特許第5973152号(P5973152)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イートン コーポレーションの特許一覧

<>
  • 特許5973152-熱伝導性及び導電性の要素 図000002
  • 特許5973152-熱伝導性及び導電性の要素 図000003
  • 特許5973152-熱伝導性及び導電性の要素 図000004
  • 特許5973152-熱伝導性及び導電性の要素 図000005
  • 特許5973152-熱伝導性及び導電性の要素 図000006
  • 特許5973152-熱伝導性及び導電性の要素 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973152
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】熱伝導性及び導電性の要素
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/14 20150101AFI20160809BHJP
【FI】
   A63B53/14 Z
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-253768(P2011-253768)
(22)【出願日】2011年11月21日
(65)【公開番号】特開2012-110705(P2012-110705A)
(43)【公開日】2012年6月14日
【審査請求日】2014年11月17日
(31)【優先権主張番号】12/949,887
(32)【優先日】2010年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫
(74)【代理人】
【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(72)【発明者】
【氏名】デービッド キース ギル
(72)【発明者】
【氏名】ビリー ディー ウッド
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0103769(US,A1)
【文献】 特開2002−145153(JP,A)
【文献】 特開昭58−214295(JP,A)
【文献】 特開2006−306318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 49/00 − 60/64
H05B 1/00 − 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源を選択的に作動または作動停止させるように構成された制御スイッチと、
電気絶縁性及び断熱性の材料から構成された内側層と、
前記内側層の外表面に間隔をあけて配列された熱伝導性及び導電性のポリマーであって、少なくとも二つの配列の各端部が、前記電源に電気的に接続されるように構成され、また、前記間隔をあけた配列は、前記制御スイッチが前記電源を作動させた際に熱を分散させるように構成されている熱伝導性及び導電性のポリマーと、を含み、
前記熱伝導性及び導電性のポリマーは、前記内側層に化学的に結合されていることを特徴とする導電性加熱要素。
【請求項2】
電源と、
前記電源を選択的に作動または作動停止させるように構成された制御スイッチと、
電気絶縁性及び断熱性の材料から構成された内側層と、
前記内側層の外表面に間隔をあけて配列された熱伝導性及び導電性のポリマーであって、少なくとも二つの配列の各端部が、前記電源に電気的に接続されるように構成され、また、前記間隔をあけた配列は、前記制御スイッチが前記電源を作動させた際に熱を分散させるように構成されている熱伝導性及び導電性のポリマーと、を含み、
さらに、前記内側層と前記間隔をあけた配列の上に配置された外側層を含み、
前記内側層の上に配列された熱伝導性及び導電性のポリマーの前記間隔をあけた配列は、ある部分を外側層の上に突出させた隆起部を含むこと特徴とする導電性加熱要素。
【請求項3】
さらに、前記内側層と前記間隔をあけた配列の上に配置された外側層を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性加熱要素。
【請求項4】
前記ポリマーは、シリコンまたは熱可塑性プラスチック材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性加熱要素。
【請求項5】
前記間隔をあけた配列は、ストリップ、ストリング及びコイルのグループから選択された部材の形態を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性加熱要素。
【請求項6】
熱伝導性及び導電性の加熱要素を有するハンドグリップであって、
電源と、
前記電源を選択的に作動または作動停止させるように形成された制御スイッチと、
電気絶縁性及び断熱性の材料から構成されたほぼ円筒状の内側コアと、
前記内側コアの外表面に間隔をあけて配列された熱伝導性及び導電性のポリマーであって、前記間隔をあけた配列は、前記電源に電気的に接続されるように形成され、また、前記間隔をあけた配列は、前記制御スイッチが前記電源を作動させた際に熱を分散させるように構成されている熱伝導性及び導電性のポリマーと、を含み、
前記熱伝導性及び導電性のポリマーは、前記内側コアに化学的に結合されていることを特徴とするハンドグリップ。
【請求項7】
熱伝導性及び導電性の加熱要素を有するハンドグリップであって、
電源と、
前記電源を選択的に作動または作動停止させるように形成された制御スイッチと、
電気絶縁性及び断熱性の材料から構成されたほぼ円筒状の内側コアと、
前記内側コアの外表面に間隔をあけて配列された熱伝導性及び導電性のポリマーであって、前記間隔をあけた配列は、前記電源に電気的に接続されるように形成され、また、前記間隔をあけた配列は、前記制御スイッチが前記電源を作動させた際に熱を分散させるように構成されている熱伝導性及び導電性のポリマーと、を含み、
さらに、前記内側コアの上に配置された外側層を含み、
前記間隔をあけた配列は隆起部を含んでおり、それによって、ある部分を外側層の上に突出させることを特徴とすることを特徴とするハンドグリップ。
【請求項8】
さらに、前記内側コアの上に配置された外側層を含むことを特徴とする請求項に記載のハンドグリップ。
【請求項9】
さらに、ハンドグリップ用のシャフトを含んでおり、前記電源は前記シャフト内に配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のハンドグリップ。
【請求項10】
前記ハンドグリップは、ゴルフクラブのグリップであることを特徴とする請求項7又は8に記載のハンドグリップ。
【請求項11】
前記ポリマーは、シリコンまたは熱可塑性プラスチック材料であることを特徴とする請求項6又は7に記載のハンドグリップ。
【請求項12】
さらに、端部キャップを含んでおり、
前記電源は、前記端部キャップ内に配置された電源であることを特徴とする請求項10に記載のハンドグリップ。
【請求項13】
前記ハンドグリップはゴルフクラブのグリップであり、また、前記間隔をあけた配列は、前記内側コアと前記外側層との間に配置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載のハンドグリップ。
【請求項14】
前記間隔をあけた配列は、ストリップ、ストリング及びコイルのグループから選択された部材の形態を有することを特徴とする請求項6又は7に記載のハンドグリップ。
【請求項15】
前記間隔をあけた配列は、前記ゴルフクラブのグリップに配置された複数のストリングを有する形態を含むことを特徴とする請求項12に記載のハンドグリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性及び導電性の要素に関するものであり、特に、ハンドグリップへの適用例を含むが、これに限定されない、熱伝導性及び導電性の要素に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日の市場において、ハンドウォーマ、ソックス及びハンドグリップは、加熱要素または加熱材料を使用するいくつかの適用例である。これらの加熱材料は、特に、低温環境でユーザーを保温するために有効である。本発明の開示では、特にハンドグリップに有効性を発見して、特に、それについて参照するが、本発明の開示に従う加熱材料は、多種多様な適用例を有しており、ハンドグリップのみに限定されないことを理解されたい。ハンドグリップやスポーツグリップは、衝撃を与える道具の使用に伴う衝撃を軽減するために使用されている。このような道具の例には、ゴルフクラブ、スカッシュラケット及びラケットボールのラケットなどが含まれる。衝撃は、ユーザーが道具をスイングして、ゴルフボールなどの対象物に接触した場合に発生する。衝撃は、身体に有害であり、不快にさせると共に、関節障害及び/または組織障害を与える。
【0003】
加熱グリップは、関節炎を持つユーザーのように、温暖な気温でさえ不快を経験するユーザーにとって有用である。現在、種々の加熱グリップが市場で入手可能である。これらのグリップは、埋め込まれたワイヤやフォイルを使用して、これらに電流を通して、回路の抵抗によって熱を発生することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの従来技術のワイヤやフォイルのグリップは、欠陥に悩まされる。例えば、これらのワイヤやフォイルのグリップは製造が複雑になる。ワイヤやフォイルの各部品は、予め切断して、物理的にグリップに取り付けなければならない。さらに、これらのワイヤやフォイルのグリップは、疲労してしまった場合に、最終的に破断するという欠陥に悩まされる。疲労は、ワイヤやフォイルが曲がった場合などに、物理的変位を介して発生する。
【0005】
柔軟で、かつ、比較的製造しやすい加熱ハンドグリップに対する要望がある。さらに、快適に使用することができ、かつ、打撃用具に伴う衝撃を軽減する加熱ハンドグリップに対する要望がある。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の欠点に対応すると共に、電源を使用する電気抵抗によって電気的に加熱される熱伝導性及び導電性の要素を提供することによって、上述した従来技術の欠点に対応するものである。本発明の一実施の形態に従うと、熱伝導性及び導電性の加熱ハンドグリップが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に従う熱伝導性及び導電性の要素は、電源と、この電源を選択的に作動及び作動停止させるように構成された制御スイッチと、を含んでいる。熱伝導性及び導電性の要素は、また、電気絶縁材料及び断熱材料から構成された内側層を含んでいる。さらに、加熱要素は、内側層の外表面に間隔をあけた配列で配置された熱伝導性及び導電性のポリマー材料を含んでいる。この配列は、電源に電気的に接続されるように形成されている。また、この配列は、制御スイッチにより電源を作動して、配列を通って電気が流れた場合に、熱を分散するように形成されている。
【0008】
本発明の一実施の形態に従うと、ハンドグリップは、電源と、この電源を選択的に作動及び作動停止させるように構成された制御スイッチと、を含んでいる。グリップは、また、電気絶縁性及び断熱性の材料から形成されたほぼ円筒形状の内側コアを含んでいる。グリップは、さらに、内側コアの外表面に配置された熱伝導性及び導電性のポリマー材料の配列を含んでいる。この配列は、電源に電気的に接続されるように形成されている。また、この配列は、制御スイッチにより電源を作動して、配列を通って電気が流れた場合に、熱を分散するように形成されている。グリップは、内側コアの上に配置された外側層を含むことができる。
【0009】
これらの特徴や利点、同様に他の特徴や利点は、以下の実施の形態の詳細な説明及び添付した図面をレビューすることにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施の形態に従う、熱伝導性及び導電性の要素をグリップに組み込んだゴルフクラブの斜視図である。
図2図2は、本発明の一実施の形態に従う、要素を外側層で覆う前の、グリップ上の熱伝導性及び導電性の要素を描いたグリップを説明する側面図である。
図3図3は、本発明の一実施の形態に従う、内側層と外側層との間に配置された熱伝導性及び導電性の要素を有するグリップの部分的な縦断面図である。
図4図4は、本発明の他の実施の形態に従う、層から突き出ている熱伝導性及び導電性の要素を有するグリップの断面図である。
図5図5は、本発明の一実施の形態に従う、熱伝導性及び導電性の要素を有する加熱されたハンドグリップを成形する方法のフローダイアグラムである。
図6図6は、ブランケットの形態の加熱要素の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、広範囲の適用例に使用する熱伝導性及び導電性の要素を提供する。本明細書の熱伝導性及び導電性の要素(ここでは、単に「要素」または「加熱要素」としても参照される)は、平坦なパッドまたはブランケットから、グリップ、グローブ、ソックスなどを含むが、これらに限定されない大きな円筒形のスリーブにわたる範囲の対象物を加熱する表面を提供するために使用することができることを理解されたい。さらに、本明細書の加熱要素は、貯蔵タンク、腰掛、握り、スポーツグリップ、銃床、釣竿を含むが、これらに限定されない多くの異なる道具(デバイス)を加熱することができる。本発明は、ゴルフグリップについて詳細に説明するが、本明細書の請求項に係る発明は、それのみに限定することを意図するものではないことを理解すべきである。
【0012】
図を参照すると、各図を通して、同様の符号は同様の、または類似の特徴部を示す。まず、図1には、ゴルフクラブシャフトの基端部に装着されたゴルフグリップを含むゴルフクラブが示されている。ここでは、基端及び遠端という用語は、ゴルファーの視点から使用される。ゴルフクラブ100は、遠端部に配置されたヘッド110と、細長いシャフト120を含んでいる。細長いシャフト120の基端部にグリップ130がある。
【0013】
図示したグリップ130は、遠端部よりも大径の基端部を含んでいるが、グリップ130は、基端部と遠端部がほぼ同じ径を有する円筒形状を含むが、この形状に限定されないいくつかの異なる形態を取ることができることを理解されたい。このような例の一つに、逆テーパ形状がある。しかし、ゴルフグリップ130は、本発明の加熱要素に適したハンドグリップの一例である。
【0014】
グリップ130は、細長いシャフト120の基端部すなわち木口に配置されたエンドキャップ150を含んでいる。エンドキャップ150は、標準のゴルクグリップのエンドキャップである。グリップ130とエンドキャップ150は、単一のユニットとして組み付けることができる。或いは、グリップとエンドキャップは、別々のユニットにすることができる。
【0015】
電気電源は、グリップ130内またはエンドキャップ150内のどこにでも配置することができる。電源は、バッテリーまたは同様の電源とすることができる。発電機を使用する場合には、発電機は、磁石とコイルから構成されており、同様の発電機は、時計に使用されている。
【0016】
図2を参照すると、本発明の一実施の形態に従う加熱要素を備えたハンドグリップの側断面が示されている。ハンドグリップは、ゴルフグリップまたは他の適用例におけるグリップでもよい。グリップ210はシャフト220の上に装着されている。本実施の形態の加熱要素は、グリップ210上に、または、グリップ210内に位置決めした熱伝導性及び導電性の材料250、260のコイル状の一つ以上のストリップまたはストリングのような配列の形状を含んでいる。ここで使用する「ストリップ」、「ストリング」または「コイル」という用語は、シリコンソリューション(Silicone Solutions、1670−C Enterprise Parkway,Twinsburg,Ohio 44087)から市販されているSS−26SまたはSS−27材料のような導電性及び熱伝導性のポリマー材料の分離した配列を参照する。これらの用語は、加熱要素または要素と互換性を持って使用される。
【0017】
グリップ210上の加熱要素250,260は、熱伝導性及び導電性の材料である限り、他の材料形態から構成することができる。他の材料は、熱可塑性ポリマーまたは弾性ポリマーを含むことができる。この材料は、各ストリング250,260の端部を、陽極242または陰極の端部または端子244を備える電源240に電気的に接続する方法で形成される一つ以上のストリング材に成形するか、或いは、形成することができる。
【0018】
この形態で示すように、各ストリング250,260の陽極端部242は、陽極コネクタ246に接続されるか、または、電源240の陽極端部242に直接接続される。同様に、各ストリング250,260の陰極端部244は、陰極コネクタ248にそれぞれ接続されるか、電源240の陰極端部244に直接接続される。この電気的な接続は、適宜の電気コネクタで行うことができる。
【0019】
電源240は、加熱要素250,260に電流を供給する。この電力は、要素250,260を形成する材料の抵抗によって熱に変換される。グリップ210に使用される電源240は低電圧である。したがって、熱を発生するためにグリップ210に使用することができる要素250,260の電気抵抗度を決定する際に、これを考慮する必要がある。高抵抗の材料の場合には、この材料を加熱するために、より大きなエネルギーを必要とする。消費される電力が電源に接続される要素250,260を加熱することになる。
【0020】
本実施の形態は、コイルになりうるストリングについて説明しているが、電流を供給する電源に電気的に接続することができる材料であれば、材料は種々の形態で配置することができる。例えば、材料は、グリップ210の表面を基端部から遠端部にかけて往来するように一つ以上の真直ぐな線に配置して、電源240に電気的に接続することができる。上記実施の形態では、二つのストリング、すなわち、要素250,260を表現しているが、他の実施の形態として、一つの要素250だけを使用することができる。この要素250は、グリップの周囲全体に配置するか、或いは、戦略的に、グリップの一つ以上の場所に配置することができる。
【0021】
電源240は、ユーザーがオン/オフボタン245を押したときに、選択的に作動または作動停止させるか、或いは、熱センサー(図示省略)で自動的に作動または作動停止させることができる。この実施の形態では、オン/オフボタン245は、基端部でエンドキャップ230の背部に配置されている。オン/オフボタン245は、エンドキャップ230の背部に配置されているので、ユーザーがグリップ210を握っている間に、オン/オフボタン245を偶然に押してしまう機会が減少する。
【0022】
要素250,260の電圧伝送能力は、ストリングの断面積や長さのサイズだけでなく、適用例の熱伝達要求やウォームアップ時間によって、1.5ボルトから数百ボルトの範囲にすることができる。この材料の耐用年数は、従来のフォイル(薄片)やコイルの範囲である。さらに、ポリマータイプのグリップ210は、より高い生産サイクルタイムにより製造コストと材料コストが安くなり、その結果、より効率的な生産工程とすることができる。
【0023】
図2では、電源240がエンドキャップ230内に配置されている。エンドキャップ230は、摩擦ばめや締まりばめ、或いは、ゴム糊などの接着剤を使用してグリップ210に取り付けることができる。しかしながら、電源240は、他の場所に配置されることを理解すべきである。例えば、誘導電源は、図2のグリップ210と共に使用されるゴルフバッグのようなバッグに配置することができる。この電源は、また、シャフト220内に配置することもできる。
【0024】
グリップ210は、二つ以上の要素250,260を有することができる。これらの複数の要素は、グリップの両側に、または、グリップを完全に取り囲むように、或いは、グリップの特定の場所に、均等に、または、等間隔に配置することができる。
【0025】
次に、図3を参照すると、本発明の一実施の形態に従って追加された外側層208を備えた図2のグリップの部分的な縦断面図が示されている。グリップは、内側コアすなわち内側層206を含んでいる。内側コア206は、米国特許第7,458,902号明細書に示されるように、ゴルフクラブのグリップ用の下地(underlisting)とすることができる。内側コア206は、ゴルフクラブシャフト220でスライドするように、或いは、ゴルフクラブシャフト220を包み込むように、デザインすることができる。内側コア206はほぼ円筒状であり、熱可塑性プラスチック材料、シリコンまたはゴムのような非導電性材料または絶縁材料から形成することができる。このタイプの非導電性材料は、グリップが、金属で構成されている導電性シャフトに接触した場合に、短絡の危険を減少させるようにアシストする。
【0026】
この内側コア206は、従来周知の適宜の手段、例えば、両面接着テープを使用してシャフト220に取り付けることができ、或いは、スプレー式または液状接着剤を使用して取り付けることができる。
【0027】
内側コア206の上にストリング250,260が配置される。これらのストリングは、種々の方法で内側コアに取り付けることができる。例えば、ストリングは、所望の配列でまたは設定した配列、例えば、等間隔に、熱伝導性及び導電性材料のチューブを押し込んで、また、内側コア206に貼り付けることによって、内側コアに取り付けることができる。或いは、材料の噴霧析出を含むスクリーン印刷のような技術を利用することができる。熱伝導性及び導電性の材料を内側コア206に貼り付けるための他の可能な技術は、化学結合である。例えば、シリコンの要素材料は、未硬化シリコンの内側コアに、化学結合剤を用いることなく化学的に結合させることができる。また、例として、ゴム材料は、Lord Chemical Company of Erieから入手することができるChemlok.RTM、ゴム−基板の接着剤のような化学結合剤を使用して、他の材料に化学的に結合させることができる。内側コア206は、さらに、表面の部分に切り込んだ溝のパターンを形成して、熱伝導性及び導電性の材料が所定の設定した配列に硬化するか、或いは、固まるまで、溝に熱伝導性及び導電性の材料を保持することができる。
【0028】
外側層208は、グリップの表面であり、その内側に加熱要素250,260が存在するので、ユーザーは自分の手を温めることができ、また、良好なグリップ感覚を持つことができる。外側層208は、種々の材料から構成することができ、シリコン、ゴムまたは熱可塑性材料或いはそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。しかしながら、外側層208は、少なくとも多少熱伝導性を備えているので、熱は外側層208を介してユーザーの手に通り過ぎることを理解されたい。さらに、ストリングから外側層208への熱の伝達を促進するために、外側層208は、内側コア206に比べて比較的薄い層にする。
【0029】
本実施の形態では、ストリングは、外側層208の下方に直接成形される。この形態は、加熱要素250,260の動作中の損傷を避けるために有効である。また、この形態は、タンク、パイプフラスコ、トレー、或いは、絶縁内側層270と、本明細書で開示した加熱要素250及び図6で破線で示す追加の外側層280から構成されるブランケットまたはシーツの形態の他の同様の間接的に加熱する適用例のための放射熱源を提供するような他の間接的に加熱する適用例に有効であることを注意されたい。
【0030】
さらに、加熱要素は、ユーザーの手と加熱要素との間に、殆ど或いは全く外側層が存在しない直接的に加熱する適用例に使用できることを理解されたい。図4を参照すると、加熱要素350が、グリップ310の内側層306から突き出ていて、ユーザーの手とグリップとの間により直接的な経路を提供する実施の形態310の断面図が示されている。
【0031】
内側コア306は、シャフト320の上をスライドするように構成されている。内側コア306には、この内側コア306の外表面から突き出て、ユーザーに直接接触するように、加熱要素350が位置決めされているので、ユーザーは自分の手を温めることができる。さらに、ユーザーの手を保温するのに加えて、ユーザーは、ストリングを介して電気伝導率を計測する手段によってグリップに作用する圧力量を確認することができることに、注意されたい。また、突き出ている加熱要素350により、グリップ感覚が促進され、また、しっかりしたグリップのホールド(保持)を提供すると共に、衝撃を吸収する特性を提供するという点で、ユーザーをアシストする。
【0032】
加熱要素350は、ユーザーの手に直接接触しているため、熱は、要素を構成するストリングを通って分散される。本発明に従う加熱要素の材料は、ワイヤのような局部的な熱を持たないので、加熱要素は、ワイヤやフォイルと同じくらい熱くなる可能性はない。そのため、ユーザーは、加熱要素に直接接触することができる。ワイヤとは異なり、加熱要素の材料は、比較的大きい容積を有することができる。さらに、加熱要素の材料は、華氏400度の高い融点を有している。そのため、ユーザーに適した温度範囲で溶融しないように設計されている。
【0033】
破線で示された追加の外側層308は、グリップ310に含むことができる。種々の隆起部及び/または窪みを、加熱要素に形成して、加熱要素を外側層を通して突出させることができる。本明細書では、円形形状の加熱要素250,260を示しているが、十字形、ダイモンド形の正方形または長方形などの他の外形形状が、外側層308を通って容易に突出させるために使用することができることを理解されたい。隆起した形状または窪んだ形状の例には、リブ、ディンプル、ノブ(こぶ)または溝を含むが、これらに限定されない。
【0034】
図5を参照すると、本発明の実施の形態に従う熱伝導性及び導電性のグリップを製造する処理工程を提供するフローダイアグラムが示されている。ステップ510で開始されると、加熱要素は、内側層に、または、部分的に硬化したポリマー材料に、化学的に結合されるか、付着される。例えば、伝導性のシリコン材料は、化学結合剤を使用することなく、未硬化の非伝導性のシリコンの内側コアに化学的に結合することができる。また、例として、ゴムは、Chemlok.RTMなどの化学結合剤を使用して、他の熱伝導性及び導電性の材料に化学的に結合することができる。
【0035】
ステップ520では、所望の配列の加熱要素を備えた内側層が、圧縮成形型のコアバーの上にセット(位置決め)される。ステップ530では、内側層、加熱要素及びコアバーが、仕上成形型、例えば、米国特許第7,798,912号明細書に開示された圧縮成形型内に挿入される。或いは、加熱要素、内側層及びコアバーは、成形キャビティ内に水平状態に置かれ、例えば、少なくとも多少の熱伝導性があり、ユーザーに熱伝達させるゴムまたはシリコンのようなポリマーまたはエラストマーから構成されるオーバーモールドまたは外側層で硬化させることができる。
【0036】
ステップ540では、成形工程または次工程中に、加熱要素のストリングの端部が相互に連結され、また、加熱要素を通して電流を供給するために、適宜の電源の陽極端部と陰極端部に接続される。
【0037】
ステップ550では、シリコンまたはゴムのような材料の外側層が成形され、加熱要素を形成するストリングである熱伝導性及び導電性の材料が、全体にあるいは部分的に封入され、グリップの部分となる。グリップは、液体射出成形及び/または無機噴射成形、圧縮成形またはトランスファー成形技術を利用して製造することができる。成形した表面の質感及びまたは塗布領域を使用する追加の図形デザインを完成品に含むことができる。
【0038】
例示するだけであるが、以下の例が、本発明をより良く理解させる。24ボルト(24V)電源は、4アンペア(4A)の電流で、約102ワット(102W)の熱をSS−26S材料のために発生する。材料のビードの径は、約0.01767cmの面積で、約0.15センチメータ(cm)であった。ビードの長さは約20cmであった。抵抗は、約5.658842オーム(Ω)で、抵抗率は、0.005000Ω−cmであった。
【0039】
ビードの径が約0.15cm、ビードの面積が約0.01767cm、ビードの長さが約20cmのSS−27材料は、約11.317685Ωの抵抗を有している。この材料は、抵抗率が、0.010000Ω−cmである。24Vの電源は、2Aで、51Wの熱を発生する。
【0040】
本明細書では、本発明の特定の実施の形態について説明したが、当業者であれば、本発明の概念から離れることなく本発明のバリエーションを工夫することができる。
【符号の説明】
【0041】
120,220 シャフト、130,210,220,320 グリップ、150、230、310 エンドキャップ、206、306 内側層(内側コア)、208、308 外側層、240 電源、242 陽極端部、244 陰極端部、245 オン/オフボタン、246 陽極コネクタ、248 陰極コネクタ、250,260、350 加熱要素(ストリング、熱伝導性及び導電性の材料)、270 絶縁内側層、280 追加の外側層
図1
図2
図3
図4
図5
図6