特許第5972794号(P5972794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972794
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】拡張現実設計システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20160804BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20160804BHJP
   G06T 19/00 20110101ALI20160804BHJP
【FI】
   G06F17/50 610A
   G06F17/50 602B
   G06F3/01
   G06T19/00 600
【請求項の数】1
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2012-554019(P2012-554019)
(86)(22)【出願日】2011年2月17日
(65)【公表番号】特表2013-520729(P2013-520729A)
(43)【公表日】2013年6月6日
(86)【国際出願番号】US2011025211
(87)【国際公開番号】WO2011103272
(87)【国際公開日】20110825
【審査請求日】2013年1月30日
【審判番号】不服2015-6073(P2015-6073/J1)
【審判請求日】2015年4月1日
(31)【優先権主張番号】12/709,636
(32)【優先日】2010年2月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】314006455
【氏名又は名称】ナイキ イノヴェイト シーヴィー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フリーゼン デイビッド ワイ
【合議体】
【審判長】 藤井 浩
【審判官】 渡邊 聡
【審判官】 戸次 一夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−85641(JP,A)
【文献】 GRASSET, R. et al.,Interactive Mediated Reality,AUIC ’05 Proceedings of the Sixth Australasian conference on User interface [online],Australian Computer Society,2005年,Volume 40 ,Pages 21−29
【文献】 松下和弘外2名,投影型複合現実感技術と本棚ログによる本棚利用支援,第14回日本バーチャルリアリティ学会大会 論文集[DVD−ROM],日本,バーチャルリアリティ学会,2009年 9月 9日
【文献】 陰山聡,大規模シミュレーションデータの可視化,システム/制御/情報,システム制御情報学会,2010年 2月15日, 第54巻,第2号,pp.51−57
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
G06F17/50
G06T19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実世界の環境から像を受ける撮像装置と、
現実世界の環境に存在しかつ物品の概形の形状に形成されたプロキシと相互作用する相互作用デバイスと、
仮想デザイン要素を生成することができる計算装置と、
上記プロキシ上に少なくとも一つの仮想デザイン要素を投影する投影装置と、
を備え、
上記計算装置が、投影装置により投影面に仮想メニューを投影し、ユーザによって操作される相互作用デバイスの位置を追跡し上記相互作用デバイスの位置が上記仮想メニュー上のいずれかの位置に一致したことを検出すると上記位置に対応する処理を選択し、次いで上記相互作用デバイスがプロキシに接触したことを検出すると上記相互作用デバイスの位置に基づき現実世界の環境に対応する仮想環境上の上記プロキシの表面に対応する部分に上記選択した処理を実行することにより仮想デザイン要素を生成し、上記投影装置により上記プロキシに上記仮想デザイン要素の画像を投影することを特徴とする拡張現実設計システムにおいて、
上記プロキシは、上記プロキシ内に配置されたセンサであって上記プロキシが現実世界の環境において回転しているときに上記プロキシの位置および配向を検出するように構成されたセンサをさらに含むことを特徴とする拡張現実設計システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、設計(デザイン)システムに関し、詳しくは、物品の設計に使用される拡張現実設計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
拡張現実システムは、これまでも提案されている。コバヤシら(米国特許出願公開第2005/0174361号明細書)は、像(イメージ)を加工する方法および装置を教示している。コバヤシは、混成現実システムにおいて使用される位置・配向タッチペンを教示している。このタッチペンは、実物の模型に対する仮想オブジェクトの配向を確定するのに使用される。コバヤシが教示していることは、ユーザがタッチペンを使用して実物の模型に触れることである。そして、このシステムは、実物の対象物の位置および配向を確定し、その結果に応じて、仮想オブジェクトを並べることができる。
【0003】
独国特許第20203367号明細書は、乗物模型のデザインを3次元に迅速に視覚化するシステムを教示している。この装置は、乗物またはその部品のデータセットを発生させる。他の装置は、メモリ内に保存されるデータセットを利用して仮想現実(バーチャルリアリティ)の模型をつくり出す。制御装置が、拡張現実を利用して、乗物の現実の模型に仮想現実の模型を重ね合わせる。モニタの形態にある投影装置が、この乗物模型を描く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの関連技術においては、拡張現実システムを利用して実時間内に効率よく物品を設計できる装置がない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様においては、本発明は、物品の設計をする方法において、現実世界の環境に存在しているプロキシを表示装置上で見るステップと、物品に仮想デザインを施すために上記プロキシと相互作用デバイスとを接触させるステップと、を含み、上記仮想デザインは、上記プロキシの一部分として見えるように上記表示装置上に表示されることを特徴とする方法を提供する。
【0006】
他の態様においては、本発明は、物品の設計をする方法において、物品に仮想デザインを施すためにプロキシの一部分と相互作用デバイスとを接触させるステップと、上記プロキシ上へ上記仮想デザインを投影するステップと、を含み、上記仮想デザインは、上記プロキシの一部分として見えるように上記プロキシ上に投影されることを特徴とする方法を提供する。
【0007】
他の態様においては、本発明は、物品の設計をする方法において、現実世界の環境に存在し、第1の色のついた一部分を有するプロキシを表示装置上で見るステップと、上記プロキシの一部分と相互作用デバイスとを接触させ、これによって、上記一部分の色が、第1の色から、第1の色とは異なる第2の色へ変化するように、上記表示装置上に見られる上記プロキシの見かけの色を修飾するステップと、を含む方法を提供する。
【0008】
他の態様においては、本発明は、物品の設計をする方法において、現実世界の環境に存在しているプロキシに関連する仮想メニューに含まれるカラーパレットから色を選択するステップと、上記プロキシの第1の色を有する一部分と相互作用デバイスとを接触させるステップと、上記相互作用デバイスが上記一部分に接触すると瞬時に、プロキシの上記一部分上に第2の色を投影し、これによって、上記一部分の見かけの色を変化させるステップと、を含む方法を提供する。
【0009】
他の態様においては、本発明は、物品の設計をする方法において、現実世界の環境に存在しているプロキシを表示装置上で見るステップと、上記プロキシと相互作用デバイスとを接触させるステップと、上記プロキシと上記相互作用デバイスとが接触すると瞬時に、上記表示装置上に仮想ラインを表示するステップと、を含み、上記仮想ラインは、上記プロキシの一部分として見えるように上記表示装置上に表示されることを特徴とする方法を提供する。
【0010】
他の態様においては、本発明は、物品の設計をする方法において、プロキシと相互作用デバイスとを接触させるステップと、上記プロキシと上記相互作用デバイスとが接触すると瞬時に、上記プロキシ上に仮想ラインを投影するステップと、を含み、上記仮想ラインは、上記プロキシの一部分として見えるように上記プロキシ上に投影されることを特徴とする方法を提供する。
【0011】
他の態様においては、本発明は、現実世界の環境から像を受ける撮像装置と、現実世界の環境に存在するプロキシと相互作用する相互作用デバイスと、仮想像を発生させることができる計算装置と、上記プロキシ上に重ね合わせられた少なくとも一つの仮想像を見るための表示装置と、上記表示装置上に表示され得る仮想メニューであって、現実世界の環境中のある位置に関連付けられている仮想メニューと、を備え、ユーザは、上記位置に相互作用デバイスを置くことにより上記仮想メニューと相互作用することができ、上記仮想メニューは、上記プロキシに仮想デザイン要素を施すために使用され得ることを特徴とする拡張現実設計システムを提供する。
【0012】
他の態様においては、本発明は、現実世界の環境から像を受ける撮像装置と、現実世界の環境に存在するプロキシと相互作用する相互作用デバイスと、仮想像を発生させることができる計算装置と、上記プロキシ上に少なくとも一つの仮想像を投影する投影装置と、
【0013】
現実世界の環境中のある位置に投影され得る仮想メニューと、を備え、ユーザは、上記位置に相互作用デバイスを置くことにより上記仮想メニューと相互作用することができ、上記仮想メニューは、上記プロキシに仮想デザイン要素を施すために使用され得ることを特徴とする拡張現実設計システムを提供する。
【0014】
本発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の詳細な説明と図面から当業者には明らかとなろう。それらの追加のシステム、方法、特徴および利点のすべてが、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の詳細な説明およびこの要旨の範囲に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】設計システムの一実施例を示す概略図。
図2】設計システムが使用されているときの一実施例を示す等角投影図。
図3】設計システムに使用される一式のデザインメニューの一実施例を示す等角投影図。
図4】ユーザが選択したお絵かきツールの一実施例を示す等角投影図。
図5】プロキシに仮想ラインを施すのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図6】プロキシに仮想ラインを施すのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図7】プロキシに仮想の形状を施すのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図8】プロキシの見かけの色を修飾するのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図9】プロキシの一部分の見かけの色を修飾するのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図10】プロキシの一部分の見かけの色を修飾するのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図11】プロキシに仮想グラフィックを施すのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図12】プロキシに仮想グラフィックを施すのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図13】仮想ストライプの一部分を消去するのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図14】物品の定型デザインを修飾するのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図15】物品の定型デザインを修飾するのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図16】物品の定型デザインを修飾するのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図17】プロキシとして使用される実物の履物に仮想オブジェクトを施すのに使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図18】物品の設計を仕上げるステップの一実施例を示す等角投影図。
図19】プロプライアタに提出される最終設計の一実施例を示す等角投影図。
図20】履物の設計および製造を行うプロセスの一実施例を示す図。
図21】衣料品の設計に使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図22】衣料品の設計に使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図23】衣料品の設計に使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図24】設計システムの他の実施例を概略的に示す図。
図25】物品の設計に使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図26】物品の設計に使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図27】物品の設計に使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図28】物品の設計に使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図29】物品の設計に使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図30】設計システムの他の実施例を示す等角投影図。
図31】物品の設計に使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
図32】物品の設計に使用される設計システムの一実施例を示す等角投影図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、拡張現実設計システム100(単にシステム100とも呼ぶ)の一実施例を示す。この詳細な説明および特許請求の範囲に亘って使用される「拡張現実設計(デザイン)システム」という用語は、現実世界の見え方と、コンピュータが発生させた像とを組み合わせることを利用して、1つまたは複数の物品ないし対象物を設計するのに使用され得る種々のシステムを表す。明確にする目的で、「現実の」と「仮想の」という用語は、この詳細な説明および特許請求の範囲に亘って、様々な種類の像および/またはオブジェクトを識別するために使用される。例えば、現実世界の見え方つまり現実世界の像とは、ユーザの視界に捉えられた現実環境の見え方つまり像のことである。対照的に、仮想像ないし仮想オブジェクトとは、計算装置によって発生された像ないしオブジェクトであって、仮想環境に関連している。さらに、明確にする目的で、この詳細な説明および特許請求の範囲に亘って使用される「仮想デザイン要素」という語句は、設計システムによってつくり出され或いは使用され得る、種々の仮想オブジェクト、仮想像ないし仮想グラフィックの総称である。仮想像ないし仮想オブジェクトと、現実世界の見え方つまり現実世界の像と、が組み合わされて、拡張現実の環境においての見え方つまり像となる。
【0017】
システム100は、1つまたは複数の構成要素を備え得る。一実施例においては、システム100は、計算装置102を備える。計算装置102としては、デスクトップ型コンピュータやラップトップ型コンピュータなどの種々の型式のコンピュータとすることができる。他の実施例においては、計算装置102は、ディスプレイ、プロセッサ、および1つまたは複数の外部源とデータを送受信可能な装置を有する種々の型式の装置とすることができる。そのような装置の例としては、携帯情報端末(PDA)、携帯電話および他の型式の装置があるが、これらに限定しない。
【0018】
システム100は、ユーザに向けて拡張現実の像を表示する装置を備え得る。いくつかの実施例においては、システム100は、表示装置104を備え得る。表示装置104は、コンピュータのスクリーンつまりモニタ、ヘッドマウント(頭部装着)ユニット、投影式ディスプレイおよび他の種類のディスプレイなどの種々の型式のディスプレイとすることができるが、これらに限定しない。この実施例においては、表示装置104は、頭部装着ユニットつまりヘッドマウントディスプレイ(HMD)である。特には、この実施例においては、表示装置104は、ゴーグルからなる。ユーザが表示装置104を通して見ると、1つまたは複数の仮想像が、表示装置104を通して見られる現実世界の上に重なって表示され得る。拡張現実システムで使用されるヘッドマウントディスプレイは、周知のものである。例として、米国特許出願公開第2006/02484791号明細書、米国特許第7,397,481号明細書、および米国特許第7,110,909号明細書に開示されており、これらの全体が本願の参照となる。
【0019】
システム100は、光学的情報を捕捉する装置を備え得る。いくつかの実施例においては、システム100は、撮像装置106を備え得る。撮像装置106は、光学的情報を検出することができる種々の装置とすることができる。いくつかの場合、撮像装置106は、カメラである。いくつかの場合、撮像装置106は、ある種のビデオカメラである。使用され得る様々な型式のビデオカメラの例としては、電荷結合素子(CCD)カメラ、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)カメラ、他の型式の能動画素センサカメラ並びに他の型式のビデオカメラがある。
【0020】
概して、撮像装置106は、システム100の様々な構成要素に対して、種々の位置に配置され得る。いくつかの場合、撮像装置106は、据え置きされている。他の場合、撮像装置106は、システム100の他の構成要素に実装されている。一実施例においては、撮像装置106は、表示装置104の一部分に実装されている。この配置において、撮像装置106が光学的情報を受けるように構成されており、システム100のユーザが見回すと、ユーザは、この光学的情報を視認することができる。換言すると、撮像装置106は、この構成を利用して、ユーザが見ている現実世界の環境とほぼ同じ視界を有し得る。他の実施例においては、撮像装置106は、ユーザの視界とほぼ同じ視界が捕捉され得る別の位置に配置され得る。
【0021】
システム100は、拡張現実の環境と相互作用する装置を備え得る。いくつかの場合、システム100は、相互作用デバイス108を備える。相互作用デバイス108は、種々の形態をとり得る。いくつかの場合、相互作用デバイス108は、タッチペンである。例えば、相互作用デバイス108は、携帯情報端末(PDA)で使用されるものと同種のタッチペンとすることができ、このタッチペンは、ディスプレイに圧力を加えるのに使用される実質的にモノリシックな構成要素である。この実施例においては、相互作用デバイス108は、ペンの形状とほぼ同じ形状に形成された実質的にモノリシックな構成要素である。しかし、他の場合、相互作用デバイス108は、種々の他の形状、寸法および組成を有し得る。
【0022】
いくつかの実施例においては、システム100の1つまたは複数の構成要素が、計算装置102と通信する。いくつかの場合、撮像装置106が、計算装置102と通信する。加えて、いくつかの場合、表示装置104が、計算装置102と通信する。撮像装置106および表示装置104は、種々の型式の無線および/または有線の接続を介して計算装置102と通信し得る。いくつかの場合、撮像装置106および表示装置104は、ある種のネットワークを利用して計算装置102と通信することができる。そのようなネットワークの例としては、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、クライアント−サーバ・ネットワーク、ピアツーピア・ネットワークおよび他の型式のネットワークがあるが、これらに限定しない。いくつかの場合、計算装置102、撮像装置106および/または表示装置104の間の通信を容易にするために、Bluetooth(登録商標)プロトコルを利用する無線のローカルエリアネットワークまたはパーソナルエリアネットワークが使用される。この構成を有することで、撮像装置106から集められた像が計算装置102で受信され、仮想の情報と組み合わせられる。組み合わせられた情報は、表示装置104へ送り返され、ユーザに向けて表示され得る。詳しくは、これにより、システム100が1つまたは複数の仮想オブジェクトないし仮想像を使ってユーザの見え方を拡張させることが可能となる。
【0023】
この実施例においては、単一の撮像装置を使っているが、他の実施例においては、2つ以上の撮像装置を備え得る。さらには、他の実施例においては、システム100について、他の種類のセンサが使用され得ることが理解されよう。追加の種類のセンサを利用するシステムの例を以下に詳細に説明する。
【0024】
この実施例においては、計算装置102はスタンドアロンのコンピュータとして示されているが、他の実施例においては、計算装置102はシステム100の他の構成要素と統合されている。例えば、他の実施例においては、計算装置102は、表示装置104と統合されている。詳しくは、表示装置104は、撮像装置106で受けた光学的情報を処理する装置と、表示装置104に表示されるべき仮想像を発生させる装置とを備え得る。さらに他の実施例においては、計算装置102は、システム100の他の構成要素と統合されている。他の例においては、システム100の携帯性を良くするために、計算装置102は、ユーザが着用し或いは持ち運ぶことができる携帯機器とされ得る。さらには、いくつかの実施例においては、計算装置102は、システム100の様々な構成要素の近くに配置されていなくてもよい。例えば、他の実施例においては、撮像装置106および表示装置104は、上述した種類のネットワークを利用して、計算装置102と遠隔通信する。このような構成を有することで、システム100特に撮像装置106および表示装置104の携帯性が向上し得る。
【0025】
システム100は、プロプライアタ110と通信する装置を備え得る。プロプライアタ110は、仕事関連の、1つまたは複数の工場、複数の事務所、小売業者、および様々な他の機関を含み得る。概して、この詳細な説明および特許請求の範囲に亘って使用される「プロプライアタ」という用語は、販売業者および/または納入業者のことでもある。換言すると、プロプライアタという用語は、履物の部品加工、流通および/または小売販売に関わる作業並びに他の製造者側の作業を含む、製造者側の様々な作業に従事する人のことでもある。この構成を有することで、システム100を利用してつくられた設計がプロプライアタ110に提出され、この設計を使って小売物品を製造する目的で利用される。
【0026】
計算装置102とプロプライアタ110とは、ネットワーク112を利用して通信することができる。概して、ネットワーク112は、上述したネットワークなどの種々の型式のネットワークとすることができる。いくつかの実施例においては、ネットワーク112は、パケット交換通信システムである。一実施例においては、ネットワーク112は、インターネットである。さらには、いくつかの場合、システム100は、プロプライアタ110が直接操作できるものであることを理解されたい。
【0027】
図2は、ユーザ200が操作している拡張現実設計システム100の一実施例を示す。概して、ユーザ200は、システム100を操作することができる人である。いくつかの場合、ユーザ200は、ある種のプロのデザイナである。例えば、一実施例においては、ユーザ200は、プロプライアタ110に雇われたデザイナである。しかし、他の場合、ユーザ200は、システム100を利用して設計された商品を購入するつもりの顧客である。さらに他の場合、ユーザ200は、システム100を操作することができる人である。
【0028】
システム100は、プロキシ210とともに使用され得る。プロキシ210は、ある種の物品の概形の形状に形成され得る。プロキシ210は、履物、手袋、シャツ、パンツ、靴下、スカーフ、帽子、ジャケットおよび他の物品などの種々の物品に関連し得るが、これらの物品に限定しない。物品の他の例としては、皮膚ガード、膝パッド、肘パッド、肩パッドおよび他の型式の防護具があるが、これらの物品に限定しない。これに加え、いくつかの実施例においては、物品は、着用品以外の、ボール、鞄、財布、リュックサックおよび他の物品などの着用品以外の他の型式の物品であるが、これらの物品に限定しない。
【0029】
この実施例においては、プロキシ210は、履物の形状に構成され得る。一実施例においては、プロキシ210は、靴を形成するのに使用される靴型の形状に形成されている。他の実施例においては、プロキシ210は、履物の形状に形成されている。いくつかの場合、プロキシ210は、ランニングシューズ、クロストレーニング用シューズ、バスケットボールシューズ、サッカーシューズ、フットボールシューズ、ハイヒール、ブーツ、つっかけ、ローカットシューズ、サンダルおよび他の型式の履物などの特定の型式の履物の形状に形成されているが、これらの履物に限定しない。さらに他の実施例においては、プロキシ210は、種々の他の形状に形成されている。
【0030】
この実施例においては、プロキシ210は、印(マーク)のないブランクとなっている。しかし、他の実施例においては、物品を設計し易くするために、プロキシ210は、様々な履物特徴部とほぼ同じ位置を指し示す種々の印を含み得る。例えば、一実施例においては、プロキシ210は、物品のレースの付く領域のだいたいの位置を指し示す印を含み、いくつかの場合、ある種のレースを示す印を含む。他の例として、プロキシ210は、履物のソールと履物のアッパーとを区分する印を有する。いくつかの場合、さらなる印をつけることで、デザイナは、様々な履物特徴部へデザインを施すことができる。また、そのような印がプロキシ210に物理的に付けられていることもあれば、システム100を利用して仮想的に付けられていることもあることを理解されたい。
【0031】
システム100は、種々の事務所、工場または他の種類の場所などの様々な設計環境における使用に適合され得る。例えば、この実施例においては、プロキシ210は、作業台220の上に配置されている。しかし、他の場合、プロキシ210は、ある種の台の上に配置されている。
【0032】
システム100の動作は、撮像装置106において現実世界の視界を受けることを含む。詳しくは、ユーザがプロキシ210を見るとき、撮像装置106は、プロキシ210の像を周囲環境とともに捕捉する。システム100は、プロキシ210の位置と配向を精密に確定することができるヴィジュアル追跡ソフトウェアを備えるように構成され得る。当技術分野において、様々な型式のヴィジュアル追跡ソフトウェアが知られている。そして、この情報は、計算装置102へ送信され得る。この時点で、計算装置102は、仮想オブジェクトないし仮想像と、現実世界の環境に存在する像とを結び付けることができる。詳しくは、計算装置102は、表示装置104に仮想オブジェクトないし仮想像を表示するように構成されていて、ユーザ200は、現実世界の像と仮想像の両方を含む拡張された像を見ることができる。さらには、上述したように、撮像装置106は、相互作用デバイス108の動きを追跡するように使用され得る。この構成を有することで、ユーザ200は、相互作用デバイス108を使って1つまたは複数の仮想像を操作することができる。
【0033】
実施例を理解し易くする目的で、表示装置104でユーザが見ている像は、多くの図においては概略的に示されている。例えば、この実施例においては、ユーザ200は、表示装置104のスクリーン240で、プロキシ210を含む現実世界の環境を見ている。詳しくは、この実施例においては、スクリーン240は、透明なスクリーンであり、このスクリーンで、ユーザ200は、現実世界の環境を見ている。さらには、以下に詳細に説明するように、仮想像がスクリーン240上に表示され得る。
【0034】
上述したように、システム100は、ある種の物品の設計をする目的で使用され得る。この実施例においては、システム100は、さまざまな型式の履物を設計するのに使用され得る。例えば、システム100は、履物の設計に使われる、ライン、形状、絵、画像、文字、数字、印および他の種類のグラフィックなどの様々な型式のグラフィックを施すのに使用され得るが、これらのグラフィックに限定しない。システム100は、物品の設計に組み込まれ得る、物品の色、手触り、材料または種々の他の特徴を修飾するように使用され得る。
【0035】
図3を参照すると、システム100は、プロキシ210にデザインが施される際にユーザ200を支援する装置を備え得る。いくつかの場合、システム100は、1つまたは複数のデザインメニューを提供する。デザインメニューは、表示装置104上に表示された仮想メニューとすることができる。デザインメニューとしては、ツールメニュー、カラーメニュー、グラフィックメニューおよび他の種類のメニューがある。デザインメニューは、ボックス、パレット、リストの形態または他の構成をとり得る。
【0036】
この実施例においては、システム100は、ツールパレット302を備える。いくつかの場合、ツールパレット302は、表示装置104上に表示される仮想パレットである。さらには、ツールパレット302は、プロキシ210に隣接して見えるように表示され得る。
【0037】
様々な実施例において、ツールパレット302内で利用可能なツールの型式は、様々である。この場合、ツールパレット302は、プロキシ210の複数の部分あるいはプロキシ210に関連する仮想像の複数の部分を選択するのに使用される選択ツール304を有する。加えて、ツールパレット302は、プロキシ210上に仮想ラインを引くのに使用され得るお絵かきツール306を含み得る。さらに、ツールパレット302は、プロキシ210の複数の部分に文字や語句を施すのに使用される文字ツール308を含み得る。なお、これらのツールは、例示に過ぎず、他の実施例においては、グラフィック編集ソフトウェアに典型的に関連する他の型式のツールが使用され得る。
【0038】
システム100は、また、グラフィックメニュー320を含み得る。グラフィックメニュー320は、一式の予備設計されたグラフィックを含み得る。例えば、この実施例においては、グラフィックメニュー320は、第1のグラフィック322および第2のグラフィック324を含む。明確にする目的で、2つのグラフィックのみが示されている。しかし、他の実施例においては、他の個数のグラフィックが含まれ得る。
【0039】
いくつかの実施例においては、システム100は、ユーザが外部源から様々なデザインやグラフィックを取り込むことを可能にする装置を備える。いくつかの実施例においては、ユーザは、計算装置102に様々なメディアデバイスを繋いで、システム100に様々なグラフィックやデザインを取り込めるとよい。いくつかの実施例においては、ユーザが、デジタルカメラ、スキャナまたは種々の他のデバイスから、絵、画像および/または写真をアップロードする。さらには、いくつかの場合、インターネットなどの他の源から、様々な型式のデザインやデザイン要素が集められる。
【0040】
図4図13は、システム100の一実施例の操作を示すことを意図している。図4を参照すると、ユーザ200は、相互作用デバイス108を使って、お絵かきツール306を選択することができる。詳しくは、ユーザ200は、ツールパレット302にタッチペン108を接触させるように、相互作用デバイス108を動かすことができる。この場合、ツールパレット302は、現実世界の環境に存在する対象物のどれとも対応しない仮想パレットである。しかし、システム100は、プロキシ210に隣接する現実世界の位置にツールパレット302を関連付けるとともに、相互作用デバイス108の位置を追跡する。そして、ツールパレット302に関連している現実世界の位置へ相互作用デバイス108を動かすと、システム100は、ツールパレット302と相互作用デバイス108との間の相互作用を認識し得る。詳しくは、この場合、システム100は、ユーザがお絵かきツール306を選択しようとしていることを認識する。この構成を有することで、相互作用デバイス108は今や、プロキシ210上に仮想ラインないし仮想ストロークをつくり出せる筆、ペン、鉛筆などのお絵かきデバイスとして機能し得る。
【0041】
図5を参照すると、お絵かきツールとして機能する相互作用デバイス108を有することで、ユーザ200は、プロキシ210に様々な仮想デザイン要素を施すことができるようになる。この実施例においては、ユーザ200は、プロキシ210の表面に押しつけながら相互作用デバイス108をドラッグすることによって、仮想ライン502を引くことができる。この場合、撮像デバイス106は、光学的情報を受けて、この光学的情報を計算装置102へ送信する。計算装置102は、この光学的情報を使って、相互作用デバイス108の位置を追跡し、相互作用デバイス108がプロキシ210の表面に接触したことを検出することができる。この実施例においては、相互作用デバイス108がお絵かきツールとして機能しているので、計算装置102は、スクリーン240上に仮想ライン502を発生させ得る。詳しくは、ユーザ200には仮想ライン502がプロキシ210の表面に見えるように、仮想ライン502がスクリーン240の一部分上に表示される。換言すると、ユーザ200の視点からはラインがプロキシ210上に直接引かれて見えるように、システム100は、仮想ライン502とプロキシ210とを組み合わせる。なお、仮想ライン502は、相互作用デバイス108がプロキシ210に接触すると瞬時に表示される。
【0042】
いくつかの実施例においては、仮想ライン502は、種々の型式のラインとすることができる。いくつかの場合、仮想ライン502は、ほぼ真直ぐな直線的な形状である。他の実施例においては、仮想ライン502は、直線でない形状である。さらには、仮想ライン502は、プロキシ210の表面の等高線に沿った曲線にされ得る。これによって、ユーザ200の視点からは、仮想ライン502が益々プロキシ210の一部に見えるようになる。
【0043】
いくつかの実施例においては、システム100を利用してつくり出される種々のラインの特性は様々である。例えば、いくつかの場合、仮想メニューを使ってラインの太さが変えられる。他の場合、実線、点線を含むラインの様式は様々である。そのうえ、いくつかの場合、仮想ラインの特性は、プロキシにラインを引く前か後に修飾され得る。グラフィック編集ソフトウェアを使ってラインの特性を修飾する種々の周知の機能が利用され得ることが理解されよう。
【0044】
図6を参照すると、ユーザ200は、相互作用デバイス108を使ってプロキシ210上にラインを描き続けることができる。この場合、ユーザ200は、プロキシ210の一方の側から他方の側まで単一のラインをひき続けるために、プロキシ210をひっくり返したところである。これに対処するように、システム100は、プロキシ210の位置と配向を追跡し続け、仮想ライン502の配向を修正し、プロキシ210の表面に永久的にラインが引かれているように見せる。
【0045】
図7を参照すると、システム100は、円、楕円、三角形、正方形、長方形、台形、五角形、六角形、規則多角形、不規則多角形および他の形状などの種々の形状を描くのに使用され得るが、これらの形状に限定しない。この実施例においては、ユーザ200は、相互作用デバイス108を使ってプロキシ210の側面に仮想の星形702を描いている。
【0046】
システム100は、物品のデザインに様々な色をつける装置を備え得る。いくつかの実施例においては、システム100は、単色または多色のカラーパレットを有するように構成される。カラーパレットを有することで、ユーザは、プロキシの種々の部分につける色を選択することができる。当技術分野で様々な型式のカラーパレットが知られており、例えば、グラフィック編集ソフトウェアで見受けられる種々の型式のカラーパレットがある。
【0047】
図8を参照すると、システム100は、カラーパレット802を備え得る。いくつかの場合、カラーパレット802は、カラーサークルの型式のカラーパレットである。他の場合、カラーパレット802は、様々な色を有する複数のボックスとして与えられている。ユーザ200がカラーパレット802から色を選択するには、相互作用デバイス108で所望の色の位置を指し示せばよい。この実施例においては、ユーザ200は、カラーパレット802から色804を選択している。この選択がなされると、プロキシ210の色が色804に変わる。詳しくは、システム100は、プロキシ210全体に施される色804を使って、仮想カラー像810を発生させる。プロキシ210が色804で塗られて見えるように、仮想カラー像810は、プロキシ210とほぼ同じ寸法、形状および配向を有する。そのうえで、仮想ライン502および仮想の星形702が、仮想カラー像810上に重ね合わせられる。
【0048】
ユーザ200がプロキシ210を見る向きを変えるためにプロキシ210を回転させ或いは動かすと、システム100は、仮想カラー像810、仮想の星形702および仮想ライン502の配向および位置を調節し続け、これらのデザイン要素が3次元のプロキシに永久的に施されて見えるようにすることが理解されよう。
【0049】
今度は図9および図10を参照すると、プロキシ210についての仮想カラーは、また、プロキシ210の局所的な部位に構成され得る。この実施例においては、ユーザ200は、相互作用デバイス108を使ってプロキシ210のつま先部分211を選択する。いくつかの場合、ユーザ200は、つま先部分211を選択するために、選択ツールとして機能する相互作用デバイス108を正しい位置に置く。他の場合、ユーザ200は、仮想メニューから色付けツールを選択してから、プロキシ210の所望の部分を選択することで、色をつける。
【0050】
いくつかの場合、ユーザ200が相互作用デバイス108を使ってつま先部分211を選択すると、カラーパレット902が現れる。いくつかの場合、仮想境界線910を使って、つま先部分211が目立つようにする。この時点で、図10に見られるように、ユーザ200は、カラーパレット902を使って、つま先部分211に施す色を選択することができる。すると、この色がつま先部分211全体に施される。
【0051】
この実施例は、ユーザがつま先部分211の色を修飾していることを示しているが、他の場合、ユーザは、プロキシ210の他の部分を修飾することができる。色付けされる他の部分としては、プロキシ210の、中足部、踵部、下位部、上位(アッパー)部、内側部、外側部および種々の他の部分があるが、これらに限定しない。プロキシ210がソール部と上位部を備える実施例においては、ユーザは、ソール部および/または上位部の色を別々に修飾し得る。加えて、プロキシが、レースの位置を示すレースの絵ないし印を含むレースの付く部分を有する実施例においては、ユーザは、レースの付く部分の色を修飾することができる。
【0052】
今度は図11および図12を参照すると、ユーザ200は、プロキシ210に1つまたは複数の仮想グラフィックを施すことができる。この場合、ユーザ200は、相互作用デバイス108を使って、グラフィックメニュー320から第1のグラフィック322を選択する。そして、ユーザ200は、プロキシ210と相互作用デバイス108とを接触させることで、プロキシ210の表面に第1のグラフィック322を配置させることができる。この時点で、システム100は、第1のグラフィック322がプロキシ210上に物理的に配置されて見えるように、第1のグラフィック322の外見を自動的に調整することができる。さらには、プロキシ210を動かすか回転させると、この動きに応じてシステム100がグラフィック322の配向と位置を調節し得る。この実施例では、プロキシ210に単一のグラフィックが施されているが、他の実施例においては、2つ以上の実施例がプロキシ210に施され得る。
【0053】
概して、プロキシに施される仮想グラフィックは、予備設計またはカスタム設計されたグラフィックとすることができる。例えば、いくつかの場合、ユーザは、システム100を使ってカスタム設計されたグラフィックをつくり出し、グラフィックメニュー320内にそのグラフィックを保存することができる。これによって、ユーザは、グラフィックを随時呼び出して、プロキシに施すことができる。他の実施例においては、システム100は、一式の予備設計されたグラフィックを提供することができる。
【0054】
図13を参照すると、ユーザ200は、消しゴムツール1302を使って仮想オブジェクトを部分的に消去することができる。この場合、ユーザ200は、仮想ライン1304が施されているプロキシ210の部分に相互作用デバイス108を接触させることで、仮想ライン1304を部分的に消去することができる。これにより、仮想ライン1304の一部分が消去される。
【0055】
いくつかの実施例においては、システムl00は、ユーザに1つまたは複数の既存の設計つまり定型デザインを提供する。定型デザインは、プロキシについて現在の設計セッションの前の段階でつくられた種々のデザインを含み得る。定型デザインは、プロプライアタが提供する場合もあれば、先行する設計ステップの際に、ユーザがつくり出す場合もある。
【0056】
図14図16は、定型デザインに関して機能するシステム100の一実施例を使用することを示している。図14を参照すると、ユーザ200は、定型メニュー1402から定型デザインを選択することができる。この場合、定型メニュー1402は、第1の定型デザイン1410と第2の定型デザイン1412を含む。ユーザ200は、相互作用デバイス108を使って第1の定型デザイン1410を選択したところである。第1の定型デザイン1410が選択されると、一式の仮想デザイン要素が自動的に発生し、プロキシ210上に表示される。例えば、この実施例においては、第1の定型デザイン1410は、仮想アッパートリム1420、仮想ストライプ1422および仮想アッパーパネル1424を含む。この構成を有することで、ユーザは、最初から物品の設計をするのではなく、既存の設計を修飾すればよい。
【0057】
ユーザ200は、プロキシ210についての定型デザインを選択した後、上述したグラフィックツールまたは他の周知のグラフィックツールを使ってデザインを修飾することができる。例えば、図15を参照すると、ユーザ200は、お絵かきツールを使って、仮想アッパーパネル1424の周囲に仮想境界線1502を描き加えることができる。さらに、図16に見られるように、ユーザは、カラーパレット1602を使って仮想アッパーパネル1424の色を修飾することができる。
【0058】
この構成を用いて、ユーザは、既存のデザインに修飾を加えることで、斬新でユニークなデザイン特性を備えた物品を製造することができる。デザイナは、現在のモデルの履物の後継品を設計するときに、この機能を使うことができる。例えば、毎年のように再設計される物品がある。本明細書で述べた構成を有することで、デザイナは、白紙の状態から設計を始めるのではなく、前年度の最新履物モデルに対応する定型デザインを選択することで、すぐに履物の再設計にとりかかることができる。
【0059】
システム100は、様々な型式のプロキシに仮想デザインを施す装置を備え得る。いくつかの場合、システム100は、物品の模型ではなく、形成済みの物品を用いて使用されるように構成されている。例えば、システム100が履物を設計するのに利用される状況において、プロキシは、靴型ではなく、特定の種類の靴であってもよい。
【0060】
図17に示されるシステム100の実施例においては、靴型ではなく、実物の履物がプロキシ1710として使用される。図17を参照すると、プロキシ1710は、アッパー1720およびソール構造体1722を有する。さらに、アッパー1720は、第1のデザイン要素1730と第2のデザイン要素1732を有する。これらのデザイン要素は、プロキシ1710の一部を構成する物理的なデザイン要素である。いくつかの場合、プロキシ1710として実物の履物を使用することは、ユーザが最終的な製品を視覚化することを助ける。
【0061】
この実施例においては、ユーザ200は、相互作用デバイス108を使ってプロキシ1710に仮想ライン1740を施すことができる。ユーザ200が相互作用デバイス108をプロキシ1710の表面に接触させつつドラッグすると、プロキシ1710より手前にあるスクリーン240上に仮想ライン1740が表示される。これにより、プロキシ1710上にラインがつくり出されたように見える。この構成を有することで、ユーザは、システム100を利用して実物の履物に仮想オブジェクトないし仮想像を適用することによって、既存の履物の設計を修飾することができる。
【0062】
明確にする目的で、この実施例は、様々なライン、色、グラフィックおよび他の種類の印を物品にデザインすることを示している。しかし、他の実施例においては、拡張現実設計システムを利用して、物品用の追加的な種類の構成要素が設計され得ることを理解されたい。いくつかの場合、拡張現実設計システムを利用して製造される設計ラインは、物品の機能特徴部を表す。
【0063】
いくつかの実施例においては、設計システムは、ストラップ、ヒールカウンタ、つま革、表底(外ソール)、中底(中ソール)、レース、および物品の他の機能構成要素などの様々な物理的および/または機能的な構成要素を設計するのに使用可能であるが、これらの構成要素に限定しない。例えば、一実施例においては、ユーザは、プロキシの底面にトラクションパターンを描くことによってソールの表底を設計(デザイン)することができる。他の例においては、ユーザは、プロキシの一部分上にストラップを描くことができる。他の例としては、ユーザは、物品の一つまたは複数の部分に関して利用され得る1つまたは複数のインサートを描くことができる。拡張現実設計システムを利用して設計され得るストラップおよびインサートの例としては、Gerberらのカスタマイズ可能なアッパーを有する履物に関する米国特許____号(現時点では米国特許出願第12/o358,234号明細書)があり、この出願全体が本願の参照となる。
【0064】
いくつかの実施例においては、表底パターン、ストラップ、ヒールカウンタおよび種々の他の機能構成要素を示す設計(デザイン)ラインは、プロプライアタが最終的な物品を設計するために使用される。いくつかの場合、システムは、機能設計ライン(例えば、ヒールカウンタを指し示すライン)と装飾設計ライン(例えば、1つまたは複数のストライプを示すライン)とを判別する装置を備える。いくつかの場合、プロプライアタが様々な型式の設計ラインを容易に判別できるように、機能構成要素に関連するように意図された設計ラインが、追加の情報と一緒に保存される。しかし、他の場合、各設計ラインは、実質的に同じ様式で保存されていて、プロプライアタは、機能設計ラインと装飾用の設計ラインとを判別するためには、事の経緯や他の手掛かりを参考にする必要がある。
【0065】
図18を参照すると、いくつかの場合、システム100は、設計セッションが終了したことをユーザに知らせる。例えば、この実施例においては、ユーザ200は、プロキシ1810を使っての物品の設計を終えている。詳しくは、ユーザ200は、システム100を利用して、プロキシ1810に仮想デザイン要素1812を施し終えたところである。この時点で、システム100は、設計を終了するべきか否かを決定するように促すとよい。いくつかの場合、ユーザ200に向けてダイアログボックス1850が表示される。この場合、ユーザ200は、相互作用デバイス108を使って物品の設計を終えたことを示す。
【0066】
設計が終了した履物を製造する目的で、最終設計がプロプライアタに提出され得る。図19に見られるように、いくつかの場合、最終設計がネットワーク112を介してプロプライアタの計算装置1902へ送信される。この時点で、プロプライアタは、最終設計を用いて履物を製造することができる。
【0067】
図20は、システム100を利用して設計された物品を製造するプロセスの一実施例を示す。この実施例においては、以下のステップのうちのいくつかのステップが、物品の製造および/または販売を行うプロプライアタによって実行され得る。また、いくつかのステップが、システム100の顧客や他のユーザによって実行され得る。これに加え、他の実施例においては、以下のステップのうちの1つまたは複数のステップが選択的であることを理解されたい。
【0068】
ステップ2002において、ユーザは、拡張現実設計システム100を利用して物品を設計することができる。この様式で物品の設計をする方法およびツールについては、これまでに詳述した。続いて、ステップ2004において、設計がプロプライアタに受け取られ得る。プロプライアタは、履物の部品加工、流通および/または小売販売に関わる作業並びに他の製造者側の作業を含む、製造者側の様々な作業に従事する人のことでもある。続いて、ステップ2006で、ユーザから提出された設計に基づいて、物品が製造され得る。このステップは、種々の周知の製造技術を利用して完成され得る。利用され得る製造技術の一例が、2006年12月18日に出願された米国特許出願第11/612,320号明細書中に開示されており、この出願の全体が本願の参照となる。
【0069】
上述したように、拡張現実設計システムは、種々の物品を設計するために利用され得る。いくつかの実施例においては、拡張現実設計システムは、衣料品を設計する装置を備えている。一実施例においては、拡張現実設計システムは、シャツやパンツを設計する装置を備えている。
【0070】
図21図23は、様々な衣料品を設計するように構成された拡張現実設計システム100の一実施例を示す。この場合、システム100は、プロキシ2100とともに利用される。プロキシ2100は、全身マネキンの概的形態を有し得る。詳しくは、プロキシ2100としては、Tシャツ、長袖シャツ、ボタン留めシャツ、セータ、ベスト、ジャケットおよび他の種類の物品などの、胴体や腕に着用される様々な物品の設計をするのに使用され得る上位部2102がある。プロキシ2100としては、また、パンツ、ジーンズ、軍服、ショーツ、スカート、水着および他の種々の物品などの、足に着用される様々な物品の設計をするのに使用され得る下位部2104がある。さらには、プロキシ2100は、様々な種類のドレス、スーツ、水着、制服(これらの物品に限定しない)などの、上位部2102と下位部2104の両方に亘る物品の設計をするためにも使用され得ることを理解されたい。
【0071】
概して、上記の実施例において説明した履物を設計するための様々なグラフィックツールが、シャツおよび/またはパンツなどの種々の他の物品を設計することに応用され得る。図22を参照すると、ユーザ200は、上位部2102に仮想像を施すことによって、シャツの設計をすることができる。この場合、ユーザ200は、相互作用デバイス108を使って仮想ストライプ2110をつくり出すことができる。加えて、図23に見られるように、ユーザ200は、カラーパレット2120を使ってプロキシ2100の下位部2104の色を修飾することによって、一着のパンツの設計をすることができる。
【0072】
この実施例は、限定することを意図するものではなく、他の実施例においては、システム100は、様々な型式の物品の設計をする目的で他の型式のプロキシとともに使用され得る。他の例としては、システム100は、帽子を設計する目的で、頭の形に形成されたプロキシとともに使用され得る。さらに他の例においては、システム100は、手袋を設計する目的で、手の形に形成されたプロキシとともに使用され得る。そのうえ、上述したように、システムは、着用される物品の設計に使用されることに必ずしも限定されない。他の実施例においては、システム100は、財布、リュックサック、旅行鞄(これらに限定しない)および他の種類の鞄などの様々な種類の鞄を設計する目的で、鞄の形に形成されたプロキシとともに使用され得る。
【0073】
この実施例においては、プロキシ2100は、何も印がないブランクとなっている。しかし、他の実施例においては、物品の設計をし易くするために、プロキシ2100は、衣料品の様々な特徴部のおよその位置を指し示す様々な型式の印を含み得る。例えば、一実施例においては、プロキシ2100は、該プロキシ2100に関連し得る半袖シャツの境界を示す印を含んでいる。他の実施例においては、プロキシ2100は、該プロキシ2100に関連し得る一着のパンツの境界を示す印を含んでいる。いくつかの場合、追加の印をつけることで、ユーザが衣料品の様々な特徴部にデザインを施すことが可能となり得る。さらに言えば、これらの印は、プロキシ2100上に物理的につけられる場合もあれば、システム100を使って仮想的に適用される場合もあることを理解されたい。
【0074】
これに加え、いくつかの場合、ユーザは、直接プロキシ2100上へ衣料品を配置する。例えば、シャツを設計するために、ユーザは、プロキシ2100の上位部2102上にシャツを配置する。そして、ユーザは、このシャツに、システム100を用いて様々な仮想デザイン要素を施すことができる。同様に、ユーザは、プロキシ2100の下位部2104上に一着のパンツを配置し、このパンツに様々な仮想デザイン要素を施すことができる。
【0075】
拡張現実設計システムは、表示装置を使用することなく、プロキシに仮想像を適用する装置を備え得る。いくつかの場合、仮想像が直接プロキシ上に重ね合わせられる。一実施例においては、実時間内に物品の設計をする目的で、仮想像が直接プロキシ上に投影される。
【0076】
図24は、拡張現実設計システム2400(以後、「システム2400」と呼ぶ)の他の実施例を示す。システム2400は、上述したシステム100と実質的に同じシステムで、構成要素も実質的に同じである。例えば、システム2400は、計算装置2402を備える。計算装置2402は、デスクトップ型コンピュータやラップトップ型コンピュータなどの種々の型式のコンピュータとすることができる。他の実施例においては、計算装置2402は、ディスプレイ、プロセッサ、および1つまたは複数の外部源とデータを送受信可能な装置を有する種々の型式の装置とすることができる。そのような装置の例としては、携帯情報端末(PDA)、携帯電話および他の型式の装置があるが、これらに限定しない。
【0077】
システム2400は、ある種のプロキシ上に直接に仮想像ないし仮想オブジェクトを重ね合わせる装置を備え得る。いくつかの実施例においては、システム2400は、投影装置2404を備える。投影装置2404は、当技術分野で周知の種々の型式のプロジェクタとすることができる。拡張現実システムで使用され得る投影装置の例は、当技術分野で知られている。一実施例においては、投影装置2404は、デジタルプロジェクタである。
【0078】
システム2400は、視覚的情報を捕捉する装置を備え得る。いくつかの実施例においては、システム2400は、撮像装置2406を備える。撮像装置2406は、光学的情報を検出できる種々の装置とすることができる。いくつかの場合、撮像装置2406は、カメラである。いくつかの場合、撮像装置2406は、ある種のビデオカメラである。使用され得る様々な型式のビデオカメラの例としては、電荷結合素子(CCD)カメラ、相補性金属酸化膜型半導体(CMOS)カメラ、他の型式の能動画素センサカメラ並びに他の型式のビデオカメラがある。
【0079】
概して、撮像装置2406は、システム2400の様々な構成要素に対して種々の位置に配置され得る。いくつかの場合、撮像装置2406は、据え置きされている。他の場合、撮像装置2406は、システム2400の他の構成要素に実装されている。一実施例においては、撮像装置2406は、ある態様でユーザに実装されている。例えば、一実施例においては、撮像装置2406は、ユーザが着用する、ある種のヘッドセットに実装されている。しかし、他の場合、撮像装置2406は、ユーザおよび/またはプロキシに対して据え置き位置に配置されている。
【0080】
システム2400は、拡張現実の環境と相互作用する装置を備え得る。いくつかの場合、システム2400は、相互作用デバイス2408を備える。相互作用デバイス2408は、種々の形態を取り得る。いくつかの場合、相互作用デバイス2408は、タッチペンである。例えば、相互作用デバイス2408は、携帯情報端末(PDA)で使われるのと同様のタッチペンであり、このタッチペンは、ディスプレイに圧力を加えるのに使用される実質的にモノリシックな構成要素である。この実施例においては、相互作用デバイス2408は、ペンの概形を有する実質的にモノリシックな構成要素である。しかし、他の場合、相互作用デバイス2408は、種々の他の形状、寸法および組成を有し得る。
【0081】
いくつかの実施例においては、システム2400の1つまたは複数の構成要素は、計算装置2402と通信する。いくつかの場合、撮像装置2406が、計算装置2402と通信する。これに加え、いくつかの場合、投影装置2404が計算装置2402と通信する。撮像装置2406と投影装置2404は、種々の型式の無線および/または有線の接続を介して計算装置2402と通信し得る。いくつかの場合、撮像装置2406および投影装置2404は、ある種のネットワークを利用して計算装置2402と通信することができる。そのようなネットワークの例としては、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、クライアント−サーバ・ネットワーク、ピアツーピア・ネットワークおよび他の型式のネットワークがあるが、これらに限定しない。いくつかの場合、計算装置2402と、撮像デバイス2406および/または投影装置2404と、の間の通信を容易にするために、Bluetoothプロトコルを用いた無線のローカルエリアネットワークまたはパーソナルエリアネットワークが利用される。この構成を有することで、撮像装置2406から集められた像は、計算装置2402で受信され、仮想情報と組み合わせられる。そして、組み合わせられた情報は、投影装置2404に戻され、プロキシ上に投影される。詳しくは、これにより、システム2400は、1つまたは複数の仮想オブジェクトないし仮想像を利用してプロキシの外見を拡張させることが可能となる。
【0082】
この実施例は、単一の撮像装置を使用しているが、他の実施例においては、2つ以上の撮像装置を使用する。さらには、他の実施例においては、システム2400に他の種類のセンサが使用され得ることが理解されよう。追加的な種類のセンサを使用するシステムの例を以下に詳述する。
【0083】
明確にする目的で、この実施例においては、システム2400が単一の投影装置を備えるものとして示されている。単一の投影装置を使用しつつプロキシを回転させることで、仮想像がプロキシの一部として見えるように、プロキシの様々な側面に仮想像を発生させることができる。しかし、ユーザが、据え置きされているプロキシの周りを歩き回って複数の側面を見るような場合には、プロキシの複数の側面に仮想像を同時に映すために、2つ以上の投影装置が必要なこともある。従って、他の実施例においては、システム2400は、2つ以上の投影装置を備え得る。
【0084】
この実施例においては、計算装置2402はスタンドアロンのコンピュータとして示されているが、他の実施例においては、計算装置2402は、システム2400の他の構成要素と統合されている。例えば、他の実施例においては、計算装置2402は、投影装置2404と統合されている。詳しくは、投影装置2404は、撮像装置2406が受信した光学的情報を処理する装置と、プロキシ上へ直接投影されるべき仮想像を発生させる装置とを備え得る。さらに他の実施例においては、計算装置2402は、システム2400の種々の他の構成要素と統合されている。他の実施例においては、システム2400の携帯性を良くするために、計算装置2402は、ユーザが着用し或いは持ち運ぶことができる携帯機器である。さらには、いくつかの実施例においては、計算装置2402は、システム2400の様々な構成要素の近くに配置されなくてもよい。例えば、他の実施例においては、撮像装置2406と投影装置2404は、上述したネットワークを利用して計算装置2402と遠隔通信する。
【0085】
システム2400は、プロプライアタ2410と通信する装置を備え得る。いくつかの場合、計算装置2402とプロプライアタ2410とはネットワーク2412を利用して通信することができる。概して、ネットワーク2412は、上述したネットワークなどの種々の型式のネットワークとすることができる。
【0086】
図25図29は、システム2400の一実施例における操作を示すことを意図する。図25を参照すると、システム2400は、物品の設計をする目的で、プロキシ2510とともに使用され得る。この場合、プロキシ2510は、靴の形の幾何学構造を有し、履物を設計するのに使用される。しかし、他の実施例においては、システム2400は、種々の物品の設計をする目的で、種々の他の型式のプロキシとともに使用される。システム2400を利用して設計され得る他の物品の例としては、上述した種々の物品並びに他の種類の物品がある。
【0087】
この実施例においては、プロキシ2510は、作業台2560の上に配置されている。しかし、他の場合、プロキシ2510は、ある種の台の上に配置されている。これに加え、撮像装置2406と投影装置2404は、第1の三脚2450と第2の三脚2452にそれぞれ載せられている。しかし、他の場合、撮像装置2406および/または投影装置2404は、他の様式で設置されている。
【0088】
図25を参照すると、投影装置2404は、プロキシ2510上に像を投影するように構成され得る。この時点では、ユーザ2500が何の仮想像もつくっていないので、投影装置2404は、プロキシ2510上に像を投影していない。しかし、ユーザ2500がプロキシ2510と相互作用デバイス2408とを接触させているときは、図26に見られるように、システム2400は、仮想ライン2602を発生させるように構成され得る。詳しくは、撮像装置2406が、プロキシ2510の位置および相互作用デバイス2408の位置を追跡するものとして使用される。相互作用デバイス2408とプロキシ2510とが接触すると、システム2400は、自動的に接触点に印をつける。この印は、投影装置2404によって直接プロキシ2510上に投影される。ユーザ2500がプロキシ2510の一部分の端から端まで相互作用デバイス2408をドラッグすると、ほぼ瞬時にラインが発生し、投影装置2404を使ってプロキシ2510上に投影される。この構成を有することで、プロキシ2510上にラインが物理的に引かれていなくても、ユーザ2500にはプロキシ2510が修飾されて見える。換言すると、仮想ライン2602がプロキシ2510の一部として見えるようにプロキシ2510上に投影されている。
【0089】
今度は図27に示されるように、ユーザ2500は、仮想ライン2602を引き続けるために、プロキシ2510を回転させることもある。プロキシ2510が回転されると、システム2400は、仮想ライン2602の配向を修正して、プロキシ2510上に永久的に引かれたラインとして見えるようにする。このような仮想ライン2602の再配向は、プロキシ2510の位置および配向を追跡し、プロキシ2510の位置および配向の変化に対処して仮想ライン2602が更新される毎に算出し直すことによって、実現され得る。
【0090】
システム2400は、ユーザが1つまたは複数の設計ツールメニューと相互作用することを可能にする装置を備え得る。いくつかの場合、システム2400は、ユーザが見ることのできるメニューを備える。一実施例においては、システム2400は、投影装置2404を使って画面上に一つまたは複数のメニューを投影する。
【0091】
図28および図29に示されるように、システム2400は、ツールパレット2802とカラーパレット2804を備え得る。この場合、ツールパレット2802とカラーパレット2804は、仮想パレットである。さらには、ツールパレット2802とカラーパレット2804は、ユーザ2500に見えるように、画面2810上に投影され得る。
【0092】
概して、システム2400は、床、壁、テーブルおよび他の種類の画面(これらに限定しない)などの種々の型式の画面上に仮想メニューを投影するように構成されている。さらにいくつかの場合、設計システムは、投影されたメニューの像を受けるように特別に設計された画面を有するように構成されていてもよい。さらに他の場合、メニューは、直接プロキシの一部分に投影されてもよい。この実施例においては、画面2810は、作業台2560の壁部分である。
【0093】
図29に示されるように、ユーザ2500は、カラーパレット2804を使って、プロキシ2510の色を変えることができる。詳しくは、ユーザ2500は、カラーパレット2804の置かれている画面2810上の位置まで相互作用デバイス2408を動かす。システム2400は、相互作用デバイス2408の位置を検出し、相互作用デバイス2408がカラーパレット2804上の色2902に対応する部分を選択していることを確定し得る。
【0094】
拡張現実設計システムは、据え置きされている表示装置上に現実世界の像と仮想像を重ね合わせて表示する装置を備え得る。例えば、一実施例においては、仮想像と現実世界の像とが組み合わされて、コンピュータのモニタないしスクリーン上に表示される。
【0095】
図30図32は、拡張現実設計システム3000(単にシステム3000とも呼ぶ)の一実施例を示す。システム3000は、1つまたは複数の構成要素を備え得る。一実施例においては、システム3000は、計算装置3002を備える。計算装置3002は、デスクトップ型コンピュータやラップトップ型コンピュータなどの種々の型式のコンピュータとすることができる。他の実施例においては、計算装置3002は、ディスプレイ、プロセッサ、および1つまたは複数の外部源とデータを送受信可能な装置を有する種々の型式の装置とすることができる。そのような装置の例としては、携帯情報端末(PDA)、携帯電話および他の型式の装置があるが、これらに限定しない。
【0096】
システム3000は、ユーザに拡張現実の像を表示する装置を備え得る。いくつかの実施例においては、システム3000は、表示装置3004を備える。表示装置3004は、コンピュータのスクリーンないしモニタ、ヘッドマウント(頭部装着)ユニット、投影式ディスプレイ、および他の種類のディスプレイなどの種々の型式のディスプレイとすることができるが、これらに限定しない。この実施例においては、表示装置3004は、計算装置3002に関連するコンピュータのモニタである。
【0097】
システム3000は、視覚的情報を捕捉する装置を含み得る。いくつかの実施例においては、システム3000は、撮像装置3006を備える。撮像装置3006は、光学的情報を検出できる種々の装置とすることができる。いくつかの場合、撮像装置3006は、カメラである。いくつかの場合、撮像装置3006は、ある種のビデオカメラである。使用され得る様々な型式のビデオカメラの例としては、電荷結合素子(CCD)カメラ、相補性金属酸化膜半導体(CMOS)カメラ、他の型式の能動画素センサカメラ並びに他の型式のビデオカメラがある。
【0098】
概して、撮像装置3006は、システム3000の様々な構成要素に対して種々の位置に配置され得る。いくつかの場合、撮像装置3006は、据え置きされている。他の場合、撮像装置3006は、システム3000の他の構成要素に実装されている。一実施例においては、撮像装置3006は、ある態様でユーザに実装されている。例えば、一実施例においては、ユーザが着用するある種のヘッドセットに実装されている。しかし、他の場合、撮像装置3006は、ユーザおよび/またはプロキシに対して据え置きされている。例えば、この実施例においては、撮像装置3006は、三脚3050(図31参照)に載せられている。さらに他の実施例においては、撮像装置3006は、計算装置3002の一部分に実装されているウェブカメラの型式のカメラである。
【0099】
システム3000は、拡張現実の環境と相互作用する装置を備え得る。いくつかの場合、システム3000は、相互作用デバイス3008を備える。相互作用デバイス3008は、種々の形態を取り得る。いくつかの場合、相互作用デバイス3008は、タッチペンである。例えば、相互作用デバイス3008は、携帯情報端末(PDA)で使用されるものと同様のタッチペンであり、このタッチペンは、ディスプレイに圧力を加えるのに使用される実質的にモノリシックな構成要素である。この実施例においては、相互作用デバイス3008は、ペンとほぼ同じ形状の実質的にモノリシックな構成要素である。しかし、他の場合、相互作用デバイス3008は、種々の他の形状、寸法および組成を有する。
【0100】
いくつかの実施例においては、システム3000の1つまたは複数の構成要素は、計算装置3002と通信する。いくつかの場合、撮像装置3006は、計算装置3002と通信する。加えて、いくつかの場合、表示装置3004は、計算装置3002と通信する。撮像装置3006と表示装置3004は、種々の型式の無線および/または有線の接続を介して計算装置3002と通信し得る。いくつかの場合、撮像装置3006と表示装置3004は、ある種のネットワークを利用して計算装置3002と通信する。そのようなネットワークの例としては、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、クライアント−サーバ・ネットワーク、ピアツーピア・ネットワークおよび他の型式のネットワークがあるが、これらに限定しない。いくつかの場合、計算装置3002と、撮像装置3006および/または表示装置3004との間の通信を容易にするために、Bluetoothプロトコルを利用する無線のローカルエリアネットワークまたはパーソナルエリアネットワークが使用される。この構成を有することで、撮像装置3006から集められた像は、計算装置3002で受信され、仮想の情報と組み合わせられる。そして、組み合わせられた情報は、表示装置3004に戻され、ユーザに向けて表示される。詳しくは、これにより、システム3000が1つまたは複数の仮想オブジェクトないし仮想像を利用してユーザの見え方を拡張させることが可能となる。
【0101】
この実施例においては、単一の撮像装置を利用しているが、他の実施例においては、2つ以上の撮像装置を備える。さらには、他の実施例においては、種々の他の種類のセンサがシステム3000に使用され得ることが理解されよう。追加の種類のセンサを使用するシステムの一例について、以下に詳述する。
【0102】
この実施例においては、計算装置3002は、スタンドアロンのコンピュータとして示されているが、他の実施例においては、計算装置3002は、システム3000の他の構成要素と統合されている。例えば、他の実施例においては、計算装置3002は、表示装置3004と統合されている。詳しくは、表示装置3004は、撮像装置3006で受けた光学的情報を処理する装置と、該表示装置3004に表示されるべき仮想像を発生させる装置とを備える。さらに他の実施例においては、計算装置3002は、システム3000の種々の他の構成要素と統合されている。他の例においては、システム3000の携帯性を良くするために、計算装置3002は、ユーザが着用し或いは持ち運ぶことができる携帯機器とされ得る。さらには、いくつかの実施例においては、計算装置3002は、システム3000の様々な構成要素の近くに配置されていなくてもよい。例えば、他の実施例においては、撮像装置3006と表示装置3004は、上述したネットワークを利用して計算装置3002と遠隔通信する。
【0103】
図31および図32を参照すると、ユーザ3100は、システム3000をプロキシ3110とともに使って、物品の設計をすることができる。システム3000は、前者の実施例に関して説明した設計ツールおよびメニューと実質的に同じ設計ツールおよびメニューを提供し得ることが理解されよう。さらには、この実施例においては、ユーザ3100は、表示装置3004上で現実世界の像と仮想像を見ることができる。ユーザ3100が相互作用デバイス3008を使ってプロキシ3110に様々な仮想デザイン要素を施すと、表示装置3004上に見えているプロキシ3110の外見が修飾され得る。
【0104】
上述した実施例においては、プロキシおよび相互作用デバイスの動きおよび位置を追跡する目的で、光学的認識ソフトウェアを利用するシステムを備えているが、他の実施例においては、1つまたは複数の構成要素が追加のセンサを有するように構成されている。いくつかの場合、設計システムは、相互作用デバイスとの相互作用を検出するように構成されたセンサないし他のデバイスを有するプロキシを備える。同様に、いくつかの場合、設計システムは、プロキシとの相互作用を検出する1つまたは複数のセンサを有する相互作用デバイスを備える。さらに、いくつかの場合、プロキシ内のセンサおよび/または他の装置を利用して、該プロキシの位置および/または配向を検出する。同様に、相互作用デバイス内のセンサを利用して、該相互作用デバイスの位置および/または配向を検出する。そして、計算装置が、1つまたは複数のセンサから情報を受けて、ユーザが相互作用デバイスで指し示しているプロキシの位置を確定する。センサを使うことにより、設計システムは、プロキシに1つまたは複数の仮想デザイン要素を施す目的で、プロキシと相互作用デバイスとの相対的な位置および配向を精密に算出することができる。
【0105】
本発明の様々な実施例について説明したが、この説明は例示するためのものであって、限定するためのものではない。本発明の範囲を逸脱することなく、さらに多くの実施例や適用例があり得ることが当業者に明らかであろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびこれの均等物に照らすこと以外によっては制限されない。添付の特許請求の範囲内において、様々な変更や変形がなされ得る。
図1
図2
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図5
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