特許第5972908号(P5972908)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5972908埋込みインピーダンス変換をもつフロントエンドRFフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5972908
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月17日
(54)【発明の名称】埋込みインピーダンス変換をもつフロントエンドRFフィルタ
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/40 20150101AFI20160804BHJP
【FI】
   H04B1/40
【請求項の数】22
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2013-553637(P2013-553637)
(86)(22)【出願日】2012年2月13日
(65)【公表番号】特表2014-505451(P2014-505451A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】US2012024870
(87)【国際公開番号】WO2012109650
(87)【国際公開日】20120816
【審査請求日】2013年10月11日
【審判番号】不服2015-14776(P2015-14776/J1)
【審判請求日】2015年8月6日
(31)【優先権主張番号】61/442,058
(32)【優先日】2011年2月11日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/101,999
(32)【優先日】2011年5月5日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595020643
【氏名又は名称】クゥアルコム・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100194814
【弁理士】
【氏名又は名称】奥村 元宏
(72)【発明者】
【氏名】アパリン、ブラディミル
【合議体】
【審判長】 佐藤 智康
【審判官】 加藤 恵一
【審判官】 水野 恵雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−532334(JP,A)
【文献】 特開2006−33108(JP,A)
【文献】 特開2003−198413(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力信号を受信し、第1の出力信号を与えるための第1の能動回路と、
アンテナと前記第1の能動回路との間に動作可能に結合された第1の無線周波フィルタであって、前記第1の能動回路にインピーダンス整合され、第1の非LCフィルタを備える、第1の無線周波数フィルタとを備え、
ここで、前記第1の能動回路は、前記アンテナに近い能動回路であり、前記第1の非LCフィルタは、さらに前記第1の能動回路と前記アンテナとの間のインピーダンス整合を供給し、
前記第1の能動回路は、低雑音増幅器と電力増幅器とを備え、前記第1の無線周波数フィルタは、前記低雑音増幅器の入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する受信フィルタと前記電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有する送信フィルタとを備え、デュプレクサは前記受信フィルタと前記送信フィルタに分割される、装置。
【請求項2】
前記第1の無線周波数フィルタが、前記アンテナよりも前記第1の能動回路の近くに配置された、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の無線周波数フィルタが前記第1の能動回路に直接結合され、前記第1の無線周波数フィルタと前記第1の能動回路との間にインピーダンス整合回路がない、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の無線周波数フィルタが、シングルエンド接続を介して前記アンテナに結合され、差動接続を介して前記第1の能動回路に結合された、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記アンテナと前記第1の能動回路とに動作可能に結合された第2の無線周波数フィルタであって、前記第1の無線周波数フィルタおよび前記第2の無線周波数フィルタが、少なくとも2つの周波数帯域、または少なくとも2つの無線技術、またはその両方の上での動作をサポートし、前記第1の能動回路が、前記少なくとも2つの周波数帯域、または前記少なくとも2つの無線技術、またはその両方の上での動作をサポートする、第2の無線周波数フィルタをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の無線周波数フィルタが、表面弾性波フィルタ、バルク音波フィルタ、薄膜バルク音響共振器フィルタ、微小電子機械システム共振器フィルタ、空洞共振器フィルタ、またはセラミックフィルタを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が集積回路を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
第2の入力信号を受信し、第2の出力信号を与えるための第2の能動回路と、
前記アンテナと前記第2の能動回路とに動作可能に結合された第2の無線周波数フィルタであって、前記第2の能動回路にインピーダンス整合され、第2の非LCフィルタを備える、第2の無線周波数フィルタとをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の能動回路が低雑音増幅器を備え、前記第2の能動回路が電力増幅器を備え、前記第1の無線周波数フィルタが、前記低雑音増幅器の入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する受信フィルタを備え、前記第2の無線周波数フィルタが、前記電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有する送信フィルタを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記受信フィルタが、前記アンテナよりも前記低雑音増幅器の近くに配置され、前記送信フィルタが、前記アンテナよりも前記電力増幅器の近くに配置された、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記受信フィルタと前記送信フィルタとの間に結合された位相シフト回路をさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の能動回路が、第1の周波数帯域のための第1の低雑音増幅器を備え、前記第2の能動回路が、第2の周波数帯域のための第2の低雑音増幅器を備え、前記第1の無線周波数フィルタが、前記第1の周波数帯域のための第1の受信フィルタを備え、前記第2の無線周波数フィルタが、前記第2の周波数帯域のための第2の受信フィルタを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記アンテナと前記第1の受信フィルタおよび前記第2の受信フィルタとに結合されたスイッチをさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記スイッチと前記第1の受信フィルタおよび前記第2の受信フィルタとが、前記アンテナよりも前記第1の低雑音増幅器および前記第2の低雑音増幅器の近くに位置する受信フロントエンドモジュール上で実装される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記スイッチと、前記第1の受信フィルタおよび前記第2の受信フィルタと、前記第1の低雑音増幅器および前記第2の低雑音増幅器とは、前記第1の低雑音増幅器および前記第2の低雑音増幅器が結合される回路よりも前記アンテナの近くに位置する受信フロントエンドモジュール上で実装される、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記第1の能動回路が、第1の周波数帯域のための第1の電力増幅器を備え、前記第2の能動回路が、第2の周波数帯域のための第2の電力増幅器を備え、前記第1の無線周波数フィルタが、前記第1の周波数帯域のための第1の送信フィルタを備え、前記第2の無線周波数フィルタが、前記第2の周波数帯域のための第2の送信フィルタを備える、請求項8に記載の装置。
【請求項17】
前記アンテナと前記第1の送信フィルタおよび前記第2の送信フィルタとに結合されたスイッチをさらに備える、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記スイッチと前記第1の送信フィルタおよび前記第2の送信フィルタとは、前記第1の電力増幅器および前記第2の電力増幅器が結合される回路よりも前記アンテナの近くに位置する送信フロントエンドモジュール上で実装される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
第3の入力信号を受信し、第3の出力信号を与えるための第2の低雑音増幅器と、
第2のアンテナと前記第2の低雑音増幅器とに動作可能に結合された第2の受信フィルタであって、前記第2の低雑音増幅器の入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する、第2の受信フィルタとをさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項20】
第3の入力信号を受信し、前記第1の周波数帯域のための第3の出力信号を与えるための第1の電力増幅器と、
第4の入力信号を受信し、前記第2の周波数帯域のための第4の出力信号を与えるための第2の電力増幅器と、
前記第1の周波数帯域のための、前記アンテナと前記第1の電力増幅器とに動作可能に結合された、第1の送信フィルタであって、前記第1の電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有する、第1の送信フィルタと、
前記第2の周波数帯域のための、前記アンテナと前記第2の電力増幅器とに動作可能に結合された、第2の送信フィルタであって、前記第2の電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有する、第2の送信フィルタとをさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項21】
第3の入力信号を受信し、前記第1の周波数帯域のための第3の出力信号を与えるための第3の低雑音増幅器と、
第4の入力信号を受信し、前記第2の周波数帯域のための第4の出力信号を与えるための第4の低雑音増幅器と、
前記第1の周波数帯域のための、第2のアンテナと前記第3の低雑音増幅器とに動作可能に結合された、第3の受信フィルタであって、前記第3の低雑音増幅器の入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する、第3の受信フィルタと、
前記第2の周波数帯域のための、前記第2のアンテナと前記第4の低雑音増幅器とに動作可能に結合された、第4の受信フィルタであって、前記第4の低雑音増幅器の入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する、第4の受信フィルタとをさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項22】
出力信号を取得するために入力信号を処理するための手段と、
前記入力信号または前記出力信号のためのフィルタ処理を実行するための手段であって、アンテナと、前記入力信号を処理するための前記手段との間に動作可能に結合され、前記入力信号を処理するための前記手段にインピーダンス整合され、第1の非LCフィルタを備える、フィルタ処理を実行するための手段とを備え、
ここで、前記入力信号を処理するための前記手段は、前記アンテナに近い処理するための手段であり、前記第1の非LCフィルタは、さらに前記入力信号を処理するための手段と前記アンテナとの間のインピーダンス整合を供給し、
前記入力信号を処理するための前記手段は、低雑音増幅器と電力増幅器とを備え、フィルタ処理を実行するための前記手段は、前記低雑音増幅器の入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する受信フィルタと前記電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有する送信フィルタとを備え、デュプレクサは前記受信フィルタと前記送信フィルタに分割される、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条に基づく優先権の主張
本特許出願は、本出願の譲受人に譲渡され、参照により本明細書に明確に組み込まれる、2011年2月11日に出願された「FRONT-END RF FILTERS WITH EMBEDDED IMPEDANCE TRANSFORMATION」と題する米国仮出願第61/442,058号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に電子回路に関し、より詳細には、ワイヤレスデバイスにおいて使用するのに好適なフィルタに関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス全二重通信システムにおけるワイヤレスデバイスは、双方向通信のためのデータを同時に送信および受信することができる。ワイヤレスデバイスは、データ送信のための送信機と、データ受信のための受信機とを含み得る。送信機は、無線周波(RF)キャリア信号をデータで変調して、被変調信号を取得し得、この被変調信号を増幅して、適切な信号レベルを有する出力RF信号を取得し得る。出力RF信号は、デュプレクサを介してルーティングされ、アンテナを介して基地局に送信され得る。受信機は、アンテナとデュプレクサとを介して受信RF信号を取得し得る。受信機は、受信RF信号を増幅し、フィルタ処理し、ダウンコンバートして、ベースバンド信号を取得し得、そのベースバンド信号は、基地局によって送信されたデータを復元するためにさらに処理され得る。
【0004】
送信機は、電力増幅器(PA)、インピーダンス整合回路、送信(TX)フィルタなど、様々な回路を含み得る。受信機も、受信(RX)フィルタ、インピーダンス整合回路、低雑音増幅器(LNA)など、様々な回路を含み得る。TXフィルタおよびRXフィルタはフロントエンドRFフィルタであり、それらは、無線周波数で所望の信号成分を通し、不要な信号成分を減衰させるフィルタである。ワイヤレスデバイスのコストとサイズとを低減するために送信機および受信機における回路の数および/または複雑さを低減することが望ましいことがある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ワイヤレスデバイスのブロック図。
図2】2つのアンテナをもつワイヤレスデバイスのRFセクションを示す図。
図3】埋込みインピーダンス変換を有するZ整合RFフィルタをもつシングルアンテナシングルバンドRFセクションを示す図。
図4】Z整合RFフィルタをもつデュアルアンテナシングルバンドRFセクションを示す図。
図5】Z整合RFフィルタをもつシングルアンテナデュアルバンドRFセクションを示す図。
図6】Z整合RFフィルタをもつデュアルアンテナデュアルバンドRFセクションを示す図。
図7】Z整合RFフィルタをもつ例示的なデュアルアンテナデュアルバンドRFセクションを示す図。
図8】Z整合RFフィルタをもつ例示的なデュアルアンテナデュアルバンドRFセクションを示す図。
図9】Z整合RFフィルタを用いて信号を調整するためのプロセスを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下に示す発明を実施するための形態は、本開示の例示的な設計を説明するものであり、本開示が実施され得る唯一の設計を表すものではない。「例示的」という用語は、本明細書では、「例、事例、または例示の働きをすること」を意味するために使用する。「例示的」として本明細書で説明するいかなる設計も、必ずしも他の設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。発明を実施するための形態は、本開示の例示的な設計の完全な理解を与えるための具体的な詳細を含む。本明細書で説明する例示的な設計はこれらの具体的な詳細なしに実施され得ることが当業者には明らかであろう。いくつかの例では、本明細書で提示する例示的な設計の新規性を不明瞭にしないように、よく知られている構造およびデバイスをブロック図の形式で示す。
【0007】
埋込みインピーダンス変換をもつフロントエンドRFフィルタについて本明細書で説明し、それらはZ整合RFフィルタとも呼ばれる。これらのZ整合RFフィルタは、通常はインピーダンス整合回路によって実行される機能を実行し得、したがって、これらのインピーダンス整合回路をワイヤレスデバイスから省略することを可能にし得、それによりワイヤレスデバイスのコストとサイズとが低減され得る。Z整合RFフィルタは、セルラーフォン、携帯情報端末(PDA)、ハンドヘルドデバイス、ワイヤレスモデム、ラップトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット、コードレス電話、Bluetooth(登録商標)デバイス、コンシューマー電子デバイスなど、様々なタイプのワイヤレスデバイスのために使用され得る。
【0008】
図1に、ワイヤレスデバイス100の例示的な設計のブロック図を示す。この例示的な設計では、ワイヤレスデバイス100は、データプロセッサ110と、トランシーバ120と、アンテナ152とを含む。トランシーバ120は、双方向ワイヤレス通信をサポートする送信機130と受信機160とを含む。概して、ワイヤレスデバイス100は、任意の数の通信システムと、任意の数の周波数帯域と、任意の数のアンテナとのための任意の数の送信機と任意の数の受信機とを含み得る。
【0009】
送信経路では、データプロセッサ110は、送信すべきデータを処理し、送信機130にアナログ出力信号を与える。送信機130内で、アナログ出力信号は、増幅器(Amp)132によって増幅され、デジタルアナログ変換によって生じる画像を除去するために低域フィルタ134によってフィルタ処理され、可変利得増幅器(VGA)136によって増幅され、アップコンバータ138によってベースバンドからRFにアップコンバートされる。アップコンバートされた信号は、フィルタ140によってフィルタ処理され、ドライバ増幅器(DA)142と電力増幅器(PA)144とによってさらに増幅され、インピーダンス整合回路(ZM)146とスイッチ/デュプレクサ150とを介してルーティングされ、アンテナ152を介して送信される。
【0010】
受信経路では、アンテナ152は、基地局および/または他の送信機局から信号を受信し、受信信号を与え、その受信信号は、スイッチ/デュプレクサ150を介してルーティングされ、受信機160に与えられる。受信機160内で、受信信号は、インピーダンス整合回路162を介してルーティングされ、LNA164によって増幅され、バンドパスフィルタ166によってフィルタ処理され、ダウンコンバータ168によってRFからベースバンドにダウンコンバートされる。ダウンコンバートされた信号は、VGA170によって増幅され、低域フィルタ172によってフィルタ処理され、増幅器174によって増幅されて、アナログ入力信号が取得され、そのアナログ入力信号はデータプロセッサ110に与えられる。
【0011】
図1に、1つの段においてRFとベースバンドとの間で信号を周波数変換する直接変換アーキテクチャを実装する送信機130と受信機160とを示す。送信機130および/または受信機160は、複数の段においてRFとベースバンドとの間で信号を周波数変換するスーパーヘテロダインアーキテクチャをも実装し得る。局部発振器(LO)生成器180は、送信LO信号と受信LO信号とを生成し、それらを、それぞれミキサ138とダウンコンバータ168とに与える。位相ロックループ(PLL)182は、データプロセッサ110から制御情報を受信し、LO生成器180に制御信号を与えて、適切な周波数で送信LO信号と受信LO信号とを生成する。
【0012】
図1に、1つのアンテナのための例示的なトランシーバ設計を示す。概して、送信機130および受信機160中の信号の調整は、増幅器、フィルタ、ミキサなどの1つまたは複数の段によって実行され得る。これらの回路は、図1に示す構成とは異なって構成され得る。さらに、図1に示されていない他の回路も送信機および受信機において使用され得る。たとえば、図1中の様々な能動回路を整合させるために、インピーダンス整合回路が使用され得る。また、図1中のいくつかの回路が省略され得る。トランシーバ120の全部または一部分が、1つまたは複数のアナログ集積回路(IC)、RF IC(RFIC)、混合信号ICなどの上で実装され得る。たとえば、送信機130中の増幅器132から電力増幅器144までがRFIC上で実装され得る。また、電力増幅器144およびインピーダンス整合回路146がRFICの外部にある別のICまたはモジュール上で実装され得る。
【0013】
データプロセッサ110は、ワイヤレスデバイス100のための様々な機能、たとえば、送信および受信されているデータの処理を実行し得る。メモリ112は、データプロセッサ110のプログラムコードとデータとを記憶し得る。データプロセッサ110は、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)および/または他のIC上で実装され得る。
【0014】
ワイヤレスデバイスは、受信ダイバーシティ、多入力多出力(MIMO)送信などをサポートするために使用され得る複数の(たとえば、2つの)アンテナを含み得る。アンテナは、そのアンテナを介した双方向ワイヤレス通信をサポートするために送信機および受信機に関連し得る。アンテナはまた、ダイバーシティ受信をサポートするために受信機のみに関連し得る。アンテナはまた、複数の無線技術および/または複数の周波数帯域をサポートするために複数の送信機および/または複数の受信機に関連し得る。
【0015】
図2に、ダイバーシティ受信のための2つのアンテナをもつワイヤレスデバイス200のRFセクションのブロック図を示す。ワイヤレスデバイス200は、1次アンテナ212に結合された1次セクション210と、ダイバーシティ/2次アンテナ252に結合されたダイバーシティセクション250とを含む。
【0016】
1次セクション210は、データ送信および受信を同時にサポートし、デュプレクサ220と、受信機230と、送信機240とを含む。デュプレクサ220は、モジュール内に一緒にパッケージングされた、インピーダンス整合回路222と、RXフィルタ224と、TXフィルタ226とを含む。整合回路222は、アンテナ212とRXフィルタ224との間に結合される。TXフィルタ226はアンテナ212に直接結合される。デュプレクサ220は、一般にアンテナ212の近くに位置する。受信機230は、直列に結合された、インピーダンス整合回路232と、LNA234と、ダウンコンバータ236とを含む。RXフィルタ224の出力は、インピーダンス整合回路232の入力に結合される。送信機240は、直列に結合された、アップコンバータ242と、ドライバ増幅器244と、電力増幅器246と、インピーダンス整合回路248とを含む。インピーダンス整合回路248の出力は、TXフィルタ226の入力に結合される。
【0017】
ダイバーシティセクション250は、データ受信をサポートし、受信機260を含む。受信機260は、直列に結合された、RXフィルタ254と、インピーダンス整合回路262と、LNA264と、ダウンコンバータ266とを含む。RXフィルタ254の入力はアンテナ252に結合される。
【0018】
図2に示す例示的な設計では、RXフィルタ224は、インピーダンス整合回路222からシングルエンド入力信号を受信し、差動出力信号を与える。インピーダンス整合回路232、LNA234、およびダウンコンバータ236は、差動信号上で動作する。ドライバ増幅器244は、アップコンバータ242から差動入力信号を受信し、シングルエンド信号を与える。電力増幅器246、インピーダンス整合回路248、およびTXフィルタ226は、シングルエンド出力信号上で動作する。
【0019】
電力増幅器246およびインピーダンス整合回路248は、PAモジュールの一部であり得る。LNA234および264と、ダウンコンバータ236および266と、アップコンバータ242と、ドライバ増幅器244とは、RFトランシーバ(RTR)モジュール216の一部であり得る。インピーダンス整合回路232、248および262は、インダクタ(L)、キャパシタ(C)、および/または他の個別回路構成要素を用いて実装され得る。
【0020】
図2中のワイヤレスデバイス200などの)従来のワイヤレスデバイスは、いくつかの欠点を有し得る。第1に、フロントエンドRFフィルタは、一般に、50オームシングルエンドまたは100オーム差動の標準入力インピーダンスおよび出力インピーダンスを用いて設計される。たとえば、図2中のRXフィルタ224および254はそれぞれ、100オーム差動の出力インピーダンスを有し得、TXフィルタ226は、50オームシングルエンドの入力インピーダンスを有し得る。RFフィルタをインターフェースする能動回路は、一般に非標準インピーダンスを有する。たとえば、LNA234は、ZLNA1の入力インピーダンスを有し得、LNA264は、ZLNA2の入力インピーダンスを有し得、電力増幅器246は、ZPAの出力インピーダンスを有し得、ZLNA1およびZLNA2は、一般に100オーム差動に等しくなく、ZPAは、一般に50オームシングルエンドに等しくない。したがって、LNA234および264、および電力増幅器246は、それぞれ、インピーダンス整合回路232、262、および248を使用して標準インピーダンスに整合される必要がある。たとえば、インピーダンス整合回路232および262は、それぞれ、100オーム差動の入力インピーダンスならびにZLNA1およびZLNA2差動の出力インピーダンスを有し得る。インピーダンス整合回路248は、ZPAシングルエンドの入力インピーダンスと、50オームシングルエンドの出力インピーダンスとを有し得る。インピーダンス整合回路は、一般に、ワイヤレスデバイスのサイズとコストとを増加させ得、性能をも低下させ得る、受動インダクタおよびキャパシタ(すなわち、LC構成要素)を用いて実装される。
【0021】
さらに、1次セクションのためのトランシーバにおける送信機および受信機は、一般に、たとえば、WCDMA(登録商標)、LTE、cdma2000などのための、デュプレクサを介してアンテナに接続する。(図2中のデュプレクサ220などの)デュプレクサは、同じパッケージ上で実装されたTXフィルタとRXフィルタとを含む。同じパッケージ上にTXフィルタとRXフィルタとを有することにより、(i)送信機と受信機との間の分離が低下し、(ii)TXフィルタおよびRXフィルタと、それらの関連する電力増幅器およびLNAとの間のルーティングがより困難になり得る。さらに、デュプレクサは、一般にアンテナの近くに配置され、それにより、RXフィルタとLNAとの間の差動RF信号のルーティングが過密になり得る。
【0022】
一態様では、フロントエンドRFフィルタは、埋込みインピーダンス変換を有し得、RFフィルタとインターフェースする能動回路(たとえば、増幅器)に内部的に直接整合され得る。埋込みインピーダンス変換をもつRFフィルタは、Z整合RFフィルタと呼ばれることがある。Z整合RFフィルタは、インピーダンス整合回路を省略することを可能にし得、以下で説明するように、他の利点をも与え得る。
【0023】
図3に、Z整合RFフィルタをもつワイヤレスデバイス300のシングルアンテナシングルバンドRFセクションの例示的な設計のブロック図を示す。ワイヤレスデバイス300は、単一のアンテナ312と、受信機330と、送信機340とを含む。受信機330は、直列に結合された、RXフィルタ332と、LNA334と、ダウンコンバータ336とを含む。RXフィルタ332は、それの入力がアンテナ312に結合され、それの出力がLNA334に結合される。送信機340は、直列に結合された、アップコンバータ342と、ドライバ増幅器344と、電力増幅器346と、TXフィルタ348とを含む。TXフィルタ348は、それの入力が電力増幅器346に結合され、それの出力がアンテナ312に結合される。例示的な設計では、LNA334、ダウンコンバータ336、アップコンバータ342、およびドライバ増幅器344は、RTRモジュール316の一部である。
【0024】
図3に示すように、(通常、デュプレクサ内に実装される)RXフィルタ332とTXフィルタ348とは、分離され、それらの関連する増幅器のより近くに配置され得る。RXフィルタ332は、LNA334の近くに配置され得、LNA334の入力に直接インピーダンス整合され得る。同様に、TXフィルタ348は、電力増幅器346の近くに配置され得、電力増幅器346の出力に直接インピーダンス整合され得る。RXフィルタ入力とデュプレクサパッケージ内のアンテナポートとの間でしばしば使用される1/4波長伝送線路が外に出され、RXフィルタ332からアンテナ312へのルーティングによって置き換えられ得る。図3には示されていないが、アンテナ312とRXフィルタ332との間にインピーダンス整合回路が結合され得、アンテナ312の近くに位置し得る。
【0025】
図3には示されていないが、別個のフィルタパッケージ中で実装され得る、RXフィルタ332とTXフィルタ348とのアンテナポートに位相シフト回路/ネットワークが結合され得る。位相シフト回路は、全二重方式において使用され得、RXフィルタ332とTXフィルタ348とのための別個のフィルタパッケージ間に位置し得る。位相シフト回路は、RXフィルタ332のための入力信号と、TXフィルタ348からの出力信号との間の位相を変化させるために使用され得る。例示的な設計では、位相シフト回路はLC構成要素を用いて実装され得る。別の例示的な設計では、位相シフト回路は伝送線路を用いて実装され得る。さらに別の例示的な設計では、位相シフト回路は、LC構成要素と伝送線路との組合せを用いて実装され得る。
【0026】
RXフィルタ332およびTXフィルタ348は、非LCフィルタを用いて実装され得る。非LCフィルタは、受動/個別インダクタおよびキャパシタを用いて実装されない任意のフィルタであり得る。たとえば、RXフィルタ332およびTXフィルタ348は、表面弾性波(SAW)フィルタ、バルク音波(BAW)フィルタ、薄膜バルク音響共振器(FBAR)フィルタ、微小電子機械システム(MEMS)共振器フィルタ、空洞共振器フィルタ、セラミックフィルタ、または他のタイプのフィルタを用いて実装され得る。RXフィルタ332およびTXフィルタ348は、これらのRFフィルタ内に埋込みインピーダンス整合セクションを含み得る。
【0027】
埋込みインピーダンス変換をもつRFフィルタの使用は様々な利点を与え得る。第1に、これらのRFフィルタの使用は、ワイヤレスデバイスのコストとサイズとを低減し得る。図2および図3に示すように、図2中の、RXフィルタ224とLNA234との間の個別インピーダンス整合回路232、RXフィルタ254とLNA264との間の個別インピーダンス整合回路262、およびTXフィルタ226と電力増幅器246との間の個別インピーダンス整合回路248が、図3中のRFフィルタ332および348内の埋込みインピーダンス整合セクションと置き換えられ得る。RFフィルタ332および348内の埋込みインピーダンス整合セクションは、インピーダンス整合回路232、248および262内の個別LC構成要素よりもサイズがはるかに小さいことがある。ワイヤレスデバイスのコストおよびサイズは、インピーダンス整合回路を除去し、埋込みインピーダンス変換をもつ、わずかにより複雑なRFフィルタを使用することによって低減され得る。上記の利益は、複数の周波数帯域、複数のアンテナ、および/または複数の無線技術をサポートするより新しいワイヤレスデバイスにおいて特に望ましいことがある。
【0028】
第2に、埋込みインピーダンス変換をもつRFフィルタの使用は性能を改善し得る。SAW、BAW、またはFBAR技術を用いて実装されるRFフィルタ内の埋込みインピーダンス整合は、インピーダンス整合回路において一般に使用される低Q(quality factor)(Q)個別構成要素(Q<50)とは対照的に、高Q共振器(たとえば、Q>200)を使用し得る。高Q共振器は、インピーダンス整合に関連する電力損失を低減し、受信機雑音指数(NF)を低下させ、送信効率を高め得る。
【0029】
第3に、埋込みインピーダンス変換をもつRFフィルタの使用は、信号線のルーティングを簡略化し得る。たとえば、図3中のアンテナ312からLNA334までの信号線の数は、LNA334の近くにRXフィルタ332を配置し、アンテナ312とRXフィルタ332との間にシングルエンド信号線を引くことによって、1/2だけ低減され得る。対照的に、図2中のRFフィルタ224は、アンテナ212の近くに配置され得、差動信号線を介してインピーダンス整合回路232に結合され得る。
【0030】
第4に、デュプレクサを別個のRXフィルタ332とTXフィルタ348とに分割することが、デュプレクサのTXポートとRXポートとの間の寄生結合による送信機から受信機への漏れを低減し得る。「分割された」デュプレクサ中のRXフィルタ332およびTXフィルタ348の全体的なサイズは、内部に2つのパッケージングされたRFフィルタを物理的に含む従来のデュプレクサの全体的なサイズと同様であるべきである。
【0031】
図4に、Z整合RFフィルタをもつワイヤレスデバイス302のデュアルアンテナシングルバンドRFセクションの例示的な設計のブロック図を示す。ワイヤレスデバイス302は、図3中のワイヤレスデバイス300内のすべての回路を含む。ワイヤレスデバイス302は、データ受信をサポートし、ダイバーシティアンテナ352に結合された受信機360を含む、ダイバーシティセクションをさらに含む。受信機360は、直列に結合された、RXフィルタ362と、LNA364と、ダウンコンバータ366とを含む。RXフィルタ362の入力はアンテナ352に結合される。RXフィルタ362は、RXフィルタ332と同様の方法で実装され得る。RXフィルタ362は、LNA364の近くに配置され得、LNA364の入力に直接インピーダンス整合され得る。図4には示されていないが、アンテナ352とRXフィルタ362との間にインピーダンス整合回路が結合され得、アンテナ352の近くに位置し得る。例示的な設計では、LNA334および364と、ダウンコンバータ336および366と、アップコンバータ342と、ドライバ増幅器344とは、RTRモジュール318の一部である。
【0032】
図5に、Z整合RFフィルタをもつワイヤレスデバイス500のシングルアンテナデュアルバンドRFセクションの例示的な設計のブロック図を示す。ワイヤレスデバイス500は、単一のアンテナ512と、スイッチ514と、2つの受信機530aおよび530bと、2つの送信機540aおよび540bとを含む。受信機530aは、直列に結合され、第1の周波数帯域(たとえば、800MHz)のために設計された、RXフィルタ532aと、LNA534aと、ダウンコンバータ536aとを含む。受信機530bは、直列に結合され、第2の周波数帯域(たとえば、1900MHz)のために設計された、RXフィルタ532bと、LNA534bと、ダウンコンバータ536bとを含む。LNA534aは、ZLNA1の入力インピーダンスを有し、LNA534bは、ZLNA2の入力インピーダンスを有する。RXフィルタ532aは、LNA534aの近くに位置し、それの出力インピーダンスがLNA534aの入力インピーダンスに整合される。同様に、RXフィルタ532bは、LNA534bの近くに位置し、それの出力インピーダンスがLNA534bの入力インピーダンスに整合される。
【0033】
送信機540aは、直列に結合され、第1の周波数帯域のために設計された、アップコンバータ542aと、ドライバ増幅器544aと、電力増幅器546aと、TXフィルタ548aとを含む。送信機540bは、直列に結合され、第2の周波数帯域のために設計された、アップコンバータ542bと、ドライバ増幅器544bと、電力増幅器546bと、TXフィルタ548bとを含む。電力増幅器546aは、ZPA1の出力インピーダンスを有し、電力増幅器546bは、ZPA2の出力インピーダンスを有する。TXフィルタ548aは、電力増幅器546aの近くに位置し、それの入力インピーダンスが電力増幅器546aの出力インピーダンスに整合される。同様に、TXフィルタ548bは、電力増幅器546bの近くに位置し、それの入力インピーダンスが電力増幅器546bの出力インピーダンスに整合される。
【0034】
スイッチ514は、それの入力がアンテナ512に結合され、(「1」と標示された)それの第1の出力が第1の周波数帯域のためのRXフィルタ532aとTXフィルタ548aとに結合され、(「2」と標示された)それの第2の出力が第2の周波数帯域のためのRXフィルタ532bとTXフィルタ548bとに結合される。スイッチ514は、アンテナ512を、(i)第1の周波数帯域における動作が選択されたときはRXフィルタ532aおよびTXフィルタ548aに接続するか、(ii)第2の周波数帯域における動作が選択されたときはRXフィルタ532bおよびTXフィルタ548bに接続するかのいずれかである。例示的な設計では、LNA534aおよび534bと、ダウンコンバータ536aおよび536bと、アップコンバータ542aおよび542bと、ドライバ増幅器544aおよび544bとは、RTRモジュール516の一部である。
【0035】
図6に、Z整合RFフィルタをもつワイヤレスデバイス502のデュアルアンテナデュアルバンドRFセクションの例示的な設計のブロック図を示す。ワイヤレスデバイス502は、図5中のワイヤレスデバイス500内のすべての回路を含む。受信機530aおよび530bと送信機540aおよび540bとは、アンテナ512に結合され、2つの周波数帯域上でのデータ送信および受信をサポートする、1次セクションの一部である。
【0036】
ワイヤレスデバイス502は、2つの周波数帯域上でのデータ受信をサポートするために、2つの受信機560aおよび560bをもつダイバーシティセクションをさらに含む。受信機560aは、直列に結合され、第1の周波数帯域のために設計された、RXフィルタ562aと、LNA564aと、ダウンコンバータ566aとを含む。受信機560bは、直列に結合され、第2の周波数帯域のために設計された、RXフィルタ562bと、LNA564bと、ダウンコンバータ566bとを含む。LNA564aは、ZLNA3の入力インピーダンスを有し、LNA564bは、ZLNA4の入力インピーダンスを有する。RXフィルタ562aは、LNA564aの近くに位置し、それの出力インピーダンスがLNA564aの入力インピーダンスに整合される。同様に、RXフィルタ562bは、LNA564bの近くに位置し、それの出力インピーダンスがLNA564bの入力インピーダンスに整合される。
【0037】
スイッチ554は、それの入力がダイバーシティアンテナ552に結合され、(「1」と標示された)それの第1の出力が第1の周波数帯域のためのRXフィルタ562aに結合され、(「2」と標示された)それの第2の出力が第2の周波数帯域のためのRXフィルタ562bに結合される。スイッチ554は、アンテナ552を、(i)第1の周波数帯域における動作が選択されたときはRXフィルタ562aに接続するか、(ii)第2の周波数帯域における動作が選択されたときはRXフィルタ562bに接続するかのいずれかである。例示的な設計では、LNA534a、534b、564aおよび564bと、ダウンコンバータ536a、536b、566aおよび566bと、アップコンバータ542aおよび542bと、ドライバ増幅器544aおよび544bとは、RTRモジュール518の一部である。
【0038】
図7に、Z整合RFフィルタをもつワイヤレスデバイス504のデュアルアンテナデュアルバンドRFセクションの例示的な設計のブロック図を示す。ワイヤレスデバイス504は、図6中のワイヤレスデバイス502内のすべての回路を含み、スイッチ516をさらに含む。スイッチ514は、RXフィルタ532aおよび532bの近くに配置され、1次受信経路のための第1の周波数帯域または第2の周波数帯域を選択する。スイッチ516は、TXフィルタ548aおよび548bの近くに配置され、1次送信経路のための第1の周波数帯域または第2の周波数帯域を選択する。スイッチ554は、RXフィルタ562aおよび562bの近くに配置され、ダイバーシティ受信経路のための第1の周波数帯域または第2の周波数帯域を選択する。RXフィルタ532a、532b、562aおよび562bは、それぞれ、LNA534a、534b、564aおよび564bの入力に直接インピーダンス整合される。TXフィルタ548aおよび548bは、それぞれ、電力増幅器546aおよび546bの出力に直接インピーダンス整合される。
【0039】
第1のRXフロントエンドモジュール(FEM)520は、スイッチ514とRXフィルタ532aおよび532bとを含み、LNA534aおよび534bの近くに配置される。TXフロントエンドモジュール522は、スイッチ516と、TXフィルタ548aおよび548bと、電力増幅器546aおよび546bとを含み、電力増幅器の後の損失を最小限に抑えるためにアンテナ512の近くに配置される。第2のRXフロントエンドモジュール524は、スイッチ554とRXフィルタ562aおよび562bとを含み、LNA564aおよび564bの近くに配置される。図7における例示的な設計は、上記で説明した利点を与え得、アンテナとLNAとの間の信号線の数をさらに低減し得る。
【0040】
図8に、Z整合RFフィルタをもつワイヤレスデバイス800のデュアルアンテナデュアルバンドRFセクションの例示的な設計のブロック図を示す。ワイヤレスデバイス800は、1次アンテナ812に結合された1次セクション802と、ダイバーシティアンテナ852に結合されたダイバーシティセクション804とを含む。
【0041】
1次セクション802は、スイッチ814および816と、2つの受信機830aおよび830bと、2つの送信機840aおよび840bとを含む。受信機830aは、直列に結合され、第1の周波数帯域のために設計された、RXフィルタ832aと、LNA834aと、増幅器835aと、ダウンコンバータ836aとを含む。受信機830bは、直列に結合され、第2の周波数帯域のために設計された、RXフィルタ832bと、LNA834bと、増幅器835bと、ダウンコンバータ836bとを含む。RXフィルタ832aおよび832bは、それぞれ、LNA834aおよび834bの入力に直接インピーダンス整合される。スイッチ814と、RXフィルタ832aおよび832bと、LNA834aおよび834bとは、LNAの前の伝送線路損失を最小限に抑えるためにアンテナ812の近くに配置された第1のRXフロントエンドモジュール820の一部である。
【0042】
送信機840aは、直列に結合され、第1の周波数帯域のために設計された、アップコンバータ842aと、ドライバ増幅器844aと、電力増幅器846aと、TXフィルタ848aとを含む。送信機840bは、直列に結合され、第2の周波数帯域のために設計された、アップコンバータ842bと、ドライバ増幅器844bと、電力増幅器846bと、TXフィルタ848bとを含む。TXフィルタ848aおよび848bは、それぞれ、電力増幅器846aおよび846bの出力に直接インピーダンス整合される。スイッチ816と、TXフィルタ848aおよび848bと、電力増幅器846aおよび846bとは、電力増幅器の後の損失を最小限に抑えるためにアンテナ812に近くに配置されたTXフロントエンドモジュール822の一部である。
【0043】
ダイバーシティセクション804は、スイッチ854と、2つの受信機860aおよび860bとを含む。受信機860aは、直列に結合され、第1の周波数帯域のために設計された、RXフィルタ862aと、LNA864aと、増幅器865aと、ダウンコンバータ866aとを含む。受信機860bは、直列に結合され、第2の周波数帯域のために設計された、RXフィルタ862bと、LNA864bと、増幅器865bと、ダウンコンバータ866bとを含む。RXフィルタ862aおよび862bは、それぞれ、LNA864aおよび864bの入力に直接インピーダンス整合される。スイッチ854と、RXフィルタ862aおよび862bと、LNA864aおよび864bとは、LNAの前の伝送線路損失を最小限に抑えるためにアンテナ852の近くに配置された第2のRXフロントエンドモジュール824の一部である。
【0044】
図8に示す例示的な設計では、RXフィルタ832a、832b、862aおよび862bならびにLNA834a、834b、864aおよび864bは、シングルエンド信号上で動作する。増幅器835a、835b、865aおよび865bは、シングルエンド入力信号を受信し、差動出力信号を与える。ドライバ増幅器844aおよび844bは、差動入力信号を受信し、シングルエンド出力信号を与える。電力増幅器846aおよび846bと、TXフィルタ848aおよび848bとは、シングルエンド信号上で動作する。図8における例示的な設計は、フロントエンドモジュール820、822および824と、増幅器835a、835b、844a、844b、865aおよび865bとの間の信号線の数を低減し得る。例示的な設計では、増幅器835a、835b、844a、844b、865aおよび865bと、ダウンコンバータ836a、836b、866aおよび866bと、アップコンバータ842aおよび842bとは、RTRモジュール816の一部である。
【0045】
所望の入力および/または出力インピーダンスをもつRFフィルタは、様々な方法で取得され得る。例示的な設計では、RFフィルタは、シングルエンドから差動への変換のためのバラン(balun)としても使用され得る二重モードSAWフィルタを用いて実装され得る。出力インターデジタルトランスデューサ(IDT)(Wout)のアパーチャが入力IDT(Win)のアパーチャとは異なることによって、二重モードSAWフィルタについてインピーダンス変換が実現され得る。インピーダンス変換は、Endohらによる「High Performance Balanced Type SAW Filters in the Range of 900MHz and 1.9GHz,」、IEEE Ultrasonics Symp、1997年、41〜44ページ、およびHashimotoらによる「Application of SAW Devices to Matching Elements in RF Circuits」、IEEE Ultrasonics Symp、2003年、407〜410ページに記載されているように実行され得る。
【0046】
埋込みインピーダンス変換をもつRFフィルタを含むワイヤレスデバイスの様々な例示的な設計について上記で説明した。埋込みインピーダンス変換をもつRFフィルタを含むワイヤレスデバイスは、他の方法でも実装され得る。
【0047】
例示的な設計では、装置(たとえば、ワイヤレスデバイス、ICなど)は、能動回路とRFフィルタとを備え得る。能動回路は、入力信号を受信し、出力信号を与え得る。RFフィルタは、アンテナと能動回路とに動作可能に(たとえば、直接または間接的に)結合され得、入力信号または出力信号のためのフィルタ処理を実行し得る。RFフィルタは、能動回路にインピーダンス整合され得、非LCフィルタを備え得る。たとえば、RFフィルタは、SAWフィルタ、BAWフィルタ、FBARフィルタ、MEMS共振器フィルタ、空洞共振器フィルタ、セラミックフィルタなどを備え得る。例示的な設計では、RFフィルタは能動回路に直接結合され得、RFフィルタと能動回路との間にインピーダンス整合回路がない。例示的な設計では、RFフィルタは、アンテナに直接結合されるか、あるいはスイッチ、インピーダンス整合回路、フィルタ、何らかの他の回路、またはそれらの組合せを介してアンテナに間接的に結合され得る。RFフィルタは、アンテナよりも能動回路の近くに配置され得る。
【0048】
例示的な設計では、能動回路はLNA(たとえば、図3中のLNA334)を備え得る。RFフィルタは、LNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有するRXフィルタ(たとえば、RXフィルタ332)を備え得る。別の例示的な設計では、能動回路は電力増幅器(たとえば、図3中の電力増幅器346)を備え得る。RFフィルタは、電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有するTXフィルタ(たとえば、TXフィルタ348)備え得る。
【0049】
例示的な設計では、RFフィルタは、シングルエンド接続を介してアンテナに動作可能に結合され、シングルエンド接続を介して能動回路に動作可能に結合され得る。別の例示的な設計では、RFフィルタは、シングルエンド接続を介してアンテナに動作可能に結合され、差動接続を介して能動回路に動作可能に結合され得る。
【0050】
例示的な設計では、装置は、アンテナに動作可能に結合された第2のRFフィルタをさらに備え得る。RFフィルタおよび第2のRFフィルタは、少なくとも2つの周波数帯域および/または少なくとも2つの無線技術上での動作をサポートし得る。例示的な設計では、装置は、第2の入力信号を受信し、第2の出力信号を与えるための第2の能動回路をさらに備え得る。第2のRFフィルタは第2の能動回路に動作可能に結合され得る。別の例示的な設計では、装置は、アンテナと、RFフィルタと、第2のRFフィルタとに動作可能に結合されたスイッチをさらに備え得る。スイッチおよび2つのRFフィルタはフロントエンドモジュール上で実装され得る。例示的な設計では、RFフィルタと第2のRFフィルタとは両方とも、2つのRFフィルタによって共有され得、少なくとも2つの周波数帯域および/または少なくとも2つの無線技術上での動作をサポートし得る、同じ能動回路に動作可能に結合され得る。2つのRFフィルタは、フロントエンドモジュール内またはそれの外部に位置し得るスイッチを介して能動回路に結合され得る。代替的に、2つのRFフィルタによる能動回路の共有をサポートするために、能動回路および/またはRFフィルタに同調が加えられ得る。
【0051】
別の例示的な設計では、装置(たとえば、ワイヤレスデバイス、ICなど)は、第1および第2の能動回路と、第1および第2のRFフィルタとを備え得る。第1の能動回路は、第1の入力信号を受信し、第1の出力信号を与え得る。第2の能動回路は、第2の入力信号を受信し、第2の出力信号を与え得る。第1のRFフィルタは、アンテナと第1の能動回路とに動作可能に(たとえば、直接または間接的に)結合され得る。第1のRFフィルタは、第1の能動回路にインピーダンス整合され得、第1の非LCフィルタを備え得る。第2のRFフィルタは、アンテナと第2の能動回路とに動作可能に結合され得る。第2のRFフィルタは、第2の能動回路にインピーダンス整合され得、第2の非LCフィルタを備え得る。
【0052】
第1の例示的な設計では、第1の能動回路はLNA(たとえば、図3中のLNA334)を備え得、第2の能動回路は電力増幅器(たとえば、電力増幅器346)を備え得る。第1のRFフィルタは、LNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有するRXフィルタ(たとえば、RXフィルタ332)を備え得る。第2のRFフィルタは、電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有するTXフィルタ(たとえば、TXフィルタ348)を備え得る。例示的な設計では、装置は、RXフィルタとTXフィルタとの間に結合された位相シフト回路をさらに備え得る。位相シフト回路は、LC構成要素および/または伝送線路を用いて実装され得る。
【0053】
第1の例示的な設計では、装置は、第2のLNAと第2のRXフィルタとをさらに備え得る。第2のLNA(たとえば、図4中のLNA364)は、第3の入力信号を受信し、第3の出力信号を与え得る。第2のRXフィルタ(たとえば、RXフィルタ362)は、第2の/ダイバーシティアンテナと第2のLNAとに動作可能に結合され得る。第2のRXフィルタは、第2のLNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有し得る。
【0054】
第2の例示的な設計では、第1の能動回路は、第1の周波数帯域のための第1のLNA(たとえば、図5中のLNA534a)を備え得、第2の能動回路は、第2の周波数帯域のための第2のLNA(たとえば、LNA534b)を備え得る。第1のRFフィルタは、第1の周波数帯域のための第1のRXフィルタ(たとえば、RXフィルタ532a)を備え得、第2のRFフィルタは、第2の周波数帯域のための第2のRXフィルタ(たとえば、RXフィルタ532b)を備え得る。スイッチ(たとえば、スイッチ514)がアンテナと第1のRXフィルタおよび第2のRXフィルタとに結合され得る。1つの例示的な設計では、スイッチと第1のRXフィルタおよび第2のRXフィルタとは、アンテナよりも第1のLNAおよび第2のLNAの近くに位置するRXフロントエンドモジュール(たとえば、図7中のRXフロントエンドモジュール520)上で実装され得る。別の例示的な設計では、スイッチと、第1のRXフィルタおよび第2のRXフィルタと、第1のLNAおよび第2のLNAとは、第1のLNAおよび第2のLNAが結合される他の回路よりもアンテナの近くに位置するRXフロントエンドモジュール(たとえば、図8中のRXフロントエンドモジュール820)上で実装され得る。
【0055】
第3の例示的な設計では、第1の能動回路は、第1の周波数帯域のための第1の電力増幅器(たとえば、図5中の電力増幅器546a)を備え得、第2の能動回路は、第2の周波数帯域のための第2の電力増幅器(たとえば、電力増幅器546b)を備え得る。第1のRFフィルタは、第1の周波数帯域のための第1のTXフィルタ(たとえば、TXフィルタ548a)を備え得、第2のRFフィルタは、第2の周波数帯域のための第2のTXフィルタ(たとえば、TXフィルタ548b)を備え得る。スイッチ(たとえば、スイッチ514)がアンテナと第1のTXフィルタおよび第2のTXフィルタとに結合され得る。1つの例示的な設計では、スイッチと第1のTXフィルタおよび第2のTXフィルタとは、第1の電力増幅器および第2の電力増幅器が結合される他の回路よりもアンテナの近くに位置し得るTXフロントエンドモジュール(たとえば、図7中のTXフロントエンドモジュール522)上で実装され得る。
【0056】
2つのLNAを備える第1の能動回路および第2の能動回路をもつ第2の例示的な設計では、装置は、第1の電力増幅器および第2の電力増幅器と、第1のTXフィルタおよび第2のTXフィルタとをさらに備え得る。第1の電力増幅器(図5中の電力増幅器546a)は、第3の入力信号を受信し、第1の周波数帯域のための第3の出力信号を与え得る。第2の電力増幅器(たとえば、電力増幅器546b)は、第4の入力信号を受信し、第2の周波数帯域のための第4の出力信号を与え得る。第1のTXフィルタ(たとえば、TXフィルタ548a)は、第1の周波数帯域のためのものであり得、アンテナと第1の電力増幅器とに動作可能に結合され得る。第1のTXフィルタは、第1の電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有し得る。第2のTXフィルタ(たとえば、TXフィルタ548b)は、第2の周波数帯域のためのものであり得、アンテナと第2の電力増幅器とに動作可能に結合され得る。第2のTXフィルタは、第2の電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有し得る。
【0057】
2つのLNAを備える第1の能動回路および第2の能動回路をもつ第2の例示的な設計では、装置は、第3のLNAおよび第4のLNAと、第3のRXフィルタおよび第4のRXフィルタとをさらに備え得る。第3のLNA(たとえば、図6中のLNA564a)は、第3の入力信号を受信し、第1の周波数帯域のための第3の出力信号を与え得る。第4のLNA(たとえば、LNA564b)は、第4の入力信号を受信し、第2の周波数帯域のための第4の出力信号を与え得る。第3のRXフィルタ(たとえば、RXフィルタ562a)は、第1の周波数帯域のためのものであり得、第2の/ダイバーシティアンテナと第3のLNAにと動作可能に結合され得る。第3のRXフィルタは、第3のLNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有し得る。第4のRXフィルタ(たとえば、RXフィルタ562b)は、第2の周波数帯域のためのものであり得、第2のアンテナと第4のLNAとに動作可能に結合され得る。第4のRXフィルタは、第4のLNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有し得る。
【0058】
概して、装置は、任意の数の能動回路と任意の数のRFフィルタとを含み得る。能動回路は、1つまたは複数のLNA、1つまたは複数の電力増幅器、1つまたは複数のミキサなどを備え得る。RFフィルタは、1つまたは複数のRXフィルタ、1つまたは複数のTXフィルタなどを備え得る。能動回路とRFフィルタとの各ペアはインピーダンス整合され得、したがって能動回路とRFフィルタとの間に外部インピーダンス整合回路が必要とされない。
【0059】
図9に、信号を処理するためのプロセス900の例示的な設計を示す。出力信号を取得するために能動回路を用いて入力信号を処理する(ブロック912)。アンテナと能動回路とに動作可能に結合されたRFフィルタを用いて入力信号または出力信号のためのフィルタ処理を実行する(ブロック914)。RFフィルタは、能動回路にインピーダンス整合され得、非LCフィルタを備え得る。
【0060】
ブロック912および914の例示的な設計では、入力信号は、出力信号を取得するためにLNAを用いて増幅され得る。受信信号は、LNAのための入力信号を取得するために、アンテナとLNAにと動作可能に結合されたRXフィルタを用いてフィルタ処理され得る。RXフィルタは、LNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有し得る。ブロック912および914の別の例示的な設計では、入力信号は、出力信号を取得するために電力増幅器を用いて増幅され得る。電力増幅器からの出力信号は、アンテナと電力増幅器とに動作可能に結合されたTXフィルタを用いてフィルタ処理され得る。TXフィルタは、電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有し得る。
【0061】
本明細書で説明するZ整合RFフィルタは、IC、アナログIC、RFIC、混合信号IC、ASIC、プリント回路板(PCB)、電子デバイスなどの上で実装され得る。RFフィルタはまた、相補型金属酸化物半導体(CMOS)、NチャネルMOS(NMOS)、PチャネルMOS(PMOS)、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、バイポーラCMOS(BiCMOS)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、ガリウムヒ素(GaAs)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、シリコンオンインシュレータ(SOI)など、様々なICプロセス技術を用いて作製され得る。
【0062】
本明細書で説明するRFフィルタを実装する装置は、スタンドアロンデバイスであり得るか、またはより大きいデバイスの一部であり得る。デバイスは、(i)スタンドアロンIC、(ii)データおよび/または命令を記憶するためのメモリICを含み得る1つまたは複数のICのセット、(iii)RF受信機(RFR)またはRF送信機/受信機(RTR)などのRFIC、(iv)移動局モデム(MSM)などのASIC、(v)他のデバイス内に埋め込まれ得るモジュール、(vi)受信機、セルラーフォン、ワイヤレスデバイス、ハンドセット、またはモバイルユニット、(vii)その他であり得る。
【0063】
1つまたは複数の例示的な設計では、説明した機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せで実装され得る。ソフトウェアで実装した場合、機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体上に記憶されるか、あるいはコンピュータ可読媒体を介して送信され得る。コンピュータ可読媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を可能にする任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体とコンピュータ通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体であり得る。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMまたは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージまたは他の磁気ストレージデバイス、あるいは命令またはデータ構造の形態の所望のプログラムコードを搬送または記憶するために使用され得、コンピュータによってアクセスされ得る、任意の他の媒体を備えることができる。また、いかなる接続もコンピュータ可読媒体と適切に呼ばれる。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、およびマイクロ波などのワイヤレス技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用するディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザディスク(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)およびブルーレイ(登録商標)ディスク(disc)を含み、ディスク(disk)は、通常、データを磁気的に再生し、ディスク(disc)は、データをレーザで光学的に再生する。上記の組合せもコンピュータ可読媒体の範囲内に含めるべきである。
【0064】
本開示についての以上の説明は、いかなる当業者も本開示を作成または使用することができるように与えたものである。本開示への様々な修正は当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義した一般原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の変形形態に適用され得る。したがって、本開示は、本明細書で説明した例および設計に限定されるものではなく、本明細書で開示した原理および新規の特徴に合致する最も広い範囲を与えられるべきである。
以下に本願発明の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 第1の入力信号を受信し、第1の出力信号を与えるための第1の能動回路と、アンテナと前記第1の能動回路とに動作可能に結合された第1の無線周波(RF)フィルタであって、前記第1の能動回路にインピーダンス整合され、第1の非LCフィルタを備える、第1のRFフィルタとを備える装置。
[2] 前記第1の能動回路が低雑音増幅器(LNA)を備え、前記第1のRFフィルタが、前記LNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する受信(RX)フィルタを備える、[1]に記載の装置。
[3] 前記第1の能動回路が電力増幅器(PA)を備え、前記第1のRFフィルタが、前記電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有する送信(TX)フィルタを備える、[1]に記載の装置。
[4] 前記第1のRFフィルタが、前記アンテナよりも前記第1の能動回路の近くに配置された、[1]に記載の装置。
[5] 前記第1のRFフィルタが前記第1の能動回路に直接結合され、前記第1のRFフィルタと前記第1の能動回路との間にインピーダンス整合回路がない、[1]に記載の装置。
[6] 前記第1のRFフィルタが、シングルエンド接続を介して前記アンテナに結合され、差動接続を介して前記第1の能動回路に結合された、[1]に記載の装置。
[7] 前記アンテナと前記第1の能動回路とに動作可能に結合された第2のRFフィルタであって、前記第1のRFフィルタおよび前記第2のRFフィルタが、少なくとも2つの周波数帯域、または少なくとも2つの無線技術、またはその両方の上での動作をサポートし、前記第1の能動回路が、前記少なくとも2つの周波数帯域、または前記少なくとも2つの無線技術、またはその両方の上での動作をサポートする、第2のRFフィルタをさらに備える、[1]に記載の装置。
[8] 前記第1のRFフィルタが、表面弾性波(SAW)フィルタ、バルク音波(BAW)フィルタ、薄膜バルク音響共振器(FBAR)フィルタ、微小電子機械システム(MEMS)共振器フィルタ、空洞共振器フィルタ、またはセラミックフィルタを備える、[1]に記載の装置。
[9] 前記装置が集積回路を備える、[1]に記載の装置。
[10] 第2の入力信号を受信し、第2の出力信号を与えるための第2の能動回路と、前記アンテナと前記第2の能動回路とに動作可能に結合された第2のRFフィルタであって、前記第2の能動回路にインピーダンス整合され、第2の非LCフィルタを備える、第2のRFフィルタとをさらに備える、[1]に記載の装置。
[11] 前記第1の能動回路が低雑音増幅器(LNA)を備え、前記第2の能動回路が電力増幅器(PA)を備え、前記第1のRFフィルタが、前記LNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する受信(RX)フィルタを備え、前記第2のRFフィルタが、前記電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有する送信(TX)フィルタを備える、[10]に記載の装置。
[12] 前記RFフィルタが、前記アンテナよりも前記LNAの近くに配置され、前記TXフィルタが、前記アンテナよりも前記電力増幅器の近くに配置された、[11]に記載の装置。
[13] 前記RXフィルタと前記TXフィルタとの間に結合された位相シフト回路をさらに備える、[11]に記載の装置。
[14] 前記第1の能動回路が、第1の周波数帯域のための第1の低雑音増幅器(LNA)を備え、前記第2の能動回路が、第2の周波数帯域のための第2のLNAを備え、前記第1のRFフィルタが、前記第1の周波数帯域のための第1の受信(RX)フィルタを備え、前記第2のRFフィルタが、前記第2の周波数帯域のための第2のRXフィルタを備える、[10]に記載の装置。
[15] 前記アンテナと前記第1のRXフィルタおよび前記第2のRXフィルタとに結合されたスイッチをさらに備える、[14]に記載の装置。
[16] 前記スイッチと前記第1のRXフィルタおよび前記第2のRXフィルタとが、前記アンテナよりも前記第1のLNAおよび前記第2のLNAの近くに位置するRXフロントエンドモジュール上で実装される、[15]に記載の装置。
[17] 前記スイッチと、前記第1のRXフィルタおよび前記第2のRXフィルタと、前記第1のLNAおよび前記第2のLNAとは、前記第1のLNAおよび前記第2のLNAが結合される回路よりも前記アンテナの近くに位置するRXフロントエンドモジュール上で実装される、[15]に記載の装置。
[18] 前記第1の能動回路が、第1の周波数帯域のための第1の電力増幅器(PA)を備え、前記第2の能動回路が、第2の周波数帯域のための第2の電力増幅器を備え、前記第1のRFフィルタが、前記第1の周波数帯域のための第1の送信(TX)フィルタを備え、前記第2のRFフィルタが、前記第2の周波数帯域のための第2のTXフィルタを備える、[10]に記載の装置。
[19] 前記アンテナと前記第1のTXフィルタおよび前記第2のTXフィルタとに結合されたスイッチをさらに備える、[18]に記載の装置。
[20] 前記スイッチと前記第1のTXフィルタおよび前記第2のTXフィルタとは、前記第1の電力増幅器および前記第2の電力増幅器が結合される回路よりも前記アンテナの近くに位置するTXフロントエンドモジュール上で実装される、[19]に記載の装置。
[21] 第3の入力信号を受信し、第3の出力信号を与えるための第2のLNAと、第2のアンテナと前記第2のLNAとに動作可能に結合された第2のRFフィルタであって、前記第2のLNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する、第2のRFフィルタとをさらに備える、[11]に記載の装置。
[22] 第3の入力信号を受信し、前記第1の周波数帯域のための第3の出力信号を与えるための第1の電力増幅器(PA)と、第4の入力信号を受信し、前記第2の周波数帯域のための第4の出力信号を与えるための第2の電力増幅器と、前記第1の周波数帯域のための、前記アンテナと前記第1の電力増幅器とに動作可能に結合された、第1の送信(TX)フィルタであって、前記第1の電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有する、第1のTXフィルタと、前記第2の周波数帯域のための、前記アンテナと前記第2の電力増幅器とに動作可能に結合された、第2のTXフィルタであって、前記第2の電力増幅器の出力インピーダンスに整合された入力インピーダンスを有する、第2のTXフィルタとをさらに備える、[14]に記載の装置。
[23] 第3の入力信号を受信し、前記第1の周波数帯域のための第3の出力信号を与えるための第3のLNAと、第4の入力信号を受信し、前記第2の周波数帯域のための第4の出力信号を与えるための第4のLNAと、前記第1の周波数帯域のための、第2のアンテナと前記第3のLNAとに動作可能に結合された、第3のRXフィルタであって、前記第3のLNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する、第3のRXフィルタと、前記第2の周波数帯域のための、前記第2のアンテナと前記第4のLNAとに動作可能に結合された、第4のRXフィルタであって、前記第4のLNAの入力インピーダンスに整合された出力インピーダンスを有する、第4のRXフィルタとをさらに備える、[14]に記載の装置。
[24] 出力信号を取得するために入力信号を処理するための手段と、前記入力信号または前記出力信号のためのフィルタ処理を実行するための手段であって、アンテナと、前記入力信号を処理するための前記手段とに動作可能に結合され、前記入力信号を処理するための前記手段にインピーダンス整合され、非LCフィルタを備える、フィルタ処理を実行するための手段とを備える、装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9