特許第5973204号(P5973204)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5973204カフェイン含有液状組成物及び該組成物を充填したカプセル剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5973204
(24)【登録日】2016年7月22日
(45)【発行日】2016年8月23日
(54)【発明の名称】カフェイン含有液状組成物及び該組成物を充填したカプセル剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/522 20060101AFI20160809BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20160809BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20160809BHJP
   A61P 25/26 20060101ALI20160809BHJP
【FI】
   A61K31/522
   A61K47/38
   A61K9/48
   A61P25/26
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-78534(P2012-78534)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2012-214465(P2012-214465A)
(43)【公開日】2012年11月8日
【審査請求日】2015年2月23日
(31)【優先権主張番号】特願2011-75666(P2011-75666)
(32)【優先日】2011年3月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】狩野 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】茂木 幸応
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 透
【審査官】 前田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭59−089618(JP,A)
【文献】 特開2005−187362(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0026053(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101721380(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101167709(CN,A)
【文献】 特表2004−529986(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0185141(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第101219136(CN,A)
【文献】 特表平01−501709(JP,A)
【文献】 Motoki Muraoka et al.,Evaluation of intestinal pressure-controlled colon delivery capsule containing caffeine as a model drug in human volunteers,journal of controlled release,1997年10月 6日,Vol.52,119-129
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−31/80
A61K 9/00− 9/72
A61K 47/00−47/48
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフェイン類セルロース誘導体及び水を含有する液状組成物をカプセルに充填したカプセル剤。
【請求項2】
セルロース誘導体が、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースのエステル、カルボキシアルキルセルロース又はその塩、カルボキシアルキルセルロース誘導体及びカルボキシアルキルアルキルセルロースから選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載のカプセル剤。
【請求項3】
カフェイン類が、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン及びクエン酸カフェインから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2記載のカプセル剤。
【請求項4】
液状組成物が、多価アルコールを更に含有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載のカプセル剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カフェインを含有する液状組成物及び該組成物を充填したカプセル剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カフェインは、キサンチン誘導体に分類される中枢神経興奮薬であり、解熱鎮痛作用の増強、疲労感を一時的に取り除く作用を示す。斯かる作用を期待して、解熱鎮痛剤、総合感冒薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬、乗物酔い予防薬、滋養強壮剤にカフェインは配合されている(非特許文献1)。
【0003】
しかしながら、カフェインは水溶性が低いため(非特許文献2)、結晶析出が生じやすいという問題があった。カフェインの結晶が析出すると、その効果発現に影響が生じる可能性があるばかりでなく、外観に劣るものとなり、前述の解熱鎮痛剤等の商品価値が低下する。
【0004】
このような背景の下、液状組成物中のカフェインの結晶析出を抑制する手段が検討されている。例えば、カフェインを含むカプセル充填液において、ポリエチレングリコール、乳酸及び水を組み合わせて用い、カフェインと乳酸とを特定比率で配合したもの(特許文献1)や、ポリエチレングリコール、リン酸及び水を組み合わせて用い、カフェインとリン酸とを特定比率で配合したもの(特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−089415号公報
【特許文献2】特開2006−062999号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】OTCハンドブック 2008−09 株式会社学術情報流通センター 第198−199頁
【非特許文献2】第15改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 第C−927−934頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2に記載のカプセル充填液が示すカフェインの結晶析出抑制作用は、未だ十分には満足できるものではなかった。
したがって、本発明の課題は、カフェイン類の結晶析出が抑制され、外観安定性に優れた液状組成物及び該組成物を充填したカプセル剤の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、カフェイン類にセルロース誘導体を組み合わせて用いることにより、カフェイン類の結晶析出が抑制され、外観安定性に優れた液状組成物が得られ、該組成物をカプセルに充填することで外観上良好でかつ安定なカプセル剤が得られることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、カフェイン類及びセルロース誘導体を含有する液状組成物を提供するものである。
また、本発明は、上記液状組成物をカプセルに充填したカプセル剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液状組成物は、カフェイン類の結晶析出が少なく優れた外観安定性を有する。したがって、本発明によれば、良好な外観と優れた安定性を有するカプセル剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の液状組成物は、カフェイン類及びセルロース誘導体を含有するものである。まず、これら成分について詳細に説明する。
【0012】
本発明におけるカフェイン類としては、例えば、カフェイン水和物、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン、クエン酸カフェイン等が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0013】
本発明の液状組成物中のカフェイン類の含有量は、服用者の性別、年齢、症状等に応じて、1日あたりの服用量を適宜検討して決定すればよいが、1日あたり、10〜1000mg服用できる量が好ましく、20〜800mg服用できる量がより好ましく、30〜600mg服用できる量が更に好ましい。そして、カフェイン類がカフェイン水和物及び/又は無水カフェインである場合は、1日あたり、30〜150mg服用できる量が特に好ましく、一方、安息香酸ナトリウムカフェインである場合、1日あたり、60〜300mg服用できる量が特に好ましい。
【0014】
また、上記カフェイン類の含有量は、液状組成物中、通常、0.1〜20質量%程度であるが、0.25〜10質量%が好ましく、0.5〜7.5質量%がより好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
なお、上記カフェイン類は公知の方法により製造でき、市販品を用いることもできる。
【0015】
本発明におけるセルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース等のアルキルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(ヒプロース)等のヒドロキシアルキルセルロース;ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)等のヒドロキシアルキルアルキルセルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等のヒドロキシアルキルアルキルセルロースのエステル;カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のカルボキシアルキルセルロース又はその塩;クロスカルメロースナトリウム等のカルボキシアルキルセルロース誘導体;カルボキシメチルエチルセルロース等のカルボキシアルキルアルキルセルロース等が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、カフェイン類の溶解性の観点から、ヒドロキシアルキルアルキルセルロースが好ましく、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)が特に好ましい。斯様なヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース1828、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910等が挙げられる。
【0016】
上記ヒプロメロースとしては、メトキシ基含有率が15〜45質量%のものが好ましく、25〜35質量%のものがより好ましい。一方、ヒドロキシプロポキシ基含有率としては、1〜35質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
また、ヒプロメロースの粘度としては、1〜20mPa・sが好ましく、2〜10mPa・sがより好ましい。なお、上記粘度は、試料2gを水98mLに溶解した水溶液(20℃)を用い、日本薬局方の粘度測定法第一法(毛細管粘度計法)に準じて測定可能である。
【0017】
上記セルロース誘導体の含有量としては、液状組成物中、0.01〜5質量%が好ましく、0.03〜3質量%がより好ましく、0.05〜2質量%が更に好ましく、0.1〜1質量%が特に好ましい。斯かる含有量を0.1質量%以上とすることにより、カフェイン類の結晶析出抑制作用が向上する。
【0018】
また、前記カフェイン類とセルロース誘導体との含有比としては、カフェイン類の溶解性の観点から、カフェイン類1質量部に対し、セルロース誘導体が0.01〜5質量部であるのが好ましく、0.02〜4質量部であるのがより好ましく、0.03〜3質量部であるのが更に好ましく、0.1〜1質量部であるのが特に好ましい。斯かるセルロース誘導体の含有比を0.1質量部以上とすることにより、カフェイン類の結晶析出抑制作用が向上する。
【0019】
また、本発明の液状組成物としては、上記カフェイン類及びセルロース誘導体の他に、粘稠化剤を含むものが好ましい。粘稠化剤を含有せしめることにより、カフェイン類の結晶析出抑制作用が向上する。
【0020】
上記粘稠化剤としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、グリセリン、ソルビトール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、マクロゴール4000、マクロゴール6000等が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。斯様な粘稠化剤の中でも、カフェイン類の溶解性の観点から、ポリビニルピロリドンが好ましい。斯かるポリビニルピロリドンのK値としては、5〜100が好ましく、10〜50がより好ましい。なお、K値は分子量と相関する粘性特性値であり、毛細管粘度計により測定される相対粘度値(25℃)をFikentscherの式に適用して算出される値を意味する。
【0021】
また、前記カフェイン類と粘稠化剤との含有比としては、カフェイン類1質量部に対し、粘稠化剤が0.5〜8質量部であるのが好ましく、0.75〜6質量部であるのがより好ましく、1〜4質量部であるのが特に好ましい。
【0022】
また、本発明の液状組成物は、前記のカフェイン類以外の薬効成分を含んでいてもよい。
上記薬効成分としては、例えば、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、ビタミン類、抗炎症剤、胃粘膜保護剤、抗コリン剤、鎮吐剤、無機塩類、アミノ酸類、カルシウム塩類、マグネシウム塩類、グルクロン酸類、生薬類、漢方処方、キサンチン系成分の他、ウルソデスオキシコール酸、オロチン酸、ガンマーオリザノール、アデノシン三リン酸及びその塩、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン、肝臓水解物、イノシトール、塩化カルニチン、ルチン等が挙げられる。なお、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
上記解熱鎮痛剤としては、例えば、アスピリン、アスピリンアルミニウム、アセトアミノフェン、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、エテンザミド、サザピリン、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、チアラミド塩酸塩、ラクチルフェネチジン、ロキソプロフェンナトリウム水和物等が挙げられる。
【0024】
上記抗ヒスタミン剤としては、例えば、アゼラスチン塩酸塩、アリメマジン酒石酸塩、イソチペンジル塩酸塩、イプロヘプチン塩酸塩、エピナスチン塩酸塩、エバスチン、エメダスチンフマル酸塩、カルビノキサミンジフェニルジスルホン酸塩、カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、dl−クロルフェニラミンマレイン酸塩、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩、ケトチフェンフマル酸塩、ジフェテロール塩酸塩、ジフェテロールリン酸塩、ジフェニドール塩酸塩、ジフェニルピラリン塩酸塩、ジフェニルピラリンテオクル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ジフェンヒドラミンサリチル酸塩、ジフェンヒドラミンタンニン酸塩、ジメンヒドリナートトリプロリジン塩酸塩、トリペレナミン塩酸塩、トンジルアミン塩酸塩、フェニラミンマレイン酸塩、フェネタジン塩酸塩、フェネタジンタンニン酸塩、プロメタジン塩酸塩、プロメタジンメチレン二サリチル酸塩、メキタジン、メトジラジン塩酸塩、メブヒドロリンナパジシル酸塩、エメダスチンフマル酸塩等が挙げられる。
【0025】
上記鎮咳剤としては、例えば、アロクラミド塩酸塩、エプラジノン塩酸塩、カルベタペンタンクエン酸塩、クロペラスチン塩酸塩、クロペラスチンフェンジゾ酸塩、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、ジブナートナトリウム、ジメモルファンリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩、デキストロメトルファン・フェノールフタリン塩、チペピジンクエン酸塩、チペピジンヒベンズ酸塩、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム等が挙げられる。
【0026】
上記ノスカピン類としては、例えば、ノスカピン塩酸塩、ノスカピン等が挙げられる。
【0027】
上記気管支拡張剤としては、例えば、トリメトキノール塩酸塩、フェニルプロパノールアミン塩酸塩、フェニレフリン塩酸塩、プソイドエフェドリン塩酸塩、プソイドエフェドリン硫酸塩、メチルエフェドリン、dl−メチルエフェドリン塩酸塩、l−メチルエフェドリン塩酸塩、dl−メチルエフェドリンサッカリン塩、メトキシフェナミン塩酸塩等が挙げられる。
【0028】
上記去痰剤としては、例えば、アンブロキソール塩酸塩、アンモニア・ウイキョウ精、エチルシステイン塩酸塩、塩化アンモニウム、カルボシステイン、ブロムヘキシン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、l−メントール、リゾチーム塩酸塩等が挙げられる。
【0029】
上記催眠鎮静剤としては、例えば、アリルイソプロピルアセチル尿素やブロムワレリル尿素等が挙げられる。
【0030】
上記ビタミン類としては、例えば、レチノール類、肝油類、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB5、ビタミンB6、ビタミンB7、ビタミンB9及びビタミンB12)、ビタミンC、ビタミンD類、ビタミンE、ビタミンU、ヘスペリジン及びその誘導体並びにそれらの塩類等(例えば、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、ビタミンA油、肝油、強肝油、チアミン、チアミン塩化物塩酸塩、チアミン硝化物、ジセチアミン塩酸塩、セトチアミン塩酸塩、フルスルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩、オクトチアミン、シコチアミン、チアミンジスルフィド、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミン、チアミン二リン酸、リボフラビン、リボフラビンリン酸エステル、リボフラビン酪酸エステル、リン酸リボフラビンナトリウム、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、イノシトールヘキサニコチネート、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド、ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチドリン酸、ヘプロニカート、パントテン酸、パンテノール、パンテチン、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、補酵素A、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキサールリン酸エステル、ピリドキサミン塩酸塩、ビオチン、葉酸、ジヒドロ葉酸、テトラヒドロ葉酸、シアノコバラミン、メコバラミン、ヒドロキソコバラミン、デオキシアデノシルコバラミン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウム、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール、コハク酸d−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロールカルシウム、酢酸d−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、d−α−トコフェロール、dl−α−トコフェロール及びニコチン酸dl−α−トコフェロール、メチルメチオニンスルホニウムクロライド、ヘスペリジン等)が挙げられる。
【0031】
上記抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン酸及びその誘導体並びにそれらの塩類(例えば、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム等)、セアプローゼ、セミアルカリプロティナーゼ、セラペプターゼ、トラネキサム酸、プロクターゼ、プロナーゼ、ブロメライン等が挙げられる。
【0032】
上記胃粘膜保護剤としては、例えば、アミノ酢酸、アルジオキサ、ケイ酸マグネシウム、ゲファルナート、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウムゲル、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物、スクラルファート、セトラキサート塩酸塩、ソファルコン、炭酸マグネシウム、テプレノン、銅クロロフィリンカリウム、銅クロロフィリンナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、メチルメチオニンスルホニウムクロリド等が挙げられる。
【0033】
上記抗コリン薬としては、例えば、オキシフェンサイクリミン塩酸塩、ジサイクロミン塩酸塩、メチキセン塩酸塩、スコポラミン臭化水素酸塩、ダツラエキス、チペピジウム臭化物、メチキセン塩酸塩、メチルアトロピン臭化物、メチルアニソトロピン臭化物、メチルスコポラミン臭化物、メチル−l−ヒヨスチアミン臭化物、メチルベナクチジウム臭化物、パパベリン塩酸塩、ピレンゼピン塩酸塩、ブチルスコポラミン臭化物、ベラドンナアルカロイド、ベラドンナエキス、ベラドンナ総アルカロイド、ヨウ化イソプロパミド、ヨウ化ジフェニルピペリジノメチルジオキソラン、ロートエキス、ロート根、ロート根総アルカロイドクエン酸塩等が挙げられる。
【0034】
上記鎮吐剤としては、例えば、アミノ安息香酸エチル、セリウムシュウ酸塩、ピペリジルアセチルアミノ安息香酸エチル等が挙げられる。
【0035】
上記無機塩類としては、例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、乾燥炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム等が挙げられる。
【0036】
上記アミノ酸類としては、例えば、L−塩酸システイン、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、L−アスパラギン酸カリウム・マグネシウム、L−システイン、L−塩酸リジン、L−塩酸アルギニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−フェニルアラニン、L−トレオニン、L−トリプトファン、L−バリン、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0037】
上記カルシウム塩類としては、例えば、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、クエン酸カルシウム等が挙げられる。
【0038】
上記マグネシウム塩類としては、例えば、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
【0039】
上記グルクロン酸類としては、例えば、グルクロノラクトン、グルクロン酸アミド等が挙げられる。
【0040】
上記生薬類としては、例えば、アカメガシワ(赤芽柏)、アセンヤク(阿仙薬)、インヨウカク(淫羊霍)、ウイキョウ(茴香)、ウコン(鬱金)、エゾウコギ(蝦夷五加)、エンゴサク(延胡索)、エンメイソウ(延命草)、オウギ(黄耆)、オウゴン(黄岑)、オウセイ(黄精)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志) 、カイクジン(海狗腎)、カシュウ(何首烏)、ガジュツ(我朮)、カノコソウ(鹿子草)、カミツレ、ガラナ、カロニン(か楼仁)、カンゾウ(甘草)、キキョウ(桔梗)、キョウニン(杏仁)、クコシ(枸杞子)、クコヨウ(枸杞葉)、クラテグス、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ケツメイシ(決明子)、ゲンチアナ、ゲンノショウコ(現証拠)、コウジン(紅蔘)、コウブシ(香附子)、ゴオウ(牛黄)、ゴミシ(五味子)、サイコ(柴胡)、サイシン(細辛)、サンショウ(山椒)、シオン(紫苑)、ジコッピ(地骨皮)、シャクヤク(芍薬)、ジャコウ(麝香)、シャジン(沙参)、シャゼンシ(車前子)、シャゼンソウ (車前草)、獣胆(ユウタン(熊胆)を含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、セキサン(石蒜)、セネガ、センキュウ(川きゅう)、ゼンコ(前胡)、センブリ(千振)、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、タイサン(大蒜)、タイソウ(大棗)、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(丁子)、チンピ(陳皮)、トウキ(当帰)、トコン(吐根)、ナンテンジツ(南天実)、ニンジン(人参)、バイモ(貝母)、バクモンドウ(麦門冬)、ハッカ(薄荷)、ハンゲ(半夏)、バンコウカ(番紅花)、ハンピ(反鼻)、ビャクシ(白し)、ビャクジュツ(白朮)、ブクリョウ(茯苓)、ボウイ(防已)、ボタンピ(牡丹皮)、ボレイ(牡蠣)、マオウ(麻黄)、ヨクイニン(ヨク苡仁)、ロクジョウ(鹿茸)、ローヤルゼリー等の生薬及びこれらの抽出物(エキス、チンキ、乾燥エキス等)等が挙げられる。
【0041】
上記漢方処方としては、例えば、葛根湯、加味帰脾湯、加味逍遙散、桂枝湯、香蘇散、柴胡桂枝湯、小柴胡湯、十全大補湯、小建中湯、小青竜湯、清心蓮子飲、麦門冬湯、半夏厚朴湯、八味地黄丸、補中益気湯、六君子湯、麻黄湯等が挙げられる。
【0042】
上記キサンチン系成分としては、例えば、アミノフィリン、ジプロフィリン、テオフィリン、プロキシフィリン等が挙げられる。
【0043】
上述のようなカフェイン類以外の薬効成分の中でも、(1)解熱鎮痛剤や総合感冒薬等として用いられる観点から、抗ヒスタミン剤、鎮咳剤、ノスカピン類、気管支拡張剤、去痰剤、催眠鎮静剤、抗コリン剤等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいるもの、(2)鎮咳去痰薬として用いられる観点から抗ヒスタミン剤、鎮咳剤等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいるもの、(3)鼻炎用内服薬として用いられる観点から抗ヒスタミン剤、気管支拡張剤、抗コリン薬、抗炎症剤、リゾチーム塩酸塩、生薬類等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいるもの、(4)鎮暈薬として用いられる観点から抗ヒスタミン剤、抗コリン剤、鎮吐剤、催眠鎮静剤、炭酸水素ナトリウム、メントール、ビタミン類等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいるもの、(5)栄養剤として用いられる観点からビタミン類、無機塩類、アミノ酸類、カルシウム塩類、マグネシウム塩類、グルクロン酸類、生薬類、漢方処方、その他薬物等からなる群より選ばれる1種又は2種以上を含んでいるものが好ましい。
【0044】
また、これらカフェイン類以外の薬効成分の含有量は特に限定されないが、液状組成物中、通常、10〜40質量%程度であり、15〜30質量%が好ましい。
【0045】
また、本発明の液状組成物は、前述の成分の他に、溶媒、前記セルロース誘導体及び粘稠化剤以外の医薬品に通常用いられる添加物を含んでいてもよい。なお、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0046】
上記溶媒は特に限定されないが、例えば、水と混和しない又は水に溶解しない揮発性若しくは非揮発性の溶媒(植物油、脂肪族又は芳香族炭化水素、塩素化炭化水素、エーテル類、エステル類、高級アルコール類等)、水と混和する非揮発性の溶媒、水、多価アルコール等が挙げられる。この中でも、カプセルに充填可能なものが好ましく、カフェイン類の溶解性及びカプセル皮膜の軟化抑制の観点から、水、多価アルコールがより好ましく、水と多価アルコールとの混液が特に好ましい。また、斯様な多価アルコールとしては、平均分子量100〜800程度のマクロゴールが好ましい。斯かるマクロゴールの平均分子量としては、150〜700が好ましく、190〜630がより好ましい。斯様なマクロゴールとしては、マクロゴール200、マクロゴール300、マクロゴール400、マクロゴール600が挙げられる。中でも、マクロゴール400が特に好ましい。
【0047】
上記溶媒の含有量は特に限定されないが、液状組成物中、例えば、60〜90質量%程度であり、60〜85質量%が好ましい。
また、前記カフェイン類と溶媒との含有比としては、カフェイン類1質量部に対し、溶媒が35〜100質量部であるのが好ましく、40〜90質量部であるのがより好ましく、45〜80質量部であるのが特に好ましい。
【0048】
前記セルロース誘導体及び粘稠化剤以外の医薬品に通常用いられる添加物としては、例えば、pH調節剤、色素、界面活性剤等が挙げられる。
【0049】
上記pH調節剤としては、液状組成物のカプセル剤皮の安定性を考慮すると、酸性〜中性領域(好ましくは酸性領域)に調整することが可能なpH調節剤が好ましい。斯様なpH調節剤としては、例えば、アジピン酸、アスコルビン酸、安息香酸、エリソルビン酸、塩酸、クエン酸、グルタミン酸、コハク酸、酢酸、酒石酸、乳酸、リン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸等の酸が挙げられる。なお、斯かるpH調節剤のうち、乳酸及び/又はリン酸の含有量としては、0〜5質量%が好ましく、0〜1質量%がより好ましく、0質量%が特に好ましい。斯様な乳酸やリン酸が低濃度の場合、或いは乳酸やリン酸を使用しない場合であったとしても、本発明によればカフェイン類の結晶析出が抑制される。
【0050】
上記色素としては、例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号、食用青色2号、赤キャベツ、赤大根、アナトー、アントシアニン、ウコン、カカオ、カラメル、クチナシ、クロロフィル、コチニール、シソ、トウガラシ、パプリカ、ビートレッド、ブドウ果皮、ブドウ果汁、フラボノイド、紅麹、ベニバナ、ベリー類、紫トウモロコシ、ムラサキイモ、ラック等が挙げられる。
【0051】
上記界面活性剤としては、例えば、モノヘキサン酸グリセリン、モノオクタン酸グリセリン、モノデカン酸グリセリン、モノラウリン酸グリセリン、ジオクタン酸グリセリン、ジデカン酸グリセリン、デカン酸オクタン酸グリセリン、モノミリスチン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;ラウロマクロゴール等のポリオキシエチレンアルキルエーテル;ステアリン酸ポリオキシル40、ステアリン酸ポリオキシル45、ステアリン酸ポリオキシル55等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート61、ポリソルベート65、ポリソルベート80、ポリソルベート81、ポリソルベート85等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0052】
上記セルロース誘導体及び粘稠化剤以外の添加物の含有量は特に限定されず、本発明の効果を妨げない範囲で含有せしめることができる。
【0053】
次に、本発明の液状組成物の性状等について説明する。
本発明の液状組成物の色調としては、透明、澄明が好ましい。また、本発明の液状組成物は、外観安定性に優れるため、カプセル(好ましくは透明カプセル)に充填する液体としての使用に適する。
【0054】
次に、本発明のカプセル剤について説明する。
本発明のカプセル剤は、前述の液状組成物をカプセルに充填したものである。
上記カプセルは、その皮膜中に基剤を含むものが好ましい。斯様な基剤としては、例えば、ゼラチン、ヒプロメロース、プルラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール共重合体(好ましくは、ポリビニルアルコールとメチルメタクリレートとアクリル酸又はその塩との共重合体)等が挙げられ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、ゼラチン、マクロゴール、ポリビニルアルコール共重合体が好ましい。
【0055】
上記ゼラチンは特に限定されないが、例えば、熱変化に伴いゾルゲル変化するもので、牛、豚、鳥、魚等を原料とするゼラチンやコハク化ゼラチン等のアシル化ゼラチン等が挙げられる。
【0056】
上記マクロゴールの平均分子量としては、950〜25000が好ましく、2500〜4000がより好ましい。斯様なマクロゴールとしては、マクロゴール1000、マクロゴール1500、マクロゴール1540、マクロゴール4000、マクロゴール6000が挙げられる。中でも、マクロゴール4000が好ましい。
【0057】
また、基剤の含有量は、カプセル皮膜中、通常、60〜99.5質量%程度であるが、65〜99質量%が好ましい。なお、ゼラチンとマクロゴールを併用する場合、ゼラチンの含有量としては、カプセル皮膜全量に対して、50〜99.5質量%が好ましく、65〜99質量%がより好ましい。マクロゴールの含有量は、カプセル皮膜中、0.5〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
【0058】
また、上記カプセルの皮膜は、上記基剤の他に、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ショ糖、果糖、プロピレングリコール、マクロゴール等の可塑剤;アラビアガム、アルギン酸、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、グァーガム、グルコマンナン、ジェランガム、タマリンドガム、ファーセレラン、ペクチン、ローカストビーンガム等のゲル化剤を含んでいてもよく、必要に応じて、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸カリウム等のゲル化助剤を含んでいてもよい。
上記可塑剤は、基剤に対して、通常、1〜50質量%程度であるが、5〜40質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
【0059】
また、カプセル皮膜には、上記の基剤、可塑剤、ゲル化剤及びゲル化助剤の他に、例えば、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号、食用青色2号、赤キャベツ、赤大根、アナトー、アントシアニン、ウコン、カカオ、カラメル、クチナシ、クロロフィル、コチニール、シソ、トウガラシ、パプリカ、ビートレッド、ブドウ果皮、ブドウ果汁、フラボノイド、紅麹、ベニバナ、ベリー類、紫トウモロコシ、ムラサキイモ、ラック等の色素、酸化チタン等の顔料、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、防腐剤、芳香剤、崩壊剤、界面活性剤等を含んでいてもよい。
【0060】
また、本発明のカプセル剤には、硬カプセル剤及び軟カプセル剤のいずれもが含まれる。
本発明に用いられるカプセル皮膜の色は、特に限定されるものではないが、カプセル剤の商品価値の観点から、充填された液を目視可能な透明又は半透明が好ましい。
なお、カプセル剤の色は暖色系(赤〜オレンジ〜黄色)の色でもよいが、充填された液を目視可能な程度に、透明又は半透明でありながら暖色系の色を呈しているものが好ましい。これにより、あたたかさ、落ち着き、安定感・安心感のイメージをもたらし、リラックスして症状の緩和等につなげることができる。
【0061】
なお、本発明のカプセル剤は、常法に従って製することができる。例えば、ゼラチンを吸水膨潤させた後、加熱溶解し、次いでカプセル皮膜中に含ませるべきマクロゴールやグリセリンを適当量加え、所望により色素や防腐剤等を添加し、適宜粘度を調整した後、脱泡処理してカプセル成形用ジェリーを得、このジェリーを、カプセル成形装置を用いてカプセルに成形し、このカプセルに本発明の液状組成物を充填することにより硬カプセル剤が得られる。また、ゼラチンを吸水膨潤させた後、加熱溶解し、次いでカプセル皮膜中に含ませるべきマクロゴールやグリセリンを適当量加え、所望により、可塑剤、色素や防腐剤等を添加して、適宜粘度を調整した後、脱泡処理してカプセル成形用ジェリーを得る。得られたジェリー及び本発明の液を用いて、ロータリー・ダイ法や滴下法等に基づくことにより、本発明のカプセル剤(軟カプセル剤)を製することができる。
【0062】
そして、本発明の液状組成物は、低い温度条件下で長期間保存したとしてもカフェイン類の結晶析出が少なく、優れた外観安定性を有する。斯様にカフェイン類の溶解度が高いため、本発明の液状組成物を人に投与した際に速やかな効果の発現が期待できる。また、前述の優れた外観安定性から、商品価値の向上が見込まれ、服薬コンプライアンスに大きく寄与する。
また、本発明によれば、良好な外観と優れた安定性を有し、商品価値の高いカプセル剤を提供できる。
【実施例】
【0063】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0064】
実施例1
無水カフェイン4g、ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910:信越化学工業製)0.7g、イブプロフェン45g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩6g、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩0.35g、コデインリン酸塩水和物2.4g、アンブロキソール塩酸塩4.5g、l−メントール4g、ポリビニルピロリドン10g、マクロゴール175.1g及び精製水28.6gを混合し、液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0065】
実施例2
ヒプロメロースの配合量を0.7gから0.5gに換えた以外は実施例1と同様にして液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0066】
実施例3
アンブロキソール塩酸塩4.5gをブロムヘキシン塩酸塩1.2gに換えた以外は実施例1と同様にして液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0067】
比較例1
ヒプロメロースを無配合とした以外は実施例1と同様にして液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0068】
比較例2
ヒプロメロース0.7gを安息香酸8gに換えた以外は実施例1と同様にして液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0069】
比較例3
ヒプロメロース0.7gをステアリン酸ポリオキシル40 18gに換えた以外は実施例1と同様にして液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0070】
比較例4
ヒプロメロース0.7gをポリソルベート60 5gに換えた以外は実施例1と同様にして液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0071】
比較例5
ヒプロメロース0.7gをポリソルベート80 18gに換えた以外は実施例1と同様にして液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0072】
比較例6
ヒプロメロース0.7gをセスキオレイン酸ソルビタン5gに換えた以外は実施例1と同様にして液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0073】
比較例7
ヒプロメロース0.7gをポリビニルアルコール0.7gに換えた以外は実施例1と同様にして液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0074】
参考例1
無水カフェイン及びヒプロメロースを無配合とした以外は実施例1と同様にして液状組成物(カプセル充填液)を得た。
【0075】
試験例1
実施例1〜3、比較例1〜7及び参考例1で得られた液状組成物について、製造直後及び−5℃条件下で1月間保存後に目視にて観察を行い結晶析出の有無を確認することで、外観安定性を評価した。結果を表1に示す。
(評価基準)
結晶析出が生じなかった:○
結晶析出が生じた:×
【0076】
【表1】
【0077】
上記表1中の参考例1と比較例1の試験結果から、結晶析出しているものが無水カフェインであることがわかった。
そして、無水カフェインに加えてヒプロメロースを用いた実施例1〜3の液状組成物は、製造直後だけでなく−5℃の保存条件で1月経過した後でも結晶析出は認められず、優れた外観安定性を示した。
【0078】
製造例1 軟カプセル剤
ゼラチン9.0kgに精製水10.0リットルを加え、約1〜2時間程度自然放置して吸水膨潤させた。ゼラチンが十分に膨潤した後、60℃に加温し、撹拌してゼラチンを均一に溶解させ、更にこのゼラチン溶液中に濃グリセリン1kg及びマクロゴール4000の水溶液(5質量%濃度)を1.0kg加えて撹拌し、その粘度を調整した後、脱泡処理してカプセル成形用ジェリーを得た。このジェリーを用いてロータリー式カプセル充填機にて、実施例1で製した液状組成物471mgを充填し、軟カプセル剤を製造した。
得られた軟カプセル剤は、透明なカプセル中に透明な液が充填されたものであった。また、軟カプセル剤は、−5℃条件下で6ヶ月保存しても結晶析出は認められなかった。
【0079】
製造例2 軟カプセル剤
マクロゴール4000の水溶液の配合量を、1.0kg(5質量%濃度)から0.5kg(2.5質量%濃度)に換えた以外は製造例1と同様にして、軟カプセル剤を製造した。
【0080】
製造例3 硬カプセル剤
ゼラチン10.0kgに精製水18.0リットルを加え、約1〜2時間程度自然放置して吸水膨潤させた。ゼラチンが十分に膨潤した後、60℃に加温し、撹拌してゼラチンを均一に溶解させ、更にこのゼラチン溶液中にマクロゴール4000の水溶液(5質量%濃度)1.0kg及びカラメル色素3g加えて撹拌し、その粘度を調整した後、脱泡処理してカプセル成形用ジェリーを得た。このジェリーをカプセル成形装置に仕込み、サイズ1号のカプセルを成形し、ロータリー式カプセル充填機を用いて、実施例1で製した液状組成物471mgを前記のカプセルに充填し、硬カプセル剤を製造した。
得られた硬カプセル剤は、カラメル色の透明なカプセル中に透明な液が充填されたものであった。
【0081】
製造例4 硬カプセル剤
カプセルのサイズを1号から0号に換えた以外は製造例3と同様にしてカプセルを成形した。
次に、ロキソプロフェンナトリウム水和物:20.43g、無水カフェイン:4g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩:6g、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩:0.35g、グアイフェネシン:25g、ポビドン:10g、ヒプロメロース:0.8g、マクロゴール400:192.4g、安息香酸:8g及び精製水:31.4gを混合し、液状組成物(カプセル充填液)を得た。また、斯かる液状組成物は澄明であった。
そして、ロキソプロフェンナトリウム水和物の1カプセルあたりの含有量が34.05mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で30mg)となるように前記カプセルに前記液状組成物を充填し、硬カプセル剤を製造した。
【0082】
製造例5 軟カプセル剤
ロキソプロフェンナトリウム水和物の1カプセルあたりの含有量が34.05mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で30mg)となるように、実施例1で製した液状組成物を製造例4で調製した液状組成物に換えて充填する以外は、製造例1と同様にして、軟カプセル剤を製造した。
得られた軟カプセル剤は、透明なカプセル中に透明な液が充填されたものであった。また、軟カプセル剤は、5℃条件下で4ヶ月保存しても結晶析出は認められなかった。
【0083】
製造例6 硬カプセル剤
ロキソプロフェンナトリウム水和物:20.43g、無水カフェイン:4g、dl−メチルエフェドリン塩酸塩:6g、d−クロルフェニラミンマレイン酸塩:0.35g、ジヒドロコデインリン酸塩水和物:2.4g、グアイフェネシン:25g、ポビドン:10g、ヒプロメロース:0.7g、マクロゴール400:172.6g、乳酸:5g、安息香酸:8g及び精製水:28.2gを混合し、液状組成物(カプセル充填液)を得た。また、斯かる液状組成物は澄明であった。
次いで、ロキソプロフェンナトリウム水和物の1カプセルあたりの含有量が34.05mg(ロキソプロフェンナトリウム無水物換算で30mg)となるように、上記液状組成物470mgを製造例4で得たカプセルに充填し、硬カプセル剤を製造した。
【0084】
製造例7 軟カプセル剤
製造例4で調製した液状組成物を、製造例6で調製した液状組成物に換えた以外は、製造例5と同様にして軟カプセル剤を製造した。