【実施例】
【0035】
以下、試験例と実施例により、本発明を詳細に説明する。
【0036】
(S100A3遺伝子発現解析法)
SW480細胞(DSファーマバイオメディカル社より購入)を、10%FBS含有DMEM培地にて、CO
2インキュベータ中、37℃で前培養した。24穴プレートに播種して培養し、50%コンフルエントになった段階で1%FBS含有DMEM培地に培地交換した。翌日、評価試料を乾燥固形分として1〜100μg/mLに相当する量を含有する培地に交換して培養を続けた。2日後、PBSで2回洗浄した後、細胞を回収し、市販のRNAキット(RNAeasy Mini kit、Qiagen社製)を用いて全RNAを精製した。
得られたRNAから逆転写酵素(SuperScript II、Invitrogen社製)により相補DNA(cDNA)を作製した。次いで、アプライド・バイオシステム社製のuniversal PCR polymerase mix並びに各目的遺伝子に特異的にハイブリッド形成するTaqManプローブを混合して定量PCR反応を行った。反応は、50℃(2min)の後、95℃(10min)で反応させた後、95℃(15sec)と60℃(1min)のサイクルを40サイクル繰り返した。反応は、アプライド・バイオシステム社製のStepOnePlus Reak-Time PCR systemを用いて行った。
目的とする遺伝子の発現量は、ハウスキーピング遺伝子であるG3PDH遺伝子の発現量を基準として標準化し、試料無添加群をコントロール群として、コントロールに対する相対的な発現量を指標として評価した。
【0037】
試験例(植物抽出物の評価)
上記のS100A3遺伝子発現解析法により、本願のルイボスから得られる抽出物を評価した。評価には、一丸ファルコス社製の「ファルコレックス ルイボスB(N)」(50%1,3−ブチレングリコール水溶液抽出液、固形分含量0.5%)を供した。
【0038】
S100A3遺伝子発現解析結果を表1に示す。表1に示すように、本発明のルイボス抽出物は、S100A3遺伝子の発現上昇作用を示し、キューティクル細胞の分化促進作用、キューティクル生成促進作用を有することが判明した。尚、比較対照として同時に行ったPADI3遺伝子のほうは、有意な発現の変動は認められなかった。
【0039】
【表1】
【0040】
(S100A3タンパクのシトルリン化率測定方法)
SW480細胞を、10%FBS含有DMEM培地にて、CO
2インキュベータ中、37℃で前培養した。24穴プレートに播種して培養し、50%コンフルエントになった段階で1%FBS含有DMEM培地に培地交換した。翌日、評価試料を乾燥固形分として1〜100μg/mLに相当する量を含有する培地に交換して培養を続けた。3日後、PBSで2回細胞を洗浄した後、細胞を回収し、蛋白質を抽出した。蛋白質は、50mmol/LのDTTと1mmol/LのEDTAを含有する0.1mol/L Tris−HCl(pH7.6)2mLにより抽出した。抽出液は、Ultrace−3k(アミコン社製)を用いて100μL以下まで遠心濃縮した後、その蛋白質量を定量(CBBG)した。抽出液をモノヨード酢酸処理し、蛋白質量で250μg相当を2次元電気泳動した。次いで泳動ゲルを銀染色し、シトルリン化率の測定に供した(尚、2次元電気泳動のゲルは、予めS100A3蛋白質に対する抗体を用いたウェスタンブロッティングにより、銀染色で検出されるスポットのうち、どれがS100A3蛋白質に相当するかを確認しておいた。)。
S100A3蛋白質は、シトルリン化の対象となるアルギニンを4つ含むが、このうちSW480細胞ではArg51のみがシトルリン化され、ここがシトルリン化されることで等電点pIは4.5から4.3に低下する。シトルリン化率は銀染色した2次元電気泳動ゲル上における、S100A3蛋白質のpI4.5とpI4.3のスポットの強度の比率から算出した。
銀染色した2次元電気泳動のゲルをスキャナーで画像取り込みし、S100A3蛋白質に相当するpI4.5とpI4.3の2つのスポットの強度(I
pI4.5、I
pI4.3)を、画像解析ソフトウエア(Scion Image)で数値化した。A100A3のArg51のシトルリン化率(Cit51化率)を次式で計算した。シトルリン化促進効果は、このCit51化率を指標として評価した。
【0041】
【数1】
【0042】
試験例2(トロポロン関連化合物の評価)
上記のシトルリン化率測定方法により、トロポロン関連化合物のS100A3蛋白質シトルリン化促進効果を評価した。評価にはトロポロン(シグマ アルドリッチ社製)、ヒノキチオールSP(高砂香料工業社製)及びウェスタンレッドシーダー蒸留抽出液(ステリライザー社製)を供した。
【0043】
S100A3蛋白質のシトルリン化率測定結果を表2に示す。表2に示すように、本発明に係るトロポロン関連化合物は、濃度依存的にS100A3蛋白質のシトルリン化を促進した。
【0044】
【表2】
【0045】
以下、常法により本発明に係る毛髪化粧料を製造した。尚、配合量は全て質量%である。
【0046】
実施例1(ヘアシャンプー)
処方成分 配合量
POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム 7.0
ラウリル硫酸アンモニウム 5.0
ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム液 1.0
ラウリン酸アミドプロピルベタイン液 4.0
グリセリン 0.5
ジプロピレングリコール 0.5
ジステアリン酸グリコール 2.0
ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド 1.0
ジメチコンエマルジョン 2.0
(BY22−050A;東レ・ダウコーニング社製)
ルイボス抽出液 0.1
(ファルコレックス ルイボスB(N);一丸ファルコス社製)
ヒノキチオール 0.02
(ヒノキチオールSP;高砂香料工業社製)
ウェスタンレッドシーダー蒸留抽出液 0.02
(ウェスタンレッドシーダー;ステリライザー社製)
ヒドロキシプロピルトリモニウムハニー 0.1
(ハニーコート50PF;Arch Personal Products L.P.社製)
カチオン化セルロース誘導体 0.5
(カチナールHC−200;東邦化学社製)
ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・ 1.0
アクリルアミドコポリマー (マーコート550;NALCO社製)
EDTA・2Na 0.1
安息香酸ナトリウム 0.1
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
クエン酸 適 量
香料 適 量
精製水 残 余
【0047】
実施例2(ヘアコンディショナー)
処方成分 配合量
ステアリルアルコール 4.5
セタノール 0.5
グリセリン 1.0
プロピレングリコール 2.0
ルイボス抽出液 0.1
(ファルコレックス ルイボスB(N);一丸ファルコス社製)
ヒノキチオール 0.02
(ヒノキチオールSP;高砂香料工業社製)
ウェスタンレッドシーダー蒸留抽出液 0.02
(ウェスタンレッドシーダー;ステリライザー社製)
ローズヒップ油 0.1
オリーブ油 0.1
ハチミツ 0.1
加水分解ダイズタンパク液(プロモイスWS;成和化成社製) 0.1
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール 0.1
セバシン酸ジエチル 0.1
ヒドロキシプロピルトリモニウムハニー 0.1
(ハニーコート50PF;Arch Personal Products L.P.社製)
ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル 0.1
/セチル/ステアリル/ベヘニル)(Plandool-L;日本精化社製)
ビスジグリセリルポリアシルアジペート−2 0.1
(ソフチザン649;SASOL社製)
ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチドデシル) 0.1
(エルデュウPS−203;味の素社製)
ビスセテアリルアモジメチコン 0.2
(SILSOFT AX;モメンティブ・パフォーマンス
・マテリアルズ・ジャパン社製)
高重合ジメチルポリシロキサンエマルジョン 1.0
(XS65−B7116;モメンティブ・パフォーマンス
・マテリアルズ・ジャパン社製)
アラニン 0.1
グルタミン酸 0.05
グルタミン酸ナトリウム 0.05
ラミナリアオクロロイカエキス 0.1
(LAMINAINE−BG;Biotech Marine社製)
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.2
香料 適 量
イオン交換水 残 余
【0048】
実施例3(へアトリートメント)
処方成分 配合量
ベヘニルアルコール 1.0
ステアリルアルコール 5.5
セタノール 0.5
ジプロピレングリコール 1.0
ベヘナミドプロピルジメチルアミン 0.5
ベヘントリモニウムクロリド 1.0
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール 0.1
セバシン酸ジエチル 0.1
ルイボス抽出液 0.1
(ファルコレックス ルイボスB(N);一丸ファルコス社製)
ヒノキチオール 0.02
(ヒノキチオールSP;高砂香料工業社製)
ウェスタンレッドシーダー蒸留抽出液 0.02
(ウェスタンレッドシーダー;ステリライザー社製)
加水分解コンキオリン液 0.1
(真珠たん白抽出液;丸善製薬株式会社製)
加水分解コラーゲン液 0.1
(プロモイスWU−32R;成和化成社製)
加水分解シルク液(フィブロイン溶液;KBセーレン社製) 0.1
アモジメチコンエマルション 0.1
(FZ−4672;東レ・ダウコーニング社製)
高重合ジメチコノールエマルジョン 1.0
(XS65−C2173;モメンティブ・パフォーマンス
・マテリアルズ・ジャパン社製)
乳酸 0.2
ソルビトール 1.0
メチルパラベン 0.1
フェノキシエタノール 0.3
香料 適 量
イオン交換水 残 余
【0049】
実施例4(アウトバストリートメントミスト)
処方成分 配合量
エタノール 15.0
グリセリン 2.0
ジプロピレングリコール 2.0
1,3−ブチレングリコール 0.5
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール 0.5
セバシン酸ジエチル 0.2
ルイボス抽出液 0.1
(ファルコレックス ルイボスB(N);一丸ファルコス社製)
ヒノキチオール 0.02
(ヒノキチオールSP;高砂香料工業社製)
ウェスタンレッドシーダー蒸留抽出液 0.02
(ウェスタンレッドシーダー;ステリライザー社製)
ジメチコン 0.2
ベヘニルアルコール 0.05
フェノキシエタノール 0.2
香料 0.05
イオン交換水 残 余
【0050】
実施例5(アウトバストリートメントミルク)
処方成分 配合量
グリセリン 1.0
プロピレングリコール 5.0
1,3−ブチレングリコール 2.0
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール 0.1
セバシン酸ジエチル 0.1
ジメチコン 0.4
ポリシリコーン−13 0.1
ステアリン酸スクロース 2.0
カルボマー 0.4
トリエタノールアミン 0.35
ルイボス抽出液 0.1
(ファルコレックス ルイボスB(N);一丸ファルコス社製)
ヒノキチオール 0.02
(ヒノキチオールSP;高砂香料工業社製)
ウェスタンレッドシーダー蒸留抽出液 0.02
(ウェスタンレッドシーダー;ステリライザー社製)
エデト酸ナトリウム 0.01
フェノキシエタノール 0.3
エタノール 8.0
香料 0.1
イオン交換水 残 余
【0051】
実施例6(アウトバストリートメントクリーム)
処方成分 配合量
セトステアリルアルコール 1.5
ベヘントリモニウムクロリド 0.1
ステアラミドプロピルジメチルアミン 0.1
ポリオキシプロピレン(5)フィトステロール 0.2
セバシン酸ジエチル 0.1
ルイボス抽出液 0.1
(ファルコレックス ルイボスB(N);一丸ファルコス社製)
ヒノキチオール 0.02
(ヒノキチオールSP;高砂香料工業社製)
ウェスタンレッドシーダー蒸留抽出液 0.02
(ウェスタンレッドシーダー;ステリライザー社製)
ビスセテアリルアモジメチコン 0.1
(SILSOFT AX;モメンティブ・パフォーマンス
・マテリアルズ・ジャパン社製)
グリセリン 3.0
ジメチコン 1.5
フェニルトリメチコン 0.5
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル 1.3
PEG−10水添ヒマシ油 0.7
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.3
安息香酸ナトリウム 0.2
クエン酸 0.05
フェノキシエタノール 0.5
香料 0.3
イオン交換水 残 余
【0052】
実施例7(頭皮用ローション)
処方成分 配合量
エタノール 45
PEG−60水添ヒマシ油 0.5
ジプロピレングリコール 3.0
ルイボス抽出液 0.1
(ファルコレックス ルイボスB(N);一丸ファルコス社製)
ヒノキチオール 0.02
(ヒノキチオールSP;高砂香料工業社製)
ウェスタンレッドシーダー蒸留抽出液 0.02
(ウェスタンレッドシーダー;ステリライザー社製)
パンテノール 0.2
アラニン 0.01
アスコルビン酸硫酸二ナトリウム 0.001
クエン酸ナトリウム 0.08
クエン酸 0.02
メントール 0.05
香料 0.1
イオン交換水 残 余
【0053】
本発明の実施例の組成物に用いた香料を表3に示す。
【0054】
【表3】