【実施例1】
【0022】
図1−1は、実施例1に係る脱硝装置を備えたボイラ装置の概略図である。
図1−2は、実施例1に係る他の脱硝装置を備えたボイラ装置の概略図である。
図2は、脱硝装置内部の濃度測定領域の分割領域を示す説明図である。
図3は、脱硝装置に設置するガス成分濃度分布測定装置の全体構成を示す概略図である。
図4は、基本の1セットを構成するプローブ手段の斜視図である。
図5は、実施例1に係る脱硝装置に設置するガス成分濃度分布測定装置の送光側受光側のレーザビーム窓を示す縦断面図である。
図6は、実施例1に係る脱硝装置に設置するガス成分濃度分布測定装置の送光側受光側のレーザビーム窓を示す縦断面図である。
図7は、実施例1に係る脱硝装置のアンモニア注入装置の概略構成例を示す系統図である。
図1−1に示すように、実施例1に係る排ガス脱硝システムを備えたボイラ装置100は、ボイラ101からの燃焼排ガス(以下「排ガス」という)102中に還元剤(例えばアンモニア:NH
3)を供給する還元剤供給手段であるアンモニア注入装置104と、還元剤が含まれた窒素酸化物(NOx)を脱硝する区画された脱硝触媒106A、106B、106Cを備えた脱硝装置105と、前記脱硝装置の出口側に設けられ、前記脱硝装置105のガス流れに直交する区画された脱硝触媒106A、106B、106Cに対応する領域における排ガス中のガス成分(NH
3、NOx)濃度分布を計測する複数の送光筒112A(112B、112C)を有するプローブ手段を有し、レーザ計測手段によりアンモニア濃度を測定するガス成分濃度分布測定装置110と、を具備し、前記ガス成分濃度分布測定装置110のアンモニア濃度の計測結果より、区画された領域のアンモニアの濃度分布を求めるものである。
図1−1中、符号107は空気予熱器、108は煙突を図示する。
【0023】
また、本実施例では、求めたアンモニア濃度分布より、脱硝不十分な区画を求める制御装置20と、この脱硝不十分な区画に対応する還元剤供給手段からの還元剤供給量を調節する調節手段である開度設定部109を備えている。
【0024】
本実施例では、脱硝装置105を構成する脱硝触媒を区画するために、
図1−1及び
図2、
図3に示すように、脱硝装置105内を仕切り板120により所定領域に分割している。
なお、仕切板120を用いることなく、脱硝触媒がコンテナに充填されている場合には、そのコンテナの壁が仕切り手段となる。
【0025】
本実施例の仕切板120での分割は、
図2に示すように、脱硝装置105の煙道の壁面の第1壁部103aから第2壁部103bに対して3列106A〜106Cに分割され、第3壁部103cから第4壁部103dにわたって3行106A-1、106A-2、106A−3に分割される場合、濃度測定領域には、9個の区画されたP
1〜P
9の分割領域が形成される。この区画された分割領域ごとに、測定対象のアンモニアの平均濃度を測定することで、濃度測定領域における測定対象の濃度分布を得ることができる。
【0026】
本実施例では、仕切板120の下端部内に計測手段の複数の送光筒112A(112B、112C)を配置している。
これにより、排ガス102が仕切板120で区画された脱硝触媒を通過した後の排ガスは、お互いに混ざり合うことがなくなり、各々の区画された領域で計測できるので、各区画におけるアンモニアの濃度分布を計測することができる。
【0027】
図3は、脱硝装置に設置するガス成分濃度分布測定装置の全体構成を示す概略図である。
図3に示すように、ガス成分濃度分布測定装置110は、区画された分割領域を計測する複数の送光筒112A(112B、112C)を有するプローブ手段が設けられている。
【0028】
また、
図3に示すように、前記複数のプローブ手段の送光筒112A(112B、112C)の一端側の各々に、計測場の外部からレーザ光を出射させるレーザ送光部である送光器11と、他端側の各々に計測場の外部で計測領域を通過したレーザ光を受光し、前記レーザ光の光強度を検出するレーザ受光部である受光器12とを設けている。
【0029】
図3に示すように、本実施例では、
図2に示した9区画に対応するように、3種類の異なる計測領域Lを有する送光筒112A、112B、112Cからなるプローブ手段を用意している。そして、送光筒112A〜112Cのプローブ手段を1セットとし、これが列方向に3セット(I〜III)配置されている。
【0030】
図4は、この基本の1セットを構成するプローブ手段の斜視図である。
図4に示すように、基本の1セットを構成する3種類の異なる計測領域Lを形成するプローブ手段は、レーザ光を通過する中空の送光筒112A(112B、112C)と、該送光筒112A(112B、112C)の一部が所定距離112a、112bの間で区切られ、計測場に晒される計測領域Lを有している。
この区切られた計測領域Lに排ガス102が通過することとなるので、排ガス102中のアンモニアをレーザ光によって計測することができる。
この計測領域Lは、1mの間途切れており、レーザ光路長を1mとしている。
【0031】
このように、アンモニア濃度を測定する所定の分割領域P
1〜P
3に対応するように、送光筒112A(112B、112C)の一部が所定距離112a、112bの間にわたって区切れ、計測領域Lを形成している。
したがって、レーザ経路上では、送光筒112A(112B、112C)の切れている計測領域Lにのみ区画された脱硝触媒を通過した排ガス102が存在することになり、該計測領域Lにおける排ガス102中のアンモニア濃度をレーザ光の吸収により測定できる。
【0032】
本実施例では、
図3に示すように、送光筒112Aは、第1列I、第2列II、第3列IIIの受光器12側の分割領域(P
1、P
4、P
7)に対応するように、所定距離112a、112b間で区切られた計測場に晒される計測領域Lが設けられている。
また、送光筒112Bは、第1列I、第2列II、第3列IIIの分割領域(P
2、P
5、P
8)に対応するように、所定距離112a、112b間で区切られた計測場に晒される計測領域Lが設けられている。
また、送光筒112Cは、第1列I、第2列II、第3列IIIの分割領域(P
3、P
6、P
9)に対応するように、所定距離112a、112b間で区切られた計測場に晒される計測領域Lが設けられている。
なお、
図3では、計測領域Lの図示は省略している。
【0033】
よって、仕切板120により区分けされた脱硝触媒106を通過して排ガス102に対して、その各々の分割領域のみの濃度を測定するため、濃度を測定しない分割領域のレーザ経路には中空の送光筒112A〜112Cの筒部分が設置されることとなる。
【0034】
図5及び
図6は、レーザビーム窓15と送光筒112A(112B、112C)を概略的に示した図である。レーザビーム窓15は、
図5及び
図6に示すように、中空部材であり、フランジ16により脱硝装置105の壁部103c、103d面にそれぞれ固定されている。レーザビーム窓15の内部には、内部と外部との間のガスの出入りを遮断するシール用光学ガラス17が設けられる。シール用光学ガラス17の受光面は、レーザ光の反射を防止するため、レーザ光に対して垂直ではなく斜めに形成されてもよい。
【0035】
レーザビーム窓15のシール用光学ガラス17の両面側には、それぞれ給気口18が設けられる。給気口18からシールエア19が吹き出すことによって、シール用光学ガラス17への物質の付着を防止できる。なお、シールエア19は、シール用光学ガラス17に対して両面側ではなく、濃度測定領域S側のみに吹き出されるとしてもよい。
【0036】
また、送光筒112A〜112C内に供給されるシールエア19が充満されることで、開口された計測領域Lからの排ガス102の流入(逆流)を防止している。
【0037】
送光筒112A(112B、112C)を内壁面に設置する場合は、
図5及び
図6に示すように、例えばフランジ16の端部に送光筒112A(112B、112C)の端部が接続される。送光筒112A(112B、112C)の径は、レーザビーム窓15の径よりも大きく、レーザビーム窓15に供給されたシールエア19は、送光筒112A(112B、112C)の内部に供給される。
【0038】
なお、濃度測定領域における分割領域の形成方法は、上述した3列×3行の9個に限定されるものではない。列数や行数、分割領域の数は、他の数でもよい。濃度測定領域がM列×N行でP個の分割領域が形成される場合、P本のプローブ手段のレーザ経路が設定される。
【0039】
次に、本実施形態に係る濃度分布測定の原理について、図を参照して説明する。
図8は、吸収分光計測の概念図である。
図9は、吸収分光計測の吸収チャート図である。
レーザ光の光強度と測定対象の濃度との関係を示す関係式として、ランベルト・ベール(Lambert−Beer)の法則が知られている。
【0040】
ランベルト・ベールの法則は、
図8に示すように、送光点と受光点との間の、レーザ経路の距離である計測領域をLとし、レーザ光の照射強度をI
0、レーザ光の受光強度をI(L)、距離L中に存在する測定対象(アンモニア)の濃度をC
0とした場合、以下の(1)式の関係が成立するというものである。
I(L)=I
0exp(−kC
0L) ……(1)
ここで、kは測定対象の吸光度に応じて設定される比例係数である。
【0041】
測定対象の濃度を測定する分割領域の濃度平均値をC
1、分割領域におけるレーザ経路の距離(送光筒の区切れた場所である計測領域L)をL
1とすると、上記(1)式は、以下の(2)式のように表すことができる。
I(L)=I
0exp(−kC
1L
1) ……(2)
【0042】
予め設定されたレーザ経路ごとにレーザ光を照射する際、分割領域におけるレーザ経路の距離(送光筒の区切れた場所である計測領域)L
1、レーザ光の照射強度I
0及びレーザ光の受光強度I(L)は、既知であるから、上記(2)式によって、未知数である分割領域の濃度平均値C
1を算出できる。
【0043】
そして、上記構成を備えるガス成分濃度分布測定装置110においては、以下のような手順により、濃度測定領域のアンモニアの濃度分布が取得される。
【0044】
また、ボイラ101からの排ガス102には、煤塵が含まれているので、計測領域Lであるレーザ光の光路長さを長くすると、煤塵の影響により光透過率が減衰することとなる。
図10は、排ガス中の煤塵濃度とレーザ光透過率との関係を示す図である。
図10では、波長が1.5μmの場合、煤塵濃度が6g/Nm
3程度の石炭灰中に2.0mの光路長で計測が可能であることを確認している。
よって、煤塵濃度がそれ以上の場合には、1.5m、より好適には1m前後の光路長で計測することが良好である。
【0045】
ここで、本実施例のように、排ガス中のアンモニア(NH
3)濃度を計測するには、半導体レーザ(半導体素子:InGaAsを例示することができる。波長:1.5μm、出力:1mW程度のものを例示することができる)を用いることができる。
【0046】
図7は、実施例1に係る脱硝装置のアンモニア注入装置の概略構成例を示す系統図である。
図7に示すように、アンモニア注入装置104は、アンモニア供給源に接続された流路配管のアンモニア主系統22に総流量制御弁23を備えている。このアンモニア主系統22は、総流量制御弁23の下流において、ヘッダ24から分岐させた複数本(図示の例では6本)のアンモニア供給系統26を備えている。
【0047】
また、
図7に示すように、アンモニア供給系統26は、各々が流量制御元弁25及び複数個(図示の例では3個)の注入ノズル27を備えており、排ガス102を流す流路である煙道103の内部に注入ノズル27が格子状の配置となるように設置されている。注入ノズル27は、流路配管のアンモニア主系統22、ヘッダ24及びアンモニア供給系統26を通ってアンモニア供給源から供給されたアンモニアを煙道103の内部に液滴又はガスの状態で流出させ、燃焼排ガス中に還元剤としてのアンモニアを注入するものである。なお、液滴の状態で注入されたアンモニアは、高温の燃焼排ガスから吸熱してガス化する。
【0048】
こうして煙道103の内部に注入されたアンモニアのガスは、混合器を通過することにより燃焼排ガス102と撹拌混合される。この結果、アンモニアは窒素酸化物と反応して脱硝装置105内の脱硝触媒106を通過するので、水と窒素とに分解されることで窒素酸化物が燃焼排ガス中から除去される。
【0049】
開度設定部109には、ガス成分濃度分布測定装置110で測定したアンモニア(NH
3)濃度の測定値が制御装置20を介して入力される。このようなアンモニア濃度の入力を受けた開度設定部109は、アンモニア濃度の平均値に基づいて総流量制御弁23の開度の設定(開度制御)を行うとともに、複数個所のアンモニア濃度に基づいて各流量制御元弁25の開度の設定(開度制御)を行う。すなわち、開度設定部109は、総流量制御弁23及び流量制御元弁25の開度制御信号を出力する。
【0050】
この場合、開度設定部109による流量制御元弁25の開度制御は、予め定めたアンモニア濃度と流量制御元弁25毎の開度との相関関係を定めた制御マップに基づいて行われる。すなわち、脱硝装置105は、ボイラ101毎に諸条件(煙道103の流路系統や流路断面積、燃料の種類等)が異なるため、事前に相関関係のデータを実験等により入手して制作した制御マップを開度設定部109に記憶しておく。なお、この制御マップでは、煙道103内のアンモニア濃度を区画された面内で測定した複数位置のアンモニア濃度に対して、複数系統のアンモニア供給系統26毎に異なる流量制御元弁25の開度を個別に設定するものである。
【0051】
ガス成分濃度分布測定装置110は、上述したように、脱硝触媒106の出口側における煙道103の仕切り板120で区画された区分内の濃度測定領域のアンモニア濃度分布を作成し、このアンモニア濃度分布を開度設定部109に出力する。
【0052】
このような脱硝装置105によれば、ガス成分濃度分布測定装置110によって、煙道103における脱硝触媒106の出口側におけるアンモニア濃度分布が検出され、この検出結果が開度設定部109に出力される。開度設定部109では、アンモニア濃度の平均値に基づいて総流量制御弁23の開度制御が行われ、かつ、ガス成分濃度分布測定装置110によって得られたアンモニア濃度分布に基づいて流量制御元弁25の開度制御が行われる。これにより、脱硝装置105の運転を継続しながら、時定数の短いアンモニア濃度の測定値に応じ、複数のアンモニア供給系統26毎に分配されるアンモニア注入量を自動的に調整することができる。
【0053】
このとき、流量制御元弁25の開度制御は、予め定めたアンモニア濃度と流量制御元弁25毎の開度とのマップに基づいて行われるので、アンモニア濃度により総供給量が規定されたアンモニアは、流量制御元弁25の開度に応じてアンモニア供給系統26に対するアンモニア分配量が調整される。
【0054】
このように、アンモニア濃度分布が脱硝触媒106の性能劣化と関連しているので、アンモニア濃度分布に基づいてアンモニア注入装置104によるアンモニア注入量の分布制御を実施すれば、脱硝装置105の後流側に余剰に排出されるリークアンモニアの分布をコントロールすることができる。また、リークアンモニアは、空気予熱器107を閉塞させる原因でもあるから、濃度検出に基づいてアンモニア注入装置104によるアンモニア注入量の分布制御を実施すれば、空気予熱器107の閉塞頻度低減に寄与することも可能になる。
【0055】
本実施形態に係る脱硝装置105によれば、脱硝装置105の運転を継続しながら、時定数の短いアンモニア濃度の測定値に応じて、複数の還元剤供給系統毎に分配される還元剤注入量を自動的に調整することが可能になる。これにより、還元剤注入の分配最適化による脱硝触媒106の寿命延長や脱硝触媒106の更新の効率化を達成することができる。この結果、脱硝装置105においては、脱硝触媒106の更新に伴うコストの低減やアンモニア消費量の最適化を実現できる。
【0056】
本実施例では、脱硝装置105の出口側で、ガス成分濃度分布測定装置110を設置し、アンモニア濃度を計測しているが、
図1−2に示すように、脱硝装置105の入口側と出口側とにガス成分濃度分布測定装置110、110を設け、脱硝触媒106に供給するアンモニア濃度と脱硝後のリークアンモニア濃度を計測することで、供給アンモニア濃度に対するリークアンモニア濃度の分布を測定することもできる。
【0057】
また、本実施例では、脱硝装置105の入口側でアンモニア濃度を計測しているが、脱硝装置105の入口側でのガス成分の計測に限定されず、ボイラ出口から脱硝装置105に至る煙道103のいずれかにおいて、入口側のガス成分を図るようにしてもよい。
【0058】
図1−3は、実施例1に係る脱硝装置の概略図である。
図1−4は、実施例1に係る他の脱硝装置の概略図である。
図1−3の脱硝装置105では、仕切板120の下端部120aと上端部120bの内側に位置するように、ガス成分濃度分布測定装置110の送光筒112A(112B、112C)を有するプローブ手段を配置している。
この結果、区画された内側において、排ガス102中のガス成分を計測することができる。
【0059】
また、
図1−4の脱硝装置105では、仕切板120の上端部120b側においては、
図1−3と同様に、その上端部120b内側に位置するように、ガス成分濃度分布測定装置110の送光筒112A(112B、112C)を有するプローブ手段を配置している。
これに対して、仕切板120の下端部120a側においては、その下端部120abよりも下方側に位置するように、ガス成分濃度分布測定装置110の送光筒112A(112B、112C)を有するプローブ手段を配置している。
脱硝触媒106中を通過した排ガス102は層流に近い状態となっているので、仕切板120の下端部120aより下側においても、その状態が維持されている。
よって、仕切板120の下端部120a側においては、送光筒112A(112B、112C)の配置が内側に限定されず、下端部120aよりも下方側であっても、区画された排ガス中のガス成分を確実に計測することができる。
【0060】
本実施例では、
図3に示すように、半導体レーザを制御するための制御装置20が設置されている。この制御装置20は、例えば、コンピュータであり、CPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)、各プログラム実行時のワーク領域として機能するRAM(Random Access Memory)、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)、通信ネットワークに接続するための通信インターフェース、及び外部記憶装置が装着されるアクセス部などを備えている。これら各部は、バスを介して接続されている。更に、制御装置20は、キーボードやマウス等からなる入力部及びデータを表示する液晶表示装置等からなる表示部などと接続されていてもよい。
【0061】
上記CPUが実行するプログラム等を記憶するための記憶媒体は、ROMに限られない。例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等の他の補助記憶装置であってもよい。なお、本実施形態では、制御装置20を一つのコンピュータによって実現する構成としているが、複数のコンピュータによって実現してもよい。
【0062】
まず、測定を行うレーザ経路に対応するように、制御装置20によって半導体レーザの送光器11が起動され、更に、レーザ光の出力が安定した後に、レーザ経路における測定が行われる。
【0063】
このレーザ経路における測定が終了した後、次のレーザ経路における測定を開始する。このようにして、レーザ経路ごとの測定を順次行う。その後、送光器11からレーザ光が照射され、レーザ光が所定のレーザ経路を通過することで測定対象により吸光されたレーザ光が受光器12によって受光される。
【0064】
受光器12は、受光した光によって光強度を検出する。レーザ光の検出値は、制御装置20に出力される。このとき、制御装置20は、受光器12による検出値とその検出値に対応するレーザ経路の識別情報(P
1〜P
9)とを関連付けることができる。
【0065】
制御装置20に入力された検出値とレーザ経路の情報は、互いに関連付けられて制御装置20にて記憶される。更に、上記レーザ照射の際の送光器11からのレーザ光の照射強度も制御装置20にて記憶される。そして、制御装置20では、記憶されたデータに基づいてNO濃度分布が作成される。
【0066】
具体的には、各レーザ経路上の分割領域の距離や、入力された検出値及びレーザ光の照射強度が読み出されて、上記(2)式で表わされる濃度演算式を用いることにより分割領域ごとの測定対象の濃度が算出される。そして、各分割領域の濃度が補間されることにより、濃度測定領域の濃度分布が作成される。これにより、濃度測定領域における測定対象の濃度分布が得られることとなる。
このようにして得られた濃度測定領域の濃度分布は、例えば、制御装置20と接続された表示装置(図示略)に表示されることによって、ユーザに提示される。
【0067】
そして、リークするアンモニア濃度分布の全てが所定値以下であれば、そのままの条件で運転を継続する。この場合、アンモニア注入装置104の注入量の調整は行わない。
【0068】
これに対し、アンモニア濃度分布の一部に濃度が高い場所があると、制御装置20の判断部で判断された場合には、開度設定部109のその情報信号を送る。そして開度設定部109において、その特定されたたアンモニア濃度分布の高い場所に対応するアンモニア注入装置104からのアンモニアが注入できるように、流量制御元弁25の開度制御が行われる。これにより、脱硝装置105の運転を継続しながら、アンモニア濃度の測定値に応じ、複数のアンモニア供給系統26毎に分配されるアンモニア注入量を自動的に調整することができる。
【0069】
この結果、脱硝装置105の出口側で、ガス成分濃度分布測定装置110によりアンモニア濃度分布を各々計測することで、リアルタイムにおいて、一様に脱硝されているかを確認することができる。
【0070】
排ガス中の窒素酸化物(NOx)の変動は、ボイラ負荷の変動やボイラ101に供給する燃料の種類等が変更した場合、ボイラ立ち上げの際に発生する。
よって、本装置を用いて、負荷変動等があった場合には、通常の計測回数よりも頻繁に濃度分布の計測を行うようにして、窒素酸化物の脱硝が確実になされているかを判断するようにしてもよい。