2の防風部材14とは、矩形状の切欠窓12の、隣り合う2辺に直角に連続した状態で形成されている。
【0056】
これら第1の防風部材13、第2の防風部材14も、フェイス吹出口用ドア7に一体に形成されたもので、その高さは切欠窓12の寸法や車両用空気調和装置S1の仕様に応じて適宜に決定される。
【0057】
このような構成を有する本実施形態の車両用空気調和装置S1においても、暖風ガイド筒5aに暖風吹出口11を形成しているので、この暖風ガイド筒5aによって形成された暖風案内路9を流れる暖風の一部を、常時開口部に向けて流れる冷風(調和空気)に混ぜることができる。これにより、例えばフェイス吹出口用ドア7が閉じている状態において、前記常時開口部から吹き出される調和空気の温度を、暖風案内路9を流れる暖風の一部を加えた(混ぜた)分、高くすることができる。
【0058】
したがって、例えばフット吹出口1fによって足元に調和空気を吹き出すヒートモード時に、フェイス吹出口1eの前記常時開口部からサイドベントダクトSDを介してサイドウインド側に吹き出す調和空気の温度を高くすることができる。これにより、サイドウインドへの調和空気と足元への調和空気との温度差を小さくすることができ、搭乗者が不快に感じるおそれを軽減することができる。
【0059】
また、切欠窓12の周囲に第1の防風部材13を設けているので、冷風用開口1hによって形成された冷風流路を流れてくる冷風が切欠窓12を通って常時開口部に流入するのを抑制することができる。したがって、暖風吹出口11から吹き出された暖風を含む調和空気を常時開口部に優先的に流入させることができるため、常時開口部から吹き出される調和空気の温度を高くすることができる。
【0060】
また、切欠窓12の周囲に第2の防風部材14を設けているので、これによっても、冷風用開口1hによって形成された冷風流路を流れてくる冷風が切欠窓12を通って常時開口部に流入するのを抑制することができる。したがって、常時開口部から吹き出される調和空気の温度を高くすることができる。
【0061】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記第1実施形態では、暖風ガイド部材5bの、冷風用開口1hと反対の側に暖風吹出口11を形成配置したが、この暖風吹出口11から吹き出した暖風を常時開口部側へ向けて流すことができれば、暖風ガイド部材5bの他の位置に形成することもできる。例えば、暖風ガイド部材5bの、暖風ガイド筒5aに向く位置に暖風吹出口11を形成配置して、冷風流路を流れる冷風(調和空気)に合流させて一緒に常時開口部へ流してもよい。
【0062】
また、この暖風吹出口11の形状や大きさ、数についても、適宜に設定することができる。例えば、
図2(a)に示したように暖風案内路10の上流側と下流側のそれぞれに形成するのに代えて、上流側のみ、あるいは下流側のみに、暖風吹出口11を形成配置してもよい。その場合には、
図2(a)に示した暖風吹出口11より、その開口幅(暖風案内路10を流れる暖風の流れ方向と直交する方向の幅)を広くして、その開口面積を広くするのが好ましい。
【0063】
暖風案内路10の上流側のみに暖風吹出口11を形成し、かつ、この暖風吹出口11の開口面積を広くしておけば、常時開口部に流れる暖風の量を増やすことができ、したがってサイドウインドに吹き出す空気の温度をより高めることができる。一方、暖風案内路10の下流側のみに暖風吹出口11を形成し、かつ、この暖風吹出口11の開口面積を広くしておけば、特にフット吹出口1fに流れる暖風の量を増やすことができる。このように、車両用空気調和装置の仕様等に合わせて、暖風吹出口11の形状や大きさ、数を適宜に設定することができる。
【0064】
また、切欠窓12の周囲に形成する防風部材についても、
図2(b)や
図3(b)に示した形態に限定されることなく、種々の形態を採用することができる。例えば、第1実施形態のようにサイドベントダクトSDの一端側がフェイス吹出口1eの幅方向両側部に対応する位置に連通して配置されている場合、
図4(a)に示すように第2の防風部材14のみを形成してもよく、
図4(b)に示すように第1の防風部材13のみを形成してもよい。
【0065】
また、
図4(c)に示すように第1の防風部材13と対向する側に第3の防風部材15を加えてもよく、その場合に、
図4(d)に示すように切欠窓12の上方を覆うようにして、第1の防風部材13、第2の防風部材14、第3の防風部材15の上に第4の防風部材16を設けてもよい。このように形成すれば、冷風が切欠窓12内に流入するのをより効果的に防止することができ、サイドベントダクトSDを介してサイドウインド側に吹き出す調和空気の温度をより高くすることができる。
【0066】
さらに、
図4(e)に示すように第2の防風部材14の先端部を膨らませておけば、調和空気がこの第2の防風部材14を通過する際にその流れの勢いを弱めることができ、これによって異音の発生を抑制することができる。
また、
図4(f)に示すように第2の防風部材14の高さを、先端側が低く後端側が高くなるように傾斜させれば、その傾斜角度により、常時開口部から吹き出される調和空気の温度を調整することが可能となる。
【0067】
また、切欠窓12の形状については、矩形状に限定されることなく、円形や楕円形状、三角形やその他の多角形状など、任意の形状に形成することができる。
また、暖風吹出口11については、暖風ガイド部材5bに形成する場合(第1実施形態)と、暖風ガイド筒5aに形成する場合(第2実施形態)とについて説明したが、これら暖風ガイド部材5bと暖風ガイド筒5aの両方に、それぞれ暖風吹出口11を形成するようにしてもよい。
さらに、前記実施形態では、フェイス吹出口用ドア7を一部切り欠いてなる切欠窓12によって常時開口部を形成したが、本発明はこれに限定されることなく、例えばフェイス吹出口用ドア7をフェイス吹出口1eより小さく形成してフェイス吹出口1eにフェイス吹出口用ドア7で閉塞できない箇所を形成しておき、この箇所を常時開口部としてもよい。