【実施例】
【0053】
実施例1
本発明による、原材料投入部の下流及び第2のエチレンオキシド投入部に静的混合要素を有し、1.750mの長さ(リアクター全長の35%)の挿入される二重チューブを有する、2008トン/年に相当する250.8kg/時の容量を有する5m長の5インチ環状ギャップリアクターにおける、n−ノニルフェノールと7molのエチレンオキシドとの反応。
【0054】
環状ギャップリアクターが、
図1及び
図2に従った幾何学的形状を有し、5インチ=127.0mmの外側チューブの内径、114.0mmの内側チューブの外径、及び5.000mのリアクターの長さを有し、6.5mmの環状ギャップ幅(11.31リットルの環状スペース容積)、並びに外側チューブの内壁のリングスリットノズル及び内側チューブの外壁の別のリングスリットノズルを介した触媒された液体原材料の供給部を有する。双方の同心のチューブは、3つの冷却セクション又は加熱セクションを有するジャケット付きチューブであり(
図1A/
図1Bを参照のこと)、それによって、上側ジャケットセ
クションがジャケット全長の35%を占め、中間ジャケットも同様に35%を占め、下側ジャケットが30%を占めている。環状ギャップ(環状スペース)は薄壁インサート二重チューブを収容している。リアクターの肉厚は10mmであり(
図2を参照のこと)、冷却/加熱ゾーンのギャップは6mmになり、ポストリアクター(post reactor)の容積は0.02m
3になる。インサート二重チューブ(内側チューブシェル及び外側チューブシェル)の肉厚は0.5mmになり、外径=122.67mm、内径=118.33mmであり、外側のジャケット付きチューブ及び内側のジャケット付きチューブからインサート二重チューブの壁までの距離は、それぞれ(127−122.67)/2=2.17mm及び(118.33−114)/2=2.17mmになり(
図1を参照のこと)、インサート二重チューブの長さは1.75m(=リアクター全長の35%)である。組み込まれる二重チューブの直径は、この場合は、エチレンオキシドの約82.25%が外側リアクターチューブと内側リアクターチューブとの間の2つの断面を通して供給され、最後に17.75%が組み込まれている二重チューブの断面を通して供給されるような寸法とした。
【0055】
触媒の製造のために、総原材料の一部である7.15kg/時=0.0325kmol/時のn−ノニルフェノール(分子量=220)、及びそのn−ノニルフェノール分量に適した0.19kg/時の100%苛性ソーダ=0.0048kmol/時=14.64mol%に相当する0.38kg/時の50%苛性ソーダ溶液を、およそ50℃の温度で予め混合した後で、0.125m
2の蒸発器表面を有する薄膜蒸発器(TFE)内に供給する。ジャケット温度は、減圧蒸気によって、150℃=およそ4barに調整される(圧力制御)。苛性ソーダ溶液及び蒸留される反応水からの水量(全体でおよそ0.28kg/時)を、真空ポンプシステムによっておよそ30mbar(絶対圧)で放出する。残りの水分の含量が0.05%未満である形成されたナトリウムn−ノニルフェノラートを、固有のポンプによって真空にされたTFEから取り出し、不純物を除去するために自浄式スリットフィルターを通して給送する。この手順の後、それを、静的ミキサーにおいて、97.36kg/時=0.4425kmol/時の未反応のn−ノニルフェノールと混合する(この混合物はこの場合、触媒として1mol%のナトリウムn−ノニルフェノラートを含有する)。
【0056】
本発明による二重チューブが挿入されている環状ギャップリアクターでは、上側ジャケットにおける加圧される冷却水/熱水の事前稼働温度(pre run temperature)は、35℃に調整され、水ループ量は5m
3/時に設定される。入口温度は、「スプリットレンジ」自動コントローラーにより、予熱の場合は圧力蒸気の、冷却の場合は水の、圧力ループへのモニタリングされる給送によって一定に保たれる。中間ジャケットセクションでは、水ループ量は5m
3/時及び55℃に調整され、下側ジャケットにおいても同じである。
【0057】
未反応のn−ノニルフェノール及び触媒されたn−ノニルフェノールの混合物(混合物はこの時点で0.6mol%の触媒を含む)は、固有のTFE排出ポンプによって、165℃の設定温度を有する熱交換器を通して、かつ双方の分散スリット(リングスリットノズル)を通して、ギャップに比例して、質量流量計によって制御される、触媒として形成されるアルコラートを含む104.62kg/時のn−ノニルフェノールの量で、同心の内側ジャケット付きチューブと外側ジャケット付きチューブとの間のスペース内へ圧送される。リアクターヘッド上の供給パイプから、146.32kg/時=3.3257kmol/時のエチレンオキシド(エチレンオキシドに対するn−ノニルフェノール=7.0に対して1)が高圧ポンプによって給送される。挿入される二重チューブ(1.750m、リアクター全長の上部の35%)を通して、エチレンオキシドの25.37kg/時(=17.75%)の量が流れ、約120.35kg/時(=82.25%)のエチレンオキシドの残りの量は環状ギャップの断面(I+II)(
図2を参照のこと)を通って流れる。エチレンオキシド転化率は、リアクターの第1のセクション(リアクターの長さの3
5%)では25%であり、第2のセクション(リアクターの長さの35%)では35%であり、第3のセクション(リアクターの長さの30%)では40%であるはずである。
【0058】
反応混合物は、およそ236℃の温度で、圧力制御弁(50bar)を介してリングチャンバー(およそ0.02m
3)を出て、脱気(ジオキサン等の副生成物によって形成される、エチレンオキシドからの不活性ガス)のためにサイクロンに入る。ガスは次に、水封式真空ポンプによって排出され、燃焼されるか又はスクラバーに導かれる。サイクロン内では、低真空がおよそ700mbar(絶対圧)に維持される。必要であれば、ストリッピング蒸気もサイクロン内に導入することができる。したがって、より良好な脱気が達成される。その後、最終生成物を、サイクロンへの再循環ループによって熱交換器においておよそ60℃に冷却する。
【0059】
動的ミキサーによる乳酸(0.54kg/時)での中和のために、反応混合物はおよそ5m
3/時のループにおいて熱交換器を通して圧送される。最終生成物は、ループから、濾過のために又は貯蔵タンクに向けて排出される。
【0060】
アルコキシル化リアクターの始動時に、手順は以下のように進行する:環状ギャップリアクターを、最初に、薄膜蒸発器からの、濃縮され濾過された触媒混合物、及び静的ミキサーにおいて混合される未反応のn−ノニルフェノールで充填する。0.6mol%の触媒を含有する混合物を165℃まで予熱した後で1時間あたり規定の量でリアクターに給送する。(液位制御される)サイクロン内の低い液位に達した直後に、エチレンオキシドを、同様に1時間あたり規定の量で予熱器を通してリアクター内に圧送する。リアクター出力管路内の圧力制御弁を50barに調整する(エチレンオキシドの165℃の蒸気圧はおよそ50barである)。リアクターの3つの加熱/冷却ループの各セクションの温度コントローラーを、必要温度に調整する。
【0061】
生成物の詳細
水酸基価(mgKOH/g) :106 換算分子量=528
=7.0molのEO
色(目視) :淡黄色
色(APHA) :20max.
50℃の密度 :およそ1.04g/cm
3
流動点 :7℃
50℃の動的粘度 :およそ65mPas
ジオキサン含量(ヘッドスペースGC):最高1ppm
エチレンオキシド :最高1ppm
ポリグリコール :1%
水分(カールフィッシャー法) :0.05重量%
【0062】
実施例2
本発明による、原材料投入部の下流及び第2のエチレンオキシド投入部に静的混合要素を有し、1.750mの長さ(リアクター全長の35%)の挿入される二重チューブを有する、2008トン/年に相当する260kg/時の容量を有する5m長の5インチ環状ギャップリアクターにおける、n−ノニルフェノールと15molのエチレンオキシドとの反応。
【0063】
実施例1(7molのエチレンオキシド)との比較では、同じリアクターサイズにするように容量を維持する。エチレンオキシドの量が多いほど(15mol)反応熱が増大するため、リアクター温度はほんの僅か高い。実施例2の場合、
図1及び
図2による同じ環状ギャップリアクター(実施例1におけるような寸法)及び実施例1におけるのと同じ薄
膜蒸発器を用いる。
【0064】
触媒の製造のために、総原材料(65kg/時)の一部である4.45kg/時=0.0202kmol/時に等しい(means)n−ノニルフェノール、及びn−ノニルフェノールに対して0.12kg/時の100%NaOH(苛性ソーダ)=0.0030kmol/時=14.64mol%に相当する0.24kg/時の50%NaOH溶液の双方を、予め混合した後で、50℃で薄膜蒸発器(0.125m
2)内に給送する。薄膜蒸発器(TFE)は、4barの蒸気によっておよそ150℃に加熱される(圧力制御)。苛性ソーダ及び蒸留される反応水からの水量(合わせて0.17kg/時)を、ウォータージェット(30mbar(絶対圧))によって排出する。残留水分の含量が0.05%未満であるナトリウムn−ノニルフェノラートを、ギアポンプによって真空にされた薄膜蒸発器から取り出し、スリットフィルターを通して不純物から分離する。その後、それを、静的ミキサーにおいて、0.2752kmol/時に相当する未反応のn−ノニルフェノール60.55kg/時と混合する(このブレンドはこの場合、触媒として0.6mol%のナトリウムn−ノニルフェノラートを含有する)。
【0065】
上側リアクタージャケットセクションにおける冷却/加熱用の加圧される水の事前稼働温度は136℃に固定され、水ループはおよそ5m
3/時に固定される。入口温度は、ループに蒸気又は冷却水を注入することによって温度を保つ「スプリットレンジ」制御によって制御される。中間ジャケットは5m
3/時及び23℃で水ループに接続され、下側ジャケットは5m
3/時及び35℃で水ループに接続される。
【0066】
薄膜蒸発器からの排出ギアポンプは、触媒された(0.6mol%)n−ノニルフェノール(65.07kg/時、質量流量計)を、165℃の設定温度を有する熱交換器を通して、内側分散スリット及び外側分散摺スリット(リングスリットノズル)を通して対応する反応スペース内へ均等に圧送する。リアクターヘッドから、195.00kg/時の液体エチレンオキシド(=2.0683kmol/時)が圧力ポンプによってチャージされる(エチレンオキシドに対するn−ノニルフェノールの比率は1:15である)。インサート二重チューブの寸法は、3.500mに等しいリアクター全長の70%の長さである。同心のジャケット付き内側チューブ及び外側チューブの環状の断面(直径d
i=114mm、d
out=127mm)を通して、82.25%=160.39kg/時がチャージされる。インサート二重チューブ(実施例1)の断面を通して、43.61kg/時=17.75%に等しいエチレンオキシドの残りの量がチャージされる(3.5m)。エチレンオキシド転化率は、リアクターの第1のセクション(リアクターの長さの35%)では15%であり、第2のセクション(リアクターの長さの35%)では35%であり、第3のセクション(リアクターの長さの30%)では50%であるはずである。
【0067】
反応混合物は、耐圧弁を介して制御されながらリングチャンバー(0.02m
3)を出て、エチレンオキシドからの、ジオキサン等の副生成物によって形成される不活性ガスを脱気される。その後、熱交換器及びサイクロンへの再循環ループにおける60℃への冷却が続く。
【0068】
乳酸(0.34kg/時)での中和のために、反応混合物はループにおいて動的ミキサー及び後続の冷却器(5m
3/時)を通して圧送される。中和ループからの最終生成物は、フィルターを通って貯蔵タンクに排出される。
【0069】
生成物の詳細
水酸基価(mgKOH/g) :63 換算分子量=880
=15.0molのEO
色(目視) :淡黄色
色(APHA) :20max.
50℃の密度 :およそ1.07g/cm
3
流動点 :25℃
50℃の動的粘度 :およそ80mPas
ジオキサン含量(ヘッドスペースGC):最高1ppm
エチレンオキシド :最高1ppm
ポリグリコール :1%
水分(カールフィッシャー法) :0.05重量%
【0070】
実施例3
本発明による、原材料投入部の下流及び第2のエチレンオキシド投入部に静的混合要素を有し、1.750mの長さ(リアクター全長の35%)の挿入される二重チューブを有する、5653トン/年に相当する704kg/時の容量を有する5m長の5インチ環状ギャップリアクターにおける、3molのエチレンオキシドを用いたn−ノニルフェノールエトキシレートの調製。
【0071】
実施例1との比較では、同じリアクターサイズにおけるより少ないエチレンオキシド分量(3mol)に起因して、反応熱がより少ないため、スループットが比例して(above proportion)上昇する。
【0072】
実施例3の場合、
図1及び
図2による同じ環状ギャップリアクター(実施例1におけるような寸法及び実施例1におけるのと同じ薄膜蒸発器設備)を用いる。
【0073】
実施例3における触媒の製造のために、総原材料(440kg/時)の一部である0.1368kmol/時に相当する30.10kg/時に等しいn−ノニルフェノール、及びn−ノニルフェノールに対して0.480kg/時の100%NaOH(苛性ソーダ)=0.0120kmol/時=8.78mol%と同等の0.96kg/時の50%NaOH溶液の双方を、(予め混合した後で)50℃で0.125m
2の交換器表面を有する薄膜蒸発器内へ給送する。薄膜蒸発器は、6barの蒸気によって加熱される(圧力制御)。苛性ソーダ及び蒸留される反応物からの水量(0.7kg/時)を、ウォータージェット(30mbar(絶対圧))によって排出する。残留水分の含量が0.05%未満である構成されたナトリウムn−ノニルフェノラートを、ギアポンプによって真空にされた薄膜蒸発器から除去し、回転するスリットフィルターを通して汚染から濾過する。その後、触媒を、静的ミキサーにおいて、409.90kg/時=1.8632kmol/時の未反応のn−ノニルフェノールと混合する(この混合物はこの場合、0.6mol%のナトリウムn−ノニルフェノラートを含有する)。
【0074】
上側リアクタージャケットにおける冷却/加熱の給水温度は75℃に固定され、水ループはおよそ5m
3/時に固定される。一定の入口温度は、「スプリットレンジ」制御によって制御される。中間ジャケットは5m
3/時及び75℃のループ水量を可能にし、下側ジャケットは5m
3/時及び75℃で動作する。
【0075】
排出ギアポンプは、薄膜蒸発器からの触媒された(0.6mol%)n−ノニルフェノール及び未反応のn−ノニルフェノール(440.26kg/時、質量流量計による)を、165℃の設定温度を有する熱交換器を通して、内側分散スリット及び外側分散摺スリット(リングスリットノズル)を通してリアクター壁間に均等に圧送する。リアクターヘッドから、264kg/時の液体エチレンオキシド=6.000kmol/時が圧力ポンプによってチャージされる(エチレンオキシドに対するn−ノニルフェノール対の比率は1:3である)。インサート二重チューブの寸法は、リアクター全長の35%の長さであり、1.750mに等しい。同心のジャケット付き内側チューブ及び外側チューブの環状
の断面(直径d
i=114mm、d
outer=127mm)を通して、82.25%=217.14kg/時のエチレンオキシドがチャージされる。インサート二重チューブの断面を通して、46.86kg/時=17.75%に等しいエチレンオキシドの残りの量がチャージされる(第1の給送位置から1.75m)。エチレンオキシド転化率は、リアクターの第1のセクション(リアクターの長さの35%)では20%であり、第2のセクション(リアクターの長さの35%)では40%であり、第3のセクション(リアクターの長さの30%)では40%であるはずである。
【0076】
反応混合物は、耐圧弁(調整される圧力は50barである)を介して制御されながらリングチャンバー(0.02m
3)を出て、エチレンオキシドからの、ジオキサン等の副生成物によって形成される不活性ガスを脱気される。これらのガスは、水ポンプによって排出され、燃焼されるか又はスクラバーに向かう。その後、熱交換器及びサイクロンへの部分再循環における60℃への冷却が続く。
【0077】
乳酸(1.54kg/時、70重量%、分子量90g/mol)での中和のために、反応混合物はループにおいて動的ミキサー及び後続の冷却器(5m
3/時)を通して圧送される。中和ループからの最終生成物は、フィルターを通った後で、貯蔵部に導かれる。
【0078】
生成物の詳細
水酸基価(mgKOH/g) :159.4 換算分子量=352
=3.0molのEO
色(目視) :淡黄色
色(APHA) :20max.
ジオキサン含量(ヘッドスペースGC):最高1ppm
エチレンオキシド :最高1ppm
ポリグリコール :1%
水分(カールフィッシャー法) :0.05重量%
【0079】
実施例4
本発明による、原材料投入部の下流及び第2のエチレンオキシド投入部に静的混合要素を有し、6mの長さ(リアクター全長の60%)の挿入される二重チューブ及び触媒として0.6mol%のNaOHを有する、5653トン/年に相当する704kg/時の容量を有する10m長の5インチ環状ギャップリアクターにおける、3molのエチレンオキシドを用いたn−ノニルフェノールの調製。
【0080】
同じ容量を有する実施例3と比較して、リアクター長は最大10mまで増大される。反応は、この場合にはより長い長さにわたって広がるため、最高温度は209℃まで低下する。
【0081】
実施例4の場合、
図1及び
図2による同じ環状ギャップリアクター(実施例1におけるような寸法)を用いる。
【0082】
実施例4の触媒製造は実施例3と同様に行った。
【0083】
ギアポンプによって、0.6mol%の苛性ソーダを含む触媒されたn−ノニルフェノールを、165℃の設定温度を有する熱交換器を通して圧送し、双方の分散スリット(リングスリットノズル)を通して内側反応チューブと外側反応チューブとの間に均等に供給する。リアクターヘッドから、264.00kg/時=6.000kmol/時のエチレンオキシドがポンプによってチャージされる(n−ノニルフェノール対エチレンオキシドは1:3)。インサート二重チューブの断面(リアクター全長の60%=6.000m)
を通して、46.86kg/時=17.75%のエチレンオキシドが、また内側反応チューブ及び外側反応チューブによって形成される環状の断面にわたって、217.14kg/時=82.25%のエチレンオキシドがチャージされる。エチレンオキシド転化率は、リアクターの第1のセクション(リアクターの長さの35%)では40%であり、第2のセクション(リアクターの長さの35%)では40%であり、第3のセクション(リアクターの長さの30%)では20%であるはずである。
【0084】
反応混合物は、209℃では、脱気(エチレンオキシドからの、ジオキサン等の副生成物によって形成される不活性ガス)のために圧力制御弁を介して膨張し、サイクロンに入る。脱気後、熱交換器(サイクロンへの再循環ループ)における60℃への冷却が続く。
【0085】
上側ジャケットにおける加圧(5m
3/時)冷却/加熱水ループの供給温度は73℃に調整される。3つのジャケット(反応セクション)の入口温度の維持は、蒸気及び冷却水の給送に関与する「スプリットレンジ」コントローラーによって行われる。中間ジャケットの水ループは5m
3/時及び116℃で稼働する。下側ジャケットの水ループは5m
3/時及び141℃で稼働する。
【0086】
反応混合物は、ループにおいて、乳酸(0.23kg/時)で中和されるように、動的ミキサー及び5m
3/時の冷却器を通して圧送される。最終生成物は、ループを出た後で、濾過後に貯蔵部に導かれる。
【0087】
生成物の詳細
水酸基価(mgKOH/g) :159.4 換算分子量=352
=3.0molのEO
色(APHA) :20max.
ジオキサン含量(ヘッドスペースGC):最高1ppm
エチレンオキシド :最高1ppm
ポリグリコール :1%
【0088】
実施例5
本発明による、原材料投入部の下流及び第2のエチレンオキシド投入部に静的混合要素を有し、6mの長さ(リアクター全長の60%)のインサート二重チューブを有する、6816トン/年に相当する852kg/時の容量を有する10m長の5インチ環状ギャップリアクターにおける、2molのエチレンオキシドを用いた脂肪族アルコールC
12〜C
14エトキシレートの調製。
【0089】
実施例5では、脂肪族アルコールC
12〜C
14は2molのエチレンオキシドと反応する。出力量は、実施例4に対して、エチレンオキシドの添加が少ないほどより少ない反応熱しか放出されないため、同じリアクターサイズを用いながらも増大する。この場合、最高温度は208℃に達する。リアクター内の平均滞留時間は55秒になり、ポストリアクターでは283秒になる(合計でおよそ5分)。
【0090】
実施例5の場合、
図1及び
図2による同じ環状ギャップリアクター(実施例1におけるような寸法)を用いる。
【0091】
触媒の製造のために、総原材料(104.51kg/時)の一部である40.22kg/時=0.2052kmol/時に等しい脂肪族アルコールC
12〜C
14(C
12=65%〜71%、C
14=22%〜28%、C
16=4%〜8%、分子量=196(ヒドロキシ値から)、及びその部分的な脂肪族アルコールC
12〜C
14に対する8.77mol%と同等の1.44kg/時の50%苛性ソーダ溶液=0.72kg/時の100%N
aOH=0.0180kmol/時を、およそ50℃の温度で予め混合した後で、0.125m
2の蒸発器表面を有する薄膜蒸発器(TFE)内へ給送する。TFEのジャケット温度は、圧力蒸気によって、150℃=およそ4barに調整される(圧力制御)。苛性ソーダ溶液及び蒸留される反応水からの水量(合わせておよそ1.04kg/時)を、水封式ポンプ(およそ30mbarの真空)によって排出する。残りの水分の含量が0.05%未満である形成されたナトリウムC
12〜C
14脂肪族アルコラートを、固有のポンプによって真空から取り出し、不純物を分離するためにスリットフィルターに通す。次に、濾液を、静的ミキサーにおいて、547.78kg/時=2.705kmol/時の未反応の脂肪族アルコールC
12〜C
14と混合する(このブレンドはこの場合、触媒として0.6mol%のナトリウムC
12〜C
14アルコラートを含有する)。
【0092】
ギアポンプによって、触媒された脂肪族アルコールC
12〜C
14を、165℃の設定温度を有する熱交換器を通して導き、2つの分散スリット(リングスリットノズル)を通して2つの同心の反応チューブの壁間のギャップに均等に導く。リアクターヘッドの給送パイプを介して、264.00kg/時のエチレンオキシド(=6.000kmol/時)(エチレンオキシドに対する脂肪族アルコールC
12〜C
14=1:2)が高圧ポンプによって供給される。挿入される二重チューブ(リアクター全長の60%=6.000m)を通して、また、環状ギャップ及び挿入される二重チューブの上述した2つの断面にわたって、82.25%=217.14kg/時のエチレンオキシドが、挿入される二重チューブの内側及び外側の環状ギャップ間に供給される。リアクター上部から6.000mの後で、挿入される二重チューブにわたってエチレンオキシドの残りの量46.86kg/時=17.75%が続く。エチレンオキシド転化率は、リアクターの第1の部分(リアクターの長さの35%)では40%に達し、第2の部分(リアクターの長さの35%)では40%に達し、第3の部分(リアクターの長さの30%)では20%に達する。反応混合物は208℃でリアクター端部を出て、次に、リングチャンバー(およそ0.02m
3)から圧力制御弁を介して排出されて脱気(ジオキサン等の副生成物によって形成される、EOからの不活性ガス)のためにサイクロンに入る。その後、サイクロンへの再循環ループによって熱交換器においておよそ60℃までの冷却が行われる。
【0093】
上側ジャケットにおける加圧される加熱/冷却の給水温度は、5m
3/時のループ量によって85℃に調整される。各セクションの入口温度は、圧力水ループへの蒸気又は冷却水供給の「スプリットレンジ」自動制御給送によって一定に保たれる。中間ジャケットセクションでは、ループ量は129℃の5m
3/時の水に調整され、下側ジャケットでは水ループ量は5m
3/時及び153℃に調整される。
【0094】
乳酸(2.31kg/時)での中和のために、反応混合物はループにおいて動的ミキサー及び後続の冷却器(ループ量約5m
3/時)を通して圧送される。中和ループからの最終生成物は、濾過後に貯蔵部に導かれる。
【0095】
反応混合物が硫酸化プラントに直接供給される場合、乳酸での中和は必要ではない。未中和生成物は、バッファー容器内で窒素ブランケット下に一時的に貯蔵することができる。
【0096】
実施例6
本発明による、原材料投入部の下流及び第2のエチレンオキシド投入部に静的混合要素を有し、6mの長さ(リアクター全長の60%)のインサート二重チューブ及び1mol%の触媒を有する、39360トン/年に相当する4920kg/時の容量を有する10m長の36インチ環状ギャップリアクターにおける、3molのエチレンオキシドを用いた脂肪族アルコールC
12〜C
14エトキシレートの調製。
【0097】
実施例3と比較して、エトキシル化は、10mの長さ、1mol%の触媒濃度及び6m長(全長の60%)の挿入される二重チューブの長さを有する36インチの環状ギャップリアクターにおいて行う。この場合、リアクターは、エチレンオキシド及び脂肪族アルコールの予熱に用いられる。エチレンオキシドの給送温度は20℃であり、脂肪族アルコールの温度は40℃である。
【0098】
図1及び
図2による環状ギャップリアクターは、内径が36インチ=914.4mmの外側チューブと、外径が895.2mmの内側チューブとからなり、リアクターの長さは10mであり、9.6mmの環状幅を有し(環状スペースの容積は0.272m
3である)、3つの冷却/加熱セクションを有する内側のジャケット付き反応チューブ及び外側のジャケット付き反応チューブ内の原材料分散スリット(リングスリットノズル)を有する(
図1を参照のこと)。上側ジャケット及び中間ジャケットはそれぞれリアクター全長の35%を覆い、下側ジャケットはリアクター全長の30%を覆う。環状ギャップ(環状スペース)内には、薄壁二重チューブが組み込まれる。リアクターの肉厚は19mmになり、冷却/加熱ジャケットのギャップは8mmであり、ポストリアクターの容積は0.08m
3になる。インサート二重チューブの肉厚は0.5mmであり、外径は908.0mmであり、内径は901.6mmであり、スリット幅は(908.0−901.60)/2=3.20mmになる。インサート二重チューブの長さはリアクター全長の60%=6mになる。
【0099】
インサート二重チューブの直径は、エチレンオキシドの77.08%が内側環状ギャップ及び外側環状ギャップにわたって満たされ、残りの22.92%がインサート二重チューブにわたってチャージされるように寸法決めされる。
【0100】
実施例6の触媒を製造するには、総原材料(2940.00kg/時)の一部である脂肪族アルコールC
12〜C
14(C
12=65%〜71%、C
14=22%〜28%、C16=4%〜8%、モル重量=196(水酸基価から))、すなわち201.11kg/時=1.0261kmol/時、及び脂肪族アルコールC
12〜C
14に対して0.15kmol/時=14.62mol%と同等の12.00kg/時の50%苛性ソーダ溶液=6.00kg/時の100%NaOHとする。全てを、予め混合した後で、一緒におよそ50℃の温度で1.0m
2の蒸発器表面を有する薄膜蒸発器(TFE)内に給送する。TFEのジャケット温度は、蒸気によって150℃=およそ4barに設定される(圧力制御)。苛性ソーダ溶液及び蒸留される反応水からの水量(合わせておよそ8.70kg/時)を、ウォータージェットポンプによっておよそ30mbarの真空下で吸い出す。残りの水分の含量が0.05%未満である形成されたナトリウム脂肪族アルコラートC
12〜C
14を、真空にされたTFEから圧送し、汚染を除去するためにスリットフィルターを通して導く。次に、それを、静的ミキサーにおいて、2738.89kg/時=13.9739kmol/時の未反応の脂肪族アルコールC
12〜C
14と混合する(この混合物はこの場合、1.0mol%のナトリウム脂肪族アルコラートC
12〜C
14を含有する)。
【0101】
10m
3/時の加圧される冷却/加熱水ループの供給温度は、上側ジャケットセクションでは112℃に設定される。入口温度は、一定の圧力を有する(特に予熱用の)蒸気又は冷却水の圧力水ループ内への供給のための「スプリットレンジ」制御によって調整される。中間ジャケットに関しては、加圧される水ループは10m
3/時及び150℃に調整され、下側ジャケットに関しても150℃の10m
3/時の水ループに調整される。
【0102】
ギアポンプを用いて、1.0mol%によって触媒された脂肪族アルコラートC
12〜C
14は、熱交換器を通して165℃の温度まで予熱され、2943.30kg/時(質量流量計)の脂肪族アルコラートC
12〜C
14(触媒である形成されたアルコラートを
含む)の量で、2つの分散スリット(リングスリットノズル)を通して内側反応チューブ壁と外側反応チューブ壁との間にチャージされる。リアクター上部のマニホルドから、1980kg/時=45.00kmol/時のエチレンオキシド(脂肪族アルコラートC
12〜C
14対エチレンオキシド=1:3)が圧力ポンプによってチャージされる。インサート二重チューブ(リアクター全長の60%=6.000m)を通して、また前述した挿入される二重チューブの内側及び外側の環状ギャップの断面にわたって、エチレンオキシドが環状ギャップにわたってチャージされる(77.08%=1526.18kg/時)。エチレンオキシドの残りの量453.82kg/時=22.92%は、インサート二重チューブを通っておよそ6.000m下側から進む。エチレンオキシド転化率は、リアクターの第1の部分(リアクターの長さの35%)では57%であり、第2の部分(リアクターの長さの35%)では28%であり、第3の部分(リアクターの長さの30%)では15%であるはずである。反応混合物は次に、圧力制御弁(50barに調整される)を介してポストリアクター(リングチャンバー、およそ0.08m
3)を出て、脱気(EOからの、ジオキサン等の副生成物によって形成される不活性ガス)のためにサイクロンに入る。水封式真空ポンプによって排気される排ガスは燃焼されるか又はスクラバーに導かれることができる。その後、サイクロンへの再循環ループにおいて熱交換器内でおよそ60℃への冷却が行われる。
【0103】
19.29kg/時の70重量%の乳酸(モル重量=90)での中和のために、反応混合物を動的ミキサーを通して圧送し、ループ内の冷却器(およそ10m
3/時)を通す。中和ループを出た最終生成物は、濾過後に貯蔵タンクに流れ込む。
【0104】
実施例7
本発明による、原材料投入部の下流及び第2のエチレンオキシド投入部において静的混合要素を有し、5.500mの長さ(リアクター全長の55%)のインサート二重チューブ及び1mol%の触媒を有する、45656トン/年に相当する5707kg/時の容量を有する10m長の36インチ環状ギャップリアクターにおける、3molのエチレンオキシドを用いたn−ノニルフェノールエトキシレートの調製。
【0105】
実施例6と比較して、エトキシル化は、10mの長さ、1mol%の触媒濃度及び5.5mの挿入される二重チューブの長さ(全長の55%)を有する36インチの環状ギャップリアクターにおいて行う。この場合、リアクターは、エチレンオキシドの予熱及び脂肪族アルコールの予熱に同時に用いられる。エチレンオキシドの給送温度は20℃であり、1mol%の触媒を含む脂肪族アルコールの温度は40℃である。
【0106】
図1及び
図2による環状ギャップリアクターは、内径が36インチ=914.4mmの外側チューブと、外径が895.2mmの内側チューブとからなり、リアクターの長さは10mであり、9.6mmの環状幅を有し(環状スペースの容積は0.272m
3である)、内側のジャケット付き反応チューブ及び外側のジャケット付き反応チューブ並びに3つの冷却/加熱セクション内の原材料分散スリット(リングスリットノズル)を有する(
図1を参照のこと)。上側ジャケット及び中間ジャケットはそれぞれリアクター全長の35%を覆い、下側ジャケットはリアクター全長の30%を覆う。環状ギャップ(環状スペース)内には、薄壁二重チューブが組み込まれる。リアクターの内側及び外側の肉厚は19mmになり、冷却/加熱ジャケットのギャップは8mmになり、ポストリアクターの容積は0.08m
3になる。インサート二重チューブの内側及び外側の肉厚は0.5mmであり、外径は908.0mmであり、内径は901.6mmであり、それによって、ギャップ幅は(908.0−901.60)/2=3.20mmになる。インサート二重チューブの長さは、5.500m=リアクター全長の55%になる。インサート二重チューブの直径は、エチレンオキシドの77.08%が内側環状ギャップ及び外側環状ギャップにわたって満たされ、残りの22.92%がインサート二重チューブの断面にわたってチャ
ージされるように寸法決めされる。
【0107】
実施例7の触媒を製造するには、総原材料の一部=3410.00kg/時の脂肪族アルコールC
12〜C
14(C
12=65%〜71%、C
14=22%〜28%、C
16=4%〜8%、モル重量=196(水酸基価から))、すなわち233.26kg/時=1.1901kmol/時、及び脂肪族アルコールC
12〜C
14に関連する13.92kg/時の50%苛性ソーダ溶液=6.96kg/時の100%NaOH=0.1740kmol/時=14.62mol%とする。全てを予め混合し、およそ50℃の温度で1.0m
2の表面を有する薄膜蒸発器(TFE)内に給送する。TFEのジャケット温度は、蒸気によって150℃=およそ4barに設定される(圧力制御)。苛性ソーダ溶液及び蒸留される反応水からの水量(合わせておよそ10.09kg/時)を、ウォータージェットポンプによっておよそ30mbarの真空下で吸い出す。残りの水分の含量が0.05%未満である形成されたナトリウム脂肪族アルコラートC
12〜C
14を、真空にされたTFEから圧送し、汚染から濾過するためにスリットを通して導く。次に、それを、静的ミキサーにおいて、3176.74kg/時=16.2078kmol/時の未反応の脂肪族アルコールC
12〜C
14と混合する。この混合物はこの場合、触媒として1.0mol%のナトリウム脂肪族アルコラートC
12〜C
14を含有する。混合物の温度は48℃である。
【0108】
上側ジャケットセクションにおける加圧される冷却/加熱水ループの供給温度は179℃に設定される。水のループ量は10m
3/時になる。入口温度は、圧力水ループ内への「スプリットレンジ」制御される(特に予熱用の)蒸気圧又は冷却水供給によって調整される。中間ジャケットに関しては、水ループは10m
3/時及び113℃に調整され、下側ジャケットセクションに関しては167℃の水ループが用いられる。
【0109】
ギアポンプによって、1.0mol%によって触媒された脂肪族アルコラートC
12〜C
14は、48℃の混合温度を有する5710.83kg/時(質量流量計)の量で、同心のジャケット付き内側リアクターチューブ及びジャケット付き外側リアクターチューブにおける2つの分散スリット(リングスリットノズル)を通して内側反応チューブ壁と外側反応チューブ壁との間に均等にチャージされる。リアクター上部のヘッドマニホルドから、2297kg/時のエチレンオキシド(=52.2045kmol/時)(脂肪族アルコラートC
12〜C
14とエチレンオキシドとの比率=1:3)が圧力ポンプによってチャージされる。インサート二重チューブを通して(リアクター全長の55%=5.500m)、また前述した挿入される二重チューブの内側及び外側の環状ギャップの断面にわたって、エチレンオキシドがチャージされる(77.08%=1770.53kg/時)。エチレンオキシドの残りの量526.47kg/時=22.92%がインサート二重チューブを通して上部からおよそ5.500m下でチャージされる。エチレンオキシド転化率は、リアクターの第1の部分(リアクターの長さの35%)では20%であり、第2の部分(リアクターの長さの35%)では55%であり、第3の部分(リアクターの長さの30%)では25%であるはずである。反応混合物は次に、圧力制御弁(50barに調整される)を介してポストリアクター(リングチャンバー、およそ0.08m
3)を出て、脱気(エチレンオキシドからの、ジオキサン等の副生成物によって形成される不活性ガス)のためにサイクロンに入る。水封式真空ポンプによって排気される排ガスは燃焼されるか又はスクラバーに導かれることができる。その後、サイクロンへの再循環ループにおいて熱交換器によるおよそ60℃への冷却が行われる。
【0110】
22.37kg/時の70重量%の乳酸(モル重量=90)での中和のために、反応混合物を動的ミキサーを通して圧送し、ループ内の冷却器(およそ10m
3/時)を通す。最終生成物は中和ループを出て、濾過後に貯蔵タンクに流れ込む。