(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記吸収性物品が前記ウイングおよび前記ヒップガードの両方を有し、前記剥離シートは前記ウイングの粘着部および前記ヒップガードの粘着部のそれぞれに分離して剥離可能に接着されている
請求項4に記載の吸収性物品の個包装体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る吸収性物品の個包装体の好ましい一実施形態(第1実施形態)について、
図1を参照しながら、以下に説明する。なお、本明細書において「前方」とは吸収性物品を着用したときの下腹部方向をいい、「後方」とは吸収性物品を着用したときの臀部方向をいう。また、着用時において肌当接面とは着用時に肌側に接する面をいい、反対側を非肌当接面という。更に、肌当接面に近い側を肌当接面側又は表面側、遠い側を非肌当接面又は裏面側という。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の個包装体20(20a)に包まれる、肌当接面とその反対面に非肌当接面を備えた吸収性物品は、例えばスリムタイプと呼ばれている薄型の生理用ナプキン10である。以下、薄型の生理用ナプキンの個包装体について詳細に説明する。
【0014】
吸収性物品の個包装体20は、包装材30を生理用ナプキン10と共に長手方向に折り畳み、包装材30を封止してなる。
個包装体20は、前折線L1、中央折線L2および後折線L3を有し、各折線によって前方部21、中央前部22、中央後部23および後方部24に区分されていて、上記生理用ナプキン10が本体ズレ止め材9で剥離可能に包装材30に接着された状態で長手方向に4つ折りに折り畳まれている。本例は、長手方向に包装材30より生理用ナプキン10のほうが長く、幅方向に包装材30より生理用ナプキン10のほうが短い。言い換えれば、包装材30はその長手方向において、その前後端部それぞれが、吸収性物品としての生理用ナプキン10の長手方向前端縁及び後端縁それぞれよりも内側に位置している。一方で、本例では、包装材30の前方部21、中央前部22、中央後部23及び後方部24の各部に対応して、生理用ナプキン10が存在している。本明細書では、包装材30に生理用ナプキン10が配される面を包装材30の表面とし、その反対側の面を包装材30の裏面とする。
【0015】
上記生理用ナプキン10の中央前部22の両側部には、ウイング5が配されていて、各ウイング5が生理用ナプキン10の本体4とウイング5の境界基端位置から本体4の肌当接面側に折り畳まれている。生理用ナプキン10では、中央前部22において点線で示すように、物品幅方向中央部に、上層吸収体3aが下層吸収体(図示せず)の上に配されている構成がある。この構成では、ウイング5は上層吸収体3aに重ならないように折畳まれている。上記生理用ナプキン10の中央後部22から後方部23の両側部には、ヒップガード6が配されていて、各ヒップガード6が生理用ナプキン10の本体4とヒップガード6の境界基端位置から本体4の肌当接面側に折り畳まれている。なお、ウイング5は、排泄部使用付近で吸収体3(後述する
図4参照。)を挟んで左右両側に延出され形成される張出し部分であり、ヒップガード6は、ウイング5の後方に位置し、吸収体3を挟んで左右両側に形成される、着用者の臀部位置に配される張出し部分である。
【0016】
上記ウイング5の非肌当接面側には、粘着部7が配されている。この粘着部7は、ウイング5を折り返してショーツ(図示せず)に生理用ナプキン10を装着する際に、生理用ナプキン10をショーツの非肌当接面側に固定するものである。同様に、上記ヒップガード6の非肌当接面側には、粘着部8が配されている。この粘着部8は、ヒップガード6を折り返してショーツ(図示せず)に生理用ナプキン10を装着する際に、生理用ナプキン10をショーツに固定するものである。
【0017】
上記包装材30は、上記生理用ナプキン10とともに、前折線L1で前方部21と中央前部22のそれぞれの生理用ナプキン10が配される面同士が対向するように折畳まれ、ウイング5の粘着部7に剥離可能に接着されるように、前方部21に位置する生理用ナプキン10の肌当接面側に剥離シート11が配されている。この剥離シート11の一部が中央前部22にかかるように配されていてもよい。さらにこの剥離シート11は、生理用ナプキン10の肌当接面側から長手方向の前方部21端部を回りこむようにして包装材30の裏面側に配されて固定されている。さらに剥離シート11は、剥離シート11が包装材30に固定される固定部12より前折線L1方向に延出されている。したがって、剥離シート11の延出された部分の端部11eは自由端となっているため、指で摘まみやすくなっている。
【0018】
後折線L3で中央後部23と後方部24のそれぞれの生理用ナプキン10が配される面同士が対向するように折畳まれている。本例の場合、前折線L1で前方部21と中央前部22のそれぞれの生理用ナプキン10の肌当接面同士が対向するように折畳まれ、また、包装材30とともに生理用ナプキン10を折り畳んだ際に、上記ヒップガード6の粘着部8に剥離可能に接着されるように、後方部24に位置する生理用ナプキン10の肌当接面側に剥離シート13が配されている。さらにこの剥離シート13は、生理用ナプキン10の肌当接面側から上記後方部24の端部を回りこんで包装材30の裏面側に配されて固定されている。
上述したように、剥離シート11、13は、分離して配されている。このため、剥離した後の個々の剥離シート11、13の長さが短いので、取扱いしやすくなり、廃棄時のごみが少なくなるという効果が得られる
【0019】
上記包装材30は、上記生理用ナプキン10および剥離シート11、13とともに、前折線L1で前方部21と中央前部22のそれぞれの生理用ナプキン10が配される面同士が対向するように折畳まれ、後折線L3で中央後部23と後方部24のそれぞれの生理用ナプキン10が配される面同士が対向するように折畳まれている。その際、折線に剥離シートがかかっている場合には、折線で剥離シートも折り畳まれる。本例の場合、前折線L1で前方部21と中央前部22のそれぞれの生理用ナプキン10の肌当接面同士が剥離シート11を介して対向するように折り畳まれ、後折線L3で中央後部23と後方部24のそれぞれの生理用ナプキン10の肌当接面同士が剥離シート13を介して対向するように折り畳まれている。さらに、生理用ナプキン10は、その肌当接面が個包装体20の内側となるように少なくとも中央折線L2で折畳まれ、前方部21の非肌当接面と後方部24の非肌当接面が対向している。
【0020】
包装材30の裏面側に配された剥離シート13を包装材30に固定しない仕様では、13に必要な長さは短くなり、ごみの削減が可能になる。
包装材30の裏面側に剥離シート11、13を配しない場合には、包装材30を生理用ナプキン10より長く延出させ、生理用ナプキン10の表面側に、ウイング5、ヒップガード6の粘着部7、8を覆うように配した別体の剥離紙(図示せず)、剥離フィルムのような剥離シートを接着させた仕様でもよい。剥離紙を接着する場合には、包装材30の延出部を未剥離部とし、剥離紙の先端を折り畳むか、包装材30と同様に未剥離部を設けて接着剤で固定することができる。剥離フィルムの場合には、包装材30、剥離フィルム共に未剥離部を設けなくともヒートシールなどで接着、固定することができる。
【0021】
そして前折線L1と後折線L3とは、個装状態で重ならず、互いにずれた位置に配されている(
図1(b)参照)。これによって、一方の折線位置を含む部分が開封用のつまみとして機能する。上記ずらし方は、前折線L1が外側で後折線L3が内側になっていてもよく、その逆に、前折線L1が内側で後折線L3が外側になっていてもよい。
また、前折線L1と後折線L3とのずらし量(L1とL3の距離。
図1(b)参照。)は、3mm以上、好ましくは5mm以上、さらに好ましくは7mm以上である。そして、前折線L1と後折線L3とのずらし量は25mm以下、好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下である。より具体的には、3mm〜25mm、好ましくは5mm〜20mm、さらに好ましくは7mm〜15mmとする。上記範囲とすることで、生理用ナプキン10がスリムタイプのような薄いものであっても、外側に配された折線部分を摘まみやすくなるので、個包装体20を開封しやすくなる。上記ずらし量が短過ぎると外側に配された折線部分が摘まみにくくなり、個包装体20の開封動作がしにくくなる。
【0022】
前折線L1と後折線L3のずれ位置については、
図1(b)に示したように前折線L1がつまみになるように後折線L3よりはみ出して配されている方が好ましい。前折線L1を指先でつまんで、後折線L3をひっぱりながら開封することで、製品の前方部21をつまんでいることになるため、装着時に生理用ナプキン10の前後を間違えずに装着できる。生理用ナプキン10の製品の前方部21が前折線L1で折畳まれていれば、つまんでも使用面に直接指先がふれる機会をできるだけ減らしながら、製品の後方部24を開封できる。ここで、「製品」とは折り畳まれて個包装されたもの、個包装が開封されつつあるもの、もしくは個包装が開封され折り畳みが開かれたものをいう。
【0023】
また前方部21の包装材30の裏面と後方部24の包装材30の裏面との少なくとも一方には、包装安定手段40が配されている。
この包装安定手段40には、粘着材、メカニカルファスナー、エンボス加工による摩擦増長手段、などが用いられる。粘着材としては、ホットメルト接着剤が挙げられる。ホットメルト接着剤を用いることで、より密封性が増す。
【0024】
包装安定手段40の設置面および被着面は、いずれか一方が前方部21の包装材30の裏面で前折線L1に近い位置に配され、他方が後方部24の包装材30の裏面で後折線L3に近い位置に配されている。
例えば、個装状態で前折線L1が外側にあり後折線L3が内側にある場合、包装安定手段40の配置位置は、後折線L3からの距離が2mm以上、好ましくは3mm以上、さらに好ましくは5mm以上である。そして、包装安定手段40の配置位置は、後折線L3からの距離が12mm以下、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは7mm以下である。より具体的には、2mm〜12mm、好ましくは3mm〜10mm、さらに好ましくは5mm〜7mmとする。なお、個装状態で前折線L1が外側にあり前折線L1が内側にある場合、包装安定手段40の配置位置は、前折線L1からの距離となり、その距離は上記後折線L3からの距離と同等である。このように内側の折線から包装安定手段40までの距離を上記範囲とすることで、個包装体20の内部にごみが入り難くなる。また、外側に折線部分を持って個包装体20を開封し易くなる。
【0025】
さらに平面視で、包装安定手段40の配置位置は、生理用ナプキン10の本体ズレ止め材9が存在する位置に重なっていることが好ましい。すなわち、個装状態で本体ズレ止め材9と包装安定手段40の設置面および被着面とは重なる位置に配されている。本体ズレ止め材9には包装材30が剥離可能に接着されている。これにより、個装状態の包装材30を前折線L1と後折線L3の部分を持って開封するとき、包装安定手段40の被着部の包装材30が伸びたり、破れたりせず、開封し易くなる。
【0026】
また、本体ズレ止め材9は、生理用ナプキン10の長手方向中央より前折線L1、後折線L3を超えて、生理用ナプキン10の先端方向まで存していてもよい。本体ズレ止め材9を覆う包装材30は、フィルムや不織布に直接剥離処理されたものを用いてもよいし、本体ズレ止め材9を覆うことができえる大きさを有する剥離紙のような別体の剥離シート(図示せず)を包装材30に接着して用いてもよい。その場合は、上述のような効果を得るために、別体の剥離シートと包装材30を接着させている部位と包装安定化手段40の設置面および被着面が重なるようしておくとよい。本体ズレ止め材9は、生理用ナプキン10の非使用面側に配置され、生理用ナプキン10をショーツに貼り付け使用される。塗工された領域のショーツへの粘着材残りや、個装材(図示せず)からの取り出しやすさを考慮すると、連続的に(面状に)塗工(いわゆるベタ塗り)されていてもよいが、間欠的に塗工されていることが好ましい。間欠的な塗工形態としては、例えば、スパイラル状、幅方向に延びるストライプ状、Ω字状、ドット状が挙げられる。本体ズレ止め材9は生理用ナプキン10の非使用面側の本体部前後左右方向においてほぼ中央に位置し、幅は35〜70mm、長さは、生理用ナプキン10の長さに対して65〜85%の範囲であることが好ましく、使用時の生理用ナプキン10のヨレ、ズレ防止の観点から、本体ズレ止め材の全ての粘着部を含み且つ平面視において四角形形状の領域が、吸収体と略同じかやや小さめの幅、長さがよい。
【0027】
上記包装安定化手段40は、例えばホットメルト接着剤が用いられる場合、その粘着力は0.01N/cm以上であれば、密封性が維持でき、そして、ホットメルト接着剤の粘着力は、AIKOH製プッシュプルゲージを用いて測定した剥離力が1N以下、好ましくは0.7N/cm以下、さらに好ましくは0.5N/cm以下である。より具体的には、0.01N/cm〜1N/cm、好ましくは0.01N/cm〜0.7N/cm、さらに好ましくは0.01N/cm〜0.5N/cmとする。
また上記ホットメルト接着剤の幅は、個装材の幅(ここでいう幅は、個装形態時の製品幅方向と同じ方向)に対して、50%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは、個装材と同じ幅がよい。
上記包装安定化手段40の粘着力、幅、長さが上記範囲に設定されることにより、包装材30の前方部21と後方部24とが十分に接着されるので、個装状態において前折線L1と後折線L3との間からごみ等が個包装体20の内部、特に生理用ナプキン10の肌当接面に入り込まないようになる。よって、個包装体20を衛生的に携行することができる。
【0028】
上記個包装体20aでは以下のような効果を奏する。
上述したように、個包装体20の内部、特に生理用ナプキン10の肌当接面にゴミ等の異物が入り込まないので、個包装体20を衛生的に携行することができる。
また、個包装体20aの前折線L1と後折線L3とが重ならないようにずらして配されていることにより、いずれか一方の折れ線部分を持って包装材30を開封することで開封動作がしやすくなる。特にスリムタイプの生理用ナプキン10の場合、前折線L1で折った状態や後折線L3で折った状態の厚さは3.5mm〜5mm程度と薄いため、前折線と後折線の位置がずれていることにより、いずれか一方の折れ線部分が摘まみやすくなり、開封動作がしやすくなる効果が大きい。このように本発明は、薄型の製品において特に大きな効果を奏するものである。
さらに、開封のための取り出し用のタブテープを使用していないので、タブテープを使用することによって、開封時に包装材30が破れたり、開封しにくいという問題点が解決できる。
また、内装パックに入れられた状態においては、薄型の生理用ナプキンのパッケージは小さくなりがちであり、販売店の店頭では目立ちにくい。しかしながら、個装携帯を四つ折にして、折り重ねて陳列することで、店頭での登場感が増す効果が得られる。
【0029】
例えば、
図1のように、前折部L1が後折部L3よりもはみ出すようになっている場合には、前方部21と中央後部24の非肌当接面側の最外層面に着色したり模様を設け、それぞれで色やその配置を異ならせる、又は模様を異ならせることによって、前折線L1と後折線L3のずれが視認しやすくする。また、包装材30には模様又は着色が施されており、折畳み状態において、重なっていないことが視認容易となる。なお、前折部L1よりも後折部L3がはみ出るようになっている場合には、後方部24と中央前部22で同様の異なる関係とすれば良い。要するに、視認容易とする手段は、前方部21と中央後部23、または後方部24と中央前部22における、模様の違い又は着色の色若しくは配色の相違によるものである。
これらの場合、包装材30が、当該模様や色を透視可能な透明性を備えていることが必要である。透明性は、透明度Tpによって評価することができ、透明度Tpの値が大きいほど、透明性が高く、シースルー効果が高い。透明度Tpは、下記測定方法によって測定される背黒色値LB、背白色値LW及び白色測定値LW0、黒色測定値LB0を用い、下記(式1)によって算出される。
(式1) 透明度Tp={(LW0−LB0)/(LW−LB)}×100
【0030】
<背黒色値LB、背白色値LW及び白色測定値LW0、黒色測定値LB0の測定方法>
測定には、日本電色工業(株)のハンディ型簡易分光色差計NF333を操作法ペンタ
イプで使用した。光源としてC/2を用いた。NF333のペンタイプセンサーの先端部
分においては、φ8mmの先端径を選択した。尚、φ8mmの先端径でのNF333に付属の標準板における測定において、白色基準板の測定値は、L*値96、a*値−1、b*値2であり、黒色基準板の測定値は、L*値0、a*値0、b*値0であった。これらの測定値は、何れも3回測定の平均値である。
分光色差計NF333に付属の標準黒色板を当ててL*値を3回測定し、それらの平均値を背黒色値LBとした。また、標準黒色板に代えて、分光色差計NF333に付属の標準白色板を用いた以外は前記と同様にしてL*値を3回測定し、それらの平均値を背白色値LWとした。次いで、標準白色板に包装材を重ねL*値を3回測定し、それらの平均値を白色測定値LW0とし、標準白色版に代え、標準黒色板黒を用いた色測定値LB0とした。前記透明性を有している包装材30は、透明度Tpが、好ましくは10〜90、より好ましくは15〜85、更に好ましくは15〜80である。
また、これに代えて、包装材30に色や模様を配して、同様の配置関係とすることによっても同様の効果を得られる。
【0031】
次に、本発明に係る吸収性物品の個包装体の好ましい一実施形態(第2実施形態)について、
図2を参照しながら、以下に説明する。
【0032】
図2に示すように、第2実施形態の吸収性物品の個包装体20(20b)に包まれる、吸収性物品は、前述と同様にスリムタイプと呼ばれている薄型の生理用ナプキン10である。以下、薄型の生理用ナプキンの個包装体について詳細に説明する。
【0033】
第2実施形態の個包装体20bの生理用ナプキン10、包装材30、包装安定化手段40(前記
図1参照)等の個々の構成は、生理用ナプキン10の折り方以外、前述した個包装体20aと同様である。
すなわち、包装材30は、前折線L1、中央折線L2および後折線L3を有し、各折線によって前方部21、中央前部22、中央後部23および後方部24に区分されていて、上記生理用ナプキン10が本体ズレ止め材9により剥離可能に包装材30に接着された状態で長手方向に4つ折りに折り畳まれている。本例は、包装材30は4つ折りにされ、生理用ナプキン10は3つ折りにされている。長手方向に、包装材30の前方部21より生理用ナプキン10が外方に出て、包装材30の後方部24が生理用ナプキン10より外方に出て、幅方向に包装材30より生理用ナプキン10のほうが短い。したがって、前折線L1および中央折線L2では、包装材30とともに生理用ナプキン10が折り畳まれ、後折線L3では包装材30のみが折り畳まれている。
【0034】
すなわち、上記包装材30は、上記生理用ナプキン10とともに、前折線L1で前方部21と中央前部22のそれぞれの生理用ナプキン10が配される面同士が対向するように折畳まれ、後折線L3で中央後部23と後方部24の包装材30の後方部24と生理用ナプキン10が対向するように折畳まれている。
前記個包装体20aと同様に、前折線L1と後折線L3とは、個装状態で重ならず、互いにずれた位置に配されている。
そして包装安定化手段(図示せず)は、前方部21の前折線L1に近い位置および後方部24の後折線L3に近い位置の包装材30の裏面に配されている。
【0035】
個包装体20bに用いた生理用ナプキン10は、ウイング5を有し、ヒップガードがないものを用いたが、前記第1実施形態の生理用ナプキン10と同様に、ヒップガードを有するものを用いてもよい。
【0036】
上記個包装体20bは、前記個包装体20aと同様な効果を奏する。
【0037】
個包装体20(20b)は、前述の個包装体20aの構成において、剥離シート11のみを備えたものである。生理用ナプキン10の構成は、ウイング5が配され、ヒップガードが配されていないものである。各ウイング5にはそれぞれ粘着部7、7が配されている。この粘着部7、7には、前述の第1実施形態と同様の剥離シート11が配されている。
【0038】
上記包装材30は、上記生理用ナプキン10および剥離シート11とともに、前折線L1で前方部21と中央前部22のそれぞれの生理用ナプキン10が配される面同士が対向するように折畳まれ、後折線L3で中央後部23の生理用ナプキン10が配される面と後方部24の面同士が対向するように折畳まれている。その際、前折線L1に剥離シート11がかかっている場合には、前折線L1で剥離シート11も折り畳まれる。本例の場合、前折線L1で前方部21と中央前部22のそれぞれの生理用ナプキン10の肌当接面同士が剥離シート11を介して対向するように折り畳まれ、後折線L3で中央後部23の生理用ナプキン10の肌当接面と後方部24の包装材30の面とが対向するように折り畳まれている。さらに、生理用ナプキン10は、その肌当接面が個包装体20の内側となるように少なくとも中央折線L2で折畳まれ、前方部21の非肌当接面と後方部24の非肌当接面が対向している。すなわち本例は、包装材30は4つ折りにされ、生理用ナプキン10は3つ折りにされている。
そして前記個包装体20aと同様に、前折線L1と後折線L3とは、個装状態で重ならず、互いにずれた位置に配されている。
【0039】
図示はしないが、また、剥離シート11を配するかわりに長手方向に包装材30を生理用ナプキン10より長く延出させ、前折線L1および後折線L3は、生理用ナプキン10にかからず、包装材30のみに位置する。さらに、包装材30の前方部21は、前折線L1で折った状態で、ウイング5の粘着部7を被覆する長さを有している仕様でもよい。その場合、包装材30は4つ折りにされ、生理用ナプキン10は2つ折りにされている。
この仕様においては、別体の剥離シートを使用しないため加工がより簡便化される。
また、製品としては少ない折畳みとすることで、生理用ナプキン10のショーツへの装着し難さが減り、しっかりとショーツに固定することができ、使用時の違和感も減少する。
【0040】
上記個包装体20bは、前記個包装体20aと同様な効果を奏する。
また上述したように、個包装体20bでは、包装材30の前方部21がウイング5の粘着部7の剥離シートの機能を有し、包装材30の前方部21がウイング5の粘着部7の剥離シートの機能を有することができる。このため、別途の剥離シートを必要としないので、剥離シートのごみが出ないという利点があり、さらに個包装体20bを開封した後の包装材30の取り扱いが容易になる。
【0041】
なお、上記各実施形態において、包装材30の幅方向の側部は、折り畳んで重ね合わせた状態で接合されている。接合方法は既存の方法を採用でき、例えばエンボス接合、ホットメルト接着剤による接合等が挙げられる。
また、上記各実施形態に用いた生理用ナプキン10は、ウイング5およびヒップガード6を有するものであっても、ウイング5のみを有するものであってもよい。
【0042】
また、
図3に示すように、各実施形態において、前折線L1と後折線L3で折り畳まれた個包装体20を開封した状態で、生理用ナプキン10の前後方向を見分ける印が剥離シート11、13もしくは包装材30に表示されていることが好ましい。図面では、一例として、前方部21の包装材30と、剥離シート13に印50が表示されている構成を示した。この印50は、図示したように「前」、「後」というような文字であっても、図示はしていないが矢印や図形であってもよく、前側と後ろ側が判別できればよい。
このように、前側と後ろ側が判別できる印50が表示されていることにより、迷いなく、開封動作を行うことができる。
【0043】
次に、生理用ナプキン10から包装材30を剥がし取る方法の一例として、第1実施形態の第1例について、前記
図1を参照して以下に説明する。
【0044】
前記
図1(b)に示したように、個装状態の包装材30を、前折線L1より内側に配されている後折線L3の部分を指に引っ掛け、外方に出ている前折線L1の部分を指で摘まんで、開封動作を始める。先ず、包装安定手段40で接着されている前方部21と後方部24を引きはがす。さらに、包装材30の側部を引き剥がして開封し、折り畳まれた中央折線L2部分を開く。次に、前記
図1(a)に示したように、固定部12より延出させた剥離シート11の端部11eの自由端となっている部分を摘まんで、剥離シート11を粘着部7から剥離するとともに、包装材30を生理用ナプキン10の非肌当接面側に回して本体ズレ止め材9から剥離する。さらに包装材30に固定された状態で剥離シート13をヒップガード6の粘着部8から剥離する。したがって、包装材30の開封作業と剥離シート11、13の剥離作業が1動作で行えるので、開封作業が簡単化される。しかも、剥離した包装材30に剥離シート11、13が固定されているので、それらの取りまとめが容易になる。さらに、粘着部7と粘着部8に接着される剥離シートは、2枚の別々の剥離シート11、13を用いているため、剥離シートを小さくでき、剥離シートの使用量およびごみの削減ができる。
【0045】
次に、上述の各実施形態に用いた薄型の生理用ナプキン10の基本構成について、
図4を参照して以下に説明する。
図4では、生理用ナプキン10の幅方向をX、長手方向をYで示した。
【0046】
図4に示すように、生理用ナプキン10は、肌当接面側に配置される液透過性の表面シート1と、非肌当接面側に配置される液不透過性の裏面シート2と、表面シート1と裏面シート2との間に介在される液保持性を有する吸収体3と、を有する縦長の本体(吸収性本体ともいう。)4とを備えている。本体4には、その中央前部の両側部に外方に延出するウイング5を有し、中央後部から後方部にかけての両側部に外方に延出するヒップガード6を有する。各ウイング5の付け根部分は、ウイング5を広げた状態で、円弧状もしくは角部を丸くした台形で、付け根部分が曲線状に形成されている。なお、図面では、ウイング5を折り畳んだ状態を示している。また、ヒップガード6の各付け根部分は、各ヒップガード6を広げた状態で、円弧状もしくは緩やかな曲線を描く山型で、付け根部分が曲線状に形成されている。なお、図面では、ヒップガード6を折り畳んだ状態を示している。
【0047】
本体4の形状は、装着時に着用者の股下部分を介して下腹部側から臀部側へと配される長手方向(Y方向)とこれと直交する幅方向(X方向)とを有する縦長の形状である。本発明においては、特に断らない限り、人体に接触する側を肌当接面側または表面側といい、下着に接する側を非肌当接面側または裏面側という。さらに生理用ナプキン10の平面視において相対的に長さのある方向を長手方向といい、この長手方向と直交する方向を幅方向という。上記長手方向は典型的には装着状態において人体の前後方向と一致する。
本体4は通常この種の生理用ナプキン等に用いる材料を使用することができ、特に限定されるものではない。
【0048】
表面シート1は、親水性不織布で形成されることが好ましい。親水性不織布としては、エアースルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、立体賦形不織布と呼ばれている不織布で、その繊維がポリプロピレンの単繊維や、ポリプロピレンとポリエチレンの複合繊維、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンの複合繊維等で親水化処理が施された繊維が好ましく使用できる。
【0049】
裏面シート2は、防水性があり透湿性を有していれば特に限定されない。例えば疎水性の熱可塑性樹脂と、炭酸カルシウム等からなる微小な無機フィラーまたは相溶性のない有機高分子等とを溶融混練してフィルムを形成し、該フィルムを一軸または二軸延伸して得られる多孔性フィルムが挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが挙げられる。該ポリオレフィンとしては、高〜低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、これらを単独でまたは混合して用いることができる。
【0050】
吸収体3には、例えば、繊維集合体またはこれと吸収性ポリマーとを併用させたもの等を用いることができる。繊維集合体を構成する繊維としては、パルプ繊維等の親水性天然繊維や、合成繊維(好ましくは親水化処理を施したもの)等を用いることができる。坪量は特に限定されないが、150g/m
2〜500g/m
2が好ましい。また吸収体3を被覆する被覆シートを用いることもできる。この被覆シートには、親水性のティッシュペーパー等の薄手の紙(薄葉紙)、コットンやレーヨンなどの親水性繊維からなる不織布、合成樹脂の繊維に親水化処理を施してなる不織布(スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SMS)、スパンボンド−メルトブローン−メルトブローン−スパンボンド(SMMS)、スパンボンド−スパンボンド−メルトブローン−スパンボンド(SSMS)等の複合不織布)等を用いることができる。前記
図1に示した生理用ナプキン10では、中央前部22において、物品幅方向中央部で、折畳んだウイング5と重ならない位置に、上層吸収体3aが下層吸収体(図示せず)の上に配されている。この場合は折畳み性、個包装時の嵩高感の低減と、個包装体の開放時の操作のし易さが得られる。
【0051】
ウイング5は、撥水性の嵩高で繊維密度の疎な柔らかい不織布からなり、その基部が上記表面シート1と裏面シート2とに挟持され固定されている。またウイング5は、それぞれ裏面側の面に粘着部6を有している。この粘着部6は、下着にウイング5を粘着固定し、下着に対して生理用ナプキン10がずれるのを防止するものであり、各種の粘着材を特に制限無く用いることができる。粘着部6にはホットメルト接着剤が用いられ、ホットメルト接着剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等が挙げられる。そしてウイング5は、折り曲げ自在となっており、本発明では表面シート1側に折り畳まれている。したがって、上記粘着部6は表面側に向いている。
このように生理用ナプキン10の使用時に股下にあたるウイング5が柔らかな不織布を有するため、この部分が肌に触れてもフィルムのようなごわつき感を感じることなく柔らかな肌触りとなる。
上記ウイング5は、上記形態に限定されることはなく、本体4の両側部の外方に延出するように配されたものであり、上記粘着部7を有し、表面シート1側に折り畳まれているものであれば、如何なる形態であってもよい。
【0052】
上記ウイング5は、上記粘着部7から剥離シート(図示せず)を剥がして、装着者のショーツの股下部に巻きつけて貼り付けて固定するもので、上述の粘着部6を固定材といている。このウイング5は、本体4の排泄部(膣口)対向領域に配される。この排泄部対向領域は、昼用の場合には生理用ナプキン10の長手方向中央部であり、夜用の場合には生理用ナプキン10の長手方向前方であり、物品の使用目的等に合わせてその位置が設定される。
【0053】
また、ヒップガード6は、主に夜用の生理用ナプキン10に配されるもので、上記ウイング5と同様な材料で作製されている。そのため、ウイング5と同様な材質的な作用効果を得ることができる。
【0054】
前記
図1等を参照して説明した剥離シート11、13は、一般の生理用ナプキンの剥離シートと同様な材料のものを用いることができ、具体的には、シリコーン処理剤の塗工量が例えば0.1〜5g/m
2の剥離処理した上質紙、グラシン紙、ポリエチレンフィルム、それらの複合物等が挙げられる。この剥離処理は、公知の手法を用いて行うことができる。さらに剥離シート11、13は、その外形が両粘着部7、8を被覆する大きさであればよく、図示したように必ずしも矩形である必要はない。上記粘着部7、8を完全に被覆する形状であれば、如何なる形状であってもよく、矩形(長方形、正方形)の他に、例えば、多角形、長円形、楕円形、円形、またはそれらの一部が延出された形状、それらの一部がくびれた形状、等であってもよい。
【0055】
前記
図1等を参照して説明した包装材30の材料は、公知のものを用いることができ、具体的には、厚さ5〜50μmのポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、あるいは不織布や紙、およびこれらの複合材料等の包装材材料が挙げられる。前記包装材30の内面の剥離処理は、公知の手法を用いて行うことができ、具体的には、包装材の内面全面に、剥離処理剤を塗布するか又は剥離テープ、剥離紙、剥離処理した不織布、剥離処理したポリエチレンラミネート紙若しくは剥離処理したポリエチレンフィルム等の剥離部材を貼付する等して行うことができる。
【0056】
上述した実施形態および実施態様に関し、さらに以下の付記(吸収性物品の個包装体)を開示する。
【0057】
<1>肌当接面とその反対面に非肌当接面を備えた吸収性物品を包装体とともに個別包装した吸収性物品の個包装体であって、前記包装体は、前折線、中央折線および後折線を有し、前記各折線によって前方部、中央前部、中央後部および後方部とに区分され、吸収性物品が配された状態で該包装材は長手方向に4つ折りに折り畳まれており、前記前折線で前記前方部と前記中央前部のそれぞれの前記吸収性物品が配される面同士が対向するように折畳まれ、前記後折線で前記後方部と前記中央後部のそれぞれの前記吸収性物品が配される面同士が対向するように折畳まれており、前記吸収性物品は、肌当接面が個包装体の内側となるように少なくとも前記中央折線で折畳まれ、前記前折線と前記後折線とは重ならず、前記包装材の前方部と後方部の少なくとも一方には、該前方部と後方部が対向している領域において、吸収性物品の個包装体。
<2>前記包装安定手段がホットメルト接着剤である前記<1>に記載の吸収性物品の個包装体。
<3>前記包装安定手段の設置面および被着面は、平面視で前記本体ズレ止め材が存在する位置に重なって存する前記<1>又は<2>に記載の吸収性物品の個包装体。
<4>前記包装材は前記長手方向において、その前後端部それぞれが、前記吸収性物品の長手方向前端縁及び後端縁それぞれよりも内側に位置している前記<1>〜<3>いずれか1に記載の吸収性物品の個包装体。
<5>前記吸収性物品の非肌当接面側の最外層面に、模様が配されているか又は着色が施されており、前記包装材は該模様又は着色の色が透視可能な光透過率を有している、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の吸収性物品の個包装体。
<6>前記模様又は着色の色若しくは配色が前方部と中央後部で異なっているか、後方部と中央前部で異なっている前記<5>記載の吸収性物品の個包装体。
<7>前記包装材には模様又は着色が施されており、折畳み状態において、前記重なっていないことを視認容易となされている、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の吸収性物品の個包装体。
<8>前記視認容易とする手段が、前記前方部と中央後部、または前記後方部と中央前部における、前記模様の違い又は着色の色若しくは配色の相違によるものである、前記<7>記載の吸収性物品の個包装体。
<9>前記吸収性物品は、粘着部を備えた、ウイング、もしくはウイングとヒップガードを有し、前記粘着部は剥離可能な剥離シートが接着され、前記剥離シートは少なくとも前記包装材に固定されている前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の吸収性物品の個包装体。
<10>前記吸収性物品が前記ウイングおよび前記ヒップガードの両方を有し、前記剥離シートは前記ウイングの粘着部および前記ヒップガードの粘着部のそれぞれに分離して剥離可能に接着されている前記<9>に記載の吸収性物品の個包装体。
<11>前記前折線と前記後折線で折り畳まれた前記個包装体を開封した状態で、前記吸収性物品の前後方向を見分ける印が前記剥離シートもしくは前記包装材に表示されている前記<4>又は<5>記載の吸収性物品の個包装体。
<12>前記包装材の前方部で前記吸収性物品が配された面とは反対の裏面に固定された前記剥離シートが前記包装材への固定位置より前記前折線方向に延出されている前記<9>〜<11>のいずれか1に記載の吸収性物品の個包装体。
<13>前記包装材の前方部、中央前部、中央後部及び後方部夫々に対応するように、前記吸収性物品が配されている、前記<1>〜<12>のいずれか1に記載の吸収性物品の個包装体。
<14>折り畳みを開放した展開状態において、前記包装材が吸収性物品よりも長手方向に長く、前記前方部及び後方部夫々に対応する位置には吸収性物品が配されておらず、
折畳み状態においては、包装材が4つ折りであり、吸収性物品が2つ折りである、前記<1>〜<13>いずれか1に記載の吸収性物品。
<15>前記前折線が外側で後折線が内側になり、3〜25mmずれている、前記<1>〜<14>いずれか1に記載の吸収性物品。
<16>前記吸収性物品が生理用ナプキンである、前記<1>〜<15>いずれか1に記載の吸収性物品。