(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972867
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】プテリジン誘導体の調製方法
(51)【国際特許分類】
C07H 3/08 20060101AFI20160804BHJP
C07D 475/04 20060101ALI20160804BHJP
C07H 1/00 20060101ALI20160804BHJP
C07H 9/00 20060101ALI20160804BHJP
B01J 23/30 20060101ALI20160804BHJP
【FI】
C07H3/08
C07D475/04CSP
C07H1/00
C07H9/00
B01J23/30 Z
【請求項の数】16
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-514578(P2013-514578)
(86)(22)【出願日】2011年6月13日
(65)【公表番号】特表2013-531654(P2013-531654A)
(43)【公表日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】EP2011002896
(87)【国際公開番号】WO2011157388
(87)【国際公開日】20111222
【審査請求日】2014年5月15日
(31)【優先権主張番号】MI2010A001076
(32)【優先日】2010年6月15日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】507161569
【氏名又は名称】ディフアルマ フランチス ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】DIPHARMA FRANCIS S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】アトーリノ、 エマニュエレ
(72)【発明者】
【氏名】ミチェレッティ、 マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ、 ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】アレグリーニ、 ピエトロ
【審査官】
東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−132589(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第01849793(EP,A1)
【文献】
特開昭60−169493(JP,A)
【文献】
特開昭62−175495(JP,A)
【文献】
米国特許第03505329(US,A)
【文献】
J.Org.Chem.,2003年,Vol.68,pp.7167-7175
【文献】
Carbohydr.Res.,1973年,Vol.29,pp.339-344
【文献】
J.Org.Chem.,2003年,Vol.68,pp.8236-8239
【文献】
J.Org.Chem.,1998年,Vol.63,pp.9924-9931
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(VI)
【化1】
の5−デオキシ−L−アラビノースの調製方法であって、
式(XII)
【化2】
(式中、nは0、1または2である)
の化合物を該式(VI)の化合物に変換するステップを含む、調製方法。
【請求項2】
式(XII)の化合物から式(VI)の化合物への変換が、式(XII)のジチオアセタールを酸化して式(XIII)
【化3】
(式中、nは請求項1に定義した通りである)
のジスルホンを得るステップと、その後に塩基と反応させるステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(XII)のジチオアセタールの酸化が、場合により金属触媒の存在下で、有機過酸、過ヨウ素酸またはその塩、ペルオキシ硫酸塩、オキソンおよび過酸化水素から選択される酸化剤を用いて行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属触媒がタングステン酸ナトリウムである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記塩基が、有機塩基または無機塩基、弱塩基または強塩基のいずれかである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記塩基がアミンまたはアンモニアである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1または2に記載の方法により前記式(VI)の化合物を調製するステップと、該式(VI)の化合物を単離し、または単離せずに、L−ビオプテリンまたはその塩へと変換するステップとを含み、所望される場合、さらにサプロプテリンまたはその塩へと変換するステップを含む、L−ビオプテリンもしくはサプロプテリンまたはそれらの塩の調製方法。
【請求項8】
強酸、および場合により溶媒の存在下におけるL−ラムノースの無水物または水和物と式(XIV)
【化5】
(式中、nは0、1または2である)
のジチオールとの反応を含む方法により式(XII)のジチオアセタールを調製するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記強酸が有機または無機である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記強酸が鉱酸である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒が、極性非プロトン性溶媒、極性プロトン性溶媒、エーテル、または前記溶媒の2種以上の混合物から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒が、アミド、ジメチルスルホキシドもしくはアセトニトリル、水もしくはC1〜C5アルカノール、テトラヒドロフランもしくはジオキサン、または前記溶媒の2種以上の混合物から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒が、2種または3種の混合物である、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
式(XII)
【化6】
(式中、nが1または2である)
の化合物。
【請求項15】
式(XIII)
【化7】
(式中、nが0、1または2である)
の化合物。
【請求項16】
nが1である、請求項14または15に記載の化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、サプロプテリンまたはその薬学的に許容される塩、およびそれらの新規合成中間体を調製する新規方法に関する。
【背景技術】
【0002】
技術的背景
サプロプテリン、すなわち式(I)
【0003】
【化1】
【0004】
の(6R)−2−アミノ−6−[(1R,2S)−1,2−ジヒドロキシプロピル]−5,6,7,8−テトラヒドロ−4(1H)プテリジノンは、フェニルアラニン代謝に関与する酵素である、フェニルアラニン水酸化酵素(ヒドロラーゼ、hydrolase)の補因子である、テトラヒドロビオプテリン(BH
4)の6Rジアステレオマーの合成型である。
【0005】
該構造は、3つの立体中心を有し、2つをジヒドロキシプロピル側鎖に、3つ目を側鎖とプテリジン環(C−6)との間の結合部に有する。
【0006】
6Sジアステレオマーは、フェニルアラニン水酸化酵素の不活性化を誘発する可能性もあり、したがって6Rジアステレオマーの効果を阻害する可能性があるため、この中心の絶対配置(R)は、所望の薬理学的効果を得るために必要とされる。
【0007】
多形無水二塩酸塩(polymorph anhydrous dihydrochloride salt)、形態Bとしてサプロプテリンは、現在、フェニルケトン尿症またはBH4欠乏症を患っている患者の高フェニルアラニン血症の治療に臨床的に使用されている。
【0008】
本明細書において6R−サプロプテリンとしても称されるサプロプテリンを、アミン官能基および/またはヒドロキシ官能基が従来の保護基で保護されている、式(II)のビオプテリンまたはその誘導体の白金介在触媒水素化(スキーム1)により調製する。
【0009】
【化2】
【0010】
水素化反応は、反応が高水素圧下で塩基性pHにて水溶液中で行われると、水素化ジアステレオ選択性が向上することについて示す、例えばEP0191335(特許文献1)において報告された。
【0011】
したがって、サプロプテリンの調製に関する合成問題は、安全で効率的な方法を用いて工業規模で式(II)のL−ビオプテリンを得ることである。
【0012】
工業規模でのL−ビオプテリンの合成は、現在、式(III)のL−ラムノースから出発して行われている(スキーム2)。
【0013】
【化3】
【0014】
この合成は、濃塩酸の存在下で試薬と溶媒の両方としてエタンチオールを使用する、非常に低価格で市販されている式(III)のL−ラムノース一水和物のそのジエチルジチオアセタール(IV)への変換を含む。次いで、式(IV)のジチオアセタールを、式(V)の対応するジスルホンに任意の公知の酸化剤で酸化させ、次いでそれを塩基性条件下でMacdonald−Fischer分解(degradation)にかけ、水溶液中で所望の絶対配置のヒドロキシ官能基を有する式(VI)の5−デオキシ−L−アラビノースを得る。次いで、式(VI)の還元糖を、まずフェニルヒドラジンで、次いで無水酢酸で処理することにより式(VII)の対応するアセチル化フェニルヒドラゾンに変換する。次いで、式(VII)の化合物を式(VIII)の6−ヒドロキシ−2,4,5−トリアミノピリミジンまたはその市販の塩で濃縮し、付加物を得、それを単離せずに、直ちに酸化にかけ、式(IX)のアセチル化ビオプテリンを得る。式(IX)の化合物の塩基または酸による脱アセチル化により、溶液中に単離してもよく、またはそこで維持してもよい式(II)のビオプテリンが生成され、触媒水素化にかけられ、例えば上記スキーム1に報告した式(I)のサプロプテリンを得る。
【0015】
工業規模でのこの方法の開発における主な問題は、式(IV)のL−ラムノースジエチルジチオアセタールから出発する式(VI)の5−デオキシ−L−アラビノース、すなわち非天然還元糖の調製である。式(VI)の5−デオキシ−L−アラビノースは、式(II)のL−ビオプテリン、したがってサプロプテリンの調製において実に重要な中間体である。
【0016】
この調製で使用するエタンチオールは、その使用が関わる重要な環境問題で広く知られている試薬である。エタンチオールは、低沸点(35℃)を有し、低ppmでも知覚され得るその不快な臭気により、今日では、環境に配慮していない非工業国でも、工業規模ではもはや使用されていない。
【0017】
エタンチオールに類似した低分子アルキルチオールは、一般に毒性であり、その高い揮発性により、作業員および環境を容易に汚染する。
【0018】
該問題の可能性のある解決策は、一見したところ、試薬としてドデカンチオールを使用する収率75%でのL−ラムノースジドデシルジチオアセタールの調製について記載しているEP1849793に開示されている方法のようであった。低沸点の単鎖チオールに反して、ドデカンチオールは実際にC12直鎖アルキル鎖を有し、安価な高沸点の液体であり、通常の炭化水素臭を有し、顕著な環境問題には関与していない。我々は上に記載した反応を繰り返したが、例えば温度、溶媒などの反応パラメーターを変更した際も、ほぼ等モル比で、その両親媒性により分離するのが難しい、2種の生成物、すなわち式(X)の所望のジチオアセタールおよび式(XI)のチオグリコシドの混合物(スキーム3)が常に得られた。したがって、所望のジチオアセタールの収率は常に50%未満であった。前記欧州特許出願が放棄されたのは、おそらくこのためである。
【0019】
【化4】
【0020】
したがって、式(VI)の5−デオキシ−L−アラビノースの合成を改良するために現在までに行われた努力にもかかわらず、工業規模で式(II)のL−ビオプテリン、次いで式(I)のサプロプテリン、またはそれらの塩を調製する効率的で安全な方法がいまだに必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】欧州特許第0191335号明細書
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Helv.Chim.Acta 1985、68(6)、1639〜1643
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
驚くべきことに、本明細書に定義した式(XII)の新規ラムノースジチオアセタールから式(VI)の5−デオキシ−L−アラビノースを得る新規方法が今や判明した。新規方法では、上に報告記載の問題、例えばドデカンチオールについて克服されており、該方法は優れた原子経済性に明確に影響を与えており、式(XI)のチオグリコシド不純物またはその類似物が形成されない。さらに、それにより、工業規模で環境問題なしに、安全で効率的かつ再現性のある方法で、非常に高い収率でサプロプテリンまたはその薬学的に許容される塩を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
したがって、本発明の目的は、式(VI)
【0026】
の5−デオキシ−L−アラビノースの調製方法であって、式(XII)
【0028】
(式中、nが0、1または2である)
の化合物を前記式(VI)の化合物に変換するステップを含む方法である。
【0029】
式(XII)のジチオアセタールの式(VI)の5−デオキシ−L−アラビノースへの変換は、式(XII)のジチオアセタールを酸化して式(XIII)
【0031】
(式中、nは上に定義した通りである)
のジスルホンを得るステップと、次いで塩基と反応させるステップとを含む方法により行うことができる。
【0032】
式(XII)のジチオアセタールの酸化は、場合により金属触媒、例えばタングステン酸ナトリウムの存在下で、有機過酸、好ましくはメタクロロ過安息香酸、過ヨウ素酸またはその塩、例えば過ヨウ素酸ナトリウム、ペルオキシ硫酸塩、例えばK
2SO
5、オキソンおよび過酸化水素から選択される酸化剤で行うことができる。
【0033】
必要な場合、反応は、当業者に知られているように酸化剤に応じて選択される溶媒中で行うことができる。
【0034】
有機塩基または無機塩基、強塩基または弱塩基であることができる塩基は、好ましくはアミン、例えばトリエチルアミンまたはアンモニア、より好ましくはアンモニアである。
【0035】
さらなる態様によれば、本発明は、場合により単離してもよい、このようにして得られた式(VI)の5−デオキシ−L−アラビノースの式(II)のL−ビオピテリンまたはその塩への変換、および所望される場合、式(II)のL−ビオプテリンまたはその塩の式(I)のサプロプテリンまたはその塩へのその後の変換をさらに含む方法を提供する。
【0036】
式(VI)の5−デオキシ−L−アラビノースの式(II)のL−ビオプテリンへの変換は、例えば、上記スキーム2に従って、またはHelv.Chim.Acta 1985、68(6)、1639〜1643(非特許文献1)に従って行うことができる。
【0037】
式(II)のL−ビオプテリンまたはその塩の式(I)のサプロプテリンまたはその塩への変換は、例えば上記スキーム1に従って触媒水素化により行うことができる。
【0038】
式(II)のL−ビオプテリンまたは式(I)のサプロプテリンの塩は、好ましくはその薬学的に許容される塩、例えば有機酸または無機酸、特に塩酸、通常二塩酸塩との塩である。式(II)のL−ビオプテリンまたは式(I)のサプロプテリンの塩化(salification)、ならびに前記塩の各塩基への変換は、公知の方法に従って行うことができる。
【0039】
式(XII)のジチオアセタールは、強酸の存在下、場合により溶媒の存在下における、例えば市販のL−ラムノースの無水物または水和物と式(XIV)
【0041】
(式中、nは0、1または2である)
のジチオールとの反応を含む方法により調製できる。
【0042】
式(XIV)のジチオールは市販されている。nが1または2であるジチオールが好ましい。nが1または2であるようなジチオールは、低アルキルチオールのように炭素原子を3個または4個しか有していないが、高沸点、すなわち169℃以上を有しており、さらに炭素原子の数が少ないにもかかわらず刺激臭を有していない。この特性、特に低揮発性により、このようなジチオールは、工業規模での使用に関して他のアルキルジチオールよりも適している。
【0043】
有機または無機であってよい強酸は、好ましくは鉱酸、例えば塩酸水溶液である。
【0044】
存在する場合、溶媒は、極性非プロトン性溶媒、例えばアミド、通常ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドもしくはアセトニトリル、極性プロトン性溶媒、例えば水もしくはC
1〜C
5アルカノール、エーテル、例えばテトラヒドロフランもしくはジオキサン、またはそれらの2種以上、好ましくは2種もしくは3種の混合物でよい。
【0045】
反応は、約0℃〜溶媒の還流温度、好ましくは約20℃の範囲の温度で行うことができる。
【0046】
式(XII)のジチオアセタールおよび式(XIII)のジスルホンは、新規化合物であって、本発明のさらなる目的である。
【0047】
さらなる態様によれば、本発明は、出発物質としての本明細書に定義した式(XII)の化合物の使用を含む、サプロプテリンまたはその薬学的に許容される塩の調製方法を提供する。
【実施例】
【0048】
以下の例は本発明を例示している。
【0049】
例1
(L)−ラムノース1’,3’−プロパンジチオアセタール(XII; n=1)の合成
L−ラムノース一水和物(168.3g、0.92mol)を、強く撹拌しながら37%HCl500ml中の1,3−プロパンジチオール(100g、0.92mol)の混合物に小分けして固体として加える。得られた溶液を、撹拌しながら約20℃で12時間保持する。すでに最初の1時間で、十分な白色沈殿物の形成が観察される。次いで、懸濁液を5〜10℃に冷却し、酸過剰をNaOHおよび氷500mlで中和する。次いで、pH約7の懸濁液を濾過し、固体を水およびイソプロパノール100mlで洗浄する。湿潤固体を真空下で40℃にて16時間乾燥し、収率95%でオフホワイト色の固体として生成物(XII)222gを得る。
【0050】
【表1】
【0051】
例2
1’,3’−プロパンジスルホニル(L)−ラムノースの合成(XIII; n=1)の合成
タングステン酸ナトリウム二水和物(13g、0.04mol)を、(L)−ラムノース1’,3’−プロパンジチオアセタール(XII)(200g、0.79mol)を氷酢酸1.2Lに溶解させることにより得られる溶液に懸濁する。懸濁液を約15℃に冷却し、そこに35%過酸化水素(417mL、4.72mol)を徐々に滴下し、40℃未満の温度を保つ。得られた透明の溶液を約20℃で16時間撹拌する。次いで、H
2O
2過剰を、チオ硫酸ナトリウム濃縮液を加えることにより失活させる。次いで、溶媒混合物を、約400mLの量まで減圧下で蒸発させる。得られた混合物は、さらなる精製なしに次のステップで直接使用する。
【0052】
【表2】
【0053】
例3
1’,3’−プロパンジスルホニル(L)−ラムノースの合成(XIII;n=1)の合成
(L)−ラムノース−1’,3’−プロパンジチオアセタール(XII)(200g、0.738mol)およびタングステン酸ナトリウム二水和物(12.2g、0.037mol)を氷酢酸(991.6g)に溶解させる。水(48g)を得られた溶液に加え、反応混合物を10〜15℃に冷却する。35%過酸化水素(322.5g、3.32mol)を、20〜30℃の温度を保ちながら少なくとも4時間で加える。次いで、反応混合物を約30〜35℃で加熱し、撹拌しながら約3時間保持する。次いでイソプロパノール(416.7g)を加える。得られた懸濁液を、撹拌しながら30〜35℃で約5時間保持し、次いで少なくとも5時間で20〜25℃に冷却した後、少なくとも3時間で5〜10℃に冷却し、撹拌しながらさらに1時間保持する。懸濁液を冷却し、次いで濾過し、得られた固体をイソプロパノール(314.2g)で洗浄する。
【0054】
生成物を真空下で50℃にて約24時間乾燥する。
【0055】
生成物209.9gが、モル収率88%で式(XIII)の白色固体として得られる。
【0056】
【表3】
【0057】
例4
5−デオキシ−L−アラビノース(VI)の合成
例2からのジスルホン(XIII)を含有する懸濁液を、水1Lで希釈し、10〜15℃に冷却し、次いで33%NH
3水溶液でpH8〜9にアルカリ化する。濃厚な懸濁液が直ちに形成され、それを出発生成物が完全に消失するまで撹拌しながら約20℃で16時間保持する。次いで、固体を濾過し、水250mlで洗浄する。合わせた水相を酢酸エチルで抽出し、ごく微量のスルホンをも除去する。得られた5−デオキシ−(L)−アラビノース(VI)水溶液はそのまま、L−ビオプテリン、および所望される場合、サプロプテリンを得るためのその後の反応で使用できる。
【0058】
例5
5−デオキシ−L−アラビノース(VI)の合成
例3からの1’,3’−プロパンジスルホニル(L)−ラムノース(XIII)(209.9g、0.650mol)を水(369.9g)および酢酸エチル(568g)中に分散させる。次いで28%アンモニア(13.8g)をpH8以上になるまで加える。
【0059】
反応混合物を、出発生成物が完全に消失するまで約20〜25℃で1時間保持する。
【0060】
次いで、最終反応懸濁液を濾過し、得られた固体を水(215g)で洗浄する。固体の濾過により得られた、5−デオキシ−(L)−アラビノース(VI)を含有する二相(bifase)混合物はそのまま、L−ビオプテリン、および所望される場合、サプロプテリンを得るためのその後の反応で使用できる。