(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、上記した粉塵溜め構造にあっては、粉塵類が溜まるにしたがって粉塵溜め構造の通気性が低下してしまうことがある。具体的には、粉塵溜め構造が通気性を有するダストバックで構成される場合には、上記した粉塵類が溜まるにしたがってダストバックの通気性が低下してしまって、このダストバッグの集塵機能が低下してしまう。このようにダストバッグの通気性が低下すると、このダストバッグの内部の空気圧力を高めてしまって、ひいては粉塵類導き構造における粉塵類を送るための風力を弱めてしまうこととなる。そうすると、粉塵類を集めるための集塵構造本来の集塵機能が低下させてしまうこととなる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、回転刃具が取り付けられて被切断材を切断する卓上切断機において、粉塵類が溜まるにしたがって粉塵溜め構造の通気性が低下してしまうような場合でも、粉塵類導き構造における粉塵類を送るための風力を弱めてしまうことを抑えて、粉塵類を集めるための集塵構造本来の集塵機能を良好に維持することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するにあたって、本発明に係る卓上切断機は次の手段をとる。
すなわち、本発明の第1の発明に係る卓上切断機は、回転刃具が取り付けられて被切断材を切断する卓上切断機であって、前記回転刃具が設けられる切断機本体には、前記被切断材を切断する際に生ずる切断粉等の粉塵類を集塵するための集塵通路部材が設けられており、前記集塵通路部材は、一端側が集塵容器と連通状態で取付可能とされる集塵容器取付部として設定されており、且つ他端側が前記回転刃具に近接して開口される集塵吸入部として設定されており、前記集塵通路部材の前記集塵吸入部から前記集塵容器取付部までの間の集塵通路本体には、該集塵通路本体の内部と外部とを通じさせる貫通部が設けられている、ことを特徴とする。
この第1の発明に係る卓上切断機によれば、集塵通路部材の集塵吸入部から集塵容器取付部までの間の集塵通路本体には、集塵通路本体の内部と外部とを通じさせる貫通部が設けられているので、集塵容器に粉塵類が溜まるにしたがって、粉塵溜め構造の通気性が低下してしまうような場合でも、貫通部より集塵通路本体の内部から外部に排気させることができる。これによって、集塵通路部材の集塵吸入部から集塵容器取付部までの間の集塵通路本体における粉塵類を送るための風力を良好に維持することができて、粉塵類を集めるための集塵構造本来の集塵機能を良好に維持することができる。
【0007】
第2の発明に係る卓上切断機は、前記第1の発明に係る卓上切断機において、前記貫通部の開口端の開口方向は、前記集塵吸入部から前記集塵容器取付部に向かう集塵方向と反対側に向かっている、ことを特徴とする。この第2の発明に係る卓上切断機によれば、貫通部の開口端の開口方向は、集塵吸入部から集塵容器取付部に向かう集塵方向と反対側に向かっているので、集塵容器に向かう粉塵類を、貫通部を介して集塵通路本体の内部から外部に出し難くすることができる。これによって、集塵の際の粉塵類の漏れを少なくすることができる。
第3の発明に係る卓上切断機は、前記第1または前記第2の発明に係る卓上切断機において、前記貫通部の開口端から前記集塵通路部材の内部へ向かう間には、前記集塵方向に沿ったガイド壁が設けられている、ことを特徴とする。この第3の発明に係る卓上切断機によれば、貫通部の開口端から集塵通路部材の内部へ向かう間には、集塵方向に沿ったガイド壁が設けられているので、正しく集塵容器に粉塵類を向かわせることができる。これによって、このような粉塵類の流れに乱れを生じ難くして、粉塵類の良好な流れを維持することができる。
第4の発明に係る卓上切断機は、前記第1から前記第3のいずれかの発明に係る卓上切断機において、前記集塵吸入部は、前記回転刃具の切断接線の延長線上に配置され、前記貫通部は、前記集塵吸入部を挟んで互いに対称となる位置にそれぞれ設けられている、ことを特徴とする卓上切断機。この第4の発明に係る卓上切断機によれば、集塵吸入部は回転刃具の切断接線の延長線上に配置され、貫通部は集塵吸入部を挟んで互いに対称となる位置にそれぞれ設けられているので、この集塵通路本体の大きさを抑えながらも、集塵吸入部と貫通部の配置バランス良く配置させることができる。
【0008】
第5の発明に係る卓上切断機は、前記第1から前記第4のいずれかの発明に係る卓上切断機において、前記集塵吸入部の開口端には、前記回転刃具が該集塵吸入部の内部に一部入り込むことが可能なスリットが設けられている、ことを特徴とする。この第5の発明に係る卓上切断機によれば、集塵吸入部の開口端には、回転刃具が集塵吸入部の内部に一部入り込むことが可能なスリットが設けられているので、この回転刃具の周縁の刃先の周辺に生ずる粉塵類についても集塵し易くする。これによって、卓上切断機の集塵機能を高めることができる。
第6の発明に係る卓上切断機は、前記第1から前記第5のいずれかの発明に係る卓上切断機において、前記集塵吸入部は、開口端に向かうにしたがって幅方向で拡げられている、ことを特徴とする。この第6の発明に係る卓上切断機によれば、集塵吸入部は開口端に向かうにしたがって幅方向で拡げられているので、この回転刃具の周辺に生ずる粉塵類についても集塵し易くする。これによって、卓上切断機の集塵機能を高めることができる。
第7の発明に係る卓上切断機は、前記第1から前記第6のいずれかの発明に係る卓上切断機において、前記集塵吸入部の開口範囲は、前記回転刃具により飛散する前記粉塵類の飛散方向の全てを含むように設定されている、ことを特徴とする。この第7の発明に係る卓上切断機によれば、集塵吸入部の開口範囲は、回転刃具により飛散する粉塵類の飛散方向の全てを含むように設定されているので、回転刃具により飛散する粉塵類の飛散の全てを集塵吸入部に向けることができる。これによって、回転刃具により飛散した粉塵類についてを漏れなく集塵することができる。
【0009】
第8の発明に係る卓上切断機は、前記第7の発明に係る卓上切断機において、前記集塵吸入部の開口下端は、前記切断機本体が最下点に位置する場合の該回転刃具の外周と被切断材の載置面の上面との交点における該回転刃具の外周の接線方向より下方に設定され、且つ、前記切断機本体の最下端より上方に設定されている、ことを特徴とする。この第8の発明に係る卓上切断機によれば、集塵吸入部の開口下端は、切断機本体が最下点に位置する場合の回転刃具の外周と被切断材の載置面の上面との交点における回転刃具の外周の接線方向より下方に設定されているので、この集塵吸入部は回転刃具を被切断材に当てた際の粉塵類の飛散の全てを漏れなく集塵することができる。なお、集塵吸入部の開口下端は、切断機本体の最下端より上方に設定されているので、被切断材の最大の上端リミットの切断に対応したものとなっている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る卓上切断機を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1の符号10は、一部模式化したスライドマルノコの全体外観を側面視にて図示している。このスライドマルノコ10は、本発明に係る卓上切断機に相当する。つまり、スライドマルノコ10は、円盤型をなす鋸刃Bが取り付けられて被切断材Wを切断するように構成されている。この円盤型をなす鋸刃Bは、本発明に係る回転刃具に相当する。なお、図示記載のとおりで、マルノコ本体40のハンドル41が配設される側(図示右側)がスライドマルノコ10の前側に設定されている。また、この反対側(図示左側)がスライドマルノコ10の後側に設定されている。
スライドマルノコ10は、概略、ベース11と、テーブル13と、傾動支持機構21と、スライド支持機構31と、マルノコ本体40と、集塵機構50と、を備える。このスライドマルノコ10は、被切断材Wを切断するにあたり、マルノコ本体40を切断可能な位置まで下げ、この状態でマルノコ本体40を前側から後側にスライドさせる。なお、マルノコ本体40は、本発明に係る切断機本体に相当する。
ベース11は、作業机等の台に載せられて接地される基台として機能する。このため、ベース11は、テーブル13およびマルノコ本体40等を支持する。ベース11には、安定的に接地するための脚部12が設けられている。テーブル13は、ベース11により支持される。テーブル13の上面は、被切断材Wを載せるための載置面14として構成される。この載置面14の後側(図示左側)には、被切断材Wの位置を決めておくための位置決めフェンス15が設けられている。この位置決めフェンス15は、ベース11に対して固定されている。また、この載置面14の手前側となる前側(図示右側)には、回転操作レバー16が設けられている。回転操作レバー16は、ベース11に対してのテーブル13の相対角度を決める。つまり、回転操作レバー16の操作によって、位置決めフェンス15により位置決められた被切断材Wの角度切りが可能となっている。
【0012】
傾動支持機構21は、概略、支持側部材23と、傾動側部材24と、傾動軸25と、傾斜位置固定レバー26とを備える。支持側部材23は、テーブル13に対して固定支持される。この傾動側部材24は、傾動軸25を介して支持側部材23に対して相対的に回転可能に設けられている。傾斜位置固定レバー26は、支持側部材23に対する傾動側部材24の相対回転位置を固定する。このため、傾斜位置固定レバー26を操作することにより支持側部材23に対する傾動側部材24の相対回転位置を変更可能状態としたり、この相対回転位置を固定状態としたりすることができる。つまり、傾斜位置固定レバー26の操作によって、支持側部材23に対する傾動側部材24の相対回転位置を変更させ、スライド支持機構31を介して支持されるマルノコ本体40による被切断材Wの切り方を、いわゆる傾斜切りとすることができる。
スライド支持機構31は、スライドバー33を備えて構成される。このスライドバー33は、上記した傾動側部材24に対してスライド可能に支持されている。このスライドバー33は、上記したテーブル13の載置面14の延在方向と同じく水平方向に延びている。このスライドバー33の前側端は、後に説明するマルノコ本体40を支持するための支持端35として構成される。この支持端35には、回動支持軸37が設けられている。マルノコ本体40は、この回動支持軸37を介してスライドバー33の支持端35に支持される。つまり、マルノコ本体40は、このスライドバー33を介して傾動側部材24に支持されるようになっている。このようにしてマルノコ本体40は、スライドバー33により傾動側部材24を含むテーブル13に対してスライドさせ、このスライドによってマルノコ本体40は被切断材Wを切断することができる。
【0013】
マルノコ本体40は、図示されていない駆動機構および冷却機構を内装して構成される。駆動機構としては、電力により回転駆動する駆動モータや、この駆動モータにより出力軸を回転駆動させる駆動ギヤ等が含まれる。冷却機構としては、駆動モータの回転駆動を受けて回転する冷却ファン等が含まれる。出力軸には、載置面14に載せられた被切断材Wを切断するための鋸刃Bが取り付けられる。このように構成されるマルノコ本体40は、上記したスライドバー33の支持端35の回動支持軸37を介して、テーブル13に対して接近離間する上下回動が可能となっている。このマルノコ本体40には、上記した内装される構造のほか、外部に露出されるハンドル41と、ケーシング43と、セーフティカバー45とが設けられている。ケーシング43は、上記した駆動機構および冷却機構のほか、鋸刃Bを回転させる出力軸を支持する構造を有する。
ケーシング43には、鋸刃Bの外周の上側を覆うように形成されるブレードケース44が設けられている。このケーシング43には、上記した駆動機構および冷却機構を支持する構造が設けられている。また、このケーシング43には、冷却機構により送風される外気のための吸気口等が設けられている。セーフティカバー45は、鋸刃Bの外周の下側を覆うように形成され、ブレードケース44に対して回転可能に支持されている。ハンドル41は、使用者がマルノコ本体40を手握りして操作する部分であり、適宜のグリップ形状を有して形成される。このハンドル41には、鋸刃Bの回転等のオンオフ操作を行う操作スイッチ42が設けられている。なお、このブレードケース44は、本発明に係る回転刃具の刃具ケーシングに相当する。また、特に図示していないが、ブレードケース44の最下端の位置は、載置面14に載置された被切断材Wの厚みの最長の高さ位置に合わされた位置に設定されている。
【0014】
上記したマルノコ本体40は、取り付けられた鋸刃Bを
図1に示す状態の時計方向回りに回転させる。回転する鋸刃Bは、被切断材Wに対して下から上に向けて当たりながら、被切断材Wを切断していく。この際、被切断材Wからは、切断の際に生ずる切断粉が舞い上がる。この切断粉は、本発明に係る切断粉等の粉塵類に相当する。また、上記したように回転する鋸刃Bは、このような粉塵類を集塵するための集塵風を発生させる。すなわち、回転する鋸刃Bは、鋸刃Bの近くの空気を巻き込むように作用する。つまり、回転する鋸刃Bは、この鋸刃Bの近くの空気に対して鋸刃Bの回転方向に沿った気流を生じさせるように作用する。このように生じた気流は、上記した粉塵類を巻き込むように作用して、次に説明する集塵機構50に向けて粉塵類を集塵させるようになっている。つまり、この回転する鋸刃Bは、集塵機構50に向けた集塵風を発生させることとなる。
集塵機構50は、上記したケーシング43に支持されている。集塵機構50は、スライドマルノコ10を使用する際に生ずる切断粉(切屑)等の粉塵類を捕集する機構となっている。つまり、集塵機構50は、上記したように回転する鋸刃Bによって発生する集塵風に巻き込まれた粉塵類を捕集する。
【0015】
集塵機構50は、概略、集塵通路体51と、集塵バッグ57とを備える。集塵通路体51は、上記したスライドバー33の支持端35に固定されている。また、集塵バッグ57は、集塵通路体51の一端側に取り付けられる。つまり、集塵機構50は、スライドバー33と一体にスライドするようになっている。また、集塵通路体51は、スライドバー33の支持端35に対して固定されているため、回動支持軸37を介して支持されるマルノコ本体40とは分離される構造なす。つまり、集塵通路体51を含む集塵機構50は、テーブル13に対して接近離間するように回動支持軸37を支点にして上下回動するマルノコ本体40とは分離して、スライドバー33の支持端35と一体となったままであり、テーブル13に対しての相対位置は変更されないようになっている。
集塵通路体51は、概略、固定通路体52と、集塵通路部材61とを備える。固定通路体52は、図では見え難いが、次に説明する集塵通路部材61を支持可能にする管状構造をなし、上記したスライドバー33の支持端35に固定支持されている。この固定通路体52は、次に説明する集塵通路部材61の集塵容器取付部62の外周に配置され、螺子部材53を介して集塵容器取付部62を固定する。なお、この固定通路体52に固定された集塵容器取付部62には、上記した集塵バッグ57が取り付けられる。このため、これら集塵通路部材61および集塵バッグ57も、この固定通路体52を介してスライドバー33の支持端35に固定される。なお、集塵バッグ57は、集塵容器として広く利用されるダストバッグにて構成される。この集塵バッグ57は、通気性を有する袋状にて構成され、上記した集塵風とともに送られる粉塵類を溜めておくことができるようになっている。
【0016】
次に、上記した固定通路体52に取り付けられる集塵通路部材61について説明する。
図2は、集塵通路部材61の外観斜視図である。
図3は、
図2の集塵通路部材61の(III)-(III)断面矢視を示す断面図である。
図4は、
図2の集塵通路部材61の(IV)-(IV)断面矢視を示す断面図である。
図2〜
図4に示すように、この集塵通路部材61の一端側は、上記した集塵バッグ57側に向けて連通状態で取り付けることができる集塵容器取付部62として設定される。また、この集塵通路部材61の他端側は、鋸刃Bに近接して開口される集塵吸入部65として設定される。集塵容器取付部62は、
図2〜
図4に示すように略円筒形状をなして形成される。すなわち、集塵容器取付部62の後側は、固定通路体52と連通する取付開口端63として構成される。このため、集塵容器取付部62は、上記したように、固定通路体52の内周側に挿し込まれ、螺子部材53を介して固定通路体52に固定される。このため、取付開口端63の前側には、スライドバー33の支持端35に固定支持される固定通路体52に取り付けるための螺子止め孔64が設けられている。この螺子止め孔64は、固定通路体52に螺合される螺子部材53が螺合可能に形成される。また、集塵容器取付部62の取付開口端63は、集塵バッグ57が連通状態で連結される。つまり、
図1に示すように固定通路体52に支持されて突き出される取付開口端63には、集塵バッグ57が取り付けられる。つまり、この集塵容器取付部62は、集塵容器側へと取り付けられる。
また、集塵吸入部65は、上記した集塵容器取付部62の前側に隣接して一体に設けられる。この集塵吸入部65は、後側から前側に向かうにしたがって拡げられた扇のように形成されている。この集塵吸入部65の前側の端部が、内外を通じさせる集塵開口端66として形成されている。すなわち、集塵吸入部65は、
図2に示すように、前側が開口された集塵開口端66を有して略矩形に形成されている。この集塵開口端66は、上記した鋸刃Bに近接するように開口される。具体的には、集塵吸入部65は、上側壁部651、下側壁部652、左側壁部653、右側壁部654を有した、側面視扇形の矩形の形状を有して形成される。このため、上側壁部651と下側壁部652とは、前側に向かうにしたがって離れていく配置形状を有する。これに対して、左側壁部653と右側壁部654とは、互いに平行となる配置形状を有する。
【0017】
また、上記した集塵吸入部65の集塵開口端66には、スリット構造67および開口範囲拡大構造68が設けられている。このスリット構造67は、この集塵通路部材61を固定通路体52に取り付けた場合に、上記鋸刃Bが集塵吸入部65の内部に一部入り込むことができるように設けられている。つまり、集塵通路部材61の集塵吸入部65が回転駆動する鋸刃Bに対してオーバーラップして配置されるように、この集塵吸入部65にはスリット構造67が設けられている。このため、スリット構造67は、上側スリット671と下側スリット672とを備える。上側スリット671は、上側壁部651に対して設けられている。この上側スリット671は、また、下側スリット672は、下側壁部652に対して設けられている。この上側スリット671および下側スリット672は、適宜の切れ込み長さおよび幅を有して形成されている。
開口範囲拡大構造68は、上記した集塵開口端66に向かうにしたがって幅方向で拡げられている構造である。すなわち、開口範囲拡大構造68は、集塵開口端66の開口範囲が、それまでの集塵吸入部65の内部の開口範囲に比して、左右方向(幅方向)で拡げられるようにされる構造である。すなわち、開口範囲拡大構造68は、集塵開口端66の開口範囲を左右方向で拡げるように開かれる壁部651,652,653,654の開き形状を有して形成される。具体的には、上側壁部651の集塵開口端66の近くには、開き壁部681が設けられている。下側壁部652の集塵開口端66の近くにも、開き壁部682,683が設けられている。左側壁部653の集塵開口端66の近くにも、開き壁部684が設けられている。また、右側壁部654の集塵開口端66の近くにも、開き壁部685が設けられている。このようにして開き壁部681〜685は、開口範囲拡大構造68をなす。
【0018】
ところで、この集塵通路部材61は、集塵吸入部65から集塵容器取付部62に向かう方向が集塵方向として設定される。この集塵吸入部65から集塵容器取付部62までの間の集塵通路本体610には、集塵通路本体610の内部と外部とを通じさせる貫通部71が設けられている。すなわち、
図2および
図3に示すように、上記した集塵容器取付部62と集塵吸入部65との間は、集塵通路本体610として構成される。この集塵通路本体610は略円筒形状を有して形成される。このため、
図3に示すように、集塵通路本体610の外周面をなす外周壁72と左側壁部653との間には左側貫通部711(71)が設けられる。また、集塵通路本体610の外周面をなす外周壁72と右側壁部654との間には右側貫通部712(71)が設けられる。これら左側および右側の貫通部71(711,712)の前側端は、これら左側および右側の貫通部71(711,712)の開口端73(731,732)として設定される。
これら左側および右側の貫通部71(711,712)は、集塵吸入部65の中心を挟んで互いに対称となる位置にそれぞれ1つずつ設けられている。これら左側および右側の貫通部71(711,712)の開口端73(731,732)の開口方向は、この集塵吸入部65から集塵容器取付部62に向かう集塵方向とは反対側に向かっている、つまり、この貫通部71の開口端73(731,732)は、前側に向かって開いている。つまり、これら左側および右側の貫通部71(711,712)の開口端73(731,732)は、集塵通路本体610の外周壁72の前側の端部にて形成される開口端として形成される。また、
図3に示すように、上記した左側壁部653および右側壁部654は、上記した外周壁72の内部に入り込んでいる。このように外周壁72の内部に入り込んだ左側壁部653および右側壁部654は、ガイド壁75(751,752)として機能している。すなわち、ガイド壁75(751,752)は、貫通部71(711,712)の開口端73(731,732)から集塵通路本体610の内部へ向かう間に設けられる。このガイド壁75(751,752)は、集塵吸入部65から集塵容器取付部62に向かう方向と一致する集塵方向に沿って延びて形成される。この集塵吸入部65は、次に詳述するが鋸刃Bの切断接線の延長線上を含むように配置される。
【0019】
また、上記した集塵通路部材61の集塵吸入部65の集塵開口端66の開口範囲は、次のように設定される。
図5は、集塵吸入部65の集塵開口端66の範囲設定の要件を示す側面視概念図である。
図5に示すように、集塵吸入部65は、鋸刃Bの切断接線(符号691)の延長線上を含むように配置される。集塵吸入部65の開口範囲は、鋸刃Bにより飛散する粉塵類の飛散方向の全てを含むように設定されている。すなわち、集塵吸入部65の開口端66の開口下端69は、マルノコ本体40が最下点に位置する場合の鋸刃Bの外周と被切断材W´の載置面14の上面との交点B2における鋸刃Bの外周の接線方向(符号691)より下方に設定されている。なお、図中の符号B1は、鋸刃Bの回転中心である。また、この集塵吸入部65の開口端66の開口下端69は、ブレードケース44の最下端よりも上方に設定されている。このブレードケース44の最下端の位置は、上記したように載置面14に載置された被切断材W´の厚みの最長の高さ位置に合わされた位置に設定されている。このため、
図5に示す、この集塵吸入部65の開口端66の開口下端69は、厚みが最長となる被切断材W´の高さ位置(符号692)よりも、上方に位置するようになっている。なお、このブレードケース44の最下端の位置は、マルノコ本体40を構成する部材の最下端の位置である。
【0020】
上記したスライドマルノコ10によれば、次のような作用効果を奏することができる。
上記したスライドマルノコ10によれば、集塵通路部材61の集塵吸入部65から集塵容器取付部62までの間の集塵通路本体610には、集塵通路本体610の内部と外部とを通じさせる貫通部71が設けられているので、集塵バッグ57に粉塵類が溜まるにしたがって、集塵バッグ57の通気性が低下してしまうような場合でも、貫通部71より集塵通路本体610の内部から外部に排気させることができる。これによって、集塵通路部材61の集塵吸入部65から集塵容器取付部62までの間の集塵通路本体610における粉塵類を送るための風力を良好に維持することができて、粉塵類を集めるための集塵構造本来の集塵機能を良好に維持することができる。また、上記したスライドマルノコ10によれば、貫通部71の開口端73の開口方向は、集塵吸入部65から集塵容器取付部62に向かう集塵方向と反対側に向かっているので、集塵バッグ57に向かう粉塵類を、貫通部71を介して集塵通路本体610の内部から外部に出し難くすることができる。これによって、集塵の際の粉塵類の漏れを少なくすることができる。また、上記したスライドマルノコ10によれば、貫通部71の開口端73から集塵通路部材61の内部へ向かう間には、集塵方向に沿ったガイド壁75が設けられているので、正しく集塵バッグ57に粉塵類を向かわせることができる。これによって、このような粉塵類の流れに乱れを生じ難くして、粉塵類の良好な流れを維持することができる。また、上記したスライドマルノコ10によれば、集塵吸入部65の集塵開口端66は鋸刃Bの切断接線691の延長線上に配置され、貫通部71は集塵吸入部65を挟んで互いに対称となる位置にそれぞれ設けられているので、この集塵通路本体610の大きさを抑えながらも、集塵吸入部65と貫通部71の配置バランス良く配置させることができる。
【0021】
また、上記したスライドマルノコ10によれば、集塵吸入部65の集塵開口端66には、鋸刃Bが集塵吸入部65の内部に一部入り込むことが可能なスリット671,672が設けられているので、この鋸刃Bの周縁の刃先WSの周辺に生ずる粉塵類についても集塵し易くする。これによって、スライドマルノコ10の集塵機能を高めることができる。また、上記したスライドマルノコ10によれば、集塵吸入部65は集塵開口端66に向かうにしたがって幅方向で拡げられているので、この鋸刃Bの周辺に生ずる粉塵類についても集塵し易くする。これによって、スライドマルノコ10の集塵機能を高めることができる。また、上記したスライドマルノコ10によれば、集塵吸入部65の開口範囲は、鋸刃Bにより飛散する粉塵類の飛散方向の全てを含むように設定されているので、鋸刃Bにより飛散する粉塵類の飛散の全てを集塵吸入部65に向けることができる。これによって、鋸刃Bにより飛散した粉塵類についてを漏れなく集塵することができる。また、上記したスライドマルノコ10によれば、集塵吸入部65の集塵開口端66の開口下端69は、鋸刃Bが最下点に位置する場合の鋸刃Bの外周と被切断材W´の載置面14の上面との交点における鋸刃Bの外周の接線方向(符号691)より下方に設定されているので、この集塵吸入部65は鋸刃Bを被切断材に当てた際の粉塵類の飛散の全てを漏れなく集塵することができる。なお、集塵吸入部65の集塵開口端66の開口下端69は、鋸刃Bのブレードケース44の最下端(符号692)より上方に設定されているので、被切断材Wの最大の上端リミットの切断に対応したものとなっている。
【0022】
なお、本発明に係る卓上切断機にあっては、上記した実施の形態に限定されるものではなく、次のように適宜個所を変更して構成されるものであってもよい。
すなわち、上記した実施の形態においては、卓上切断機の一例としてスライドマルノコ10を例示して説明するものであった。しかしながら、本発明に係る卓上切断機としては、このようなスライドマルノコの例に限定されることなく、適宜の卓上マルノコにて構成されるものであってもよい。本発明に係る卓上切断機を、このような卓上マルノコにて構成する場合には、上記した実施の形態のスライドマルノコのような適宜のスライド支持機構31に関する構造は省略されることとなる。