(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び2は、いずれも、押出成形によって、より薄い導光板を製造する方法を記載するが、形成されたパターンの形状の正確さ等のパターンの形状付与性(転写性)について、何ら開示するものではない。
更に、特許文献1及び2は、使用樹脂を例示するが、本願のポリカーボネート導光板程度の厚さに、厚さを薄くすると、例えば、アクリル樹脂は、柔らかくて破損しやすいので、実質的に現実に使用することができない。アクリル樹脂を使用して厚さの薄い導光板を製造すると、実際に使用するためには、強度の問題から、他の基材と組み合わせることを要する。従って、実際に実施例にて、具体的な樹脂を使用した製造方法は開示されておらず、特許文献1及び2は、それらが例示した材料を用いて、実際に使用可能な厚さの薄い導光板の製造方法の発明を開示するとはいえない。
【0008】
厚さの薄い導光板の実際の使用を考慮すると、より高い強度を有する樹脂を使用して製造することが、導光板の強度がより高いこと及びより取り扱い易いことの点から好ましいと考えられるが、実際にそのような樹脂を使用して、ドットパターン等の形状を正確に付与した、形状付与率(転写率)の高い導光板の製造方法は、いまだ報告されていない。
【0009】
形状付与性が十分でなく、導光板の表面に所望の形状を正確に十分に形成できない場合、導光板の輝度が不足するという問題も生ずる。
更にまた、近年、具体的には600μm以下の厚さの薄い導光板を安定してより低価格で製造することが要求される。上述したようにアクリル樹脂等を使用すると、厚さが薄くなると(より具体的には600μm以下になると)、強度が不足するとの問題もある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、自立性を有するポリカーボネートという特定の熱可塑性樹脂を使用して、溶融状態のシート状ポリカーボネートを得ること、シート状ポリカーボネートは、可撓性サポートという特定のサポートと共にパターンが表面に形成されたロールに押しつけられること;シート状ポリカーボネートは、可撓性サポートに支持されたまま、パターンが形成されたロール上を走行して固化し、その後固化したシート状ポリカーボネートと可撓性サポートは、離れることを含むポリカーボネート導光板の製造方法は、ドットパターンなどの形状を正確に付与することができ、厚さが薄いにもかかわらず、強度が高く、取り扱い易い、現実に使用可能な導光板をより低価格で製造することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、
ポリカーボネートを加熱溶融し、ダイから押し出して、シート状ポリカーボネートを得ること;
可撓性サポートを支持する第1ロールと、表面に予め形成されたパターンを有する第2ロールが、平行に配置され、
可撓性サポートは、第1ロールと第2ロールとの間を通り、第2ロールの円周方向の少なくとも一部に巻き付けられるように配置され、
第1ロールと第2ロールは、可撓性サポートと第2ロールの間に、シート状ポリカーボネートを挟みながら、シート状ポリカーボネートに可撓性サポートを伴走させながら、加圧するように回転して、シート状ポリカーボネートを、第2ロールに押しつけること;
第2ロールに押しつけられたシート状ポリカーボネートは、可撓性サポートによって、第2ロールの表面に支持されて(保圧されて)、第2ロールの回転方向に走行し、シート状ポリカーボネートと、可撓性サポートは、第1ロールと第2ロールの表面が最も接近する箇所を基準として、第2ロールの回転角度が、45〜150°である箇所で離れること;及び
第3ロールは、第2ロールと平行で、第1ロールの反対側に配置され、
シート状ポリカーボネートは、第2ロールと第3ロールの間を通り、第3ロールの円周方向の少なくとも一部で支持され、第3ロールは、シート状ポリカーボネートを引き取るように回転すること、
を含む、ポリカーボネート導光板の製造方法を提供する。
【0012】
本発明は一の態様において、
第1ロールの表面は、弾性を有する、導光板の製造方法を提供する。
【0013】
本発明は、他の態様において、
(i)シート状ポリカーボネートに接する可撓性シートの表面は、鏡面であり(鏡面処理されており)、シート状ポリカーボネートの片面にパターンが形成される、又は
(ii)シート状ポリカーボネートに接する可撓性シートの表面に、予めパターン形状が形成され、シート状ポリカーボネートの両面にパターンが形成される、導光板の製造方法を提供する。
【0014】
本発明は、他の要旨において、上述の製造方法で製造された、片面又は両面にパターンが形成された、ポリカーボネート導光板を提供する。
【0015】
本発明は、好ましい要旨において、上述の製造方法で製造されたポリカーボネート導光板を有する表示デバイスを提供する。
【0016】
本発明は、更なる要旨において、MVR(メルトボリュームフローレイト:300℃、1.2kg)が、10〜90であり、重量平均分子量(Mw)が、16000〜27000であるポリカーボネートでできている、100〜600μmの厚さを有する、ポリカーボネート導光板を提供する。
【0017】
本発明は、更なる好ましい要旨において、上述のポリカーボネート導光板を有する表示デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法は、上述のような特徴を有するので、形状形成性が向上し(形状が形成されたロールからポリカーボネートへの形状の転写性が向上し)、導光板の表面に所望の精密な形状を形成したポリカーボネート導光板を製造することが可能となる。このことによって、より強度が高く、より取り扱いやすく、より高輝度の導光板をより低価格で製造することができ、更に高輝度なバックライトを製造することができる。また、厚さが600μm以下の導光板を製造することができるので、より薄型で、より軽量のバックライトをより低価格で製造することができる。
【0019】
第1ロールの表面は、弾性を有する場合、形状形成性(転写率)がより向上し、より高輝度の転写板を製造することができる。
【0020】
可撓性シートの表面が鏡面の場合、片面にパターンが形成された導光板を製造することができ、可撓性シートの表面が、パターン形成されている場合、両面にパターンが形成された導光板を製造することができる。
【0021】
MVR(メルトボリュームフローレイト:300℃、1.2kg)が、10〜90であり、重量平均分子量(Mw)が、16000〜27000であるポリカーボネートでできているポリカーボネート導光板は、強度が高く、より取り扱いやすく、より高輝度の導光板であり得、更に、厚さが100〜600μmなので、より薄型で、より軽量のバックライトであり得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0024】
なお、以下の説明は、当業者が本発明を充分に理解するために提供されるので、これらの説明によって、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図すると解釈されるべきではない。
【0025】
本発明の形態の発明は、ポリカーボネート導光板の製造方法を提供する。
本明細書において、「導光板」とは、側方から入れた光を拡散させて、表面から光を出射する、一般的に導光板として理解されるものをいう。
導光板は、通常、例えば、スマートフォン、携帯電話、モバイル端末、携帯情報端末(PDA)、タブレット型パーソナルコンピューター(PC)、ノート型PC、車載用インストルメントパネル、PC用表示モニター等の液晶表示パネルのバックライト、及び例えば、スマートフォン、携帯電話、モバイル端末、携帯情報端末(PDA)、タブレット型パーソナルコンピューター(PC)、ノート型PC等のキーボードのバックライト等の照明装置内部で使用される。
【0026】
本発明の形態の「ポリカーボネート導光板」とは、ポリカーボネートを用いて製造された導光板をいう。
本発明の形態の「ポリカーボネート導光板」は、透明で、自立性を有するポリカーボネート(カーボネート系樹脂)を、熱可塑性樹脂として使用して製造される。ポリカーボネートは、通常、ポリカーボネートとして使用され、本発明が目的とするポリカーボネート導光板を得ることができる限り特に制限されることはなく、適宜、添加剤等を含むことができる。
【0027】
ポリカーボネートのMVR(メルトボリュームフローレイト:300℃、1.2kg)は、10〜90であることが好ましく、15〜60であることがより好ましい。ポリカーボネートのMVRは、JIS K7210によって、測定する。
【0028】
ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、16000〜28000であることが好ましく、18000〜25200であることがより好ましい。
ポリカーボネートの重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置で測定して得た値を、単分散分子量ポリスチレンで換算して得た。より具体的には、日本ウォーターズ社製Alliance HPLC SystemをGPC装置として用いて、UV検出器を用いてクロマトグラムを測定した。GPCカラムとして、アジレント・テクノロジー社製のPLgel 5μm Mixed−Cを用いた。試料をテトラヒドロフランに溶解して、1ml/minの流速で、40℃のカラム温度にて流した。測定値を、単分散分子量ポリスチレンによる検量線で換算して、Mwを得た。
【0029】
本発明の形態のポリカーボネート導光板の製造方法は、
まず始めに、ポリカーボネートを加熱溶融し、ダイから押し出して、溶融状態のシート状ポリカーボネートを得る。
ダイから押し出されるポリカーボネートの温度は、230〜290℃であることが好ましく、240〜280℃であることがより好ましく、250〜270℃であることが特に好ましい。ダイから押し出されるポリカーボネートの温度が、230〜290℃である場合、流動性が高くて、転写率がより向上するので好ましい。
ダイは、本発明が目的とする導光板を製造することができる限り、特に制限されることはないが、Tダイを例示することができる。
【0030】
次に、可撓性サポートを支持する第1ロールと、表面に予め形成されたパターンを有する第2ロールを準備し、第1ロールと第2ロールの中心軸同士が平行になるように配置する。可撓性サポートを、第1ロールと第2ロールとの間を通り、第2ロールの円周方向の少なくとも一部に巻き付けられるように配置する。
第1ロールと第2ロールは、可撓性サポートと第2ロールの間に、溶融状態のシート状ポリカーボネートを挟みながら、シート状ポリカーボネートに可撓性サポートを伴走させながら回転して、溶融状態のシート状ポリカーボネートを、第2ロールに押しつける。
【0031】
第2ロールに押しつけられることで、第2ロールの表面に形成された形状が転写されて、溶融状態のシート状ポリカーボネートの片面にパターンが形成される。
シート状ポリカーボネートと接する面にパターンが形成された可撓性サポートを用いると、更に、可撓性サポートの表面に形成された形状が転写されて、溶融状態のシート状ポリカーボネートの両面にパターンが形成される。パターンの形状は、両面とも同じでも、異なっていてもよい。
【0032】
従って、(i)シート状ポリカーボネートに接する可撓性シートの表面は、鏡面であり(又は鏡面処理されており)、シート状ポリカーボネートの片面にパターンが形成される、又は
(ii)シート状ポリカーボネートに接する可撓性シートの表面に、予めパターン形状が形成され、シート状ポリカーボネートの両面にパターンが形成される、導光板の製造方法も提供される。
【0033】
更に、第2ロールに押しつけられたシート状ポリカーボネートは、可撓性サポートによって、第2ロールの表面に支持されて、保圧されて(又は圧力が落ちないように、圧力が保たれながら)、第2ロールの回転方向に走行し、溶融状態のシート状ポリカーボネートは冷却されて好ましくは固化し、シート状ポリカーボネートと、可撓性サポートは、第1ロールと第2ロールの表面が最も接近する箇所を基準として、第2ロールの回転方向に45〜150°の回転角度の箇所で、離れる。
【0034】
第1ロールと第2ロールの表面が最も接近する箇所を基準として、固化したシート状ポリカーボネートと、可撓性サポートが離れる箇所の、第2ロールの回転角度は、45〜150°であることが好ましく、50〜135°であることがより好ましく、60〜120°であることが特に好ましい。
第1ロールと第2ロールの表面が最も接近する箇所を基準として、固化したシート状ポリカーボネートと、可撓性サポートが離れる箇所の、第2ロールの回転角度は、45〜150°であることが、形状のより正確な転写をもたらし、転写性をより向上させること、可撓性シートとシート状ポリカーボネートの剥離をより容易に行うことから、好ましい。
【0035】
第1ロールの温度は、5〜40℃であることが好ましく、5〜35℃であることがより好ましく、10〜30℃であることが特に好ましい。
第2ロールの温度は、110〜180℃であることが好ましく、120〜170℃であることがより好ましく、130〜160℃であることが特に好ましい。
第1ロールの温度は、5〜40℃であり、第2ロールの温度は、110〜180℃である場合、形状のより正確な転写をもたらし、転写性をより向上させること、可撓性シートとシート状ポリカーボネートの剥離をより容易に行うことから、好ましい。
【0036】
第1ロール及び第2ロールの周囲の温度は、いわゆる室温(5〜35℃)であることが好ましい。
【0037】
シート状ポリカーボネートから離れた可撓性サポートは、適切に取り扱われる限り、その取り扱いについて、特に限定されない。例えば、巻き取り機で巻き取る方式、再び第1ロールにもどして、第1ロールと第2ロールの間に導入するように戻す方式などがある。可撓性サポートとして、樹脂フィルムを用いる場合、可撓性サポートを巻き取り機で巻き取る方式を用いることが好ましい。
【0038】
更に、第3ロールを、第2ロールと平行で(第3ロールと第2ロールの中心軸同士が平行であり)、第1ロールの反対側に配置することが好ましい。
そして、形状が形成されたシート状ポリカーボネートは、第2ロールと第3ロールの間を通り、第3ロールの円周方向の少なくとも一部で支持され、第3ロールは、シート状ポリカーボネートを引き取るように回転する。
第3ロールと第2ロールの間で、シート状ポリカーボネートを加圧する(ニップする)必要はなく、第3ロールと第2ロールの間隔は、開いていることが好ましい。その間隔は、第3ロールが、その少なくとも一部でシート状ポリカーボネートを支持することができ、引き取ることができれば、特に制限されることはない。
【0039】
本発明の形態の「可撓性サポート」とは、可撓性を有し、シート状の形態を有し、シート状ポリカーボネートを第2ロールに対して支持することができ、本発明が目的とするポリカーボネート導光板を製造することができる限り、特に限定されるものではない。
【0040】
可撓性サポートとして、例えば、ポリエステル系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム等の樹脂フィルム、ステンレス系金属薄板、ニッケル系金属薄板、表面ニッケル系鍍金処理銅系金属薄板、表面クロム系鍍金処理銅系金属薄板等の金属薄板を使用することができる。
可撓性サポートは、樹脂フィルムが好ましく、ポリエステル系樹脂フィルムがより好ましく用いられる。
【0041】
可撓性サポートは、その一面に予め形状を形成することができる。そのような可撓性サポートを用いると、両面に形状が形成された導光板を製造することができる。本発明の形態の両面に形状が形成された導光板を製造することができる限り、一面に予め形状を形成された可撓性サポートは特に制限されることはない。
【0042】
一面に予め形状を形成した可撓性サポートとして、例えば、上述の可撓性サポートの一面に形状を形成したサポートを例示することができる。そのような形状が形成された可撓性サポートとして、例えば、ポリエステル系樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム等の樹脂フィルムの表面にアクリル系光硬化樹脂等の光硬化性樹脂を使用して形状を形成した樹脂フィルム、ステンレス系金属薄板、ニッケル系金属薄板、銅系金属薄板等の金属薄板の表面にレーザー加工法、鍍金法、切削加工法、エッチング法等の方法を用いて形状を形成した金属薄板を例示することができる。
一面に予め形状を形成した可撓性サポートとして、光硬化性樹脂を使用して形状を形成した樹脂フィルムが好ましく、ポリエステル系樹脂フィルムの表面にアクリル系光硬化樹脂を使用して形状を形成した樹脂フィルムがより好ましい。
【0043】
本発明の形態の第1ロール、第2ロール及び第3ロールは、通常、樹脂の押し出し成形で使用されるロールであり、本発明の導光板を製造することができる限り、特に制限されることはない。
更に、第1ロール〜第3ロールは、いずれも金属でできており、表面も金属であっても、他の材料であっても良い。第1ロールの表面は、一般的に鏡面であること(又は鏡面処理されていること)が好ましい。第2ロールの表面は、形状が形成されている。第3ロールの表面は、一般的に鏡面であることが好ましい。
第1ロール〜第3ロールの配置は、特に限定されることはないが、水平配置、垂直配置などがあり、水平配置が好ましい。
【0044】
本発明の形態の第1ロールは、その表面は弾性を有することが好ましい。
第1ロールの弾性は、JIS K6253に規定するデュロメータ硬さが、タイプAデュロメータの測定値で、40〜85であることが好ましく、50〜85であることがより好ましく、60〜80であることが特に好ましい。
第1ロールの表面が弾性を有する場合、形状のより正確な転写をもたらし、転写性をより向上させること、更に、製造条件の変動を受けにくくなり、製造条件の変動を吸収し、より安定に製造することができることから、好ましい。
【0045】
第1ロールの表面に弾性を与えるために、その表面を弾性体で覆うことができる。第1ロールに支持される可撓性シートと、第2ロールとの間で、Tダイから押し出された溶融されたポリカーボネートを挟んで、加圧するときに、弾性変形する弾性体であれば特に限定されることはない。第1ロールの表面は、シリコン系弾性樹脂、ニトリルブチルゴム系弾性樹脂等から選択される少なくとも1種の弾性体で覆われることが好ましく、シリコン系弾性樹脂から選択される少なくとも1種で覆われることがより好ましい。
【0046】
本発明の形態の第2ロールは、上述したように、その表面に、導光板に転写される形状が形成されている。第2ロールに形成される形状は、導光板に使用されるパターンであれば、特に制限されることはないが、例えば、ドットパターン、マイクロレンズパターン等が好ましい。
【0047】
本発明の形態のポリカーボネート導光板の厚さは、100〜600μmであることが好ましく、125〜400μmであることがより好ましく、150〜300μmであることが特に好ましい。
ポリカーボネート導光板の厚さが、100〜600μmである場合、より薄く、より軽量でありながら、その強度を維持することができ、実際の使用が可能で有り好ましい。
尚、ポリカーボネート導光板の厚さは、パターン形成部分の厚さを含まない部分をいう。
【0048】
パターンは、パターンが形成されていない導光板の部分を基準に凸状と凹状の2種類があり得るが、凸の形状が好ましい。
例えば、
図2に、導光板に形成されるドットパターンを模式的に示す。
更に、
図3に、三角柱がその側面を導光板の平面と接するように配置される、導光板に形成されるライン状又は溝状のパターンを模式的に示す。
【0049】
パターンが形成されていない導光板の部分と接するパターンの面について、その面の最も広い部分の寸法を、そのパターンの「幅(w)」という。
パターンが形成されていない導光板の部分と接するパターンの面について、その面から垂直方向の最も高い部分の寸法を、そのパターンの「高さ(h)」という。
パターンの形状は、最も大きな寸法が、一般的には100μm以下であり、好ましくは50μm以下であり、他の寸法は、その10%以上である。
【0050】
但し、パターンが、溝状又はライン状等の一つの方向の部分が他の方向の部分と比較して極めて長い寸法を有する形状である場合(後述する、三角柱がその側面を導光板の平面と接するように配置されるパターンの場合)、その溝方向又はライン方向の部分の寸法は考慮しない。その溝方向又はライン方向と垂直な方向で、シート状ポリカーボネートの平面と平行な方向の部分の寸法を「幅(w)」という。その溝方向又はライン方向と垂直な方向で、シート状ポリカーボネートの平面と垂直な方向の部分の寸法を「高さ(h)」という。この「幅」と「高さ」の中で、最も大きな寸法が、一般に100μm以下であり、好ましくは50μm以下である。
【0051】
本発明の形態の製造方法は、形成されるパターンの転写率は、形成されるパターンの底面の幅の転写率と高さの転写率の両方を考慮して検討する。ここで、形成されるパターンの幅と高さとは、上述した通りである。
例えば、ドット形状であれば、およそ半球状であろうから底面の幅とは、円形状の底面の中で最大の径をいい、高さとは実質的に最も高い部分の高さをいう。
例えば、ロールの表面と平行方向に、三角柱がその側面を接するように配置されるライン状又は溝状のパターンであれば、三角柱の側面は極めて細長い長方形なので、その幅とは、三角柱の側面の短い辺の長さをいい、高さとは三角柱の底面の三角形の一辺から対向する頂点までの高さをいう。
【0052】
ドットパターンであれば、ドット形状の円形の底面の径の転写率が、90〜100%であることが好ましく、92〜100%であることがより好ましく、95〜100%であることが特に好ましい。ドット形状の高さの転写率が、80〜100%であることが好ましく、85〜100%であることがより好ましく、90〜100%であることが特に好ましい。以下、これを転写率1ともいう。
ドット形状の円形の底面の径の転写率が、90〜100%であり、ドット形状の高さの転写率が、80〜100%である場合、より高輝度の導光板を製造することができ好ましい。
【0053】
ロールの表面と平行方向に、三角柱がその側面を接するように配置されるライン状又は溝状のパターンであれば、三角柱の側面の短い辺の長さの転写率が、90〜100%であることが好ましく、92〜100%であることがより好ましく、95〜100%であることが特に好ましい。三角柱の底面の三角形の一辺から対向する頂点までの高さの転写率が、70〜100%であることが好ましく、80〜100%であることがより好ましく、90〜100%であることが特に好ましい。以下、これを転写率2ともいう。
三角柱の側面の短い辺の長さの転写率が、90〜100%であり、三角柱の底面の三角形の一辺から対向する頂点の高さの転写率が、70〜100%である場合、より高輝度の導光板を製造することができ好ましい。
【0054】
本発明の態様の製造方法を、添付した
図1を参照して、より具体的に詳細に説明する。
図1は、本発明の形態の導光板の製造方法を模式的に示す。
第1ロール10、第2ロール20及び第3ロール30の3本のロールが、その順番に、それらの中心軸について平行に配置されている。
可撓性サポート40は、巻きだしロール50から巻き出され、第1ロール10に支持され、第1ロール10と第2ロール20の間を通り、第2ロールに支持された後、第2ロールから離れて、ロール52及びロール54に導かれ、巻き込みロール56で、巻かれる。 第1ロール10の表面は、鏡面である(又は鏡面処理されている)。第1ロールの表面は弾性を有していてもよい。
第2ロール20は、その表面に形状が形成されている。
第3ロール30の表面は、鏡面である(又は鏡面処理されている)。
【0055】
溶融されたポリカーボネートは、Tダイ60から、溶融したシート状ポリカーボネート70として押し出される。シート状ポリカーボネート70は、第1ロール10と第2ロール20が回転して、可撓性サポート40と第2ロール20の間で、可撓性サポートを一緒に伴って、挟まれながら加圧される。シート状ポリカーボネート70は、第2ロールに押しつけられて、第2ロール20の形状がシート状ポリカーボネート70に転写される。
【0056】
第2ロール20に押しつけられたシート状ポリカーボネート70は、可撓性サポート40によって、第2ロール20の表面に支持されながら、第2ロール20の回転方向に走行する。その間シート状ポリカーボネート70は固化することが好ましい。シート状ポリカーボネート72と、可撓性サポート40は、第1ロール10と第2ロール20の表面が最も接近する箇所を基準として、第2ロール20の回転方向に45〜150°の回転角度(θ)の箇所で、離れる。
【0057】
可撓性サポート40は、ロール52及び54を通り、巻き込みロール56で巻かれる。可撓性サポート40は、巻き込みロール56で巻くことなく、例えば巻き出しロール50に戻すこともできる。
【0058】
可撓性サポート40が離れたシート状ポリカーボネート72は、第2ロール20の表面上を更に走行し、第2ロール20と第3ロール30の間を通り、第3ロール30の円周方向の少なくとも一部で支持される。第3ロール30は、シート状ポリカーボネート72を引き取るように回転する。シート状ポリカーボネート72は、別のロール(図示せず)で巻き取ることができる。
【0059】
本発明は、上述の製造方法で製造された、片面又は両面にパターンが形成された、ポリカーボネート導光板を提供する。
更に、本発明は、上述の製造方法で製造されたポリカーボネート導光板を有する表示デバイスを提供する。
【0060】
本発明は、MVR(メルトボリュームフローレイト:300℃、1.2kg)が、10〜90であり、重量平均分子量(Mw)が、16000〜28000であるポリカーボネートでできている、100〜600μmの厚さを有する、ポリカーボネート導光板を提供する。
本発明は、上述のポリカーボネート導光板を有する表示デバイスを提供する。
【0061】
本発明の形態のポリカーボネート導光板は、例えば、液晶表示パネルのバックライト、及びキーボードのバックライト等の照明装置内部で使用され、本発明は、そのような照明装置を提供する。
【0062】
更に、そのような照明装置は、例えば、スマートフォン、携帯電話、モバイル端末、携帯情報端末(PDA)、タブレット型パーソナルコンピューター(PC)、ノート型PC、車載用インストルメントパネル、PC用表示モニター等の表示デバイスとして使用され、本発明は、そのような表示デバイスを提供する。
【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例の記載において、特に記載がない限り、溶媒を考慮しない部分を、重量部及び重量%の基準としている。
【0064】
実施例1
スクリューの外径が40mmφであるノーベント単軸押出機を使用した。リップの有効幅が、450mmのTダイをダイとして使用した。幅が500mm、外径が300mmφで表面がシリコンゴムで覆われた弾性ロール(第1ロール)、外径が50μm、深さが5μmのドット形状をロールの表面にランダムに形成して配置した、幅が500mm、外径300mmφの金属ロール(第2ロール)、表面が鏡面で幅が500mm、外径300mmφの金属ロール(第3ロール)の3本のロールを水平に、各々の中心軸の方向が平行になるように配置して冷却ロールユニットとして使用した。
【0065】
熱可塑性透明樹脂としてポリカーボネート樹脂(住化スタイロンポリカーボネート社製、重量平均分子量(Mw):21400、MVR:29)を用いた。
可撓性サポートとして、厚さが0.125mmのポリエステルフィルムにアクリル系光硬化樹脂を用いてピッチ25μm、深さ7μmの三角柱形状を表面に平行に形成したシートを用いた。
【0066】
250〜270℃に溶融したポリカーボネートを、Tダイから、溶融したシート状ポリカーボネートとして押し出す。シート状ポリカーボネートは、第1ロールと第2ロールが回転して、可撓性サポートと第2ロールの間で、可撓性サポートを一緒に伴い、挟まれながら加圧され、第2ロールの形状がシート状ポリカーボネートに転写される。
【0067】
シート状ポリカーボネートは、可撓性サポートによって、第2ロールの表面に支持されながら、第2ロールの回転方向に走行し、シート状ポリカーボネートは固化し、第1ロールと第2ロールの表面が最も接近する箇所を基準として、第2ロールの回転角度が、90°である箇所で、固化したシート状ポリカーボネートと、可撓性サポートは、離れる。可撓性サポートは、ロールを通り、巻き込みロールで巻きとる。
【0068】
第1ロールの温度は、10〜30℃であり、第2ロールの温度は、140〜160℃である。第1ロール及び第2ロールの周囲の温度は、室温である。
【0069】
製造したポリカーボネート導光板の厚さは、0.250mmである。導光板の表面をキーエンス社製デジタルマイクロスコープVHX−2000型(商品名)で観察して、転写率(転写率1)を測定した結果、ドット形状の底面の径の転写率は97%〜100%であり、ドット形状の高さの転写率は92%〜98%であった。
表面と平行方向に、三角柱がその側面を接するように配置される溝状又はライン状パターンについて転写率(転写率2)を測定した結果、三角柱の側面の短い辺の長さの転写率が、98〜100%であり、三角柱の底面の三角形の一辺から対向する頂点への高さの転写率が、95〜97%であった。
【0070】
比較例1
実施例1と同様の方法を使用して、ポリカーボネート導光板を製造する。
ただし、溶融状態のシート状ポリカーボネートは、可撓性サポートによって、第2ロールの表面に支持されることなく、シート状ポリカーボネートから、可撓性サポートは離れる。即ち、シート状ポリカーボネートが、可撓性サポートに支持されて走行する、回転角度θは、実質的に0°である。
表面がシリコンゴム弾性ロールに沿って戻して巻き取り機で巻き取り、厚さ0.250mmのポリカーボネート導光板を製造した。
【0071】
実施例1と同様にして、導光板の表面を観察して、転写率を測定した結果、ドット形状の底面の径の転写率は94%〜97%であり、ドット形状の高さの転写率は57%〜69%であった。
表面と平行方向に、三角柱がその側面を接するように配置されるライン状又は溝状のパターンについて、三角柱の側面の短い辺の長さの転写率が、98〜100%であり、三角柱の底面の三角形の一辺から対向する頂点の高さの転写率が、63〜68%であった。
【0072】
実施例1と同様の方法を用いて、実施例2〜6及び比較例2〜3の導光板を製造する。
ただし、実施例1と、各々異なる部分があり、その詳細と、結果を、まとめて表1〜2に示す。
尚、比較例3では、ポリカーボネートの代わりに、アクリル樹脂(三菱レイヨン株式会社製、VH6(商品名)、MFR=1.7(JISK7210))を使用した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
実施例と比較例を検討すると、回転角度が45〜150の間のとき、0.250mmという薄さであっても、パターンの高さ方向について、80%以上の高い転写率で、ポリカーボネート導光板を製造することができることを理解できる。本発明の形態の製造方法は、押出成形方法を用いるので、製造が容易である。更に、一度に両面に形状を形成することができるので、より容易に両面に形状を有するポリカーボネート導光板を製造することができる。
【0076】
以上のように、本発明における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、詳細な説明を記載した。
【0077】
従って、詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須の構成要素のみならず、上記技術を例示するために、課題解決のために必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須でない構成要素が詳細な説明に記載されていることで、直ちに、それらの必須でない構成要素が必須であると、認定すべきでない。
【0078】
また、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
第1ロールと第2ロールは、可撓性サポートと第2ロールの間に、シート状ポリカーボネートを挟みながら、可撓性サポートを伴走させながら、加圧するように回転して、シート状ポリカーボネートを、第2ロールに押しつけること;
第2ロールに押しつけられたシート状ポリカーボネートは、可撓性サポートによって第2ロールの表面に支持されて、第2ロールの回転方向に走行し、第1ロールと第2ロールの表面が最も接近する箇所を基準として、シート状ポリカーボネートと、可撓性サポートは、第2ロールの回転角度が45〜150°である箇所で離れること