(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1〜請求項7のうちのいずれか一項に記載されるガス化炉と、前記生成ガスを燃焼させることにより生成される燃焼ガスの運動エネルギーを用いて第1回転動力を生成するタービンと、
前記タービンから排気される排ガスの熱を用いて蒸気を生成する排熱回収ボイラと、
前記蒸気の運動エネルギーを用いて第2回転動力を生成する蒸気タービンと、
前記第1回転動力と前記第2回転動力とを用いて発電する発電機と
を備える石炭ガス化複合発電設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その石炭ガス化炉は、さらに、補助圧縮機を備えている。その補助圧縮機は、その圧縮機と同様にして、空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、その圧縮機が圧縮空気を生成しないときに、その圧縮機に代わって、その空圧機械に圧縮空気を供給する。すなわち、その石炭ガス化炉は、その圧縮機が冗長化され、その空圧機械に圧縮空気を供給することがより確実に継続されるように形成されている。その石炭ガス化炉は、さらに、その圧縮機またはその補助圧縮機を備えることにより、大規模化する。
【0006】
本発明の課題は、設備の規模をコンパクト化するガス化炉およびガス化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるガス化炉は、
空気を圧縮することにより圧縮空気を生成し、前記圧縮空気からガス化炉用ガスと空圧機械用ガスとを生成する空気分離装置と、そのガス化炉用ガスを用いて炭素含有固体物から生成ガスを生成するガス化炉本体と、その空圧機械用ガスを用いてそのガス化炉本体を機能させる空圧機械とを備え
、前記空気分離装置が空気分離装置本体を有し、前記空気分離装置本体は、空気を圧縮することにより圧縮空気を生成する原料空気圧縮機と、前記原料空気圧縮機で生成された前記圧縮空気を冷却して冷凍機出口空気を生成する冷凍機と、前記冷凍機出口空気から水分と二酸化炭素とを除去する吸着触媒を有したMS吸着器と、を備え、前記空圧機械用ガスは、前記原料空気圧縮機と前記冷凍機との間から分岐して生成される。
【0008】
このようなガス化炉は、ガス化炉本体に利用されるガス化炉用ガスを生成する空気分離装置により生成される空圧機械用ガスを用いて空圧機械を動作させることにより、その空気分離装置と別個に設けられる制御用空気圧縮機がその空圧機械を動作させるガスを生成する能力を低減することができ、または、その制御用空気圧縮機を省略することができる。その結果、このようなガス化炉は、コンパクトに形成されることができ、容易に作製されることができる。
【0009】
そのガス化炉本体は、そのガス化炉用ガスを用いてその炭素含有固体物を搬送する。
【0010】
このようなガス化炉は、炭素含有固体物を搬送する搬送用ガスを生成する空気分離装置が、空圧機械を動作させる空圧機械用ガスを生成することに利用される。このため、このようなガス化炉は、その空気分離装置と別個に設けられる制御用空気圧縮機が空圧機械を動作させるガスを生成する能力を低減することができ、または、その制御用空気圧縮機を省略することができる。その結果、このようなガス化炉は、コンパクトに形成されることができ、容易に作製されることができる。
【0011】
本発明によるガス化炉は、その空圧機械用ガスを除湿する除湿機をさらに備えている。このとき、その空圧機械は、その除湿機により除湿されたガスを用いてそのガス化炉本体を機能させる。
【0012】
このようなガス化炉は、空気分離装置により生成される空圧機械用ガスの露点が所定の露点より高いときでも、その所定の露点より低い露点を有するガスを空圧機械に供給することができ、空圧機械を適切に動作させることができ、ガス化炉本体を適切に機能させることができる。
【0013】
その空気分離装置は、その空気から液体窒素とその空圧機械用ガスとそのガス化炉用ガスとを生成する空気分離装置本体と、その液体窒素を貯留する液体窒素タンクと、その液体窒素タンクに貯留された液体窒素を蒸発させることにより気体窒素を生成する液体窒素蒸発器とを備えている。このとき、その空圧機械は、その気体窒素をさらに用いてそのガス化炉本体を機能させる。
【0014】
このようなガス化炉は、空気分離装置が空圧機械用ガスを生成しないときに、液体窒素タンクに貯留された液体窒素が蒸発した気体窒素を用いて空圧機械の動作を継続させることができ、ガス化炉本体の機能を継続させることができる。
【0015】
本発明によるガス化炉は、空気を圧縮することにより圧縮空気を生成する制御用空気圧縮機をさらに備えている。このとき、その空圧機械は、その圧縮空気をさらに用いてそのガス化炉本体を機能させる。
【0016】
このようなガス化炉は、空気分離装置が空圧機械用ガスを生成しない場合でも、制御用空気圧縮機により生成された圧縮空気を用いて空圧機械の動作を継続させることができ、ガス化炉本体の動作を継続させることができる。
【0017】
そのガス化炉本体は、そのガス化炉用ガスを用いてその炭素含有固体物から第1生成ガスを生成する第1ガス化炉本体と、そのガス化炉用ガスを用いてその炭素含有固体物から第2生成ガスを生成する第2ガス化炉本体とを備えている。その空圧機械は、その空圧機械用ガスを用いてその第1ガス化炉本体を機能させる第1空圧機械と、その空圧機械用ガスを用いてその第2ガス化炉本体を機能させる第2空圧機械とを備えている。
【0018】
このようなガス化炉は、生成ガスを生成するガス化炉本体を冗長化することにより、生成ガスの生成を継続することができる。
【0019】
その空気分離装置は、その空気から第1ガス化炉用ガスと第1空圧機械用ガスとを生成する第1空気分離装置と、その空気から第2ガス化炉用ガスと第2空圧機械用ガスとを生成する第2空気分離装置とを備えている。このとき、その第1ガス化炉本体は、その第1ガス化炉用ガスを用いてその第1生成ガスを生成する。その第2ガス化炉本体は、その第2ガス化炉用ガスを用いてその第2生成ガスを生成する。その空圧機械用ガスは、その第1空圧機械用ガスまたはその第2空圧機械用ガスを含有している。
【0020】
このようなガス化炉は、空圧機械用ガスを生成する空気分離装置を冗長化することにより、空圧機械の動作を継続させることができ、ガス化炉本体の動作を継続させることができる。
【0021】
本発明による石炭ガス化複合発電設備は、本発明によるガス化炉とガスタービンと排熱回収ボイラと蒸気タービンと発電機とを備えている。ガスタービンは、その生成ガスを燃焼させることにより生成される燃焼ガスの運動エネルギーを用いて第1回転動力を生成する。排熱回収ボイラは、そのガスタービンから排気される排ガスの熱を用いて蒸気を生成する。蒸気タービンは、その蒸気の運動エネルギーを用いて第2回転動力を生成する。発電機は、その第1回転動力とその第2回転動力とを用いて発電する。
【0022】
このような石炭ガス化複合発電設備は、そのガス化炉がよりコンパクトに形成されることにより、よりコンパクトに形成されることができる。
【0023】
本発明によるガス化方法は、空気分離装置が空気からガス化炉用ガスと空圧機械用ガスとを生成すること、ガス化炉本体がそのガス化炉用ガスを用いて炭素含有固体物から生成ガスを生成すること、その空圧機械用ガスを用いてそのガス化炉本体を機能させる空圧機械を動作させることとを備え
、前記ガス化炉用ガスの生成は、前記圧縮空気を冷却して冷凍機出口空気を生成すること、および吸着触媒により前記冷凍機出口空気から水分および二酸化炭素を除去することを備え、前記空圧機械用ガスの生成は、前記圧縮空気を冷凍機で冷却する前に前記圧縮空気の一部を分岐することを含む。
【0024】
その空圧機械としては、炭素含有固体物から生成ガスを生成するガス化炉本体が備える流路を開閉するバルブが例示される。このようなガス化方法を実行するガス化炉は、ガス化炉用ガスとともに生成される空圧機械用ガスを用いてガス化炉本体を機能させることにより、ガス化炉用ガスを生成する空気分離装置と別個に設けられる制御用空気圧縮機が、ガス化炉本体を機能させるガスを生成する能力を低減することができ、または、その制御用空気圧縮機を省略することができる。その結果、そのガス化炉は、よりコンパクトに形成されることができ、より容易に作製されることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるガス化炉およびガス化方法は、ガス化炉用ガスを生成する空気分離装置により生成される空圧機械用ガスを用いて空圧機械を動作させることにより、設備の規模をよりコンパクトに形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照して、ガス化炉の実施の形態が以下に記載される。その石炭ガス化炉1は、
図1に示されているように、空気分離装置2とガス化炉本体3と制御用空気圧縮機5と空気溜め6と除湿機7と空圧機械8とを備えている。
【0028】
空気分離装置2は、空気分離装置本体10と液体窒素タンク11と液体窒素蒸発器12とを備えている。空気分離装置本体10は、原料空気圧縮機14と冷凍機15とMS吸着器16と熱交換機17と精留塔18と圧縮機19とを備えている。原料空気圧縮機14は、空気を圧縮することにより圧縮空気を生成する。冷凍機15は、原料空気圧縮機14により生成された圧縮空気を冷却することにより、冷凍機出口空気を生成する。
【0029】
MS吸着器16は、吸着触媒を備えている。MS吸着器16は、その吸着触媒に水分と二酸化炭素とを吸着させることにより、冷凍機15により生成された冷凍機出口空気から水分と二酸化炭素とを除去し、吸着器出口空気を生成する。MS吸着器16は、さらに、精留塔18により生成された製品窒素を用いて、その吸着触媒に吸着された水分と二酸化炭素とを脱離させることにより、水分と二酸化炭素とを含有する廃窒素を排気する。
【0030】
熱交換機17は、MS吸着器16により生成された吸着器出口空気を冷却することにより、冷却後圧縮空気を生成する。精留塔18は、熱交換機17により生成された冷却後圧縮空気を精留することにより、製品窒素と製品酸素と液体窒素とを生成する。圧縮機19は、精留塔18により生成された製品窒素を圧縮することにより、ガス化炉用ガスを生成する。また、原料空気圧縮機14と冷凍機15の間から分岐して空圧機械用ガスを生成する。すなわち、空気分離装置本体10は、空気から液体窒素とガス化炉用ガスと空圧機械用ガスとを生成する。
【0031】
液体窒素タンク11は、精留塔18により生成された液体窒素を貯留する。液体窒素蒸発器12は、液体窒素タンク11により貯留されている液体窒素を蒸発させることにより、気体窒素を生成する。その気体窒素の圧力は、所定の圧力より大きい。
【0032】
ガス化炉本体3は、容器と微粉炭供給流路とガス化剤供給流路と生成ガス搬出流路とチャー供給流路とを備えている。その容器は、環境と隔離された雰囲気を形成する。その微粉炭供給流路とガス化剤供給流路と生成ガス搬出流路とチャー供給流路とは、その雰囲気に接続されている。その微粉炭供給流路は、空気分離装置2により生成されるガス化炉用ガスを用いて、石炭から形成される微粉炭をその雰囲気に供給する。そのチャー供給流路は、空気分離装置2により生成されるガス化炉用ガスを用いて、ガス化炉本体3により生成された生成ガスから分離されたチャーをその雰囲気に供給する。そのガス化剤供給流路は、酸素を含有するガス化剤をその雰囲気に供給する。ガス化炉本体3は、さらに、その微粉炭とチャーとガス化剤とがその雰囲気に供給されているときに、そのガス化剤を用いてその微粉炭とチャーとをその雰囲気で燃焼させることにより生成ガスを生成する。ガス化炉本体3は、さらに、その生成ガス搬出流路を介して、その雰囲気で生成された生成ガスを外部に排出する。
【0033】
制御用空気圧縮機5は、空気を圧縮することにより圧縮空気を生成する。その圧縮空気の圧力は、所定の圧力より大きい。空気溜め6は、制御用空気圧縮機5により生成された圧縮空気または空気分離装置2により生成された空圧機械用ガスを貯留する。除湿機7は、空気溜め6により貯留された気体を除湿することにより、制御用ガスを生成する。その制御用ガスの露点は、所定の露点より低い。その制御用ガスの圧力は、所定の圧力より大きい。
【0034】
空圧機械8は、複数の装置から形成され、除湿機7により生成された制御用ガスを用いてガス化炉本体3を機能させる。その装置としては、バルブ、清掃装置が例示される。そのバルブは、ガス化炉本体3が備える流路に設けられている。その流路としては、その微粉炭供給流路とガス化剤供給流路と生成ガス搬出流路とチャー供給流路とが例示される。そのバルブは、除湿機7により除湿された制御用ガスを用いてその流路を開閉する。その清掃装置は、除湿機7により生成された制御用ガスを汚れ・埃に噴射することによりその汚れ・埃を吹き飛ばし、ガス化炉本体3が備える部品を清掃する。空圧機械8は、所定の気体が供給されているときに、適切に動作する。その所定の気体は、露点が所定の露点より低く、かつ、圧力が所定の圧力より高く、かつ、温度が所定の温度範囲に含まれている。
【0035】
ガス化方法の実施の形態は、石炭ガス化炉1により実行され、通常動作と予備動作とを備えている。
【0036】
その通常動作では、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を生成しないときに実行される。空気分離装置2は、ガス化炉用ガスと空圧機械用ガスとを生成する。ガス化炉本体3は、空気分離装置2により生成されるガス化炉用ガスを用いて、ガス化炉本体3により形成される雰囲気に微粉炭とチャーとを搬入する。ガス化炉本体3は、さらに、外部から供給されるガス化剤を用いてその微粉炭とチャーとを燃焼させることにより、生成ガスを生成する。
【0037】
空気溜め6は、空気分離装置2により生成された空圧機械用ガスを貯留する。除湿機7は、空気溜め6に貯留された圧縮空気を除湿することにより、制御用ガスを生成する。空圧機械8は、除湿機7により生成された制御用ガスを用いて、ガス化炉本体3を機能させる。すなわち、空圧機械8に含まれるバルブは、その制御用ガスを用いて、その微粉炭供給流路とガス化剤供給流路と生成ガス搬出流路とチャー供給流路とをそれぞれ開閉する。空圧機械8に含まれる清掃装置は、除湿機7により生成された制御用ガスを汚れ・埃に噴射することによりその汚れ・埃を吹き飛ばし、石炭ガス化炉本体3が備える部品を清掃する。
【0038】
このようなガス化方法によれば、石炭ガス化炉1は、制御用空気圧縮機5が冗長化され、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を生成しないときにも、空気分離装置2により生成された空圧機械用ガスを用いて、空気溜め6と除湿機7とが制御用ガスを生成することができる。石炭ガス化炉1は、制御用空気圧縮機5が冗長化されていることにより、空圧機械8の動作を確実に継続させることができ、ガス化炉本体3の動作を確実に継続させることができる。
【0039】
その予備動作では、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を生成するときに実行される。空気分離装置2はその通常動作のときと同様にして、ガス化炉用ガスと空圧機械用ガスとを生成し、空圧空気用ガスは空気溜め6に貯蔵される。ガス化炉本体3は、その通常動作のときと同様にして、空気分離装置2により生成されるガス化炉用ガスを用いて、ガス化炉本体3により形成される雰囲気に微粉炭とチャーとを搬入する。ガス化炉本体3は、さらに、外部から供給されるガス化剤を用いてその微粉炭とチャーとを燃焼させることにより、生成ガスを生成する。
【0040】
制御用空気圧縮機5は、空気を圧縮することにより、圧縮空気を生成する。空気溜め6は、その圧縮空気を貯留する。除湿機7は、空気溜め6に貯留された圧縮空気を除湿することにより、制御用ガスを生成する。空圧機械8は、除湿機7により生成された制御用ガスを用いて、ガス化炉本体3を機能させる。すなわち、空圧機械8に含まれるバルブは、その制御用ガスを用いて、その微粉炭供給流路とガス化剤供給流路と生成ガス搬出流路とチャー供給流路とをそれぞれ開閉する。空圧機械8に含まれる清掃装置は、除湿機7により生成された制御用ガスを汚れ・埃に噴射することによりその汚れ・埃を吹き飛ばし、石炭ガス化炉本体3が備える部品を清掃する。
【0041】
石炭ガス化炉1は、さらに、空気溜め6を備えていることにより、空気溜め6に気体が供給されることが停止した場合でも、所定の圧力より高い圧力を有する気体が空気溜め6に貯留されていれば、除湿機7が制御用ガスを一時的に生成することができ、空圧機械8をより確実に常時に動作させることができる。
【0042】
石炭ガス化炉1は、さらに、除湿機7を備えていることにより、空気溜め6に貯留される気体の露点が所定の露点より高い場合でも、その所定の露点より低い露点を有する制御用ガスを空圧機械8に供給することができ、空圧機械8を適切に動作させることができる。
【0043】
石炭ガス化炉の比較例は、石炭ガス化炉1が制御用空気圧縮機5と別個の補助空気圧縮機をさらに備えている。その補助空気圧縮機は、制御用空気圧縮機5と同様にして、空気を圧縮することにより圧縮空気を生成する。このとき、空気溜め6は、制御用空気圧縮機5により生成された圧縮空気またはその補助空気圧縮機により生成された圧縮空気を貯留する。除湿機7は、空気溜め6に貯留された圧縮空気から制御用ガスを生成する。空圧機械8は、除湿機7により生成された制御用ガスを用いてガス化炉本体3を機能させる。
【0044】
その比較例の石炭ガス化炉が実行する動作は、通常動作と予備動作とを備えている。その通常動作では、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を生成しないときに実行される。その比較例の石炭ガス化炉は、石炭ガス化炉1の通常動作と同様にして、空気分離装置2は、ガス化炉用ガスを生成する。ガス化炉本体3は、空気分離装置2により生成されるガス化炉用ガスを用いて、ガス化炉本体3により形成される雰囲気に微粉炭とチャーとを搬入し、生成ガスを生成する。その補助空気圧縮機は、空気を圧縮することにより、圧縮空気を生成する。空気溜め6は、その補助空気圧縮機により生成された圧縮空気を貯留する。除湿機7は、空気溜め6に貯留された圧縮空気から制御用ガスを生成する。空圧機械8は、除湿機7により生成された制御用ガスを用いて、ガス化炉本体3を機能させる。
【0045】
その比較例の石炭ガス化炉は、制御用空気圧縮機5が冗長化され、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を生成していないときに、その補助空気圧縮機により生成された圧縮空気を用いて空圧機械8を動作させることができる。このため、その比較例の石炭ガス化炉は、既述の実施の形態における石炭ガス化炉1と同様にして、空圧機械8をより確実に常時に動作させることができ、ガス化炉本体3をより確実に常時に機能させることができる。
【0046】
石炭ガス化炉1は、その補助空気圧縮機を備えていないことにより、このような比較例の石炭ガス化炉に比較して、その補助空気圧縮機を備えていない分だけ、よりコンパクトに形成されることができる。
【0047】
その予備動作では、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を生成するときに実行される。空気分離装置2はガス化炉用ガスを生成する。ガス化炉本体3は、空気分離装置2により生成されるガス化炉用ガスを用いて、ガス化炉本体3により形成される雰囲気に微粉炭とチャーとを搬入し、生成ガスを生成する。制御用空気圧縮機5は、空気から圧縮空気を生成する。空気溜め6は、制御用空気圧縮機5により生成された圧縮空気を貯留する。除湿機7は、空気溜め6に貯留された圧縮空気から制御用ガスを生成する。空圧機械8は、除湿機7により生成された制御用ガスを用いて、ガス化炉本体3を機能させる。
【0048】
石炭ガス化炉1は、石炭ガス化複合発電設備に適用される。その石炭ガス化複合発電設備は、その石炭ガス化複合発電設備は、石炭ガス化炉1とガスタービン設備と排熱回収ボイラと蒸気タービン設備と発電機とを備えている。そのガスタービン設備は、石炭ガス化炉1により生成された生成ガスを燃焼させることにより高温・高圧の燃焼ガスを生成し、回転動力を生成する。その排熱回収ボイラは、燃焼ガスから熱エネルギーを回収し、高圧の蒸気を生成する。その蒸気タービン設備は、蒸気を用いて回転動力を生成する。その発電機は、そのガスタービン設備と蒸気タービン設備とにより生成された回転動力を電力に変換する。このような石炭ガス化複合発電設備は、石炭ガス化炉1がコンパクトに形成されることにより、コンパクトに形成されることができる。
【0049】
図2は、石炭ガス化炉の実施の他の形態を示している。その石炭ガス化炉21は、既述の実施の形態における空圧機械用ガスに加えて、液体窒素蒸発器12により生成される気体窒素も空圧機械用ガスとして利用する。
【0050】
空気溜め6は、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を生成しているときに、その圧縮空気を貯留する。除湿機7は、空気溜め6に貯留された気体を除湿することにより制御用ガスを生成する。空圧機械8は、除湿機7により生成された制御用ガスを用いて動作する。
【0051】
空気溜め6は、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を生成していないときに、液体窒素蒸発器12により生成される気体窒素を貯留する。除湿機7は、空気溜め6に貯留された気体を除湿することにより制御用ガスを生成する。空圧機械8は、除湿機7により生成された制御用ガスを用いて動作する。
【0052】
このような石炭ガス化炉21は、既述の実施の形態における石炭ガス化炉1と同様にして、既述の比較例の石炭ガス化炉に比較して、よりコンパクトに形成されることができる。石炭ガス化炉21は、さらに、制御用空気圧縮機5が冗長化され、空圧機械8を常時に動作させることができ、ガス化炉本体3を常時に機能させることができる。液体窒素蒸発器12は、さらに、空気分離装置本体10が動作していないときにも、液体窒素タンク11により液体窒素が貯留されていれば、気体窒素を一時的に生成することができる。このため、石炭ガス化炉21は、制御用空気圧縮機5と空気分離装置本体10とが動作していないときにも、空圧機械8をより確実に常時に動作させることができ、ガス化炉本体3をより確実に常時に機能させることができる。
【0053】
なお、その空圧機械用ガスは、空気分離装置2により生成される他のガスにさらに置換されることができる。そのガスは、所定の圧力より大きい圧力を有し、所定の温度より低い。そのガスとしては、冷凍機15により生成される冷凍機出口空気、MS吸着器16により生成される吸着器出口空気、熱交換機17により生成される冷却後圧縮空気、精留塔18により生成される製品窒素が例示される。このようなガスが空圧機械用ガスに適用された石炭ガス化炉も、既述の実施の形態における石炭ガス化炉1と同様にして、空圧機械8を常時に動作させることができ、ガス化炉本体3を常時に機能させることができ、コンパクトに形成されることができる。
【0054】
図3は、石炭ガス化炉の実施のさらに他の形態を示している。その石炭ガス化炉41は、既述の実施の形態における石炭ガス化炉1の制御用空気圧縮機5が省略されている。空圧機械8は、空気分離装置2の原料空気圧縮機14と冷凍機15の間から分岐して空圧機械用ガスを生成しているときに、その空圧機械用ガスを用いて動作する。空圧機械8は、空気分離装置2の圧縮機19が空圧機械用ガスを生成していないときに、液体窒素蒸発器12により生成される気体窒素を用いて動作する。
【0055】
石炭ガス化炉41は、制御用空気圧縮機5が省略されることにより、既述の実施の形態における石炭ガス化炉1に比較して、よりコンパクトに形成されることができる。
【0056】
空圧機械8は、さらに、原料空気圧縮機14と冷凍機15の間から分岐して生成される空圧機械用ガスを用いることにより、または、液体窒素蒸発器12により生成される気体窒素を用いることにより、常時に動作することができ、ガス化炉本体3を常時に機能させることができる。液体窒素蒸発器12は、空気分離装置本体10が動作していないときにも、液体窒素タンク11により液体窒素が貯留されていれば、気体窒素を一時的に生成することができる。このため、石炭ガス化炉21は、空気分離装置本体10が動作していないときにも、空圧機械8を常時に動作させることができ、ガス化炉本体3を常時に機能させることができる。
【0057】
なお、その空圧機械用ガスは、空気分離装置2により生成される他のガスにさらに置換されることができる。そのガスの温度は、所定の圧力より低く、そのガスの圧力は、所定の圧力より大きく、そのガスの露点は、所定の露点より低い。そのガスとしては、冷凍機15により生成される冷凍機出口空気、MS吸着器16により生成される吸着器出口空気、熱交換機17により生成される冷却後圧縮空気、精留塔18により生成される製品窒素が例示される。このようなガスが空圧機械用ガスに適用された石炭ガス化炉も、既述の実施の形態における石炭ガス化炉41と同様にして、コンパクトに形成されることができ、空圧機械8を常時に動作させることができ、ガス化炉本体3を常時に機能させることができる。
【0058】
図4は、石炭ガス化炉の実施のさらに他の形態を示している。その石炭ガス化炉51は、既述の実施の形態における石炭ガス化炉1が空気分離装置52をガス化炉本体53と空圧機械54とを備えている。
【0059】
空気分離装置52は、空気分離装置2と同様にして、空気分離装置本体55と液体窒素タンク56と液体窒素蒸発器57とを備えている。空気分離装置本体55は、原料空気圧縮機61と冷凍機62とMS吸着器63と熱交換機64と精留塔65と圧縮機66とを備えている。原料空気圧縮機61は、空気を圧縮することにより圧縮空気を生成する。冷凍機62は、原料空気圧縮機61により生成された圧縮空気を冷却することにより、冷凍機出口空気を生成する。
【0060】
MS吸着器63は、吸着触媒を備え、冷凍機62により生成された冷凍機出口空気に含有される水分と二酸化炭素とをその吸着触媒に吸着させることにより、吸着器出口空気を生成する。MS吸着器63は、さらに、精留塔65により生成された製品窒素を用いて、その吸着触媒から水分と二酸化炭素とを脱離させ、水分と二酸化炭素とを含有する廃窒素を排気する。熱交換機64は、MS吸着器63により生成された吸着器出口空気を冷却することにより、冷却後圧縮空気を生成する。
【0061】
精留塔65は、熱交換機64により生成された冷却後圧縮空気を精留することにより、製品窒素と製品酸素と液体窒素とを生成する。圧縮機66は、精留塔65により生成された製品窒素を圧縮することにより、ガス化炉用ガスと空圧機械用ガスとを生成する。そのガス化炉用ガスは、その空圧機械用ガスに一致している。
【0062】
液体窒素タンク56は、精留塔65により生成された液体窒素を貯留する。液体窒素蒸発器57は、液体窒素タンク56により貯留されている液体窒素を蒸発させることにより、気体窒素を生成する。その気体窒素の圧力は、所定の圧力より大きい。
【0063】
ガス化炉本体53は、ガス化炉本体3と同様にして、環境と隔離された雰囲気を形成し、空気分離装置52により生成されたガス化炉用ガスを用いて、微粉炭とチャーとをその雰囲気に供給する。ガス化炉本体3は、さらに、その微粉炭とチャーとガス化剤とがその雰囲気に供給されているときに、その微粉炭とチャーとをその雰囲気で燃焼させることにより生成ガスを生成する。
【0064】
空圧機械54は、空圧機械8と同様にして、複数の装置から形成され、供給される制御用ガスを用いてガス化炉本体53を機能させる。その装置としては、バルブ、清掃装置が例示される。そのバルブは、ガス化炉本体53が備える流路に設けられている。その流路としては、その微粉炭供給流路とガス化剤供給流路と生成ガス搬出流路とチャー供給流路とが例示される。そのバルブは、その制御用ガスを用いてその流路を開閉する。その清掃装置は、その制御用ガスを汚れ・埃に噴射することによりその汚れ・埃を吹き飛ばし、石炭ガス化炉本体53が備える部品を清掃する。
【0065】
石炭ガス化炉51は、制御用ガス流路58をさらに備えている。制御用ガス流路58は、空気分離装置2により生成された空圧機械用ガスを制御用ガスとして空圧機械8と空圧機械54とに供給する。このとき、空圧機械8と空圧機械54とは、空気分離装置2により生成された空圧機械用ガスを用いて動作する。制御用ガス流路58は、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を適切に生成しているときには、除湿機7により除湿された圧縮空気を制御用ガスとして空圧機械8と空圧機械54とに供給する。このとき、空圧機械8と空圧機械54とは、除湿機7により除湿された圧縮空気を用いて動作する。
【0066】
このような石炭ガス化炉51は、生成ガスを生成するガス化炉本体3が冗長化されていることにより、ガス化炉本体3が適切に生成ガスを生成していないときにも、ガス化炉本体53が生成ガスを生成することにより、生成ガスの生成を継続させることができる。このため、石炭ガス化炉51が適用された石炭ガス化複合発電設備は、発電をより確実に継続させることができる。
【0067】
このような石炭ガス化炉51は、さらに、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を生成しないときにも、空気分離装置2により生成された空圧機械用ガスを用いて、空圧機械8と空圧機械54とをより確実に常時に動作させることができ、ガス化炉本体3とガス化炉本体53とをより確実に常時に機能させることができる。
【0068】
このような石炭ガス化炉51は、さらに、制御用空気圧縮機5を冗長化させる補助空気圧縮機が石炭ガス化炉51にさらに設けられた他の石炭ガス化炉に比較して、よりコンパクトに形成されることができる。
【0069】
なお、石炭ガス化炉51は、制御用空気圧縮機5を省略することができる。このとき、制御用ガス流路58は、空気分離装置2が空圧機械用ガスを適切に生成しているときに、空気分離装置2により生成された空圧機械用ガスを空圧機械8と空圧機械54とに供給する。制御用ガス流路58は、空気分離装置2が空圧機械用ガスを適切に生成していないときに、空気分離装置52により生成された空圧機械用ガスを空圧機械8と空圧機械54とに供給する。
【0070】
このような石炭ガス化炉は、制御用空気圧縮機5が省略されることにより、既述の実施の形態における石炭ガス化炉51に比較して、よりコンパクトに形成されることができる。このような石炭ガス化炉は、さらに、空圧機械8と空圧機械54とに供給される制御用ガスを生成する空気分離装置2が冗長化されていることにより、空圧機械8と空圧機械54とを常時に動作させることができ、ガス化炉本体3とガス化炉本体53とを常時に機能させることができる。
【0071】
なお、制御用ガス流路58は、制御用空気圧縮機5と空気分離装置2と空気分離装置52との全部が空圧機械用ガスを適切に生成していないときに、液体窒素蒸発器12または液体窒素蒸発器57により生成された気体窒素を制御用ガスとして空圧機械8と空圧機械54とに供給する他の制御用ガス流路に置換されることもできる。このような制御用ガス流路が適用された石炭ガス化炉は、制御用空気圧縮機5と空気分離装置2と空気分離装置52との全部が空圧機械用ガスを適切に生成していないときにも、空圧機械8と空圧機械54とをより確実に常時に動作させることができ、ガス化炉本体3とガス化炉本体53とをより確実に常時に機能させることができる。
【0072】
図5は、石炭ガス化炉の実施のさらに他の形態を示している。その石炭ガス化炉71は、既述の実施の形態における石炭ガス化炉1がガス化炉本体73と空圧機械74とをさらに備えている。
【0073】
ガス化炉本体73は、ガス化炉本体3と同様にして、環境と隔離された雰囲気を形成し、空気分離装置2により生成されたガス化炉用ガスを用いて、微粉炭とチャーとをその雰囲気に供給する。ガス化炉本体73は、さらに、その微粉炭とチャーとガス化剤とがその雰囲気に供給されているときに、その微粉炭とチャーとをその雰囲気で燃焼させることにより生成ガスを生成する。
【0074】
空圧機械74は、空圧機械8と同様にして、複数の装置から形成され、制御用ガス流路58により生成された制御用ガスを用いてガス化炉本体53を機能させる。その装置としては、バルブ、清掃装置が例示される。そのバルブは、ガス化炉本体53が備える流路に設けられている。その流路としては、その微粉炭供給流路とガス化剤供給流路と生成ガス搬出流路とチャー供給流路とが例示される。そのバルブは、制御用ガス流路58により生成された制御用ガスを用いてその流路を開閉する。その清掃装置は、制御用ガス流路58により生成された制御用ガスを汚れ・埃に噴射することによりその汚れ・埃を吹き飛ばし、石炭ガス化炉本体53が備える部品を清掃する。
【0075】
空圧機械8と空圧機械74とは、空気分離装置2により生成された空圧機械用ガスを用いて動作する。また、空圧機械8と空圧機械74とは、制御用空気圧縮機5が圧縮空気を生成しているときに、除湿機7により生成される制御用ガスを用いて動作する。石炭ガス化炉71は、このような動作により、既述の実施の形態における石炭ガス化炉と同様にして、空圧機械8の動作と空圧機械74の動作とをより確実に継続させることができる。
【0076】
このような石炭ガス化炉71は、さらに、ガス化炉本体3が適切に生成ガスを生成していないときにも、ガス化炉本体73が生成ガスを生成することにより、既述の実施の形態における石炭ガス化炉51と同様にして、生成ガスの生成を継続させることができる。このため、石炭ガス化炉71が適用された石炭ガス化複合発電設備は、発電をより確実に継続させることができる。
【0077】
このような石炭ガス化炉71は、さらに、ガス化炉本体3とガス化炉本体73とに利用されるガス化炉用ガスを1つの空気分離装置2が生成することにより、既述の実施の形態における石炭ガス化炉51に比較して、よりコンパクトに形成されることができる。
【0078】
なお、空圧機械8と空圧機械74とは、制御用空気圧縮機5と空気分離装置2との両方が空圧機械用ガスを適切に生成していないときに、液体窒素蒸発器12により生成された気体窒素を用いて動作することもできる。石炭ガス化炉71は、液体窒素蒸発器12により生成された気体窒素を用いて空圧機械8と空圧機械74とが動作することにより、ガス化炉本体3とガス化炉本体53とをより確実に常時に機能させることができる。
【0079】
なお、既述の実施の形態におけるガス化炉本体3は、空気分離装置2により生成される製品酸素を利用する他のガス化炉本体に置換されることができる。そのガス化炉本体は、その製品酸素を用いて、微粉炭とチャーとを燃焼させ、生成ガスを生成する。このようなガス化炉本体が適用された石炭ガス化炉も、既述の実施の形態における石炭ガス化炉と同様にして、よりコンパクトに形成され、さらに、空圧機械8の動作をより確実に継続させることができ、ガス化炉本体3の動作をより確実に継続させることができる。
【0080】
なお、既述の実施の形態における石炭ガス化炉は、石炭ガス化複合発電設備と異なる他の用途に適用されることができる。たとえば、その石炭ガス化炉は、化学プラントに適用されることができる。その化学プラントは、その石炭ガス化炉により生成された生成ガスから化合物製品を生成する。その化合物製品としては、メタン等のSNG(Synthetic Natural Gas、Substitute Natural Gas)やメタノールが例示される。このような化学プラントは、その石炭ガス化炉がコンパクトに形成されることにより、コンパクトに形成されることができる。