【実施例】
【0036】
実施例1
フェソテロジン水素フマレートおよびHPMC(ヒプロメロース)の溶液の調製
【0037】
【表1】
【0038】
(
*量は超過無しの乾燥した完成した製品に基づく。管の体積、容器のコーティング等によるプロセス中の損失を見越して、10%超過量のコーティング材料を組み込むことができる。)
・オーバーヘッド攪拌機および撹拌翼を配置する。
【0039】
・水の90%を適切な大きさの容器の中に量り分ける。
・攪拌機の速度を、適切な渦を生成するように設定し、その水にヒプロメロースを徐々に添加し、溶液が泡立たないことを確実にして少なくとも4時間、好ましくは一夜混合する。攪拌の間、蒸発を防ぐために覆いをする(攪拌の後に塊が無いことを確実にする)。
【0040】
・オーバーヘッド攪拌機および撹拌翼を配置する。残りの10%の水を適切な大きさの容器の中に量り分け、そして攪拌下でフェソテロジン水素フマレートを添加する。10分間、またはフェソテロジン水素フマレートが完全に溶解するまで混合する。攪拌の間、蒸発を防ぐために覆いをする。
【0041】
・フェソテロジン水素フマレート溶液を、攪拌下でヒプロメロース溶液に添加する。
・最低で10分間、または全ての塊が溶解するまで混合する。
・蒸発により失われた液体の量を決定する。失われた液体を水で置き換え、フェソテロジン水素フマレート溶液を含有する容器をすすぎ落とす。
【0042】
・調製した溶液が常に日光から保護されていることを確実にする。
実施例2
Glatt GPCG 1.1コーターを用いる、微結晶性セルロースビーズ上でのフェソテロジン水素フマレートおよびHPMC(ヒプロメロース)の固体分子分散物の調製(フェソテロジン水素フマレート即時放出(IR)ビーズ)
・Glatt GPCG 1.1を6”ワースター構成で約56℃の製品温度に加熱する。
【0043】
・微結晶性セルロース球体(500〜710μm)(Celphere CP−507)(699.301g/kg−量は超過無しの乾燥した完成した製品に基づく。管の体積、容器のコーティング等によるプロセス中の損失を見越して、10%超過量を組み込むことができる。)をGlatt GPCG 1.1コーターの流動化チャンバーの中に迅速に装填する。
【0044】
・一度ビーズが完全に流動化したら、1分以内に吹きつけを開始する。
・Glatt GPCG 1.1に関する標的コーティング条件の例:
気流:80m
3/時間(設定)
入口空気温度:80℃(設定)
霧化圧力:2.0Bar(設定)
最大吹き付け速度:12g/分
ノズルの直径:1.2mm
ワースターギャップ:20mm
フィルター:ソックス(20μmメッシュ)
フィルターの振盪:5分ごとに15秒間
管:シリコン、0.125”ID×0.0062”壁
ポンプ:Watson Marlow 505Du蠕動式
・約7g/分(3.9rpm)で吹き付けを開始し、10分後に吹き付け速度を約10g/分(5.6rpm)に上げる。追加の10分間の後、吹き付け速度を約12g/分(6.9rpm)に強める。
【0045】
・コーティングの間の製品温度は(定常状態における最大吹き付け速度において/その付近で)おおよそ50℃であるべきである。
・コーティング溶液の全ての理論量がビーズの上に吹き付けられるまで吹き付けを続ける。
【0046】
・コーティングの間は蒸発を防ぐために溶液に覆いをする。
・コーティングの後、流動化空気および熱を停止する前に、製品温度を2℃上昇させることによりビーズを乾燥させる。
【0047】
・凝集体を選別して除くため、ビーズを850μmのふるいを通してふるいにかけるべきである。
実施例3
Glatt GPCG 3.1コーターを用いる、微結晶性セルロースビーズ上でのフェソテロジン水素フマレートおよびHPMC(ヒプロメロース)の固体分子分散物の調製(フェソテロジン水素フマレート即時放出(IR)ビーズ)
・Glatt GPCG 3.1を6”ワースター構成で約56℃の製品温度に加熱する。
【0048】
・微結晶性セルロース球体(500〜710μm)(Celphere CP−507)(699.301g/kg−量は超過無しの乾燥した完成した製品に基づく。管の体積、容器のコーティング等によるプロセス中の損失を見越して、10%超過量を組み込むことができる。)をGlatt GPCG 3.1コーターの流動化チャンバーの中に迅速に装填する。
【0049】
・Glatt GPCG 3.1に関する標的コーティング条件の例:
気流:50CFM
入口空気温度:75℃(設定)
霧化圧力:2.0Bar(設定)
最大吹き付け速度:約13.5g/分
入口空気露点:15℃
ノズルの直径:1.2mm
ワースターギャップ/仕切りの高さ:30mm
フィルター:ソックス(20μmメッシュ)
フィルターの振盪:5分ごとに15秒間
管:シリコン、0.125”ID×0.0062”壁
ポンプ:蠕動式
・約8g/分で吹き付けを開始し、10分後に吹き付け速度を約10g/分に上げる。追加の10分間の後、吹き付け速度を約12g/分に強める。
【0050】
・1時間後、プロセスが低い凝集レベルで安定しているようであれば、吹き付け速度を約13.5g/分に上げることができる。
・コーティングの間の製品温度は(定常状態における最大吹き付け速度において/その付近で)おおよそ50℃であるべきである。
【0051】
・コーティング溶液の全ての理論量がビーズの上に吹き付けられるまで吹き付けを続ける。
・コーティングの間は蒸発を防ぐために溶液に覆いをする。
【0052】
・コーティングの後、流動化空気および熱を停止する前に、製品温度を2℃上昇させることによりビーズを乾燥させる。
・凝集体を選別して除くため、ビーズを850μm(20メッシュ)のふるいを通してふるいにかけるべきである。
【0053】
実施例4
10%(最終的なビーズのw/w)改変放出(MR)フェソテロジン水素フマレートビーズの調製
【0054】
【表2】
【0055】
(a)
改変放出溶液の調製
・10%超過でMR溶液の構成要素を計算する(フェソテロジン水素フマレート即時放出ビーズを除く全ての構成要素)。
【0056】
【表3】
【0057】
・オーバーヘッド攪拌機および撹拌翼を配置する。
・必要な量のイソプロピルアルコールおよび水の50%を適切な大きさの容器の中に量り分ける。
【0058】
・攪拌機の速度を、適切な渦を生成するように設定し、その水にエチルセルロースを徐々に添加し、混合物が泡立たないことを確実にして少なくとも4時間混合する。
・攪拌の間、蒸発を防ぐために覆いをする(一度攪拌が終了したら、塊が存在しないことを確実にする)。
【0059】
・オーバーヘッド攪拌機および撹拌翼を配置する。
・残りの量のイソプロピルアルコールおよび水の50%を適切な大きさの容器の中に量り分ける。
【0060】
・攪拌機の速度を、適切な渦を生成するように設定し、その水にヒドロキシプロピルセルロースを徐々に添加し、少なくとも4時間混合する。
・攪拌の間、蒸発を防ぐために覆いをする。
【0061】
・攪拌下でヒドロキシプロピルセルロース溶液をエチルセルロース溶液に添加する。10分間混合する。
・蒸発により失われた液体の量を決定する。失われた液体をイソプロピルアルコール/水(88:12)溶液で置き換え、ヒドロキシプロピルセルロースを含有する容器をすすぎ落とし、10分間混合する。
【0062】
・蒸発を防ぐために覆いをする。
(b)Glatt GPCG 1.1流動床コーターを用いる改変放出層コーティングによるIRビーズのコーティング
・Glatt GPCG 1.1を6”ワースター構成で約40℃の製品温度に加熱する。
【0063】
・フェソテロジン水素フマレート即時放出ビーズをGlatt GPCG 1.1流動床コーターの流動化チャンバーの中に迅速に装填する。
・球体を約46℃に予熱する。
【0064】
・球体を改変放出溶液(工程(a))で、以下の標的条件の下でコートする:
気流:80m
3/時間(設定)
入口空気温度:50℃(設定)
霧化圧力:2.0Bar(設定)
最大吹き付け速度:13.5g/分
ノズルの直径:1.2mm
ワースターギャップ:20mm
フィルター:ボンネット(0.4mmメッシュ)
フィルターの振盪:5分ごとに15秒間
管:シリコン、0.125”ID×0.0062”壁
ポンプ:Watson Marlow 505Du蠕動式
・約9.5g/分(おおよそ6rpm)で吹き付けを開始し、5分後に吹き付け速度を約11.5g/分(おおよそ7rpm)に上げる。追加の5分間の後、吹き付け速度を約13.5g/分(おおよそ8rpm)に強める。
【0065】
・ポンプ速度は必要な吹き付け速度を達成するために必要に応じて調節することができる。
・コーティングの間の製品温度は(定常状態における最大吹き付け速度において/その付近で)おおよそ39℃であるべきである。
【0066】
・改変放出溶液の全ての理論量がビーズの上に吹き付けられるまで吹き付けを続ける。
・吹き付けの間は蒸発を防ぐために溶液に覆いをする。
・コーティングの後、流動化空気および熱を停止する前に、製品温度を2℃上昇させることによりビーズを乾燥させる。
【0067】
・凝集体を選別して除くため、ビーズを1000μmのふるい(またはUS標準18メッシュ)を通してふるいにかけるべきである。
c)Glatt GPCG 3.1流動床コーターを用いる改変放出層コーティングによるIRビーズのコーティング
・Glatt GPCG 3.1を6”ワースター構成で約40℃の製品温度に加熱する。
【0068】
・フェソテロジン水素フマレート即時放出ビーズをGlatt GPCG 3.1流動床コーターの流動化チャンバーの中に迅速に装填する。
・球体を改変放出溶液(工程(a))で、以下の標的条件に従ってコートする:
気流:50CFM
入口空気温度:50℃(設定)
霧化圧力:2.0Bar(設定)
最大吹き付け速度:16g/分
入口空気露点:15℃
ノズルの直径:1.2mm
ワースターギャップ/仕切りの高さ:30mm
フィルター:ボンネット(0.4mmメッシュ)
フィルターの振盪:5分ごとに15秒間
管:シリコン、0.125”ID×0.0062”壁
ポンプ:蠕動式
・約11g/分で吹き付けを開始し、5分後に吹き付け速度を約14g/分に上げる。追加の5分間の後、吹き付け速度を約16g/分に強める。
【0069】
・コーティングの間の製品温度は(定常状態における最大吹き付け速度において/その付近で)おおよそ39℃であるべきである。
・コーティング溶液の全ての理論量がビーズの上に吹き付けられるまで吹き付けを続ける。
【0070】
・吹き付けの間は蒸発を防ぐために溶液に覆いをする。
・コーティングの後、流動化空気および熱を停止する前に、製品温度を2℃上昇させることによりビーズを乾燥させる。
【0071】
・凝集体を選別して除くため、ビーズを1000μmのふるい(またはUS標準18メッシュ)を通してふるいにかけるべきである。
実施例5
15%(最終的なビーズのw/w)改変放出(MR)フェソテロジン水素フマレートビーズの調製
これらは以下の構成要素を用いて実施例4のプロセスと類似したプロセスにより調製される。
【0072】
【表4】
【0073】
実施例6
20%(最終的なビーズのw/w)改変放出(MR)フェソテロジン水素フマレートビーズの調製
これらは以下の構成要素を用いて実施例4のプロセスと類似したプロセスにより調製される。
【0074】
【表5】
【0075】
実施例7
改変放出フェソテロジン水素フマレートビーズを含有するカプセルの調製
・適切なカプセル封入機(encapsulator)(例えばBosch GKF400)の中にビーズを装填する。
【0076】
・適切なカプセルをカプセル封入機の中に装填する(例えばゼラチンサイズ3)。
・カプセル封入機のビーズ充填装置を用いて適切な量のMRビーズをそれぞれのカプセルの中に充填することにより、ビーズをカプセル封入し、カプセルが正しく閉じられていることを確実にする。
【0077】
・適宜標準的なカプセル研磨器を用いてカプセルをきれいにする、または研磨する。
実施例8
フェソテロジン水素フマレートおよびヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース−Methocel E5 LV(商標)の固体分子分散物を用いてコートしたIRビーズに関する化学的安定性試験
90:10、85:15および80:20重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース−Methocel E5 LV(商標):フェソテロジン水素フマレート(それぞれ1:9、1:5.7および1:4重量%のフェソテロジン水素フマレート:ヒドロキシプロピルメチルセルロース−Methocel E5 LV(商標)に相当する)を調製し、微結晶性セルロース(MCC)ビーズの上に、おおよそ3.0、3.6および4.2重量%(最終的なIRビーズに基づく)の作用強度(potencies)で、以下の様式でコートした。
【0078】
溶液の調製およびコーティングプロセスの条件
全ての溶液を、実施例1の方法と類似した方法により、専用の溶液調製シートに従って、同じ様式で調製した。ヒドロキシプロピルメチルセルロース−Methocel E5 LV(商標)および水溶液を、コーティングに少なくとも4時間先立って(通常はコーティングの開始前の午後)調製し、水中の溶液のフェソテロジン水素フマレート部分をコーティングの日に調製し、次いでコーティングの前にヒドロキシプロピルメチルセルロース−Methocel E5 LV(商標)溶液と混合した。コーティングの条件を表1で要約する。
【0079】
【表6】
【0080】
安定性試験
フェソテロジン水素フマレートIRビーズ(90:10、85:15および80:20重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース−Methocel E5 LV(商標):フェソテロジン水素フマレートの比率で上記のように調製した)の化学的安定性を評価するため、それぞれのバッチをおおよそ5gのロットに小分けし、60cc HDPE(高密度ポリエチレン)ボトルに移し、次いで40℃/75%RH(相対湿度)の加速された貯蔵条件で保管した。
【0081】
4、8および12週間の貯蔵の後に試料を回収し、HPLCにより(表2で示した条件と類似した条件を用いたが、75マイクロリットルの注入体積を用いたことが異なる)、2種類の重要な分解産物であるSPM7675およびSPM7605(それの化学構造を以下に示す)に焦点を合わせて分析し、分解産物の合計レベルを観察した。
【0082】
【化2】
【0083】
結果
IRビーズ(90:10、85:15および80:20重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース−Methocel E5 LV(商標):フェソテロジン水素フマレート)において40℃/75%RHで保管した際に観察されたSPM7675、SPM7605および総分解産物のレベルを示す要約したプロットを、
図1(a)〜(c)に示す。
【0084】
比較目的のため、
図1(a)〜(c)は、類似の加速された安定性条件下で保管された、フェソテロジン水素フマレートの商業的なキシリトールに基づく錠剤配合物(キシリトール1
*およびキシリトール2
**)において存在するSPM7675、SPM7605および総分解産物のレベルに関するデータも含む。
【0085】
要約すると、90:10重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース−Methocel E5 LV(商標):フェソテロジン水素フマレートの比率で調製されたフェソテロジン水素フマレートIRビーズは商業的なキシリトール錠剤配合物に匹敵する化学的安定性を有することが分かる。
【0086】
(
*キシリトール1−欧州連合の規制要件に従う、ブリスター中に包装された4mgフェソテロジンの商業的錠剤の試料(WO2007/141298A1の44ページ、表1、実施例C参照)。包装材料は、プッシュスルー型包装の底部に成形することができる、積層されたアルミホイルである。その複合材料フィルムは以下の物質で構成される:
・配向ポリアミド(oPA)、厚さ約25μm
・アルミニウム、厚さ約45μm
・PVC、厚さ約60μm)
(
**キシリトール2−それぞれ3gのシリカゲルを充填した乾燥剤キャニスターを有するボトルあたり90個の錠剤を含有する包装からの、4mgのフェソテロジンの商業的錠剤の試料(WO2007/141298A1の44ページ、表1、実施例C参照)。)
実施例9
1:9重量%のフェソテロジン水素フマレート:ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース−Methocel E5 LV−商標)の固体分子分散物でコートしたIRビーズに関する、およびその持続放出(SR、すなわちMR)コートされたビーズ配合物に関する、化学的安定性および溶解試験
プロセスの記述−即時放出(IR)ビーズ
これらは実施例2において記述されたプロセスと類似したプロセスにより調製された。
【0087】
プロセスの記述−10%および20%持続放出(SR)ビーズ
これらはそれぞれ実施例4および6において記述されたプロセスと類似したプロセスにより、Glatt GPCG 1.1流動床コーターを用いて調製された。
【0088】
フェソテロジン水素フマレート即時放出(IR)および持続放出(SR)ビーズに関する安定性試験
フェソテロジン水素フマレートIRビーズおよびフェソテロジン水素フマレートSRビーズ(最終的なビーズの10%および20%w/w)の両方に関して安定性試験を実施した。
【0089】
フェソテロジン水素フマレートIRおよびSRビーズ(10%および20%SRコート)を、繊維板の円筒形容器の内側の内張りの中間に乾燥剤を有する密封された二重ポリエチレンバッグの中に包装し、5℃、25℃/60%相対湿度(RH)および30℃/75%RHで保管した。
【0090】
視覚的外観、化学的安定性(HPLCによる分解産物)および溶解を、最初に、5℃における3および6ヶ月間の貯蔵の後に、ならびに25℃/60%RHおよび30℃/75%RHにおける6週間および3ヶ月間の貯蔵の後に試験した。
【0091】
分析法
(a)HPLCによる分解産物
フェソテロジン水素フマレートIRおよびSRビーズの分解産物の決定のための方法は、表2に記述したような条件を用いた逆相HPLC法であった。同定は、不純物マーカーおよび試料の保持時間を比較することにより成し遂げられた。特定された、および未特定の分解産物の定量は、試験試料におけるピーク面積応答(peak area response)を外部標準溶液のピーク面積応答と比較することにより達成された。総分解産物は、0.05%の報告閾値より上に存在する、HPLCによる全ての特定された、および未特定の分解産物(プロセス関連の不純物を除く)の合計である。
【0092】
【表7】
【0093】
(b)溶解
フェソテロジン水素フマレートIRおよびSRビーズの溶解の速度を、900mlのUSPリン酸緩衝液溶解媒体中で回転パドル手順(USP装置2)を用いて決定する。溶解媒体中の溶解したフェソテロジン水素フマレートの量を、逆相HPLC法により、表3に記述したような条件を用いて決定する。
【0094】
【表8】
【0095】
結果
フェソテロジン水素フマレートIRビーズに関する安定性のデータを表4〜6に、フェソテロジン水素フマレートSRビーズ(10%SRコート)に関する安定性のデータを表7〜9に、およびフェソテロジン水素フマレートSRビーズ(20%SRコート)に関する安定性のデータを表10〜12に示す。
【0096】
1:9重量%のフェソテロジン水素フマレート:ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース−Methocel E5 LV−商標)の固体分子分散物でコートした即時放出(IR)ビーズは、5℃における6ヶ月間の貯蔵の後に分解産物のレベルの有意な増大を示さず、25℃/60%RHおよび30℃/75%RHにおける3ヶ月間の貯蔵の後にごく小さな、かつ許容できる増大を示した。
【0097】
同様に、持続放出(SR)ビーズは(10および20%のSRコーティングレベルの両方において)、5℃における6ヶ月間の貯蔵の後に分解産物のレベルの有意な増大を示さず、25℃/60%RHおよび30℃/75%RHにおける3ヶ月間の貯蔵の後にごく小さな、かつ許容できる増大を示した。
【0098】
IRおよびSRビーズの溶解プロフィールは共に全ての貯蔵条件において申し分なかった。
【0099】
【表9】
【0100】
【表10】
【0101】
【表11】
【0102】
【表12】
【0103】
【表13】
【0104】
【表14】
【0105】
【表15】
【0106】
【表16】
【0107】
【表17】
【0108】
実施例10
Glatt GPCG 1.1コーターを用いる、ラクトース粒子上に1:19または1:9重量%のフェソテロジン水素フマレート:HPMC(ヒプロメロース)の固体分子分散物を含有する錠剤の調製
a)
フェソテロジン水素フマレートおよびHPMC(ヒプロメロース)の溶液の調製
【0109】
【表18】
【0110】
(
*量は超過無しの乾燥した完成した製品に基づく。管の体積、容器のコーティング等によるプロセス中の損失を見越して、10%超過量のコーティング材料を組み込むことができる。)
・用いる材料の量を、コーター中の300gのラクトースの出発装填に基づいて計算する。
【0111】
・オーバーヘッド攪拌機および撹拌翼を配置する。
・水の50%を適切な大きさの容器の中に量り分ける。
・フェソテロジン水素フマレートを水中で溶解させる。
【0112】
・残りの水をイソプロパノール(IPA)と混合する。
・攪拌機の速度を、適切な渦を生成するように設定し、そのIPA/水にHPMCを徐々に添加し、溶液が泡立たないことを確実にして適切な時間の間混合する。攪拌の間、蒸発を防ぐために覆いをする(攪拌の後に塊が無いことを確実にする)。
【0113】
・残りの水/API溶液をHPMC溶液に、攪拌しながら添加する。
b)
Glatt GPCG 1.1コーターを用いる、ラクトース粉末上のフェソテロジン水素フマレートおよびヒプロメロースの固体分子分散物の調製
・Glatt GPCG 1.1を6”ワースター構成で約30℃の製品温度に加熱する。
【0114】
・ラクトース粉末(300g)をコーターの中に装填する。
・一度粉末が完全に流動化したら、1分以内に吹き付けを開始する。
・コーティングの間の製品温度は(定常状態における最大吹き付け速度において/その付近で)おおよそ30℃であるべきである。
【0115】
・コーティング溶液の全ての理論量が粉末の上に吹き付けられるまで吹き付けを続ける。
・コーティングの間は蒸発を防ぐために溶液に覆いをする。
【0116】
・コーティングの後、流動化空気および熱を停止する前に、製品温度を2℃上昇させることにより顆粒を乾燥させる。
c)
工程(b)からの顆粒を含有する錠剤の調製
【0117】
【表19】
【0118】
・フェソテロジン顆粒およびヒプロメロースを適切なブレンダー中でブレンドする。
・Compritolおよびタルクをブレンダーに添加してブレンドする。
・適切な打錠機および適切な大きさの工具を用いて錠剤を圧縮する。
【0119】
実施例11
ラクトース粒子上のHPMCおよび他のポリマー性結合剤を有するフェソテロジン水素フマレートの試料の比較した化学特性の決定
a)
試料の調製
1:19および1:9のHPMC試料を、実施例10の工程(a)および(b)で記述したように調製した。
【0120】
非HPMC試料を、明記した非HPMCポリマー性結合剤を用いて実施例10の工程(a)および(b)で記述した方法と類似した方法により調製した。全ての非HPMC試料は1:9重量%のフェソテロジン水素フマレート:ポリマー性結合剤を含有していた。
【0121】
b)
安定性データ
ラクトース上のフェソテロジン水素フマレートおよびHPMC/他のポリマー性結合剤の試料中の分解産物SPM−7605およびSPM7675(実施例8の化学構造を参照)の決定のために用いられた分析方法論は、実施例9で記述した分析方法論と類似しており、HPLCの条件に対して表13で記述したように少しの修正を行った。
【0122】
【表20】
【0123】
12週間の化学的安定性データを、誘導密封された(induction sealed)HDPEボトルを用いる、および1gの乾燥剤カートリッジを用いる密閉された条件の下で40C/75%RHで貯蔵した後の試料に関して生成した。得られた結果を表14で要約する。
【0124】
【表21】
【0125】
【表22】
【0126】
c)
結果
試料を記述したように40℃/75%R.H.で12週間保管した際に重要なSPM7605およびSPM7675分解物(degradants)に関して観察されたレベルにより判断すると、分析したポリマー性結合剤試料の内でフェソテロジンおよびHPMCの試料(1:19または1:9重量%のどちらの比率においても)のみが許容できる化学的安定性を提供したことは、表14から疑う余地なく明らかである。
【0127】
実施例12
ラクトース粒子上に1:19または1:9重量%のフェソテロジン水素フマレート:HPMC(ヒプロメロース)の固体分子分散物を含有する錠剤の、商業的なキシリトールに基づく錠剤に対する比較した化学的安定性
a)
試料の調製
ラクトース上に1:19または1:9のHPMC分散物を含有する錠剤を、実施例10の工程(a)、(b)および(c)で記述したように調製した。
【0128】
b)
安定性データ
ラクトース上のHPMC分散物中のフェソテロジン水素フマレートの試料中の分解産物SPM7605およびSPM7675(実施例8の化学構造を参照)の決定のために用いられた分析方法論は、実施例9で記述した分析方法論と類似しており、HPLCの条件に対して表16で記述したように少しの修正を行った。
【0129】
【表23】
【0130】
ラクトース上に1:19または1:9のHPMC分散物を含有する錠剤の、商業的なキシリトールに基づく錠剤(8mg強度)に対する比較した安定性を、意図的に選択された、ストレスをかけた(高温)、60℃/30%RH、50℃/50%RHおよび50℃/30%RHの貯蔵条件で10日間の試料の貯蔵により評価した。結果を表17、18および19で要約する。
【0131】
【表24】
【0132】
【表25】
【0133】
【表26】
【0134】
ラクトース上に1:9または1:19重量%のフェソテロジン水素フマレート:HPMCを含有する錠剤中のSPM7605およびSPM7675のレベルが、商業的なキシリトールに基づく錠剤に関して観察されたレベルよりも用いられた3種類全ての貯蔵条件の下で低かったのは、表17、18および19から疑う余地なく明らかである。
【0135】
分析
1.
フーリエ変換赤外(FTIR)分光法による、微結晶性セルロースビーズ上にフェソテロジン水素フマレートおよびHPMC(ヒプロメロース)の固体分子分散物を含むIRおよびMRビーズのIR層の分析
IRおよびMRビーズ試料の調製
(a)IRビーズ(実施例2および3を参照)
ビーズをメスを用いて半分に切り、その後メスおよびピンセットを用いてIR層を剥離した。剥離したIR層をガラススライドの上に、カバーガラスを用いて軽く押し付け、その後分析のためにそれらを減衰全反射(ATR)ウインドウに移した。5個又は6個の半分のビーズのIR層を、1つのスペクトルの収集のために用いた。
【0136】
(b)MRビーズ(実施例4および6を参照)
ビーズをメスを用いて半分に切り、その後メスおよびピンセットを用いてMR層を剥離した。次いでIR層を剥離した。剥離したIR層をガラススライドの上に、カバーガラスを用いて軽く押し付け、その後分析のためにそれらをATRウインドウに移した。20%MRコートされたビーズ(実施例6参照)に関して、1個又は2個の半分のビーズのIR層を、1つのスペクトルの収集のために用いた。10%MRコートされたビーズ(実施例4参照)に関して、5個の半分のビーズのIR層を、1つのスペクトルの収集のために用いた。
【0137】
参照用結晶質フェソテロジン水素フマレート
これはUS6858650B1、調製6において記述されている方法により得られた。
参照用非晶質フェソテロジン水素フマレートの調製
結晶質フェソテロジン水素フマレート(上記参照)を、Retsch MM301粉砕機および1.5mL Retschステンレス鋼粉砕チャンバーおよびボールを用いて低温でボールミル処理した。それぞれの粉砕セッションは10分間続き、粉砕速度は30Hzに設定された。内部に試料を有する粉砕チャンバーは、粉砕処理の前に5分間、およびそれぞれのそれに続く粉砕セッションの間、液体窒素で冷却された。試料は合計50分間粉砕処理され、その後試料が非晶質フェソテロジン水素フマレートであることを確認するためにPXRDパターンを収集した。
【0138】
FTIR
“DurasamplIR”1回反射ATRアクセサリー(セレン化亜鉛基板上のダイヤモンド表面)およびd−TGS KBr検出器を備えたThermoNicolet Nexus FTIR分光計を用いて、赤外スペクトルを得た。2cm
−1の分解能および512走査の共加算(co-addition)でスペクトルを収集した。Happ−Genzelアポダイゼーションを用いた。ATR FTIRを用いることは、赤外バンドの相対強度が、KBrディスクまたはヌジョールマル(nujol mull)試料調製を用いる透過FTIRスペクトルにおいて見られる赤外バントの相対強度と異なる原因となるであろう。ATR FTIRの性質のため、より低い波数におけるバンドはより高い波数におけるバンドよりも強い。
【0139】
FTIRデータの処理
スペクトルをThermoNicolet Omnic 6.1aソフトウェア内で吸光度単位に変換した。
【0140】
結果
図2〜5a(
図2および5aを含む)は、以下のものに関して得られたFTIR ATRスペクトルを示す:
・結晶質フェソテロジン水素フマレート
・非晶質フェソテロジン水素フマレート
・フェソテロジン水素フマレートおよびヒプロメロースの固体分子分散物を含むIRビーズのIR層(実施例2または3参照)
・フェソテロジン水素フマレートおよびヒプロメロースの固体分子分散物を含む10%MRビーズのIR層(実施例4参照)
・フェソテロジン水素フマレートおよびヒプロメロースの固体分子分散物を含む20%MRビーズのIR層(実施例6参照)
結果は以下のことを示す:
・IRおよびMRビーズのIR層の分析により得られた赤外ピーク周波数位置および強度を評価すると、結晶質フェソテロジン水素フマレートに関して見られるピークならびに非晶質フェソテロジン水素フマレートに関して見られるピークと重なるピークが存在し、そして異なる周波数位置および強度を有するピークが存在し、それはIRおよびMRビーズのIR層、非晶質フェソテロジンフマレートおよび結晶質フェソテロジン水素フマレートを特性付けるために用いることができる。
【0141】
・IRおよびMRビーズのIR層の試料から得られたスペクトルにおいて、結晶質フェソテロジン水素フマレートおよび非晶質フェソテロジン水素フマレートの試料から得られたスペクトルにおいて観察された、より強い特徴的なピークの一部が存在しない。
【0142】
・IRおよびMRビーズのIR層の試料から得られたスペクトル中のピークの相対強度には、結晶質フェソテロジン水素フマレートおよび非晶質フェソテロジン水素フマレートの試料から得られたスペクトル中のピークと比較して、明らかな変化が存在する。
【0143】
理論により束縛されるわけではないが、観察されたこれらのピーク周波数位置および強度の変化は、IRおよびMRビーズのIR層中でフェソテロジン水素フマレートのHPMCポリマー性結合剤との明らかな相互作用が存在することを示していると信じられる。これらの作用は、Konno and Taylor, J.Pharm.Sci (2006) 95, 12, 2692-2705により記述された作用と類似している。これらの作用は、分析されたIRおよびMRビーズのIR層におけるHPMCポリマー性結合剤中のフェソテロジン水素フマレートの固体分子分散物の存在により引き起こされていると信じられる。言い換えれば、HPMCポリマー性結合剤中のフェソテロジン水素フマレートの非晶質分子クラスターも結晶も、分析されたIRおよびMRビーズのIR層中で検出することができなかったと信じられる。
【0144】
2.
フーリエ変換赤外(FTIR)分光法による、ラクトース粒子上にフェソテロジン水素フマレートおよびHPMC(ヒプロメロース)の固体分子分散物を含むIR顆粒の分析
IR顆粒は実施例10aおよび10bで記述したように調製された。
【0145】
試料の調製
試料の調製は行わなかった。試料をATR結晶の上に置き、圧力をかけた。
FTIR
“DurasamplIR”1回反射ATR(減衰全反射)アクセサリー(セレン化亜鉛基板上のダイヤモンド表面)およびd−TGS KBr検出器を備えたThermoNicolet Nexus FTIR分光計を用いて、赤外スペクトルを得た。結晶質および非晶質フェソテロジン水素フマレート、HPMC(Methocel E5LV)およびラクトース(Pharmatose−商標)に関する参照スペクトルを、以下の実験設定を用いて収集した:
【0146】
【表27】
【0147】
ラクトース粒子上に1:9重量%のフェソテロジン水素フマレート/HPMCの固体分子分散物を含有する試料に関して、4cm
−1の分解能および512走査の共加算でスペクトルを収集した。
【0148】
ラクトース粒子上に1:19重量%のフェソテロジン水素フマレート/HPMCの固体分子分散物を含有する試料に関して、8cm
−1の分解能および512走査の共加算でスペクトルを収集した。
Happ−Genzelアポダイゼーションを用いた。ATR FT−IRを用いることは、赤外バンドの相対強度が、KBrディスクまたはヌジョールマル試料調製を用いる透過FT−IRスペクトルにおいて見られる赤外バントの相対強度と異なる原因となるであろう。ATR FT−IRの性質のため、より低い波数におけるバンドはより高い波数におけるバンドよりも強い。
【0149】
得られたFTIRスペクトルを、
図6、6a、6b、7、7a、8および8aに示す。
FTIRデータの処理
スペクトルをThermoNicolet Omnic 6.1aソフトウェア内で吸光度単位に変換し、.spcファイルとして保存した。次いでそのスペクトルをGrams/AI8.0で開き、ここで、1792cm
−1〜1521cm
−1の領域中の4個のピークを用いてピークの当てはめ(fit)を、その当てはめに関してガウス/ローレンツピーク形の混合および50回反復を用いて行った。
【0150】
母材中に非晶質または結晶質領域の物理的混合ではなく固体分子分散物が存在することに関する証拠
ラクトース粒子上にフェソテロジン水素フマレート/HPMCの固体分散物を含有する試料に関する赤外のピークの位置を評価すると、結晶質フェソテロジン水素フマレートに関するピークと同様に非晶質フェソテロジン水素フマレートに関するピークと重なるピークが存在する。
【0151】
しかし、分析したラクトース粒子上のフェソテロジン水素フマレート/HPMCの試料に関するスペクトルにおいて、非晶質および結晶質フェソテロジン水素フマレート試料に関して見られるより強い特徴的なピークの一部が存在しないこと、ならびに非晶質および結晶質フェソテロジン水素フマレート試料と比較した相対強度およびシフトの明らかな変化は、ラクトース粒子上のフェソテロジン水素フマレート/HPMCの試料中でフェソテロジン水素フマレートのHPMC母材との明らかな相互作用が存在すると結論付けることを可能にする。この相互作用は、Konno and Taylor, J.Pharm.Sci 95, 12, 2692-2705 (2006)により文献中で記述されたような、特定の官能基の赤外周波数の典型的なシフトを引き起こす。従って、我々は、フェソテロジン水素フマレートはラクトース粒子上のフェソテロジン水素フマレート/HPMCの試料中に固体分子分散物として存在すると結論付けることができる。
【0152】
3.
ラクトース粒子上にフェソテロジン水素フマレートおよびPVAまたはメタクリル酸メチル(Eudragit)のどちらかを含むIR顆粒の、フーリエ変換赤外(FTIR)分光法およびPXRDによる分析
PXRD
実施例11におけるように調製された、ラクトース粒子上のフェソテロジン水素フマレートおよびPVAまたはメタクリル酸メチル(Eudragit NE 30DまたはEudragit RS PO)のどちらかの試料に関して、毛細管PXRDデータを収集した。
【0153】
PXRDデータは、毛細管ステージ、シータ−シータ角度計、KA−1(Cu)一次モノクロメーターおよびBraun位置検知型検出器(position sensitive detector)を備えたBruker−AXS Ltd D8 Advance粉末X線回折計を用いて収集した。試料を1.0または1.5mm石英キャピラリー中にマウントした。試料を回転させ、一方で40kV/40mAで操作したX線管で銅K−アルファ1X線(波長=1.5406オングストローム)を照射した。2〜55°の2シータ範囲にわたって0.011°の段階あたり6秒のカウントに設定された、連続モードで動く角度計で分析を行った。
【0154】
収集されたパターンは、試料中の結晶質フェソテロジン水素フマレートに関する証拠を示していない。PXRDはこれらの試料中のAPI濃度レベル(約5% w/w%)の結晶質フェソテロジン水素フマレートを検出することができると考えられ、従って、分析された試料は結晶質フェソテロジン水素フマレートを含有していなかったと結論付けられる。
【0155】
FTIR
ラクトース粒子上のフェソテロジン水素フマレートおよびPVAまたはメタクリル酸メチル(Eudragit)のどちらかの上記の試料に関して、フェソテロジン水素フマレートが非晶質状態または用いたポリマー性結合剤との固体分子分散物としてのどちらで存在するのかを決定するための試みにおいて、FTIR ATR分析を行った。
【0156】
特徴的なフェソテロジン水素フマレートの官能基についての重要な情報が得られるスペクトルの領域は、1800〜1500cm
−1にわたる。
残念ながら、メタクリル酸メチル(Eudragit)自体が1724cm
−1の辺りに非常に強いピークを示し、それがいくつかの特徴的なフェソテロジン水素フマレートのピークを覆い隠し、1581cm
−1の辺りにただ1つの観察可能な特徴的なフェソテロジン水素フマレートのピークを残す。残念ながら、このピークは単独では、ラクトース粒子上のフェソテロジン水素フマレートおよびメタクリル酸メチル(Eudragit)の試料中の非晶質状態のフェソテロジン水素フマレートの存在を固体分子分散物中のフェソテロジン水素フマレートの存在と識別するのに有効ではない。
【0157】
ラクトース粒子上のフェソテロジン水素フマレートおよびPVAの試料に関して、FTIR ATR分析は、1731〜1568cm
−1にわたる支配的なPVAのピークが存在し、フェソテロジン水素フマレートに特徴的なピークを評価するための、ならびにラクトース粒子上のフェソテロジン水素フマレートおよびPVAの試料における非晶質状態のフェソテロジン水素フマレートの存在を固体分子分散物中のフェソテロジン水素フマレートの存在と識別するための空いた領域を残さないことを示した。
【0158】
要するに、最高の努力を用いたにも関わらず、ラクトース粒子上のフェソテロジン水素フマレートおよびPVAまたはメタクリル酸メチル(Eudragit)の試料が非晶質状態のフェソテロジン水素フマレートまたは固体分子分散物中のフェソテロジン水素フマレートを含有していたのかどうかを決定することができなかった。