(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972852
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】透視診断を用いた手術中のインプラントテンプレート機器
(51)【国際特許分類】
A61B 17/90 20060101AFI20160804BHJP
【FI】
A61B17/90
【請求項の数】22
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-256090(P2013-256090)
(22)【出願日】2013年12月11日
(65)【公開番号】特開2014-138729(P2014-138729A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2014年2月10日
(31)【優先権主張番号】61/736,323
(32)【優先日】2012年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/096,831
(32)【優先日】2013年12月4日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504154126
【氏名又は名称】ライト メディカル テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Wright Medical Technology, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド・レイノルズ
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ステムニスキー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・オーベルト
【審査官】
井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−148597(JP,A)
【文献】
特開2011−172614(JP,A)
【文献】
特表平08−505560(JP,A)
【文献】
特開2014−131724(JP,A)
【文献】
特開2007−029657(JP,A)
【文献】
特開2007−029486(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2008/0086123(US,A1)
【文献】
特開2005−237527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)骨内に骨髄内インプラントまたはインプラントを受け入れる管の第一の部分の輪郭を示す第一の放射線不透過性部分を有する第一の組立体と、
(b)前記骨髄内インプラントまたはインプラントを受け入れる管の第二の部分の輪郭を示す第二の放射線不透過性部分を有する第二の組立体とを含み、
前記手術機器のための整列形状を提供する第三の放射線不透過性部分をさらに含み、
前記整列形状は、前記手術機器のための適切な平面視野の透視診断の指標を提供するために、くぎと、整列の際に前記くぎを囲むリングとを含む、手術機器。
【請求項2】
前記骨髄内インプラントまたはインプラントを受け入れる管の前記第一の部分または前記第二の部分は、各々前記インプラントのステムまたはインプラントを受け入れる前記管の一部であることを特徴とする請求項1に記載の手術機器。
【請求項3】
前記第二の組立体は、骨髄外の整列ロッドを取り付けるための穴をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の手術機器。
【請求項4】
さらなる第一の組立体とさらなる第二の組立体とを前記機器に取り付けるために、対応する側面部を含み、前記さらなる第一の組立体と第二の組立体は、異なる平面で前記インプラントまたはインプラントを受け入れる管の輪郭を示すことを特徴とする請求項1に記載の手術機器。
【請求項5】
切断ガイドをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の手術機器。
【請求項6】
穿孔ガイドをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の手術機器。
【請求項7】
前記骨は、脛骨、大腿骨、上腕骨、とう骨、尺骨、椎骨、腓骨で構成される群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の手術機器。
【請求項8】
(a)骨内に骨髄内インプラントまたはインプラントを受け入れる管のための輪郭を示す第一の放射線不透過性部分を有する第一のモジュールと、
(b)前記骨内に前記骨髄内インプラントまたはインプラントを受け入れる管のための輪郭を示す第二の放射線不透過性部分を有する第二のモジュールとを含み、
前記第一のモジュールと前記第二のモジュールとが、二つの異なる平面で前記インプラントまたはインプラントを受け入れる管の整列検査を提供し、
前記手術機器のための整列形状を提供する第三の放射線不透過性部分をさらに含み、
前記整列形状は、前記手術機器のための適切な平面視野の透視診断の指標を提供するために、くぎと、整列の際に前記くぎを囲むリングとを含む、手術機器。
【請求項9】
二つの平面の第一の平面は冠状面であり、前記二つの平面の第二の平面は矢状面であることを特徴とする請求項8に記載の手術機器。
【請求項10】
前記第一のモジュールと第二のモジュールは、各々
(i)骨内に骨髄内インプラントまたはインプラントを受け入れる管の第一の部分の輪郭を示す第四の放射線不透過性部分を有する第一の組立体と、
(ii)前記第三の放射線不透過性部分および第五の放射線不透過性部分を有する第二の組立体とを含み、前記第三の放射線不透過性部分は、前記手術機器のための整列形状を提供し、前記第五の放射線不透過性部分は、前記骨髄内インプラントまたはインプラントを受け入れる管の第二の部分の輪郭を示し、
前記第三、第四、第五の放射線不透過性部分は、各々の前記第一、第二の放射線不透過性部分のサブセットであることを特徴とする請求項8に記載の手術機器。
【請求項11】
前記第一のモジュールまたは前記第二のモジュールは、脊髄外の整列ロッドを取り付けるための穴をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の手術機器。
【請求項12】
切断ガイドをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の手術機器。
【請求項13】
穿孔ガイドをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の手術機器。
【請求項14】
前記骨は、脛骨、大腿骨、上腕骨、とう骨、尺骨、椎骨、腓骨で構成される群から選択されることを特徴とする請求項8に記載の手術機器。
【請求項15】
(a)骨内に骨髄内インプラントまたはインプラントを受け入れる管の第一の部分の輪郭を示す第一の放射線不透過性部分を有する第一の組立体と、
(b)手術機器のための整列形状を提供する第二の放射線不透過性部分を有する第二の組立体とを含み、
前記整列形状は、前記手術機器のための適切な平面視野の透視診断の指標を提供するために、くぎと、整列の際に前記くぎを囲むリングとを含む、手術機器。
【請求項16】
前記骨髄内インプラントまたはインプラントを受け入れる管の前記第一の部分は、各々前記インプラントのステムまたはインプラントを受け入れる前記管の一部であることを特徴とする請求項15に記載の手術機器。
【請求項17】
前記骨髄内インプラントまたはインプラントを受け入れる管の第二の部分の輪郭を示す第三の放射線不透過性部分をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の手術機器。
【請求項18】
前記第二の組立体は、骨髄外の整列ロッドを取り付けるための穴をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の手術機器。
【請求項19】
さらなる第一の組立体とさらなる第二の組立体を前記機器に取り付けるために、対応する側面部を含み、前記さらなる第一の組立体と第二の組立体は、異なる平面で整列形状を提供することを特徴とする請求項15に記載の手術機器。
【請求項20】
切断ガイドをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の手術機器。
【請求項21】
穿孔ガイドをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の手術機器。
【請求項22】
前記骨は、脛骨、大腿骨、上腕骨、とう骨、尺骨、椎骨、腓骨で構成される群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の手術機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本願で参照として全体の内容が含まれている2012年12月12日付で出願された米国仮特許出願第61/736,323号の米国の正規の特許出願である。
【0002】
開示されているシステム及び方法は、一般的に手術用ガイド及び機器に関するものである。より詳しく述べると、開示されているシステム及び方法は、整形外科の手術のための手術用ガイド及び機器に関するものである。
【背景技術】
【0003】
人工関節の置換補綴物は、一般的に、補綴物を受け入れるために準備された関節の内部及びその周りで外科医が正確且つ精密な骨切除が可能なように、特殊に設計された治具または固定部を含む。任意の人工関節補綴物が有する究極の目的は、補綴物が置換される自然状態の健康な生体構造物の構造及び機能に近づくことである。補綴物が関節に適切に取り付けられなかったり、整列しなければ、患者の不快感、歩行障害、または補綴物の機能低下を起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手術の多くは、手術中の透視診断(intra-operative fluoroscopy、蛍光透視法)を使用し、人工関節の置換補綴物を受け入れるために準備された髄内腔(intramedullary cavities)の整列を検査する。しかし、手術中の透視診断の使用は欠点がある。透視診断像(fluoroscopic images)を獲得して検討するのに時間がかかるため、手術中に形成された髄内腔の整列を検査するための透視診断の使用は、全体の手術時間を増長させることがこのような欠点の一つである。長時間の手術は、患者の止血帯の使用時間を増加させ、そのため、回復時間を長引かせ得る。
【0005】
透視診断の別の欠点は、手術室の患者及び他の人を電離放射線に露出させるという点である。例えば、米国食品医薬品局(FDA)は、手術中の透視診断の使用に関する幾つかの条項及び公衆衛生勧告を発表した。その結果、電離放射線から患者及び他の人を保護するための措置が取られたが、電離放射線に関するあらゆる危険を取り除くことは実質的に不可能である。
【0006】
従って、術前計画や評価の助力に関係なく、先行技術の限界を克服し、インプラント或いは補綴物及び/又は髄内腔の効率的な透視診断検査を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明対象の一実施例は、骨内に骨髄内インプラントまたは管(intramedullary implant or canal)の第一の部分の輪郭を提供する第一の放射線不透過性部分を有する第一の組立体、骨髄内インプラントまたは管の第二の部分の輪郭を提供する第二の放射線不透過性部分を有する第二の組立体を有する手術機器を提供する。骨髄内インプラントのこのような部分は、予想されるインプラントのステム(stem)を示す。
【0008】
本発明対象の別の実施例は、骨内に骨髄内インプラントまたは管のための輪郭を提供する第一の放射線不透過性部分を有する第一のモジュールと、骨内に骨髄内インプラントまたは管のための輪郭を提供する第二の放射線不透過性部分を有する第二のモジュールとを有する手術機器を提供する。このような第一のモジュールと第二のモジュールは、二つの異なる平面でインプラントのための整列検査を提供する。また、第一のモジュールと第二のモジュールのうち、一方のモジュールまたは両方のモジュールは、骨内に骨髄内インプラントまたは管の第一の部分の輪郭を提供する第三の放射線不透過性部分を有する第一の組立体、第四の放射線不透過性部分と第五の放射線不透過性部分とを有する第二の組立体を有し、第四の放射線不透過性部分は、手術機器のための整列形状を提供し、第五の放射線不透過性部分は、骨髄内インプラントまたは管の第二の部分の輪郭を提供し、第三、第四、第五の放射線不透過性部分は、各々の第一、第二の放射線不透過性部分のサブセット(subset)である。
【0009】
本発明対象の更なる実施例は、骨内に骨髄内インプラントまたは管の第一の部分の輪郭を提供する第一の放射線不透過性部分を有する第一の組立体と、手術機器のための整列形状を提供する第二の放射線不透過性部分を有する第二の組立体とを有する手術機器を提供する。
【0010】
このような実施例とその目的及び効果は、請求項、添付図、及び次の実施例の具体的な説明を通じて、本技術分野の当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図2は、本発明対象の一実施例による手術機器の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明対象のまた別の実施例による手術機器の正面図である。
【
図4】
図4は、非整列の位置における本発明対象の実施例による手術機器の透視診断の視野である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明を実施するための具体的な内容
図面を参考にして、類似する構成が本発明対象の理解のために類似する参考番号として与えられ、透視診断を用いる手術中のインプラントテンプレート機器の多様な実施例が開示される。
【0013】
図は、縮尺通りである必要はなく、ある特徴は明確性及び簡潔性のために縮尺で誇張して、又は多少概略的な形態で図示され得る。本明細書において、「水平」、「垂直」、「上向き」、「下向き」、「上端」及び「下端」のような相対語だけでなく、その派生語(例えば、「水平に」、「下向きに」、「上向きに」等)は、説明されたり図に示されたように方向を示していることを理解されたい。前記相対語は、説明の便宜のためのものであり、一般的に特定方向を要求するように意図されたものではない。「内向きに」に対して「外向きに」、および「縦方向に」に対して「横方向に」等を含む用語は、互いに対して、または延長軸、または軸または回転中心に対して、適切に解釈され得る。「連結された」及び「相互連結された」のようなカップリング及び取り付け等に関する用語は、関係が明確に異なって説明されない限り、両方の移動が可能な、または固定された取り付けだけでなく、介在する構造物を通じて、構造物が互いに直接的または間接的に固定されたり取り付けられる関係を称する。また、単一機械のみが例示されるとき、「機械」という用語は、本願で論議されたいずれか一つ以上の方法論を個別にまたは共同で行うように一組(または複数組)の命令を実行する任意の機械コレクションを含むようにする。「手術により連結された」という用語は、関連の構造物がその関係により意図された通り作動するように許容する取り付け、カップリングまたは連結のようなものである。機能式請求項が使用される場合、構造的等価物だけでなく、均等構造物も含む引用された機能を行うために、記載された説明または図面により明確に説明、提案または提示される構造物を含むように意図されている。
【0014】
開示されているシステム及び方法は、患者の解剖学的構造に基づき、手術中に透視診断の使用を減らすためにオーダーメイドされた手術用器具、ガイド及び/又は固定部を有利に活用する。オーダーメイド器具、ガイド及び/又は固定部は、手術前にコンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴映像(MRI)または類似する医療画像技術で患者の解剖学的構造を画像化し、患者仕様の器具、ガイド及び/又は固定部を考案するために、このような画像を活用することによって製作され得る。これは、一般的に手術前の評価や計画と呼ばれ、このような計画を正確に行うために、手術中の道具と共に使用され得る。代表的な手術前の評価や計画は、外科医が手術前のCTやMRI画像に基づいて問題となる関節や骨内の患者の解剖学的構成要素及び/又はその後のインプラントの構成要素の大きさ、位置及び方向を具体化させる。勿論、最終的な構成要素の大きさと位置は、透視診断の助力に関係なく、直接的な視覚化を通じて外科医により手術中に決定され得る。
【0015】
オーダーメイドの患者仕様の器具は、足10及び足首12に関して下記で説明されているが、本技術分野の当業者は、本発明のシステム及び方法が膝、臀部、腕及び肩、その他同種のものを含み、それに限らない他の関節及び各々の骨と連結されて活用され得ることを理解しなければならない。添付された請求項は、説明された前記足首及びそれに連結された骨に限らない。
図1に図示されたように、一般的な人体の足10は、踵骨20上に配置された距骨14と脛骨16及び腓骨18との間に形成された足関節12を含む。
【0016】
CTまたはMRI走査像或いは一連の画像は、患者の足首21(または他の関節及び各々の骨)を撮影し、その後、例えば、DICOM画像フォーマットから踵骨、距骨、脛骨、舟状骨及び腓骨を含む足首のコンピュータ立体模型に変換し、コンピュータソフトウェアでよく具現される専門的なモデリング方法を使用し、インプラントの整列、タイプ及び大きさの算定を決定するようにする。多くの場合、CTまたはMRI走査像のデータから得られたコンピュータ生成の立体模型は、画像化した構造、例えば、画像化した骨の表面形状または筋膜の輪郭を囲む表面の輪郭に関して、精密で正確な情報を含む。表面形状は、位置、形状、大きさ及び凹部と凸部等のような表面特徴の分布を意味することを理解されたい。その全体が本願で参照として含まれているSwaelens等により提出された米国特許第5,768,134号に開示された方法には、CTまたはMRI走査像のデータをコンピュータ立体模型へ適切に変換することが知られている。一部の実施例において、本技術分野の当業者は理解できる通り、CTまたはMRI装置、或いは他のデジタル画像取込み及び処理ユニットを使用して生成されたモデルを使用し、患者の足10、即ち踵骨20、距骨14、脛骨16及び腓骨18の画像が生成される。
【0017】
図2は、本発明対象の一実施例による手術機器の斜視図である。
図2を参考にすると、本発明対象の一実施例による手術機器30は、手術中にインプラントテンプレートとして使用されるように患者仕様の整列ガイドと共に使用され得る。患者仕様の整列ガイドに取り付けられたそのようなテンプレート機器と患者の解剖学的構造に取り付けられた患者仕様の整列ガイドと共に、代表的な機器は患者仕様の整列の位置に配置される前に予想されたり結果として生じるインプラントまたは補綴物の大きさ、配置及び方向を評価するのに使用され得る。本発明対象の実施例による代表的な機器は、手術中の画像(imaging)との対比(side-by-side comparison)のために患者のCTまたはMRIスキャンから得られる解剖学的構造に関する透視診断検査の形状と共に患者仕様のガイドの予定された位置を示すことができる計画の手術前の評価と共に用いられ得る。図に示すように、手術機器30は放射線透過性部分37と放射線不透過性部分36とを有する第一の組立体35を有する。これら放射線不透過性部分は、金属や他の放射線不透過性の物質で構成され得る。これら放射線不透過性部分36、38は、組立体35の整列の指標36を提供することができ、及び/又は骨(未図示)の予想されたり結果として生じる骨髄内インプラントまたは管の第一の部分の輪郭38を提供する。代表的な骨は、脛骨、大腿骨、上腕骨、とう骨、尺骨、椎骨、腓骨であり得るが、それに限らない。また、提供された整列の指標(36)は、骨の縦軸におけるインプラント部分の位置や整列、骨の横軸におけるインプラント部分の位置、骨の切断面におけるインプラント部分の位置、骨の穿孔位置、骨の穿孔方向及び/又はインプラントのステムの軸に対するインプラント部分の位置を示し得る。
【0018】
手術機器30はまた、予想されたり結果として生じる骨髄内インプラントまたは管の第二の部分の輪郭42を提供する第二の放射線不透過性部分30を有する第二の組立体40を含み得る。一実施例において、骨髄内インプラントの第一及び/又は第二の部分は、インプラントのステム、又はインプラントを受け入れる骨髄内管の外形(silhouette)であり得る。第二の組立体(40)はまた、手術機器30のための整列形状を提供する第三の放射線不透過性部分43、44を含む。本発明対象の実施例は、平面の多くで手術中の検査(たとえば、透視診断)を許容し、インプラント、骨髄内管、穿孔位置等の適切な配置を確保することができる。例えば、代表的な整列形状は、くぎやロッド43、リングやシリンダ44であり得、平面の整列、例えば、機器30の前後方(A-P)整列となる場合、リング44はくぎ43を囲む。もちろん、そのような整列形状は代表的であるだけであり、下記に添付された請求項は、本発明対象の実施例により採用される無数のキルシュナー鋼線、基準マーカーを用いる整列形状部と、他の放射線不透過性形状部として制限されてはならない。本発明の別の実施例は、骨内に骨髄内インプラントの第一の部分の輪郭を提供する第一の放射線不透過性部分38を有する第一の組立体35と、手術機器30の平面の整列形状を提供する放射線不透過性部分43、44のみを有する第二の組立体40とを有し得る。
【0019】
別の実施例において、第二の組立体40は、穴(hole)46や骨髄外(extra-medullary)の整列ロッド(未図示)を機器30に取り付けるために、対応する他の付着メカニズムを含み得る。手術機器30は、さらなる第一の組立体及び/又は第二の組立体を取り付けるために、対応する一つ以上の側面部45を含み得る(
図3参照)。このようなさらなる第一の組立体及び第二の組立体は、異なる面及び/又は直交面(例えば、冠状面、矢状面)にある骨髄内インプラントまたは管の輪郭を提供し得る。くぎ、ロッド47または他の付着メカニズムは、切断ガイド、穿孔ガイド及び/又は穿孔方向のガイドを手術機器30に取り付けるために手術機器30上または内部に提供され得る。
【0020】
図3は、本発明対象の別の実施例による手術機器の正面図である。
図3を参考にすると、本発明の別の実施例による手術機器50は脛骨16に取り付けられており、脛骨16(または他の骨)の予想されたり結果として生じる骨髄内インプラント又は管の輪郭及び/又は整列形状を提供する放射線不透過性部分57を有する第一のモジュール55を含む。手術機器50は、骨内の予想されたり結果として生じる骨髄内インプラントまたは管の輪郭及び/又は整列形状を提供する放射線不透過性部分62を有する第二のモジュール60を含む。
図3に示された通り、第一のモジュールと第二のモジュール55、60は、二つの異なる平面(例えば、直交面、矢状面、冠状面等)で骨髄内インプラントまたは管の整列検査を提供する。
図2を参考にすると、
図3に図示された第一のモジュールと第二のモジュール55、60の一方のモジュールまたは両方のモジュールは、放射線透過性及び放射線不透過性部分を有する第一の組立体35を含み得、ここで放射線不透過性部分は、平面の整列指標、線形の整列指標または他の整列指標、及び/又は脛骨16内の骨髄内インプラントまたは管の第一の部分の輪郭を提供し得る。もちろん、脛骨16が
図3に示されているが、本発明対象の実施例は、大腿骨、上腕骨、とう骨、尺骨、椎骨、腓骨等で予想されたり結果として生じる骨髄内インプラントまたは管の輪郭及び/又は整列形状を提供するものであって、添付された特許請求範囲が制限されてはならない。また、第一のモジュールと第二のモジュール55、60のうち一方のモジュールまたは両方のモジュールはまた、骨髄内インプラントまたは管の第二の部分の輪郭を提供したり、手術機器50の整列形状を提供する放射線不透過性部分を有する第二の組立体40を含む。代表的な整列形状はくぎとリングであり、ここでリングは、機器50が平面整列となる場合、くぎをしっかりと囲むが、下記に添付された請求項はこれに限らない。
図3の第二のモジュール60に示された通り、くぎとリングで構成された代表的な整列形状は、適合する平面の透視診断の整列視野または指標を提供するために、互いに横軸または縦軸の方向にオフセットされる。そのような整列形状は例示的であるだけであり、下記に添付された請求項は本発明対象の実施例に用いられる無数のキルシュナー鋼線、基準マーカーを用いる整列形状と他の放射線不透過性形状として制限されない。また、モジュール55、60のうち一方のモジュールまたは両方のモジュールはまた、切断ガイド、穿孔ガイド、穿孔方向のガイドを含む。示されていないが、追加のモジュールはまた、他の平面で追加の整列及び/又は輪郭形状を提供するために、側面部を通じて例示的な機器50上に含まれ得る。
【0021】
図4は、誤整列の位置における本発明対象の一実施例による手術機器の透視診断図である。
図4を参考にすると、代表的な手術機器70は、手術中の透視診断検査中の第一の組立体80の放射線不透過性部分82と第二の組立体90の放射線不透過性部分92の整列欠陥を通じた骨髄内管72の誤整列を示している。また、手術機器70は、リングまたはシリンダ44が各々のくぎ43をしっかりと囲まないように、誤整列の平面視野に示されている。
【0022】
図2-4で図示され前述した本発明対象の実施例は、照準視野(例えば、囲まれたくぎ、基準マーカー、キルシュナー鋼線等)または整列指標を通じ、意図した方向から実際の視野を得るのに役立ち、また、一つ以上のインプラントまたは骨髄内形状の概要、外形、あるいはオーバーレイを提供する。そのような実施例は、物理的ガイドと機器(例えば、脊髄外ロッド、ドロップロッド、切断ガイド、穿孔ガイド等)の物理的整列、大きさの設定、ピンの配置等において役立つ他の機器の取り付けを許容する。このような代表的な実施例は、脛骨インプラントのようなインプラントが、のみ、螺子、ドリル、リーマーと他の一般的な除去道具を用いて、脛骨、腓骨及び/又は距骨から骨物質を除去することを含む一般的な方法により、各々の脛骨に適切に挿入、整列及び移植(implant)されることを確実にするために使用される。脛骨、腓骨及び/又は距骨は、適切な距骨、脛骨及び/又は腓骨の固定物またはインプラントを受け入れるために大きさを設定したり、形状を再設定したり及び/又は切断される。このような固定物は、ネジ、くぎ、骨セメント等により各々の骨に機械的に固定され、患者の解剖学的構造に合う表面一致の形状を有する。代表的なインプラントは、Wright Medical Technologies, Inc. INBONE(登録商標)の足首人工関節システムであるが、それに限らない。脛骨の末端部が適切に形状化して切断された後は、脛骨インプラントは、患者の遠位脛骨(distal tibia)に合わせるように形状化した側面延びたトレーまたはベースを含む。脛骨インプラントまたは補綴物はまた、脛骨ベースにより形成された平面に一般的に垂直に延び、切断されたり切断されていないステムやプラグを含む。ステムは、患者の髄内管の中に延びた外科的に形成された開口に配置される。プラスチック、重合体の挿入物は、各関節の移動を連結する脛骨関節の表面を提供する脛骨ベースに取り付けられる。限定されない代表的な足首関節置換のシステム及び方法は、同時係属出願である2011年12月19日付で出願された米国特許出願第13/330,091号、及び2010年2月24日付で出願された米国特許出願第12/711,307号に記載されており、各々はその全体が本願で参照として含まれる。
【0023】
患者の距骨、脛骨、腓骨及び足首を参照したが、本技術分野の当業者は、本発明対象の実施例が制限されないが、膝、臀部、肩またはその他関節をこれに含む各々の骨と別の関節のために実行されることを理解しなければならない。従って、開示された装置及び方法は、患者の解剖学的構造に基づき、オーダーメイドの手術用器具、ガイド及び/又は固定部を有利に活用し、多数の関節と骨のための手術中の透視診断の使用を減少させる。
【0024】
本発明対象の実施例の一面は、手術中にインプラントのテンプレートとして機能するために、患者仕様の整列ガイドと共に使用されるモジュール機器を提供する。患者仕様の整列ガイドに取り付けられたそのようなテンプレート機器と患者の解剖学的構造に取り付けられた患者仕様の整列ガイドと共に、代表的な機器は、患者仕様の整列の位置に配置される前に予想されたり結果として生じるインプラントの大きさ、配置及び方向を評価するのに使用することができる。
【0025】
本発明対象の実施例の別の面は、多様な整列形状を通じ、意図した移植方向で実際の視野を得るのに役立ち、また、一つ以上の平面でインプラントまたは骨髄内管の概要、外形、またはオーバーレイを提供する。特定の実施例のまた別の面は、手術ガイドと機器(例えば、骨髄外ロッド、ドロップロッド、切断ガイド、穿孔ガイド等)の物理的整列、大きさの設定、ピンの配置等において役立つ他の機器の取り付けを許容する。本発明対象の実施例のそのような面は、手術前の評価や計画と共に用いられ、患者に適切な補綴物の移植と整列を提供し得る。
【0026】
前述の実施例、特にある「好ましい」実施例は、単に実行可能な例であるだけであり、単純に記載内容の原理の確実な理解のために提示したものであることを強調する。多くの変形及び修正は、開示の意味と原理から実質的に逸脱することなく、前述の実施例によりなされる。このような全ての変形及び修正は、本発明と本発明の範囲内に含まれ、下記の請求項により保護を受ける。
【0027】
本明細書は多くの具体的な事項を含んでいるが、これは請求する発明の制限として解釈されてはならず、それよりは特定の実施例の個別的な特徴として解釈されなければならない。別個の実施例の脈絡上、明細書に記載された特定の特徴は、単一実施例で結合して実行することも可能である。逆に、単一実施例の脈絡上、記載された多様な特徴はまた、多様な実施例で別に実行されたり、適する下位の結合で実行できる。また、特徴は、前記で特定した結合で実行されると記載され、さらには最初はそのように請求されたが、請求した結合での一つ以上の特徴は、幾つかの場合、前記結合で実行でき、前記請求された結合は、下位結合や下位結合の変形に適用される。
【0028】
図1-4に例示された多様な構成と実施例に図示された通り、透視診断を用いた手術中のインプラントテンプレート機器が記載されている。
【0029】
本発明対象の好ましい実施例が記載されているが、記載された実施例は例示的なものであるだけで、本発明対象の範囲は、本技術分野の当業者が精読して自然に得られる多くの変形と修正の全範囲が等価物と一致するとき、添付された請求項によってのみ定義されることを理解されたい。