(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
切断部(12)の長手L方向の長さ(12L):100に対して、接続管(40)の空間部の長さ(40BSL):200〜300に形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体注入部品(1)。
切断部(12)の側部S方向の径(12D):100に対して、大径部(40B)の内径(40SID):110〜150に形成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液体注入部品(1)。
切断部(12)の径(12D):100に対して、固定部(13)の末端DE側の内径(13ID)は、90〜98に形成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液体注入部品(1)。
前記接続部材(21)の基端PE側から末端DE側の内部壁面及び前記連通部材(11)の固定部(13)の基端PE側から末端DE側の内部壁面へ向けて、前記接続部材(21)の第2下りテーパ(23T)、前記接続部材(21)の第1下りテーパ(22T)及び前記連通部材(11)の固定部(13)の下りテーパ(13T)を実質的に同じ勾配で連続して形成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の液体注入部品(1)。
前記接続部材(21)の翼状の突起部(22)は、前記接続部材(21)の径の大きさD:100に対し、側部方向の大きさSLを40〜100に形成したことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の液体注入部品(1)。
前記翼状の突起部(22)は、第1側部(S1)側と、第2側部(S2)側の側部方向に、複数のウエブ(22W)を形成したことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の液体注入部品(1)。
【背景技術】
【0002】
図8は従来の液体注入部品101を有する血液バッグ151の概略図で、
図9(A)、
図10(B)は、従来の液体の注入チューブ(ST1、ST2、ST3)の液体流路を閉塞している状態、
図9(B)は、液体の注入チューブ(ST1、ST2、ST3)の液体流路を開放している状態を表している。
【0003】
液体注入部品101は、複数の注入チューブ(第1注入チューブST1、第2注入チューブST2、第3注入チューブST3)と、連通部材111と、接続部材121とから構成されている。
第2注入チューブST2の内部に、連通部材111(切断部112と固定部113を有する)を配置している。
【0004】
第2注入チューブST2は、末端DE側に、第1注入チューブST1の基端PE側を接続し、基端PE側に、第3注入チューブST3の末端DE側を接続している。
第1注入チューブST1と第3注入チューブST3とは、径と長さが同じで、第1注入チューブST1(第3注入チューブST3)と第2注入チューブST2とは、径と長さが異なる。これらの二種類のチューブを、三部品使用している。
第3注入チューブST3の基端PE側に接続部材121(基端PE側の外周に接続部123を形成している)の末端DE側を接続している。
第1注入チューブST1の末端DE側を、分岐管130(第1管部131、第2管部132、第3管部133を有する)の第3管部133の基端PE側に接続している。
【0005】
使用に際しては、採血針154を採血者に穿刺して、採血針154から、採血チューブ154Tを経て、血液バッグ151のバッグ本体152内に血液を導入する。(採血終了。)
接続部材121の接続部123に、輸液セットの接続部材(コネクタ等、図示せず)を接続し、
図9(B)のように連通部材111の切断部112を切断領域114より切断する。
接続部121、第3注入チューブST3、第2注入チューブST2、第1注入チューブST1、分岐管130、採血チューブ154T、採血針154を経て、採血者に液体(補液)を導入する。
【0006】
図9(A)、
図10(B)の液体注入部品101では、前記のように注入チューブは、径と長さの異なる二種類のチューブを、三部品使用して形成し、連通部材111が第2注入チューブST2、接続部121が第3注入チューブST3にそれぞれ分離して配置(接続)している。
このため(a)注入チューブ全体(第1注入チューブST1〜第3注入チューブST3)中への液体のプライミングボリームが多くなる。
(b)各部品間に(接続)段差が多くできる。
(c)部品点数が多く、かつ各部品の接続の手間がかかり製造コストが高くなる等の課題がある。
【0007】
そこで本願出願人は、特許文献1(特開2012−135421号公報)に、(解決課題)「部品点数が少なく、注入チューブ内の液体のプライミングボリュームを省力化し、注入チューブ内での血液の残血、輸液の残液等を生じることがない液体注入部品を提供すること。」を目的として、液体注入部品201の発明を開示した。
すなわち、
図10(A)に示すように液体注入部品201は連通部材211、接続部材221及び注入チューブSTを有する。連通部材211と接続部材221を一体成形により形成している。
注入チューブSTは、基端PE側から末端DE側にわたって継ぎ目のない連続したチューブで形成している。前記一体成形品の連通部材211を注入チューブSTの基端PE側に挿入している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図9(A)、(B)、
図10(B)の従来の液体注入部品101では、
(a)注入チューブ全体(第1注入チューブST1〜第3注入チューブST3)中への液体のプライミングボリームが多くなる点。
(b)各部品間に(接続)段差が多くできる点。
(c)部品点数が多く、かつ各部品の接続の手間がかかり製造コストが高くなる点である。
図10(A)の特許文献1の液体注入部品101では、
前記(a)〜(c)の課題は解決されたが、短時間で液体の流量を多く確保したい場合は、
(d)注入チューブSTの内径が細く、切断部201の外径と注入チューブSTの内径の差(間隔)が小さいため、困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで本発明者は、以上の課題(a)〜(d)を解決するために鋭意検討を重ねた結果、次の発明に到達した。本発明に従がえば、以下の液体注入部品1が提供される。
[1]本発明は、連通部材(11)と接続部材(21)と接続管(40)とを有し、
前記連通部材(11)は、末端DE側に切断部(12)、基端PE側に固定部(13)を配置し、
前記固定部(13)の末端DE側と、前記切断部(12)の基端PE側との間に、切断領域(14)を形成し、
前記接続部材(21)は、末端DE側の側部S方向に翼状の突起部(22)を突設し、基端PE側の側部S方向に接続部(23)を突設し、
前記接続部材(21)の末端DE側は、前記連通部材(11)の固定部(13)の基端PE側と一体に接続し、
前記接続部材(21)の末端DE側の壁は、前記接続部材(21)の末端DE側と前記固定部(13)の基端PE側との間の段部(11D)を形成し、
前記接続管(40)は、基端PE側から末端DE
側にわたって、大径部(40B)、中間部(40M)、細径部(40S)、フランジ(40F)及び接続部(40A)を連続して一体に形成し、
前記連通部材(11)は、末端DE側から基端PE側に亘って、前記接続管(40)の基端PE側の内部に挿入して、前記連通部材(11)は、全ての長手方向の外周を前記接続管(40)の基端PE側
の大径部(40B)で覆った液体注入部品(1)を提供する。
[2]本発明は、大径部(40B)、中間部(40M)、細径部(40S)、フランジ(40F)及び接続部(40A)の径の大きさは、
大きいほうから、大径部40B>中間部40M>フランジ40F>細径部40S>接続部40Aの順、または大きいほうから、大径部40B>中間部40M=フランジ40F>細径部40S=接続部40Aの順に形成した[1]に記載の液体注入部品(1)を提供する。
【0011】
[3]本発明は、切断部(12)の長手L方向の長さ(12L):100に対して、接続管(40)の空間部の長さ(40BSL):200〜300に形成した[1]または[2]に記載の液体注入部品(1)を提供する。
[4]本発明は、切断部(12)の側部S方向の径(12D):100に対して、大径部(40B)の内径(40SID):110〜150に形成した[1]から[3]のいずれか1つに記載の液体注入部品(1)を提供する。
[5]本発明は、切断部(12)の径(12D):100に対して、固定部(13)の末端DE側の内径(13ID)は、90〜98に形成した[1]から[4]のいずれか1つに記載の液体注入部品(1)を提供する。
[6]本発明は、前記接続部材(21)の基端PE側から末端DE側の内部壁面及び前記連通部材(11)の固定部(13)の基端PE側から末端DE側の内部壁面へ向けて、前記接続部材(21)の第2下りテーパ(23T)、前記接続部材(21)の第1下りテーパ(22T)及び前記連通部材(11)の固定部(13)の下りテーパ(13T)を実質的に同じ勾配で連続して形成した[1]から[5]のいずれか1つに記載の液体注入部品(1)を提供する。
[7]本発明は、接続管(40)の細径部(40S)の末端DE側に湾曲部Rを形成した[1]から[6]のいずれか1つに記載の液体注入部品(1)を提供する。
[8]本発明は、前記接続部材(21)の翼状の突起部(22)は、前記接続部材(21)の径の大きさD:100に対し、側部方向の大きさSLを40〜100に形成した[1]から[7]のいずれか1つに記載の液体注入部品(1)を提供する。
[9]本発明は、前記翼状の突起部(22)は、第1側部(S1)側と、第2側部(S2)側の側部方向に、複数のウエブ(22W)を形成した[1]から[8]のいずれか1つに記載の液体注入部品(1)を提供する。
[10]本発明は、[1]から[9]の中から選ばれるいずれか1つに記載の前記液体注入部品(1)を有する医療用具を提供する。
[11]本発明は、血液を貯留する親バッグ(51PAB)を有し、
前記親バッグ(51PAB)は、上部Uを区画する上部壁(UW)、下部Dを区画する下部壁(DW)と、第1側部S1と第2側部S2とを区画する側壁(S
1W、S
2W)とを有し、
前記親バッグ(51PAB)は、前記上部壁(UW)に、血液を前記親バッグ(51PAB)内に取り込むための血液入口(56)を形成し、
当該血液入口(56)は、採血チューブ(54T)の一端部を接続し、当該採血チュー
ブ(54T)の他方の端部は、採血針(54)を接続し、
前記採血チューブ(54T)の途中に、分岐管(30)を配置し、当該分岐管(30)に[1]から[9]の中から選ばれるいずれか1つに記載の前記液体注入部品(1)を前記接続管(40)を介して接続した血液バッグ(51)を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液体注入部品は、以下の有利な効果を有する。
〈1〉:連通部材11と接続部材21とを一体に接続し、これらを一部品で形成した接続管40に接続しているので、比較例よりも部品点数が少なくなる。
〈2〉:比較例よりも、連通部材11と接続部材21の小型化を図ることができ、接続管40内の液体のプライミングボリュームを、省力化することができる。
〈3〉:接続管40内の段部40D(液体の流れる方向に傾斜しているテーパ)が一箇所しかなく、血液、輸液等のプライミング量も少なくて済むので、比較例よりも注入チューブST内での血液の残血、輸液の残液等を生じることがない点で優位性がある。
【0013】
〈4〉:(A):切断部12の長手L方向の長さ(12L):100に対して、接続管40の空間部の長さ(40BSL):200〜300に形成する点。
(B):切断部12の側部S方向の径(12D):100に対して、大径部40Bの内径(40SID):110〜150に形成する点。
(C):切断部11の径(12D):100に対して、固定部13の末端DE側の内径(13ID)は、90〜98に形成する点、
(D):接続部材21の基端PE側から末端DE側の内部壁面、連通部材11の固定部13の基端PE側から末端DE側の内部壁面へ向けて、下りテーパ23T(接続部材21の第2下りテーパ)、下りテーパ22T(接続部材21の第1下りテーパ)、下りテーパ13T(連通部材11の固定部13の下りテーパ)を、緩やかな同一勾配(1〜2/100で連続して形成している点。
以上のコンビネーションにより、大径部40B内で、切断部12が液体の流れを阻害することはない。液体を余裕を持って通過させることができる。液体の流路を十分に確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の液体注入部品及び医療用具の理解を容易にするため、以下の定義をおく。
本発明の請求項、発明の説明に付した符号は、本発明の液体注入部品及び医療用具の理解を容易にするために記載したものであり、符号そのものが発明を特定するものではない。
本発明の液体注入部品1を構成する連通部材11、接続部材21、その他、分岐管30、接続管40等の管状(またはチューブ状、筒状という場合もある)の部材ないし当該管状の部材の形態を一部でも含む各構成部品は、長手L方向と、当該長手L方向に略垂直に交差する側部S方向(「長手」に対して「短い」方向を意味する)を有する。
【0016】
本発明で、「末端DE(側または方向)」とは、長手L方向の一方向を示し、
図1〜
図2に示すように、連通部材11の切断部12側の端部を意味する。
本発明で、「基端PE(側または方向)」とは、長手L方向の一方向を示し、
図1〜
図2に示すように、「末端DE(側または方向)」とは反対側の端部、すなわち接続部材21側の端部を意味する。
また分岐管30は、
図5の親バッグ51PAB方向に近い方向(端部)を「基端PE(側または方向)」、
図5の採血針54方向に近い方向(端部)[親液バッグ51PAB方向に遠い方向(端部)]を「末端DE(側または方向)」として記載する。
【0017】
液体注入部品の場合、本発明で、「第1側部S1(側または方向)」とは、側部S方向の一方向を示し、
図1に示すように、上側の方向(図の破線矢印参照)を意味する。
【0018】
本発明で、「第3側部S3(側または方向)」とは、側部S方向の一方向を示し、例えば
図1では、正面側の方向を意味する。
本発明で、「第4側部S4(側または方向)とは、側部S方向の一方向を示し、
図1では、背面側の方向を意味する。
【0019】
血液バッグの場合、本発明で、「第1側部S1(側または方向)」とは、側部S方向の一方向を示し、
図5に示すように、
左側の方向(図の破線矢印参照)を意味する。
本発明で、「第2側部S2(側または方向)」とは、側部S方向の一方向を示し、
図5に示すように、
左側の方向とは反対の方向、すなわち
右側の方向(図の破線矢印参照)を意味する。
血液バッグの場合、本発明で、「上部U(側または方向)」とは、
図5に示すとおり、上側の方向(図の破線矢印参照)を意味する。
本発明で、「下部D(側または方向)」とは、
図5に示すとおり、上側の方向とは反対の方向、すなわち下側の方向(図の破線矢印参照)を意味する。
【0020】
本発明の説明で、「任意の部材(部品)」を「有する」とは、すくなくともその「任意の部材(部品)」を「持つ」、「含む」等と実質的に同じ意味である。
本発明の説明で、「任意の部材(部品)」の一端部に「他の部材(部品)」を「形成」しているとは、「接続」、「連結」、「延設」、「配置」等と実質的に同じ意味である。
【0021】
[液体注入部品1]
本発明の液体注入部品1は、
図1〜
図3に例示するように、連通部材11と接続部材21と接続管40を有する。
[連通部材11]
連通部材11は、
図1〜
図2に例示するように、末端DE側に切断部12、基端PE側に固定部13を配置している。
切断部12はいわゆる「竿状」(または棒状ないし板状という場合もある)に形成し、固定部13はいわゆる「管状」に形成している。
図1の例示では、切断部12をいわゆる「略板状」に形成している。
【0022】
切断部12は、長手方向に沿うように、側部S方向(外周ないし外周の一部)に突部12Tを突設している。切断部12の断面は、いわゆる「長方形(矩形)状」に形成している。
突部12Tは、例えば側部方向(長辺の表と裏)に、180°対向して、二箇所形成している。
切断部12の短辺(側部S方向の外径12D、幅という場合もある)は、固定部13の外径よりも小さく形成している。突部12Tは、末端DE側に下る方向にテーパ(
図1参照)を形成している。
【0023】
固定部13は末端DE側で切断部12の基端PE側と一体に接続(一体成形)している。
固定部13の末端DE側の壁は、固定部13の末端DE側と切断部12の基端PE側との間の段部
1Dを形成する。固定部13の末端DE側の壁を以下、「段部
1D」という。
固定部13の末端DE側と切断部12の基端PE側との間に切断領域14を形成している。
切断領域14とは
図1(A)(B)に例示するように、固定部13の末端DE側と切断部12の基端PE側の側部S(外周)方向に形成した溝14Mで、側部S(外周)方向の壁を薄肉部14Wに形成した箇所である。
【0024】
[接続部材21]
接続部材21は、
図1〜
図2に例示するようにいわゆる「管状」に形成し、第1側部S1側と第2側部S2側にいわゆる「翼状」の突起部22を突設し、基端PE側の側部S方向(外周ないし外周の一部)に接続部23を突設している。
翼状の突起部22は、略長方形(矩形)状に形成され、第1側部S1側と第2側部S2側の方向に「短辺」、長手L方向に「長辺」を有する。
接続部23は、
図1の例示ではいわゆる「螺子部」であり、他の医療用具(前記段落[0001]の記載参照)、これら医療用具の付属品(液体容器、シリンジ等の接続部、コネクタ等)と接続できるように形成したものである。
【0025】
図1の例示では螺子部であるが、他の医療用具の接続部の形態(オス型コネクタ、メス型コネクタ)にあわせて、オス型の突起部、メス型の溝部(凹部)等にすることもできる。
翼状の突起部22は、接続部21の径Dの大きさを、「100」とすると、大きさSL(第1側部S1、第2側部S2の側部方向に突設した「短辺」の長さ、大きさ)を「40〜100」に形成している。
さらに翼状の突起部22は、第1側部S1、第2側部S2の側部方向(「短辺」)に、ウエブ22W(水かき、または板状部材、または補強部材、または掛止部材ともいう)を複数形成している。
図1、
図2の例示では、第1側部S1と第2側部S2方向にそうようにそれぞれ三箇所対抗して第3側部方向と第4側部方向に突設している。
【0026】
連通部材11のほうからみれば、翼状の突起部22は、グリップの役割を果たすので、連通部材11の固定部13を持ちやすくなる。さらに前記複数のウエブ22Wに、指を引っかけることができる。これらにより連通部材11の切断部
12に、外から力を加えやすく、切断しやすくなる。
接続部材21のほうからみても、翼状の突起部22はグリップの役割を果たすので、持ちやすく、接続部材21に装着するキャップ21CP(
図3(B)参照)の開閉操作がしやすい。
【0027】
さらに、連通部材11の固定部13と接続部材21との間に翼状の突起部22がある(存在する)ことにより、キャップ21CPを開放する時に、勢い余って、同時に連通部材11の切断部12を折ってしまうような誤操作が懸念されるがあるが、このような誤操作のリスクを解消することができる。
なお連通部材11の固定部13と接続部材21との間の翼状の突起部22がない場合、(または翼状の突起部22の大きさSLが小さすぎる場合)キャップを開閉する時に、誤って、同時に連通部材11の切断部を折ってしまうような誤操作が懸念される。
【0028】
翼状の突起部22の大きさSLは、40〜100が好ましく、50〜90、60〜80がより好ましい。
翼状の突起部22の大きさSLがあまり小さいと、前記効果を発揮しずらく好ましくない。逆に翼状の突起部22の大きさSLがあまり大きいと、嵩張りすぎて操作を阻害するので好ましくない。
【0029】
接続部材21の末端DE側は、連通部材11の固定部13の基端PE側と一体に接続(一体成形)している。
接続部材21の末端DE側の壁は、接続部材21の末端DE側と連通部材11の固定部13の基端PEとの間に段部11Dを形成している。接続部材21の末端DE側の壁を以下、「段部11D」という。
【0030】
[接続管40]
接続管40は、
図2に例示するように、基端PE側から末端DE側からにわたって、
大径部40B、中間部40M、細径部40S、フランジ40F及び接続部40Aを連続して一体に形成している。
これらの径の大きさは、大きいほうから、大径部40B>中間部40M>フランジ40F>細径部40S>接続部40Aの順となっている。
または大きいほうから、大径部40B>中間部40M=フランジ40F>細径部40S=接続部40Aの順となっている。
「大径部40B」は、接続管40の中で最も大きい径に形成されている部分である。
前記連通部材11を挿入して、収納する部分である。
「中間部40M」は、大径部40Bが細径部40Sへ移行する部分で、末端DE側へ下るテーパ状に形成している。内部(内周)は段部40D(液体の流れる方向に傾斜しているテーパ)となっている。
【0031】
「細径部40S」は、中間部40Mから末端DE側へ延設している部分である。細径部40Sは末端DEから基端PEの間に、鉗子(クランプ)CLを装着して、液体流路を閉塞することができる。
細径部40Sの末端DE側(フランジ40F側)は、
図7に示すように鉗子(クランプ)CLで、液体流路を閉塞しやすいように、いわゆる「湾曲部R」(アール部ともいう)を形成している。
図2(A)、(B)参照。
【0032】
なお
図10(A)の特許文献1に記載の発明では、注入チューブSTの外部から鉗子(クランプ)CLを装着して、液体流路を閉塞していたが、注入チューブSTの中を切断部材212が浮遊している箇所に、鉗子(クランプ)CLが当たると液体流路は閉塞しにくいとういう操作上の難点があった。
図9、
図10(B)の液体注入部品101の場合も同様の操作上の難点があった。
すなわち第1注入チューブST1、第3注入チューブST3は別部品として細径に形成し、段差のある接続をしているので、鉗子(クランプ)CLを外部から装着してクランプできない。無理に装着すると接続箇所の破壊の原因となる。第2注入チューブST2に鉗子(クランプ)CLを外部から装着してクランプすることになる。
【0033】
「接続部40A」は、分岐管30の第3管部33と接続する部分である。
「フランジ40F」は、接続部40Aを分岐管30の第3管部33に接続するときのストッパーとなり、鉗子(クランプ)CLを細径部40Sに装着したときのストッパーともなる。
【0034】
連通部材11は、
図2(B)に例示するように、基端PE側から末端DE側からにわたって、接続管40の大径部40Bの(略中腹部から基端PE側にわたって)内部(内周)に挿入している。
さらにいえば、連通部材11は、全ての長手方向の外周を接続管40の基端PE側の
大径部40Bの内部(内周)で覆っている。
接続管40は、基端PE側の壁面が接続部材21の段部11Dに当接している。
接続部材21は、全ての長手方向で接続管40で覆われることなく、露出している。
【0035】
図2に示すように、接続管40の空間部の長さ(40BSL)(切断部11の基端PEから大径部40Bの末端DEまでの長さ)、切断部12の長手L方向の長さ(12L)と規定する。(12L):100に対して、(40BL):200〜300、好ましくは230〜250に形成する。
40BSLがあまり小さい(200未満)と、十分な液体流路を広く確保できない。40BSLがあまり大きい(300を超える)と、部品全体が大きくなりすぎる。
【0036】
また切断部12の側部S方向の径(12D)、大径部40Bの内径(40SID)と規定する。
(12D):100に対して、(40SID):110〜150、好ましくは120〜130に形成する。40SIDがあまり小さい(110未満)と十分な液体流路を広く確保できない。あまり大きい(150を超える)と部品全体が大きくなりすぎる。
これにより、大径部40B内で、切断部12が液体の流れを阻害することはない。
液体を余裕を持って通過させることができる。
【0037】
図1(B)に例示するように、接続部材21の基端PE側から末端DE側の内部壁面、連通部材11の固定部13の基端PE側から末端DE側の内部壁面へ向けて、下りテーパ23T(接続部材21の第2下りテーパ)、下りテーパ22T(接続部材21の第1下りテーパ)、下りテーパ13T(連通部材11の固定部13の下りテーパ)を、緩やかな実質的に同一勾配(1/100〜2/100)で連続して形成している。
勾配は1/100未満では、製造が困難である。2/100を超えると下りテーパ13T側の液体流路が狭くなる。
【0038】
さらに固定部13の末端DE側の内径(13ID)、切断部11の径(12D)で規定する。
(12D):100に対して、(13ID)は、90〜98、好ましくは93〜96に形成する。
(13ID)はあまり小さい(98未満)と、十分な液体流路を広く確保できない。あまり大きい(98を超える)と、製造が困難となる。
これにより接続部材21から連通部材11の内部にわたって液体流路を広く確保している。
これにより接続部材21の基端PE側から導入された液体を速やかに、連通部材11の固定部13の末端DE側へ流出させることができる。
【0039】
[分岐管30]
分岐管30は、
図4に例示するように、第1管部31、第2管部32、及び第3管部33とを有する。
末端DE側に第1管部31、基端PE側に第2管部32を配置し、第1管部31と第2管部32との間に、第3管部33を配置している。
換言すれば、
図4では、第1管部31と第2管部32とを直列に一体に接続(一体成形)し、第1管部31と第2管部32との間に第3管部33を、所定の角度を付けて一体に接続(一体成形)している。
第1管部31の基端PE(接続部31CN/
大径部内部の溝)に、接続管40の末端DE(接続部40A)を接続し、第2管部32の基端PE(接続部32CN/内部の溝)に採血チューブ54Tの末端DEを接続している。
第2管部32と第3管部33との間に補強のためにウエブ30Wを形成している。
【0040】
連通部材11の構成材料は、ポリカーボーネート等の硬質樹脂、接続部材21、接続管40及び分岐管30の構成材料はポリ塩化ビニル樹脂等の軟質樹脂ないし(半)硬質樹脂等が使用される。
【0041】
[血液バッグ51]
図5は、本発明の血液バッグ51の一例を示す概略図である。
血液バッグ51は、血液を貯留する親バッグ51PABを有する。
親バッグ51PABは、熱溶着、超音波溶着、接着等の接着手段により、少なくともその上部Uを区画する上部壁UW、下部Dを区画する下部壁DWと、第1側S1部と第2側部S2とを区画する側部壁S1W、S2Wとを有している。
親バッグ51PABは、上部壁UWに、血液をバッグ本体52内に取り込むための血液入口56を形成し、当該血液入口56は、採血チューブ54Tの一端部(基端PE部)を接続し、当該採血チューブ54Tの他方の端部(末端DE部)には、採血針54を接続している。
【0042】
親バッグ51PABは、上部壁UWに、複数の輸血口53(
図5の例示では二個)を装着している。
輸血口53は、親バッグ51PAB内に保存した血液を排出するためのものである。輸血口53が汚染されないように、プロテクタ55(保護カバーともいう)で覆っている。
親バッグ51PABは、さらに上部壁UWに、連通部材11Pを装着し、液体移送チューブ51T、分岐管30STR、液体移送チューブ51T1、子バッグ51STR1を接続している。
さ
らに分岐管30STR近傍に、連通部材11STRを装着し、連通部材11STRに液体移送チューブ
51T2、子バッグ51STR2を接続している。
【0043】
親バッグ51PAB、子バッグ51STR1等を構成する材料として、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンのように可撓性合成樹脂が好ましく用いられる。
親バッグ51PAB内には、採血時または輸血保存時における血液の凝固の防止または保存のために、例えばACD液、CPD液、CPDA液のような抗凝固剤やMAP液のような赤血球保存液を収納している。
【0044】
血液バッグ51は
図6に示すように、採血針54に代えて翼付採血針54WGを装着することができる。
翼付採血針54WGは、キャップ54CPの基端PE側から採血チューブ54Tの末端DE側にわたってタンパープルーフ部材54TPを装着している。
タンパープルーフ部材54TPは、いわゆる「切り欠き部」を形成した「略管状体」の形態を有し、熱収縮性材料より形成している。
【0045】
本発明の液体注入部品1の使用方法の一例について説明する。
(第一実施例)
採血針54を採血者に刺し、採血者から血液を、採血チューブ54T、血液入口56を経て、血液バッグ51のバッグ本体52内に導入する。
分岐管30の末端DE側の途中から、採血チューブ54Tとバッグ本体50を、ハンドシーラー等(図示せず)で切り離す。
接続部材21の接続部23に、輸液セット(図示せず)の接続部(図示せず)を接続する。
連通部材11の切断部12を、切断領域14より切断し、接続管40の液体流路を開通させる。
輸液セットに接続された液体容器(図示せず)の液体を輸液チユーブ(図示せず)、接続管40、採血チューブ54Tを経て、採血者に供給(導入)する。
【0046】
(第二実施例)
接続部材21の接続部23に、シリンジ(図示せず)を接続する。
採血針54を採血者に穿刺して、連通部材11の切断部12を、切断領域14より切断して、接続管40内の液体流路を開通させる。
検査用の血液を、採血チューブ54T、接続管40を経て、シリンジ(図示せず)内に採取する。
採血後は、
図7に例示するように接続管40の細径部40Sを鉗子(クランプ)CLで閉めて液体流路を閉塞する。
さらに前記と同様に、接続部材21の接続部23に、輸液セットの接続部を接続し、輸液セットに接続された液体容器(図示せず)中の液体を、輸液チユーブ、接続管40、採血チューブ54Tを経て、採血者に供給(導入)する。
【0047】
本発明の実施例の液体注入部品1[
図1、
図2]と従来の比較例の液体注入部品101[
図9、
図10(B)]、特許文献1の液体注入部品211[
図10(A)]を、比較すると、本発明は、
〈1〉:連通部材11と接続部材21とを一体に接続し、これらを一部品で形成した接続管40に接続しているので、比較例よりも部品点数が少なくなる。
〈2〉:比較例よりも、連通部材11と接続部材21の小型化を図ることができ、接続管40内の液体のプライミングボリュームを、省力化することができる。
〈3〉:接続管40内の段部40D(液体の流れる方向に傾斜している段差)が一箇所しかなく、血液、輸液等のプライミング量も少なくて済むので、比較例よりも注入チューブST内での血液の残血、輸液の残液等を生じることがない点で優位性がある。
【0048】
〈4〉:(A):切断部12の長手L方向の長さ(12L):100に対して、接続管40の空間部の長さ(40BSL):200〜300に形成する点。
(B):切断部12の側部S方向の径(12D):100に対して、大径部40Bの内径(40SID):110〜150に形成する点。
(C):切断部11の径(12D):100に対して、固定部13の末端DE側の内径(13ID)は、90〜98に形成する点、
(D):接続部材21の基端PE側から末端DE側の内部壁面、連通部材11の固定部13の基端PE側から末端DE側の内部壁面へ向けて、下りテーパ23T(接続部材21の第2下りテーパ)、下りテーパ22T(接続部材21の第1下りテーパ)、下りテーパ13T(連通部材11の固定部13の下りテーパ)を、緩やかな実質的に同一勾配(1〜2/100で連続して形成している点。
以上のコンビネーションにより、大径部40B内で、切断部12が液体の流れを阻害することはない。液体を余裕を持って通過させることができる。液体の流路を十分に確保することができる。
《5》細径部40Sを接続管40に一体に成形しているので、外部から鉗子(クランプ)CLを装着してクランプし、液体流路を遮断できる。
等の優位性がある。