(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記共重合体が、さらに、前記ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分を除く親水性の重合成分が共重合された共重合体である請求項1又は2に記載の画像表示粒子用高分子分散剤。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。
【0019】
[画像表示粒子用高分子分散剤]
本実施形態に係る画像表示粒子用高分子分散液(以下、「高分子分散剤」と称する)は、シリコーン鎖を持つ重合成分と、シリコーン鎖を持つ重合成分を除く疎水性の重合成分と、ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分と、必要に応じて、ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分を除く親水性の重合成分と、の共重合体からなる。
ただし、本実施形態では、ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分として、ポリアルキレングリコール構造の繰り返し数が5以上の重合成分が適用される。
【0020】
本実施形態に係る高分子分散剤は、上記構成により、画像表示粒子の分散安定性を向上する。
特に、本実施形態に係る高分子分散剤は、これを構成する共重合体が、さらに、ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分を除く親水性の重合成分が重合された共重合体であると、画像表示粒子への吸着性が向上すると考えられ、より画像表示粒子の分散安定性を向上し易くなる。
【0021】
また、本実施形態に係る高分子分散剤は、画像表示粒子の製造の際、原料材料の乳化分散安定も向上させられることから、その結果、乳化物の凝集が抑制され、単分散の画像表示粒子が得られ易くなると考えられる。
そして、本実施形態に係る高分子分散剤を利用した画像表示粒子分散液を備える表示素子及び表示装置では、画像表示粒子の分散安定性の低下に起因する表示欠陥(例えば、粒子沈降による表示濃度低下等)が抑制された表示が実現される表示媒体、表示装置が提供される。
【0022】
以下、本実施形態に係る高分子分散剤の詳細について説明する。
なお、以下の説明において、「(メタ)アクリレート」等の記述は、「アクリレート」及び「メタクリレート」等のいずれをも含む表現である。
【0023】
(シリコーン鎖を持つ重合成分)
シリコーン鎖を持つ重合成分(シリコーン鎖を持つ単量体)としては、例えば、シリコーン鎖を持つマクロモノマーであり、具体的には、例えば、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(下記構造式1で示されるシリコーン化合物:例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越化学工業社製:X−22−174DX,X−22−2426,X−22−2475等)等が挙げられる。
【0025】
構造式1中、R
1は、水素原子、又はメチル基を示す。R
1’は、水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。nは自然数(例えば1以上1000以下、望ましくは3以上100以下)、を示す。xは1以上3以下の整数を示す。
【0026】
(疎水性の重合成分)
疎水性の重合成分(疎水性単量体)は、シリコーン鎖を持つ重合成分を除く重合成分であり、例えば。(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル等)。オレフィン(例えばエチレン、ブタジエン等)、スチレン、酢酸ビニル、ビニルトルエン等が挙げられる。
【0027】
(ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分)
ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分としては、例えば、下記一般式(P)で示される。
【0029】
ここで、一般式(P)中、xは、1以上3以下の整数(望ましくは2以上3以下の整数)を表す。
nは1以上40以下の整数(望ましくは1以上25以下の整数、より望ましく5以上20以下の整数)を表す。
R
11は、水素原子、又はメチル基を表す。
R
12は、水素原子または、炭素数1以上20以下のアルキル基、又は置換若しくは未置換の芳香族基(例えば、フェニル基、炭素数1以上3以下のアルキル基が置換されたフェニル基等)を表す。
【0030】
ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分として具体的には、例えば、メトキシポリ(エチレングリコール)nアクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール)nメタクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール)nアクリレート、ノニルフェノキシポリ(エチレングリコール)nメタクリレート、ステアリルオキシポリ(エチレングリコール)nアクリレート、ステアリルオキシポリ(エチレングリコール)nメタクリレート等が挙げられる。
【0031】
(親水性の重合成分)
親水性の重合成分(親水性単量体)は、ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分を除く重合成分であり、例えば、酸性基を持つ重合成分、水酸基を持つ重合成分等が挙げられる。
【0032】
酸性基を持つ重合成分としては、カルボキシル基を持つ重合成分、スルホン酸基を持つ重合成分、リン酸基を持つ重合成分等が挙げられる。
カルボキシル基を持つ重合成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、それらの無水物、そのモノアルキルエステルやカルボキシエチルビニルエーテル、カルボキシプロピルビニルエーテルの如きカルボキシル基を持つビニルエーテル類、及びその塩等が挙げられる。
スルホン酸基を持つ重合成分としては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリックアシッドエステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコニックアシッドエステル等及びその塩が挙げられる。また、スルホン酸基を持つ重合成分としては、その他2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びその塩も挙げられる。
リン酸基を持つ重合成分としては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
なお、酸性基を持つ重合成分は、重合前若しくは重合後にアンモニウム塩化して塩構造を形成させてもよい。アンモニウム塩化は、例えば、アニオン性基を3級アミン類若しくは4級アンモニウムハイドロオキサイド類と反応させることで実現される。
【0033】
ヒドロキシル基を持つ重合成分としては、例えば、ヒドリキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、その他、グリシジル基を持つモノマーを共重合させたのち開環させたものや、t−ブトキシキなどを持つモノマーを重合したのち加水分解させることでOH基を導入したものも挙げられる。
【0034】
(高分子分散剤のその他特性)
本実施形態に係る高分子分散剤は、画像表示粒子の分散安定性を向上し易くする観点から、各重合成分(単量体)の重合比は、以下の通りとすることがよい。
シリコーン鎖を持つ重合成分の重合比は、共重合体の全重合成分に対して10モル%以上40モル%以下であることがよい。
疎水性の重合成分(シリコーン鎖を持つ重合成分を除く疎水性の重合成分)の重合比は、共重合体の全重合成分に対して20モル%以上70モル%以下であることがよく、望ましくは25モル%以上60モル%以下である。
ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分の重合比は、共重合体の全重合成分に対して1モル%以上30モル%以下であることがよい。
親水性の重合成分(ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分除く親水性の重合成分)の重合比は、共重合体の全重合成分に対して1モル%以上30モル%以下であることがよい。
【0035】
本実施形態に係る高分子分散剤は、これを構成する共重合体の重量平均分子量が、3,000以上1000,000以下であることがよく、望ましくは5,000以上500,000以下、より望ましくは10,000以上100,000以下である。
本実施形態に係る高分子分散剤は、これを構成する共重合体の数平均分子量が、3,000以上50,0000以下であることがよく、望ましくは4,000以上100,000以下、より望ましくは5,000以上50,000以下である。
本実施形態に係る高分子分散剤において、重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn)は、1以上5以下であることがよく、望ましくは1.5以上4.5以下、より望ましくは1.5以上4以下である。
高分子分散剤の各分子量を上記範囲とすると、画像表示粒子の分散安定性が向上し易くなる。
【0036】
ここで、各分子量は、サイズ排除カラムクロマトグラフィーにより測定する。
【0037】
本実施形態に係る高分子分散剤は、帯電粒子(画像表示粒子)に対して物理的に付着(吸着)した状態であってもよいし、化学的に付着(結合)した状態であってもよい。
【0038】
(高分子分散剤の製造方法)
本実施形態に係る高分子分散剤は、周知の手法により合成される。
具体的には、例えば、攪拌機、温度計を備えた反応容器に、溶媒(例えばイソプロピルアルコール(IPA)等)を採り、分散剤を合成する原料となる重合成分(単量体)、及び重合開始剤を加えて溶解させる。この溶液に対して窒素バブリング(例えば毎分15ml、15分間)を行い、窒素フロー下(例えば毎分0.5ml)、加熱攪拌を続け(例えば80℃で6時間)、反応を終了する。得られた樹脂溶液から溶媒を蒸発させることで、共重合体からなる高分子分散剤が得られる。
ここで、重合開始剤としては、例えば、V−601,V−65、AIBN等が用いられる。
溶媒としては、前述のイソプロピルアルコール(IPA)の他、メトキシプロパノール、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルシリコーンオイル、トルエン等が用いられる。
なお、高分子分散剤における各構成単位の比率の調整は、重合に用いる各単量体の比率の調整によって行われる。
【0039】
[画像表示粒子]
本実施形態に係る画像表示粒子は、画像表示粒子本体と、画像表示粒子本体の表面に付着した高分子分散剤であって、上記本実施形態に係る高分子分散剤と、を有して構成されている。
【0040】
画像表示粒子本体としては、例えば、芯材粒子(以下、「コア粒子」と称する)と、コア粒子を被覆する被覆層と、を有して構成されている。なお、画像表示粒子本体は、被覆層を有さない構成(コア粒子単独の構成)であってもよい。
【0041】
(コア粒子)
コア粒子は、例えば樹脂(以下、「コア粒子の樹脂」と称する)と着色剤とを含んで構成される。なお、コア粒子は、着色剤の粒子単独で構成されていてもよい。但し、コア粒子を着色剤の粒子単独で構成する場合、被覆層を有するよい。
【0042】
−コア粒子の樹脂−
コア粒子の樹脂としては、画像表示粒子の製法上の観点から、水溶性樹脂又はアルコール可溶性樹脂であることがよい。なお、水溶性、アルコール可溶性とは、25℃において、対象物質が水又はアルコールに対して1質量%以上溶解することを意味する。
【0043】
コア粒子の樹脂は、非架橋の樹脂であっても、樹脂架橋体であってもよい。
コア粒子の樹脂を樹脂架橋体とするには、例えば、樹脂とは別途、架橋剤を添加して、樹脂を架橋させる方法が挙げられる。なお、架橋剤としては、例えば、ビニル化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、水分散型イソシアネート等の架橋剤が挙げられる。
樹脂架橋体を得るための架橋剤の使用量は、例えば、樹脂に対して、0.1質量%以上20質量%以下が望ましく、より望ましくは0.5質量%以上10質量%以下である。
【0044】
コア粒子の樹脂は、帯電性の樹脂(帯電基を有する樹脂)であっても、非帯電性の樹脂(帯電性基を有していない樹脂)であってもよいが、帯電量向上の観点から、帯電性の樹脂であることがよい。
つまり、コア粒子の樹脂は、非帯電性の樹脂または帯電性の樹脂のみから構成されていてもよく、非帯電性の樹脂と帯電性の樹脂の混合体または共重合体から構成されていてもよい。ただし、非帯電性の樹脂のみから構成される場合は、被覆層の樹脂に帯電性を付与することが必要になる。
【0045】
帯電性の樹脂としては、例えば、帯電性基を持つ重合成分の単独重合体、帯電性基を持つ重合成分と帯電性基を持たない重合成分との共重合体等が挙げられる。
一方、非帯電性の樹脂としては、例えば、帯電性基を持たない重合成分の単独重合体が挙げられる。
これら共重合体は、樹脂架橋体とする場合、反応性基(架橋性基)を持つ重合成分がさらに共重合されていてもよい。
なお、これら各重合成分は、1種単独でも、2種以上併用してもよい。
【0046】
ここで、帯電性基(例えば極性基;分極性の官能基)としては、塩基又は酸基が挙げられる。
帯電性基としての塩基(以下、カチオン性基)は、例えば、アミノ基、4級アンモニウム基が挙げられる(これら基の塩も含む)。これらカチオン性基は、例えば、粒子に正帯電極性を付与する傾向がある。
帯電性基としての酸基(以下、アニオン性基)は、例えば、フェノール基、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基及びテトラフェニルボロン基が挙げられる(これら基の塩も含む)。これらアニオン性基は、例えば、粒子に負帯電極性を付与する傾向がある。
帯電性基としては、その他、フッ素基、フェニル基、ヒドロキシル基、グリシジル基等も挙げられる。
【0047】
以下、各重合成分について説明する。
なお、以下の説明において、「(メタ)アクリレート」等の記述は、「アクリレート」及び「メタクリレート」等のいずれをも含む表現である。
【0048】
カチオン性基を持つ重合成分(以下、カチオン性重合成分)としては、例えば、以下のものが挙げられる。具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−オ クチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族アミノ基を持つ(メタ)アクリレート類;、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジオクチルアミノスチレン等の含窒素基を持つ芳香族置換エチレン系単量体類;、ビニル−N−エチル −N−フェニルアミノエチルエーテル、ビニル−N−ブチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、トリエタノールアミンジビニルエーテル、ビニルジフェニルアミノエチルエーテル、N−ビニルヒドロキシエチルベンズアミド、m−アミノフェニルビニルエーテル等の含窒素ビニルエーテル単量体類;、ビニルアミン、N−ビニルピロール等のピロール類;、N−ビニル−2−ピロリン、N−ビニル−3−ピロリン等のピロリン類;、N−ビニルピロリジン、ビニルピロリジンアミノエーテル、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリジン類;、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;、N−ビニルイミダゾリン等のイミダゾリン類;、N−ビニルインドール等のインドール類;、N−ビニルインドリン等のインドリン類;、N−ビニルカルバゾール、3,6−ジブロム−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール類;、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン類;、(メタ)アクリルピペリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン等のピペリジン類;、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン等のキノリン類;、N−ビニルピラゾール、N−ビニルピラゾリン等のピラゾール類;、2−ビニルオキサゾール等のオキサゾール類;、4−ビニルオキサジン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等のオキサジン類;などが挙げられる。
なお、カチオン性重合成分は、重合前又は重合後に4級アンモニウム塩化して塩構造を形成してもよい。4級アンモニウム塩化は、例えば、カチオン性基をアルキルハライド類やトシル酸エステル類と反応させることで実現される。
【0049】
アニオン性基を持つ重合成分(以下、アニオン性重合成分)としては、例えば、カルボキシル基を持つ重合成分、スルホン酸基を持つ重合成分、リン酸基を持つ重合成分等が挙げられる。
カルボキシル基を持つ重合成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、それらの無水物、そのモノアルキルエステルやカルボキシエチルビニルエーテル、カルボキシプロピルビニルエーテルの如きカルボキシル基を持つビニルエーテル類、及びその塩等が挙げられる。
スルホン酸基を持つ重合成分としては、例えば、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリックアシッドエステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコニックアシッドエステル等及びその塩が挙げられる。また、スルホン酸基を持つ重合成分としては、その他2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びその塩も挙げられる。
リン酸基を持つ重合成分としては、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
なお、アニオン性重合成分は、重合前若しくは重合後にアンモニウム塩化して塩構造を形成させてもよい。アンモニウム塩化は、例えば、アニオン性基を3級アミン類若しくは4級アンモニウムハイドロオキサイド類と反応させることで実現される。
【0050】
フッ素基を持つ重合成分としては、例えばフッ素基を持つ(メタ)アクリレートモノマーが挙げられ、具体的には、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチルトリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0051】
フェニル基を持つ重合成分としては、例えば、スチレン、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0052】
ヒドロキシル基を持つ重合成分としては、例えば、ヒドリキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等)、アリルアルコール、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられ、その他、グリシジル基を持つモノマーを共重合させたのち開環させたものや、t−ブトキシキなどを持つモノマーを重合したのち加水分解させることでOH基を導入したものも挙げられる。
【0053】
帯電性基を持たない重合成分としては、非イオン性重合成分(ノニオン性重合成分)が挙げられ、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、ビニルカルバゾール、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、等が挙げられる。
【0054】
コア粒子の樹脂の重量平均分子量としては、1000以上100万以下が望ましく、より望ましくは1万以上20万以下である。
【0055】
−着色剤−
着色剤としては、有機若しくは無機の顔料や、油溶性染料等が挙げられ、例えば、マグネタイト、フェライト等の磁性紛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。具体的には、着色剤としては、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等が代表的なものとして例示される。
【0056】
着色剤の配合量としては、コア粒子の樹脂に対して10質量%以上99質量%以下が望ましく、望ましくは30質量%以上99質量%以下である。
【0057】
−その他の配合材料−
コア粒子には、その他の配合材料を含んでいてもよい。
その他配合材料としては、例えば帯電制御材料、磁性材料が挙げられる。
帯電制御材料としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが使用でき、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRON E−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子を挙げられる。
【0058】
磁性材料としては、必要に応じてカラーコートした無機磁性材料や有機磁性材料を使用する。また、透明な磁性材料、特に、透明有機磁性材料は着色顔料の発色を阻害し難く、比重も無機磁性材料に比べて小さく、より望ましい。
着色した磁性材料(カラーコートした材料)として、例えば、特開2003−131420公報記載の小径着色磁性粉が挙げられる。核となる磁性粒子と該磁性粒子表面上に積層された着色層とを備えたものが用いられる。そして、着色層としては、顔料等により磁性粉を不透過に着色する等選定して差し支えないが、例えば光干渉薄膜を用いるのが好ましい。この光干渉薄膜とは、SiO
2やTiO
2等の無彩色材料を光の波長と同等な厚みを有する薄膜にしたものであり、薄膜内の光干渉により光の波長を選択的に反射するものである。
【0059】
(被覆層)
被覆層は、例えば、樹脂(以下、「被覆層の樹脂」と称する)を含んで構成される。
【0060】
−被覆層の樹脂−
被覆層の樹脂は、帯電性の樹脂が挙げられ、画像表示粒子の分散性向上の観点から、樹脂の重合成分としてシリコーン鎖を持つ重合成分が共重合されていてもよい。
被覆層の樹脂として具体的には、例えば、シリコーン鎖を持つ重合成分と、帯電性基を持つ重合成分と、必要に応じて、他の重合成分と、の共重合体からなる樹脂が挙げられる。
【0061】
ここで、被覆層の樹脂は、非架橋の樹脂であっても、樹脂架橋体であってもよい。
被覆層の樹脂の架橋させる方法としては、樹脂の重合成分として反応性基(架橋性基)を持つ重合成分を重合させ、樹脂を架橋させる方法、樹脂とは別途、架橋剤を添加して、樹脂を架橋させる方法が挙げられる。なお、架橋剤としては、例えば、ビニル化合物、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート等が挙げられる。
【0062】
シリコーン鎖を持つ重合成分(シリコーン鎖を持つ単量体)としては、例えば、高分子分散剤の重合成分として説明したシリコーン鎖を持つ重合成分と同様である。
帯電性基を持つ重合成分としては、コア粒子の樹脂の重合成分として説明した帯電性基を持つ重合成分と同様である。
【0063】
その他重合成分としては、帯電性基を持たない重合成分、反応性基を持つ重合成分挙げられる。
帯電性基を持たない重合成分としては、コア粒子の樹脂の重合成分として説明した帯電性基を持たない重合成分と同様である。
【0064】
反応性基(架橋性基)を持つ重合成分としては、例えば、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレート、イソシアネート基を有するイソシアネート系モノマー(例えば、昭和電工:カレンズAOI(2−イソシアナトエチルアクリラート)、カレンズMOI(2−イソシアナトエチルメタクリレート))、ブロックされたイソシアネート基を有するイソシアネート系モノマー(例えば、昭和電工:カレンズMOI−BM(メタクリル酸2−(0−[1’−メチルプロピリデンアミノ]カルボキシアミノ)エチル)、カレンズMOI−BP(2−[(3,5−ジメチルピラゾリル)カルボニルアミノ]エチルメタクリレート))等が挙げられる。
なお、ブロックされたイソシアネート基とは、例えば、イソシアネート基が置換基と反応した状態となっており、イソシアネート基が加熱によって脱離する置換基と反応し状態となっているものである。これにより、イソシアネート基の反応性が抑制され、加熱により置換基が離脱すると反応する状態となる。
このような被覆層の樹脂の重合成分として反応性基を持つ重合成分を用いると、被覆層の樹脂自体が架橋し、被覆層が樹脂架橋体で構成されることとなる。また、被覆層の樹脂の反応性基がコア粒子の表面の官能基と結合した状態で、被覆層がコア粒子に被覆されることなる。
【0065】
被覆層の樹脂において、シリコーン鎖を持つ重合成分は、全重合成分(全重合成分)に対して占めるモル比で1モル%以上30モル%以下が望ましく、より望ましくは5モル%以上20モル%以下である。
被覆層の樹脂は、帯電性基を持つ重合成分は、全重合成分(全重合成分)に対して占めるモル比で1モル%以上50モル%以下が望ましく、より望ましくは10モル%以上30モル%以下である。
被覆層の樹脂において、反応性基を持つ重合成分は、全重合成分(全重合成分)に対して占めるモル比で1モル%以上40モル%以下が望ましく、より望ましくは1モル%以上30モル%以下である。
【0066】
被覆層の樹脂の重量平均分子量としては、500以上100万以下が望ましく、より望ましくは1000以上100万以下である。
【0067】
−その他配合材料−
被覆層には、その他配合材料を含んでもよい。
その他配合材料としては、例えば、帯電制御剤や磁性材料等が挙げられる。
【0068】
−被覆層の特性−
被覆層は、コア粒子の表面に対する被覆量が、例えば、コア粒子に対して、0.5質量%以上10質量%以下、望ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。
【0069】
(画像表示粒子の特性)
本実施形態に係る画像表示粒子の平均粒径(体積平均粒径)は、例えば、0.1μm以上10μm以下であるが、用途に応じて選択され、これに限定されない。
平均粒径は、大塚電子株式会社製Photal FPAR−1000(動的光散乱式粒径分布測定装置)を用いて測定され、MARQUARDT法により解析が行われる。
【0070】
(画像表示粒子の製造方法)
本実施形態に係る画像表示粒子の製造方法の一例としては、例えば、次の製法が挙げられるが、これに限られるわけではない。
まず、コア粒子の樹脂、着色剤、及びその他配合材料を、第1溶媒に混合し、コア粒子の樹脂が溶解した混合液を調製する。
ここで、第1溶媒は、後述する第2溶媒(連続相を形成し得る貧溶媒)中で分散相を形成し得る良溶媒であり、第2溶媒よりも沸点が低く且つ、コア粒子の樹脂を溶解する溶媒から選択する。
第1溶媒としては、例えば、水、アルコール類(例えばイソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エタノール、ブタノール、メトキシプロパノール等)、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
【0071】
次に、得られた混合液を、第2溶媒と混合し、攪拌して、第2溶媒を連続相として混合液を乳化させ、乳化液を調製する。
そして、加熱等により、乳化液中の第1溶媒を除去(乾燥)して、コア粒子の樹脂を析出させ、これらと共に着色剤及びその他配合材料を含む粒状物として、コア粒子(第2溶媒に分散されたコア粒子)を得る。
ここで、第2溶媒は、分散相となる第1溶媒に対して連続相を形成し得る貧溶媒であり、第1溶媒よりも沸点が高く且つ、コア粒子の樹脂が不溶な溶媒から選択する。
第2溶媒としては、例えば、得られる画像表示粒子を分散させるための分散媒(シリコーンオイルを含む分散媒)が挙げられる。
そして、この第2溶媒に対して、乳化分散剤として、上記本実施形態に係る高分子分散剤を添加することがよい。
【0072】
次に、被覆層の樹脂とその他配合材料を、第3溶媒に混合し、被覆層の樹脂が溶解した混合液を調整する。
ここで、第3溶媒も、第2溶媒(連続相を形成し得る貧溶媒)中で分散相を形成し得る良溶媒であり、第2溶媒よりも沸点が低く且つ、被覆層の樹脂を溶解する溶媒から選択する。また、第3溶媒は、コア粒子の樹脂が不溶な溶媒から選択することがよい。
第3溶媒としても、例えば、水、アルコール類(例えばイソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エタノール、ブタノール、メトキシプロパノール等)、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
【0073】
次に、得られた混合液を、コア粒子が分散した第2溶媒と混合し、攪拌して、第2溶媒を連続相として混合液を乳化させ、乳化液を調製する。
そして、加熱等により、乳化液中の第3溶媒を除去(乾燥)して、コア粒子の表面に被覆層の樹脂を析出させ、これと共にその他配合材料を含む被覆層をコア粒子の表面に形成する。
その後、コア粒子及び被覆層を樹脂架橋体でする場合、樹脂を架橋化させるための加熱処理を行う。
【0074】
このようにして、コア粒子の表面に被覆層が形成された画像表示粒子を得ると共に、これを含む画像表示粒子分散液が得られる。
ここで、得られた画像表示粒子分散液に対し、必要に応じて、例えば、分散媒(溶媒)で希釈してもよい。なお、2種以上の画像表示粒子を含む画像表示粒子分散液を得るためには、それぞれの分散液を作製した後、これらを混合すればよい。
【0075】
[画像表示粒子分散液]
本実施形態に係る画像表示粒子分散液は、分散媒と、分散媒に分散された画像表示粒子であって、本実施形態に係る画像表示粒子と、を備える。
【0076】
分散媒は、シリコーンオイルを含んで構成される。無論、分散媒は、シリコーンオイルと、シリコーンオイル以外の溶媒と、の混合溶媒であってもよい。但し、混合溶媒の場合、シリコーンオイルは、主溶媒として50体積%以上含むことがよい。
【0077】
シリコーンオイルとして具体的には、シロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル等)が挙げられる。これらの中も、ジメチルシリコーンが特に望ましい。
【0078】
また、シリコーンオイル以外の溶媒としては、例えば、パラフィン系炭化水素溶媒、フッ素系液体などの他の石油由来高沸点溶媒が挙げられる。
【0079】
本実施形態に係る画像表示粒子分散液には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散剤、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよい。また、本実施形態に係る画像表示粒子分散液には、帯電制御剤を添加してもよい。
【0080】
本実施形態に係る画像表示粒子分散液中の画像表示粒子の濃度は、表示特性や応答特性あるいはその用途によって種々選択されるが0.1質量%以上30質量%以下の範囲で選択されることが望ましい。色の異なった粒子を混合する場合にはその粒子総量がこの範囲であると望ましい。
【0081】
本実施形態に係る画像表示粒子分散液は、画像表示方式の表示媒体、画像表示方式の調光媒体(調光素子)、液体現像方式電子写真システムの液体トナーなどに利用される。なお、画像表示方式の表示媒体、画像表示方式の調光媒体(調光素子)としては、公知である電極(基板)面の対向方向に粒子群を移動させる方式、それとは異なり電極(基板)面に沿った方向に移動させる方式(いわゆるインプレーン型素子)、又はこれらを組み合わせたハイブリッド素子がある。
なお、本実施形態に係る画像表示粒子分散液において、画像表示粒子として色や帯電極性の異なる複数種の粒子を混合して使用すれば、カラー表示が実現される。
【0082】
[表示媒体、表示装置]
以下、実施形態に係る表示媒体、及び表示装置の一例について説明する。
【0083】
図1は、本実施形態に係る表示装置の概略構成図である。
図2は、本実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。
【0084】
本実施形態に係る表示装置10は、その表示媒体12の分散媒50と粒子群34とを含む粒子分散液として、上記本実施形態に係る画像表示粒子分散液を適用する形態である。つまり、分散媒50に、粒子群34として本実施形態に係る画像表示粒子を分散させた形態である。
【0085】
本実施形態に係る表示装置10は、
図1に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18と、を含んで構成されている。
【0086】
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板20、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22、これらの基板間を特定間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との基板間を複数のセルに区画する間隙部材24、各セル内に封入された粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する反射粒子群36を含んで構成されている。
【0087】
上記セルとは、表示基板20と、背面基板22と、間隙部材24と、によって囲まれた領域を示している。このセル中には、分散媒50が封入されている。粒子群34は、複数の粒子から構成されており、この分散媒50中に分散され、セル内に形成された電界強度に応じて表示基板20と背面基板22との基板間を反射粒子群36の間隙を通じて移動する。
【0088】
なお、この表示媒体12に画像を表示したときの各画素に対応するように間隙部材24を設け、各画素に対応するようにセルを形成することで、表示媒体12を、画素毎の表示を行うように構成してもよい。
【0089】
また、本実施形態では、説明を簡易化するために、1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0090】
まず、一対の基板について説明する。
表示基板20は、支持基板38上に、表面電極40及び表面層42を順に積層した構成となっている。背面基板22は、支持基板44上に、背面電極46及び表面層48を積層した構成となっている。
【0091】
表示基板20、又は表示基板20と背面基板22との双方は、透光性を有している。ここで、本実施形態における透光性とは、可視光の透過率が60%以上であることを示している。
【0092】
支持基板38及び支持基板44の材料としては、ガラスや、プラスチック、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
【0093】
表面電極40及び背面電極46の材料としては、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等が挙げられる。表面電極40及び背面電極46は、これらの単層膜、混合膜又は複合膜のいずれであってもよい。表面電極40及び背面電極46の厚さは、例えば、100Å以上2000Å以下であることがよい。背面電極46及び表面電極40は、例えば、マトリックス状、又はストライプ状に形成されていてもよい。
【0094】
また、表面電極40を支持基板38に埋め込んでもよい。また、背面電極46を支持基板44に埋め込んでもよい。この場合、支持基板38及び支持基板44の材料を粒子群34の各粒子の組成等に応じて選択する。
【0095】
なお、背面電極46及び表面電極40各々を表示基板20及び背面基板22と分離させ、表示媒体12の外部に配置してもよい。
【0096】
なお、上記では、表示基板20と背面基板22の双方に電極(表面電極40及び背面電極46)を備える場合を説明したが、何れか一方にだけ設けるようにして、アクティブマトリクス駆動させるようにしてもよい。
【0097】
また、アクティブマトリックス駆動を実施するために、支持基板38及び支持基板44は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)を備えていてもよい。TFTは表示基板ではなく背面基板22に備えることがよい。
【0098】
次に、表面層について説明する。
表面層42及び表面層48は、表面電極40及び背面電極46各々上に形成されている。表面層42及び表面層48を構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0099】
表面層42及び表面層48は、上記樹脂と電荷輸送物質を含んで構成されていてもよく、電荷輸送性を有する自己支持性の樹脂を含んで構成されてもよい。
【0100】
次に、間隙部材について説明する。
表示基板20と背面基板22との基板間の隙を保持するための間隙部材24は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で構成される。
【0101】
間隙部材24は表示基板20及び背面基板22の何れか一方と一体化されてもよい。この場合には、支持基板38又は支持基板44をエッチングするエッチング処理、レーザー加工処理、予め作製した型を使用してプレス加工処理又は印刷処理等を行うことによって作製する。
この場合、間隙部材24は、表示基板20側、背面基板22側のいずれか、又は双方に作製する。
【0102】
間隙部材24は有色でも無色でもよいが、無色透明であることがよく、その場合には、例えば、ポリスチレンやポリエステルやアクリルなどの透明樹脂等で構成される。
【0103】
また、粒子状の間隙部材24もまた透明であることが望ましく、ポリスチレン、ポリエステル又はアクリル等の透明樹脂粒子の他、ガラス粒子も使用される。
なお、「透明」とは、可視光に対して、透過率60%以上有することを示している。
【0104】
次に、反射粒子群について説明する。
反射粒子群36は、粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する反射粒子から構成され、粒子群34とは異なる色を表示する反射部材として機能するものである。そして、表示基板20と背面基板22との基板間の移動を阻害することなく、移動させる空隙部材としての機能も有している。すなわち、反射粒子群36の間隙を通って、背面基板22側から表示基板20側、又は表示基板20側から背面基板22側へ粒子群34の各粒子は移動される。この反射粒子群36の色としては、例えば、背景色となるように白色又は黒色を選択することがよいが、その他の色であってもよい。また、反射粒子群36は、帯電されていない粒子群(つまり電界に応じて移動しない粒子群)であってもよいし、帯電されている粒子群(電界に応じて移動する粒子群)であってもよい。なお、本実施形態では、反射粒子群36は、帯電されていない粒子群で、白色である場合を説明するが、これに限定されることはない。
【0105】
反射粒子群36の粒子は、例えば、白色顔料(例えば酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛など)を、樹脂(例えばポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド縮合物等)に分散した粒子、又は、樹脂粒子(例えば、ポリスチレン粒子、ポリビニルナフタレン粒子、ビスメラミン粒子等)が挙げられる。また、反射粒子群36の粒子として、白色以外の粒子を適用する場合、例えば、所望の色の顔料、あるいは染料を内包した前記した樹脂粒子を使用してもよい。顔料や染料は、例えばRGBやYMC色であれば、印刷インキやカラートナーに使用されている一般的な顔料又は染料が挙げられる。
【0106】
反射粒子群36を基板間へ封入するには、例えば、インクジェット法などにより行う。また、反射粒子群36を固定化する場合、例えば、反射粒子群36を封入した後、加熱(及び必要があれば加圧)して、反射粒子群36の粒子群表層を溶かすことで、粒子間隙を維持させつつ行われる。
【0107】
次に、表示媒体のその他構成について説明する。
表示媒体12におけるセルの大きさとしては、表示媒体12の解像度と密接な関係にあり、セルが小さいほど高解像度な画像を表示する表示媒体12を作製することができ、通常、表示媒体12の表示基板20の板面方向の長さが10μm以上1mm以下程度である。
【0108】
なお、セル中の全質量に対する粒子群34の含有量(質量%)としては、所望の色相が得られる濃度であれば特に限定されるものではなく、セルの厚さ(すなわち、表示基板20と背面基板との基板間の距離)により含有量を調整することが、表示媒体12としては有効である。即ち、所望の色相を得るために、セルが厚くなるほど含有量は少なくなり、セルが薄くなるほど含有量を多くでき得る。一般的には、0.01質量%以上50質量%以下である。
【0109】
表示基板20及び背面基板22を、間隙部材24を介して互いに固定するには、ボルトとナットの組み合わせ、クランプ、クリップ、基板固定用の枠等の固定手段を使用する。また、接着剤、熱溶融、超音波接合等の固定手段も使用してもよい。
【0110】
このように構成される表示媒体12は、例えば、画像の保存及び書換えがなされる掲示板、回覧版、電子黒板、広告、看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、及び複写機・プリンタと共用するドキュメントシート等に使用する。
【0111】
上記に示したように、本実施形態に係る表示装置10は、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18とを含んで構成されている(
図1参照)。
【0112】
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、表面電極40及び背面電極46の双方が、電圧印加部16に電気的に接続されている場合を説明するが、表面電極40及び背面電極46の一方が、接地されており、他方が電圧印加部16に接続された構成であってもよい。
【0113】
電圧印加部16は、制御部18に信号授受されるように接続されている。
【0114】
制御部18は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、装置全体を制御する制御プログラム等の各種プログラムが予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、を含むマイクロコンピュータとして構成されていてもよい。
【0115】
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部18の制御に応じた電圧を表面電極40及び背面電極46間に印加する。
【0116】
次に、表示装置10の作用を説明する。この作用は制御部18の動作に従って説明する。
【0117】
ここで、表示媒体12に封入されている粒子群34が正極性に帯電されている場合を説明する。また、分散媒50は透明であり、反射粒子群36が白色であるものとして説明する。すなわち、本実施形態では、表示媒体12は、粒子群34の移動によって、その呈する色を表示し、その背景色として反射粒子群36による白色を表示する場合を説明する。
なお、下記動作は、説明上、粒子群34が背面基板22側へ付着した状態からの動作について説明する。
【0118】
まず、電圧を、特定時間、表面電極40が負極となり背面電極46が正極となるように印加することを示す動作信号を、電圧印加部16へ出力する。
図2(A)に示す状態から、電極間に印加する電圧を上昇させ、表面電極40が負極で且つ濃度変動が終了する閾値電圧以上の電圧が印加されると、粒子群34の凝集力が低減された状態で、正極に帯電している粒子群34を構成する粒子が表示基板20側へと移動して、表示基板20に至る(
図2(B)参照)。
【0119】
そして、電極間への印加を終了すると、粒子群34が表面基板20側で拘束され、粒子群34の呈する色が、反射粒子群36の色としての白色を背景色とし表示基板20側から視認される表示媒体12の色として視認される。
【0120】
次に、表面電極40と背面電極46との電極間に、電圧を、特定時間、表面電極40が正極となり背面電極46が負極となるように印加することを示す動作信号を、電圧印加部16へ出力する。電極間に印加する電圧を上昇させ、表面電極40が正極で且つ濃度変動が終了する閾値電圧以上の電圧が印加されると、粒子群34の凝集力が低減された状態で、正極に帯電している粒子群34を構成する粒子が背面基板22側へと移動して、背面基板22に至る(
図2(A)参照)。
【0121】
そして、電極間への印加を終了すると、粒子群34が背面基板22側で拘束される一方で、反射粒子群36の色としての白色が、表示基板20側から視認される表示媒体12の色として視認される。なお、粒子群34は、反射粒子群36に隠蔽され、視認され難くなる。
【0122】
ここで、電極間への電圧印加時間は、動作中の電圧印加における電圧印加時間を示す情報として、予め制御部18内の図示を省略するROM等のメモリ等に記憶しておけばよい。そして、処理実行のときに、この電圧印加時間を示す情報を読み取るようにすればよい。
【0123】
このように、本実施形態に係る表示装置10では、粒子群34が表示基板20又は背面基板22に到達して、付着・凝集することで表示が行われる。
【0124】
なお、上記本実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10では、表示基板20に表面電極40、背面基板22に背面電極46を設けて当該電極間(即ち基板間)に電圧を印加して、当該基板間を粒子群34を移動させて表示させる形態を説明したがこれに限られず、例えば、表示基板20に表面電極40を設ける一方で、間隙部材に電極を設けて、当該電極間に電圧を印加して、表示基板20と間隙部材との間を粒子群34を移動させて表示させる形態であってもよい。
【0125】
また、上記本実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10では、粒子群34として1種類(1色)の粒子群を適用した形態を説明したが、これに限られず、帯電極性が異なる又は閾値電圧の異なる組み合わせで、2種類(2色)以上の粒子群を適用した形態であってもよい。
具体的には、例えば、粒子群34として、正帯電性の第1粒子群、負帯電性の第2粒子群、正帯電性で、第1粒子群の粒子とは閾値電圧が異なり、且つ粒径が大きい第3粒子群を適用した形態が挙げられる。
【実施例】
【0126】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお、文中、特に断りがない限り、「部」「%」は、「質量部」「質量%」を意味する。
【0127】
[実施例1]
1‐メトキシ−2−プロパノールに、表1に従って全重合成分に対するモル比(モル%)で、シリコーン鎖を持つ重合成分として「サイラプレーンFM−0711(チッソ社製)」と、疎水性の重合成分としてメタクリル酸メチルと、ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分としてメトキシポリ(エチレングリコール)9メタクリレート(新中村化学社製)と、親水性の重合成分としてメタクリル酸と、を溶解すると共に、重合開始剤(ジメチル−2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート「V−601」、和光純薬社製)を全重合成分に対する比率で1.5モル%溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去し、80℃で重合を行った。途中、重合開始2時間後、4時間後に重合開始剤(V−601)を全重合成分に対する比率で1.5モル%追添し、合計6時間重合した。重合後、精製処理および乾燥を行い高分子分散剤(1)を得た。
【0128】
[実施例2〜14、比較例1〜17]
表1及び表2に従って、重合成分、その比率を変更した以外は、実施例1の高分子分散剤(1)と同様にして、各高分子分散剤を得た。
但し、比較例7は、比較高分子分散剤(7)として「KF−6028(信越化学工業(株)製)」を採用した。
【0129】
[評価]
各例で得られた高分子分散剤について、分子量の測定、乳化安定性評価を行った。但し、比較例8〜10、16〜17で得られた比較高分子分散剤(8)〜(10)、(16)〜(17)は、シリコーンオイルに不溶であったため、分子量の測定、乳化安定性評価を行わなかった。
【0130】
−分子量−
高分子分散剤の重量平均分子量(Mwと表記)、数平均分子量(Mwと表記)について、サイズ排除カラムクロマトグラフィーにより測定により測定した。
【0131】
−乳化安定性評価−
乳化安定性評価は、次のようにして行った。
1質量%の高分子分散剤を溶解したシリコンオイル2gに分散相を0.05g加え、超音波洗浄機(30℃以上35℃以下の範囲)で3min超音波照射を行った直後の様子を顕微鏡で観察し、分散性、及び安定性評価を実施した。
評価基準は、以下の通りである。
【0132】
−分散性評価(粒径評価)−
◎:粒径が10μm未満
○:粒径が20μm未満10μm以上
×:粒径が50μm未満20μm以上
××:造粒不可、又は粒径が50μm以上
−安定性評価−
◎:1日経過後、振とうで再分散可
○:顕微鏡観察下1分間で凝集なし
×:顕微鏡観察下1分間で凝集が1回以上
××: 造粒不可
【0133】
[実施例101]
コア粒子の樹脂としてスチレン/アクリル系樹脂X345(星光PMC社製)50質量部、着色剤としてシアン顔料(「H525F(山陽色素社製)」)50質量部に、これら全体が15質量%となるように水を添加して水分散液を調製した。
次に、シリコーンオイル「KF−96−2CS(信越化学工業社製)」)99質量部に、高分子分散剤(1)1質量部に添加し、シリコーンオイル溶液を調整した。
【0134】
次に、得られた水分散液を分散相とし、シリコーンオイル溶液を連続相として、これらを質量比(連続相:分散相)10:1で混合し、ホモジナイザーで乳化を行って、乳化液を調製した。
次に、得られた乳化液に対して、エバポレーターにより60℃で6時間乾燥し、乳化液中の水を除去して、コア粒子の分散液を得た。得られたコア粒子は、平均粒径0.6μmで、C.V.値(単分散性を示す指標:Coefficient of Variation:CV[%]=(σ/D)×100(σ:標準偏差、D:平均粒径))25%であった。
次に、液中で分散されたコア粒子を、シリコーンオイルを用いて、10質量%のコア粒子分散液を調製した。
【0135】
次に、シリコーン鎖を持つ重合成分として「サイラプレーンFM−0721(チッソ社製)」と、帯電基を持つ重合成分としてフェノキシポリエチレングリコールアクリレートAMP−10G(新中村化学製)と、及びHEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、反応性基(架橋性基)を持つ重合成分としてイソシアネート系モノマー(ブロック化されたイソシアネート基を有するイソシアネート系モノマー「カレンズMOI−BP(昭和電工社製)」との共重合体(モル比3/26/69/2)を準備した。これを被覆層の樹脂とした。
次に、この被覆層の樹脂2gをt−ブタノールに添加し、10質量%溶液(以下t―ブタノール10質量%溶液)を調整した。
【0136】
次に、コア粒子分散液10gに、t―ブタノール10g、t―ブタノール10質量%溶液20g、シリコーンオイル18gを2ml/sの滴下速度で順次添加して、攪拌した後、エバポレーターにより50℃で1時間乾燥し、コア粒子分散液中のt―ブタノールを除去して、被覆層の樹脂をコア粒子の析出させ、コア粒子の表面に被覆層を形成した粒状物を得た。
次に、この粒子分散液を130℃で1時間加熱して、コア粒子及び被覆層を構成する樹脂を架橋させた。
冷却後、得られた粒子懸濁液を6,000rpmで15分間遠心分離し、上澄み液を除去した後、シリコーンオイルを用いて、再分散させる洗浄工程を3回繰り返した。このようにして粒子を0.6g得た。
【0137】
以上の工程を経て、コア粒子の表面に被覆層を形成した画像表示粒子本体と共に、画像表示粒子本体に高分子分散剤が付着した画像表示粒子分散液を得た。
【0138】
【表1】
【0139】
【表2】
【0140】
上記結果から、実施例1〜14では、比較例1〜7、11〜15に比べ、乳化安定性が高いことがわかる。
また、実施例101では、コア粒子の造粒が実現されており、画像表示粒子の分散安定性が高いことがわかる。
【0141】
なお、表1及び表2中の略称等の詳細は、以下の通りである。
−シリコーン鎖を持つ重合成分−
・FM−0711:「サイラプレーンFM−0711(チッソ社製)」、重量平均分子量Mw=1,000、構造式1[R
1=メチル基、R
1’=メチル基、n=10、x=3]
【0142】
−疎水性の重合成分−
・MMA:メタクリル酸メチル
【0143】
−ポリアルキレングリコール構造を持つ重合成分−
・M−90G:メトキシポリ(エチレングリコール)9メタクリレート「NKエステル M−90G(新中村化学)社製」、重量平均分子量Mw=468
【0144】
−親水性の重合成分−
・MAA:メタクリル酸
・HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート
【0145】
−その他−
・KF−06028:シリコーン主鎖にポリエチレンオキシ基のグラフト鎖が連結したシリコーン系高分子分散剤「KF−06028(信越化学工業(株)製)」