(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のオイルセパレータは、膨張室の底部に分離した油分を含む液体であるドレンを溜めている。この空気から分離した油分には水分も含まれるため、空気から分離された水分が多い際には、ドレンが短い期間で貯留量の限度まで溜まり、ドレンの回収時期が早くなるおそれがある。そこで、ドレンの回収時期を長期化したオイルセパレータが求められていた。
【0008】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドレンの回収時期を長期化したオイルセパレータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
請求項1に記載の発明は、
コンプレッサで圧縮された圧縮空気を
筐体内に導入して衝突板に衝突させることで
当該圧縮空気に含まれる油分を分離して回収するオイルセパレータにおいて、前記衝突板と空間とから構成され、導入口よりも横断面積が大きい膨張室と、前記膨張室の下部を加熱する加熱手段と、を備えたことをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、膨張室の下部に過熱手段を備えたので、衝突板に衝突して膨張室の下部に溜まったドレンが加熱手段によって加熱され、油分とともに溜まった水分を蒸発させることができる。よって、溜まったドレンから水分を減らすことで油分の濃度を高め、貯留量を減らすことができ、ひいてはドレンの回収時期を長期化することができる。ここで、ドレンとは油分と水分とを含む液体である。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のオイルセパレータにおいて、前記筐体の下部には、前記加熱手段を収容する収容部が設けられ、前記加熱手段は、前記筐体を加熱することをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、筐体の下部に設けられた収容部に加熱手段が収容されて、加熱手段が筐体を加熱するので、加熱手段が油分と水分とを含むドレンによって劣化することを抑制することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のオイルセパレータにおいて、前記筐体の下部には、前記加熱手段を前記筐体内に挿入する挿入孔が設けられ、前記加熱手段は、前記膨張室の下部に溜まったドレンを加熱することをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、筐体の下部に設けられた挿入孔から加熱手段が挿入されて、加熱手段がドレンを直接加熱するので、加熱手段からドレンへの熱伝達が高く、ドレンを間接的に加熱するよりも効率良く加熱することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオイルセパレータにおいて、前記筐体の下部に分離した油分を溜めるドレン溜め部を備え、前記ドレン溜め部において分離した水分のみを前記加熱手段が加熱することをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、ドレン溜め部において水分のみに分離して、この水分を加熱手段で蒸発させるので、水分を蒸発させるために必要な熱量を抑制して、水分を蒸発させることができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のオイルセパレータにおいて、前記ドレン溜め部は、取り外し可能な着脱機構を備えることをその要旨としている。
同構成によれば、着脱機構によってドレン溜め部が筐体から取り外しできるので、ドレン溜め部を洗浄することができる。特に、ドレン溜め部の内壁に油分が付着した際には、油分の除去が容易となる。また、ドレン溜め部を使い捨てにすれば、油分を容易に回収することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、オイルセパレータにおいて、ドレンの回収時期を長期化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
以下、本発明のオイルセパレータをエアドライヤの排気系統に具体化した第1の実施形態について
図1〜
図7を参照して説明する。
【0021】
図1に示されるように、トラック、バス、建機等の車両は、コンプレッサ1から送られる圧縮空気を利用してブレーキやサスペンション等のシステムを制御している。このため、エア系統のコンプレッサ1の下流には、圧縮空気中の油水分を除去し、乾燥空気を提供するためのエアドライヤ2が設けられている。エアドライヤ2内には、乾燥剤が設けられている。そして、エアドライヤ2は、油水分を除去する除湿作用と、乾燥剤に吸着させた油水分を取り除き外部に放出する再生作用とを行う。
【0022】
そこで、本実施例では、乾燥剤の再生時にエアドライヤ2から放出される空気(パージエア)には水分とともに油分も含まれるため、環境負荷を考慮してエア系統のコンプレッサ1の下流にオイルセパレータ3を設ける。特に、オイルセパレータ3は、エアドライヤ2の排気系統に設けられ、エアドライヤ2を再生する際に排出されるパージエアから油水分を分離して回収する。
【0023】
オイルセパレータ3は、油水分を含んだ空気が衝突する複数の衝突板を筐体内に設けた衝突板方式である。この衝突板方式のオイルセパレータ3は、油水分を含んだ空気を衝突板に衝突させて気液分離を行うことで油分を回収し、清浄エアを排出する。
【0024】
図2に示されるように、オイルセパレータ3は、水平方向に延出した直方体状の筐体11である。筐体11の長手方向の対向する正面12と背面13とには、導入口14と排出口15とがそれぞれ形成されている。すなわち、オイルセパレータ3は、
図2の左側から右側へ空気が通過するようになっている。
【0025】
筐体11の底面には開口部16が形成されている。筐体11の底面には空気から分離した油水分を含むドレンを溜めるドレン溜め部50がボルト21とナット22とによって取り付けられている。ドレン溜め部50は、上方が開口した箱状である。なお、ボルト21とナット22とにより取付機構が着脱機構を構成している。
【0026】
また、筐体11の底面の開口部16には、筐体11の内部とドレン溜め部50とを連通するドレン連通孔46が複数形成されたドレン連通部45が嵌装されている。なお、ドレン連通部45の開口部16への嵌装機構が着脱機構を構成している。また、排出口15が形成された側のドレン溜め部50の底面51には、ドレンを排出するドレン排出口17が形成されている。
【0027】
また、筐体11の上面には開口部18が形成されている。開口部18は、長方形状の蓋19によって閉蓋されている。開口部18と蓋19との間には、開口部18の全面を覆う密閉シート20が挟まれている。蓋19と密閉シート20と筐体11とは、複数のボルト21とナット22によって締め付け固定されている。蓋19は、収容される部材の移動を規制する。
【0028】
図3に示されるように、筐体11内の長手方向における中央部分には、板状の隔壁30が設けられている。筐体11は、隔壁30によって、導入口14側を一次膨張室31と、排出口15側を二次膨張室32とに水平方向において区画されている。一次膨張室31と二次膨張室32との横断面積は、導入口14の横断面積よりも大きく形成されている。このため、導入された空気は膨張して通過速度が遅くなる。空気の通過速度が遅くなることによって、さらに、飽和水蒸気圧が低下し油水分が凝集し易くなり、粒子の質量が増加して衝突板に衝突し易くなる。
【0029】
隔壁30の上部には、貫通孔(オリフィス孔)30aが一箇所形成されている。よって、この隔壁30は、オリフィス孔30aによってオリフィスとして機能する。また、隔壁30の開口部16近傍の下部には、貫通孔が一箇所形成され、空気から分離して回収したドレンを膨張室31,32間で通過させる連通孔33が設けられている。
【0030】
また、筐体11内の隔壁30の両側には、対向する一対の衝突板34,35がそれぞれ設けられている。上流側の第1衝突板34は、筐体11の開口部16から蓋19まで延出する第1立設板34aと、筐体11の長手方向において排出口15側へ第1立設板34aから垂直に延出する第1邪魔板34bとを備えている。第1衝突板34の第1立設板34aには、衝突板34,35の幅方向に延びる長方形状の第1貫通孔34cが第1邪魔板34bの接続部よりも下方に形成されている。
【0031】
また、下流側の第2衝突板35は、筐体11の開口部16から蓋19まで延出する第2立設板35aと、筐体11の長手方向において導入口14側へ第2立設板35aから垂直に延出する第2邪魔板35bとを備えている。第2衝突板35の第2立設板35aには、第2邪魔板35bの衝突板34,35の幅方向に延びる長方形状の第2貫通孔35cが第2邪魔板35bの接続部よりも上方に形成されている。
【0032】
そして、第1邪魔板34bと第2邪魔板35bとは、流路を邪魔するように突出しており、互いの大きい面を近接させることで狭い隙間である極狭部36が形成されている。ここで、第1邪魔板34bが第2邪魔板35bよりも蓋19側に位置している。極狭部36によって空気の通過速度が速くなり、さらに蛇行流路が形成されていることにより油水分粒子の板への衝突機会が増加し、空気から油水分が分離される。また、邪魔板34b,35bがあることにより、落下した油水分が通過するエアによって巻き上げられて下流側へ運ばれないようになり、ドレンの採取量の減少を抑制できる。第1衝突板34及び第2衝突板35の開口部16近傍の下部には、貫通孔が一箇所形成され、空気から分離して回収したドレンを通過させる連通孔33が設けられている。
【0033】
一次膨張室31は一対の衝突板34,35と空間とから構成されている。導入口14と一対の衝突板34,35との間の空間には、複数の孔が開いたパンチングメタル板37が片側に取り付けられたウレタンフォーム(スポンジ等)38が設置されている。ウレタンフォーム38は油水分を捕獲する。
【0034】
二次膨張室32も一対の衝突板34,35と空間とから構成されている。一対の衝突板34,35と排出口15との間の空間には、複数の孔が開いたパンチングメタル板37に両側を挟まれたクラッシュドアルミ39が設置されている。クラッシュドアルミ39はさらに油水分を捕獲する。
【0035】
各膨張室31,32には、筐体11の強度を高めるリブ40がそれぞれ設けられている。また、ドレン溜め部50には、強度を高めるためのリブ52が4箇所設けられている。また、ドレン連通部45のドレン連通孔46は、各膨張室31,32に二つずつ形成され、ウレタンフォーム38、各衝突板34,35、クラッシュドアルミ39のそれぞれに対応している。
【0036】
図4に示されるように、ドレン連通部45とドレン溜め部50とは、筐体11に着脱可能である。すなわち、筐体11の開口部16にドレン連通部45を嵌着し、筐体11の底面にドレン溜め部50を装着する。このため、ドレン連通部45とドレン溜め部50とを筐体11から取り外すことで、ドレン連通部45とドレン溜め部50とに溜まったドレンを容易に取り除くことができる。
【0037】
図5に示されるように、筐体11の下部に取り付けられたドレン溜め部50は、中空であって、ドレンをドレン連通部45の下面まで溜めることができる。
図6に示されるように、ドレン溜め部50のリブ52の底面51側には、加熱手段としてのヒータ41を収容する円柱状の収容部23が形成されている。ドレン溜め部50の外面にはヒータ41を挿入する挿入口24が形成され、挿入口24から収容部23に貫通している。ヒータ41は、円柱状であって、ドレン溜め部50の外面から収容部23に挿入して設置されている。ヒータ41は、電源に接続されている。
【0038】
また、ドレン溜め部50の外面の挿入口24の上方には、サーモスタット42を取り付ける取付穴25が形成されている。サーモスタット42は、取付穴25に取り付けられ、電源とヒータ41に接続されている。サーモスタット42は、ドレン溜め部50の温度を検出して、ヒータ41の加熱を制御する。ヒータ41によってドレン溜め部50を加熱することで、ドレン溜め部50の底面に溜まったドレンに含まれる水分を極力蒸発させ、油分の濃度が高いドレンを生成する。
【0039】
次に、前述のように構成されたオイルセパレータの作用について説明する。
導入口14から一次膨張室31内に導入された空気は、ウレタンフォーム38によって油水分が捕獲されながら通過して、一次膨張室31の第1衝突板34の第1貫通孔34cを通過する。このとき、第1貫通孔34c以外の第1立設板34aに衝突した油水分が空気から分離される。そして、第1貫通孔34cを通過した空気は、第1邪魔板34bと第2邪魔板35bとによって形成された極狭部36に向かい通過する。このとき、第2立設板35aと第2邪魔板35bとに衝突した油水分が空気から分離される。
【0040】
ウレタンフォーム38によって捕獲された水分と油分とを含むドレンは、ウレタンフォーム38内をつたってウレタンフォーム38の下方に位置するドレン連通孔46からドレン溜め部50に落下して、ドレン溜め部50に溜まる。また、一次膨張室31の第1衝突板34に衝突して分離されたドレンは、第1衝突板34の連通孔33を通過して、衝突板34,35の下方に位置するドレン連通孔46からドレン溜め部50に落下して、ドレン溜め部50に溜まる。
【0041】
極狭部36を通過した空気は、第2立設板35aの第2貫通孔35cを通過して隔壁30のオリフィス孔30aに向かい通過する。このとき、オリフィス孔30a以外の隔壁30に衝突した油水分が空気から分離される。一次膨張室31の第2衝突板35に衝突して分離されたドレンは、第2衝突板35の連通孔33を通過して、衝突板34,35の下方に位置するドレン連通孔46からドレン溜め部50に落下して、ドレン溜め部50に溜まる。
【0042】
隔壁30のオリフィス孔30aを通過した空気は、二次膨張室32の第1立設板34aの第1貫通孔34cを通過する。このとき、第1貫通孔34c以外の第1立設板34aに衝突した油水分が空気から分離される。そして、第1貫通孔34cを通過した空気は、第1邪魔板34bと第2邪魔板35bとによって形成された極狭部36に向かい通過する。このとき、第2立設板35aと第2邪魔板35bとに衝突した油水分が空気から分離される。
【0043】
隔壁30に衝突して分離されたドレンは、隔壁30の連通孔33と二次膨張室32の第1衝突板34の連通孔33を通過して、衝突板34,35の下方に位置するドレン連通孔46からドレン溜め部50に落下して、ドレン溜め部50に溜まる。
【0044】
極狭部36を通過した空気は、第2立設板35aの第2貫通孔35cを通過してクラッシュドアルミ39に向かい通過する。このとき、クラッシュドアルミ39に導入された空気は、クラッシュドアルミ39によってさらに油水分が捕獲されながら通過して、排出口15から油分を含まない清浄エアが外部に排出される。
【0045】
二次膨張室32の第1衝突板34に衝突して分離されたドレンは、第1衝突板34の連通孔33を通過して、衝突板34,35の下方に位置するドレン連通孔46からドレン溜め部50に落下して、ドレン溜め部50に溜まる。また、二次膨張室32の第2衝突板35に衝突して分離されたドレンは、第2衝突板35の連通孔33を通過して、衝突板34,35の下方に位置するドレン連通孔46からドレン溜め部50に落下して、ドレン溜め部50に溜まる。また、クラッシュドアルミ39によって捕獲されたドレンは、クラッシュドアルミ39内をつたってクラッシュドアルミ39の下方に位置するドレン連通孔46からドレン溜め部50に落下して、ドレン溜め部50に溜まる。
【0046】
ドレン溜め部50に溜まったドレンは、ヒータ41によって加熱されてドレン内の水分が蒸発される。そして、油分の濃度が高いドレンがドレン排出口17から排出される。ドレン溜め部50内に溜まったドレンを除去する際には、筐体11からドレン溜め部50を取り外すことで内部を洗浄できる。
【0047】
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)膨張室31,32の下部にヒータ41を備えたので、衝突板34,35に衝突して膨張室31,32の下部に溜まったドレンがヒータ41によって加熱され、油分とともに溜まった水分を蒸発させることができる。よって、溜まったドレンから水分を減らすことで油分の濃度を高め、貯留量を減らすことができ、ひいてはドレンの回収時期を長期化することができる。さらに、ヒータ41によって筐体11を加熱することで、寒冷地において水分が凍結してドレンをドレン排出口17から排出できない状態になることを防止することができる。
【0048】
(2)筐体11の下部に設けられた収容部23にヒータ41が収容されて、ヒータ41が筐体11を加熱するので、ヒータ41が油分と水分とを含むドレンによって劣化することを抑制することができる。
【0049】
(3)ボルト21とナット22による着脱機構によってドレン溜め部50が筐体11から取り外しできるので、ドレン溜め部50を洗浄することができる。特に、ドレン溜め部の内壁に油分が付着した際には、油分の除去が容易となる。また、ドレン溜め部を使い捨てにすれば、ドレンを容易に回収することができる。
【0050】
(第2の実施形態)
以下、本発明のオイルセパレータをエアドライヤの排気系統に具体化した第2の実施形態について、
図7及び
図8を参照して説明する。この実施形態のオイルセパレータは、ドレン溜め部に溜めたドレンから水分を分離してからヒータで加熱する点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態のオイルセパレータは、
図1に示す第1の実施形態のオイルセパレータとほぼ同様の構成を備えている。
【0051】
図7に示されるように、筐体11の下部には、回収したドレンを溜める第1ドレン受け55が設けられている。第1ドレン受け55は、筐体11の長手方向に沿って二次膨張室32側ほど深くなるように傾斜している。第1ドレン受け55の二次膨張室32側の外面には、箱状の第2ドレン受け57が設けられている。そして、第1ドレン受け55と第2ドレン受け57とは底面近くで連通され、ドレンに含まれる水分のみが第1ドレン受け55から第2ドレン受け57に移動するようになっている。連通部分には油分の侵入を防ぐドレンフィルタ56が設置されている。第2ドレン受け57の底面近くには、ドレンを加熱するヒータ41が設置されている。また、第2ドレン受け57の上面には、水分のみが外部排出されるように水蒸気のみを通す水蒸気フィルタ58が設置されている。
【0052】
また、第1ドレン受け55においてドレンに含まれる水分と油分とが分離し難い場合には、第1ドレン受け55に分離試薬を投入して、油分を分離させることが望ましい。
次に、前述のように構成されたオイルセパレータ3の作用について
図8を参照して説明する。
【0053】
図8に示されるように、一次膨張室31、衝突板34,35、二次膨張室32によって空気から油分が分離されることで、油分を含まない洗浄エアが外部に排出される。そして、一次膨張室31、衝突板34,35、二次膨張室32によって空気から分離して回収されたドレンは、第1ドレン受け55に溜められる。
【0054】
第1ドレン受け55に溜められたドレンは、油分の濃度が高く、水分と油分とが分離すると油分が上方へ移動して、水分が下方へ移動する。第1ドレン受け55に溜められたドレンは、ドレンフィルタ56を通過して第2ドレン受け57に移動する。第2ドレン受け57に溜められたドレンは、水分が下方へ移動しているので、油分の濃度が低くなる。
【0055】
第2ドレン受け57に溜められたドレンは、ヒータ41によって加熱されて蒸発される。ヒータ41の加熱によって発生した水蒸気は、水蒸気フィルタ58を介して外部に排出される。
【0056】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(3)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(4)第1ドレン受け55において水分のみに分離して、この水分をヒータ41で蒸発させるので、水分を蒸発させるために必要な熱量を抑制して、水分を蒸発させることができる。
【0057】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記実施形態では、筐体11の開口部18と蓋19との間に密閉シート20を設けたが、密閉シート20を省略してもよい。なお、筐体11の開口部18と蓋19との間において密閉が保たれることが望ましい。
【0058】
・上記実施形態では、立設板34a,35aに対して垂直に延出した邪魔板34b,35bを設けたが、極狭部36を維持できれば、邪魔板34b,35bを立設板34a,35aに対して垂直に形成しなくてもよい。
【0059】
・上記実施形態では、一対の邪魔板34b,35bからなる極狭部36を設けたが、複数が互いに対となる邪魔板からなる極狭部を設けてもよい。
・上記実施形態では、隔壁30の下部に連通孔33を形成したが、各膨張室31,32にドレン排出口17を形成した場合には、隔壁30の連通孔33を省略してもよい。
【0060】
・上記実施形態では、蓋19によって衝突板34,35や隔壁30、ウレタンフォーム38、クラッシュドアルミ39等の移動を規制した。しかしながら、衝突板34,35や隔壁30、ウレタンフォーム38、クラッシュドアルミ39等が固定されていれば、蓋19による移動規制をなくしてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、一次膨張室31にクラッシュドアルミ39を設置したが、クラッシュドアルミ39に代えてウレタンフォーム38を設置してもよい。
・上記実施形態では、ウレタンフォーム38→衝突板34,35→隔壁30(オリフィス孔30a)→衝突板34,35→クラッシュドアルミ39の順で配置した。しかしながら、エアドライヤ2(コンプレッサ1)から排出される油水分量によって、これらの配置を代えたり、一部の部材を省略したり、一部の部材を増加したり、部材を変更したりしてもよい。
【0062】
・上記構成において、ウレタンフォーム38やクラッシュドアルミ39がドレン連通部45と接する部分にドレン連通孔46を設けると、ドレンの落下を促進し、ドレンの膨張室31,32への巻き上げを抑制することができる。
【0063】
・上記実施形態では、各膨張室31,32を水平方向に併設したが、垂直方向に併設してもよい。
・上記実施形態では、導入口14を正面12に形成し、排出口15を背面に形成したが、垂直方向に空間の余裕があれば、上面の蓋19や開口部16に導入口14や排出口15を形成してもよい。
【0064】
・上記実施形態では、筐体11とドレン溜め部50との着脱機構をボルト21とナット22としたが、係合構造等の他の構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、筐体11とドレン連通部45との着脱機構を嵌装構造としたが、係合構造等の他の構成を採用してもよい。
【0065】
・上記実施形態では、ヒータ41によってドレン溜め部50を加熱したが、ドレン溜め部50に溜められたドレン自体を直接加熱してもよい。例えば、
図9に示されるように、ドレン溜め部50の側面にヒータ41を挿入する挿入孔53を形成し、挿入孔53からヒータ41を挿入する。このヒータ41は、溜まったドレンを直接加熱する。また、サーモスタット42は、正確な温度制御を行うためにドレン溜め部50の内壁に設置される。このようにすれば、ヒータ41からドレンへの熱伝達が高く、ドレンを間接的に加熱するよりも効率良く加熱することができる。
【0066】
・上記構成において、ドレン溜め部50を省略して筐体11の内部にドレンを溜めるようにしてもよい。この場合、ヒータ41を筐体11のリブ40に設ける。
・上記第1の実施形態では、ヒータ41をリブ52(40)に設置したが、ヒータ41をリブ52(40)以外の場所に設置してもよい。
【0067】
・上記構成において、ヒータ41の数量は必要に応じて変更可能である。
・上記実施形態では、一次膨張室31と二次膨張室32とをほぼ同じ大きさとしたが、一次膨張室31の容積よりも二次膨張室32の容積を大きくしてもよい。このようにすれば、飽和水蒸気圧がさらに低下して油水分が凝集し易くなり、粒子の質量が増加して衝突板に衝突し易くなる。よって、二次膨張室32において一次膨張室31よりも空気から分離した多くの油水分を溜めることができる。
【0068】
・上記実施形態では、オイルセパレータ3をエア系統のコンプレッサ1の下流であるエアドライヤ2の排気系統に設けた。しかしながら、
図10に示されるように、オイルセパレータ3をエア系統のコンプレッサ1の下流であってエアドライヤ2の上流に設けてもよい。このようにすれば、コンプレッサ1の潤滑油等が含まれる空気から油分を分離して、清浄エアをエアドライヤ2に供給することができる。よって、エアドライヤ2に設けられる乾燥剤における油分による劣化を抑制することができる。
【0069】
・上記実施形態では、トラック、バス、建機等の車両においてエアドライヤ2が設けられたエア系統にオイルセパレータ3を設けたが、油水分を含む空気から油分を分離する用途であればどこでも使うことができる。例えば、工場等で圧縮空気を乾燥させるエアドライヤからの大気への排気をオイルセパレータによって清浄してもよい。