(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献2の発明においては、耐塩フィルタの交換費用がかさむ。電池が密閉容器に収容される場合は、耐塩フィルタは不要になるが、密閉容器の内部の温度を適切に維持するために密閉容器の内部を冷却する空調が必要になり、空調の運転費用及び維持費用がかさむ。特に、外気の温度が高い場合は、密閉容器の内部に収容される収容物の温度を許容上限温度より高くしないために必要な電力が増加する。
【0007】
本発明は、これらの問題を解決するためになされる。本発明の目的は、運転費用及び維持費用がかさまず、内部の温度が適切に維持され、塩害等の外気の影響を受けにくい電力貯蔵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、電力貯蔵装置に向けられる。
【0009】
本発明の第1の局面においては、電池、電池外充放電経路、密閉容器、吸気経路形成物、排気経路形成物、生成機構、判定部及び生成制御部が電力貯蔵装置に設けられる。
【0010】
電池は、容器、ナトリウム−硫黄電池の単電池及び電池内充放電経路を備える。
【0011】
容器は、外壁及び伝熱壁を備える。容器の内部には、単電池室及び空気室が形成される。伝熱壁は、単電池室及び空気室を隔てる。単電池及び電池内充放電経路が単電池室に収容される。
【0012】
電池外充放電経路及び電池内充放電経路は、電気的に接続される。
【0013】
密閉容器は、電池及び電池外充放電経路を収容する。
【0014】
吸気経路形成物に形成される吸気経路は、密閉容器の外部から空気室へ至る。
【0015】
排気経路形成物に形成される排気経路は、空気室から密閉容器の外部へ至る。
【0016】
生成機構は、吸気経路、空気室及び排気経路を順次に流れる空気流を生成する。
【0017】
判定部は、単電池室の冷却の要否を判定する。
【0018】
生成制御部は、単電池室の冷却が必要である場合に空気流を生成し、単電池室の冷却が不要である場合に空気流を生成しないように生成機構を制御する。
【0019】
本発明の第2の局面は、本発明の第1の局面にさらなる事項を付加する。
【0020】
本発明の第2の局面においては、第1の温度センサーが電池に設けられる。第1の温度センサーは、単電池室に収容される。判定部は、第1の温度センサーにより計測された温度の上昇が基準以上である場合に単電池室の冷却が必要であると判定する。
【0021】
本発明の第3の局面は、本発明の第2の局面にさらなる事項を付加する。
【0022】
本発明の第3の局面においては、第2の温度センサー及び流量制御部が電力貯蔵装置に設けられる。
【0023】
第2の温度センサーは、密閉容器の外部に配置される。
【0024】
流量制御部は、第2の温度センサーにより計測された温度が高くなるほど空気流の流量が多くなるように生成機構を制御する。
【0025】
本発明の第4の局面は、本発明の第1から第3までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第4の局面においては、断熱材が電池にさらに設けられる。
【0026】
断熱材及び空気室は、外壁を挟んで対向する。
【0027】
本発明の第5の局面は、本発明の第1から第4までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第5の局面においては、付属機器が電力貯蔵装置に設けられる。
【0028】
密閉容器の内部に電池室及び付属機器室が形成される。電池は、電池室に収容される。付属機器は、付属機器室に収容される。
【0029】
密閉容器は、隔壁を備える。隔壁は、電池室及び付属機器室を隔てる。
【0030】
本発明の第6の局面は、本発明の第5の局面にさらなる事項を付加する。本発明の第6の局面においては、排気経路が付属機器室を経由しない。
【0031】
本発明の第7の局面は、本発明の第1から第6までのいずれかの局面にさらなる事項を付加する。本発明の第7の局面においては、2個以上の単電池が空気室に平行な方向に配列される。
【0032】
本発明は、電力貯蔵装置の運転方法にも向けられる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の第1の局面によれば、運転費用及び維持費用がかさまない。
【0034】
単電池室の冷却が必要である場合に、単電池室から密閉容器の外部へ空気流により熱が排出される。単電池室の冷却が不要である場合に、容器の断熱性が向上する。単電池室の温度が適切に維持される。
【0035】
単電池室から電池室への熱の排出が抑制される。電池室の温度が適切に維持される。
【0036】
吸気経路、空気室及び排気経路以外に外気が侵入しにくい。外気の影響が抑制される。
【0037】
本発明の第2の局面によれば、単電池室の温度が上昇した場合に単電池室から密閉容器の外部へ熱が排出される。単電池室の温度が適切に維持される。
【0038】
本発明の第3の局面によれば、外気の温度が高い場合でも単電池室から密閉容器の外部への熱の排出能力が維持される。単電池室の温度が適切に維持される。
【0039】
本発明の第4の局面によれば、単電池室から密閉容器の内部への熱の伝達が抑制される。密閉容器の内部の温度が適切に維持される。
【0040】
本発明の第5の局面によれば、電池室から付属機器室への熱の伝達が抑制される。付属機器室の温度が適切に維持される。
【0041】
本発明の第6の局面によれば、排気経路から付属機器室への熱の伝達が抑制される。付属機器室の温度が適切に維持される。
【0042】
本発明の第7の局面によれば、2個以上の単電池が均一に放熱される。2個以上の単電池にばらつきが生じにくい。
【0043】
これらの及びこれら以外の本発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の本発明の詳細な説明によってより明白となる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
(電力貯蔵装置の構成物)
図1及び
図2の模式図は、電力貯蔵装置の望ましい実施形態を示す。
図1は、正面図である。
図2は、背面図である。
図3及び
図4の模式図は、モジュール電池を示す。
図3は、斜視図である。
図4は、断面図である。
図5のブロック図は、コントローラー等を示す。電力貯蔵装置は、ナトリウム−硫黄電池(NaS電池)に電力を貯蔵する。電力貯蔵装置は、望ましくは電力系統に接続され、電力の需給の調整、停電防止等に使用される。
【0046】
図1及び
図2に示すように、電力貯蔵装置1000は、モジュール電池1020、モジュール電池外のブスバー1021、吸気管1022、排気管1023、ブロワー1024、外部の温度センサー1025、付属機器1026、コントローラー1027、電池架台1028及び密閉コンテナ1029を備える。
【0047】
密閉コンテナ1029は、外壁1160及び隔壁1161を備える。
【0048】
モジュール電池外のブスバー1021は、電池間配線1180及び非電池間配線1181を備える。
【0049】
図3及び
図4に示すように、モジュール電池1020は、NaS電池の単電池1040、モジュール電池内のブスバー1041、ヒーター1042、砂1043、モジュール電池端子1044、内部の温度センサー1045、断熱容器1046及び断熱材1047を備える。
【0050】
断熱容器1046は、箱体1060及び蓋体1061を備える。
【0051】
箱体1060は、外壁1080を備える。箱体1060の外壁1080は、底壁1100及び側壁1101を備える。
【0052】
蓋体1061は、外壁1120及び伝熱壁1121を備える。蓋体1061の外壁1120は、天壁1140及び側壁1141を備える。
【0053】
図5に示すように、コントローラー1027は、充放電制御部1200、ヒーター制御部1201、判定部1202、生成制御部1203及び流量制御部1204を備える。
【0054】
これらの構成物以外の構成物が電力貯蔵装置1000に追加されてもよい。これらの構成物の一部が電力貯蔵装置1000から省略される場合もある。モジュール電池1020の数が増減されてもよく、モジュール電池1020の数が1個であってもよい。単電池1040の数が増減されてもよく、単電池1040の数が1個であってもよい。
【0055】
(密閉コンテナの内部の区画)
図1及び
図2に示すように、密閉コンテナ1029の内部には、電池室1220及び付属機器室1221が形成される。電池室1220及び付属機器室1221以外の室が密閉コンテナ1029の内部に形成されてもよい。2個以上の電池室1220が密閉コンテナ1029の内部に形成されてもよい。2個以上の付属機器室1221が密閉コンテナ1029の内部に形成されてもよい。
【0056】
電池室1220及び付属機器室1221は、隔壁1161で隔てられる。隔壁1161は、電池室1220及び付属機器室1221の間の空気の流通を阻害し、電池室1220から付属機器室1221への熱の伝達を抑制する。これにより、電池室1220の温度が上昇した場合でも付属機器室1221の温度が上昇しにくくなり、付属機器室1221の温度が適切に維持される。ただし、隔壁1161が省略され、電池室1220から区画される付属機器室1221が形成されない場合も、後記の空気流FLによる熱の排出の効用は維持される。隔壁1161が真空断熱構造等の断熱構造を有してもよい。
【0057】
(断熱容器の内部の区画)
図3及び
図4に示すように、断熱容器1046の内部には、単電池室1240及び空気室1241が形成される。単電池室1240及び空気室1241以外の室が断熱容器1046の内部に形成されてもよい。2個以上の単電池室1240が断熱容器1046の内部に形成されてもよい。2個以上の空気室1241が断熱容器1046の内部に形成されてもよい。
【0058】
単電池室1240及び空気室1241は、伝熱壁1121で隔てられる。伝熱壁1121は、単電池室1240及び空気室1241の間の空気の流通を阻害するが、単電池室1240から空気室1241へ熱を良好に伝達する。これにより、単電池室1240への外気の侵入が抑制されるが、単電池室1240から空気室1241へ熱が排出される。空気室1241へ排出された熱は、空気流FLにより密閉コンテナ1029の外部へ排出される。伝熱壁1121は、平板であってもよいが、伝熱壁1121の両方又は片方の主面にフィンが形成されてもよい。空気流FLがない場合は、空気室1241が良好な断熱層となり、外部への放熱を抑える。
【0059】
望ましくは、単電池室1240は箱体1060に形成され、伝熱壁1121は蓋体1061に設けられ、空気室1241は蓋体1061に形成される。これにより、空気室1241が箱体1060に形成された場合と比較して、空気室1241に加わる荷重が減少し、モジュール電池1020の強度が向上する。ただし、伝熱壁1121が箱体1060に設けられ空気室1241が箱体1060に形成される場合も、空気流FLによる熱の排出の効用は維持される。
【0060】
望ましくは、空気室1241は、蓋体1061の天壁1140に沿って形成される。空気室1241は、蓋体1061の天壁1140及び伝熱壁1121に挟まれる空間であり、蓋体1061の天壁1140、蓋体1061の側壁1141の天壁1140寄りの部分及び伝熱壁1121に囲まれる。ただし、空気室1241が他の壁に沿って形成される場合も、空気流FLによる熱の排出の効用は維持される。
【0061】
(構成物の配置)
図1及び
図2に示すように、モジュール電池1020、電池間配線1180及び電池架台1028は、電池室1220に収容される。ブロワー1024、付属機器1026及びコントローラー1027は、付属機器室1221に収容される。非電池間配線1181は、隔壁1161を貫通して電池室1220及び付属機器室1221にまたがって収容される。吸気管1022の主要部は、隔壁1161を貫通して電池室1220及び付属機器室1221にまたがって収容される。排気管1023の主要部は、電池室1220に収容される。
【0062】
密閉コンテナ1029の内部に収容される構成物のうち、モジュール電池1020等のように許容上限温度が相対的に高い構成物は電池室1220に収容され、付属機器1026等の許容上限温度が相対的に低い構成物は付属機器室1221に収容される。付属機器1026には、例えば、ケーブル、端子台、計測機器等がある。
【0063】
モジュール電池1020は、電池架台1028に載せられる。「架台」とは呼びがたい構造物にモジュール電池1020が収容されてもよい。モジュール電池1020は、相互に離され、密閉コンテナ1029の外壁1160及び隔壁1161から離される。
【0064】
外部の温度センサー1025は、密閉コンテナ1029の外部に配置される。
【0065】
図3及び
図4に示すように、単電池1040、モジュール電池内のブスバー1041、ヒーター1042、砂1043及び内部の温度センサー1045は、単電池室1240に収容される。モジュール電池端子1044は、箱体1060の外壁1080を貫通して単電池室1240及び断熱容器1046の外部にまたがる。空気室1241は、望ましくは空気のみが流れる空間である。空気室1241には、少なくとも電気機器は収容されない。
【0066】
単電池1040は、砂1043に埋設される。単電池1040は、相互に離される。
【0067】
ヒーター1042は、望ましくは箱体1060の外壁1080に沿って設置され、さらに望ましくは箱体1060の底壁1100に沿って設置される。
【0068】
図3及び
図4に示すように、2個以上の単電池1040は、空気室1241に平行な方向に配列される。これにより、2個以上の単電池1040が均一に放熱され、2個以上の単電池1040にばらつきが生じにくくなる。ただし、単電池1040の数が1個であってもよく、2個以上の単電池1040が空気室1241に平行な方向とは異なる方向に配列されてもよい。
【0069】
(熱の排出)
図3及び
図4に示すように、蓋体1061の外壁1120には、吸気口1260及び排気口1261が形成される。吸気口1260及び排気口1261は、空気室1241に接続される。空気室1241が箱体1060に形成される場合は、吸気口1260及び排気口1261は箱体1060の外壁1080に形成される。
【0070】
図1及び
図2に示すように、吸気管1022には、吸気経路1280が形成される。排気管1023には、排気経路1281が形成される。吸気管1022及び排気管1023が「管」とは呼びがたい構造物に置き換えられてもよい。例えば、吸気管1022が立体物に吸気経路1280が形成された構造物に置き換えられてもよい。排気管1023が立体物に排気経路1281が形成された構造物に置き換えられてもよい。
【0071】
吸気経路1280の一端は吸気口1260に接続され、吸気経路1280の他端は密閉コンテナ1029の外部に露出する。吸気経路1280は、密閉コンテナ1029の外部から空気室1241へ至る。排気経路1281の一端は排気口1261に接続され、排気経路1281の他端は密閉コンテナ1029の外部に露出する。排気経路1281は、空気室1241から密閉コンテナ1029の外部に至る。これにより、密閉コンテナ1029の外部から空気室1241を経由して密閉コンテナ1029の外部へ至る空気流FLの経路が形成され、密閉コンテナ1029の外部の空気(以下では「外気」という。)を空気室1241に流すことができる。
【0072】
ブロワー1024は、吸気経路1280、空気室1241及び排気経路1281を順次に流れる空気流FLを生成する。これにより、空気室1241から密閉コンテナ1029の外部へ空気流FLにより熱が排出され、単電池室1240が冷却される。また、断熱容器1046の内部から電池室1220への熱の伝達が抑制され、電池室1220の温度が上昇しにくくなり、電池室1220の温度が適切に維持される。さらに、吸気経路1280、空気室1241及び排気経路1281以外に外気が侵入しにくくなり、塩害等の外気の影響が抑制される。例えば、電池室1220が塩害で腐食したりすること、電池室1220において絶縁性が低下すること等が発生しにくくなる。
【0073】
ブロワー1024が他の種類の送風機に置き換えられてもよい。例えば、ブロワー1024がファンに置き換えられてもよい。
【0074】
ブロワー1024は、吸気経路1280に挿入される。これにより、ブロワー1024が熱の影響を受けにくくなる。ただし、ブロワー1024のような送気機構を吸気経路1280に挿入することに代えて、ポンプのような吸気機構を排気経路1281に挿入することも許される。
【0075】
排気経路1281は、排気口1261から付属機器室1221を経由せずに密閉コンテナ1029の外部へ至る。これにより、排気経路1281から付属機器室1221への熱の伝達が抑制される。付属機器室1221の温度が上昇しにくくなり、付属機器室1221の温度が適切に維持される。
【0076】
2個以上のモジュール電池1020が同期して充放電される場合は、2個以上のモジュール電池1020のいずれにおいても単電池室1240の温度は同程度になる。このため、空気流FLの生成のタイミングがモジュール電池1020ごとに独立していなくてもよく、2個以上のモジュール電池1020に共通の1台のブロワー1024が準備されればよい。ただし、2個以上のモジュール電池1020の各々に1個のブロワー1024が準備され、空気流FLの生成のタイミングがモジュール電池1020ごとに独立させられる場合もある。
【0077】
(断熱容器)
図3及び
図4に示すように、断熱容器1046は、箱体1060の開口に蓋体1061がかぶせられ、単電池室1240が伝熱壁1121で閉塞された構造を有する。この構造によれば、単電池室1240への単電池1040等の収容が容易になり、単電池室1240から空気室1241へ熱が伝達されやすくなる。ただし、断熱容器1046が他の構造を有してもよい。断熱容器1046が箱体1060及び蓋体1061に分離しない構造を有してもよい。
【0078】
蓋体1061の側壁1141及び箱体1060の外壁1080は、真空断熱構造を有する。これにより、断熱容器1046の内部から電池室1220への熱の伝達が抑制され、電池室1220の温度の上昇が抑制され、電池室1220の温度が適切に維持される。蓋体1061の側壁1141及び箱体1060の外壁1080が真空断熱構造以外の断熱構造を有してもよい。例えば、蓋体1061の側壁1141及び箱体1060の外壁1080に断熱材が埋設されてもよい。蓋体1061の天壁1140は、真空断熱構造を有しない。ただし、蓋体1061の天壁1140が真空断熱構造を有してもよい。
【0079】
(断熱材)
図3及び
図4に示すように、断熱材1047は、蓋体1061の天壁1140に取り付けられる。断熱材1047が蓋体1061の天壁1140以外に取り付けられてもよい。例えば、断熱材1047が蓋体1061の側壁1141に取り付けられてもよい。断熱材1047は、蓋体1061の天壁1140を挟んで空気室1241と対向する。これにより、空気室1241から電池室1220への熱の伝達が抑制され、電池室1220の温度が上昇しにくくなり、電池室1220の温度が適切に維持される。ただし、断熱材1047が省略される場合も、空気流FLによる熱の排出の効用は維持される。
【0080】
(コントローラー)
コントローラー1027は、制御プログラムがインストールされたコンピューターである。コントローラー1027は、制御プログラムを実行し、電力貯蔵装置1000の構成物を制御する。1個のコンピューターがコントローラー1027の機能を担ってもよいし、2個以上のコンピューターが分担してコントローラー1027の機能を担ってもよい。制御プログラムを伴わないハードウエアがコントローラー1027の機能の一部又は全部を担ってもよい。ハードウエアは、例えば、オペアンプ、コンパレーター等を備える電子回路である。コントローラー1027による冷却の制御は、2個以上のモジュール電池1020ごとに独立していてもよいし独立していなくてもよい。コントローラー1027による制御の一部又は全部が操作者の運転操作に置き換えられてもよい。
【0081】
(充放電制御部及びヒーター制御部)
充放電制御部1200は、モジュール電池1020への充電及びモジュール電池1020からの放電を制御する。ヒーター制御部1201は、ヒーター1042を制御する。
【0082】
(判定部)
判定部1202は、単電池室1240の冷却の要否を判定する。
【0083】
判定部1202は、例えば、充放電制御部1200が充放電を行っており内部の温度センサー1045により計測された単電池室1240の温度の上昇が基準以上である場合に、単電池室1240の冷却が必要であると判定する。判定部1202は、典型的には、単電池室1240の温度が基準値(閾値)以上となった場合に単電池室1240の温度の上昇が基準以上であると判定する。ただし、単電池室1240の温度の上昇速度、充放電電流、充放電電力等の他の因子が考慮されてもよい。単電池室1240の温度の上昇は、モジュール電池1020からの放電が行われている場合に発生しやすい。充放電の実行の有無にかかわらず単電池室1240の温度の上昇が基準以上である場合に単電池室1240の冷却が必要であると判定されてもよい。
【0084】
判定部1202は、例えば、ヒーター制御部1201がヒーター1042を動作させている場合に単電池室1240の冷却が不要であると判定する。
【0085】
(生成制御部)
生成制御部1203は、判定部1202の判定結果に基づいてブロワー1024を制御する。生成制御部1203は、冷却が必要である場合にブロワー1024を動作させ、空気流FLを生成し、冷却が不要である場合にブロワー1024を動作させず、空気流FLを生成しない。空気流FLが生成する場合は、単電池室1240から密閉コンテナ1029の外部へ空気流FLにより熱が排出され、単電池室1240が冷却される。空気流FLが生成しない場合は、単電池室1240から熱が排出されにくくなり、断熱容器1046の断熱性が向上する。
【0086】
これにより、単電池室1240の冷却が必要である場合に単電池室1240が冷却され、単電池室1240の冷却が不要である場合に断熱容器1046の断熱性が向上し、単電池室1240の温度が適切に維持される。ヒーター1042が動作している場合に単電池室1240が冷却されないので、ヒーター1042の消費電力が減少し、電力貯蔵装置1000の電力損失が減少する。
【0087】
流量制御部1204は、外部の温度センサー1025により計測された外気の温度が高くなるほど空気流FLの流量が多くなるようにブロワー1024を制御する。これにより、外気の温度が高い場合でも単電池室1240から密閉コンテナ1029の外部への熱の排出能力が維持され、単電池室1240の温度が適切に維持される。ただし、空気流FLの流量が一定である場合も空気流FLによる熱の排出の効用は維持される。ブロワー1024が間欠運転され、外気の温度が高くなるほどブロワー1024が運転される時間が占める比率が高くなるようにしてもよい。
【0088】
(充放電経路)
図1及び
図2に示すように、モジュール電池外のブスバー1021は、密閉コンテナ1029の内部におけるモジュール電池1020の充放電経路となる。モジュール電池内のブスバー1041は、モジュール電池1020の内部における単電池1040の充放電経路となる。ブスバー1021及び1041は、モジュール電池端子1044を介して電気的に接続される。モジュール電池端子1044が省略され、ブスバー1021及び1041が直結されてもよい。
【0089】
ブスバー1021及び1041は、銅、アルミニウム等の導電体からなる。ブスバー1021及び1041は、断面形状が長方形である棒形状体である。ブスバー1021及び1041は、絶縁被覆に被覆されない裸配線である。ブスバー1021及び1041が絶縁被覆に被覆されない場合は、ブスバー1021及び1041の耐熱性が向上するが、ブスバー1021及び1041が塩害等の外気の影響を受けやすくなる。しかし、電力貯蔵装置1000においては、モジュール電池外のブスバー1021が収容される電池室1220及び付属機器室1221に外気が侵入しにくく、モジュール電池内のブスバー1041が収容される単電池室1240に外気が侵入しにくい。このため、ブスバー1021及び1041が塩害等の外気の影響を受けやすい場合も大きな問題は生じない。また、本冷却方法を用いることにより電池室1220の温度は絶縁被覆の許容温度以下とすることもできるので、ブスバー1021及び1041が、絶縁被覆に被覆されてもよいし、他の種類の配線材に置き換えられてもよい。
【0090】
(密閉コンテナの密閉性)
密閉コンテナ1029は、密閉コンテナ1029の内部に収容された収容物に影響を与える外気の侵入を阻害する程度の密閉性を有する密閉容器である。真空容器に要求される程度の密閉性は密閉コンテナ1029には要求されない。
【0091】
電力貯蔵装置1000によれば、塩害対策のための維持費用がかさまない。
【0092】
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての局面において例示であって限定的ではない。しがって、本発明の範囲からはずれることなく無数の修正及び変形が案出されうると解される。