(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記第1、第2の絶縁性接着剤層の硬化系が、カチオン硬化系、アニオン硬化系又はラジカル硬化系のいずれかである請求項1〜4のいずれか1項に記載の異方性導電フィルム。
上記第1の絶縁性接着剤層と上記導電性粒子との間、又は上記第2の絶縁性接着剤層と上記導電性粒子との間の何れかの部位に液状組成物が設けられる請求項1〜7のいずれか1項に記載の異方性導電フィルム。
開口を有する型の上記開口に導電性粒子を配列させ、上記型の上記導電性粒子が配列された面に、光硬化型の接着剤層が剥離基材に支持された接着フィルムの上記接着剤層をラミネートし、
上記剥離基材の上面から上記接着剤層を上記型に加圧し、上記接着剤層を上記開口に押し込み、
上記接着フィルムを上記型から剥離して、上記接着剤層の表面に上記導電性粒子を上記表面より一部露出させて貼着させるとともに上記型に応じた凹凸形状が成型された導電性粒子含有層を形成し、
上記導電性粒子含有層の凹凸形状が形成された表面に光を照射して、上記表面を硬化させ、
上記導電性粒子含有層の上記表面に第1の絶縁性接着剤層をラミネートし、上記導電性粒子含有層と上記第1の絶縁性接着剤層との間に気泡を含有させ、
上記導電性粒子含有層の上記表面と反対側の裏面に第2の絶縁性接着剤層をラミネートする異方性導電フィルムの製造方法。
上記導電性粒子含有層は、上記第2の絶縁性接着剤層と接する、上記導電性粒子の下部の硬化度が他の部位の硬化度よりも低い請求項11又は請求項12に記載の異方性導電フィルムの製造方法。
上記型の上記導電性粒子が配列された上記面に上記接着フィルムをラミネートする前における該面、又は上記導電性粒子含有層の上記表面に第1の絶縁性接着剤層をラミネートする前における該表面に、極微量の液体組成物を塗布又は噴霧する請求項11〜13のいずれかに記載の異方性導電フィルムの製造方法。
請求項1〜10のいずれか1項に記載の異方性導電フィルムを用いて、第1の電子部品の端子と第2の電子部品の端子とが異方性導電接続された接続体の製造方法において、
上記第1の電子部品上に上記異方性導電フィルムの上記第1の絶縁性接着剤層を仮貼りし、
上記第2の絶縁性接着剤層上に上記第2の電子部品を仮搭載し、
上記第2の電子部品上から加熱押圧又は光照射で接合する接続体の製造方法。
【背景技術】
【0002】
従来から、テレビやPCモニタ、携帯電話、タブレットPC、携帯型ゲーム機あるいは車載用モニタ等の各種表示手段として、液晶表示装置が多く用いられている。近年、このような液晶表示装置においては、ファインピッチ化、軽量薄型化等の観点から、液晶駆動用ICを直接液晶表示パネルの基板上に実装するいわゆるCOG(chip on glass)や、液晶駆動回路が形成されたフレキシブル基板を直接液晶表示パネルの基板上に実装するいわゆるFOG(film on glass)が採用されている。
【0003】
例えばCOG実装方式が採用された液晶表示装置100は、
図10に示すように、液晶表示のための主機能を果たす液晶表示パネル104を有しており、この液晶表示パネル104は、ガラス基板等からなる互いに対向する二枚の透明基板102,103を有している。そして、液晶表示パネル104は、これら両透明基板102,103が枠状のシール105によって互いに貼り合わされるとともに、両透明基板102,103およびシール105によって囲繞された空間内に液晶106が封入されたパネル表示部107が設けられている。
【0004】
透明基板102,103は、互いに対向する両内側表面に、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる縞状の一対の透明電極108,109が、互いに交差するように形成されている。そして、両透明基板102,103は、これら両透明電極108,109の当該交差部位によって液晶表示の最小単位としての画素が構成されるようになっている。
【0005】
両透明基板102,103のうち、一方の透明基板103は、他方の透明基板102よりも平面寸法が大きく形成されており、この大きく形成された透明基板103の縁部103aには、透明電極109の端子部109aが形成されている。また、両透明電極108,109上には、所定のラビング処理が施された配向膜111,112が形成されており、この配向膜111,112によって液晶分子の初期配向が規制されるようになっている。さらに、両透明基板108,109の外側には、一対の偏光板118,119が配設されており、これら両偏光板118,119によってバックライト等の光源120からの透過光の振動方向が規制されるようになっている。
【0006】
端子部109a上には、異方性導電フィルム114を介して液晶駆動用IC115が熱圧着されている。異方性導電フィルム114は、熱硬化型のバインダー樹脂に導電性粒子を混ぜ込んでフィルム状としたもので、2つの導体間で加熱圧着されることにより導電粒子で導体間の電気的導通がとられ、バインダー樹脂にて導体間の機械的接続が保持される。液晶駆動用IC115は、画素に対して液晶駆動電圧を選択的に印加することにより、液晶の配向を部分的に変化させて所定の液晶表示を行うことができるようになっている。なお、異方性導電フィルム114を構成する接着剤としては、通常、最も信頼性の高い熱硬化性の接着剤を用いるようになっている。
【0007】
このような異方性導電フィルム114を介して液晶駆動用IC115を端子部109aへ接続する場合は、先ず、透明電極109の端子部109a上に異方性導電フィルム114を図示しない仮圧着手段によって仮圧着する。続いて、異方性導電フィルム114上に液晶駆動用IC115を載置した後、
図11に示すように熱圧着ヘッド等の熱圧着手段121によって液晶駆動用IC115を異方性導電フィルム114とともに端子部109a側へ押圧しつつ熱圧着手段121を発熱させる。この熱圧着手段121による発熱によって、異方性導電フィルム114は熱硬化反応を起こし、これにより、異方性導電フィルム114を介して液晶駆動用IC115が端子部109a上に接着される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る異方性導電フィルム、異方性導電フィルムの製造方法、接続体の製造方法、及び接続方法の一実施形態について、液晶表示装置の製造に適用した場合を例に、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0021】
[液晶表示装置]
本発明に係る異方性導電フィルムの一実施形態を用いて製造された接続体である液晶表示装置は、いわゆるCOG(chip on glass)実装によって液晶駆動用ICが直接液晶表示パネルの基板上に実装され、また、いわゆるFOG(film on glass)実装によって液晶駆動回路が形成されたフレキシブル基板が直接液晶表示パネルの基板上に実装される。
【0022】
液晶表示装置は、
図1に示すように、液晶表示のための主機能を果たす液晶表示パネル10を有する。この液晶表示パネル10は、上記液晶表示パネル104と同様に、ガラス基板等からなる二枚の透明基板11,12が対向配置され、これら透明基板11,12が枠状のシール13によって互いに貼り合わされている。そして、液晶表示パネル10は、透明基板11,12によって囲繞された空間内に液晶14が封入されることによりパネル表示部15が形成されている。
【0023】
透明基板11,12は、互いに対向する両内側表面に、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる縞状の一対の透明電極16,17が、互いに交差するように形成されている。そして、両透明基板16,17は、これら両透明電極16,17の当該交差部位によって液晶表示の最小単位としての画素が構成されるようになっている。
【0024】
両透明基板11,12のうち、一方の透明基板12は、他方の透明基板11よりも平面寸法が大きく形成されており、この大きく形成された透明基板12の縁部12aには、液晶駆動用IC等の電子部品18が実装されるCOG実装部20が設けられ、またCOG実装部20の外側近傍には、液晶駆動回路が形成されたフレキシブル基板21が実装されるFOG実装部22が設けられている。
【0025】
なお、液晶駆動用ICや液晶駆動回路は、画素に対して液晶駆動電圧を選択的に印加することにより、液晶の配向を部分的に変化させて所定の液晶表示を行うことができるようになっている。
【0026】
各実装部20,22には、透明電極17の端子部17aが形成されている。端子部17a上には、異方性導電フィルム23を介して液晶駆動用IC等の電子部品18やフレキシブル基板21が熱圧着される。異方性導電フィルム23は、導電性粒子を含有しており、電子部品18やフレキシブル基板21の電極と透明基板12の縁部12aに形成された透明電極17の端子部17aとを、導電性粒子を介して電気的に接続させるものである。この異方性導電フィルム23は、熱硬化型接着剤であり、一例として、後述する加熱押圧ヘッド3により熱圧着されることにより、導電性粒子が押し潰された状態で硬化し、透明基板12と電子部品18やフレキシブル基板21とを接続させる。
【0027】
また、両透明電極16,17上には、所定のラビング処理が施された配向膜24が形成されており、この配向膜24によって液晶分子の初期配向が規制されるようになっている。さらに、両透明基板11,12の外側には、一対の偏光板25,26が配設されており、これら両偏光板25,26によってバックライト等の光源(図示せず)からの透過光の振動方向が規制されるようになっている。
【0028】
[異方性導電フィルム]
次いで、異方性導電フィルム23について説明する。異方性導電フィルム23は、
図2に示すように、第1の絶縁性接着剤層30と、第2の絶縁性接着剤層31と、第1の絶縁性接着剤層30及び第2の絶縁性接着剤層31に挟持され、導電性粒子32が絶縁性接着剤33に含有された導電性粒子含有層34とを有する。
【0029】
[第1、第2の絶縁性接着剤層]
第1、第2の絶縁性接着剤層30,31は、いずれも熱硬化性の接着剤であり、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤とを含有する有機樹脂バインダーが剥離基材35,36に支持されてなる。また、第1、第2の絶縁性接着剤層30,31は、熱硬化性と光硬化性を共に含む接着剤でもよく、光硬化性の接着剤のみでもよい。この場合でも、膜形成樹脂等は公知の材料を使用できる。剥離基材35,36についても同様である。
【0030】
膜形成樹脂は、平均分子量が10000以上の高分子量樹脂に相当し、フィルム形成性の観点から、10000〜80000程度の平均分子量であることが好ましい。膜形成樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂などの種々の樹脂が挙げられ、これらは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも膜形成状態、接続信頼性などの観点からフェノキシ樹脂が好適に用いられる。
【0031】
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、市販のエポキシ樹脂や常温で流動性を有する液状エポキシ樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
【0032】
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂や、ゴム、ウレタン等の各種変成エポキシ樹脂等が例示され、これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。また、液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂などを用いることができ、これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
【0033】
アクリル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じてアクリル化合物、液状アクリレート等を適宜選択することができる。例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、エポキシアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、テトラメチレングリコールテトラアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等を挙げることができる。なお、アクリレートをメタクリレートにしたものを用いることもできる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
硬化剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱や光により活性化する潜在性硬化剤を用いることができる。潜在性硬化剤としては、例えば、スルホニウム塩などのカチオン系硬化剤、ポリアミン、イミダゾールなどのアニオン系硬化剤、有機過酸化物などのラジカル系硬化剤などが挙げられる。
【0035】
その他の添加組成物として、シランカップリング剤を添加することが好ましい。シランカップリング剤としては、エポキシ系、アミノ系、メルカプト・スルフィド系、ウレイド系などを用いることができる。これらの中でも、本実施の形態では、エポキシ系シランカップリング剤が好ましく用いられる。これにより、有機材料と無機材料の界面における接着性を向上させることができる。また、無機フィラーを添加させてもよい。無機フィラーとしては、シリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を用いることができ、無機フィラーの種類は特に限定されるものではない。無機フィラーの含有量により、流動性を制御し、粒子捕捉率を向上させることができる。また、ゴム成分なども接合体の応力を緩和させる目的で、適宜使用することができる。
【0036】
第1、第2の絶縁性接着剤層30,31は、これら膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤、その他の添加剤を有機溶剤によって溶解することにより得た有機樹脂バインダーを剥離基材35,36上に塗布し、有機溶剤を揮発させることにより形成される。なお、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤、その他の添加剤を配合する際、これらを溶解させる有機溶剤としては、トルエン、酢酸エチル、又はこれらの混合溶剤、その他各種有機溶剤を用いることができる。
【0037】
剥離基材35,36としては、異方性導電フィルム(ACF)において一般に用いられている例えばポリエチレンテレフタレートフィルム等の基材を使用することができる。
【0038】
[導電性粒子含有層]
第1の絶縁性接着剤層30及び第2の絶縁性接着剤層31は、導電性粒子含有層34を挟持する。導電性粒子含有層34は、紫外線硬化型の接着剤であり、膜形成樹脂と、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、導電性粒子32とを含有する。
【0039】
導電性粒子含有層34を構成する膜形成樹脂、熱硬化性樹脂、硬化剤、その他の添加剤としては、上述した第1、第2の絶縁性接着剤層30,31と同様のものを用いることができる。
【0040】
導電性粒子32としては、異方性導電フィルムにおいて使用されている公知の何れの導電性粒子を挙げることができる。導電性粒子32としては、例えば、ニッケル、鉄、銅、アルミニウム、錫、鉛、クロム、コバルト、銀、金等の各種金属や金属合金の粒子、金属酸化物、カーボン、グラファイト、ガラス、セラミック、プラスチック等の粒子の表面に金属をコートしたもの、或いは、これらの粒子の表面にさらに絶縁薄膜をコートしたもの等が挙げられる。樹脂粒子の表面に金属をコートしたものである場合、樹脂粒子としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル・スチレン(AS)樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジビニルベンゼン系樹脂、スチレン系樹脂等の粒子を挙げることができる。
【0041】
導電性粒子含有層34は、第1の絶縁性接着剤層30と接する一面34aに、後述する金型50の開口51のパターンに応じて、凹凸パターン40が形成されている。凹凸パターン40の凸部40aには導電性粒子32が配設されている。すなわち、導電性粒子含有層34は、凹凸パターン40に応じて、導電性粒子32が単層かつ規則的に配設されている。また、凹凸パターン40の凸部40aには、導電性粒子32の頂部が露出し、第1の絶縁性接着剤層30と接している。
【0042】
[硬化度]
また、導電性粒子含有層34は、後述するように、導電性粒子32が転着された後、一面34aに予め紫外線が照射され、その後に第1の絶縁性接着剤層30がラミネートされる。したがって、導電性粒子含有層34は、一面34a側の硬化反応が進行している。また、導電性粒子含有層34は、紫外光が遮られる導電性粒子32の下部、すなわち、導電性粒子32より第2の絶縁性接着剤層31と接する他面34b側の硬化度は、他の部位の硬化度よりも低い。
【0043】
[気泡]
導電性粒子含有層34は、第1の絶縁性接着剤層30との間に気泡41が含有されている。気泡41は、異方性導電フィルム23を用いた電子部品18の接続後に、異方性導電フィルム23における内部応力を緩和させ、これにより透明基板12の反りを防止するものである。すなわち、異方性導電フィルム23は、各層30,31,34の接着剤成分の硬化収縮に伴い応力が発生するが、導電性粒子含有層34と第1の絶縁性接着剤層30との間に含有された気泡41による応力緩和作用によって透明基板12の反りを抑制することができる。
【0044】
この際、気泡41の位置は導電性粒子32の近傍にあり、当該導電性粒子32に接触しない位置にあることが望ましい。これは接続時には導電性粒子32に応力が集中しやすいことと関係する。気泡41が導電性粒子32に近すぎる場合には、応力変化が急峻する懸念があるため、適度に距離を持って設けられている方が比較的望ましい。この距離は、最も近接する導電性粒子32の粒子径の0.2倍より大きくなることが好ましく、より好ましくは0.3倍より大きくなることである。この場合、気泡41と導電性粒子32との距離の上限を設けないのは、導電性粒子32が配列されているためであり、その粒子間距離によって上限が変動することが理由として挙げられる。なお、ここで言及する気泡41と導電性粒子32との距離とは、気泡41の端部と導電性粒子32の端部との最短距離を示すものとする。
【0045】
また、最隣接している導電性粒子32の距離が粒子径の2倍以上に離れている場合では、導電性粒子32と気泡41の距離は、その中間の領域に存在していることが望ましい。この場合でも、気泡41は、一方の導電性粒子32から粒子径の0.2倍離れていることが好ましく、より好ましくは0.3倍より離れていることがより好ましい。さらに、気泡41は、導電性粒子32の粒子間の中央領域において、その中間点から粒子間距離の0.4倍以内の範囲に存在していることが好ましく、より好ましくは0.3倍以内の範囲に存在していることが好ましい。なお、この場合における気泡41の存在範囲は、当該中間点を基点としているため、最大で0.5倍となる。
【0046】
気泡41は、導電性粒子含有層34の一面34aが紫外線照射によって硬化され、その後に第1の絶縁性接着剤層30がラミネートされることにより、当該一面34aに形成されている凹凸パターン40の凹部40bと第1の絶縁性接着剤層30との間に含有される。また、気泡41は、凹凸パターン40の凹部40bの配列に応じて、導電性粒子含有層34と第1の絶縁性接着剤層30との間に規則的に内包される。この際、気泡41及び導電性粒子32は複数混在しているが、必ずしも気泡41と導電性粒子32のそれぞれの距離が等しく配置されている必要はない。また、気泡41の群は直線状や曲線的に存在してもよく、このような線が交わった格子状になっていてもよい。また、このような気泡群内の間隔は一定でなくてもよく、間欠的であってもよい。
【0047】
なお、気泡41は、その最大長が1μm未満の微小なサイズの微細泡も含まれる。すなわち、気泡41は、例えば、異方性導電フィルム23を製造する過程でラミネートや延伸した際における外力によって、1μm以上の大きさの泡が拡散されて最大長が1μm未満の微細泡となったものであってもよい。このように、異方性導電フィルム23に含有される気泡41が上述したような微細泡が大半を占める構成であっても、気泡41による本発明の効果は損なわれるものではない。また、気泡41の最大長は5μmより大きい場合、接続時の樹脂流動による巻き込みや、それに伴う接続後のボイド発生などの要因につながる場合があるため、気泡41の最大長は5μm未満であることが望ましい。
【0048】
また、微細泡となった気泡41が導電性粒子32の近傍に配置される場合に、気泡41による応力緩和の効果もそれに準じて発現する。例えば、気泡41が導電性粒子32の近傍の4箇所に偏在していた場合、その4箇所において異方性導電フィルム23の内部応力を分散させながら緩和させる。このため、接続体の反りを抑制することができる。なお、気泡41は、上述したように、異方性導電フィルム23の製造過程でラミネートや延伸によって拡散されて微細泡となったものを含むので、その形状は特に限定されない。
【0049】
さらに、本発明の異方性導電フィルム123の他の実施形態として、導電性粒子132の独立性を確保してショート発生を防止するために、
図3に示すように、導電性粒子含有層134に含まれる絶縁性接着剤133と導電性粒子132との間に液状組成物142が設けられる構成としてもよい。液状組成物142としては、公知樹脂及び溶剤等が適用される。例えば、液状組成物142として接続時に硬化に寄与する材質が使用される場合は、低分子量のエポキシ樹脂で望ましくは単官能又は二官能のものや、低分子量のアクリル単量体が使用される。一方、液状組成物142として接続時に硬化に寄与しない材質が使用される場合は、希釈した低分子量ゴムやフェノキシ樹脂、分子量が数百〜数千のタッキファイヤー、沸点200℃以上の溶剤、レべリング剤等が挙げられる。
【0050】
液状組成物142として硬化に寄与する材質を使用した場合は、接続時に液状組成物142が硬化するので、導電性粒子132が
図3に示す異方性導電フィルム123の幅方向に移動しにくくなり、接続後の導電性粒子132の独立性が促進される。すなわち、導電性粒子132の連結防止に寄与することとなる。一方、液状組成物142として硬化に寄与しない材質を使用した場合は、接続時に
図3に示す異方性導電フィルム123の厚み方向の流動性を促進して、導電性粒子132の押し込むに寄与することとなる。このため、導電性粒子132の面(横)方向(
図3に示す異方性導電フィルム123の幅方向)への移動が相対的に抑制されることになる。すなわち、液状組成物142が硬化に寄与するものであるか否かに関わらず、接続構造体の導通性能の向上に寄与する。
【0051】
また、液状組成物142は、ラミネートや延伸、又は異方性導電フィルム123で接続した際における外力によって拡散されることで気泡141と同様の効果を示す。すなわち、液状組成物からなると考えられる泡においても前述の気泡141と同様にして、異方性導電フィルム123の内部応力を緩和させる。換言すると、泡は気泡141に限定されず、液状組成物142から生成されるものも含まれる。液状組成物142からなる泡の場合は、製法上の都合から導電性粒子132と接触する確率が高い。しかしながら、液状組成物142からなる泡は、気泡141と異なり液状であることから、上記した急峻な応力変化は生じにくいと推察されるため、この場合は泡と導電性粒子132との接触状態については特に制限はされない。
【0052】
なお、液状組成物142が設けられる部位は、その製法上の都合から必ずしも絶縁性接着剤133と導電性粒子132との間に限定されない。例えば、第1の絶縁性接着剤層130と導電性粒子132との間や、第2の絶縁性接着剤層131と導電性粒子132との間の何れかの部位に設けてもよく、また、液状組成物142を設ける際に気泡141に液状組成物142が含まれる構成となっても、上記と同様の効果を奏する。これは構成物の主たる部分を粘性の高い樹脂が占めることで、相対的に液状組成物142を含む泡の移動度が高くなることによって、その位置を特定させることは困難なためである。
【0053】
[異方性導電フィルムの製造工程]
次いで、本発明の一実施形態に係る異方性導電フィルム23の製造方法について説明する。先ず、導電性粒子を配列するための型を用意する。型は、
図4に示すように、例えば導電性粒子が充填される開口51が規則的に形成された金型50が用いられる。金型50は、スキージなどを用いて導電性粒子32が充填される。これにより、導電性粒子32は、金型50の表面に、開口51のパターンに応じたパターンに配列される。
【0054】
金型50は、開口51の間隔aが例えば3〜6μmとされる。後述するように、導電性粒子含有層34と第1の絶縁性接着剤層30との間に含有される気泡41の大きさは、この開口51の間隔aに応じて制御され、間隔が3〜6μmの開口51に応じて1〜5μmとなる。なお、前述したように、気泡41の大きさは異方性導電フィルム23を製造する過程でラミネートや延伸した際における外力によって、1μm以上の大きさの泡が拡散されて最大長が1μm未満の微細泡となることもある。また、金型50の開口51の間隔aや形状等を調整することによって、気泡41の大きさ、すなわち最大長を1μm以下にすることも可能である。
【0055】
また、金型50は、開口51が規則的に配列されるとともに、各開口51の開口径が導電性粒子32の径よりも若干広く、深さが導電性粒子32の径と略同一に形成されている。これにより、金型50は、導電性粒子32が充填されると、導電性粒子32を単層かつ規則的に配列させることができる。
【0056】
図5に示すように、金型50は、開口51に導電性粒子32が充填された面に、光硬化型の接着剤層55がラミネートされる。接着剤層55は、後に上述した導電性粒子含有層34を構成する膜形成樹脂、熱硬化性樹脂、硬化剤、その他の添加剤が混合された有機樹脂バインダーからなり、剥離基材56に支持されている。剥離基材56は、異方性導電フィルム(ACF)において一般に用いられている例えばポリエチレンテレフタレートフィルム等の基材を使用することができる。
【0057】
接着剤層55は、剥離基材56側から加熱押圧ヘッドによって加圧され、金型50の開口51が形成された一面にラミネートされるとともに、開口51に押し込まれる。これにより、接着剤層55は、開口51のパターンに応じた凹凸パターン40が成型されるとともに、凹凸パターン40の凸部40aに、開口51に充填された導電性粒子32が転着される。
【0058】
次いで、剥離基材56とともに接着剤層55が金型50から剥離される。これにより、
図6に示すように、剥離基材56に支持された未硬化の導電性粒子含有層34が形成される。導電性粒子含有層34は、剥離基材56に支持された面と反対側の一面34aに、開口51のパターンに応じて凹凸パターン40が形成されている。
【0059】
凹凸パターン40は、凸部40aに導電性粒子32が転着されている。導電性粒子32は、一部32aが凸部40aの上面より外方に露出している。また、凹凸パターン40は、開口51の間隔に応じて凹部40bが形成されている。
【0060】
次いで、導電性粒子含有層34は、凹凸パターン40が形成された一面34a側から紫外線が照射され、硬化される。ここで、導電性粒子含有層34は、凸部40aの導電性粒子32の裏側には、紫外線の照射が不充分となるため、導電性粒子32よりも下側、すなわち導電性粒子32より他面34b側が未硬化の状態とされる。
【0061】
次いで、
図7に示すように、導電性粒子含有層34は、一面34aに、剥離基材35に支持された第1の絶縁性接着剤層30がラミネートされる。このとき、導電性粒子含有層34は、紫外線照射により硬化されているため第1の絶縁性接着剤層30がラミネートされると、凹凸パターン40の凹部40bと第1の絶縁性接着剤層30との間に気泡41を内包させることができる。また、導電性粒子含有層34は、凹凸パターン40の凸部40aより露出している導電性粒子32の一部32aを第1の絶縁性接着剤層30に接触させることができる。
【0062】
なお、気泡41の位置は、金型50の凹凸パターン40の凸部40の位置に依存することとなるので、導電性粒子32の間に配置されるようになる。このため、気泡41は、導電性粒子32の近くに配置されるが、導電性粒子32に直接接する配置とはならない。具体的には、気泡41は、導電性粒子32の外径の0.2〜0.3倍程度の大きさの距離を介して、導電性粒子32の外側に位置するものが大半を占める。これは、金型50の開口部51の端部において、導電性粒子含有層34に含まれる絶縁性接着剤33との接触及び剥離に起因するためと考えられる。このため、気泡41は、導電性粒子32と隣接し難くなり、当該導電性粒子32の近傍に位置するものが少なくなる。すなわち、気泡41は、導電性粒子32の間に存在するものの割合が高くなる。しかしながら、上述した
図3に示す液状組成物142による液胞を含む態様であれば、製法の特徴から当該液胞が導電性粒子132に接触することになる。
【0063】
次いで、導電性粒子含有層34は、剥離基材56が剥離され、露出した他面34bに、剥離基材36に支持された第2の絶縁性接着剤層31がラミネートされる。これにより、
図2に示すように、異方性導電フィルム23が形成される。
【0064】
なお、導電性粒子132の独立性を確保してショート発生を防止するために、
図3に示す本発明に係る他の実施形態の異方性導電フィルム123を製造する際には、導電性粒子132と第1の絶縁性接着剤層130との間、又は導電性粒子132と導電性粒子含有層134の絶縁性接着剤133との間の少なくとも何れか一方に液体組成物142を塗布又は噴霧する。液体組成物142を導電性粒子132と第1の絶縁性接着剤層130との間に塗布又は噴霧する場合には、導電性粒子132を金型50(
図4参照)に充填後に、絶縁性接着剤層130でラミネートする前に、金型50の底面までには到達しない程度の極微量の液体組成物142を塗布又は噴霧する。金型50の開口部51の端部における第1の絶縁性接着剤層130や絶縁性接着剤133との接触を緩和させられる。
【0065】
また、液状組成物142が硬化に寄与する場合には、硬化時の導電性粒子132の独立性を促進するために、接続時の導電性粒子132の連結防止に寄与する。一方、液状組成物142が硬化に寄与しない場合には、接続時に導電性粒子132の押し込みに寄与するので、異方性導電フィルム123の厚み方向の流動性を促進させ、面(横)方向への移動が相対的に抑制される。すなわち、液状組成物142が硬化に寄与するものであるか否かに関わらず、接続構造体の導通性能の向上に寄与する。
【0066】
[異方性導電フィルムを用いた接続工程]
次いで、本発明の一実施形態に係る異方性導電フィルム23を用いた接続工程について説明する。異方性導電フィルム23を介して電子部品18を端子部17aへ接続する場合は、先ず、剥離基材35を剥離し、露出した第1の絶縁性接着剤層30を透明電極17の端子部17a上に載置し、剥離基材36上から異方性導電フィルム23を図示しない仮圧着手段によって仮圧着する。
【0067】
続いて、剥離基材36を剥離し、異方性導電フィルム23上に電子部品18を載置した後、熱圧着手段たる加熱押圧ヘッド3によって電子部品18を異方性導電フィルム23とともに端子部17a側へ押圧しつつ加熱押圧ヘッド3を発熱させる。この加熱押圧ヘッド3による熱加圧によって、異方性導電フィルム23は、第1、第2の絶縁性接着剤層30,31が流動性を示し、透明基板12の端子部17aと電子部品18の接続端子18aとの間から流出される。
【0068】
ここで、導電性粒子含有層34は、導電性粒子32が凸部40aより露出し、第1の絶縁性接着剤層30に接触しているため、第1の絶縁性接着剤層30が流出されることにより導電性粒子32が端子部17aと接触する。また、導電性粒子含有層34は、導電性粒子32の裏側は紫外線の照射が不充分で未硬化状態であるため、加熱押圧ヘッド3による熱加圧により、第2の絶縁性接着剤層31とともに流出されることにより導電性粒子32が電子部品18の接続端子18aとも接触する。
【0069】
したがって、
図8に示すように、異方性導電フィルム23は、導電性粒子32が透明基板12の端子部17aと電子部品18の接続端子18aとによって挟持され、この状態で熱硬化される。これにより、異方性導電フィルム23を介して電子部品18が端子部17a上に電気的、機械的に接続される。なお、透明基板12の端子部17aと電子部品18の接続端子18aとの電気的、機械的な接続は、加熱押圧に限定されない。すなわち、加熱押圧と光照射の併用によって硬化させて接合してもよく、光照射のみによる接合でもよい。また、仮圧着においても光熱併用又は光照射での硬化を利用しても、特に問題はない。
【0070】
このとき、異方性導電フィルム23は、導電性粒子含有層34と第1の絶縁性接着剤層30との間に、凹部40bの配列に応じて規則的に気泡41を含有しているため、電子部品18と端子部17aとの間で硬化収縮に伴う内部応力が発生した場合にも、気泡41の応力緩和作用によって、接続後の透明基板12の反りを低減することができる。したがって、薄型化が図られた透明基板12を用いた液晶表示パネル10においても反りの発生を抑え、これにより色むらを低減することができる。
【0071】
また、異方性導電フィルム23は、導電性粒子32が凹凸パターン40に応じて規則的に単層配列されているため、導電性粒子が不規則に配合されている従来の異方性導電フィルムと比して、電子部品18と端子部17aとの電気的接続に関与しない不要な導電性粒子を極力減らすことができる。さらに、導電性粒子32の近接に配置された泡によって、応力緩和は導電性粒子32の周辺領域で局所的に起きることになるが、これら導電性粒子32そのものが規則配列されていることから、その規則性によって効果の発現は全体に均一的に及ぶことになり、これを制御できることとなる。
【実施例】
【0072】
次いで、本発明の一実施形態に係る異方性導電フィルムの実施例について説明する。本実施例では、気泡のサイズ、及び絶縁性接着剤層の硬化系を変えた複数の異方性導電フィルムのサンプル(実施例1〜10)と、気泡が含まれていない異方性導電フィルムのサンプル(比較例1,2)とを用意し、それぞれガラス基板にICチップを搭載した際のガラス基板の反り量と導通抵抗を測定した。
【0073】
実施例及び比較例のサンプルは、いずれも第1、第2の絶縁性接着剤層に導電性粒子含有層が挟持された異方性導電フィルムであり、各導電性粒子含有層は、第1の絶縁性接着剤層と接する一面側に凹凸パターンが形成されるとともに、凹部に導電性粒子が単層かつ規則的に配列されている。ただし、各実施例に係るサンプルでは導電性粒子含有層と第1の絶縁性接着剤層との間に気泡が内包され、比較例に係るサンプルでは気泡が内包されていない。
【0074】
[導電性粒子含有層の作成]
導電性粒子含有層は、下記表1及び表2に示す配合組成からなる有機樹脂バインダー(固形分50%)をPETフィルムにバーコーターで塗布し、70℃5分で熱風乾燥し、厚みが5μmの接着層フィルムを作成した。
【0075】
また、実施例及び比較例に係る金型は、
図9に示すように、穴径が5μm角、穴深さが3μmの開口が規則的に形成され、開口の間隔aが3μm(実施例1及び実施例6)、4μm(実施例2,4,5、7、9、10、比較例1,2)、6μm(実施例3及び実施例8)の3種類を用意した。各金型の開口部に充填される導電性粒子は、積水化学工業株式会社製のAu−203A(平均粒径3μm)を使用し、スキージで充填した。
【0076】
そして、先に作成した接着層フィルムを、導電性粒子が充填された金型へ、ロール表面温度45℃のラミネーターでラミネートを行い、その後、金型から剥離した。これにより、接着層フィルムには、一面に金型の開口パターンに応じた凹凸パターンが形成されるとともに、凸部に導電性粒子が転着された。導電性粒子は、規則的に単層配列されるとともに、凸部よりその一部を外方に露出されている。
【0077】
この接着層フィルムを、凹凸パターンが形成された一面側から、波長365nm、積算光量4000mJ/cm2のUV光を照射し、導電性粒子含有層を形成した。導電性粒子含有層は、凹凸パターンが形成された一面側がUV硬化されているが、導電性粒子の裏側ではUVの照射量が低く、未硬化の状態となっている。
【0078】
[絶縁性接着剤層の作成]
絶縁性接着剤層は、下記表1及び表2に示す配合組成からなる有機樹脂バインダーをPETフィルムにバーコーターで塗布し、80℃3分で熱風乾燥し、厚みが5μmの接着層フィルムを作成した。
【0079】
これにより、PETフィルムに支持された第1、第2の絶縁性接着剤層を作成した。
【0080】
[導電性粒子含有層と絶縁性接着剤層とのラミネート工程]
次いで、導電性粒子含有層と絶縁性接着剤層とをラミネートし異方性導電フィルムのサンプルを作製した。先ず、導電性粒子含有層の凹凸パターンが形成された一面側に第1の絶縁性接着剤層を、ロール表面温度45℃のラミネーターでラミネートした。
【0081】
このとき、実施例1〜5では、このとき、凹凸パターンの凹部に気泡が内包させた。一方、比較例1,2では、気泡が混入しないようにラミネートを行った。また、実施例6〜10では、同様にして1μm未満の微細泡を内在させるようにラミネートを行った。
【0082】
次いで、導電性粒子含有層の凹凸パターンが形成された一面と反対側の他面よりPETフィルムを剥離し、第2の絶縁性接着剤層を、ロール表面温度45℃のラミネーターでラミネートした。
【0083】
これにより、各実施例及び比較例に係る総厚20μmの異方性導電フィルムを作成した。
【0084】
[特性評価]
評価素子として、
外形;1.8mm×20mm
厚さ;0.5mm
Au−platedバンプ外形;30μm×85μm
Au−platedバンプ高さ;15μm
の評価用ICを用いた。
【0085】
評価用ICが接続される評価基材として、ガラス厚0.7mmのITOコーティングガラスを用いた。
【0086】
このITOコーティングガラスに実施例及び比較例に係る異方性導電フィルム(35mm×24mm)を介して評価用ICを熱加圧によって接続した接続体サンプルを形成した。各実施例及び比較例に係る実装条件は以下の通りである。
【0087】
実施例1〜3、実施例6〜8及び比較例1,2(カチオン硬化系)では、180℃−70MPa−5秒であり、加熱押圧ヘッドと評価用ICとの間に緩衝材として厚さ50μmのテフロン(登録商標)を介在させた。
【0088】
実施例4及び実施例9(アニオン硬化系)では、200℃−70MPa−5秒であり、加熱押圧ヘッドと評価用ICとの間に緩衝材として厚さ50μmのテフロン(登録商標)を介在させた。
【0089】
実施例5及び実施例10(ラジカル硬化系)では、160℃−70MPa−5秒であり、加熱押圧ヘッドと評価用ICとの間に緩衝材として厚さ50μmのテフロン(登録商標)を介在させた。
【0090】
以上の実施例及び比較例の各接続体サンプルについて、デジタルマルチメータを用いて4端子法にて電流2mAを流した際の接続抵抗を、接続初期と、TCT(80℃85%250H)後に測定した。また、各接続体サンプルについて、触針式表面粗度計(CL−830:株式会社小阪研究所製)を用いて評価基材のITOコーティングガラス下面からスキャンし、評価用ICの接続前後のITOコーティングガラスの反り量(μm)を測定し、その差を求めた。測定結果を表1及び表2に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
【表2】
【0093】
表1に示すように、本実施例によれば、いずれも導電性粒子含有層の凹凸パターンの凹部に気泡を内包させているため、評価用ICの接続後に接続箇所に発生した内部応力を緩和することができた。したがって、接続初期及びTCT後の反り量を抑えることができ、かつ、TCT後の導通抵抗も最大6.0Ω以下に抑えることができ、良好な導通抵抗を実現できた。
【0094】
一方、比較例1では、気泡が内包されていないため、評価用ICの接続箇所に発生した内部応力の緩和作用が働かず、接続初期における反り量が15μmと大きくなった。また、比較例2では、応力緩和剤を添加しているものの、気泡を内包させた実施例1〜5に比して、接続初期における反り量が10μmと大きく反りを低減する効果は小さい。また、比較例2では、応力緩和剤を添加することで、接着剤成分の凝集力が低下してしまい、接続信頼性が低下し、TCT後の導通抵抗も10Ωと高くなった。
【0095】
実施例4では、反り量が若干低下した。これは、実施例2の硬化系をカチオン系からアニオン系へ変えたため、硬化速度がカチオン系に比して遅いためと考えられる。また、実施例5では、実施例2の硬化系をカチオン系からラジカル系に変えたところ、低温速硬化性に優れるものの、若干反り量が増加した。
【0096】
また、表2に示すように、実施例6〜10によれば、いずれも導電性粒子含有層の凹凸パターンの凹部や、導電性粒子と第1の絶縁性接着剤層との間に微細泡を内包させているため、実施例1〜5と比べて評価用ICの接続後に接続箇所に発生した内部応力をより緩和することができた。すなわち、微細泡の方が大きな気泡よりも幾分反り量を低減して、接続箇所に発生した内部応力を緩和できることが分かった。これは、気泡を微細泡とすることによって、当該内部応力の緩和作用を奏する泡が多数存在することで、応力の分散効果がより高まったためと推測される。
【0097】
また、実施例4と同様に実施例9では、同様に反り量が若干低下した。これは、実施例7の硬化系をカチオン系からアニオン系へ変えたため、硬化速度がカチオン系に比して遅いためと考えられる。また実施例5と10では、硬化系を実施例2や7のカチオン系からラジカル系に変えたところ、低温速硬化に優れるものの、若干反り量が増加した。