特許第5973175号(P5973175)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973175
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】バスバーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/20 20060101AFI20160809BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   H01M2/20 A
   H01M2/10 M
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-12198(P2012-12198)
(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公開番号】特開2013-152814(P2013-152814A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2015年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(72)【発明者】
【氏名】石川 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 茂之
(72)【発明者】
【氏名】庄子 隆雄
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−181402(JP,A)
【文献】 特開2011−181453(JP,A)
【文献】 特開2003−100273(JP,A)
【文献】 特開2010−170884(JP,A)
【文献】 特開2001−057196(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/022521(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/20
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを電極が交互となるように配置した組電池に装着され、前記複数の電池セルの各電極を複数のバスバーにより電気的に直列に接続するバスバーモジュールであって、
前記複数の電池セルの隣合う電極同士を電気的に接続する複数のバスバーと、
前記複数のバスバーを相互の間隔を保った状態で保持する保持部材と、を備え、
前記保持部材が、
前記複数の電池セルの上面の一端側に形成される一方の電極列において前記複数のバスバーを保持する第1保持部材と、
前記複数の電池セルの上面の他端側に形成される他方の電極列において前記複数のバスバーを保持する第2保持部材と、
前記第1保持部材と前記第2保持部材とを構造的に連結する連結部材と、を備え、
前記連結部材が、前記第1保持部材および前記第2保持部材の内側端部から上方に突出するアーチ形状に形成されるとともに、アーチ形状を維持するための剛性部と、上方からの荷重により上下方向に撓む可撓部とを有することを特徴とするバスバーモジュール。
【請求項2】
前記剛性部が、剛性維持用のリブを有し、
前記可撓部が、平板形状に形成されたものからなることを特徴とする請求項1に記載のバスバーモジュール。
【請求項3】
前記可撓部が、前記連結部材の下端部に設けられたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバスバーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーモジュールに関し、特に組電池の複数の電池セルを直列に接続するバスバーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電池セルが重ねられて構成された組電池に取り付けられるバスバーモジュールとしては、電池セルの各電極に接続される複数の端子と、各端子に接続される複数の電線と、プレートと、カバーと、を有するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のバスバーモジュールにおいて、プレートは、複数の端子収容部および複数の電線収容部を有し、カバーは、電線収容部の開口部内を電池集合体の他端側から一端側に向かう方向にスライドされることで電線収容部に取り付けられて開口部を覆うように構成されている。
【0004】
一方、近年は、ハイブリット車や電気自動車の組電池としてリチウムイオンバッテリーの採用が検討されている。リチウムイオンバッテリーは、過充電等によって発煙する可能性があるため、組電池の上面には排煙ダクトを設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−65749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のバスバーモジュールにあっては、組電池の上面に排煙ダクトが設けられている場合は、排煙ダクトとの干渉を回避するとともに、排煙ダクトを正規位置に位置決めするために、バスバーモジュールの一方の電極列側と他方の電極列側の保持部材(特許文献1のプレートに相当)を構造的に連結する連結部材を備え、この連結部材を排煙ダクトを跨ぐようにアーチ形状に形成することが考えられる。
【0007】
一方、組電池はトランクルームやキャビンの拡大のために狭小な空間に搭載されることが多く、上部のパネル等からの荷重を受けることが想定される。
【0008】
このため、アーチ形状の連結部材が上部から荷重を受けると、この荷重が組電池の各電池セルの本体や電極に伝わってしまい、特に電池セルの電極が変形、損傷する恐れがあった。
【0009】
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、設置スペースを増大することなく、上方からの荷重によって組電池の電極が変形、損傷することを防止することができるバスバーモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るバスバーモジュールは、上記目的を達成するため、(1)複数の電池セルを電極が交互となるように配置した組電池に装着され、前記複数の電池セルの各電極を複数のバスバーにより電気的に直列に接続するバスバーモジュールであって、前記複数の電池セルの隣合う電極同士を電気的に接続する複数のバスバーと、前記複数のバスバーを相互の間隔を保った状態で保持する保持部材と、を備え、前記保持部材が、前記複数の電池セルの上面の一端側に形成される一方の電極列において前記複数のバスバーを保持する第1保持部材と、前記複数の電池セルの上面の他端側に形成される他方の電極列において前記複数のバスバーを保持する第2保持部材と、前記第1保持部と前記第2保持部とを構造的に連結する連結部材と、を備え、前記連結部材が、前記第1保持部材および前記第2保持部材の内側端部から上方に突出するアーチ形状に形成されるとともに、アーチ形状を維持するための剛性部と、上方からの荷重により上下方向に撓む可撓部とを有するものから構成されている。
【0011】
この構成により、上方から連結部材が荷重を受けたときに、剛性部によってアーチ形状を維持したまま、可撓部において撓んで荷重を吸収し、第1保持部材および第2保持部材に荷重が伝わることを防止することができる。また、可撓部が撓んで荷重を吸収できるため、連結部材とその上部の部材との隙間を増大する必要がないため、設置スペースが増大することを防止することができる。
【0012】
したがって、設置スペースを増大することなく、上方からの荷重によって組電池の電極が変形、損傷することを防止することができる。
【0013】
また、本発明に係るバスバーモジュールは、上記目的を達成するため、上記(1)において、(2)前記剛性部が、剛性維持用のリブを有し、前記可撓部が、平板形状に形成されたものからなるよう構成されている。
【0014】
この構成により、剛性部がリブを備えることで、剛性部に剛性を与えることができるとともに、可撓部から剛性維持用のリブを削除して平板形状に形成することで、可撓部に容易に可撓性を与えることができる。
【0015】
また、本発明に係るバスバーモジュールは、上記目的を達成するため、上記(1)または(2)において、(3)前記可撓部が、前記連結部材の下端部に設けられたものから構成されている。
【0016】
この構成により、連結部材の下端部に配置された可撓部において荷重を吸収するために上下方向に撓むこととなり、連結部材の全体的なアーチ形状を剛性部により維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るバスバーモジュールと組電池の構成を示す斜視図である。
図2】本発明に係るバスバーモジュールの詳細な構成を示す斜視図である。
図3図2のバスバーモジュールの連結部材における断面を示す断面図である。
図4図2のバスバーモジュールの連結部材における断面を示す断面図であり、連結部材が荷重を受けたときの作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るバスバーモジュールの実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0019】
図1図3は、本発明に係るバスバーモジュールの一実施の形態を示す図である。
【0020】
まず、構成を説明する。図1図2に示すように、本発明のバスバーモジュール1は、組電池2に取り付けられて電源装置10を構成する。電源装置10は、電動モータを駆動源として用いて走行する電気自動車や、エンジンと電動モータとを併用して走行するハイブリッド自動車などに搭載され、電動モータに電力を供給するものである。
【0021】
なお、組電池2は、一端に正電極、他端に負電極を有する電池セル(角形バッテリ)を交互に逆向きに重ね合わせて形成されている。
【0022】
組電池2は、複数の電池セル20を互いに重ねて固定したものである。複数の電池セル20の各々は、直方体形状の電池セル本体21と、この電池セル本体21の上面の一端部および他端部からそれぞれ突出した正電極22および負電極23と、を有している。
【0023】
複数の電池セル20は、これら電池セル20の重なり方向に沿って正電極22および負電極23が直線上に交互に並ぶように重ねられている。具体的には、電池セル本体21の上面の一端側と他端側のそれぞれにおいて、正電極22および負電極23が直線上に交互に並ぶ電極列が形成されている。
【0024】
また、図1中の矢印Zは、複数の電池セル20の重なり方向、および、組電池2の長手方向を示し、矢印Xは、各電池セル20の幅方向即ち組電池2の幅方向を示し、矢印Yは、各電池セル20の高さ方向即ち組電池2の高さ方向を示している。
【0025】
また、組電池2は、高さ方向(矢印Y方向)が重力方向と平行になる向きで自動車に搭載される。即ち、組電池2が自動車に搭載された状態において、図1中の矢印Y方向に沿った上側が重力方向の上側となり、矢印Y方向に沿った下側が重力方向の下側となる。
【0026】
また、組電池2が自動車に搭載された状態において、正電極22および負電極23は、各電池セル20の電池セル本体21の上面から矢印Y方向に突出した状態となる。
【0027】
また、組電池2の上面には、一端側の電極列と他端側の電極列の間に、排煙ダクト24が設けられている。排煙ダクト24は、下面が組電池2側に開放された半円断面形状に形成されるとともに、電池セル20の重なり方向に延在し、各電池セル20から発生する煙を収集して外部に放出するためのものである。
【0028】
バスバーモジュール1は、複数の電池セル20を電気的に直列に接続する複数のバスバー3と、各バスバー3にそれぞれ重ねられて該バスバー3に電気的に接続される複数の電圧検出端子4と、各電圧検出端子4にそれぞれ接続される複数の電線5と、これらバスバー3、電圧検出端子4および電線5を収容して複数のバスバー3と複数の電圧検出端子4とを所定位置に位置決めする合成樹脂製の保持部材6と、を有している。
【0029】
バスバー3は、金属板にプレス加工等が施されて得られるものであり、図2に示すように、略矩形形状の板状の金属板に、互いに隣り合う電池セル20の円柱形状の正電極22および負電極23の何れかがそれぞれ挿通される2つの電極挿通孔3aを形成したものから構成されている。
【0030】
バスバー3は、2つの電極挿通孔3aの一方に、隣り合う電池セル20の一方に設けられた正電極22が挿通され、2つの電極挿通孔3aの他方に、隣り合う電池セル20の他方に設けられた負電極23が挿通されて、これら正電極22および負電極23に取り付けられるとともに正電極22および負電極23に電気的に接続される。
【0031】
また、バスバー3は、電極挿通孔3aに挿通された正電極22および負電極23にナット8(図1参照)がそれぞれ螺合されることで電池セル20に固定されるようになっている。
【0032】
電圧検出端子4は、金属板にプレス加工等が施されて得られるものであり、板状に形成され、正電極22または負電極23の何れか一方が挿通される電極挿通孔4aを有して構成している。電圧検出端子4は、電極挿通孔4aに正電極22または負電極23の何れか一方を挿通した状態でバスバー3に重ねられてバスバー3と電気的に接続される。
【0033】
電線5は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを備えている。電線5は、その一端が保持部材6のバスバー収容部71内に収容された電圧検出端子4に接続され、保持部材6の電線配索部72内を配索されて、その他端が図示しない電圧検出回路等に接続されている。
【0034】
一方、保持部材6は、全体的に見た場合に、組電池2の上面形状と略等しい略長方形に形成されるとともに、組電池2の上面に重ねられるようになっており、複数のバスバー3を相互の間隔を維持したまま保持し、組電池2への組み付けを容易に行うためのものである。
【0035】
保持部材6には、矢印Z方向に沿って互いに間隔を空けて並べられた複数のバスバー収容部71と、このバスバー収容部71に併設される複数の電線配索部72とがそれぞれ矢印X方向に2列設けられている。
【0036】
具体的には、保持部材6は、複数の電池セル20の一方に列状に配置された正電極22および負電極23を電気的に接続する複数のバスバー3を収容および保持する第1保持部材61と、複数の電池セル20の他方に列状に配置された正電極22および負電極23を電気的に接続する複数のバスバー3を収容および保持する第2保持部材62と、これら第1保持部材61と第2保持部材62を構造的に連結する連結部材63と、を備えている。
【0037】
第1保持部材61および第2保持部材62は、各バスバー3と、このバスバー3に重ねられた各電圧検出端子4と、をそれぞれ収容しかつ矢印Z方向に沿って互いに間隔を空けて並べられた複数のバスバー収容部71をそれぞれ有している。
【0038】
第1保持部材61と第2保持部材62は、組電池2の上面に位置する排煙ダクト24を挟んで対向する状態で組電池2の上面に配置されている。
【0039】
また、第1保持部材61および第2保持部材62は、複数のバスバー収容部71の並び方向に沿って延びるとともに複数のバスバー収容部71と矢印Z方向に間隔を空けて平行に延び、各電圧検出端子4に接続された複数の電線5を収容する電線配索部72を有している。第1保持部材61および第2保持部材62において、複数のバスバー収容部71と複数の電線配索部72とは、連結されて一体に形成されている。
【0040】
各バスバー収容部71は、底壁および周壁からなり各バスバー3を底部に嵌め込むことが可能な箱型に形成されており、上面は開放されている。各バスバー収容部71は、各バスバー3と、このバスバー3に重ねられる各電圧検出端子4とを収容するようになっている。
【0041】
複数のバスバー収容部71は、複数の電池セル20の重なり方向、即ち矢印Z方向に沿って互いに間隔を空けて並べられている。隣接するバスバー収容部71同士は、樹脂を薄肉に成型する等により弾性変形可能な接続部によりそれぞれ接続されており、これにより、各バスバー収容部71とこれに対応する電池セル20の正電極22または負電極23との間の位置ズレが吸収されるようになっている。
【0042】
複数の電線配索部72は、複数のバスバー収容部71の矢印Z方向の外側に並設されている。複数の電線配索部72は、複数のバスバー収容部71と同様に、互いに間隔を開けて並べられており、隣り合う電線配索部72同士が連結されている。
【0043】
隣接する電線配索部72同士は、樹脂を薄肉に成型する等により弾性変形可能な接続部によりそれぞれ接続されており、これにより、隣接するバスバー収容部71同士の間隔の変動に応じてこれらに対応する電線配索部72同士の間隔が変動することができ、結果として、各バスバー収容部71とこれに対応する電池セル20の正電極22または負電極23との間の位置ズレが吸収されるようになっている。
【0044】
電線配索部72は、上壁、底壁および周壁からなる箱型に形成されており、上壁はヒンジを介して開閉可能な蓋部として構成されている。
【0045】
図2および図3を参照して、連結部材63について詳細を説明する。図2図3に示すように、連結部材63は、第1保持部材61および第2保持部材62の内側端部から上方に突出するアーチ形状に形成されており、組電池2の上面であって第1保持部材61と第2保持部材62の間に位置する排煙ダクト24を避け、この排煙ダクト24を跨ぐ状態で配置されている。
【0046】
連結部材63の上端部は、その上方に配置されたアッパーフレーム11との間に所定の隙間を設けて配置されている。このため、アッパーフレーム11が上方からの荷重により下方に撓んだ場合であっても、アッパーフレーム11からの荷重が直ちに連結部材63にかかることが防止される。
【0047】
なお、連結部材63がアッパーフレーム11から荷重を受けた場合は、この荷重が第1保持部材61および第2保持部材62に伝わって、正電極22および負電極23に負荷を与える可能性がある。
【0048】
また、連結部材63の上端部は、その下方に配置された排煙ダクト24の上面との間に所定の隙間を設けて配置されている。このため、連結部材63の上端部がアッパーフレーム11からの荷重により下方に変位した場合であっても、連結部材63の上端部が直ちに排煙ダクト24に接触することが防止される。
【0049】
ここで、仮に、排煙ダクト24の上端部の上に設けられた隙間を大きく設定すると、アッパーフレーム11が下方に撓んだときに、アッパーフレーム11からの荷重が連結部材63にかかることが一層防止されるが、その場合、隙間を大きくした分だけ電源装置10の配置スペースが増大してしまうため、ラゲージスペースが狭くなってしまう。
【0050】
そこで、本実施の形態では、連結部材63が、アーチ形状を維持するための剛性部63aと、上方からの荷重により上下方向に撓む可撓部63bとを有し、可撓部63bにより荷重を吸収するように構成されている。
【0051】
剛性部63aは、連結部材63の略水平方向に延在する上部および略垂直方向に延在する中部を構成しており、剛性を保持しアーチ形状を維持するためのリブを備えている。このリブは、剛性部63aの上部においては水平方向に延在し、剛性部63aの中部においては垂直方向に延在している。すなわち、図2において、連結部材63のリブを備えた部分が剛性部63aである。
【0052】
また、可撓部63bは、連結部材63の下端部、すなわち第1保持部材61と第2保持部材62に繋がる部分を構成しており、剛性保持のためのリブを備えていない。可撓部63bは、リブを備えない帯状の平板形状に形成されるとともに、2箇所の屈曲部63c、63dにおいて屈曲している。
【0053】
可撓部63bは、屈曲部63cを境界としてその上部が垂直方向に延在する垂直面となり、屈曲部63dを境界としてその下部が水平方向に延在する水平面となり、屈曲部63cと屈曲部63dの間が傾斜面となっている。
【0054】
可撓部63bは、この屈曲部63c、63dによって、受けた荷重に応じてスムーズに撓むことができるとともに、撓む前後のそれぞれの形状が規定されるようになっている。
【0055】
したがって、連結部材63は、剛性部63aによってアーチ形状の維持および横方向の剛性を保つとともに、可撓部63bによって縦方向の剛性を低下させて撓む構造となる。
【0056】
このため、連結部材63は、その上部のアッパーフレーム11から荷重を受けたとき、可撓部63bが撓むことによって荷重を吸収し、第1保持部材61と第2保持部材62への荷重の伝播を遮断することとなる。
【0057】
次に、作用を説明する。上記のように構成されたバスバーモジュール1においては、連結部材63は、リブを有する剛性部63aによってアーチ形状の維持および横方向の剛性を保つとともに、リブを有さない可撓部63bによって縦方向の剛性を低下させて撓むことができる。
【0058】
このため、図4に示すように、連結部材63は、アッパーフレーム11から荷重を受けたときに、剛性部63aによってアーチ形状を維持したまま、可撓部63bにおいて撓んで荷重を吸収し、第1保持部材61および第2保持部材62に荷重が伝わることを防止する。
【0059】
また、可撓部63bは、上下方向に撓むため、第1保持部材61および第2保持部材62を水平方向に変位させる力が発生することがなく、各電池セル20の正電極22および負電極23に横方向、すなわち矢印Xの方向への荷重を与えることがない。
【0060】
以上のように、本実施の形態では、保持部材6が、複数の電池セル20の一方の電極列において複数のバスバー3を保持する第1保持部材61と、複数の電池セル20の他方の電極列において複数のバスバー3を保持する第2保持部材62と、第1保持部材61と第2保持部材62とを構造的に連結する連結部材63と、を備え、この連結部材63が、第1保持部材61および第2保持部材62の内側端部から上方に突出するアーチ形状に形成されるとともに、アーチ形状を維持するための剛性部63aと、上方からの荷重により上下方向に撓む可撓部63bとを有するものから構成されている。
【0061】
この構成により、アッパーフレーム11から連結部材63が荷重を受けたときに、剛性部63aによってアーチ形状を維持したまま、可撓部63bにおいて撓んで荷重を吸収し、第1保持部材61および第2保持部材62に荷重が伝わることを防止することができる。また、可撓部63bが撓んで荷重を吸収できるため、連結部材63とその上部のアッパーフレーム11との隙間を増大する必要がないため、設置スペースが増大することを防止することができる。
【0062】
したがって、設置スペースを増大することなく、上方からの荷重によって組電池2の電極が変形、損傷することを防止することができる。
【0063】
また、本実施の形態では、剛性部63aが、剛性維持用のリブを有し、可撓部63bが、平板形状に形成されたものからなるよう構成されている。
【0064】
この構成により、剛性部63aがリブを備えることで、剛性部63aに剛性を与えることができるとともに、可撓部63bを剛性維持用のリブを有さない平板形状に形成することで、可撓部63bに容易に可撓性を与えることができる。
【0065】
また、本実施の形態では、可撓部63bが、連結部材63の下端部に設けられたものから構成されている。
【0066】
この構成により、連結部材63の下端部に配置された可撓部63bにおいて荷重を吸収するために上下方向に撓むこととなり、連結部材63の全体的なアーチ形状を剛性部63aにより維持することができる。
【0067】
以上説明したように、本発明は、設置スペースを増大することなく、上方からの荷重によって組電池の電極が変形、損傷することを防止することができるものであり、特に組電池の複数の電池セルを直列に接続するバスバーモジュールに有用である。
【符号の説明】
【0068】
1 バスバーモジュール
2 組電池
3 バスバー
3a、4a 電極挿通孔
4 電圧検出端子
5 電線
6 保持部材
8 ナット
10 電源装置
11 アッパーフレーム
20 電池セル
21 電池セル本体
22 正電極
23 負電極
61 第1保持部材
62 第2保持部材
63 連結部材
63a 剛性部
63b 可撓部
63c、63d 屈曲部
71 バスバー収容部
72 電線配索部
図1
図2
図3
図4