特許第5972899号(P5972899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5972899建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972899
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/18 20140101AFI20160804BHJP
【FI】
   E04D13/18
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-546388(P2013-546388)
(86)(22)【出願日】2011年12月21日
(65)【公表番号】特表2014-505809(P2014-505809A)
(43)【公表日】2014年3月6日
(86)【国際出願番号】US2011066612
(87)【国際公開番号】WO2012088327
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年8月15日
(31)【優先権主張番号】12/976,326
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513153662
【氏名又は名称】パオ,フランク
【氏名又は名称原語表記】PAO,Frank
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】パオ,フランク
【審査官】 湊 和也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−214584(JP,A)
【文献】 特開平10−281563(JP,A)
【文献】 特開2002−106973(JP,A)
【文献】 特開平08−005160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/18
H01L 31/042
H02S 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムにおいて、
屋根の全域に縦に設置された複数の木製補強板上に、横に設置される複数の金属製補強板であって、各々が、長手方向の両端に延びた長手経路を備える金属製補強板と、
液体を収容し、前記複数の金属製補強板の各々の前記長手経路上に設置され、この長手経路上に延びる熱配管と、
前記複数の金属製補強板上に設置されるとともに、直列に接続されて、結合列を形成する複数の太陽電池屋根タイルと、
各結合列に対して接続され、前記複数の太陽電池屋根タイルから供給される直流電流(DC)を、交流電流(AC)に変換するインバータと、
前記熱配管に連通する熱交換器と、
前記熱配管と前記熱交換器との間に連通し、前記熱配管内で液体を循環させるポンプとを備え、
前記熱配管および前記複数の太陽電池屋根タイルは、同時に動作して、それぞれ、宅内温水を供給し、発電することを特徴とする建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム。
【請求項2】
請求項1に記載の建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムにおいて、前記複数の太陽電池屋根タイルは、繊維セメントタイルに対して接着された太陽モジュールを有する、建物一体型光発電屋根タイルであることを特徴とする建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム。
【請求項3】
請求項1に記載の建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムにおいて、前記複数の太陽電池屋根タイルの各々は、前記複数の金属製補強板の各々に設けられた穴へ打ち込まれたアンカーフックを用いて、前記複数の金属製補強板上に設置されることを特徴とする建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム。
【請求項4】
請求項1に記載の建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムにおいて、太陽エネルギが、前記複数の太陽電池屋根タイルの表面に当たると、前記複数の太陽電池屋根タイルが、直流電流を発生することを特徴とする建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム。
【請求項5】
請求項1に記載の建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムにおいて、前記インバータは、前記直流電流を交流電流に変換し、電力系統に供給することを特徴とする建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム。
【請求項6】
請求項1に記載の建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムにおいて、前記複数の金属製補強板は、太陽エネルギを集め、前記屋根の全域を通る前記熱配管に前記液体が流れることにより、熱エネルギ変換が行われることを特徴とする建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム。
【請求項7】
請求項6に記載の建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムにおいて、前記熱エネルギは、前記熱交換器へと取り込まれ、宅内給水を加熱して、宅内温水を供給することになることを特徴とする建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム。
【請求項8】
請求項7に記載の建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムにおいて、前記熱エネルギが前記熱交換器へと取り込まれると、前記複数の太陽電池屋根タイルが冷却され、これにより前記複数の太陽電池屋根タイルが高効率で動作して、前記太陽エネルギを直流電流に変換することを特徴とする建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム。
【請求項9】
建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムの設置方法において、
a.屋根の全域に縦に設置された複数の木製補強板上に、複数の金属製補強板を横に設置するステップであって、前記複数の金属製補強板の各々は、長手方向の両端に延びた長手経路を備えるステップと、
b.液体を収容した熱配管を、前記複数の金属製補強板の各々の前記長手経路上に設置するステップと、
c.複数の太陽電池屋根タイルを、前記複数の金属製補強板の各々に設けられた穴へ打ち込まれたアンカーフックを用いて、前記複数の金属製補強板上に設置するステップと、
d.前記複数の太陽電池屋根タイルを直列に接続して、結合列を形成するステップと、
e.インバータを各結合列に接続し、前記複数の太陽電池屋根タイルから供給される直流電流を交流電流に変換するステップと、
f.熱交換器を、熱エネルギを取り込むために、前記熱配管に連通させるステップと、
g.ポンプを、前記熱配管と前記熱交換器との間に連通させ、前記熱配管内で前記液体を循環させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記複数の太陽電池屋根タイルは、繊維セメントタイルに対して接着された太陽モジュールを有する、建物一体型光発電屋根タイルであることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法において、太陽エネルギが、前記複数の太陽電池屋根タイルの表面に当たると、前記複数の太陽電池屋根タイルが、直流電流を発生することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法において、前記熱エネルギは、前記熱交換器へと取り込まれ、宅内給水を加熱して、宅内温水を供給することになることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法において、前記熱エネルギが前記熱交換器へと取り込まれると、前記複数の太陽電池屋根タイルが冷却され、これにより前記複数の太陽電池屋根タイルが高効率で動作して、太陽エネルギを直流電流に変換することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物一体型電気屋根システムに関し、特に、建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化およびその結果は、あらゆる国々が解決策を模索しているまさに地球規模の問題である。地球温暖化を軽減する重要な方法として、従来の方法よりも、環境に優しく、長期的には費用効果の高い、太陽エネルギ等の代替または再生可能エネルギを用いる方法がある。適切な大きさに設けられた太陽熱エネルギ収集システムは、ある種のエネルギ需要に応える実用的な選択肢となりうる。
【0003】
太陽電池板は、太陽エネルギを電気に変換することにより発電するために用いられる。太陽電池板は、平坦な格子上に配列された光電池を備えている。例えば、1999年11月23日にPosnanskyに対して付与された米国特許第5,990,414号明細書は、太陽電池が搭載された繊維セメント製屋根材からなる太陽電池屋根を開示している。太陽電池屋根は、電気技術が専門ではない屋根職人でも葺くことができるが、屋根上の環境温度が85°F(29.4℃)以上になると、変換率が低下する。他の例としては、太陽電池屋根タイル組立システムを開示した、米国特許第5,437,735号、第5,232,518号および第6,065,255号明細書、ならびに米国特許出願公開第20070157963号明細書がある。これらの従来技術特許によると、3〜4kWのシステムを屋根上に設置可能であるにすぎない。
【0004】
太陽エネルギは、様々な異なる方法で収集可能である。ある方法によると、太陽エネルギは、水等の熱媒体中の熱エネルギへと変換される。1988年4月19日にMooreに対して付与された米国特許第4,738,247号明細書は、互いに嵌合して屋根カバーを形成する、例えばタイル、細片、薄板等の一連の嵌合部材列と、屋根の平面に対して平行に延びるヒートパイプの組とからなる屋根設備を提供している。熱は、このヒートパイプから取り込まれ、直接用いられるか、あるいは、例えばヒートポンプ装置を介して間接的に用いられる。2008年6月19日、Hankenにより出願された米国特許出願公開第20080141999号明細書は、屋根裏に設置する太陽加熱システムを提供している。このシステムは、シート材により形成されたパネルと、複数の配管固定具によってパネルの下に保持された少なくとも1本の配管とを備えている。このようにパネルを組み立てることにより、屋根および周囲の空気から得られた熱を、配管中に流れる流体へ移送しやすくなる。このように構成しても、変換率が低いことから、自立的運用に十分なエネルギを生成せず、見た目もよくない。
【0005】
1993年11月9日にPeacockに対して付与された米国特許第5,259,363号明細書は、従来の金属屋根部材を用いた住居用および商用ビルに使用する、太陽屋根パネルシステムについて説明している。このシステムは、太陽からの熱エネルギを集めるとともに供給して内部を加熱し、さらに、太陽発電された電力を、家電製品の通常の補足分として電力供給することも可能である。しかしながら、このシステムは、熱および電気エネルギを生成するものの、熱および電気エネルギの双方を同時に生成して、相互に連動して動作させたり補償させたりすることはできない。
【0006】
したがって、屋根上の環境温度が85°F(29.4℃)を超えると変換率が低下するという問題を解決する熱電ハイブリッド屋根システムに対する需要が存在する。さらに、このような装置は、太陽エネルギを効率よく利用し、自立的で、見た目もよく、経済的なものとなり得る。このように求められている装置によると、熱エネルギおよび電気を同時に生成し、屋根上に4kWを超えるシステムを設置することができるようになり得る。本発明は、これらの目的を達成するものである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、屋根の全域に縦に設置された複数の木製補強板上に、複数設置された金属製補強板を備える、建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムである。複数の金属製補強板の各々は、長手方向の両端に延びた長手経路を備える。液体を収容した熱配管が、複数の金属製補強板上に設置されている。熱配管は、複数の金属製補強板の各々の長手経路上に延びている。複数の金属製補強板上に設置された複数の太陽電池屋根タイルが、さらに設けられている。複数の太陽屋根タイルは、エタニット(Eternit)タイルに対して接着された太陽モジュールを有する建物一体型光発電屋根タイルである。複数の太陽電池屋根タイルの各々は、直列に接続されて、結合列を形成している。さらに、本発明は、各結合列に対して接続されるインバータと、熱配管に連通する熱交換器と、熱配管と熱交換器との間に連通して熱配管内で液体を循環させるポンプとを備える。本発明の熱配管は、架橋ポリエチレン(PEX)、真鍮、銅、またはアルミニウム配管であってもよく、熱配管内を流れる液体は、水またはグリコールであってもよい。
【0008】
太陽エネルギが、複数の太陽屋根タイルの表面に当たると、これら複数の太陽屋根タイルが、直流電流を発生する。インバータは、直流電流を交流電流に変換して、電力系統に供給する。複数の金属製補強板は、太陽エネルギを集め、屋根の全域を通る熱配管に液体が流れることにより、熱エネルギに変換する。熱エネルギは、熱交換器へと取り込まれ、宅内給水を加熱して、宅内温水を供給することになる。熱エネルギが熱交換器へと取り込まれると、前記複数の太陽電池屋根タイルが冷却され、これにより複数の太陽電池屋根タイルが高効率で動作して、太陽エネルギを直流電流に変換する。好適な実施形態では、熱システムおよび電気システムが同時に動作して、それぞれ、宅内温水および電気を生成する。
【0009】
複数の太陽屋根タイルの各々は、複数の金属製補強板の各々に設けられた穴へ打ち込まれたストーム・アンカーフックを用いて、複数の金属製補強板上に設置されている。金属製補強板だけで、長手経路に沿って接している熱配管、および複数の太陽電池屋根タイルを保持している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明による建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムの配置図である。
図2図2は、家屋に設置された建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムの説明図である。
図3図3は、長手経路を示す本発明の金属製補強板の配置図である。
図4図4は、本発明による建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムのブロック図である。
図5図5は、建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムの設置方法を示すフローチャートである。
図6図6は、本発明の他の実施形態により提供される、大型屋根上の熱システムのブロック図である。
図7図7は、本発明の他の実施形態により提供される、複数の屋根面を具備する大型屋根上の熱システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に、建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム10の配置図を示す。このシステムは、屋根(図示せず)の全域において縦に設置された複数の木製補強板14上に、横に設置された複数の金属製補強板12を備えている。複数の金属製補強板12の各々は、長手方向の両端に延びた長手経路16を備えている。液体を収容した熱配管18は、複数の金属製補強板12上に設置されている。熱配管18は、複数の金属製補強板12の各々における長手経路16上に延びている。さらに、このシステムは、複数の金属製補強板12上に設置された複数の太陽電池屋根タイル20を備えている。複数の太陽屋根タイル20は、エタニット(Eternit)タイル24に接着した太陽モジュール22を有する建物一体型光発電屋根タイルである。複数の太陽電池屋根タイル20は、直列に連結され、結合列26を形成している。複数の太陽電池屋根タイル20の直列接続配列は、設計に応じて様々であってもよい。屋根の設計により屋根の寸法が様々となることに対応して、複数の太陽電池屋根タイル20の結合列26を整合させる始端部28が設けられている。
【0012】
複数の太陽屋根タイル20の各々は、複数の金属製補強板12の各々に設けられた穴(図示せず)に打ち込まれたストーム・アンカーフック29を用いて、複数の金属製補強板12上に設置されている。ストーム・アンカーフック29は、複数の太陽屋根タイル20が相互に重複するように設計されている。複数の穴(図示せず)は、特定の位置に対応して、複数の金属製補強板12の各々に事前に穿たれているため、時間を節約するとともに設置手順を簡略化する。特定の位置は、複数の太陽電池屋根タイル20の寸法に基づいている。
【0013】
図2は、家屋30に設置された建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムの説明図である。本発明では、熱システムおよび電気システムは、相互に連動して動作したり補償したりする。図に示すように、本発明は、各結合列26に接続されるインバータ32、熱配管18に連通する熱交換器34、および熱配管18と熱配管18を流れる液体を循環させる熱交換器34との間に連通するポンプ36を、さらに備えている。本発明における熱配管18は、架橋ポリエチレン(PEX)、真鍮、銅、またはアルミニウム配管であってもよく、熱配管18内を流れる液体は、水またはグリコールであってもよい。各結合列26がインバータ32に接続してもよく、あるいは、本発明の他の実施形態では、多くの結合列がインバータ32に並列接続してもよい。太陽エネルギが複数の太陽屋根タイル20の表面を照射すると、これら複数の太陽屋根タイル20が直流電流を発生する。インバータ32は、直流電流を交流電流に変換し、電力系統38に供給する。本発明により、屋根(図示せず)上に、7kWまでのシステムが設置可能となる。複数の金属製補強板12は、太陽エネルギを集め、屋根(図示せず)全域の熱配管18に液体を通すことにより、熱エネルギに変換される。熱エネルギは、熱交換器34へと取り込まれ、これにより宅内給水を加熱し、宅内温水を提供する。熱エネルギが熱交換器34へと取り込まれると、複数の太陽電池屋根タイル20が冷却され、これにより複数の太陽電池屋根タイル20は、太陽エネルギを高効率で直流電流に変換するように動作する。このように、本発明の熱システムは、屋根(図示せず)上の環境温度が85°F(29.4℃)を超えると太陽エネルギの電気エネルギへの変換率が低下するという問題を解決する。さらに、建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム10が、より多くの太陽エネルギを取り込むと、システム10のエネルギ変換率はさらに高くなり、暖房、換気および空調(HVAC)の電力消費を減少させる。この好適な実施形態において、熱システムおよび電気システムは同時に動作して、それぞれ、宅内温水および電気を生成する。本システムでは、熱部材が外部に露出しないので、屋根(図示せず)は見た目のよい魅力的なものとなる。
【0014】
図3に、本発明において利用される複数の金属製補強板12の配置図を示す。複数の金属製補強板12の各々は、長手方向の両端に延びた長手経路16を備えている。複数の金属製補強板12は、屋根(図示せず)の全域において縦に設置された複数の木製補強板14上に、横に設置されている。熱配管18は、長手方向における長手経路16に沿って延び、複数の金属製補強板12に配設されている。このように、金属製補強板12のみが、熱配管18および複数の太陽電池屋根タイル20を保持している。
【0015】
複数の金属製補強板12同士の間隔は、複数の太陽電池屋根タイル20の寸法、および要件となる熱仕様によって様々となりうる。複数の金属製補強板12をさらに稠密に配列すると、熱配管18を増やして設置することが可能となり、熱エネルギ変換効率が高くなる。建物一体型熱電ハイブリッド屋根システム10は、主として、商用および住居用の傾斜屋根のいずれにも適用可能である。しかしながら、このシステムは、建物正面のカーテンウォールまたはファサードにも適用可能である。本発明のさらに別の実施形態では、複数の太陽電池屋根タイル20を、12、24および48ボルトの結合列で構成することにより、電気システムが単独で複数の電池(図示せず)を充電可能とする独立型を提供している。
【0016】
図4は、建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムのブロック図である。太陽エネルギが複数の太陽屋根タイルを照射すると、ブロック40に示すように、複数の太陽屋根タイルは直流電流を発生する。インバータは、ブロック42に示すように、直流電流を交流電流に変換し、ブロック44に示す電力系統に供給する。ブロック46に示すように、複数の金属製補強板は、太陽エネルギを熱エネルギに変換することにより、熱配管を加熱する。ブロック48に示すように、熱配管は、熱エネルギを熱交換器へと取り込んで、宅内給水を加熱することにより、ブロック50に示すように宅内温水を供給することになる。ブロック52に示すように、熱配管と熱交換器との間に連通するポンプは、流体を熱配管内で循環させる。さらに、熱システムの動作を妨げる技術的問題が電気システムにある場合、熱システムが独立して動作するようにポンプに付設してもよい。ブロック54に示す別の光発電モジュールを用いることによる他の利点は、熱配管内を流れる液体を、太陽エネルギ強度に応じて変更可能としたことである。これにより、さらに多くの熱を取り込むことができるようになる。屋根から多くの熱を取り込むと屋根裏が冷却され、これにより宅内温水がより多く生成されて複数の太陽電池屋根タイルが冷却され、空調負荷が低減することになる。
【0017】
図5は、建物一体型熱電ハイブリッド屋根システムの設置方法を示すフローチャートである。ステップ62に示すように、複数の金属製補強板は、複数の木製補強板上に横に設置される。ステップ64に示すように、熱配管システムは、複数の金属製補強板の各々に設けられた長手経路上に設置される。ステップ66に示すように、複数の太陽電池屋根タイルは、ストーム・アンカーフックを用いて、複数の金属製補強板上に設置される。ステップ68に示すように、複数の太陽電池屋根タイルは直列接続され、各直列接続により、結合列が形成される。ステップ70に示すように、インバータが、各結合列に接続される。ステップ72に示すように、熱交換器を、熱配管に連通させる。ステップ74に示すように、ポンプを、熱配管と熱交換器との間に連通させる。
【0018】
図6に示すように、本発明の他の実施形態は、屋根を通る熱配管ループを多数備えていてもよい。大型屋根の場合、液体の抵抗は、熱配管が長くなるほど増加して、結果的に流れの圧力が高まる。屋根を通る熱配管ループを多数設けることにより、流れの圧力が減少する。大型屋根上の熱システムのブロック図に示すように、ブロック80に示す熱交換器からの液体は、ブロック82に示すようにポンプで送出され、ブロック84に示す多岐管を通り、ブロック86に示すように、熱システムにおける少なくとも3つの個別のループへと流れる。ループを循環する液体は、屋根から太陽熱エネルギを取り込み、ブロック88に示す他の多岐管を通って、ブロック80に示す熱交換器へと流れることにより、ブロック90に示す宅内温水が得られる。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態には、図7に示す複数の屋根面を具備する大型屋根上の熱システムが含まれる。複数の屋根面を具備する大規模家屋では、太陽エネルギ強度は、各屋根面毎に様々である。太陽エネルギ強度が様々であると、個々の屋根面における液体の流量および圧力が影響を受けるので、複数の屋根面に対応するために、複数の熱システムが用いられる。ブロック92に示す熱交換器からの液体は、ブロック94に示すようにポンプで送出され、ブロック96に示す多岐管を通り、ブロック98に示す複数の熱システムへと流れる。ブロック98に示す複数の熱システム内を循環する液体は、屋根からの太陽熱エネルギを取り込んで、ブロック100に示す他の多岐管を通り、ブロック92に示す熱交換器へと流れることにより、ブロック102に示す宅内温水が得られる。
【0020】
本発明の特定の形態について説明して記述したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲による以外、本発明を限定することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7