(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
AC入力の電圧値を示す電圧検出信号に基づいて前記AC入力の電圧データをサンプリングさせる電圧データ取得処理と、前記電圧データのうち第1の電圧データと当該第1の電圧データのサンプルタイミングより後にサンプリングされる第2の電圧データとの差分値を算出する増減値算出処理と、前記第2の電圧データのサンプルタイミングより後のサンプルタイミングに対応する推定電圧データを前記差分値に基づいて算出する推定電圧データ算出処理と、を機能させる推定電圧データ演算装置において、
前記推定電圧データは、前記第2の電圧データと前記差分値と位相補償値との総和によって算出され、
前記位相補償値をΔVkとし、第1のサンプルタイミングと第2のサンプルタイミングとの時間間隔をΔtdとし、前記時間間隔について算出される前記差分値をΔVdとし、前記位相補償値に対応するオフセット期間をΔtkとし、Δtk/Δtdの解に基づいて定まる整数値をmとすると、
前記位相補償値ΔVkは、ΔVk=m・ΔVd,によって常にサンプルタイミングに対応して決定されることを特徴とする推定電圧データ演算装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昇圧チョッパー回路等の電力変換回路を制御させる場合、入力電圧を推定し、現時点よりも先行して後の制御信号(PWM信号)を設定し、この制御信号に基づいて電力変換回路を制御させる技術がある。一例を挙げると、交流電源の入力値の推定演算処理では、入力電圧を表したサイン波形データを用い、交流電源の位相を特定することで、推定すべき時刻での入力電圧値(推定電圧データ)をサイン波形データに基づき算出させている。
【0006】
しかしながら、上述のような推定演算処理によれば、電力ネットワークへ接続されている負荷変動が生じると、これに応じて、交流電源の電圧波形も変動するため、正確な入力電圧の値を推定することが出来ない。また、交流電圧の振幅変動をサイン波形データへ反映させることも考えられるが、このような推定演算処理を採用したとしても、交流電源の周波数誤差(50Hz又は60Hzに対して、0.2Hz以内)を修正させることは不可能である。
【0007】
本発明は上記課題に鑑み、交流電源の電圧変動を推定電圧データへ反映させることが可能な推定電圧データ演算装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明では次のような推定電圧データ演算装置の構成とする。即ち、AC入力の電圧値を示す電圧検出信号に基づいて前記AC入力の電圧データをサンプリングさせる電圧データ取得処理と、前記電圧データのうち第1の電圧データと当該第1の電圧データのサンプルタイミングより後にサンプリングされる第2の電圧データとの差分値を算出する増減値算出処理と、前記第2の電圧データのサンプルタイミングより後のサンプルタイミングに対応する推定電圧データを前記差分値に基づいて算出する推定電圧データ算出処理と、を機能させる推定電圧データ演算装置において、
前記推定電圧データは、前記第2の電圧データと前記差分値と位相補償値との総和によって算出され、
前記位相補償値をΔVkとし、第1のサンプルタイミングと第2のサンプルタイミングとの時間間隔をΔtdとし、前記時間間隔について算出される前記差分値をΔVdとし、前記位相補償値に対応するオフセット期間をΔtkとし、Δtk/Δtdの解に基づいて定まる整数値をmとすると、
前記位相補償値ΔVkは、ΔVk=m・ΔVd,によって常にサンプルタイミングに対応して決定されることとする。
【0009】
好ましくは、前記推定電圧データは、前記第2の電圧データと前記差分値とを加算させることで算出されることとする。
【0010】
好ましくは、前記第2の電圧データに対応するサンプルタイミングは、前記第1の電圧データに対応するサンプルタイミングの直後に到来するサンプルタイミングであって、前記推定電圧データは、前記第2の電圧データに対応するサンプルタイミングの直後に到来するサンプルタイミングでの推定電圧を示すものであることとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る推定電圧データ演算装置によると、既に取得された電圧データを用いて入力電圧の変動量を算出し、当該変動量に基づいて推定電圧データを算出させている。従って、予測値として算出される推定電圧データは、電圧データの変動量にAC電源電圧の変動状態が含まれることとなり、AC電源電圧の変動状態が反映されることとなる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態に係るAC/DC電力変換装置が示されている。AC/DC電力変換装置100は、交流電源AC(即ち、AC入力を指す)に接続された整流部110と、入力電圧検出部120と、コンバータ部130と、制御装置140と、から構成されている。尚、本実施の形態にあっては、交流電源ACが50Hz又は60Hzの商用電源であるとする。
【0016】
整流部110は、各々のダイオードがブリッジ状に接続されている。整流部110では、電源電圧Vacを全波整流させ、これを後段回路へ出力させている。以下、整流部110から出力される電圧を、整流電圧と呼ぶことがある。また、整流部110の出力点には、バスラインBH及びBLが各々接続されている。
【0017】
同図によると、入力電圧検出部120は、分圧抵抗r1〜r2が用いられている。当該分圧抵抗r1〜r2の両端はバスラインに接続されている。また、抵抗r1と抵抗r2との接点は、信号ラインが接続され、整流電圧の値に比例する電圧検出信号SGvが出力される。即ち、電圧検出信号SGvは、AC入力の電圧値を示す信号であり、以下便宜的に検出信号と呼ぶこととする。
【0018】
コンバータ部130は、所謂PFCコンバータであって、バスラインBHに介挿されたリアクトルL及びダイオードDと、パワートランジスタTrと、これにゲート信号を与えるドライブ回路Drvと、ダイオードDのカソード側に接続された平滑コンデンサCpとが設けられている。ドライブ回路Drvは、PWM-ICと増幅回路とが設けられ、制御装置から出力信号SGtを受けると、これに比例するPWM信号を生成し、当該PWM信号の電圧値を調節してパワートランジスタTrへ出力させる。PFCコンバータは、パワートランジスタTrが駆動されると、整流電圧に相似形の電流三角波を連続的に形成させ、力率を1に近づける制御が行われると供に、デューティを適宜に調整されることで出力電圧を一定値に制御させている。
【0019】
制御装置140は、中央演算処理回路141と、不揮発性メモリ回路143と、A/D変換回路144と、揮発性メモリ回路145と、D/A変換回路146をはじめとする要素回路が配備され、プログラムと協働して適宜の機能を構築させる。
【0020】
中央演算処理回路141は、プログラムで規定された指令によって、出力信号演算部を構築させる。当該出力信号演算部は、メモリ回路の記憶領域に記録された入力値情報を参照し、ドライブ回路Drvへ与える出力信号SGtを設定する。
【0021】
この他、中央演算処理回路141では、適宜のプログラムが起動され、電圧データの増減値算出処理と、推定電圧データ算出処理といった入力電圧の推定演算に関係する処理機能が構築される。これらの処理機能については、追って詳述することとする。
【0022】
図示の如く、中央演算処理回路141は、CPUバス142を介して、A/D変換回路及びメモリ回路等の要素回路へ適宜接続されている。このCPUバス142は、データバスによって情報の授受が行われ、アドレスバスによってメモリ回路の記憶領域のアドレスを指定し、コントロールバスによってタイミング等の制御信号を伝えている。
【0023】
不揮発性メモリ回路143は、「Read only Memory」と呼ばれるメモリ回路であって、電源の供給状態に関わらず、記憶領域の情報が維持される。本実施の形態では、当該不揮発性メモリ回路143の記憶領域に各種プログラムが記録されている。
【0024】
A/D変換回路144は、検出信号SGvに基づいてAC入力の電圧データをサンプリングさせている。当該A/D変換回路144は、複数チャンネルのADレジスタが内蔵されている。このADレジスタは、サンプリングタイミングが到来すると、検出信号SGvに基づく読込データを作成し、これを電圧データとして順次保持する動作を実施する。本実施の形態では、A/D変換回路144におけるサンプリングタイミングが、45.5μsec毎に到来するようタイマ設定されている。そして、ADレジスタの電圧データは、サンプルタイミングに同期した中央演算処理回路141の指令に応じて、揮発性メモリ回路145へ順次格納(電気的に保持)される。
【0025】
揮発性メモリ回路145は、「Random Access Memory」と呼ばれるメモリ回路であって、SRAM又はDRAM等がこれに属する。揮発性メモリ回路145は、A/D変換回路144でサンプリングされた電圧データが、所定の記憶領域へ電気的に保持される。また、この電圧データは、所定の指令に応じて、中央演算処理回路141のデータレジスタへ適宜に読み込まれる。
【0026】
D/A変換回路146は、出力信号演算部の処理結果に応じて、適宜の出力信号をSGt出力させる。かかる出力信号SGtは、デューティ情報が含まれた信号であって、ドライブ回路Drvの構成によってはPWM信号とされていても良い。
【0027】
かかる構成を具備するAC/DC電力変換装置100は、出力信号演算部の機能によって出力信号SGtを生成出力させ、ドライブ回路Drvを介してパワートランジスタTrをオン/オフ制御させる。そして、パワートランジスタTrは、印加されたPWM信号のDUTY比に応じて動作し、平滑コンデンサCpの電圧値を制御させる。また、かかる制御を行う為、制御装置140では、AC入力の検出信号SGvをデジタル情報化し、これを電圧データとして揮発性メモリ回路145へ格納させる。
【0028】
更に、本実施例に係る制御装置140では、この電圧データを用いて、当該電圧データの差分値を算出する増減値算出処理,推定電圧データを算出する推定電圧データ算出処理,等の推定電圧データの算出に関わる種々の処理が実施される。これらの処理によって構築される制御装置の機能部を、推定電圧データ演算装置140と呼び換えることとする。以下、実施例を参照し、これらの処理について具体的に説明する。
【実施例1】
【0029】
図2は、サンプリングタイミングtnと、これに対応する電圧データVi(n)及び推定電圧データVpnとが示されている。本実施例によると、サンプルタイミングの間隔は、45.5μsecに設定されており、これをサンプル間隔Δtcと呼ぶ。また、同図では、現在時刻のサンプルタイミングをtnとする。従って、サンプルタイミングtn+1は、tnから起算して45.5μsec後を示すものであり、サンプルタイミングtn+2は、tnから起算して91.0μsec後を示すものである。即ち、サンプルタイミングtnの右側は将来を示し、同tnの左側は過去を示すものである。
【0030】
サンプルタイミングtnでの電圧データVi(n)の検出データ作成及び揮発性メモリ回路への格納(以下、データの取得と呼ぶ)が完了すると、揮発性メモリ回路(以下、メモリ回路と呼ぶ)の記憶領域には、電圧データVi(n−2),この直後に到来する電圧データVi(n−1),及び,Vi(n−1)の直後に到来する電圧データVi(n),が格納されたことになる。ここで、現在のサンプルタイミングtnに対応する処理では、サンプルタイミングtn−1に対応するVi(n−1)を第1の電圧データと呼び、サンプルタイミングtnに対応するVi(n)を第2の電圧データと呼ぶこととする。
【0031】
第2の電圧データVi(n)が取得されると、増減値算出処理が起動され、当該処理では、次式の如く、第2の電圧データVi(n)と第1の電圧データVin(n−1)との差分値ΔVt(n)を算出させる。
ΔVt(n)=Vi(n)−Vi(n−1) ・・・式1
【0032】
差分値ΔVt(n)は、サンプルタイミングtnにおける、電圧デ−タ間の増減状態を示す。特に、この差分値ΔVt(n)は、交流電源の変動が反映されるパラメータであり、電圧波形の振幅変動及び電圧波形の周波数変動を反映させることとなる。即ち、電圧波形の振幅の増加が生じれば、差分値は増加傾向を示し、電圧波形の周波数変動が生じれば、随時、差分値が微調整されることとなる。
【0033】
かかる演算処理が完了すると、推定電圧データ算出処理が起動され、当該処理では、第2の電圧データVi(n)の後に到来する推定電圧データVp(n+1)を算出する。本実施例では、サンプルタイミングtn+1に対応する推定電圧データVp(n+1)を算出させている。
Vp(n+1)=Vi(n)+ΔVt(n) ・・・式2
【0034】
本実施例では、式2に示す如く、推定電圧データVp(n+1)が、電圧データVi(n)及び差分値ΔVt(n)の和によって算出される。従って、推定電圧データ算出処理では、正弦波演算のような複雑な算出処理を用いずとも、簡素かつ容易な演算処理で、電圧データの推定が可能となる。また、式2に示す如く、右辺の各項の成分は既に算出された値である為、サンプルタイミングtnにおいて将来にあたるtn+1の電圧データの予測を可能とさせている。
【0035】
更に、本実施例によって算出された推定電圧データVp(n+1)は、差分値ΔVt(n)を成分とするところ、AC電源の電圧波形の変動が反映され、其の振幅変動及び周波数変動に応じて、誤差の少ない推定値が算出されることとなる。この点において、AC電源の変動を考慮していない従来技術と比較して、応答性の高い信号処理を実現できる。
【0036】
尚、推定電圧データ算出処理は、サンプルタイミングがtn+1に対応して起動された場合、電圧データVi(n+1)及び差分値ΔV(n+1)に基づいて、時刻tn+2に対応する推定電圧データVp(n+2)を算出させる。このように、当該処理では、サンプルタイミングが進むにつれ、順次、直後のサンプルタイミングでの電圧データの推定が行われる。
【0037】
上述の如く、本実施例に係る推定電圧データ演算装置140によると、既に取得された電圧データを用いて入力電圧の変動量を算出し、当該変動量に基づいて推定電圧データを算出させている。従って、予測値として算出される推定電圧データは、電圧データの変動量にAC電源電圧の変動状態が含まれることとなり、AC電源電圧の変動状態が反映されることとなる。そして、かかる誤差を幾分でも抑える処理を採用することで、応答性の高い制御を実現させる。
【0038】
尚、本実施例では、差分値及び推定電圧データがサンプルタイミング毎に算出されているが、特許請求の範囲に記載される発明は、これに限定されるものではない。例えば、差分値及び推定電圧データを算出するタイミングを、tn,tn+2,tn+4,・・・,とし、演算処理に係る負担を低減させるようにしても良い。このように、差分値及び推定電圧データを算出させる時間間隔は、AD変換回路又はCPUで設定されるサンプル間隔Δtcに応じて、設計者が適宜設定すれば良い。
【実施例2】
【0039】
一般に、マイコン等の電子機器では、入力ポートにローパスフィルタが設けられるため、CRフィルタ成分に伴い検出信号の位相遅れが生じてしまう。
図3は、検出信号SGvの位相遅れの状態が示されている。同図の左側では、AC電圧の電圧値が零である瞬間を実線のベクトルで示しており、点線で示されているベクトルは、検出信号SGvの状態を示すものである。一方、同図の右側では、電圧値の時間的変化が示されており、AC電源の電圧値Vacが実線で示され、検出信号SGvの電圧値Viが点線で示されている。
【0040】
図示の如く、検出信号SGvの電圧波形の位相は、実際のAC電圧波形の位相に比べて遅れ角φが生じている。位相遅れが生じている場合、同図の時刻txを参照すると、実際のAC電圧の値がVxであるのに、検出信号SGvによって取得される電圧値は0と認識される。このように、位相遅れに応じて、電圧値の検出誤差が生じてしまう。本実施例では、かかる検出誤差を解消できるよう位相補償させるものである。
【0041】
図4は、其の位相補償方法の一例が示されている。尚、tn−1〜tn+5はサンプルタイミングを示し、Δtcは前後のサンプルタイミングの時間間隔を示し、Vac(実線曲線)はAC電圧の電圧波形を示し、Vi(破線曲線)は検出信号に基づく電圧波形を示す。また、以下の説明にあっては、tnが現在の処理に対応しているものとする。
【0042】
本実施例では、実施例1による処理と同様、今のサンプルタイミングに対応する電圧データVi(n)のデータ取得を行い、その後、差分値算出処理と推定電圧データ算出処理とが実行される。即ち、電圧データVi(n)のデータ取得が完了すると、推定電圧データ算出装置140は、メモリ回路から必要な電圧データを読み出し、差分値ΔVt(n)を算出させる。この処理が完了すると、推定電圧データ算出処理が起動され、tn+1に対応する推定電圧データVq(n+1)の算出を実施する。このように、位相補償される前の推定電圧データをVq(n+1)と表現することとする。
【0043】
その後、本実施例では位相補償処理が実施される。かかる処理では、推定電圧データVq(n+1)に対して、位相補償値ΔVk(n+1)が更に加算される。即ち、位相補償された推定電圧データVp(n+1)は、以下の算式により算出されることを意味する。
Vp(n+1)=Vi(n)+ΔVt(n)+ΔVk(n+1) ・・・式3
【0044】
本実施例では、位相補償値ΔVk(n+1)をtnに対応する処理で算出させることにより、推定電圧データVp(n+1)の位相補償を、tnの時点で完了させている。このため、本実施例にあっても、推定電圧データを用いた信号処理が可能となる。
【0045】
ここで、位相補償値ΔVk(n+1)は、推定電圧データVq(n+1)とAC電源電電圧値との差分値に相当する。データ取得されたVi(n)と推定電圧データVq(n+1)とを結ぶベクトルをVct(n)とすると、同図では、ベクトルVct(n)の延長線とtn+1でのAC電圧値を含む水平軸とがタイミングtn+5の近傍で交わっている。即ち、始点Vq(n+1)及び終点Vq(n+5)のベクトルの縦軸成分こそが、位相補償値ΔVk(n+1)とされるわけであり、この値ΔVk(n+1)は、以下の如く、差分値ΔVt(n)に基づいて算出される。
【0046】
本実施例に係る位相補償処理では、差分値ΔVt(n)と遅れ角に応じて設定されている整数値mとをメモリ回路から読込み、以下の式によって位相補償値ΔVk(n+1)を算出させる。
ΔVk(n+1)=m・ΔVt(n) ・・・式4
【0047】
整数値mは、予め実施された結果値であって、特段、CPUによって改めて算出されるものではない。この整数値mは、
N=ΔVt(n)/Δtc ・・・式5
によって算出される値を商Nとすると、この商Nに基づいて整数値mが決定される。この整数値mは、小数点以下の値を四捨五入させて決定させても良く、この他、小数点以下を切上げまたは切捨てることで決定させても良い。そして、かかる事前の検討に基づいて、位相の遅れ角に応じた整数値mが設定される。尚、タイミング間隔Δtcは、特許請求の範囲における時間間隔Δtdの一例である。また、Δtcに対応する差分値ΔVtは、特許請求の範囲における差分値ΔVdの一例である。
【0048】
本実施例では、整数値が、m=4,として設定されている。これにより、位相補償値ΔVk(n+1)の値が、tn+1でのAC電源の電圧値と推定電圧値Vq(n+1)との差に略一致することとなる。従って、式3によって算出される推定電圧データVp(n+1)は、予測値でありながら、位相補償が正確に行われることとなる。
【0049】
尚、本実施例では、CRフィルタに係る位相遅れについて言及したが、AD変換回路の処理遅れ又はCPUの演算に係る処理遅れ成分を位相補償値へ含ませても良い。
【0050】
尚、特許請求の範囲に記載される推定電圧データ演算装置は、実施例にて説明したコンバータに限定されるものでなく、パワーコンディショナーの単独運転検出装置といった、交流電圧を検出する様々な回路構成で利用することが可能である。