特許第5973100号(P5973100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブヒンコの特許一覧

<>
  • 特許5973100-バイス 図000002
  • 特許5973100-バイス 図000003
  • 特許5973100-バイス 図000004
  • 特許5973100-バイス 図000005
  • 特許5973100-バイス 図000006
  • 特許5973100-バイス 図000007
  • 特許5973100-バイス 図000008
  • 特許5973100-バイス 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5973100
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】バイス
(51)【国際特許分類】
   B25B 1/24 20060101AFI20160809BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   B25B1/24 Z
   B23Q3/06
【請求項の数】11
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-38401(P2016-38401)
(22)【出願日】2016年2月29日
【審査請求日】2016年3月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516061193
【氏名又は名称】株式会社ブヒンコ
(74)【代理人】
【識別番号】100123526
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 壮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100125036
【弁理士】
【氏名又は名称】深川 英里
(72)【発明者】
【氏名】徳 直宏
【審査官】 亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−361532(JP,A)
【文献】 特開昭59−182044(JP,A)
【文献】 実開平04−073464(JP,U)
【文献】 実開昭60−146625(JP,U)
【文献】 実公昭16−007231(JP,Y1)
【文献】 実開昭57−153429(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 1/00 − 1/24
B23Q 3/06
B23K 37/04
F16C 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の主面に、ガイドレール部と固定部とを備える本体部と、
前記ガイドレール部に係合し、前記本体部に対して摺動可能に設けられた可動部とを備え、
前記固定部は、前記一方の主面に対して突出して設けられており、
前記ガイドレール部は、前記一方の主面から突出する凸部を備え、前記凸部は、天面と、前記天面の両側縁から前記一方の主面に向かって互いに近づくように傾斜して延びる一対の本体部斜面とを備え、前記一対の本体部斜面の基端部には、それぞれ、奥行方向に延びる第1の間隙部が設けられており、
前記可動部は、前記凸部に係合する凹部を備え、前記凹部は、前記天面と対向する内壁面と、前記内壁面の両側縁から前記一方の主面に向かって互いに近づくように傾斜して延びる一対の可動部斜面とを備え、前記内壁面と前記一対の可動部斜面によって形成される可動部角部に、それぞれ、奥行方向に延びる第2の間隙部が設けられており、
前記第2の間隙部は、前記可動部角部において、前記内壁面及び前記可動部斜面に対して傾斜して設けられているバイス。
【請求項2】
前記第1の間隙部の横断面形状は、四角形である請求項1記載のバイス。
【請求項3】
前記第2の間隙部の横断面形状は、四角形である請求項1又は請求項2記載のバイス。
【請求項4】
前記第1の間隙部は、前記一方の主面に沿って形成され、前記一方の主面と平行に延びている請求項1から請求項3のいずれか1項記載のバイス。
【請求項5】
前記天面と前記一対の本体部斜面によって形成される本体部角部の角度は、55度から65度である請求項1から請求項のいずれか1項記載のバイス。
【請求項6】
前記可動部は、前記内壁面よりも前記一方の主面に近い位置において、前記一方の主面に対向して延びる対向面を備え、
前記第2の間隙部は、前記可動部角部において、前記対向面に対して45度の角度で傾斜して延びる仮想線上に設けられている請求項記載のバイス。
【請求項7】
前記凹部の深さ寸法が、前記凸部の高さ寸法より短い請求項1から請求項のいずれか1項記載のバイス。
【請求項8】
前記内壁面の幅方向における中央部に、突出面が形成されている請求項1から請求項のいずれか1項記載のバイス。
【請求項9】
前記天面と前記一対の本体部斜面によって形成される本体部角部において、前記本体部角部の先端が、それぞれ、平坦面に形成されている請求項1から請求項のいずれか1項記載のバイス。
【請求項10】
前記天面には、前記可動部を固定するための固定具を挿入する溝部が設けられ、前記天面の幅方向の全長における前記溝部の幅方向の全長の比が、10〜40%である請求項1から請求項のいずれか1項記載のバイス。
【請求項11】
前記可動部の単位質量あたりの前記凹部の深さ寸法が0.04mm/g〜0.08mm/gである請求項1から請求項10のいずれか1項記載のバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物を加工する際に、被加工物を固定するバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加工物を加工する際に、被加工物を固定するバイスが知られている(例えば、特許文献1)。このようなバイスは、例えば、予め固定されている固定部と、可動する可動部とを備え、固定部と可動部との間に被加工物を挟み込んで固定するように構成されている。可動部を動かすことによって可動部と固定部との間の距離を適宜変更すことができ、様々な厚みの被加工物に対応することができる。可動部の固定には、例えば、ネジ等の固定具が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−108969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、精密加工に用いられる精密バイスにおいては、被加工物の位置にずれが生じないように、被加工物を所望の位置に高精度に保持する必要がある。例えば、図8(a)及び図8(b)に示すように、バイス100において、本体部102には、一方の主面102aから突出する凸部109が形成されていて、可動部103には、この凸部109が係合する凹部119が形成されている。凸部109の側面112は、一方の主面102aから垂直に延びていて、この側面112と接する凹部119の側面122も一方の主面102aに対して垂直に延びている。すなわち、凸部109及び凹部119の係合部分は、横断面形状がコの字型になるように形成されている。
【0005】
この場合、図8(b)に示すように、可動部103と固定部107との間に、被加工物104を挟み込んで、可動部103を矢印Aで示す方向にスライドさせて、被加工物104を押圧すると、被加工物104からの反力を受けて、可動部103の挟持面103a側が被加工物104と共に矢印Bで示す方向に傾いてしまう。よって、被加工物104が正確に固定できなくなるという問題がある。
【0006】
加えて、精密バイスにおいては、被加工物を所望の位置に高精度に保持するために、可動部の凹部が本体部の凸部にずれなく高精度に係合することが要求される。一方、実際の製品においては、可動部の凹部及び本体部の凸部の寸法等に誤差が生じ得る。したがって、この誤差をできるだけ許容し得ることも求められる。
【0007】
上記を鑑みて本発明の目的は、被加工物を所望の位置に高精度に保持することができるバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るバイスは、一方の主面に、ガイドレール部と固定部とを備える本体部と、ガイドレール部に係合し、本体部に対して摺動可能に設けられた可動部とを備え、固定部は、一方の主面に対して突出して設けられている。また、ガイドレール部は、一方の主面から突出する凸部を備え、凸部は、天面と、天面の両側縁から一方の主面に向かって互いに近づくように傾斜して延びる一対の本体部斜面とを備え、一対の本体部斜面の基端部には、それぞれ、奥行方向に延びる第1の間隙部が設けられている。可動部は、凸部に係合する凹部を備え、凹部は、天面と対向する内壁面と、内壁面の両側縁から一方の主面に向かって互いに近づくように傾斜して延びる一対の可動部斜面とを備え、内壁面と一対の可動部斜面によって形成される可動部角部に、それぞれ、奥行方向に延びる第2の間隙部が設けられている。
【0009】
このように、本発明に係るバイスによれば、天面の両側縁から上記一方の主面に向かって互いに近づくように傾斜して延びる一対の本体部斜面と、内壁面の両側縁から上記一方の主面に向かって互いに近づくように傾斜して延びる一対の可動部斜面とが設けられているため、可動部が被加工物からの反力を受けた場合であっても、可動部の傾きを抑止することができる。
また、第1の間隙部が設けられているため、本体部斜面及び可動部斜面における寸法等の誤差を吸収することができる。
加えて、第2の間隙部が設けられているため、本体部斜面及び可動部斜面における誤差と、内壁面及び天面における誤差を吸収することができる。
したがって、本発明に係るバイスによれば、被加工物を所望の位置に高精度に保持することができる。
【0010】
さらに、第1の間隙部と第2の間隙部によって、前述のように、製品における寸法等の誤差を吸収することができるため、製品の歩留まりを高めることができる。したがって、バイスの製造コストを低減することができる。
また、第1の間隙部と第2の間隙部によって、ゴミ詰まりを防止でき、油差し等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0011】
一例として、第1の間隙部の横断面形状は、四角形である。これにより、ゴミが角部に集積されるため、ゴミを容易に除去することができる。
例えば、第2の間隙部の横断面形状は、四角形である。
これにより、ゴミが角部に集積されるため、ゴミを容易に除去することができる。
【0012】
一例として、第1の間隙部は、一方の主面に沿って形成され、一方の主面と平行に延びている。
これにより、可動部斜面と本体部斜面における寸法等の誤差を吸収しやすくすることができる。また、加工カスや塵埃等のゴミを第1の間隙部に溜まりにくくすることができる。
【0013】
例えば、第2の間隙部は、可動部角部において、内壁面及び可動部斜面に対して傾斜して設けられている。
これにより、本体部斜面及び可動部斜面における寸法等の誤差と、内壁面及び天面における寸法等の誤差とを、どちらも吸収しやすくすることができる。また、加工の難度を高めることなく第2の間隙部を形成することができる。さらに、可動部の強度を維持することもできる。
【0014】
一例として、天面と一対の本体部斜面によって形成される本体部角部の角度は、55度から65度である。
これにより、可動部の傾きを抑止する力を維持しつつ、本体部角部の強度を保持することができる。
【0015】
例えば、可動部は、内壁面よりも一方の主面に近い位置において、一方の主面に対向して延びる対向面を備え、第2の間隙部は、可動部角部において、対向面に対して45度の角度で傾斜して延びる仮想線上に設けられている。
これにより、加工の難度を高めることなく、本体部斜面12及び可動部斜面22における誤差と、内壁面21及び天面11における誤差をよりバランスよく吸収することができる。
【0016】
一例として、凹部の深さ寸法が、凸部の高さ寸法より短い。これにより、本体部及び可動部における寸法等の誤差を吸収しやすくすることができる。また、可動部を本体部に対して摺動させやすくすることができる。
【0017】
例えば、内壁面の幅方向における中央部に、突出面が形成されている。
これにより、内壁面と天面の寸法等の誤差を吸収しやすくすることができる。また、可動部を本体部に対して摺動させやすくすることができる。
【0018】
一例として、天面と一対の本体部斜面によって形成される本体部角部において、本体部角部の先端が、それぞれ、平坦面に形成されている。
これにより、本体部角部及び可動部角部における寸法等の誤差を吸収できる。また、ゴミ詰まりを抑止できる。加えて、油差し等のメンテナンスを容易にすることができる。
【0019】
例えば、天面には、可動部を固定するための固定具を挿入する溝部が設けられ、天面の幅方向の全長における溝部の幅方向の全長の比が、10〜40%である。
これにより、溝部の加工難度を高めることなく、天面の強度を維持することができる。また、被加工物を安定的に固定することができる。
【0020】
例えば、可動部の単位質量あたりの凹部の深さ寸法が0.04mm/g〜0.08mm/gであってもよい。
これにより、作業効率の向上のために天面の幅寸法を大きくした場合であっても、可動部の傾き抑制力及び凸部の強度を保持することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るバイスによれば、被加工物を所望の位置に高精度に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態に係るバイスの正面図である。
図2図1に示すバイスの斜視図である。
図3】(a)図1に示すバイスの本体部を正面側からみた斜視図である。(b)図1に示すバイスの可動部を背面側からみた斜視図である。
図4図2に示すA−A´線断面において幅方向の一方の端部を部分的に拡大した部分拡大断面図である。
図5図1に示すバイスについて、可動部を固定部側に摺動させた状態を示す正面側からみた斜視図である。
図6】(a)本実施形態に係る第1の間隙部を示す説明図である。(b)他の実施形態に係る第1の間隙部を示す説明図である。
図7】(a)本実施形態に係る第2の間隙部を示す説明図である。(b)他の実施形態に係る第2の間隙部を示す説明図である。(c)他の実施形態に係る第2の間隙部を示す説明図である。
図8】(a)他のバイスの構造を示す説明図である。(b)他のバイスにおいて可動部が被加工物から受ける反力について模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1の実施形態]
以下、本発明の実施の形態を添付の図により説明する。なお、「正面」、「側面」、「背面」、「底面」、「上」、「下」、「右」、「左」、「外側」、「内側」、「縦」、「横」、「幅方向」、「奥行方向」、「高さ方向」等の方向を示す語は、図面の状態に基づく便宜上のものであり、実際の方向はこれに限定されるものではない。
図1に本実施形態に係るバイス1の正面図を示し、図2にバイス1の側面側からみた斜視図を示す。本実施形態に係るバイス1は、被加工物を精密に加工する際に、被加工物を固定するために用いられる精密バイスである。
【0024】
バイス1は、本体部2と可動部3を備えている。まず、本体部2について説明する。図3(a)に本体部2の斜視図を示す。
本体部2は、本体部基部5と、ガイドレール部6と、固定部7とを備えている。本体部基部5は、所定の厚みを有する板状に形成されていて、図2及び図3(a)に示すように、奥行方向Dに延びている。
【0025】
本体部基部5の正面5e、背面5f、一対の側面5cは、平坦面であり、それぞれ、底面5bから垂直に起立している。
本体部基部5の上面5a、すなわち、本体部2の一方の主面2aと、本体部基部5の底面5b、すなわち、本体部2の他方の主面2bとは、平坦面である。一方の主面2aには、ガイドレール部6が設けられている。
図1に示すように、ガイドレール部6は、一方の主面2aから突出する凸部9を備えている。凸部9の正面側端面9cと、本体部基部5の正面5eは面一で連続しており、本体部基部5の底面5bに対して垂直に延びている。
【0026】
凸部9は、天面11と、一対の本体部斜面12を備えている。天面11は、平坦面である。天面11は、一方の主面2aよりも高い高さ位置(高さ方向Hおける位置)において、一方の主面2aと平行に、奥行方向Dに延びている。図2に示すように、天面11の中央部11bには、奥行方向Dに延びる溝部14が形成されている。溝部14は、可動部3を固定するためのネジ等の固定具23が挿入されるものである。溝部14は、開口しており、固定具23の端部を受け入れて、固定具23の端部と嵌合できるように構成されている。
【0027】
溝部14の幅寸法W2は、天面11の幅寸法W1の10〜40%の寸法である。なお、特に、溝部14の幅寸法W2は、天面11の幅寸法W1の20〜28%の寸法であることが望ましい。一例として、天面11の幅寸法W1は、28mmであり、溝部14の幅寸法W2は7mmであり、天面11の側縁11aから溝部14までの幅寸法W3は、10.5mmである。
【0028】
図1に示すように、天面11の両側縁11aの幅方向Wにおける位置は、本体部基部5の両側面5cよりも、バイス1の仮想中心線Z1に近い位置にある。したがって、図2に示すように、バイス1を平面視すると、天面11の両側縁11a側には、一方の主面2aが露出している。
【0029】
図3(a)に示すように、一対の本体部斜面12は、天面11の両側縁11aから一方の主面2aに向かって互いに近づくように傾斜して延びている。すなわち、一対の本体部斜面12は正面視して逆ハの字状に形成されている。したがって、凸部9の幅寸法は、天面11から一方の主面2aに近づくにつれて狭くなっている。一対の本体部斜面12は、平坦面である。凸部9の先端部9a側には、天面11と一対の本体部斜面12によって、本体部角部15が形成されている。
また、一対の本体部斜面12の基端部12aには、それぞれ、奥行方向Dに延びる第1の間隙部16が設けられている。なお、第1の間隙部16については後述するものとする。
【0030】
ガイドレール部6の奥行方向Dにおける一方の端部6aには、立方体形状の固定部7が一体に設けられている。
固定部7は、一方の主面2aに対して高さ方向Hに突出して設けられている。また、固定部7は、可動部3との間において、被加工物を挟み込むものである。本実施形態において、固定部7は、本体部基部5及びガイドレール部6と一体に形成されていて、本体部基部5及びガイドレール部6に対して固定されている。
固定部7は、正面側において、ガイドレール部6の天面11から垂直に延びる固定部挟持面7aを備えている。固定部挟持面7aは、可動部3と対向する面であり、可動部3との間に被加工物を挟み込んで挟持する面である。固定部挟持面7aは、平坦面である。
【0031】
固定部7の上面7c、背面7b及び側面7dは、平坦面であり、それぞれ、固定部7の底面7eから垂直に起立している。固定部7の底面7eは、一方の主面2aと平行に延びている。固定部7の底面7e側の中央部分は、天面11に連続し天面11と一体化されている。したがって、固定部7の底面7eは、天面11が形成されていない幅方向Wの両端部分において、一方の主面2aと対向している。一方の主面2aと底面7eの間には、凸部9の高さの分、空隙13が形成されている。
図2に示すように、固定部7の背面7bは、本体部基部5の背面5fと面一に形成されていて、本体部基部5の底面5bに対して、垂直に延びている。固定部7の上面7cの高さ位置は、ガイドレール部6の高さ位置よりも高い。
【0032】
本体部2は、金属製であり、砥石による研磨加工によって一体的に形成されている。図1に示すように、本体部2は、幅方向Wの仮想中心線Z1に対して左右対称の形状を有している。また、本体部基部5の各面5a,5b,5c等が互いに接する各角部と、固定部7の各面7a,7b,7c等が互いに接する各角部は、面取りされている(不図示)。また、本体部基部5の各面5a,5b,5c等と、固定部7の各面7a,7b,7c等と、天面11及び本体部斜面12とは研磨されている。
【0033】
次に、可動部3について説明する。可動部3は、本体部2に対して着脱可能に構成されている。
可動部3は、ガイドレール部6に係合し、本体部2に対して摺動可能に設けられている。図1及び図3(b)に示すように、可動部3は、可動部基部17と、凹部19とを備えている。図2及び図3(b)に示すように、可動部基部17は、背面側に固定部挟持面7aと対向する可動部挟持面17aを備えている。可動部挟持面17aは、固定部挟持面7aとの間に被加工物を挟み込んで挟持する面である。図2に示すように、可動部挟持面17aは、固定部挟持面7aに対して平行に延びる平坦面である。
【0034】
図3(b)に示すように、可動部挟持面17aには、十字形に構成された十字形溝部18が形成されている。十字形溝部18は、可動部挟持面17aから正面側に向かって窪んだ溝である。この十字形溝部18は、横溝18aと縦溝18bによって構成されている。横溝18aは、高さ方向Hにおいて、可動部基部17の上面17eと、底面17b側に形成された内壁面21との間の中央部分に位置し、幅方向Wに延びている。縦溝18bは、可動部挟持面17aの幅方向Wの中央部分において高さ方向Hに延びている。
【0035】
可動部基部17の底面17bは、一方の主面2aに対向し、一方の主面2aに対して平行に延びている。本実施形態において、可動部基部17の底面17bは、内壁面21よりも一方の主面2aに近い位置において、一方の主面2aに対向して延びる対向面である。
【0036】
図1及び図2に示すように、可動部基部17の正面側には、底面17bから垂直に延びる正面側垂直面17cと、垂直面17cから上面17eに傾斜して連続する正面側傾斜面17dが設けられている。正面側傾斜面17dには、貫通孔24が形成されている。貫通孔24は、可動部3を固定する際に、ネジ等の固定具23を挿入するためのものである。図3(b)に示すように、貫通孔24は、正面側傾斜面17dから内壁面21まで貫通している。
【0037】
可動部基部17の上面17eは平坦面であり、底面17bと平行に延びている。可動部基部17の上面17eの高さ位置は、固定部7の上面7cの高さ位置と同じである。可動部基部17の側面17fは、平坦面であり、可動部基部17の底面17bから垂直に起立している。
【0038】
可動部3の凹部19は、本体部基部5の底面17b側に設けられている。この凹部19は、凸部9に対して相補形状をなし凸部9に係合している。すなわち、凹部19は、内壁面21と一対の可動部斜面22を備えている。内壁面21は、凹部19が凸部9と係合したときに、天面11に対向する面である。内壁面21の幅方向Wにおける中央部21bには、内壁突出面26が形成されている。内壁突出面26は、幅方向Wの両端面に対して底面17b側に向かって僅かに突出している。内壁突出面26は平坦面であり、内壁面21と平行に、奥行方向Dに延びている。
【0039】
図3(b)に示すように、一対の可動部斜面22は、内壁面21の両側縁21aから一方の主面2aに向かって互いに近づくように傾斜して延びている。すなわち、一対の可動部斜面22は正面視して逆ハの字状に形成されている。したがって、凹部19の幅寸法は、底面17bに近づくにつれて狭くなっている。図1に示すように、一対の可動部斜面22は、それぞれ、本体部斜面12に対向し、本体部斜面12と平行に延びている。内壁面21と一対の可動部斜面22によって形成される可動部角部28には、図1に示すように、本体部角部15が嵌め込まれている。
また、一対の可動部角部28には、それぞれ、奥行方向Dに延びる第2の間隙部29が設けられている。なお、第2の間隙部29については後述するものとする。
【0040】
可動部3は、金属製であり、砥石による研磨加工によって一体的に形成されている。図1に示すように、可動部3は、幅方向Wの仮想中心線Z1に対して左右対称の形状を有している。また、可動部基部17の各面17a,17b,17c等が互いに接する各角部は、面取りされていて(不図示)、可動部基部17の各面17a,17b,17c等と、内壁面21及び可動部斜面22とは研磨されている。
【0041】
次に、本体部2と可動部3の係合部分について、詳述する。
なお、図4においては説明のため、バイス1の幅方向Wにおける一方の端部側の本体部角部15、可動部角部28、本体部斜面12、可動部斜面22等について図示しているが、他方の端部側の本体部角部15、可動部角部28、本体部斜面12、可動部斜面22等についても同様の構成である。そのため、ここでは、主として一方の端部側について説明し、他方の端部側についての詳細な説明は省略するものとする。
【0042】
図4に示すように、第1の間隙部16は、一方の主面2aに沿って形成され、一方の主面2aと平行に延びている。第1の間隙部16は、下面16aと上面16bと側面16cを備えている。下面16aは、一方の主面2aと連続して面一に形成されていて、一方の主面2aと下面16aの高さ位置は同じである。上面16bは下面16aよりも高い高さ位置において、下面16aと対向し、下面16aに対して平行に延びている。側面16cは下面16aから上面16bに向かって垂直方向に延びている。したがって、下面16aと側面16cによって構成される下側角部31と、上面16bと側面16cによって構成される上側角部32は、それぞれ、90度である。
【0043】
第1の間隙部16は、上面16bと側面16cと下面16aによって画定された空間34によって構成されている。上面16bの外側端部33と下面16aとの間は開放されている。
なお、本明細書では、バイス1の中心により近い側を内側とし、バイス1の中心からより遠い側を外側として説明している。
【0044】
幅方向Wにおいて、上面16bの外側端部33から下面16aに垂直に延びる仮想線(不図示)と、上面16bと、側面16cと、下面16aとによって四角形が構成される。したがって、第1の間隙部16の横断面形状は、四角形である。
上面16bは、外側端部33から本体部斜面12に連続している。第1の間隙部16は、図3(a)に示すように、ガイドレール部6の一方の端部6aから他方の端部6bまで奥行方向Dに延び、ガイドレール部6の全長に亘って形成されている。
【0045】
図4に示すように、本実施形態において、本体部角部15の角度θ1は、55度から65度である。本体部角部15の先端には本体部角部端面35が形成されている。本体部角部端面35は、凸部9の天面11の両側縁11aから本体部斜面12に向かって傾斜して延びている。本体部角部端面35は、幅方向Wにおいて、本体部斜面12と本体部角部端面35によって構成される下側角部36が、天面11と本体部角部端面35によって構成される上側角部37よりも外側に位置するように、傾斜している。本体部角部端面35は平坦面である。すなわち、天面11と一対の本体部斜面12によって形成される本体部角部15において、本体部角部15の先端が、それぞれ、平坦面に形成されている。
本体部角部端面35は、図3(a)に示すように、ガイドレール部6の一方の端部6aから他方の端部6bまで奥行方向Dに延び、ガイドレール部6の全長に亘って形成されている。
【0046】
可動部3の凹部19の深さ寸法D1は、本体部2の凸部9の高さ寸法H1より短くなっている。したがって、可動部基部17の底面17bと本体部2の一方の主面2aの間には、所定の空間39が保持されている。所定の空間39は、第1の間隙部16の空間34に連続している。
本実施形態においては、可動部3の単位質量あたりの凹部19の深さ寸法D1が0.04mm/g〜0.08mm/gである。なお、特に、可動部3の単位質量あたりの凹部19の深さ寸法D1は、0.05mm/g〜0.07mm/gであることが望ましい。
【0047】
可動部3において、可動部基部17の底面17bと可動部斜面22によって形成される底面側角部41は、第1の間隙部16に突出している。底面側角部41と側面16cの間には第1の間隙部16の空間34が保持されている。
底面側角部41には、底面側角部端面42が設けられている。底面側角部端面42は、可動部基部17の底面17bから垂直に延びて可動部斜面22に連続している。底面側角部端面42は、平坦面であり、可動部3の全長に亘って奥行方向Dに延びている。
【0048】
第2の間隙部29は、可動部角部28において、内壁面21及び可動部斜面22に対して傾斜して設けられている。本実施形態において、第2の間隙部29は、可動部基部17の底面17bに対して45度の角度で傾斜して延びる仮想線Z2上に設けられている。図4においては、可動部基部17の底面17bの高さ位置を仮想線Z3で示している。仮想線Z3と仮想線Z2のなす角度θ2は、45度である。
【0049】
第2の間隙部29は、奥面29aと、互いに対向する一対の側面29b,29cとを備えている。第2の間隙部29は、仮想線Z2上に延びていて、奥面29aは、仮想線Z2に対して垂直に延びている。一対の側面29b,29cは、仮想線Z2に対して平行に延び、一方の側面29bは、奥面29aから内壁面21に連続し、他方の側面29cは、奥面29aから可動部斜面22に連続している。
【0050】
奥面29aと一方の側面29bによって構成される上側角部44と、奥面29aと他方の側面29cによって構成される下側角部45は、それぞれ、90度である。第2の間隙部29は、奥面29aと一対の側面29b,29cによって画定された空間46によって構成されている。側面29bの内側端部43と側面29cの間は開放されている。幅方向Wにおいて、一方の側面29bの内側端部43から他方の側面29cに垂直に延びる仮想線(不図示)と、奥面29aと、一対の側面29b,29cとによって四角形が構成される。したがって、第2の間隙部29の横断面形状は、四角形である。
【0051】
本体部角部15は、第2の間隙部29に突出している。本体部角部端面35と奥面29aの間には第2の間隙部29の空間46が保持されている。
前述のように、内壁突出面26は、凸部9の天面11に接している。内壁面21の幅方向Wにおける両端部21cには、内壁突出面26が設けられていない。内壁突出面26は、内壁面21から突出しているため、内壁面21の幅方向Wの両端部21cにおいて、内壁面21と凸部9の天面11との間に所定の空間47が保持されている。空間47は第2の間隙部29の空間46に連続している。
【0052】
次に、本実施形態に係るバイス1の作用について説明する。バイス1の使用に際し、図3(b)に示す可動部3を図3(a)に示す本体部2に係合させる。このとき、可動部挟持面17aが固定部挟持面7aと対向するように、ガイドレール部6の他方の端部6b側から、可動部3の凹部19を本体部2の凸部9に係合させ、本体部2に対して可動部3を摺動させる。これにより、図4に示すように、可動部斜面22と本体部斜面12が接し、内壁突出面26と凸部9の天面11が接することになる。
【0053】
図5に示すように、可動部3を固定部7側にスライドさせていくと、ガイドレール部6の他方の端部6b側において天面11が露出する。可動部3をガイドレール部6に摺動させることにより、被加工物の厚みに応じて、可動部挟持面17aと固定部挟持面7aとの間の距離が調整される。
可動部挟持面17aと固定部挟持面7aの間に被加工物を挟み込み、可動部3の位置が確定したら、可動部3の貫通孔24から本体部2の溝部14に挿入した固定具23によって、可動部3を本体部2に固定する。
【0054】
前述のように、本体部2の凸部9と可動部3の凹部19は、本体部2の一方の主面2aに近づくにつれて幅寸法が小さくなるように構成されている。すなわち、凹部19と凸部9の係合部分の横断面形状が逆ハの字形状になっている。したがって、図8を参照して前述した横断面形状がコの字型のバイス100とは異なり、可動部3に上方へ押し上げる力が加わった場合であっても、可動部斜面22の上方への移動が本体部斜面12によって抑止される。したがって、被加工物からの反力を受けた場合であっても、可動部3が傾かないことになる。
【0055】
また、本実施形態に係るバイス1では、ストッパー部を別途設けることなく、凸部9及び凹部19の側面(本体部斜面12,可動部斜面22)を傾斜させることによって、可動部3が傾かないように構成している。凸部9及び凹部19の側面とは別にストッパー部を設ける場合には、その加工及び研磨を高精度に行う必要がある。バイス1においては、ストッパー部を別途設けていないため、ストッパー部を別途設ける場合と比較して、加工が容易である。
【0056】
また、第1の間隙部16によって、底面側角部41と側面16cの間には空間34が保持されている。前述のように、精密バイスにおいては、可動部3の凹部19が本体部2の凸部9にずれなく高精度に係合することが要求される。一方、実際の製品においては、可動部3の凹部19及びが本体部2の凸部9について、寸法等に誤差が生じる場合が考えられる。
しかしながら、本体部斜面12と可動部斜面22について、このような誤差が生じた場合であっても、第1の間隙部16によって、可動部3の底面側角部41と凸部9の基端部9bの間には空間34が保持されることになるため、この空間34によって誤差が吸収されることになる。
【0057】
また、バイス1の使用に際して、被加工物の加工カスや塵埃などのゴミが可動部3と本体部2の間に入り込んだ場合であっても、可動部3と本体部2が接触している箇所から空間34が保持された第1の間隙部16にゴミが移動するため、本体部斜面12と可動部斜面22の間のゴミ詰まりが防止されることになる。
加えて、バイス1のメンテナンスのために油を差す場合にも、この第1の間隙部16に油を流し込むことにより、メンテナンス作業が容易になる。
【0058】
さらに、バイス1は第2の間隙部29を備えている。したがって、本体部斜面12と可動部斜面22において寸法等に誤差が生じた場合、及び、内壁面21と天面11について寸法等に誤差が生じた場合であっても、本体部角部端面35と奥面29aの間には第2の間隙部29の空間46が保持されるため、この空間46によって誤差が吸収されることになる。
また、第1の間隙部16と同様に、第2の間隙部29によって、ゴミ詰まりが防止され、油差しのメンテナンス作業が容易になる。
【0059】
バイス1では、第1の間隙部16の横断面形状は四角形に構成されている。したがって、第1の間隙部16の下側角部31と上側角部32にゴミが集まりやすくなる。このように、ゴミが局所的に集積されることなるため、ゴミを除去する作業が容易になる。例えば、エアーなどでゴミを吹き飛ばして掃除する場合にも、ゴミが角部31,32に集積しているため、角部31,32にエアーを噴射することによって、効率的にゴミが除去されることになる。
【0060】
また、第2の間隙部29の横断面形状は四角形に構成されている。したがって、第1の間隙部16と同様に、第2の間隙部29の下側角部45と上側角部44にゴミが集まりやすくなる。よって、第1の間隙部16と同様に、ゴミを除去する作業が容易になる。
【0061】
本実施形態に係るバイス1では、第1の間隙部16が、一方の主面2aに沿って形成され、一方の主面2aと平行に延びている。第1の間隙部16を形成する際には、所定の厚みの回転砥石200が用いられる場合がある。図6(a)に示すように、回転砥石200を一方の主面2aに沿って矢印P方向、すなわち、凸部9に近づく方向に動かすと、第1の間隙部16が一方の主面2aに沿って形成されることになる。この場合、可動部斜面22と接触する本体部斜面12の長さは、上面16bの外側端部33から下側角部36より少し下の高さ位置までの長さL1になる。なお、この下側角部36より少し下の高さ位置は、図4に示すように、本体部斜面12と可動部斜面22が接触する領域の上端の位置である。
【0062】
一方、図6(b)に示すように、回転砥石200を本体部斜面12に沿って矢印Q方向、すなわち、一方の主面2aに近づく方向に動かすと、他の第1の間隙部116が本体部斜面12に沿って形成されることになる。図6(b)において、可動部基部17の底面17bの高さ位置を仮想線Z4によって示す。この場合、可動部斜面22と接触する本体部斜面12の長さは、仮想線Z4で示す可動部基部17の底面17bの高さ位置から、下側角部36より少し下の高さ位置までの長さL2になる。なお、下側角部36より少し下の高さ位置は、長さL1において対応する位置と同じ位置である。
図6(b)に示す間隙部116では、本体部斜面12と上面16bが面一に連続しているため、長さL2の方が、図6(a)に示す長さL1よりも大きくなっている。
したがって、図6(b)に示すように、第1の間隙部116を本体部斜面12に沿って形成すると、可動部斜面22と本体部斜面12の接触領域が大きくなってしまう。
【0063】
これに対して、図6(a)に示す本実施形態では、第1の間隙部16が、一方の主面2aに沿って形成されていることにより、可動部斜面22と本体部斜面12の接触領域が小さくなっている。したがって、可動部斜面22と本体部斜面12の摩擦が減少することになる。よって、可動部3が本体部2に対して摺動しやすくなる。
【0064】
また、可動部斜面22と本体部斜面12の接触領域が小さくなるため、可動部斜面22と本体部斜面12における寸法等の誤差が吸収されやすくなる。さらに、第1の間隙部16が一方の主面2aに沿って延びているため、第1の間隙部16に入ったゴミが一方の主面2aから外部に排出されやすい。したがって、加工カスや塵埃等のゴミが第1の間隙部16に溜まりにくくなっている。
【0065】
本実施形態に係るバイス1では、第2の間隙部29は、可動部角部28において、内壁面21及び可動部斜面22に対して傾斜して設けられている。
第2の間隙部29を形成する際に、図7(a)に示すように、矢印R方向、すなわち、可動部基部17の底面17bに対して45度の角度で傾斜して延びる仮想線Z2に沿って可動部角部28に近づく方向に動かすと、第2の間隙部29が仮想線Z2上に形成されることになる。
【0066】
一方、図7(b)に示すように、回転砥石200を矢印S方向、すなわち、可動部斜面22に沿って可動部角部28に近づく方向に動かすと、他の第2の間隙部129が可動部斜面22に沿って形成されることになる。
また、図7(c)に示すように、回転砥石200を矢印T方向、すなわち、内壁面21に沿って可動部角部28に近づく方向に動かすと、他の第2の間隙部130が内壁面21に沿って形成されることになる。
なお、図7(a)〜図7(c)は、奥面29a(図4)の幅寸法が同一である間隙部を形成する場合について比較した図である。
【0067】
図7(b)に示す間隙部129では、側面29cが可動部斜面22と面一に形成されているため、本体部斜面12が側面29cと接することになる。
一方、図7(c)に示す間隙部130では、側面29cが可動部斜面22と面一ではなく内壁面21と平行に延びているため、本体部斜面12が側面29cと接しないことになる。
【0068】
したがって、間隙部129を形成した場合の本体部斜面12と接触する可動部斜面22の長さL4と、間隙部130を形成した場合の本体部斜面12と接触する可動部斜面22の長さL5とを比較すると、長さL5の方がL4より小さくなる。
よって、間隙部130の方が、間隙部129よりも本体部斜面12及び可動部斜面22の誤差が吸収されやすい。
【0069】
一方、内壁面21側の係合に関しては、間隙部129の方が、内壁面21と対向する天面11の長さが、間隙部130よりも小さくなる。間隙部129では、側面29bが内壁面21と面一ではないのに対して、間隙部130では、側面29bが内壁面21と面一に構成されているからである。
よって、間隙部129の方が、間隙部130よりも天面11及び内壁面21の誤差が吸収されやすい。
【0070】
また、間隙部130には、成形の際に回転砥石200を挿入しにくいという問題がある。
さらに、図7(c)に示す間隙部130の先端から可動部基部17の側面17fまでの長さL9は、図7(b)に示す間隙部129の先端から可動部基部17の側面17fまでの長さL8よりも小さくなる。したがって、間隙部130の方が間隙部129よりも、長さL9における可動部基部17の厚みが薄くなるため、間隙部129よりも強度が低下するという問題がある。
【0071】
これに対して、本実施形態に係る第2の間隙部29では、図7(a)に示すように、可動部基部17の底面17bに対して、間隙部129の角度と間隙部130の角度の間の角度を採用している。
本実施形態では、本体部斜面12と接触する可動部斜面22の長さL3は、間隙部129を設けた場合の長さL4より小さい。本実施形態に係る第2の間隙部29では、間隙部130と同様に、側面29cが可動部斜面22と面一ではないからである。
したがって、第2の間隙部29によれば、本体部斜面12及び可動部斜面22における寸法等の誤差が吸収されやすくなる。
【0072】
加えて、第2の間隙部29によれば、間隙部129と同様に、側面29bと内壁面21は面一ではない。したがって、本体部2の天面11及び可動部3の内壁面21の誤差が吸収されやすくなる。なお、本実施形態にかかるバイス1では、内壁面21と天面11の間に、空間47(図4)が保持されているが、間隙部29が内壁面21及び可動部斜面22に対して傾斜して設けられていることにより、誤差の吸収効果がより高まっている。
【0073】
さらに、本実施形態に係る第2の間隙部29によれば、回転砥石200を内壁面21に沿わせる必要がないため、第2の間隙部29の成形が間隙部130よりも容易になる。
また、第2の間隙部29の先端から可動部基部17の側面17fまでの長さL7(図7(a))が、間隙部130を形成した場合における長さL9(図7(c))よりも長い。よって、本実施形態に係る第2の間隙部29によれば、図7(c)に示す間隙部130よりも、可動部3の強度が維持されることになる。
【0074】
前述のように、第1の間隙部16は、一方の主面2aに沿って形成され、第2の間隙部29は、可動部斜面22及び内壁面21に対して傾斜して形成されている。したがって、第1の間隙部16と第2の間隙部29は、それぞれ、異なる方向に延びている。このように、第1の間隙部16と第2の間隙部29の向きが異なるため、第1の間隙部16と第2の間隙部29に油を差すと、油が拡散しやすくなる。
【0075】
また、本実施形態に係るバイス1では、本体部角部15の角度θ1は、55度から65度である。
角度θ1が急であると、可動部3の傾きを抑止する力がより高まるものの、本体部角部15の厚さが薄くなり強度が低下するという問題がある。本体部角部15の角度θ1を、55度から65度とすることによって、可動部3の傾きを抑止する力を維持しつつ、本体部角部15の強度が保持されることになる。
【0076】
また、バイス1では、凹部19の深さ寸法D1が、凸部9の高さ寸法H1より短い。したがって、前述のように、本体部2の一方の主面2aと可動部基部17の底面17bとの間には、空間39が保持され、一方の主面2aと底面17bが接触しない。したがって、一方の主面2aと底面17bにおける寸法等の誤差が吸収しやすくなる。また、一方の主面2aと底面17bに摩擦が生じないため、可動部3を本体部2に対して摺動させやすくなる。
さらに、本実施形態では、内壁突出面26が設けられているため、空間39がより確実に確保されている。
【0077】
前述のように、内壁突出面26は、内壁面21から突出しているため、内壁面21の幅方向Wの両端部21cにおいて、内壁面21と凸部9の天面11との間に所定の空間47が保持されている。したがって、内壁面21の両端部21cにおいて、内壁面21と天面11は接触しない。これにより、内壁面21と天面11の寸法等の誤差が吸収されることになる。また、内壁面21と天面11の接触領域が小さくなるため、可動部3を本体部2に対して摺動させやすくなる。
【0078】
また、本体部角部15の先端には、平坦な本体部角部端面35が形成されている。したがって、本体部角部15と可動部角部28との間に空間が保持されることになる。よって、本体部角部15及び可動部角部28における誤差が吸収されると共に、ゴミ詰まりが抑止され、油差し等のメンテナンスが容易になる。
なお、本実施形態では、可動部角部28に第2の間隙部29を設けているため、本体部角部15と可動部角部28との間には、より広い空間46が保持されている。
【0079】
本実施形態に係るバイス1では、溝部14の幅寸法W2が、天面11の幅寸法W1の10〜40%の寸法である。ここで、溝部14の幅寸法W2は、溝部14の幅方向Wの全長であり、天面11の幅寸法W1は、天面11の幅方向Wの全長である。
溝部14の幅寸法W2が大きくなり、天面11の側縁11aから溝部14までの幅寸法W3が小さくなると、天面11の強度が低下してしまう。一方、溝部14の幅寸法W2が小さいと加工の難度が高くなり製造コストも上がってしまう。
溝部14の幅寸法W2を天面11の幅寸法W1の10〜40%の寸法とすることにより、溝部14の加工難度を高めることなく、天面11の強度が維持されることになる。
【0080】
また、天面11の幅寸法W1に対して溝部14の幅寸法W2が大きいと、被加工物を固定する際に、被加工物が溝部14に落ちたり、被加工物の一部が溝部14に嵌ったりして被加工物を安定的に固定できない可能性が考えられる。しかしながら、溝部14の幅寸法W2を天面11の幅寸法W1の10〜40%の寸法とすることにより、被加工物が溝部14に落ちたり嵌ったりする可能性が低減され、被加工物が安定的に固定されることになる。
なお、通常、被加工物の大きさに対応した大きさのバイス1が使用されるため、天面11の幅寸法W1に対する溝部14の相対的な幅寸法W2を上記のように構成することによって、被加工物が安定的に固定されることになる。
【0081】
さらに、溝部14の幅寸法W2を天面11の幅寸法W1の20〜28%の寸法とすることにより、天面11の強度維持及び被加工物を固定する際の安定性と、溝部14の加工のしやすさとのバランスがより高まる。
【0082】
本実施形態では、可動部3の単位質量あたりの凹部19の深さ寸法D1が0.04mm/g〜0.08mm/gとなるように構成している。被加工物を固定する際の安定性を高めて作業効率を上げるためには、天面11の幅寸法W1が大きい方が望ましい。一方、天面11の幅寸法W1を大きくすると、それに対応する可動部3の幅寸法も大きくなる。可動部3が大きくなると可動部3が重くなり、被加工物からの反力をより受けやすくなる。よって、可動部斜面22と本体部斜面12の接触領域を大きくして可動部3の傾き抑止力を強化する必要がある。
可動部斜面22と本体部斜面12の接触領域を大きくすると、凹部19の深さ寸法D1が大きくなる。よって、天面11の幅寸法W1を大きくすると、可動部3の傾き抑制力を保持するために、凹部19の深さ寸法D1を大きくする必要がでてくる。
【0083】
一方、互いに傾斜している可動部斜面22と本体部斜面12の長さを伸ばして、凹部19の深さ寸法D1を大きくすると、凸部9の基端部9bの幅寸法が小さくなる。凸部9の基端部9bの幅寸法が小さくなると、凸部9の強度が低下してしまう。このように、凸部9の強度を維持するためには、凹部19の深さ寸法D1をあまり大きくできないという制約がある。
【0084】
しかしながら、本実施形態のように、可動部3の単位質量あたりの凹部19の深さ寸法D1が0.04mm/g〜0.08mm/gとなるように構成することによって、作業効率の向上のために、天面11の幅寸法W1を広くした場合であっても、可動部3の傾き抑制力及び凸部9の強度が保持されることになる。
さらに、可動部3の単位質量あたりの凹部19の深さ寸法D1が0.05mm/g〜0.07mm/gとなるように構成することによって、天面11の幅寸法W1に対して、可動部3の傾き抑制力及び凸部9の強度保持のバランスがより高まることになる。
【0085】
また、前述のように本体部基部5の各面5a,5b,5c等が互いに接する各角部と、固定部7の各面7a,7b,7c等が互いに接する各角部と、可動部基部17の各面17a,17b,17c等が互いに接する各角部とが面取りされているため、各角部の強度及び安全性が高くなっている。
加えて、本体部基部5の各面5a,5b,5c等と、固定部7の各面7a,7b,7c等と、可動部基部17の各面17a,17b,17c等とが研磨されているため、バイス1の美観が高まっている。
また、天面11、内壁面21、本体部斜面12及び可動部斜面22が研磨されていることにより、天面11と内壁面21の接触領域及び本体部斜面12と可動部斜面22の接触領域において、摩擦が軽減される。また、天面11と内壁面21の接触、及び、本体部斜面12と可動部斜面22の接触が、より精密に実現されることになる。
【0086】
なお、本実施形態に係るバイス1について、デジタル測長機を使用して平行度および垂直度の測定を行った結果、平行度が1μm以下、垂直度が1から2μmという高精度を実現している。
【0087】
加えて、可動部挟持面17aには、十字形に構成された十字形溝部18が形成されている。これにより、被加工物がより強固に挟持されることになる。また、棒状の被加工物を縦溝18b又は横溝18aに嵌め込んで固定することによって、これらの棒状の被加工物が安定的に固定されることになる。
【0088】
このように、本実施形態に係るバイス1によれば、天面11の両側縁11aから一方の主面2aに向かって互いに近づくように傾斜して延びる一対の本体部斜面12と、内壁面21の両側縁21aから一方の主面2aに向かって互いに近づくように傾斜して延びる一対の可動部斜面22とが設けられているため、可動部3が被加工物からの反力を受けた場合であっても、可動部3の傾きを抑止することができる。
【0089】
また、バイス1には第1の間隙部16が設けられている。したがって、本体部斜面12及び可動部斜面22における寸法等の誤差を吸収することができる。
加えて、バイス1は、第2の間隙部29を備えている。したがって、本体部斜面12及び可動部斜面22における誤差と、内壁面21及び天面11における誤差を吸収することができる。
よって、本実施形態に係るバイスによれば、被加工物を所望の位置に高精度に保持することができる。
【0090】
さらに、第1の間隙部16と第2の間隙部29によって、前述のように、製品における寸法等の誤差を吸収することができるため、製品の歩留まりを高めることができる。したがって、バイス1の製造コストを低減することができる。
また、前述のように、第1の間隙部16と第2の間隙部29によって、ゴミ詰まりを防止でき、油差し等のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0091】
本実施形態において、第1の間隙部16の横断面形状は、四角形である。したがって、ゴミが角部31,32に集積されるため、ゴミを容易に除去することができる。
また、第2の間隙部29の横断面形状も、四角形である。したがって、第1の間隙部16と同様に、ゴミが角部44,45に集積されるため、ゴミを容易に除去することができる。
【0092】
本実施形態に係るバイス1では、第1の間隙部16が、一方の主面2aに沿って形成され、一方の主面2aと平行に延びている。したがって、図6を参照して前述したように、可動部斜面22と本体部斜面12における寸法等の誤差を吸収しやすくすることができる。また、加工カスや塵埃等のゴミを第1の間隙部16に溜まりにくくすることができる。
【0093】
本実施形態に係るバイス1では、第2の間隙部29が、可動部角部28において、内壁面21及び可動部斜面22に対して傾斜して設けられている。したがって、図7を参照して前述したように、本体部斜面12及び可動部斜面22における寸法等の誤差と、内壁面21及び天面11における寸法等の誤差とを、どちらも吸収しやすくすることができる。また、加工の難度を高めることなく第2の間隙部29を形成することができる。さらに、前述のように、可動部3の強度を維持することもできる。
【0094】
また、本実施形態では、第2の間隙部29は、可動部角部28において、対向面に対して45度の角度で傾斜して延びる仮想線Z2上に設けられている。これにより、加工の難度を高めることなく、本体部斜面12及び可動部斜面22における誤差と、内壁面21及び天面11における誤差をよりバランスよく吸収することができる。
【0095】
前述のように、第1の間隙部16は、一方の主面2aに沿って形成され、第2の間隙部29は、可動部斜面22及び内壁面21に対して傾斜して形成されている。このように、第1の間隙部16と第2の間隙部29の向きが異なるため、第1の間隙部16と第2の間隙部29に油を差すと、油が拡散しやすくすることができる。
【0096】
また、本実施形態に係るバイス1では、本体部角部15の角度θ1は、55度から65度である。これにより、可動部3の傾きを抑止する力を維持しつつ、本体部角部15の強度を保持することができる。
【0097】
また、バイス1では、凹部19の深さ寸法D1が、凸部9の高さ寸法H1より短い。これにより、一方の主面2aと底面17bにおける寸法等の誤差を吸収しやすくすることができる。また、本体部2の一方の主面2aと可動部基部17の底面17bに摩擦が生じないため、可動部3を本体部2に対して摺動させやすくすることができる。
【0098】
前述のように、内壁面21は、内壁突出面26を備えている。これにより、内壁面21と天面11の寸法等の誤差を吸収しやすくすることができる。また、可動部3を本体部2に対して摺動させやすくすることができる。
【0099】
本体部角部15には、本体部角部端面35が設けられていて、本体部角部15の先端は、平坦面に形成されている。これにより、本体部角部15及び可動部角部28における寸法等の誤差を吸収できる。また、前述のように、ゴミ詰まりを抑止できる。加えて、油差し等のメンテナンスを容易にすることができる。
【0100】
本実施形態に係るバイス1では、天面11の幅方向Wの全長における溝部14の幅方向Wの全長の比が、10〜40%である。
これにより、溝部14の加工難度を高めることなく、天面11の強度を維持することができる。また、被加工物を安定的に固定することができる。
さらに、天面11の幅方向Wの全長における溝部14の幅方向Wの全長の比を20〜28%とすることにより、天面11の強度維持及び被加工物を固定する際の安定性向上と、溝部14の加工のしやすさとのバランスをより高めることができる。
【0101】
バイス1において、可動部3の単位質量あたりの凹部19の深さ寸法D1が0.04mm/g〜0.08mm/gである。
これにより、作業効率の向上のために天面11の幅寸法W1を大きくした場合であっても、可動部3の傾き抑制力及び凸部9の強度を保持することができる。
さらに、可動部3の単位質量あたりの凹部19の深さ寸法D1が0.05mm/g〜0.07mm/gとなるように構成することによって、天面11の幅寸法W1に対して、可動部3の傾き抑制力及び凸部9の強度保持のバランスをより高めることができる。
【0102】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、各種の変形及び変更が可能である。
例えば、所望の加工に応じて、バイス1を様々な向きに設置してもよい。図2に示すように、バイス1が本体部基部5の底面5bが載置面に接するように設置してもよい。また、固定部7の背面7bと本体部基部5の背面5fが設置面に接するように、バイス1を用いてもよい。すなわち、バイス1を縦置きして使用してもよく、この場合、可動部3及びガイドレール部6はバイス1の側面側に位置することになる。
【0103】
既述の実施形態において、第1の間隙部16と第2の間隙部29の横断面形状は四角形であるが、横断面形状を他の形状としてもよい。例えば、第1の間隙部16と第2の間隙部29の空間34,46を画定する壁面を曲面に構成してもよい。また、第1の間隙部16と第2の間隙部29の横断面形状を互いに異なる形状にしてもよい。
【0104】
前述の実施形態において、第1の間隙部16は、一方の主面2aに沿って形成され、一方の主面2aと平行に延びているが、他の向きに構成してもよい。例えば、第1の間隙部16が一方の主面2aに対して傾斜する方向に延びるように構成してもよい。
第2の間隙部29は、可動部角部28において、内壁面21及び可動部斜面22に対して傾斜して設けられているが、他の向きに構成してもよい。例えば、内壁面21に対して平行に延びるように構成してもよく、可動部斜面22に対して平行に延びるように構成してもよい。
【0105】
また、第2の間隙部29は、可動部角部28において、可動部基部17の底面17bに対して45度の角度で傾斜して延びる仮想線Z2上に設けられているが、他の角度で延びる仮想線上に設けられていてもよい。例えば、可動部基部17の底面17bに対して30度の角度で傾斜して延びる仮想線上に設けられていてもよいし、可動部基部17の底面17bに対して本体部角部15の角度θ1の半分の角度で傾斜して延びる仮想線上に設けられていてもよい。
前述の実施形態において、本体部角部15の角度は、55度から65度であるが、他の角度を採用してもよい。例えば、本体部角部15の角度は、40度から70度であってもよい。また、一例として、本体部角部15の角度は、25度から90度未満であってもよい。
【0106】
既述の実施形態では、凹部19の深さ寸法D1が、凸部9の高さ寸法H1より短いが、凹部19の深さ寸法D1は、凸部9の高さ寸法H1に対してどのような寸法であってもよい。例えば、凹部19の深さ寸法D1が、凸部9の高さ寸法H1と同じになるように構成してもよい。この場合、内壁面21に内壁突出面26を形成して、可動部基部17の底面と一方の主面2aが接触しないように構成してもよいし、内壁突出面26設けずに、可動部基部17の底面17bと一方の主面2aが接触するように構成してもよい。
【0107】
また、内壁面21の中央部21bには内壁突出面26が形成されているが、この内壁突出面26を形成しなくてもよく、内壁面21の両端部21cにおいても天面11と内壁面21が接触するように構成してもよい。
既述の実施形態では、本体部角部15の先端が、平坦面に形成されているが、先端に平坦面を形成しなくてもよい。例えば、本体角部の先端を尖らした状態にしていてもよいし、曲面に構成してもよい。
【0108】
前述の実施形態では、天面11に、可動部3を固定するための固定具23を挿入する溝部14が設けられているが、この溝部14を設けずに、他の方法によって可動部3を固定するように構成してもよい。
また、溝部14を設けた場合、溝部14の幅寸法W2として既述の寸法以外の寸法を採用してもよい。
例えば、天面11の幅寸法W1が60mmであり、溝部14の幅寸法W2が7mmであり、天面11の側縁11aから溝部14までの幅寸法W3が26.5mmであってもよい。また、天面11の幅寸法W1が38mmであり、溝部14の幅寸法W2が8mmであり、天面11の側縁11aから溝部14までの幅寸法W3が15mmであってもよい。また、天面11の幅寸法W1が24mmであり、溝部14の幅寸法W2が9.5mmであり、天面11の側縁11aから溝部14までの幅寸法W3が7.25mmであってもよい。
溝部14の幅寸法は、天面11の幅寸法に対してどのような比率であってもよい。
また、固定部7がガイドレール部6の一方の端部6aに設けられるとしたが、これに限ることはなく、ガイドレール部6の中央部やその他の位置に設けられても良い。
【0109】
既述の実施形態において、一例として、可動部3の重さが59gのときに凹部19の深さ寸法D1は3mmである。また、他の例として、可動部3の重さが79gのときに凹部19の深さ寸法D1は4mmであり、又は、可動部3の重さが80gのときに凹部19の深さ寸法D1は5mmである。また、さらに他の例として、可動部3の重さが1225gのときに凹部19の深さ寸法D1は6mmであってもよい。
可動部3の単位質量あたりの凹部19の深さ寸法D1は、既述の寸法に限定されることなく、どのような寸法であってもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 バイス
2 本体部
3 可動部
6 ガイドレール部
7 固定部
9 凸部
11 天面
12 本体部斜面
14 溝部
15 本体部角部
16 第1の間隙部
17 可動部基部の底面(対向面)
19 凹部
21 内壁面
22 可動部斜面
26 内壁突出面
28 可動部角部
29 第2の間隙部
35 本体部角部端面
【要約】
【課題】被加工物を所望の位置に高精度に保持することができるバイスを提供することである。
【解決手段】本発明に係るバイス1では、ガイドレール部6は、一方の主面2aから突出する凸部9を備え、凸部9は、天面11と、天面11の両側縁11aから一方の主面2aに向かって互いに近づくように傾斜して延びる一対の本体部斜面12とを備え、一対の本体部斜面12の基端部12aには、それぞれ、奥行方向Dに延びる第1の間隙部16が設けられている。可動部3は、凸部9に係合する凹部19を備え、凹部19は、天面11と対向する内壁面21と、内壁面21の両側縁21aから一方の主面2aに向かって互いに近づくように傾斜して延びる一対の可動部斜面22とを備え、内壁面21と一対の可動部斜面22によって形成される可動部角部28に、それぞれ、奥行方向Dに延びる第2の間隙部29が設けられている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8