(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記システムには、前記台座アセンブリの後部と係合し、前記台座アセンブリの後部を上下に動かすために伸長及び収縮するアクチュエータが設けられたことを特徴とする請求項3又は4に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
患者支持体
図1を参照すると、一実施形態において、システム10は、診察台などのテーブル14の水平面に横たわる臥位した患者11の脚に振動を与える。振動は、患者の足から患者の腰まで頭から足の方向の軸(superior-inferior axis)12に沿って伝わる。
【0013】
テーブル14の一端に配置され直線トラック18上に支持された振動ユニット16として示される振動装置によって振動が与えられ、振動ユニット16は、異なる患者に適応するために直線トラック18によって軸12に沿った異なる位置に動かされる。患者の下腿22が実質的に水平となるよう患者の足をテーブル14の上でわずかに持ち上げた高さで受けるために、患者11の方に向いた振動ユニット16の前面が足支持体20を支持する。足支持体20は、患者11、例えば振動を受けるために肢の近位端、とシステム10との間に第一の支持点又は取付点を与える連結具でもよい。足支持体20は、振動ユニット16から患者11に振動を伝えるよう構成されてもよい。足支持体20は、振動ユニット16の振動アーム21に取り付けられた、患者の足裏に当接する鉛直部を有してもよい。このようにして振動ユニット16は振動伝達方向に伝えられる振動を与え、該振動伝達方向は、足支持体20の鉛直部から離れる方向に伸びる方向であって振動アーム21及び/又は前記軸12の長手軸にほぼ平行な方向に向いてもよい。足支持体20は、患者のかかとを下から支持する、鉛直部の下縁から伸びる水平棚をさらに含んでもよい。
【0014】
関節規制具によって、治療されている患者の肢の先端と基端の間にある関節の軸外運動(out-of-axis movement)を制限してもよい。一実施形態において、膝の下に設けられた(直線トラック18に固定された)パッド入り支持クッション24及びストラップ28によって直線トラック18に連通下上側パッド入り規制具26によって、患者の膝が軸12に垂直な方向に動かないよう規制してもよい。したがって、膝に連結した上腿30の端部が一定の高さ又は位置に維持されるよう、股関節屈曲又は股関節伸展が妨げられるよう規制してもよい。この規制により、いくらかの軸方向の動きは許容されるが膝の上向き又は下向きの動きはかなり防げられる。これに関して、パッド入り規制具26は膝を軸整列位置に位置付けしてもよく、この状態では膝の屈伸運動の中心である膝の回転軸が第一方向に向くよう構成され、そして規制具26は、この軸整列位置の外への膝の動き即ち振動伝達方向から離れる膝の上向き及び下向きの動きを制限してもよい。下腿22の骨と上腿30の骨との間の自然な圧縮相互作用を許すよう、パッド入り規制具26が膝に設けられてもよい。当然ながら、代替的な実施形態ではパッド入り支持クッション24をテーブル14に直接取り付けてもよい。
【0015】
さらに
図1を参照すると、患者11、例えば振動を受けるために肢の遠位端、とシステム10との間の第二の支持点又は取付点を提供する背中支持体32上で患者の腰を支持してもよい。背中支持体32は、テーブル14に直接取り付けられてもよく、直線トラック18を調整して振動ユニット16を動かして脚の長さが異なる患者に適応するようにしてもよい。患者の腰は、単に摩擦及び患者の体重によってあるいは患者11を背中支持体32に押し付ける補助的なパッド入りベルト34を用いて、背中支持体32によってテーブル14に対して動かないよう規制されてもよい。背中支持体32は、患者の腰の動きをさらに規制する、腰の周りで上向きに伸びる羽根33を含んでもよい。
【0016】
図2を参照すると、通常、上腿30の骨と下腿22の骨が互いに対してわずかに斜めになるよう、腰の位置はわずかに膝の位置の下にくる。
【0017】
再び
図1を参照すると、ケーブル又はストラップなどの張力部材36の一端(あるいは直線トラック18の可動面上の任意の点)が振動ユニット16に取り付けられ、他端が患者の腰に対して固定された点、例えば背中支持体32の羽根33(これらが十分堅い場合)又はテーブル14に取り付けられてもよい。張力部材36は付勢することによって患者の脚に所定の圧縮予荷重を与えるために使用されてもよく、したがって振動ユニット16を背中支持体32に向かって動かし、両支持体が脚の対向両端に係合してほぼ互いの方に向き、これにより互いの間の距離を縮めて振動ユニット16が動くことができる圧縮方向を定める。注目すべきは、この予荷重又は圧縮は膝の関節を通るものであり、単に上腿30の骨及び下腿22の骨にわたるものではない。コントローラ80(
図8及び
図10)のメモリ内に格納することができる又はコンソール82(
図8及び
図10)を用いて設定することができる圧縮又は予荷重の(複数の)量については、以下でより詳細に記載する。
【0018】
図2に示すように、患者の脚をわずかに曲げることによって、張力部材36の張力が脚の圧縮に置き換えられ、同時に、力矢印38によって示される膝の軸外規制によって脚の屈曲(上腿への振動を減少させるようなもの)が防止される。予荷重圧縮は、張力部材36が完全な振動ユニット16を背中支持体32に向かって付勢する即ち動かすことによって達成されてもよい。
【0019】
この力は、膝をきつく拘束することなく、例えば膝と足の間及び膝と腰の間の個々の張力部材を支持するタイプのカラーを膝に使用することなく、与えることができる。この関節の支持により、患者の足に与えられた振動が、下腿22及び介在膝関節を通って上腿30に伝えられる。
【0020】
張力を示すため、したがって直線トラック18上を低い摩擦で自由に動くことができる振動ユニット16を用いて患者の脚に圧縮の所定予荷重を与えるために、張力部材36は、ばねはかり、ロードセル又は他の測定器を含んでもよい。この目的のために、張力部材36を短くする又は長くするための送りねじなどの調整機構を使用してもよい。あるいは、直線トラック18を動かないようロックして、振動ユニット16と足支持体20とを連結する送りねじなどに取り付けられたノブ40などを用いて足支持体20と振動ユニット16の間の相対位置を変化させることにより、脚の圧縮を調整してもよい。
【0021】
振動ユニット16は、例えば特許文献1に教示された周波数範囲内で振動の所定の振幅を与えてもよい。あるいは、以下に記載するように、制御された振幅を与える振動ユニット16を用いてもよい。
【0022】
図3を参照すると、背中支持体32は、上側パッド入り面が設けられ且つ患者の腰の下に嵌まるよう構成された半剛体でかつ成形された起伏がある背部44と、上向きにかつ患者の腹部の周囲に湾曲した羽根33と、を有してもよい。張力部材36は、背部44の堅い部分又は羽根に取り付けられてもよい。
【0023】
あるいは、
図4に示すように、さらに別の実施形態では、患者の腰の周囲に適合するベルト51及び/又は患者の肩の上に適合するサスペンダー53を使用してもよく、これにより、この力を患者の腰及び肩に伝えるとともに、後者の場合は圧縮予荷重がかけられた患者の腰椎に振動を与えるよう構成された張力部材36のための終端点が与えられる。取り付けられる材料に応じてさまざまな異なる規制具が考えられる。
【0024】
図5を参照すると、足支持体は一対の足台20a、20bを有してもよく、水平にのびるレバー50の何れかの端部に配置された患者の左足及び右足それぞれについての足台20a、20bに振動ユニット16が取り付けられてもよい。レバー50は、支点52において、所望の振動を与える振動ユニット16の振動アーム21に取り付けられている。支点52は、バランスを取るように枢動することによって、振動ユニット16から足への力60を均一化する。足関節が屈曲するにもかかわらず足にわたって力を均一化するために、各台20a及び20bが、枢動点62によってレバー50の両端に同様に取り付けられてもよい。
【0025】
図6aを参照すると、この実施形態ではシステム10は
図1のものと大体同じであるので説明は省略する。
図6と
図1に示されたシステムの違いの一つは、
図6のシステム10が、
図1のように臥位した患者11ではなく座位の患者11の脚に振動を与える点である。
図6のシステム10は、振動ユニット支持体17及び台座支持体19が設けられたフレーム15を有する。振動ユニット支持体17は相互接続管片を有し、該相互接続管片は、その上端で水平管片によって接続された互いに離間した直立管片を含む。振動ユニット支持体17の水平管片によって直線トラック18が与えられ、これにより、異なる患者に適応しかつ患者の脚へ圧縮予荷重をかけることを容易にするために振動ユニット16が長手方向にフレーム15に対して移動することができる。
【0026】
さらに
図6aを参照すると、振動ユニット16は、リニアアクチュエータ型位置ドライブを提供する張力部によって、フレーム15に沿って長手方向に動くよう構成されてもよい。前記リニアアクチュエータ型位置ドライブは、振動ユニット16の動きを生むために、固定歯ラック(非図示)と係合する歯車を回転させる又は送りねじ(非図示)などのナットを回転させる電気モータを有してもよい。前述した張力部材36と同様に、位置決めドライブ37は、張力を示すため、したがって直線トラック18上を小さい摩擦で自由に可動な振動ユニット16を用いて所定の圧縮予荷重を患者の(複数の)脚に加えるために、ばねばかり、ロードセル又は他の測定器を含んでもよく又はこれらと協働してもよい。特定の患者の脚に関する圧縮予荷重の量を規定するために、位置決めドライブ37を制御ユニット80及びコンソール82(
図8及び
図10)に操作可能に接続してもよい。
【0027】
さらに
図6aを参照すると、台座支持体19は(複数の)前方直立管片を含み、該(複数の)前方直立管片には、台座アセンブリ23の後部が上下に移動可能となるよう台座アセンブリ23の前部が枢動可能に連結されている。台座アセンブリ23は、足支持体20とほぼ整列するよう配されてもよい即ち足支持具20とほぼ同じ高さに配されてもよい下台座面25を有し、これにより座位にある患者11の足と腰がほぼ同じ高さに位置合わせされる。下台座面25は、座位にある患者11を下から支持するとともに、患者の背中を後ろから支持する背もたれ27を支持する。背もたれ27は、異なるサイズの患者11に適応するために、下台座面25に対して長手方向に可動であってもよい。この実施形態では、パッド入り規制具26は下台座面25の前部と整列しており、パッド入り規制具26の高さは、患者11の(複数の)膝の軸外の動きを制限するために上方境界を与えると同時に上腿30の太さが異なる患者11に適応するために調整可能である。そのようなパッド入り規制具26の高さの調整機能は、パッド入り規制具26が取り付けられた柱に設けられた鉛直方向に間隔をあけて配置された複数の穴のうちの一つと、台座支持体19の前方の鉛直管片に取り付けられた、パッド入り規制具の柱がスライド可能に保持されたカラーの穴と、に挿入されるピンにより与えられる。オプションで、台座支持体19のどちら側にもパッド入り規制具26を可逆的に取りつけることができるように、パッド入り規制具の柱を収容する一対のカラーを台座支持体19の対向側に設けてもよく、患者は、台座支持体19の他方側のパッド入り規制具26と下台座面25との間に画定される空間を通って台座アセンブリに進入してもよい。
【0028】
さらに
図6aを参照すると、アクチュエータ31で示される手動又は自動アクチュエータは、前方枢動連結の反対にある台座支持体19の後部を支持する。アクチュエータ31は油圧式又は空気式シリンダ、電気作動送りねじなどのリニアアクチュエータを含んでもよい。アクチュエータ31は、下台座面25が地面とほぼ平行となる完全に伸長した位置まで作動されてもよく、これによりシステム10での治療のために患者11が台座アセンブリ23に進入することが容易になる。また、アクチュエータ31は、下台座面25が傾斜位置となる完全に収縮した位置まで作動されてもよく、この状態では後部が前ヒンジ部よりも地面に比較的近くなる。振動ユニット16の使用中にアクチュエータ31を伸長位置と収縮位置の間で動かすことにより、膝関節に受動運動が加えられ、したがって患者11の努力を必要とすることなく下腿及び上腿22、30の間の相対運動が加えられる。これにより、膝が鉛直軸に沿う上下運動に対して制限されるように台座アセンブリ23の前部と規制具26との間の距離をほぼ一定に維持しながら患者11の膝が曲げ伸ばしされるよう、台座アセンブリ23の後部のアーチ状運動経路(arcuate movement path)が与えられる。システム10の使用中に患者11に周期的受動運動のパターンを与えるよう、アクチュエータ31がコントローラ80と通信してコントローラ80によって制御されてもよい。
【0029】
図6bは、
図6aのシステム10の変形例を示す。この実施形態では、振動支持体17及び/又は台座支持体19が互いに近づく方向に可動である。これは、振動支持体17と台座支持体との間に長手方向に沿ってトラック18を配置し、振動支持体17及び/又は台座支持体19のうち一方又は両方をトラック18の可動部に搭載することによりなされる。
図6aに関して記載したように、
図6bのシステム10は、制御ユニット80により制御されて振動支持体17及び/又は台座支持体19の直線運動を生むリニアアクチュエータ型位置ドライブを提供する張力部を有してもよい。このような張力部は、張力を示すため、したがって特定の患者の脚に関する圧縮予荷重の量を規定するよう振動ユニット16を用いて患者の(複数の)脚に所定の圧縮予荷重を加えるために、ばねばかり、ロードセル又は他の測定器を含んでもよく又はこれらと協働してもよい。この実施形態のパッド入り規制具26は、使用者の(複数の)膝の上及び下に係合するよう構成されてもよい、互いに間隔をあけて設けられた二つの部分を有する。振動ユニット16を水平にのびる軸の周りに枢動させると同時に振動ユニット16を支持するために、振動支持体17がヒンジ又は他の枢動結合を与えてもよい。これにより、システム10を伴って使用者の足関節を手動で曲げ伸ばしすることができ、あるいはアクチュエータ(非図示)を振動ユニト16内に設けて、振動ユニットの振動枢動運動を与えるよう制御ユニット80により制御してもよい。このようなアクチュエータは、
図6aに示すアクチュエータ31と同じように枢動運動を与えるために振動ユニット16の外部に設けてもよく、複数のアクチュエータ31を有する実施形態における台座アセンブリ23の代わりに又はこれに加えて、振動ユニット16と係合して押して振動ユニット16を振動させる。
【0030】
図7を参照すると、関節の軸外規制のみがなされた患者の関節のある肢の全長に沿って振動を付加する能力により、本発明を使用して、
図6に示す台座支持体19の運動を与えるためにアクチュエータ31を制御することによって、オプションで例えば当該分野で周知のタイプの受動運動機械による肢のエクササイズ又は運動中に肢に振動を与えることができる。そのようなシステムにおいては、張力部材36(
図1)又は位置決めドライブ37(
図6)の長さを、オプションで、肢が動いているときに肢に所定の予荷重が加えられていることを保証するよう肢の動きとあわせて、コントローラ80により調整してもよい。
【0031】
振動ユニット
図8、10、11を参照すると、一実施形態において、本発明での使用に適した振動ユニット16は、独立して制御可能な振動の周波数及び制御可能な振動の振幅の両方を提供してもよく、したがって足支持体20の可変かつ制御された変位を提供してもよい。当然のことながら、制御とは、独立して制御可能な周波数及び力、独立して制御可能な力及び振幅、独立して制御された周波数及び変位、独立して制御された周波数及び加速度などとして表現されてもよく、それぞれ、他を簡単に数学的に変換したものである。
【0032】
図8を参照すると、一実施形態において、振動ユニット16は、振動が伝えられる軸12にほぼ垂直な軸72の周りに回転する偏心器70を有してもよい。偏心シャフト70は、軸72に沿って整列した、第一モータ78による回転のために軸方向に整列した軸受77によって支持された二つの筒状軸受面74及び76を有してもよい。モータ78は、当該分野において周知の制御ユニット80(
図8及び
図10)によって速度が制御されてもよい。軸受面76は、モータ78に向かって伸びるスタブシャフトを有してもよく、スタブシャフトには、モータ78の出力シャフトの端部に位置する対応してスプラインが形成された連結具と係合するスプラインが設けられてもよい。
【0033】
さらに
図8を参照すると、制御ユニット80(
図8及び
図10)は、一以上のプロセッサと、本明細書に記載する動作を提供するためにシステム10の各種部品の動作特性をモニタリングするとともに対応させて制御するための一以上のプロセッサにより実行されるプログラム命令を有する一以上のメモリ媒体と、を有してもよい。例えば、制御ユニット80は、治療されている患者11の組織に予荷重力を与えるために張力部材36及び/又は位置決めドライブ37をモニタリング及び制御してもよく、本明細書でより詳細に記載するように振動の周波数を規定する又は変えるためにモータ78をモニタリング及び制御してもよく、振動の振幅を規定する又は変えるためにモータ96をモニタリング及び制御してもよい。制御ユニット80はユーザインターフェースを有するユーザコンソール82に動作可能に接続されてもよく、以下に記載するように、該ユーザインターフェースは、予荷重、振動の周波数及び振幅、治療されている患者の一連の体組織内の関節角度及び治療されている患者の一連の体組織内の(複数の)関節の受動運動特性を操作するようシステム10の動作パラメータを入力及び設定するボタンやディスプレイなどである。
【0034】
さらに
図8を参照すると、上記のように構成された軸受面74及び76は、一つの軸受面74の内面であって該内面の縁の近くから第二の軸受面76の対向内面の軸中心に近いが軸中心からずれたポイントまで通る傾斜シャフト84によって、連結される。この傾斜シャフト84は、軸受86の傾斜孔内に収容されるような略円形断面を有してもよく、該軸受86は、玉軸受、面軸受又は軸受面を有する他の構造でもよく、偏心器70の偏心部を画定するものであって、第一位置89a及び第二位置89bで示されている。傾斜シャフト84及び軸受86には、軸受86を傾斜シャフト84と一致して回転するようロックすると同時に軸受が部分89aと89bの間でシャフトに沿う長手方向に移動できるよう構成されたスプライン、キー及びキー溝、オプションで非円形断面などの対応する係合構造が設けられていてもよい。シャフト84に沿った軸受86の運動の極端を表わす位置89a又は89bの何れにおいても、軸受86の外縁が、振動アーム21に運動を与えるために、軸12に沿って可動な振動アーム21に連通した押し板90と接してもよい。このようにして、傾斜シャフト84が回転すると、軸受86が軸72から径方向に離れているので、軸受86は周期的に押し板90に向かって進み及び押し板90から離れて、押し板90が軸72に対する軸受86の位置に従うにつれて押し板90に往復運動が与えられる。
【0035】
さらに
図8を参照すると、軸受86は上心位置で示され、この状態では押し板90及び振動アーム21が軸72から最も遠くに押されている。傾斜シャフト84が
図8の示す位置から180度回転されると、軸受86は下心位置となり、この状態では押し板90及び振動アーム21が軸72に最も近くなる。シャフト84の軸上の軸受86の位置は、振動ユニット16により規定される振動の振幅を決定する。
【0036】
図8及び
図9aを参照すると、当然のことながら、軸受86が位置89aで軸受面74に最も近いとき、押し板90即ち振動アーム21の振動87(
図9aに示す)の振幅を大きくするために軸受86は回転軸72に対して最も偏心したシャフト84の部分上に支持される。
【0037】
図8及び
図9bを参照すると、軸受86が位置89bで軸受面76に最も近いとき、振動87(
図9bに示す)の振幅を小さくするために軸受86は回転軸72に対して最も偏心していないシャフト84の部分上に支持される。したがって、軸72に沿った軸受86の運動によって、同じ周波数の振動(モータ78の回転速度によって独立的に決定される)の異なる振幅を得ることができる。軸受86のこの再位置決めは、軸受86の縁の対向側又は端面に位置する歯を有するフォーク92などの、振動ユニット16内で可動なポジショナーによってなされる。フォーク92は、リニアアクチュエータを用いて、軸受86を押し板90の下面の異なる部分と整列するように動かしてもよく、該リニアアクチュエータは、制御ユニット80によって制御される第二モータ96によってフォーク92を平行移動させるために、送りねじ94を有してもよい。
【0038】
したがって、シャフト84上の軸受86の位置即ち周波数から独立した振動の振幅を調整するためにモータ96の制御を使用してもよく、また、振幅から独立した振動の周波数を調整するためにモータ84の制御を使用してもよい。したがって、モータ96の制御を、張力部材36(
図1)又は決め位置ドライブ37(
図6)によって与えられる予荷重力の量から独立した軸受86の位置を調整するために使用してもよい。
【0039】
さらに
図8を参照すると、制御ユニット80によって力加速度などの制御変数に応じて振幅又は速度の制御をフィードバックするために、振動アーム21は、制御ユニット80に動作可能に連結された取り付けられたセンサ100を有してもよく、該センサは例えば振動アーム21上の力を検知する歪みゲージ又は加速度計などでもよい。張力部材36(
図1)及び/又は位置決めドライブ37(
図6)における別個のばねばかり、ロードセル又は他の測定装置の代わりに患者11に加えられる予荷重の値を決定するために、センサ100は制御ユニット80によって使用されてもよい。
【0040】
図10を参照すると、第二の実施形態において、この実施形態の振動ユニット16は、互いに独立して、モータ78を制御して振動の周波数を変えそしてモータ96を制御して振動の振幅を変えるために、制御ユニット80を使用してもよい。この場合、偏心器70全体を振動ユニット16内で動かすために、ポジショナーを偏心器70に組み込んでもよい又は偏心器70自体によってポジショナーを画定してもよい。この実施形態において、モータ78及び96は共に動くために連結されてもよい。振動ユニット16内の両モータ78及び96の動き及びしたがって偏心器70全体の動きによって、振動の振幅が変化する。これについては以下で詳細に説明する。
【0041】
さらに
図10を参照すると、偏心器70は偏心輪71を含んでもよく、該偏心輪71は、偏心器70の偏心部を画定し、丸形の外周形状を有し、モータ78の出力シャフト上に中心をずらして搭載されている。偏心輪71の外周面は、偏心輪71と対向する枢動アーム91の表面と係合する。枢動アーム91は、ヒンジ結合部97を画定するために振動ユニット16のハウジングに固定されたブラケット95に枢動可能に搭載される外側端93を有する。枢動アーム91の反対側の内側端99は、振動ユニット16の中心線の比較的に近くに設けられてもよく、アーチ状の移動経路に沿って動くようヒンジ結合部97の周りに枢動してもよい。偏心輪71がモータ78によって駆動されて回転すると、モータ78の回転軸から径方向に最も離れた所に間隔をおいて位置する偏心輪71の外周面の部分が枢動アーム91の表面にわたってスライドし、偏心輪71によって枢動アームの内側端99が外向きに周期的に変位する。モータ78の回転軸から径方向に最も近くに間隔をおいて位置する偏心輪71の外周面の部分が枢動アーム91の表面にわたってスライドすると、枢動アーム91はその静止状態に周期的に戻る。このようにして、偏心輪71の回転によって、枢動アームの内側端99がアーチ状の前後運動で振動する。枢動アームの内側端99は振動アーム21の端部に枢動可能に接続されており、これによって、枢動アーム内側端99のアーチ状の前後運動が足支持体20のほぼ直線的な往復運動に変換される。このようにして、枢動アーム91は、支点がヒンジ結合部97の位置で画定される第三種レバーとして作用してもよく、振動アーム21及び足支持体20によって荷重が定義され、加える力が偏心輪71によって与えられる。
【0042】
さらに
図10を参照すると、偏心器70全体及びしたがってモータ78、96の集合体を枢動アーム91に対して長手方向に移動させることによって、偏心輪71によってもたらされた加える力の配置が枢動アーム91の長さに沿って変化する。これにより、振動の周波数又は治療されている組織の予荷重から独立して、振動の振幅が変化し、したがって振動アーム21及び足支持体20の変位が変化する。偏心輪71は、最大差がモータ78の出力シャフトの回転軸と該回転軸から最も遠くに間隔をおいて位置した偏心輪71の外周面の部分との間の径方向の間隔に対応する所定距離だけ、偏心輪71が係合する枢動アーム91の部分を変位させることができる。
【0043】
さらに
図10を参照すると、実線で示される偏心器70によって
図10に示すようなヒンジ結合部97から比較的遠くに位置する枢動アーム91の部分を偏心輪71が作動させると、枢動アームの内側端99及び足支持体20が比較的小さい(複数の)距離だけ変位され、したがって枢動アームの内側端99のすぐ右の実線の矢印によって示されるようにより小さい振動の(複数の)振幅が与えられる。
図10において実線で示される偏心器70は、
図9bに示される小さい振幅の振動87を与える。点線で示される偏心器70によって
図10に示すようなヒンジ結合部97から比較的近くに位置する枢動アーム91の部分を偏心輪71が作動させると、枢動アームの内側端99及び足支持体20が比較的大きい(複数の)距離だけ変位され、したがって枢動アームの内側端99の近くの実線の矢印の右にある点線の矢印によって示されるようにより大きい振動の(複数の)振幅が与えられる。
図10において点線で示される偏心器70は、
図9aに示される振幅の大きい振動87を与える。
【0044】
さらに
図10を参照すると、偏心輪71の係合位置を変えるために、モータ96と一致して平行移動するとともにモータ96によって回転されるナットを設けてもよい。このナットは、モータ96の出力シャフトと共通のハウジング内に保持されてもよく、出力シャフトによって直接又は介在歯車列を用いて駆動されてもよい。ナットを回転させると、回転しないよう固定された送りねじ94上のねじ山と係合して、ナットの回転方向に応じて偏心器70を送りねじ94の長さに沿って前進又は後退させる。オプションで、送りねじ94をモータ96と一致して平行移動させ且つモータ96によって回転されるようにするとともにナットを回転しないよう固定して、モータ96によって送りねじ94を回転させることによって、偏心器70を枢動アーム91の長さに沿って移動させてもよい。
【0045】
図11を参照すると、振動ユニット16は
図10のものと大体同じであるので説明は省略する。
図10と
図11に示された振動ユニット16の違いの一つは、
図11の振動ユニット16が枢動アーム91を用いていない点である。その代わりに、偏心器71は足支持体20自体の表面と係合する。ヒンジ結合部97は、振動ユニット16のハウジングに固定されたブラケット95に枢動可能に取り付けられた足支持体20の直交部の角部からのびる突出部によって画定される。この実施形態において、偏心器70は足支持具20の直立部を駆動するものとして示されるが、この実施形態の変形例では、偏心器70は、支持体の下方略水平部を駆動するよう構成されてもよい。
図11において実線で示された偏心器70は、ヒンジ結合部97の位置で定められる足支持体20の枢動軸から最も遠い位置で足支持体20を作動させるので、
図9bに示された振幅の小さい振動87を与えてもよい。
図11において点線で示された偏心器70は、ヒンジ結合部97の位置で定められる足支持体20の枢動軸から最も近い位置で足支持体20を作動させるので、
図9aに示された振幅の大きい振動87を与えてもよい。
【0046】
図12は
図10の振動ユニット16の変形例を示す。この実施形態では、偏心輪71は、枢動アーム91の外面に係合する代わりに、枢動アーム91に沿う長手方向にのびるスロット98内に収容される。この構成では、ポジショナーは、スロット98の長さに沿って偏心輪71を移動させるために回転可能な送りねじ94によって定義される。偏心輪71の他の実施形態では、偏心輪71は、偏心輪71の本体に同軸に搭載された面軸受を含んでもよく、該面軸受は偏心輪71とスロット98の間に接触面を与える。この実施形態では、偏心輪71をモータ出力シャフト(
図10及び
図11に示す)上にずらして直接搭載させる代わりに、中間クランクアームでモータ出力シャフトと偏心輪71を相互接続する。例えば制御ユニット80と通信するモータ96(
図10及び
図11)によって送りねじ94を回転させるなど送りねじ94の回転を自動化してもよく、あるいは送りねじ94は手動で回転させてもよい。例えば、モータ78から離れた位置にある送りねじ94の端部にハンドル又はノブを接続してもよく、これはユーザが操作できるように振動ユニット16の筺体の外側に設けてもよい。
【0047】
振動ユニット16の実施形態について、同期性両肢荷重及び振動刺激を与える、一対の台20a、20bを有する一つの支持体20を介して振動を伝える一つの偏心器70を設けることを記載した。しかしながら、一部の実施形態では、振動ユニット16は、非同期性荷重及び振動刺激を与えるよう、足支持体20の各台20a、20bについて制御ユニット80によって独立して制御される別個の偏心器70を含んでもよいことが理解される。オプションで、足支持体20に対して枢動97を中心に配置するととともに枢動97を中心にして支持体20が前後に揺れるように支持体の一端を駆動させるよう偏心器70を構成することによって、一対の肢に交互に荷重を加えることができる。
【0048】
図13を参照すると、システム10を使用するための一つの適切な技法として、
図13の上の二つのボックスに対応するように、患者11をシステムに進入させてテーブル14(
図1)又は台座アセンブリ23(
図6)上に位置決めして動かないように規制する。規制の間、対向端において支持された肢の関節が軸外運動しないよう規制される。上腿部及び下腿部が患者の腰及び足において支持されると、上腿の股関節屈曲及び股関節伸展が制限されそしてこれに対応して膝の上下運動が制限されるよう、膝が規制される。
図13の上から三番目及び四番目のボックスに対応するように、圧縮荷重又は予荷重が肢に対してほぼ軸方向又は長手方向に加えられ、刺激が肢の端部の少なくとも一つの端部に与えられる。刺激は、下腿22、圧縮された膝関節、上腿30そして股関節へと伝えられる、振動ユニット16からの振動でもよい。
【0049】
図13の下の二列のボックスに対応するように、刺激の個別特性を他とは独立して変えることによって刺激が調整される。張力部材36及び/又は位置決めドライブ37を制御することによって、肢全体への圧縮予荷重が振動特性とは独立して調整される。肢への圧縮予荷重は、静的に保持されても、周期的に減少及び増加されても、あるいは他のシステム10の特性とは独立して変えられてもよい。モータ78の出力シャフトの回転速度を制御することによって、振動の周波数が他のシステム10の特性とは独立して制御される。モータ96の回転を制御することによって、振動の振幅が他のシステム10の特性とは独立して制御される。アクチュエータ31を制御することによって、肢が圧縮されたままそして肢が刺激を受けながら、肢を運動範囲にわたって動かすことができる。このようにして、足支持体20の各変位、足支持体20の加速、(複数の)肢の圧縮荷重、振動の振幅、振動の周波数、肢部の互いに対する位置が、他とは独立して制御することができ、これにより他を一定状態に維持することができる又は異なる(複数の)率で変えることができる。
【0050】
当然のことながら、類似の構造を患者の任意の関節のある肢、例えば腕、に用いてもよい。これは、患者の肩を固定し、患者のひじを、対応する手及び固定された肩の間で画定される軸に対して垂直な方向に沿って動かないよう規制し、ひじの対向側の上腕及び下椀に予荷重を加え、そして振動が下椀、ひじ、上腕を介して伝わり圧縮予荷重がかけられた肩へと振動が伝わるよう、手に振動刺激を与えることによってなされる。
【0051】
本明細書において、いくつかの用語は参照のために用いられ、したがって限定を意図するものではない。例えば、「上」、「下」、「上側」、「下側」などの用語は参照する図面における方向である。「前」、「後」、「後部」、「下」、「側」などの用語は、説明している構成要素を記載する明細書の記載及び関連する図面を参照することにより明確となる、一貫性はあるが任意のフレーム内の構成要素の部分の配向を記載するものである。そのような用語は、特に上記した言葉、その派生語及び同様の意味を有する言葉を含んでもよい。同様に、構造に関する「第一」、「第二」及びその他のそのような数字用語は、特に記載のない限り順番や順序を表わすものではない。
【0052】
本開示及び実施例の構成要素又は特徴を用いるときに、「a」、「an」、「the」、「前記」などの冠詞はそのような構成要素又は特徴が一以上あることを意味する。「備える」、「含む」、「有する」などの用語は包括的なものであり、特に記載されたもの以外の追加の構成要素又は特徴があってもよいことを意味する。さらに、本明細書に記載した方法の工程、プロセス及び動作は、実行の順序として具体的に示されていないかぎり、それらの実行が必ずしも記載又は示された特定の順序でなければならないと解釈されるものではない。また、追加及び代替の工程を採用してもよい。
【0053】
「コントローラ」又は制御ユニットは、システム10の機能プログラム命令を格納する少なくとも一つのメモリ媒体を含んでもよく又はこれと連結されてもよく、独立型で及び/又は(複数の)分配された環境で通信可能な一以上のコントローラ又はマイクロプロセッサを含むと理解でき、したがって有線又は無線通信を介して他のプロセッサと通信できるよう構成されており、そのような一以上のプロセッサは類似の又は異なる一以上のプロセッサにより制御された装置上で動作するよう構成される。例えば、制御ユニット80は遠隔プロセッサと通信するために無線(複数)送信機及び(複数)受信機を含んでもよい。そのような遠隔プロセッサの一つは医院にあってもよく、ここで治療をモニタリングできかつ新たな治療計画を無線で制御ユニット80の受信機に送ることができる。制御ユニット80は、ユーザ又は情報を視る権限が与えられた別の者によってリアルタイムで又は後でアクセス可能な情報を与えるためにオンラインウェブベース又は他の応用を介して通信を送るよう構成されてもよい。そのような応用はダイエット及びエクササイズ追跡ソフトウェアの一部として使用可能であり、患者にリアルタイムバイオフィードバックを提供するために使用可能であり、あるいはユーザ経験を充実させ患者の成果を向上させるさまざまな他の目的のために使用可能である。さらに、特に記載のないかぎり、メモリに関して、プロセッサにより制御される装置内部に設けることができる、プロセッサにより制御される装置外部に設けることができる及び有線又は無線ネットワークを介してアクセス可能な、一以上のプロセッサによって読取可能及びアクセス可能なメモリ素子及び/又は部品を含むことができる。
【0054】
本発明は本明細書に含まれる実施形態及び図面に限定されず、特許請求の範囲は、特許請求の範囲内に含まれる、実施形態の一部及び異なる実施形態の構成要素の組合せを含む、上記実施形態の修正された形態を含むことが理解される。本明細書に記載した特許文献及び非特許文献を含む全ての発行物は、その全体が参照により本明細書に盛り込まれる。