(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明のパンツ型吸収性物品をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1について、
図1〜
図3を参照しつつ説明する。
図1に示すように、おむつ1は、腹側部A及び背側部Bを有し、腹側部Aの両側部と背側部Bの両側部とが合掌状に接合されて形成された一対のサイドシール部Sを有する。また、
図2に示すように、サイドシール部Sは、おむつ1の長手方向Xに間欠的に形成された複数のシールパターン5を有しており、それらのシールパターン5は、それぞれ、おむつ1の幅方向の外方YGに向かうに従って下降するように傾斜している。また、それらのシールパターン5は、個々のシールパターンのおむつ幅方向内方側の端部51が、サイドシール部Sの下方にあるシールパターン5であるほど、おむつ幅方向の外方YGに位置している。
【0010】
おむつ1は、
図1に示すように、腹側部A、背側部B及び股下部Cを有する。腹側部Aは、着用時に着用者の腹側に配される部位であり、背側部Bは、着用時に着用者の背側に配される部位である。股下部Cは、腹側部Aと背側部Bとの間に位置して、着用時に着用者の股間部に配される。
【0011】
また、おむつ長手方向Xは、腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘る方向であり、おむつ幅方向Yは、おむつ長手方向Xと交差する方向である。なお、おむつ長手方向Xは、腹側部A及び背側部Bにおいて着用時の上下方向であるため、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおけるウエスト開口縁部We側を上側(又は上方)、股下部C側を下側(又は下方)ともいう。
【0012】
図1に示すように、おむつ1は、外装体2と、外装体2の肌面側に固定された吸収性本体3とを有している。腹側部Aの両側部と背側部Bの両側部とは合掌状に接合されており、その接合によって、おむつ1に、一対のサイドシール部S,S、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOが形成されている。
サイドシール部S,Sは、おむつ長手方向Xに延びており、ウエスト開口部WOの周縁部Weからレッグ開口部LOの周縁部Leに亘っている。
【0013】
おむつ1のサイドシール部Sは、
図2に示すように、複数のシールパターン5を有しており、該シールパターン5は、おむつ長手方向Xに間隔を置いて配されている。本実施形態において、シールパターン5は、サイドシール部Sの長手方向Xの略全長に亘って等間隔に配されている。
また、シールパターン5は、腹側部Aと背側部Bの側部どうしを重ねて熱融着させる際に、加熱された凸部に加圧されて形成されており、該凸部に対応する形状の凹部として、おむつ1の外観に現れている。第1実施形態においては、
図2に示す形態のシールパターン5が、腹側部A及び背側部Bの両方に現れている。サイドシール部Sは、シールパターン5を生じさせる加工によって、重ね合わせた背側部B及び腹側部Aの側部の所定幅の領域が接合されて形成されている。
本実施形態のおむつ1の個々のサイドシール部Sは、背側部Bから見たシールパターン5の平面視形状及び配置と、腹側部Aから見たシールパターン5の平面視形状及び配置とが左右対称になっている。また、おむつ1は、シールパターン5の形状や配置を含めて、左右対称に形成されている。
【0014】
複数のシールパターン5それぞれは、
図2に示すように、長方形状をなしており、その長手方向、より具体的には、長方形の2つの長辺53u,53dそれぞれが、おむつ1の長手方向X及び幅方向Yに対して傾斜している。シールパターン5が、本実施形態のように、シールパターンの長手方向と略同方向に延びる2辺を有する場合、それらの2辺53u,53dのうちの上側に位置する辺53uが、おむつ1の幅方向の外方に向かうに従って下降するように傾斜していることが好ましく、その2辺53u,53dが共にそのように傾斜していることが更に好ましい。
シールパターン5の長手方向(長方形の2つの長辺が延びる方向、特に上側の長辺が延びる方向)は、おむつの長手方向Xに対する傾斜角度α1(
図2参照)が、30〜89°、特に40〜89°であることが好ましい。
【0015】
また、おむつ1におけるサイドシール部Sにおいては、個々のシールパターン5のおむつ幅方向内方側の端部51が、サイドシール部Sの下方にあるシールパターンであるほど、おむつ幅方向の外方に位置している。
より具体的には、
図2に示すように、サイドシール部Sの上端に位置するシールパターン5uのおむつ幅方向内方側の端部51が、最もおむつ幅方向の内方YN側にあり、サイドシール部Sの下端に位置するシールパターン5dのおむつ幅方向内方側の端部51が、最もおむつ幅方向の外方YG側にある。そして、シールパターン5uとシールパターン5dとの間に位置するシールパターン5は、シールパターン5uから遠いものほど、おむつ幅方向内方側の端部51、おむつ幅方向の外方に位置している。
【0016】
本実施形態のおむつ1においては、
図2に示すように、サイドシール部Sにある総てのシールパターン5は、おむつ幅方向内方側の端部51が、おむつ1の長手方向に対して傾斜した直線LA上に並んでいる。この直線LAのおむつ長手方向に対する傾斜角度α2(
図2参照)は、1〜20°、特に5〜10°であることが好ましい。なお、
図2中の直線X’は、おむつ長手方向X、特におむつを幅方向に2等分しておむつの長手方向に沿って延びるおむつ長手方向中央線と平行な直線である。
シールパターン5のおむつ幅方向内方側の端部51の位置は、各部の弾性部材を伸長させた状態において、このおむつ長手方向中央線からの距離を基準に判断することが好ましい。但し、好ましい実施形態においては、個々のシールパターン5のおむつ幅方向内方側の端部51が、サイドシール部Sの下方にあるシールパターンであればあるほど、腹側部又は背側部の側端部1sとの間の距離も小さくなっている。
【0017】
おむつ1におけるサイドシール部Sの積層構造について
図3に基づき説明する。
図3には、サイドシール部Sの近傍における腹側部A及び背側部Bそれぞれのシートの積層構造が示されているが、サイドシール部Sにおける腹側部A及び背側部Bそれぞれのシートの積層構造も、
図3に示す積層構造と同じである。
図3に示すように、外装体2は、おむつ1の外表面を形成する外層シート22と、外層シート22に隣接させて外層シート22の肌面側に配された内層シート23と、内層シート23及び外層シート22の肌面側に配された補助シート25a,25bとを有している。外層シート22及び内層シート23は、それぞれ股下部Cを通って腹側部Aから背側部Bに亘るように配されている。補助シート25a,25bは、腹側部A及び背側部Bにそれぞれ1枚ずつ配されており、いずれも吸収性本体3の長手方向の端部の肌面側及び該端部の上方及び側方を覆っている。
【0018】
第1実施形態においては、サイドシール部Sを形成する、腹側部A及び背側部Bの側縁部は、
図3に示すように、それぞれ外層シート22、内層シート23及び補助シート25a(又は25b)が積層された積層シート20a(又は20b)から構成されており、サイドシール部Sは、腹側部Aを構成する積層シート20aと背側部Bを構成する積層シート20bとを熱融着することにより形成されている。
【0019】
おむつ1の形成材料について説明する。
腹側部A及び背側部Bを構成する外層シート22、内層シート23、補助シート25a,25bは、使い捨ておむつ等の吸収性物品に従来用いられている各種のシート材を特に制限なく用いることができるが、不織布を用いることが好ましく、不織布としては、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の単層の不織布又はこれらが2層以上に積層された積層不織布等が好ましい。また、外層シート22,内層シート23,補助シート25a,25bとして、不織布とフィルムとを一体化したシート等を用いることもできる。
また、サイドシール部Sを構成する外層シート22、内層シート23、及び2枚の補助シート25a,25bのうち、少なくとも一枚のシートは、ポリプロピレン単繊維のみから形成された不織布であることが好ましい。
【0020】
第1実施形態のおむつ1は、通常のパンツ型使い捨ておむつと同様に着用することができる。そして、使用後におむつ1を脱ぐため(又は脱がせるため)に、サイドシール部Sをウエスト開口部WO側から引き裂くと、サイドシール部Sを構成するシートの破断が、サイドシール部の縦方向(おむつ1の長手方向)に進行し、その際、サイドシール部の破断位置が、シールパターンのおむつ幅方向内方側の端部51の位置に集中し、該端部51を結んだラインに沿って破断が生じやすい。そのため、シートの横裂けが起こりにくく、サイドシール部Sをスムーズに縦方向に引き裂くことができる。
特に、シールパターン5のおむつ幅方向内方側の端部51の位置が、おむつ1の長手方向に対して傾斜した直線LA上に並んでいると、一層、シートの横裂けが起こりにくくなり、サイドシール部Sを一層スムーズに引き裂くことが可能となる。
【0021】
また、おむつ1においては、サイドシール部Sを構成する外層シート22、内層シート23及び補助シート25a,25bの何れもが、ポリプロピレン単繊維からなる不織布から構成されている。ポリプロピレン単繊維からなる不織布は、不織布の界面の剥離ではなく、不織布の破断がおきやすい。そのため、サイドシール部Sが縦方向に更に裂け易く、サイドシール部Sの横方向Yの破断位置が更にばらつきにくくなる。なお、サイドシール部Sを構成するシート(本実施形態では外層シート22、内層シート23及び補助シート25a,25b)のうちの少なくとも一枚のシートがポリプロピレン単繊維からなる不織布である場合も、同様の効果が奏される。但し、サイドシール部に位置する、腹側部A又は背側部Bの総てのシートがポリプロピレン単繊維からなる不織布であることが好ましく、サイドシール部に位置する腹側部A及び背側部Bの総てのシートが、ポリプロピレン単繊維からなる不織布であることが好ましい。ポリプロピレン単繊維からなる不織布は、ポリプロピレン単繊維100%からなるスパンボンド不織布であることがより好ましい。
【0022】
本発明においては、腹側部A側と背側部B側とで、サイドシール部Sを構成する積層シート20a,20bの強度が異なることが好ましい。第1実施形態においては、補助シート25a,25bとして使用した不織布の強度を異ならせることにより、腹側部A側と背側部B側とでサイドシール部Sを構成するシート20a,20bの強度を異ならせている。
腹側部A側と背側部B側とでサイドシール部Sを構成する積層シート20a,20b、特に最も内側に位置する補助シート25a,補助シート25bの強度が異なるため、サイドシール部Sを引き裂く際に、背側部B又は腹側部Aの強度が弱い方が安定して破断される。そのため、腹側部A側のシートと背側部B側のシートとが同時に破断したり、破断するシートが入れ替わったりすることが生じにくく、シート破断時に引っ掛かりが生じたり、シートに横裂けが生じたりすることを防止することができる。
【0023】
サイドシール部Sを構成する積層シート20a,20b、特に最も内側に位置する補助シート25a,補助シート25bは、腹側部A側のシートよりも背側部B側のシートの強度が高いことが好ましい。パンツ型の使い捨ておむつには、使用後のおむつを丸めた状態に維持する手段として廃棄テープが設けられることが多いが、斯かる廃棄テープは、一般的に背側部に設けられる。そのため、使用後のおむつを丸める際には、サイドシール部を破断したおむつを、腹側部側からある程度まで丸めた後、それまでに丸めた部分を背側部側で包むようにして丸めることが多い。そのため、サイドシール部の破断の際に、腹側部A側のシート20a,25aが優先的に破断されるようにして、破断後に、腹側のシート幅よりも背側のシート幅が広くなるようにすることが、より包み易くなることや、あしまわり部の隙間が低減され、臭いを漏らしにくくなるため、好ましい。
【0024】
シートの強度の大小は、サイドシール部Sが延びる方向と平行な方向(パンツ型吸収性物品の長手方向X)にシートを引き裂いたときの破断強度を比較することが好ましい。
【0025】
サイドシール部Sの全長L(
図2参照)は50〜200mmであることが好ましく、100〜150mmであることがより好ましい。
図2に示すように、サイドシール部Sの全長Lは、ウエスト開口部WOの周縁部Weとレッグ開口部LOの周縁部Leとの間の距離を、おむつ長手方向Xに沿って測定する。
また、シールパターン5は、その長手方向の長さLa(長方形の場合は長辺の長さ)と、それに直交する方向の最大幅Lb(長方形の場合は短辺の長さ)との比(La/Lb)が、1.4〜35、特に2.8〜15であることが好ましい。また、シールパターン5の長手方向の全長Laは、2.8〜14mm、特に2.8〜6mmであることが好ましく、前記最大幅Lbは、0.4〜2mm、特に0.4〜1mmであることが好ましい。
また、シールパターン5の、おむつ長手方向XのピッチP(対応する部位間の距離,
図2参照)は、1.5〜4.5mm、特に3〜4mmであることが好ましく、前記全長Laの50〜150%、特に100〜130%であることが好ましい。
また、シールパターン5は、サイドシール部Sの長手方向に10〜220個、特に25〜50個配されていることが好ましい。
【0026】
次に、本発明の第2〜第4実施形態のパンツ型使い捨ておむつについて
図4〜
図6に基づき説明する。第2〜第4実施形態については、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に言及しない点については、上述した使い捨ておむつ1に関する説明が適宜適用される。
【0027】
第2〜第4実施形態のパンツ型使い捨ておむつは、第1実施形態のパンツ型使い捨ておむつにおいて、サイドシール部Sにおけるシールパターン5を、
図4〜
図6に示すシールパターンに置き換えたものである。
【0028】
第2実施形態におけるシールパターン5Aは、
図4に示すように、三角形状を有している。三角形状のシールパターン5Aは、その2辺54u,54dが鋭角の角部を形成しており、該角部の先端が、おむつ幅方向内方側の端部51となっている。また、シールパターン5Aの前記2辺54u,54dは、それぞれ、おむつ1の幅方向の外方YGに向かうに従って下降するように、おむつ長手方向X及び幅方向Yの両方向に対して傾斜している。他方、三角形の残りの1辺54sは、おむつ長手方向Xと平行である。
また、サイドシール部Sに存在するシールパターン5Aは、おむつ幅方向内方側の端部51が、サイドシール部Sの下方にあるシールパターン5Aであるほど、おむつ幅方向の外方YGに位置している。他方、シールパターン5Aの、おむつ幅方向外方側の端部52は、おむつ幅方向における同じ位置にある。
【0029】
第2実施形態において、シールパターン5Aの前記2辺54u,54dは、おむつの長手方向Xに対する傾斜角度α3,α4(
図4参照)が、何れも、30〜89°、特に40〜85°の範囲内であることが好ましく、更に、上側の辺54uの該傾斜角度α3は、特に50〜85°、下側の辺54dの該傾斜角度α4は、特に40〜80°であることが好ましい。
【0030】
第2実施形態においても、
図4に示すように、サイドシール部Sにあるシールパターン5Aは、おむつ幅方向内方側の端部51が、おむつ1の長手方向に対して傾斜した直線LA上に並んでいる。この直線LAのおむつ長手方向Xに対する傾斜角度α2(
図4参照)の好ましい範囲は、第1実施形態における前記傾斜角度α2と同じである。
なお、
図4に示した例においては、シールパターン5Aの辺54sの長さは一定であり、個々のシールパターンのおむつ幅方向の長さLcを、下方のものほど短くすることによって、幅方向内方側の端部51の位置を、下方のものほどおむつ幅方向外方に位置させている。なお、シールパターン5Aの、おむつ長手方向XのピッチP(対応する部位間の距離,好ましくは端部51におけるピッチ,
図4参照)は、1.5〜4.5mm、特に3〜4mmであることが好ましく、該ピッチPは、前記長さLcが最も長いシールパターンの該長さLcの15〜450%、特に20〜60%であることが好ましい。
また、シールパターン5Bは、サイドシール部Sの長手方向に10〜220個、特に25〜50個配されていることが好ましい。
【0031】
第3実施形態におけるシールパターン5Bは、
図5に示すように、おむつ幅方向内方側の端部51については、第1実施形態と同様に、サイドシール部Sの下方にあるシールパターン5Bであればあるほど、おむつ幅方向の外方YGに位置している。他方、シールパターン5Bの、おむつ幅方向外方側の端部52は、おむつ幅方向における同じ位置にある。
【0032】
第4実施形態におけるシールパターン5Cは、
図6に示すように、三角形状を有し、おむつ幅方向内方側の端部51に、おむつ長手方向と平行な辺55cを有しており、残りの2辺55u,55dが、それぞれ、おむつ1の幅方向の外方YGに向かうに従って下降するように、おむつ長手方向X及び幅方向Yの両方向に対して傾斜している。
また、サイドシール部Sに存在するシールパターン5Cは、おむつ幅方向内方側の端部51が、サイドシール部Sの下方にあるシールパターン5Cであるほど、おむつ幅方向の外方YGに位置している。他方、シールパターン5Aの、おむつ幅方向外方側の端部52は、おむつ幅方向における同じ位置にある。
図6に示した例においては、シールパターン5Cの辺55cの長さは一定であり、個々のシールパターンのおむつ幅方向の長さLcを、下方のものほど短くすることによって、幅方向内方側の端部51の位置を、下方のものほどおむつ幅方向外方に位置させている。なお、シールパターン5Cの、おむつ長手方向XのピッチP(対応する部位間の距離,好ましくは端部51の直線LAと接する点間の距離,
図6参照)は、1.5〜4.5mm、特に3〜4mmであることが好ましく、該ピッチPは、前記長さLcが最も長いシールパターンの該長さLcの15〜450%、特に20〜60%であることが好ましい。
また、シールパターン5Cは、サイドシール部Sの長手方向に10〜220個、特に25〜50個配されていることが好ましい。
【0033】
以上、本発明のパンツ型吸収性物品について好ましい実施形態を複数説明したが、本発明は上述した各実施形態に何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。
【0034】
シールパターンの形状は、図示したものに限られない。例えば、台形にしてもよいし、平行四辺形でもよい。また、三角形、四角形等の多角形の一部又は総ての角に丸みを帯びさせたものであってもよい。また複数のシールパターンは、同形状でなくてもよく、複数の形状のシールパターンを組み合わせてもよい。また、シールパターンを配置するピッチPは、総てのシールパターン間において等しくなくても良いし、等しくても良い。
【0035】
また、サイドシール部Sの上端に、一部が切除された不完全な形状のシールパターンが存在するような場合、そのシールパターンの幅方向内方側の端部は、それより下のシールパターンの同端部よりおむつ幅方向外方に存在しても良い。
【0036】
また、シールパターンは、おむつ幅方向内方の端部が、一本の直線LA上に並んでいなくても良く、例えば、総て又は一部のシールパターンにおける、おむつ幅方向内方の端部が、円弧状の曲線上に並んでいても良いし、総て又は一部のシールパターンにおける、おむつ幅方向内方の端部が、段部を介して連続する複数本の傾斜直線上に配置されていても良い。
【0037】
また、腹側部及び背側部の積層構造は、
図3に示すものに限られない。例えば、おむつは補助シートや、外層シートの折り返し部を有しなくてもよい。
図3に示す例では、補助シート25a,25bそれぞれは、一部が外層シート22の肌面側に配されており、その他の部分が内層シート23の肌面側に配されている。しかしながら、補助シート25a,25bは、外層シート22又は内層シート23の一方の肌面側に配されていてもよい。
また、腹側部及び背側部の積層構造は、
図7に示すような構造であっても良い。
図7に示す実施形態においては、腹側部A及び背側部Bの側縁部が、外層シート22と内層シート23とが積層された積層シート20a(又は20b)から構成されており、腹側部Aを構成する積層シート20aと背側部Bを構成する積層シート20bとが熱融着されてサイドシール部Sが形成されている。
図3及び
図7中、シート間に示されている黒丸は、外装体に伸縮性を付与する弾性部材である。
【0038】
また、パンツ型吸収性物品は、外装体が、着用時に着用者の腹側に配される腹側シート部材と、着用時に着用者の背側に配される背側シート部材とに分割されており、腹側シート部材と背側シート部材とが筒状に連結されていると共に吸収性本体を腹側シート部材と背側シート部材との間に架け渡して固定したものであってもよい。このような外装体分割タイプのおむつにおいては、腹側シート部材と背側シート部材とで、それぞれを構成する不織布の一枚又は複数枚の強度を容易に異ならせることができる。
【0039】
また、パンツ型吸収性物品は、幼児又は成人用のパンツ型使い捨ておむつの他、パンツ型(ショーツ型)の生理用ナプキン等であっても良い。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【0040】
上述した実施形態に関し、さらに以下のパンツ型吸収性物品を開示する。
<1>腹側部及び背側部を有し、該腹側部の両側部と該背側部の両側部とが合掌状に接合されて形成された一対のサイドシール部を有するパンツ型吸収性物品であって、
前記サイドシール部は、吸収性物品の長手方向に間欠的に形成された複数のシールパターンを有しており、
前記シールパターンは、それぞれ吸収性物品の幅方向の外方に向かうに従って下降するように傾斜しており、前記サイドシール部に存在するシールパターンは、吸収性物品の幅方向内方側の端部が、サイドシール部の下方にあるシールパターンであるほど吸収性物品幅方向の外方に位置している、パンツ型吸収性物品。
【0041】
<2>前記サイドシール部の上端に位置するシールパターンの吸収性物品の幅方向内方側の端部が、最も吸収性物品の幅方向の内方側にあり、該サイドシール部の下端に位置するシールパターンの吸収性物品幅方向内方側の端部が、最も吸収性物品幅方向の外方側にある、前記<1>に記載のパンツ型吸収性物品。
<3>個々の前記シールパターンの吸収性物品の幅方向内方側の端部が、前記サイドシール部の下方にあるシールパターンであればあるほど、前記腹側部又は前記背側部の側端部との間の距離も小さくなっている、前記<1>又は<2>に記載のパンツ型吸収性物品。
<4>個々の前記サイドシール部は、前記背側部から見た前記シールパターンの平面視形状及び配置と、前記腹側部から見た前記シールパターンの平面視形状及び配置とが左右対称である、前記<1>ないし<3>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<5>前記一対の前記サイドシール部は、前記背側部から見た前記シールパターンの平面視形状及び配置が左右対称である、前記<1>ないし<4>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
【0042】
<6>前記シールパターンは、吸収性物品の幅方向内方側の端部が、吸収性物品の長手方向に対して傾斜した直線上に並んでいる、前記<1>ないし<5>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<7>複数の前記シールパターンそれぞれは、長方形状をなしている、前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<8>長方形状の前記シールパターンの長方形の2つの長辺それぞれが、吸収性物品の長手方向及び幅方向に対して傾斜している、前記<7>に記載のパンツ型吸収性物品。
<9>前記シールパターンが、三角形状であり、吸収性物品の長手方向に対して傾斜した直線に接する2辺が、それぞれ、物品の幅方向の外方に向かうに従って下降するように傾斜している、前記<1>ないし<6>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
【0043】
<10>前記直線に接する2辺が鋭角の角部を形成している、前記<9>に記載のパンツ型吸収性物品。
<11>前記角部の先端が、吸収性物品の幅方向内方側の端部となっている、前記<10>に記載のパンツ型吸収性物品。
<12>前記腹側部と前記背側部とで、前記サイドシール部を構成するシートの強度が異なる、前記<1>ないし<11>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<13>前記サイドシール部を形成する、前記腹側部及び前記背側部の側縁部は、それぞれ外層シート、内層シート及び補助シートが積層された積層シートから構成されており、該腹側部及び該背側部とで、サイドシール部を構成する積層シートの強度が異なる、前記<1>ないし<12>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<14>前記腹側部と前記背側部とで補助シートとして使用した不織布の強度が異なる、前記<13>に記載のパンツ型吸収性物品。
【0044】
<15>前記パンツ型吸収性物品は、外装体と、該外装体の肌面側に固定された吸収性本体とを有しており、前記腹側部の両側部と前記背側部の両側部とは合掌状に接合されており、その接合によって、吸収性物品に、一対の前記サイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されている、前記<1>ないし<14>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。
<16>前記外装体は、吸収性物品の外表面を形成する外層シートと、該外層シートに隣接させて該外層シートの肌面側に配された内層シートと、該内層シート及び該外層シートの肌面側に配された補助シートとを有している、前記<15>に記載のパンツ型吸収性物品。
<17>前記腹側部及び前記背側部を構成する前記外層シート、前記内層シート及び前記補助シートとして不織布を用いる、前記<16>に記載のパンツ型吸収性物品。
<18>前記不織布として、エアースルー不織布、ヒートロール不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の単層の不織布又はこれらが2層以上に積層された積層不織布を用いる、前記<17>に記載のパンツ型吸収性物品。
<19>前記サイドシール部を構成する少なくとも一枚のシートは、ポリプロピレン単繊維のみから形成された不織布である、前記<1>ないし<18>のいずれか1に記載のパンツ型吸収性物品。